JP3951933B2 - インクジェットヘッド及びこれを有するインクジェットプリンタ - Google Patents

インクジェットヘッド及びこれを有するインクジェットプリンタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被記録媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェットヘッド、及び、インクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタにおいて、インクジェットヘッドは、インクタンクから供給されたインクを複数の圧力室に分配し、各圧力室に選択的にパルス状の圧力を付与することによりノズルからインクを吐出する。圧力室に選択的に圧力を付与するための一つの手段として、圧電性のセラミックからなる複数の圧電シートが積層されたアクチュエータユニットが用いられることがある。
【0003】
かかるインクジェットヘッドの一例として、複数の圧力室に跨る複数枚の連続平板状の圧電シートが積層され、その少なくとも1枚の圧電シートを、多数の圧力室に共通であってグランド電位に保持された共通電極と、各圧力室に対応する位置に配置された多数の個別電極すなわち駆動電極とで挟み込んだ1つのアクチュエータユニットを有するものが知られている(特許文献1参照)。駆動電極及び共通電極に挟まれ且つ積層方向に分極された圧電シートの部分は、その挟まれた部分の両側にある駆動電極が共通電極と異なる電位にされると、圧電シートの分極方向に外部電界が印加されることにより、いわゆる圧電縦効果により積層方向に伸縮する。この場合、個別電極と共通電極とで挟まれた圧電シートの部分が外部電界が印加されると圧電効果で変形する活性層として働いている。これにより圧力室内の容積が変動し、圧力室に連通したノズルから被記録媒体に向けてインクを吐出することが可能となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−341852号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなインクジェットヘッドにおいて、近年、画像の高解像度化や高速印字の要求に対応するために圧力室が高密度に配置されるに連れ、ある圧力室に対応した活性層が変形することに起因して隣接する圧力室に対応した圧電シートまでもが変形し、本来インクを吐出すべきでないインク吐出口からインクが吐出されたり、インク吐出量が本来の量よりも増加又は減少する、いわゆるクロストークが問題となってきている。かかるクロストークが生じると、印刷された画像の画質が劣化してしまうため、インクジェットプリンタの品質を向上させるには、クロストークの抑制が極めて重要な問題である。
【0006】
本発明の主な目的は、クロストークの発生を抑制することができるインクジェットヘッド及びこれを有するインクジェットプリンタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、一端をノズルに他端をインク供給源にそれぞれ接続された複数の圧力室を含み、前記複数の圧力室がマトリクス状に互いに隣接配置された流路ユニットと、前記圧力室の容積を変化させるために前記流路ユニットの一表面に固定されたアクチュエータユニットとを備えており、前記アクチュエータユニットが、複数の前記圧力室に跨って連続して配置されており、厚み方向に分極した圧電シートと、前記圧電シートの一方側に配設され、一定電位に保たれた共通電極と、前記圧電シートの他方側に配設され、各圧力室に対応する位置に配置された複数の個別電極と、前記圧電シートの前記圧力室の間に対応した領域に形成された凹部と、前記圧電シートと前記流路ユニットとの間に、複数の前記圧力室に跨って連続して配置された非活性層とを含んでおり、前記圧電シートと前記流路ユニットとの間には、非活性層が配置されおり、前記アクチュエータユニットの前記個別電極に対応する個所は、当該個所に前記厚み方向への電界が印加されたときに、前記圧電シートの前記厚み方向と直交する方向への伸縮に伴ってユニモルフ変形を生じ、前記凹部が前記圧電シート及び前記共通電極を貫通して前記非活性層の内部にまで達しており、 前記共通電極が前記凹部によって複数に分離されておらず一つの連続体として形成されたインクジェットヘッドインクジェットヘッド及びこれを有するインクジェットプリンタが提供される(請求項1)。
【0008】
これによると、アクチュエータユニットにおいて隣接する圧力室の間に対応した領域に凹部が形成されているので、圧電効果による活性層の変形が隣接する圧力室に影響を及ぼすクロストークを抑制することができる。また、共通電極が一体の連続したものとなっているので、共通電極への配線が容易なものとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるインクジェットヘッドを含むインクジェットプリンタの概略図である。図1に示すインクジェットプリンタ101は、4つのインクジェットヘッド1を有するカラーインクジェットプリンタである。このプリンタ101には、図中左方に給紙部111が、図中右方に排紙部112が、それぞれ構成されている。
