JP4940686B2 - 液体移送装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体に圧力を付与して移送する液体移送装置に関する。
ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッド等の液体移送装置には、液体流路が形成された流路ユニットと、流路ユニット内の液体に移送エネルギーを付与する圧電アクチュエータとを備えているものがある。例えば、特許文献1の特開平11−334087号公報(図3)に記載のインクジェットヘッドにおいては、流路ユニット(基板)には、それぞれがノズル及びマニホールド(共通通路)に連通した複数の圧力室(加圧室)が形成されている。また、圧電アクチュエータは、流路ユニットの複数の圧力室を覆うように配置された金属製の振動板と、この振動板の表面に形成されたチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電層と、この圧電層の表面に複数の圧力室に夫々対応して形成された複数の上部電極(個別電極)とを含む、いわゆる、ユニモルフ型の圧電アクチュエータである。
そして、圧電アクチュエータの複数の上部電極に対して選択的に駆動電圧が供給されると、上部電極と金属製の振動板との間に挟まれた圧電層の部分(駆動部)に対してその厚み方向に電界が作用して駆動部が伸縮し、この駆動部の伸縮変形に伴って圧力室と対向する領域の振動板が撓んで、圧力室内のインクに圧力が付与される。
特開平11−334087号公報(図3)
しかし、前述の特許文献1の特開平11−334087号に記載されているような圧電アクチュエータにおいては、圧力室に対向する領域(特に、駆動部の周囲の領域)における振動板の剛性が高いと、圧力室に対向する領域全体で振動板が変形しにくくなる。その場合には、圧力室内のインクに所定の圧力を付与するためには個別電極に高い電圧を印加する必要があり、圧電アクチュエータの消費電力が大きくなる。また、駆動部の周囲における振動板の剛性が高いと、ある圧力室に対向する圧電層及び振動板の部分が変形したときに、この変形が、隣接する別の圧力室に対向する圧電層及び振動板の部分まで伝播する現象、いわゆる、クロストークが生じる。この場合には、複数の圧力室の駆動パターン(複数の個別電極への電圧印加パターン)によって、振動板の、各圧力室を覆っている部分の変形量が変動する。そうなると、液滴速度や液滴体積等のインクの吐出特性が変動してしまうため、印字品質が低下することになる。
本発明の目的は、駆動効率が向上し、かつ、クロストークが抑制された圧電アクチュエータを提供することと、圧電アクチュエータの駆動効率向上とクロストーク抑制の両方を実現可能な液体移送装置を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の第1の態様に従えば、平面に沿って配置された複数の圧力室を含む流路ユニットと、前記流路ユニットの一表面に配置され、前記圧力室の容積を変化させてその内部の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータとを備え、前記圧電アクチュエータは、前記複数の圧力室を覆う振動板、前記振動板の前記圧力室と反対側に配置された圧電層、前記平面に直交する方向から見て前記複数の圧力室の中央部と重なる領域に夫々配置された複数の個別電極、及び、前記複数の個別電極との間で前記圧電層を挟む共通電極を有し、前記振動板の前記圧力室側の面の、前記平面に直交する方向から見て、前記個別電極と前記共通電極の両方と重なる領域よりも外側の領域にそれぞれ溝が形成され、且つ、前記振動板の前記圧力室と反対側の面は平面状であり、さらに、各溝は、前記平面に直交する方向から見て、前記圧力室の縁よりも内側にあり、且つ、前記圧力室の縁に沿って環状に形成され、前記複数の個別電極と、これら複数の個別電極にそれぞれ接続された複数の配線部とが、同一面上に配置され、前記平面に直交する方向から見て、各配線部は、対応する前記個別電極から環状の前記各溝の外側の領域へ前記各溝を跨いで延びている液体移送装置が提供される。
本発明の液体移送装置において、ある個別電極に対して駆動電圧が印加されると、この個別電極と共通電極との間に位置する圧電層の部分(駆動部)には、分極方向である厚み方向に平行な電界が生じる。すると、この駆動部が厚み方向に伸びて面と平行な方向に縮み、この駆動部の変形に伴って振動板が変形することから、この個別電極に対応する圧力室の容積が変化してその内部の液体に圧力が付与される。
ここで、振動板の圧力室側の面の、各個別電極と共通電極の両方と重なる領域よりも外側の領域(駆動部の外側の領域)には溝、例えば各圧力室の縁に沿って延びる溝、が形成されている。従って、各駆動部の周囲の領域において振動板の剛性が他の部分に比べて低下している。そのため、例えば各溝が各圧力室の縁よりも内側にある場合には、駆動部が変形したときに振動板がより変形しやすくなり、圧電アクチュエータの駆動効率が向上する。また、駆動部の外側の領域において振動板の剛性が低下していることから、ある圧力室に対向する圧電層の部分が変形した場合に、この変形が、隣接する別の圧力室に対向する圧電層及び振動板の部分に伝播しにくくなり、クロストークが抑制される。
また、振動板の圧力室側の面に溝が形成されているため、溝が形成されていない振動板の表面(圧力室と反対側の面)は凹凸のない平面状になり、配線部を自由に引き回すことが可能になる。つまり、振動板に溝を形成することにより、振動板表面における配線部の配置自由度を狭めることなく、各個別電極に接続された各配線部を、各溝を跨いで溝の外側(各圧力室の外側)の領域まで容易に延ばすことができる。
