本発明は上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、コンロ上方の空間に物品を収納するための天蓋上物品収納部を設けたものにおいて、天蓋の上方空間において、送風排気手段と物品収納手段とを余剰空間を生じることなく配置構成して、収納容積を増大し、収納利便性を向上させることができる換気装置付き厨房装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成になっている。
本発明の換気装置付き厨房装置6は、調理台1上面のカウンター13にコンロ2を組み込み設置し、該コンロ2の上方に換気装置15を配置したものである。換気装置15は、コンロ廃気捕集用の天蓋3を下位置に、廃気を吸引して屋外へ排出する送風機ユニット4を上位置に、それぞれ分離配置し、上記送風機ユニット4の大部分を天井30内に位置させ、上記天蓋3と送風機ユニット4の間に、天蓋上物品収納部5を設けると共に、天蓋3と送風機ユニット4を空気連通する空気連絡通路7を天蓋上物品収納部5の後方もしくは側方に設けて構成し、上記天蓋上物品収納部5の上端を上記天井30面近くまで到る高さとし、上記天井30内に配置した上記送風機ユニット4の下端部を上記天井30面よりも下方の上記天蓋上物品収納部5上に位置させ、上記天蓋上物品収納部5と上記送風機ユニット4の上記天井30面より下方に位置する部分を一体的に隠蔽する化粧板9を備える。
このように、天蓋3と送風機ユニット4を上下階層に分離構成し、その間の位置に天蓋上物品収納部5を配置することで、天蓋上物品収納部5は、天蓋3上の平面視のどの部分を占めて構成してもよく、収納容積が拡大し、また収納部寸法も左右あるいは奥行方向ともに、収納物品の形態を制約することの少ない有効なものとなる。また、天蓋上物品収納部5と送風機ユニット4の天井30面より下方に位置する部分を一体的に隠蔽する化粧板9を備えるので、コンロ2の上方の天蓋3上に天蓋上物品収納部5と送風機ユニット4とを上下に多層に配置しても、コンロ2上方における意匠外観性が高まる。
また、従来のように、送風機ユニット4の高さと天蓋上物品収納部5の高さの違いにより生ずる送風機ユニット4上の余剰空間も解消される。
さらに、天蓋3と送風機ユニット4は、空気連絡通路7によってのみ空気連通され、天蓋上物品収納部5上への送風機ユニット4の配置自由度も大きくなっている。
加えて、送風機ユニット4が、天井30内に配置されることで、天蓋上物品収納部5は、天蓋3上から天井30下までの空間全部を占めることができ、収納容積は飛躍的に拡大する。
また、天蓋3高さ位置が下がることにより、必然的に天蓋上物品収納部5の下部位置も低位置となるので、物品収納容積が拡大するとともに、該物品収納部内への出し入れ利便性が向上し、コンロ2上の高所収納として優れたものとなる。
併せて、天蓋3の高さ位置の変化に対しては、天蓋上物品収納部5、および空気連絡通路7の高さ寸法を変更することで、厨房装置のプラン選択自由度が高まり好適なものである。
また、天蓋3と送風機ユニット4を空気連通する空気連絡通路7を天蓋上物品収納部5の後方もしくは側方に設けてあるので、天蓋上物品収納部5の収納利便性を損なうことなく空気連絡通路7を有効配置できて、天蓋3で捕集した廃気を、空気連絡通路7を経て送風機ユニット4に送ってスムーズに排出することができる。
また、天蓋3の下面を、床面から1400mm以上〜1650mm未満の高さ位置にすることが好ましい。
このような構成とすることで、天蓋上物品収納部5の下面の位置がほぼ成人女性の顔正面位置となり、天蓋3上に位置する天蓋上物品収納部5の収納利便性が向上する。
また、化粧板9が縦もしくは横方向への引き戸であることが好ましい。
このような構成とすることで、顔前の天蓋上物品収納部の開閉自在な化粧板9が、開放時に手前側に突出しない構造にでき、使用者の正面での作業快適性が向上する。ここで、化粧板9が天蓋上物品収納部5と送風機ユニット4の下部の天井30面よりも下方に位置した部分を一体的に隠蔽するもので、引き戸の場合は、引き戸の戸袋部の上部を送風機ユニット4の点検窓として利用することができる。