【0011】
プリンタ101内部には、給紙部111から排紙部112に向かって用紙が搬送される用紙搬送経路が形成されている。給紙部111のすぐ下流側には、画像記録媒体たる用紙を挟持搬送する一対の送りローラ105a、105bが配置されている。一対の送りローラ105a、105bによって用紙は図中左方から右方へ送られる。用紙搬送経路の中間部には、二つのベルトローラ106、107と、両ローラ106、107間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト108とが配置されている。搬送ベルト108の外周面すなわち搬送面にはシリコーン処理が施されており、一対の送りローラ105a、105bによって搬送されてくる用紙を、搬送ベルト108の搬送面にその粘着力により保持させながら、一方のベルトローラ106の図中時計回り(矢印104の方向)への回転駆動によって下流側(右方)に向けて搬送できるようになっている。
【0012】
用紙のベルトローラ106に対する挿入及び排出位置には、押さえ部材109a、109bがそれぞれ配置されている。押さえ部材109a、109bは、搬送ベルト108上の用紙が搬送面から浮かないように、搬送ベルト108の搬送面に用紙を押し付けて搬送面上に確実に粘着させるためのものである。
【0013】
用紙搬送経路に沿って搬送ベルト108のすぐ下流側には、剥離機構110が設けられている。剥離機構110は、搬送ベルト108の搬送面に粘着されている用紙を搬送面から剥離して、右方の排紙部112へ向けて送るように構成されている。
【0014】
4つのインクジェットヘッド1は、その下端にヘッド本体1aを有している。ヘッド本体1aは、それぞれが矩形断面を有しており、その長手方向が用紙搬送方向に垂直な方向(図1の紙面垂直方向)となるように互いに近接配置されている。つまり、このプリンタ101は、ライン式プリンタである。4つのヘッド本体1aの各底面は用紙搬送経路に対向しており、これら底面には微小径を有する多数のインク吐出口が形成されたノズルが設けられている。4つのヘッド本体1aのそれぞれからは、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックのインクが吐出される。
【0015】
ヘッド本体1aは、その下面と搬送ベルト108の搬送面との間に少量の隙間が形成されるように配置されており、この隙間部分に用紙搬送経路が形成されている。この構成で、搬送ベルト108上を搬送される用紙が4つのヘッド本体1aのすぐ下方側を順に通過する際、この用紙の上面すなわち印刷面に向けてノズルから各色のインクが噴射されることで、用紙上に所望のカラー画像を形成できるようになっている。
【0016】
インクジェットプリンタ101は、インクジェットヘッド1に対するメンテナンスを自動的に行うためのメンテナンスユニット117を有している。このメンテナンスユニット117には、4つのヘッド本体1aの下面を覆うための4つのキャップ116や、図示せぬパージ機構などが設けられている。
【0017】
メンテナンスユニット117は、インクジェットプリンタ101で印刷が行われているときには、給紙部111の直下方の位置(退避位置)に位置している。そして、印刷終了後に所定の条件が満たされたとき(例えば、印刷動作が行われない状態が所定の時間だけ継続したときや、プリンタ101の電源OFF操作がされたとき)は、4つのヘッド本体1aの直ぐ下方の位置に移動して、この位置(キャップ位置)にて、キャップ116によってヘッド本体1aの下面をそれぞれ覆い、ヘッド本体1aのノズル部分のインクの乾燥を防止するようになっている。
【0018】
ベルトローラ106、107や搬送ベルト108は、シャーシ113によって支持されている。シャーシ113は、その下方に配置された円筒部材115上に載置されている。円筒部材115は、その中心から外れた位置に取り付けられた軸114を中心として回転可能となっている。そのため、軸114の回転に伴って円筒部材115の上端高さが変化すると、それに合わせてシャーシ113が昇降する。メンテナンスユニット117を退避位置からキャップ位置に移動させる際には、予め円筒部材115を適宜の角度回転させてシャーシ113、搬送ベルト108及びベルトローラ106、107を図1に示す位置から適宜の距離だけ下降させ、メンテナンスユニット117の移動のためのスペースを確保しておく必要がある。
【0019】
搬送ベルト108によって囲まれた領域内には、インクジェットヘッド1と対向する位置、つまり上側にある搬送ベルト108の下面と接触することによって内周側からこれを支持するほぼ直方体形状(搬送ベルト108と同程度の幅を有している)のガイド121が配置されている。
【0020】