本発明の液体移送装置において、前記各溝は、切れ目のない環状に形成されていてもよい。この場合には、振動板の、各圧力室の縁に沿う環状の部分全体の剛性が低下するため、振動板がより変形しやすくなり、圧電アクチュエータの駆動効率がさらに向上する。
本発明の液体移送装置において、前記振動板は、互いに異なる金属材料で形成された積層状の第1金属材料層及び第2金属材料層を有し、第2金属材料層が前記複数の圧力室を覆うように前記流路ユニットに配置されており、第2金属材料層の前記圧力室側の面には、各圧力室の縁に沿って延びる各貫通穴が切れ目のない環状に形成され、この第2金属材料層の各貫通穴が第1金属材料層により塞がれて、前記各溝が形成されていてもよい。
互いに異なる金属材料で形成された2つの金属材料層が積層した状態で、第2金属材料層だけをエッチングして(選択エッチング)、第2金属材料層に貫通穴を形成すると、貫通穴が第1金属材料層で塞がれて溝となる。そのため、1種類の金属材料からなる振動板にハーフエッチングで所定深さの溝を形成する場合と比較して、深さ方向に精度の高い溝を容易に形成することができる。
本発明の液体移送装置において、第2金属材料層は、所定のエッチング液によりエッチング可能な金属材料からなり、第1金属材料層は、前記所定のエッチング液によりエッチングされない金属材料からなっていてもよい。この場合には、第2金属材料層にエッチングにより貫通穴を形成する際に、第1金属材料層はエッチングされることがないため、エッチング速度等の他のエッチング条件等を調整することなしに、第2金属材料層のみに環状の貫通穴を形成することができる。
本発明の液体移送装置において、前記各溝は、前記各圧力室の縁側の部分ほど深く形成されていてもよい。この場合には、流路ユニットと接合されている部分の近傍において振動板の厚さが最も薄くなることから、振動板がより変形しやすくなり、圧電アクチュエータの駆動効率が向上する。
本発明の液体移送装置において、前記各溝は、前記各圧力室側ほど広がるテーパー状の断面形状を有してもよい。この場合には、各溝の隅部の角度が90度より大きくなり、この隅部に気泡が溜まりにくくなる。
本発明の液体移送装置において、前記流路ユニットは、前記複数の圧力室と連通する共通液室を有し、前記振動板に形成された前記各溝の一部と前記流路ユニットの一表面との間に、前記共通液室と前記各圧力室との間において流路断面積が部分的に狭くなる絞り流路が形成されていてもよい。共通液室と各圧力室との間に設けられる絞り流路は、各圧力室で発生した圧力波を共通液室へ伝播しにくくなるように流路を絞るためのものであるが、この絞り流路の流路断面積は、圧力室内における圧力波の伝播、ひいては、液体の移送量等に大きな影響を及ぼすため、絞り流路は精度よく形成される必要がある。ここで、絞り流路は、溝の一部と流路ユニットの一表面との間に形成されることから、振動板に溝を形成することにより、絞り流路をも同時形成することができることになる。従って、精度よく形成する必要のある絞り流路を、溝とは別にハーフエッチング等により形成する場合に比べて製造工程を簡略化でき、歩留まりも向上する。
本発明の液体移送装置において、前記流路ユニットは、前記複数の圧力室を含む流路が形成された積層状の複数枚のプレートからなり、これら複数枚のプレートのうちの1枚には、前記複数の圧力室と、前記共通液室と前記複数の圧力室とを連通させる流路の少なくとも一部となる複数の貫通孔と、前記各圧力室と前記各貫通孔とを隔てる各隔壁部とが形成され、前記各隔壁部の前記振動板側の面は、前記各溝の一部と対向してこの溝との間に前記絞り流路を形成し、さらに、前記各隔壁部の前記各圧力室に面する側面は、前記各圧力室の前記振動板に対向する面に対して90度を超える角度で傾斜していてもよい。これによれば、絞り流路から各圧力室内へ液体がスムーズに導入され、各圧力室の振動板に対向する面と、隔壁部の側面とで形成される隅部に気泡が停留しにくくなるため、より安定した液体移送が可能となる。
本発明の第1実施形態について説明する。この第1実施形態は、液体移送装置として、ノズルから記録用紙にインクを吐出するインクジェットヘッドに本発明を適用した一例である。
まず、インクジェットヘッド1を備えたインクジェットプリンタ100について簡単に説明する。図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、図1の左右方向に移動可能なキャリッジ101と、このキャリッジ101に設けられて記録用紙Pに対してインクを噴射するシリアル式のインクジェットヘッド1と、記録用紙Pを図1の前方へ搬送する搬送ローラ102を備えている。インクジェットヘッド1は、キャリッジ101と一体的に左右方向(走査方向)へ移動して、その下面のインク吐出面に形成されたノズル20(図6〜図8参照)の出射口から記録用紙Pに対してインクを噴射する。そして、インクジェットヘッド1により記録された記録用紙Pは、搬送ローラ102により前方(紙送り方向)へ排出される。
次に、インクジェットヘッド1について図2〜図5を参照して詳細に説明する。
図2〜図5に示すように、インクジェットヘッド1は、圧力室14を含む個別インク流路21(図4参照)が形成された流路ユニット2と、この流路ユニット2の上面に配置された圧電アクチュエータ3とを備えている。