また、天蓋上物品収納部5に、収納ラック32が天蓋上物品収納部5内における格納位置と、天蓋上物品収納部5手前下方との間で昇降自在な昇降手段33を備えていることが好ましい。
このような構成とすることで、天蓋3の上に備えた天蓋上物品収納部5の上端を天井30面に到る又は天井30面近くまで到る高さとしても、高所の収納として利便性を付加することができる。
また、天蓋3の下面の高さと隣接する吊戸棚10の下面の高さを一致させることが好ましい。
このような構成とすることで、厨房装置6のコンロ2上方から側方の吊戸棚10にかけて全体の外観意匠性が高まる。
また、天蓋上物品収納部5が、天蓋3と送風機ユニット4とを連通する空気連絡通路7、もしくは送風機ユニット4と連通し、天蓋上物品収納部5外から天蓋上物品収納部5内を経て空気連絡通路7もしくは送風機ユニット4に到る通風構成を備えることが好ましい。
これにより、単一の送風機ユニット4を利用して天蓋上物品収納部5内の換気ができ、天蓋上物品収納部5内に臭いや熱がこもらないようにできる。
また、天蓋上物品収納部5に、収納ラック32が天蓋上物品収納部5内における格納位置と、天蓋上物品収納部5の手前下方との間で昇降自在な昇降手段33を備えていることが好ましい。
このような構成とすることで、天蓋3の上に備えた天蓋上物品収納部5の上端を天井30面に到る又は天井30面近くまで到る高さとしても、高所の収納として利便性を付加することができる。
また、天蓋上物品収納部5の天面と天井30面との間に、送風機ユニット4の点検空間34を設けることが好ましい。
このような構成とすることで、天井30内に配置する送風機ユニット4の部品をこの点検空間34に降ろせるので、保守が容易となり、また、化粧板9を開くことで、点検することができる。
また、天蓋上物品収納部5の手前上方の天井30内に送風機ユニット4を配置することが好ましい。
このような構成とすることで、送風機ユニット4の部品を天蓋上物品収納部5上方の化粧板9前方の空間に降ろして保守ができる。
また、調理台1の上面におけるコンロ2が露出する部分の側方に加熱調理機器25を載置可能とする部分を設け、コンロ2上方に位置する天蓋3の側部を、上記調理台1の上面の加熱調理機器25を載置可能とした部分の上方まで延長することが好ましい。
このような構成とすることで、コンロ2の側方の調理台1上面に載置した炊飯器、湯沸しポット、オーブン等の加熱調理機器25からの熱気や水蒸気は、従来のように室内に再循環することなく、天蓋3で捕集され送風機ユニット4を経て直接屋外にスムーズに排出することができる。
また、上記天蓋3の上方であって、送風機ユニット4もしくは天蓋上物品収納部5の側方に副物品収納部22を天蓋の上方から天井30下に渡って構成することが好ましい。
このような構成とすることで、コンロ2上方空間を物品収納として最大限活用することができる。
また、調理台1の手前に手前作業スペース11を備え、この手前作業スペース11の奥方にコンロ2の発熱体12を備え、平面視において天蓋3の前端位置を発熱体12の前端位置とコンロ天板プレート14の前端位置の間に発熱体12の前端位置の間とすることが好ましい。
このような構成とすることで、天蓋3の位置を下げても、使用者の顔前において手前に突出することがなく、調理台1手前やコンロ2での加熱調理作業において、前かがみ姿勢になっても天蓋3が邪魔にならず、また、コンロ2上方における物品収納部への収納出し入れも、収納部高さが低くなって楽な作業が行え、また、物品収納部の化粧板が、手前に開放することがなく、更に作業性が良好となる。
本発明は、厨房装置に組み込まれたコンロ上方空間について、コンロの廃気を捕集する天蓋と送風機ユニットとの間に天蓋上物品収納部を配置し、上記天蓋と送風機ユニットを空気連通させて構成させている。
これにより、天蓋と天井面との間の空間に余剰空間を生じることなく最大限有効利用して換気および物品収納空間として活用することができる。