次に、本実施の形態によるインクジェットヘッド1の構造について、より詳細に説明する。図2は、インクジェットヘッド1の斜視図である。図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。図2及び図3に示すように、本実施の形態によるインクジェットヘッド1は、一方向(主走査方向)に延在した矩形平面形状を有するヘッド本体1aと、ヘッド本体1aを支持するための基部131とを有している。基部131は、ヘッド本体1aのほかに、個別電極35(図6参照)などに駆動信号を供給するドライバIC132及び基板133を支持している。
【0021】
基部131は、図2に示すように、ヘッド本体1aの上面と部分的に接着されることでヘッド本体1aを支持するベースブロック138と、ベースブロック138の上面と接着されることでベースブロック138を保持するホルダ139とから構成されている。ベースブロック138は、ヘッド本体1aの長尺方向長さとほぼ同じ長さを有する略直方体形状の部材である。ステンレスなどの金属材料からなるベースブロック138は、ホルダ139を補強する軽量の構造体としての機能を有している。ホルダ139は、ヘッド本体1a側に配置されるホルダ本体141と、ホルダ本体141からヘッド本体1aとは反対側に延在した一対のホルダ支持部142とから構成されている。一対のホルダ支持部142は、いずれも平板状の部材であって、ホルダ本体141の長尺方向に沿って所定の間隔を隔てて互いに平行に設けられている。
【0022】
ホルダ本体141の副走査方向(主走査方向と直交する方向)両端部には、下方に突出した一対のスカート部141aが設けられている。ここで、一対のスカート部141aは、いずれもホルダ本体141の長尺方向全幅にわたって形成されているため、ホルダ本体141の下面には、一対のスカート部141aによって略直方体形状の溝部141bが形成されている。この溝部141b内に、ベースブロック138が収納されている。ベースブロック138の上面と、ホルダ本体141の溝部141bの底面とは、接着剤によって接着されている。ベースブロック138の厚さは、ホルダ本体141の溝部141bの深さよりも若干大きいため、ベースブロック138の下端部は、スカート部141aよりも下方に飛び出している。
【0023】
ベースブロック138の内部には、ヘッド本体1aに供給されるインクの流路として、その長尺方向に延在する略直方体形状の空隙(中空領域)であるインク溜まり3が形成されている。ベースブロック138の下面145には、インク溜まり3に連通した開口3b(図4参照)が形成されている。なお、インク溜まり3は、プリンタ本体内の図示しないメインインクタンク(インク供給源)に、図示しない供給チューブにより接続されている。そのため、インク溜まり3には、メインインクタンクから適宜インクが補充されるようになっている。
【0024】
ベースブロック138の下面145は、開口3bの近傍において周囲よりも下方に飛び出している。そして、ベースブロック138は、下面145の開口3b近傍部分145aにおいてのみヘッド本体1aの流路ユニット4(図3参照)に固定されている。そのため、ベースブロック138の下面145の開口3b近傍部分145a以外の領域は、ヘッド本体1aから離隔しており、この離隔部分にアクチュエータユニット21が配されている。
【0025】
ホルダ139のホルダ支持部142の外側面には、スポンジなどの弾性部材137を介してドライバIC132が固定されている。ドライバIC132の外側面には、ヒートシンク134が密着配置されている。ヒートシンク134は、略直方体形状の部材であって、ドライバIC132で発生する熱を効率的に散逸させる。ドライバIC132には、給電部材であるフレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuit)136が接続されている。ドライバIC132に接続されたFPC136は、基板133及びヘッド本体1aとハンダ付けによって電気的に接合されている。ドライバIC132およびヒートシンク134の上方であって、FPC136の外側には、基板133が配置されている。ヒートシンク134の上面と基板133との間、および、ヒートシンク134の下面とFPC136との間は、それぞれシール部材149で接着されている。
【0026】
ホルダ本体141のスカート部141aの下面と流路ユニット4の上面との間には、FPC136を挟むようにシール部材150が配置されている。つまりFPC136は、流路ユニット4およびホルダ本体141に対してシール部材150によって固定されている。これにより、ヘッド本体1aが長尺化した場合の撓みの防止、アクチュエータユニット21とFPC136との接続部への応力印可の防止およびFPC136の確実な保持が可能となる。
【0027】