まず、流路ユニット2について説明する。図4、図5に示すように、流路ユニット2はキャビティプレート10、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及びノズルプレート13を備えており、これら4枚のプレート10〜13が積層状態で接合されている。このうち、キャビティプレート10、ベースプレート11及びマニホールドプレート12はステンレス鋼製の板であり、これら3枚のプレート10〜12に、後述するマニホールド17や圧力室14等のインク流路をエッチングにより容易に形成することができる。また、ノズルプレート13は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂材料により形成され、マニホールドプレート12の下面に接着される。あるいは、このノズルプレート13も、3枚のプレート10〜12と同様にステンレス鋼等の金属材料で形成されていてもよい。
図2〜図5に示すように、キャビティプレート10には、平面に沿って配列された複数の圧力室14が形成されており、これら複数の圧力室14は、後述の振動板30側(図4、図5の上方)へ開口している。また、複数の圧力室14は、紙送り方向(図2の上下方向)に2列に配列されている。各圧力室14は、平面視で走査方向(図2の左右方向)に長い、略楕円形状に形成されている。図3、図4に示すように、各圧力室14は、ともに円形の平面形状を有するインク流入口14aとインク流出口14bとを有し、これらインク流入口14a及びインク流出口14bは各圧力室14の長手方向両端部に夫々配置されている。
図3、図4に示すように、ベースプレート11の、平面視で各圧力室14のインク流入口14a及びインク流出口14bと重なる位置には、夫々連通孔15,16が形成されている。また、マニホールドプレート12には、紙送り方向(図2の上下方向)に延びるマニホールド17が形成されている。また、図2〜図4に示すように、マニホールド17は、平面視で、左側に配列された各圧力室14の左半分、及び、右側に配列された各圧力室14の右半分と夫々重なるように配置されている。そして、このマニホールド17は、後述の振動板30に形成されたインク供給口18が接続されており、インクタンク(図示省略)からインク供給口18を介してインクが供給される。また、マニホールドプレート12の、平面視で複数の圧力室14のマニホールド17と反対側の端部と重なる位置には、夫々、複数の連通孔16に連なる複数の連通孔19も形成されている。さらに、ノズルプレート13の、平面視で複数の連通孔19に夫々重なる位置には、複数のノズル20が夫々形成されている。これらのノズル20は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂の基板にエキシマレーザー加工を施すことにより形成される。
そして、図4に示すように、マニホールド17は各連通孔15を介して各圧力室14のインク流入口14aに連通し、さらに、各圧力室14のインク流出口14bは、連通孔16,19を介してノズル20に連通している。このように、流路ユニット2内には、マニホールド17から各圧力室14を経て各ノズル20に至る個別インク流路21が形成されている。
次に、圧電アクチュエータ3について説明する。図2〜図5に示すように、圧電アクチュエータ3は、流路ユニット2の上面に配置された振動板30と、この振動板30の上面(圧力室14と反対側の面)に形成された圧電層31と、この圧電層31の上面に複数の圧力室14に夫々対応して形成された複数の個別電極32とを備えている。
振動板30は、平面視で略矩形状の金属材料からなる板であり、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、あるいは、チタン系合金などからなる。この振動板30は、キャビティプレート10の上面に複数の圧力室14を覆うように配設され、キャビティプレート10の上面に接合されている。また、金属製の振動板30は導電性を有しており、この振動板30と個別電極32との間に挟まれた圧電層31に電界を作用させる共通電極を兼ねている。
図3〜図5に示すように、振動板30の下面(圧力室14側の面)には、平面視で(圧力室14が配置された平面に直交する方向から見て)、各圧力室14の縁よりも内側で、且つ、各個別電極32(及び共通電極としての振動板)と重なる領域の外側において、各圧力室14の縁に沿ってほぼ同じ幅で延びる溝40が切れ目のない環状に形成されている。そして、この溝40が形成された部分においては、振動板30の厚さが他の部分よりも薄くなっており、振動板30の剛性が部分的に低下している。この溝40は、ハーフエッチングやプレス加工等の種々の加工方法を用いて形成することができる。また、図4、図5に示すように、溝40は、各圧力室14側(下側)ほど広がるテーパー状の断面形状を有する。そのため、溝40の隅部の角度が90度より大きくなっており、溝40の隅部には気泡が滞留しにくくなっている。ここで、溝40は、例えば、エッチング速度等の加工条件を調整することにより、その隅部の角度が所望の角度となるように形成することができる。尚、溝40は振動板30の下面に形成されていることから、振動板30の上面は凹凸のない平面となっている。
振動板30の上面には、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電層31が配置されている。図2〜図5に示すように、この圧電層31は、凹凸のない平面状の振動板30の上面において、複数の圧力室14に亙って連続的に形成されている。ここで、圧電層31は、例えば、非常に小さな圧電材料の粒子を基板に吹き付けて高速で衝突させ、基板に堆積させるエアロゾルデポジション法(AD法)を用いて形成することができる。あるいは、スパッタ法、化学蒸着法(CVD法)、ゾルゲル法、あるいは、水熱合成法などにより形成することもできる。