また、送風機ユニットの大部分を天井内に配置構成することで、天蓋上から天井下の全てを物品収納空間として利用することができ、収納容積の増加に効果的である。また、天蓋上物品収納部と送風機ユニットの天井面より下方に位置する部分を一体的に隠蔽する化粧板を備えるので、コンロの上方の天蓋上に天蓋上物品収納部と送風機ユニットとを上下に多層に配置しても、コンロ上方における意匠外観性が高まる。
また、天蓋の高さ位置を下げることで、天蓋上物品収納空間は、使用者の手の届き易い位置に配置でき、厨房装置全体の収納容積も拡大し、利便性は更に好適なものとなる。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
図1乃至図6には本発明の換気装置付き厨房装置6の一実施形態を示している。床面40に設置した調理台1上にはカウンター13が設けてあり、カウンター13の一部にはコンロ2が設けてある。
添付図面に示す実施形態においては、複数のキャビネットを並設すると共に複数のキャビネットの上にカウンター13を配設して調理台1を構成してあり、上記複数のキャビネットのうちの一つがコンロ用キャビネット1aとなっている。
カウンター13はコンロ用キャビネット1aの上から側方のキャビネット1bの上にかけて連続的に配置している。ここで、カウンター13は一枚ものが連続したものであってもよく、あるいは、カウンター13が複数個に分離されているが統一的に整列配置されることで連続したものであってもよい。
コンロ2は、電磁誘導加熱調理機器、あるいはその他の電気、ガス熱源の加熱調理機器である。コンロ2は、薄箱状をした本体部16の上面にコンロ天板プレート14を設けて主体が構成してあり、カウンター13の上記コンロ用キャビネット1aに対応する部分に設けた開口部にコンロ2の主体部を嵌めつけて組み込むと共に、カウンター13部分にコンロ2のコンロ天板プレート14を露出させてある。コンロ天板プレート14には複数の発熱体12を配置している。また、カウンター13の他の部分には図示を省略しているが厨房装置6を構成するシンクが設けてある。
カウンター13の上方には換気装置15と吊戸棚10を設置している。
換気装置15はカウンター13のコンロ2を設けた部分の上方に配置してあり、該換気装置15は、コンロ廃気を捕集するための天蓋3と、天蓋上物品収納部5と、送風機ユニット4と、上記天蓋3と送風機ユニット4とを連通する空気連絡通路7と、送風機ユニット4から屋外に廃気を排出するための排気通路8とを備えて構成する。添付図面に示す実施形態においては、換気装置15に更に副物品収納部22が備えてあって、上記天蓋上物品収納部5と副物品収納部22とで、コンロ2上方空間を利用して物品を収納するコンロ上方物品収納部を構成している。
すなわち、添付図面に示す実施形態においては、コンロ2の直上方に配置される天蓋3上の左右方向に天蓋上物品収納部5と副物品収納部22とを並列配置し、天蓋上物品収納部5の上の左右方向の全巾又は一部に送風機ユニット4を配置してこの部分を三層構造としてあり、天蓋上物品収納部5の上端及び副物品収納部22の上端を天井30面に到る又は天井30面近くまで到る高さとし、送風機ユニット4の全部又は大部分を天井30内(実施形態では天井裏内空間31)に位置させるように構成したもので、これらの構成要素よりなる換気装置15を一体的に構成する。
天蓋3は、平面視でコンロ2に設けたすべての発熱体12を含めて覆う大きさのもので、図1に示すように、左右方向については、コンロ2の左右両端の各発熱体12の外側端部間の寸法をS1とし、S1に対して法定寸法を左右それぞれに付加して天蓋3巾寸法S2が、S2>S1となるように構成している。図1に示す実施形態では、天蓋3の左右両端が、コンロ2が組みこまれるコンロ用キャビネット1aの左右両端に正面視で上下方向に一致するように揃えてあり、全体としての意匠外観性が優れたものとなる。また、図2に示すように前後方向については、天蓋3の前端位置は、コンロ2の発熱体12の前端からコンロ天板プレート14の前端位置の間に、天蓋3の後端位置は、コンロ天板プレート14の後端よりも後方の厨房装置6設置壁面に接して設定されている。