圧電層31の上面には、圧力室14よりも一回り小さい楕円形の平面形状を有する複数の個別電極32が形成されている。これら複数の個別電極32は、平面視で、対応する圧力室14の中央部に重なる位置に夫々形成されている。また、個別電極32は金、銅、銀、パラジウム、白金、あるいは、チタンなどの導電性材料からなる。さらに、圧電層31の上面には、複数の個別電極32のマニホールド17側の端部から、それぞれ、個別電極32の長手方向(図2の左右方向)と平行に延びる複数の配線部35も形成されている。これら複数の個別電極32及び複数の配線部35は、例えば、スクリーン印刷、スパッタ法、あるいは、蒸着法等により形成することができる。
複数の配線部35には、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)等の可撓性を有する配線部材(図示省略)が接合され、図4に示すように、配線部材を介してドライバIC37と電気的に接続されている。そして、ドライバIC37から配線部35を介して複数の個別電極32に対して選択的に駆動電圧が供給される。
ところで、各圧力室14と重なる領域において振動板30は流路ユニット2(キャビティプレート10)に接合されておらず、撓みやすくなっている。そのため、各配線部35が、各圧力室14の外側の領域まで延びていない場合には、FPC等の配線部材の端子と各配線部35とを半田等により接続する際に、配線部材を各配線部35に十分に押しつけることができず、その電気的接続の信頼性が低下する虞がある。そこで、本実施形態の圧電アクチュエータ3においては、図2、図3に示すように、各個別電極32に接続された各配線部35は、平面視で、各圧力室14のインク流入口14a(連通孔15)と重なる領域において、環状の溝40を跨いでこの溝40の外側の領域(各圧力室14外の領域)まで延びている。この溝40の外側の領域においては、振動板30が流路ユニット2に接合されているために、配線部材を各配線部35に十分に押しつけることができ、配線部材と各配線部35とを確実に接続することができる。
次に、圧電アクチュエータ3の作用について説明する。複数の個別電極32に対してドライバIC37から選択的に駆動電圧が印加されると、駆動電圧が供給された圧電層31上側の個別電極32とグランド電位に保持されている圧電層31下側の共通電極としての振動板30の電位が異なる状態となり、個別電極32と振動板30の間に挟まれた圧電層31の部分(駆動部31a)に上下方向の電界が生じる。すると、この駆動部31aの圧電層31がその分極方向である上下方向と直交する水平方向に収縮する。このとき、この駆動部31aの圧電層31の収縮に伴って振動板30が圧力室14側に凸となるように変形するため、圧力室14内の容積が減少して圧力室14内のインクに圧力が付与され、圧力室14に連通するノズル20からインクの液滴が吐出される。
ところで、前述したように、振動板30の下面(圧力室14側の面)の、各個別電極32(及び、共通電極としての振動板30の上面)と重なる領域、即ち、振動板30を変形させる圧電層31の各駆動部31aと重なる領域よりも外側の領域には、図2〜図4に示すように、各圧力室14の縁に沿って延びる溝40が切れ目のない環状に形成されている。つまり、各駆動部31aを取り囲む環状領域において、振動板30の厚さが他の部分に比べて薄くなっている。ここで、板材の曲げ剛性は板厚の3乗に比例するため、溝40が形成された部分の振動板30の剛性は、溝40が形成されていない他の部分に比べて低下することになる。従って、個別電極32に駆動電圧が印加されて駆動部31aが変形したときに、その周囲の振動板30がより変形しやすくなるため、個別電極32に印加される駆動電圧を低くすることができ、圧電アクチュエータ3の駆動効率が向上する。また、個別電極32に駆動電圧を供給するドライバIC37やFPC等の電装系統のコストを低減することが可能になる。また、溝40は、各圧力室14の縁に沿って全周に亙って切れ目のない環状に形成されている。そのため、振動板30の、各圧力室14の縁に沿う環状の部分全体の剛性が確実に低下して、振動板30がより変形しやすくなることから、圧電アクチュエータ3の駆動効率がさらに向上する。
また、この第1実施形態の圧電アクチュエータ3のような、圧電層31が複数の圧力室14に亙って連続的に形成されている圧電アクチュエータにおいては一般に、ある圧力室14に対向する圧電層31の駆動部31aが変形したときに、隣接する別の圧力室14に対向する圧電層31の部分及び振動板30の部分まで、この駆動部31aの変形が伝播する現象(いわゆる、クロストーク)が特に生じやすい。しかし、本実施形態の圧電アクチュエータ3においては、前述のように、溝40が形成された、駆動部31aを取り囲む環状領域全体において、振動板30の剛性が低下していることから、ある駆動部31aの変形が周囲の圧力室14へ伝播しにくくなり、クロストークが確実に抑制される。
また、溝40は、振動板30の圧力室14側の面に形成されているため、振動板30の上面は凹凸のない平面状になっている。そのため、振動板30の上面に、AD法等を用いて圧電層31を形成したときに、この圧電層31の上面に凹凸が生じにくくなる。つまり、凹凸の少ない圧電層31の上面に配線部35を自由に引き回すことが可能になり、振動板30に溝40が形成されることにより、配線部35の配置自由度が狭められない。従って、複数の個別電極32に夫々接続された複数の配線部35を、溝40を跨いでこの溝40の外側の領域まで延びるように形成することが容易になる。
次に、前記第1実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
<第1変更形態>
圧電層が、振動板30の上面において複数の圧力室14に亙って連続的に形成されている必要は必ずしもなく、図6、図7に示すように、振動板30の上面の、複数の圧力室14に夫々重なる位置に、複数の圧電層31Aが個々に形成されていてもよい。
<第2変更形態>
図8に示すように、振動板30Bが、互いに異なる金属材料からなる積層状の2つの金属材料層(第1金属材料層41及び第2金属材料層42)を有するもの(クラッド材)であってもよい。第2金属材料層42は、キャビティプレート10に形成された複数の圧力室14を覆うように流路ユニット2に配置され、さらに、この第2金属材料層42の表面に第1金属材料層41が配置されている。そして、第2金属材料層42には、各圧力室14の縁に沿って延びる各貫通穴42aが切れ目のない環状に形成され、この第2金属材料層42の各貫通穴42aが第1金属材料層41により塞がれて、各溝40Bが形成されている。
そして、第1金属材料層41と第2金属材料層42とが積層した状態で、第2金属材料層42にエッチング(フルエッチング)で貫通穴42aを形成することにより、振動板30Bに溝40Bを形成することができる。ここで、第2金属材料層42のエッチングの際に、第1金属材料層41がエッチングされることのないように、第1金属材料層41は、第2金属材料層42のエッチング液によりエッチングされない金属材料からなることが好ましい。例えば、第1金属材料層41をチタンで形成する一方で、第2金属材料層42をステンレス鋼やアルミニウム等で形成し、第2金属材料層42を塩化第二鉄(FeCl3)エッチング液でエッチングすれば、第1金属材料層41はエッチングされず、ステンレス鋼やアルミニウム等からなる第2金属材料層42のみがエッチングされて貫通穴42aが形成される。また、逆に、第1金属材料層41をステンレス鋼やアルミニウム等で形成する一方で、第2金属材料層42をチタンで形成し、第2金属材料層42をフッ化水素酸(HF)エッチング液でエッチングすれば、第1金属材料層41はエッチングされず、チタン製の第2金属材料層42のみがエッチングされて貫通穴42aが形成される。
つまり、この第2変更形態では、第1金属材料層41と第2金属材料層42とを金属拡散接合等により接合した後に、第2金属材料層42のみをエッチングして(選択エッチング)、切れ目のない環状の貫通穴42aを形成すると、この貫通穴42aが第1金属材料層41で塞がれて溝40Bが形成されることになる。そのため、前述の第1実施形態のように、1種類の金属材料からなる振動板30にハーフエッチング等により溝40を形成する場合と比較して、深さ方向に精度の高い溝40Bを容易に形成することができる。即ち、第2金属材料層42の厚さを所望の溝40Bの深さと等しくなるように設定しておけば、エッチングの際にエッチング速度等の諸条件を特に調整する必要はなく、溝40Bの形成工程が簡単になる。
<第3変更形態>
第1実施形態のように、振動板30が共通電極を兼ねている必要は必ずしもなく、図9に示すように、共通電極34が振動板30とは別に設けられていてもよい。但し、振動板30が金属板である場合には、共通電極34が形成される振動板30の上面に、絶縁材料層が形成されるなどして、振動板30の上面が絶縁性を有する必要がある。振動板30がシリコン材料からなる場合には、振動板30の上面に酸化処理を施して絶縁性を有するようにしてもよい。また、振動板30が、セラミックス材料、あるいは、合成樹脂材料等の絶縁材料からなる場合には、振動板30の上面に直接共通電極34が形成されることになる。
<第4変更形態>
図10に示すように、個別電極32及び配線部35が振動板30の上面(圧電層31の下側)に配置され、一方、共通電極34が圧電層31の上面に配置されていてもよい。但し、振動板30が導電性の金属材料からなる場合には、個別電極32が形成される振動板30の上面に、絶縁材料層が形成されるなどして、振動板30の上面が絶縁性を有する必要がある。振動板30がシリコン材料からなる場合には、振動板30の上面に酸化処理を施して絶縁性を有するようにしてもよい。また、振動板30が、セラミックス材料、あるいは、合成樹脂材料等の絶縁材料からなる場合には、振動板30の上面に直接個別電極32及び配線部35が形成される。
この場合でも、前記第1実施形態と同様に、溝40は振動板30の下面(圧力室14側の面)に形成されていることから、振動板30の上面が凹凸のない平面となっている。そのため、個別電極32に接続された配線部35を、溝40を跨いで外側へ延びるように振動板30の上面に形成することが容易になる。
<第5変更形態>
図11に示すように、振動板30Eの溝40Eが、圧力室14の縁側の部分ほど深く形成されていてもよい。この場合には、流路ユニット2(キャビティプレート14)と接合されている部分の近傍において振動板30Eの厚さが最も薄くなり、この部分の拘束力が小さくなって自由端の状態に近くなる。そのため、振動板30Eがより変形しやすくなり、圧電アクチュエータの駆動効率がさらに向上する。尚、図11のような形状の溝40Eを形成する方法としては種々の方法を採用できるが、例えば、振動板30Eがポリイミド等の合成樹脂材料からなる場合には、溝40Eをレーザー加工で形成する際に、圧力室14の縁側の部分ほどレーザーの照射時間を長くすることにより、溝40Eの圧力室14の縁側部分を深くすることができる。
<第6変更形態>