上記天蓋3の下面の高さは、床面40からの高さHが概ね1400mm以上〜1650mm未満とし、成人の顔面位置となるよう配置される。実施形態では、1500mm前後の高さとしており、成人女性の平均的な顔正面位置となるように設定している。なお、男女の身長の個人差を考慮しても、1400mm以上1650mm未満の範囲に設定することで、概ね大多数の成人の顔正面に天蓋3が位置するようにすることができる。この場合、カウンター13の上面もしくはコンロ天板プレート14上面から600mm以上〜750mm未満上方なるのが好ましい。
尚、特に、コンロ2や他の加熱調理機器を取り扱う際のカウンター13の床面からの高さは一般的に使用者の身長に応じた作業姿勢の観点より、概ね800mm〜900mm前後の間で選択自在としており、このカウンター13上面から前記に示す600mm〜750mm前後の寸法を考慮して、天蓋3下面の高さは1400mm以上〜1650mm未満として使用者の選択により決定される。
天蓋3の上には前述のように前方が開口する箱状体よりなる天蓋上物品収納部5と、前方が開口する箱状体よりなる副物品収納部22とが左右方向に並列配置し、天蓋上物品収納部5及び副物品収納部22の上端は天井30面に到る又は天井30面近くまで到る高さとなっている。図1乃至図6の実施形態では天蓋上物品収納部5及び副物品収納部22の上端は天井30面のやや下方、つまり天井30面近くまで到る高さとなっている。
上記箱状体よりなる天蓋上物品収納部5の後方もしくは側方に天蓋3と送風機ユニット4とを連通する空気連絡通路7が設けてある。該空気連絡通路7は少なくとも内面が金属材料、外面は不燃材料で形成してあり、高温の廃気が流れる空気連絡通路7の周辺部材の火災安全性を高め、温度上昇を低減し、天蓋上物品収納部5の収納保管性を高めるようになっている。
図1乃至図3に示すように、天蓋上物品収納部5及び副物品収納部22を構成する各箱状体の底板と天蓋3との間には隙間26が形成してあり、また、箱状体の底板の前端と天蓋3の上面との間には前カバー28が設けてあり、前カバー28に上記隙間26と外部空間とを連通する通気孔27が設けてある。このように外気と連通する隙間26を天蓋3と、天蓋3上に配置構成される物品収納部の底板との間に設けることで、天蓋3上面からの熱気が天蓋上物品収納部5あるいは副物品収納部22側に伝わるのを防止している。また箱状体の底板又は底板下面は不燃材で構成する。
図1乃至図6に示す実施形態では、天蓋上物品収納部5を構成する箱状体の背部に空気連絡通路7を設けた例が示してあり、この例では空気連絡通路7は前後方向の奥行き寸法が短く且つ左右方向の巾寸法が長い水平断面形状をしており、これにより十分な通気量を確保しながら天蓋上物品収納部5の奥行き寸法をできるだけ長くとることができるようにしている。また、上記空気連絡通路7の左右両側部には天蓋上物品収納部支持部材17を設けている。
送風機ユニット4は前述のように天蓋上物品収納部5の上に配設されるが、送風機ユニット4の全部又は大部分が天井30内(天井裏空間31内)に配設される。図1乃至図6に示す実施形態では送風機ユニット4の大部分が天井30内に配設されるが、その一部である下部が天井30面より下方に突出している例を示している。
本実施形態では図1乃至図3に示すように上記副物品収納部22の上端部は天蓋上物品収納部5の上端より少し上方に突出して送風機ユニット4の下部の天井30面より下方に突出した部分の側方に隣接配置している。ここで、後述のように天蓋上物品収納部5、副物品収納部22の前開口には開閉自在な化粧板9を設けるが、天蓋上物品収納部5の前開口を開閉する化粧板9、副物品収納部22の前開口を開閉する化粧板9の上端の高さを揃え、外観意匠を向上させてある。
送風機ユニット4は、添付図面に示す実施形態においては、チャンバー18の上部内に送風機19を内装し、更に、送風機19に排気出口20を備えている。チャンバー18の下部は天井30面よりも下方に突出しており、送風機ユニット4の下部の天蓋上物品収納部5と天井30面との間の部分に位置する上記このチャンバー18の下部の内部空間が点検空間34となっている。