個別電極32に接続された配線部35が圧力室14の外側の領域まで延びている必要は必ずしもなく、例えば、配線部35の代わりに、図12に示すように、個別電極32の表面に、FPC等の配線部材と接続される端子部35Fが配置されていてもよい。
<第7変更形態>
図13に示すように、溝40Gが、圧力室14の縁に沿う領域(個別電極32の外側の領域)だけでなく、さらに、個別電極32と重なる領域(圧電層31の駆動部)と重なる領域まで延びていてもよい。
<第8変更形態>
前記第1実施形態においては、振動板30の下面に形成された溝40は、各圧力室14の縁に沿って切れ目のない環状に形成されているが(図3参照)、溝が部分的に分断されていてもよい。ここで、各圧力室14の長手方向両端部と重なる領域における振動板30の剛性は、幅方向(短手方向)両端部と重なる領域における振動板30の剛性と比べて、圧電アクチュエータ3の駆動効率には影響しない。そのため、各溝が部分的に分断されている場合には、圧電アクチュエータ3の駆動効率にあまり影響しない、各圧力室14の長手方向両端部(各インク流入口14a及び各インク流出口14b)と重なる振動板30の領域において、各溝が分断されていることが好ましい。
<第9変更形態>
振動板30の下面に形成された溝40は、図14に示すように、振動板30の圧力室14と重なる部分よりも外側の部分、即ち、キャビティプレート10と重なる部分に形成されていてもよい。この場合には、振動板40の機械的強度を下げないで、クロストークを低減できる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。但し、前記第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
図15〜図18に示すように、第2実施形態のインクジェットヘッド51は、複数の圧力室64を含むインク流路が形成された流路ユニット52と、この流路ユニット52の上面に配置された圧電アクチュエータ53とを備えている。
図16、図18に示すように、流路ユニット52は、キャビティプレート60、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及びノズルプレート13を備えており、これら4枚のプレート60,11,12,13が積層状態で接合されている。これら4枚のプレート60,11,12,13のうち、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及び、ノズルプレート13の3枚のプレートは前記第1実施形態と同様のものであり、その説明は省略する。
キャビティプレート60には、平面に沿って配列された複数の圧力室64が形成されている。各圧力室64は、平面視で、略楕円形の形状(前記第1実施形態の圧力室14の形状)からその長手方向一端部(図16における右端部)を取り除いた形状に形成されている。また、図16における各圧力室64よりも右側には、平面視でベースプレート11の各連通孔15と重なる円形の各連通孔65が形成されている。そして、各圧力室64と各連通孔(貫通孔)65は、その間に位置する各隔壁部66により互いに隔てられている。図18に示すように、この隔壁部66は、圧力室64に面する側の側面66aが振動板70から離れるにつれてインク流出口64bに徐々に近づくように傾斜して形成されている。つまり、この側面66aは、圧力室64の底面64c(振動板70と対向する面)に対して90度を超える角度(例えば、120度)をなす傾斜面となっている。
また、図18に示すように、圧力室64の右端の縁と後述の振動板70との間にはインク流入口64aが形成され、さらに、隔壁部66と振動板70との間には圧力室64と連通孔65とを連通させる絞り流路67が形成されている。一方、圧力室64の左端部には、平面視でベースプレート11の連通孔16と重なる円形のインク流出口64bが形成されている。つまり、図18に示すように、マニホールド17が、連通孔15,65、絞り流路67、インク流入口64aを介して圧力室64に連通しており、さらに、圧力室64は、インク流出口64b、連通孔16,19を介してノズル20に連通している。
図15、図17、図18に示すように、圧電アクチュエータ53は、流路ユニット52の上面に配置された振動板70と、この振動板70の上面(圧力室64と反対側の面)に形成された圧電層31と、この圧電層31の上面に複数の圧力室64に夫々対応して形成された複数の個別電極32とを備えている。圧電層31及び個別電極32は前記第1実施形態と同様のものであり、その説明は省略する。
振動板70は、複数の圧力室64を覆うようにキャビティプレート60に接合されている。ここで、振動板70の下面(圧力室64と対向する面)には、平面視で、各圧力室64の縁よりも内側で、且つ、各個別電極32と重なる領域の外側において、各圧力室64の縁に沿って延びる溝80が切れ目のない環状に形成されている。そのため、溝80が形成された部分において振動板70が変形しやすくなり、圧電アクチュエータ53の駆動効率が向上する。また、クロストークも抑制される。
さらに、振動板70の下面に形成された各溝80は、各圧力室64の外側の各連通孔65までをも覆うように、図17及び図18の右方へ平面視略半円形状に延びている。そして、図18に示すように、振動板70の溝80が形成された部分と圧力室64の端部との間にインク流入口64aが形成され、さらに、隔壁部66の上面との間には絞り流路67が形成されている。ここで、絞り流路67の流路高さは溝80の深さに等しくなっている。そのため、この絞り流路67の流路断面積は、圧力室64とマニホールド17との間においてインク流入口64aや連通孔65,15内に比べて十分狭くなっており、この絞り流路67により、圧力室64で発生した圧力波がマニホールド17へ伝播しにくくなっている。
ところで、絞り流路67の流路断面積は、圧力室64内における圧力波の伝播に影響し、ひいては、ノズル20から吐出されるインクの液滴速度や液滴体積等、インク吐出特性に大きく影響を及ぼすことから、絞り流路67はかなり精度よく形成されている必要がある。しかし、この第2実施形態のインクジェットヘッド51においては、振動板70の下面に形成された溝80の一部とキャビティプレート60(流路ユニット52)の上面との間に絞り流路67が形成されることから、振動板70に溝80を精度よく形成するだけで、絞り流路67も同時に形成されることになる。従って、絞り流路67を溝80とは別にハーフエッチング等により形成する場合に比べてインクジェットヘッド51の製造工程を簡略化でき、歩留まりも向上する。また、隔壁部66の圧力室64側の側面66aが、圧力室64の底面64cに対して90度を超える角度をなす傾斜面となっている。そのため、この側面66aが底面64cに対して直交する面である場合と比較して、絞り流路67から圧力室64内に流入するインクによどみが発生しにくく、インクがスムーズに圧力室64内に導入される。従って、圧力室64の底面64cと隔壁部66の側面66aとにより形成される隅部に気泡が停留しにくくなり、より安定したインクの噴射が可能となる。
次に、第3実施形態として、本発明の圧電アクチュエータを備える可動マルチミラーについて説明する。但し、上記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。図19Aに示すように、可動マルチミラー101は、圧電層31と、圧電層31を挟んで両面に設けられた複数の個別電極32及び導電性を有する振動板130とを備える圧電アクチュエーター103と、振動板130の圧電層と反対側の面に設けられた複数のミラー150とを備える。各個別電極32は矩形形状であり、その長手方向の端部に端子部35を有している。各個別電極32は、端子部35を介してFPC等の配線により不図示のドライバICに接続され、振動板130はドライバICを通じてグランド電位に保たれている。また、振動板130の圧電層31と反対側の面の、平面視で各個別電極32と重なる領域の外側の領域には、各個別電極32に対応する溝140が設けられている。各溝140は、平面視で各個別電極32の外側を、各個別電極32の縁に沿って取り囲む矩形の形状をしている。さらに、振動板130の溝140が形成されている面の、各溝140に取り囲まれた内側の領域、即ち、平面視で各個別電極と重なる領域には、それぞれミラー150が設けられている。
不図示のドライバICを通じて、所望の個別電極と振動板130との間に所定の電圧を印加することにより、所望の個別電極に対応する圧電層の駆動部31aのみを変形させて、所望の個別電極に対応するミラー150のみを駆動することが可能とである。この場合に、振動板130に形成された溝140によって、ミラー150の駆動に伴うクロストークを軽減させることができ、さらにミラー駆動の消費電力も下げることができる。本実施形態の可動マルチミラー101は、例えば、反射する光の光量及び反射光の向きが調整可能な反射鏡として利用することができる。この場合に、各ミラーで反射する光の向きを各ミラーの駆動により調整することによって、反射光を狭い範囲に集中させること、又は、反射光を広い範囲に分散させることが可能である。これによって、反射によってある範囲を照らす光量を調整することができる。また、本実施形態の可動マルチミラー101は、例えば、文字又は画像を表示する表示素子として用いることができる。所望のミラーのみを駆動して光の屈折方向を変化させることによって、ミラー表面若しくはミラーによって反射された光の投影面に文字又は画像を浮かび上がらせることができる。
本実施形態において、振動板130は共通電極として機能していたが、振動板とは別に共通電極を設けてもよい。その場合には、振動板と共通電極との間に絶縁層を設けることにより、共通電極と振動板との間を電気的に絶縁できる。このとき、第1実施形態の第4変更形態と同様に、圧電層を挟んで振動板側に個別電極を配置することもできる。また、本実施形態において、各個別電極の大きさ、形状、数は任意であり、各個別電極に対応するミラーの大きさ、形状、数も任意にしうる。
上記実施形態及び変更形態において、各溝の形状は、各圧力室の縁に沿った形状又は各個別電極の縁に沿った形状に限られず、各溝の形状は任意にしうる。例えば、各溝の幅は一様でなくてもよい。また溝の断面形状も上記実施形態及び変更形態の断面形状に限定されるものではなく、任意の形状であってもよい。例えば、溝の断面形状をステップ形状又は半円等の曲線にしうる。また、第3実施形態においては、図19Bに示すように、振動板の平面視で各個別電極と重なる領域以外の領域が全て凹部となるように溝が形成されていてもよい。