送風機19はチャンバー18内の上記点検空間34よりも上の部分(つまり、天井裏空間31内に位置する部分)に配置している。また、空気連絡通路7の上端開口がチャンバー18の下部の点検空間34に開口している。
上記チャンバー18の下部の上記点検空間34の前開口は、天蓋上物品収納部5の上方で室内空間に開口する点検口が設けてあり、該点検口を図2に示すように着脱自在な点検蓋21で覆ってある。
送風機ユニット4の排気出口20には送風機ユニット4から屋外に到る排気通路8が接続される。
本実施形態では、送風機ユニット4の大部分を天井裏空間31に配設し、その一部である下部を天井30面より下方に突出し、送風機ユニット4の下部の、天蓋上物品収納部5と天井30面との間の部分に点検空間34を設けた例を示したが、送風機ユニット4の全体を天井裏空間31に配置すると共に、天蓋上物品収納部5及び副物品収納部22を天蓋3の上から天井30面に到るまで設けてもよい。
なお、副物品収納部22は天蓋上物品収納部5よりも背の低いもの(つまり副物品収納部22の上端が天蓋上物品収納部5の上端よりも低いもの)であってもよい。
また、上記実施形態では、天蓋3の上に、上面に送風機ユニット4を配置する天蓋上物品収納部5と、副物品収納部22とを左右方向に並列配置し、天蓋上物品収納部5の左右方向の寸法と副物品収納部22の左右方向の寸法の合計が天蓋3の左右方向の寸法と等しい例を示したが、天蓋上物品収納部5の左右方向の寸法と副物品収納部22の左右方向の寸法の合計が天蓋3の左右方向の寸法より短くてもよい。
また、上記例では天蓋3の上に、上面に送風機ユニット4を配置する天蓋上物品収納部5と、副物品収納部22とを左右方向に並列配置して、天蓋上物品収納部5と副物品収納部22とで、コンロ2上方空間を利用して物品を収納するコンロ上方物品収納部を構成した例を示したが、天蓋3の上に、副物品収納部22を配置することなく、上面に送風機ユニット4を配置する天蓋上物品収納部5のみを配置してもよい。この場合、天蓋3の上に配置する天蓋上物品収納部5の左右方向の寸法が、天蓋3の左右方向の寸法と同じであっても、又は短くてもよい。
天蓋上物品収納部5の左右方向の寸法が天蓋3の左右方向の寸法より短い場合、天蓋上物品収納部5は、正面視において天蓋3の左右方向の一端側、あるいは、中央部(第2の実施形態に示す)位置のいずれの位置に配置してもよい。
いずれにせよ、本発明は、天蓋3の上に天蓋上物品収納部5を配置し、天蓋上物品収納部5の上に送風機ユニット4を配置して、上下三層構造となったものである。そして、本発明は前述のように、天蓋3の高さを床面40から1400mm〜1500mm前後の成人の顔面高さに位置するように設定して、従来に比べて天蓋3の配置位置を低くすることで、天蓋上物品収納部5の高さ寸法が拡大することで、天蓋上物品収納部5の収容容積を大きく確保することができ、また、使用者が天蓋3の上の天蓋上物品収納部5の下部への物品の出し入れを容易に行うことができ、収納作業利便性を向上し、加えて、従来例のように、送風機ユニット4に余剰空間を生じさせることもなく、空間活用性は高い。
しかも、送風機ユニット4が、大部分天井30内に内蔵構成されており、天蓋上物品収納部5は、天蓋3上空間のほぼ全てを利用することができ、コンロ上空間の物品収納容積としては、極めて優れたものである。
天蓋上物品収納部5及び副物品収納部22にはそれぞれ前開口を遮蔽自在とする化粧板9が設けてある。図1乃至図6に示す実施形態では天蓋上物品収納部5を遮蔽自在とする化粧板9は天蓋上物品収納部5と送風機ユニット4の下部の前面を一体的に隠蔽する構成となっている。このように天蓋上物品収納部5と送風機ユニット4の下部とを一体的に隠蔽する化粧板9を設けることで、コンロ2上方における意匠外観性を高めることができる。
なお、送風機ユニット4の下部には、送風機19等の点検空間34を設け、この点検空間34の前面は、点検口として点検蓋21で覆って構成している。
従って、点検蓋21を開け、点検空間34を開放し、送風機19等を取り外して点検空間34に降ろし、点検口から手前に取り出して保守、点検を行うことができる。この場合、天蓋上物品収納部5内に収納した物品を取り出すことなく、保守、点検が容易に行える。
もちろん、天蓋上物品収納部5の前開口のみを開閉自在な化粧板9で遮蔽し、送風機ユニット4の点検空間34の前面を遮蔽する別の化粧板と一体に構成された点検蓋21を露出するように着脱自在に取付けてもよい。
化粧板9は引き戸、開き戸、折り戸等種々の開閉形態のものが採用できるが、縦(上下)もしくは横(左右)方向への引き戸とするのが好ましい。
この図1乃至図6には図示してないが、化粧板9を縦(上下)もしくは横(左右)方向の引き戸により構成してもよい。このように化粧板9を縦もしくは横方向の引き戸で構成すると、化粧板9を開いた際に化粧板9が天蓋上物品収納部5や副物品収納部22の前方に突出することがなく、前述のように天蓋上物品収納部5及び副物品収納部22を天蓋3の上に配設して天蓋上物品収納部5及び副物品収納部22の下端部がほぼ成人女性の顔正面に位置するような位置にしたにも係らず、化粧板9を開いた際に顔正面に向けて化粧板9が突出することがなく、天蓋上物品収納部5及び副物品収納部22の使い勝手が向上することになる。
本実施形態では図1に示すように、天蓋3の下面の高さと隣接する吊戸棚10の下面の高さを一致させた例を示している。天蓋3の下面の高さと隣接する吊戸棚10の下面の高さを一致させることで、厨房装置6のコンロ上方空間全体の意匠外観性が優れたものとなる。
また、前述の天蓋3高さ位置の低減により、コンロ上の物品収納部の下端が全て従来に比べて低位置とすることができ、収納容積の拡大、高所への物品出し入れ作業性ともに厨房装置6として、大幅に性能向上したものとなる。
なお、本発明においては、コンロ用キャビネット1aの側方上方の吊戸棚10の下面高さを、天蓋3の下面高さと一致させたものとしたが、天蓋3の下面高さに対して、隣接する吊戸棚10の下面位置の高さは任意に設定されてもよい。
本実施形態においては、天蓋上物品収納部5が、天蓋3と送風機ユニット4とを連通する空気連絡通路7、もしくは送風機ユニット4と連通し、天蓋上物品収納部5外から天蓋上物品収納部5内を経て空気連絡通路7もしくは送風機ユニット4に到る通風構成を備えてある。
すなわち、図2に示す例では天蓋上物品収納部5と送風機ユニット4のチャンバー18とを連通部23で連通してあり、また、天蓋上物品収納部5と外部空間とを通気入口(図示せず)により連通している。通路入口としては例えば図示を省略しているが化粧板9にガラリを設けることで形成する。
そして、送風機19を運転することで、天蓋3で捕集した廃気を、空気連絡通路7、送風機ユニット4のチャンバー18、送風機19、排気出口20、排気通路8という経路を経て屋外に排出する際、天蓋上物品収納部5内の空気が連通部23からチャンバー18内に吸われ、廃気と共に屋外に排出される。これにより通気入口から外部の新鮮な空気が天蓋上物品収納部5内に供給され、天蓋上物品収納部5が換気されることになり、したがって、天蓋上物品収納部5内に臭いや熱がこもらないようにできる。
なお、副物品収納部22も天蓋上物品収納部5と同様に上記のように、天蓋3と送風機ユニット4とを連通する空気連絡通路7、もしくは送風機ユニット4と連通し、副物品収納部22外から副物品収納部22内を経て空気連絡通路7もしくは送風機ユニット4に到る通風構成を備えてもよい。
コンロ2は前述のように調理台1の上面のカウンター13の一部に設けるのであるが、図2、図4乃至図6に示すように、カウンター13のコンロ2を設けた部分の手前側の部位は手前作業スペース11となっており、コンロ2がこの手前作業スペース11の奥側に位置している。つまり、カウンター13上面のコンロ2を設けた部分においては、コンロ天板プレート14の前端とカウンター13の前端との間が手前作業スペース11となっている。
このように手前作業スペース11の奥側にコンロ2を設けることで、必然的にコンロ2に設けた発熱体12もカウンター13の奥側に位置することになる。