以上、本発明の圧電アクチュエータ及び液体移送装置を、インクジェットヘッドに適用した形態及び本発明の圧電アクチュエータを可動マルチミラーに適用した形態について、第1実施形態から第3実施形態を例に挙げて説明したが、本発明を適用可能な形態は、これらの実施形態に限られるものではない。例えば、本発明の液体移送装置は、インク以外の液体を移送する種々の液体移送装置に適用することも可能である。また、本発明の圧電アクチュエータは、液体に圧力を付与するために用いられるアクチュエータに限らず、例えば、超音波を発生するバイブレータ等の様々な他の用途に用いられるアクチュエータにも適用することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。 図2は、インクジェットヘッドの平面図である。 図3は、図2の一部拡大図である。 図4は、図3のIV−IV線断面図である。 図5は、図3のV−V線断面図である。 図6は、第1実施形態の第1変更形態の図4相当図である。 図7は、第1変更形態の図5相当図である。 図8は、第2変更形態の図5相当図である。 図9は、第3変更形態の図4相当図である。 図10は、第4変更形態の図4相当図である。 図11は、第5変更形態の図5相当図である。 図12は、第6変更形態の図3相当図である。 図13は、第7変更形態の図3相当図である。 図14は、第9変更形態の図4相当図である。 図15は、本発明の第2実施形態に係るインクジェットヘッドの一部拡大平面図である。 図16は、流路ユニットの一部拡大平面図である。 図17は、振動板の一部拡大平面図である。 図18は、図15のXVIII−XVIII線断面図である。 図19は、本発明の第3実施形態にかかる可動マルチミラーの概略図である。
符号の説明
1 インクジェットヘッド
2 流路ユニット
3 圧電アクチュエータ
14 圧力室
30,30B,30E 振動板
31,31A 圧電層
32 個別電極
34 共通電極
35 配線部
40,40B,40E,40G 溝
41 第1金属材料層
42 第2金属材料層
42a 貫通穴
51 インクジェットヘッド
52 流路ユニット
53 圧電アクチュエータ
64 圧力室
66 隔壁部
67 絞り流路
70 振動板
80 溝


Claims (8)

  1. 平面に沿って配置された複数の圧力室を含む流路ユニットと、前記流路ユニットの一表面に配置され、前記圧力室の容積を変化させてその内部の液体に圧力を付与する圧電アクチュエータとを備え、
    前記圧電アクチュエータは、前記複数の圧力室を覆う振動板、前記振動板の前記圧力室と反対側に配置された圧電層、前記平面に直交する方向から見て前記複数の圧力室の中央部と重なる領域に夫々配置された複数の個別電極、及び、前記複数の個別電極との間で前記圧電層を挟む共通電極を有し、
    前記振動板の前記圧力室側の面の、前記平面に直交する方向から見て、前記個別電極と前記共通電極の両方と重なる領域よりも外側の領域にそれぞれ溝が形成され、且つ、前記振動板の前記圧力室と反対側の面は平面状であり、
    さらに、各溝は、前記平面に直交する方向から見て、前記圧力室の縁よりも内側にあり、且つ、前記圧力室の縁に沿って環状に形成され、
    前記複数の個別電極と、これら複数の個別電極にそれぞれ接続された複数の配線部とが、同一面上に配置され、
    前記平面に直交する方向から見て、各配線部は、対応する前記個別電極から環状の前記各溝の外側の領域へ前記各溝を跨いで延びていることを特徴とする液体移送装置。
  2. 前記各溝は、切れ目のない環状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体移送装置。
  3. 前記振動板は、互いに異なる金属材料で形成された積層状の第1金属材料層及び第2金属材料層を有し、
    第2金属材料層が前記複数の圧力室を覆うように前記流路ユニットに配置されており、 第2金属材料層の前記圧力室側の面には、各圧力室の縁に沿って延びる各貫通穴が切れ目のない環状に形成され、この第2金属材料層の各貫通穴が第1金属材料層により塞がれて、前記各溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液体移送装置。
  4. 第2金属材料層は、所定のエッチング液によりエッチング可能な金属材料からなり、
    第1金属材料層は、前記所定のエッチング液によりエッチングされない金属材料からなることを特徴とする請求項3に記載の液体移送装置。
  5. 前記各溝は、前記各圧力室の縁側の部分ほど深く形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液体移送装置。
  6. 前記各溝は、前記各圧力室側ほど広がるテーパー状の断面形状を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液体移送装置。
  7. 前記流路ユニットは、前記複数の圧力室と連通する共通液室を有し、
    前記振動板に形成された前記各溝の一部と前記流路ユニットの一表面との間に、前記共通液室と前記各圧力室との間において流路断面積が部分的に狭くなる絞り流路が形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液体移送装置。
  8. 前記流路ユニットは、前記複数の圧力室を含む流路が形成された積層状の複数枚のプレートからなり、
    これら複数枚のプレートのうちの1枚には、前記複数の圧力室と、前記共通液室と前記複数の圧力室とを連通させる流路の少なくとも一部となる複数の貫通孔と、前記各圧力室と前記各貫通孔とを隔てる各隔壁部とが形成され、
    前記各隔壁部の前記振動板側の面は、前記各溝の一部と対向してこの溝との間に前記絞り流路を形成し、
    さらに、前記各隔壁部の前記各圧力室に面する側面は、前記各圧力室の前記振動板と対向する面に対して90度を超える角度で傾斜していることを特徴とする請求項7に記載の液体移送装置。
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