本実施形態においては、このように手前作業スペース11を設け、さらに、平面視において天蓋3の前端位置がコンロ天板プレート14の前端と発熱体12の前端の間に位置することで(図2、図6参照)、天蓋3の前端をできるだけ奥側に位置させることができ、天蓋3が成人女性の顔正面の高さ位置となっていても、上記手前作業スペース11で作業を行う際や、コンロ調理作業を行う際の前かがみ作業姿勢に対しても天蓋3が邪魔にならず、また、天蓋上物品収納部5及び副物品収納部22への物品の収納、取出し作業は天蓋3の前端の突出が障害となることなく容易に行えることになる。
ここで、天蓋3の前端が天蓋上物品収納部5及び副物品収納部22の化粧板9と前後方向において揃っていると厨房装置6全体としての意匠外観性が優れたものとなる。
もちろん、図2、図3に示すように、天蓋3の前端が化粧板9よりも少し前方に突出していてもよいが、この場合も、前述のように、手前作業スペース11を設けることで奥側にずれて位置する発熱体12の前端に、天蓋3の前端が平面視で一致又は天蓋3の前端が発熱体12全体より少し前に位置するようにすることで、天蓋3の前方への突出量が少なくなるので、厨房装置6全体としての意匠外観性が優れたものとなる。
次に、図7乃至図12に基づいて本発明の他の実施形態を説明する。
本実施形態は前述の図1乃至図6に示す実施形態と基本的構成は同じであり、同じ構成の説明は重複するので省略し、異なる構成についてのみ説明する。
本実施形態においては、図7、図10乃至図12に示すように、調理台1の上面におけるコンロ2が露出する部分の側方に加熱調理機器25を載置可能とする部分を設け、コンロ2上方に位置する天蓋3の側部を、上記調理台1の上面の加熱調理機器25を載置可能とした部分の上方まで延長した構成となっており、また、本実施形態においては、送風機ユニット4の大部分を天蓋上物品収納部5よりも上方で且つ前方の天井裏空間31に配置している。
すなわち、調理台1上面のカウンター13におけるコンロ2の露出する部分であるコンロ天板プレート14の側方に隣接した部位が、炊飯器、湯沸しポット、オーブン等の加熱調理機器25を載置することを可能とする加熱調理機器載置可能部13aとなっており、コンロ2上方に位置する天蓋3の側部をこの加熱調理機器載置可能部13aの上方まで延長している。この天蓋3の側部に延長した部分が側部延長天蓋部3aとなっており、図7に示す実施形態では、天蓋3の側部が、コンロ用キャビネット1aの側端の上方位置から、該コンロ用キャビネット1aの側方に隣接するキャビネット1bの左右方向の所定位置の上方に到るように側部延長天蓋部3aを延長している。
本実施形態においては、図7、図9乃至図11に示すように上記天蓋3の側部延長天蓋部3aの上には更に副物品収納部22が配設してあって、該副物品収納部22の下面が上記側部延長天蓋部3aにより覆ってある。つまり、本実施形態では、換気装置15が、側部延長天蓋部3aを備えた天蓋3と、送風機ユニット4と、天蓋上物品収納部5と、天蓋上物品収納部5の一方の側方に配置される副物品収納部22と、天蓋上物品収納部5の他方の側方に配置される副物品収納部22と、上記天蓋3と送風機ユニット4とを連通する空気連絡通路7と、送風機ユニット4から屋外に廃気を排出するための排気通路8を備えることで構成してあって、これらの構成要素よりなる換気装置15を一体的に構成している。
もちろん、本発明において、上記のように天蓋3の側部を延長して側部延長天蓋部3aを設けたものにおいて、側部延長天蓋部3aの上に副物品収納部22を設けない場合であってもよい。
また、側部延長天蓋部3aを設けた天蓋3の上に天蓋上物品収納部5のみを設けたものであってもよい。
また、側部延長天蓋部3aを設けた天蓋3の上に天蓋上物品収納部5を設けるに当たり、上に送風機ユニット4を配置する天蓋上物品収納部5の左右方向の一部が側部延長天蓋部3a上に跨って位置するようにしてもよい。
そして、本実施形態においては、上記のようにコンロ2上方に位置する天蓋3の側部を、カウンター13におけるコンロ2が露出する部分の側方の加熱調理機器載置可能部13aの上方まで延長しているので、前述の実施形態と同様に、コンロ2部分で発生した廃気を天蓋3で捕集して送風機ユニット4により屋外に排出できるのはもちろんのこと、天蓋3の側方に延長された側部延長天蓋部3aにより、側部延長天蓋部3aの真下の加熱調理機器載置可能部13aに炊飯器、湯沸しポット、オーブン等の加熱調理機器25を設置して使用した場合、加熱調理機器25で発生した熱気や水蒸気を捕集して送風機ユニット4を経て屋外に直接排出することができる。この場合、更に、天蓋3が上記のようにコンロ天板プレート14から600mm〜750mm上方位置となっているので、加熱調理機器25からの熱気や水蒸気を天蓋3に集めて捕集するのに十分な上方距離が担保されることになる。
したがって、カウンター13のコンロ2の側方に隣接する加熱調理機器載置可能部13a上に載置した炊飯器、湯沸しポット、オーブン等の加熱調理機器25から発生する熱気や水蒸気で吊戸棚10の下面の温度上昇や、水蒸気による結露の付着といった現象を防止できる。
また、本実施形態においては送風機ユニット4の大部分を天蓋上物品収納部5よりも上方で且つ前方の天井裏空間31に配置している。つまり、この実施形態では、図8に示すように、送風機ユニット4の外郭は、送風機19を収納したチャンバー18とチャンバー18の後部の下部から後方に突出する連通用ダクト部18aとで構成してあり、送風機19を内装したチャンバー18を、天蓋上物品収納部5の上方位置で且つ天井裏空間31内の天蓋上物品収納部5よりも手前側に配置している。
連通用ダクト部18aは天蓋上物品収納部5の上部に配置され、前端部が上記送風機19を収納したチャンバー18に連通し、後端下面に空気連絡通路7の上端が開口して連通している。
上記チャンバー18の下面部は点検口となっており、また、天井30面の天蓋上物品収納部5の化粧板9の手前の部位の上記点検口と対向する位置は開口となっていて、該開口に上記点検口が臨み、点検口に着脱自在に取付ける点検蓋21が上記天井30面の開口を塞いでいる。
そして、点検蓋21を取り外すと、天井30面に点検口が開口するので、チャンバー18内の送風機19や送風機19の部品等を取り外して点検口から降ろし、保守、点検を行うことができる。この実施形態においては、天蓋上物品収納部5の化粧板9を開けることなく、送風機ユニット4の保守、点検ができる。
本実施形態においては、天蓋上物品収納部5は下部収納部5aと上部収納部5bとに上下に分割している。そして、該下部収納部5aの前開口と上部収納部5bの前開口とを覆う化粧板9が上下方向の引き違い戸となっている。この上下2枚の引き違い戸よりなる化粧板9の一方を下に、他方を上に位置させた状態で、天蓋上物品収納部5の下部収納部5aと上部天蓋上物品収納部5bの各開口を閉じる。また、上下2枚の引き違い戸よりなる化粧板9の他方を上に位置させたまま一方を上に引き上げることで、下部収納部5aの前開口を開き、下部収納部5bに物品の出し入れができる。この場合、下部収納部5aの下端部が成人女性の顔正面高さに位置するので収納利便性が優れている。また、上下2枚の引き違い戸よりなる化粧板9の一方を下に位置させたまま他方を下に引き下げると、上部収納部5bの前開口を開き、上部収納部5bに物品の出し入れができる。
本実施形態では、上部収納部5bに、収納ラック32を格納している。該収納ラック32は昇降手段33により上部収納部5b内における格納位置と、上部収納部5bの手前下方との間で昇降自在となっており、上部収納部5bの上端が天井30面に到る又は天井30面近くまで到る高さになっていても、収納ラック32を手前下方に降下させて物品の出し入れが容易にでき、高所の収納であっても収納性に優れたものとなっている。
また、本実施形態においては、図10、図11に示すように、複数の副物品収納部22の前開口はそれぞれ一枚の開き戸よりなる化粧板9により前開口を覆ってある。
上記天蓋3の側部延長天蓋部3aが下面を覆っている副物品収納部22の隣には、図7に示すように更に吊戸棚10が隣接して配設されるものであり、この吊戸棚10の下面は天蓋3の下面と高さが一致していて、厨房装置6全体としての統一感を現出して意匠外観性が優れたものとしている。