図2に示すように、インクジェットヘッド1の主走査方向に沿った下方角部近傍には、インクジェットヘッド1の側壁に沿って6つの凸設部30aが均等に離隔配置されている。これら凸設部30aは、ヘッド本体1aの最下層にあるノズルプレート30(図7参照)の副走査方向両端部に設けられた部分である。つまり、ノズルプレート30は、凸設部30aとそれ以外の部分との境界線に沿って約90度折り曲げられている。凸設部30aは、プリンタ101において印刷に用いられる各種サイズの用紙の両端部付近に対応する位置に設けられている。ノズルプレート30の折り曲げ部分は直角ではなく丸みを帯びた形状となっているため、ヘッド1と近接する方向に搬送されてきた用紙の先端部がヘッド1の側面と接触することで生じる用紙の詰まりすなわちジャミングが起こりにくくなっている。
【0028】
図4は、ヘッド本体1aの模式的な平面図である。図4において、ベースブロック138内に形成されたインク溜まり3が仮想的に破線で描かれている。図4に示すように、ヘッド本体1aは、一方向(主走査方向)に延在した矩形平面形状をしている。ヘッド本体1aは、後述する多数の圧力室10やノズル先端のインク吐出口8(共に図5、図6、図7参照)が形成された流路ユニット4を有しており、その上面には、千鳥状になって2列に配列された複数の台形のアクチュエータユニット21が接着されている。各アクチュエータユニット21は、その平行対向辺(上辺及び下辺)が流路ユニット4の長手方向に沿うように配置されている。そして、隣接するアクチュエータユニット21の斜辺同士が、流路ユニット4の幅方向にオーバーラップしている。
【0029】
アクチュエータユニット21の接着領域と対応した流路ユニット4の下面は、インク吐出領域となっている。インク吐出領域の表面には、後述するように、多数のインク吐出口8がマトリクス状に多数配列されている。また、流路ユニット4の上方に配置されたベースブロック138内には、その長手方向に沿ってインク溜まり3が形成されている。インク溜まり3は、その一端に設けられた開口3aを介してインクタンク(図示せず)に連通しており、常にインクで満たされている。インク溜まり3には、その延在方向に沿って開口3bが2つずつ対になって、アクチュエータユニット21が設けられていない領域に千鳥状に設けられている。
【0030】
図5は、図4内に描かれた一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。図4及び図5に示すように、インク溜まり3は、開口3bを介してその下層にある流路ユニット4内のマニホールド5と連通している。開口3bには、インク内に含有される塵埃などを捕獲するためのフィルタ(図示せず)が設けられている。マニホールド5は、その先端部が2つに分岐して副マニホールド5aとなっている。1つのアクチュエータユニット21の下部には、当該アクチュエータユニット21に対してインクジェットヘッド1の長手方向両隣にある2つの開口3bからそれぞれ2つの副マニホールド5aが進入してきている。つまり、1つのアクチュエータユニット21の下部には、合計で4つの副マニホールド5aがインクジェットヘッド1の長手方向に沿って延在している。各副マニホールド5aは、インク溜まり3から供給されたインクで満たされている。
【0031】
図6は、図5内に描かれた一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。図5及び図6に示すように、アクチュエータユニット21の上面には、平面形状がほぼひし形の個別電極35がマトリクス状に規則的に配列されている。また、流路ユニット4のアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域の表面には、多数のインク吐出口8がマトリクス状に配列されている。流路ユニット4内には、共に各インク吐出口8と連通した、平面形状が個別電極35よりも一回り大きいほぼひし形の圧力室(キャビティ)10と、アパーチャ12とがそれぞれマトリクス状に規則的に配列されている。圧力室10は、個別電極35と対応する位置に形成されており、平面視において個別電極35の大部分は圧力室10に含まれている。なお、図5及び図6において、図面を分かりやすくするために、アクチュエータユニット21内又は流路ユニット4内にあって破線で描くべき圧力室10及びアパーチャ12等を実線で描いている。さらに、図5及び図6において、後述する溝部61の図示を省略している。
【0032】
図7は、図4に描かれたヘッド本体1aの圧力室長手方向に沿った部分断面図である。各インク吐出口8は、図7からも分かるように、先細形状のノズルの先端に形成されている。各インク吐出口8は、圧力室10(長さ900μm、幅350μm)及びアパーチャ12を介して副マニホールド5aと連通している。このようにして、インクジェットヘッド1には、インクタンクからインク溜まり3、マニホールド5、副マニホールド5a、アパーチャ12及び圧力室10を経てインク吐出口8に至るインク流路32が形成されている。
【0033】
また、図7から明らかなように、圧力室10とアパーチャ12とは異なる高さに設けられている。これにより、図6に示すように、アクチュエータユニット21の下方にあるインク吐出領域に対応した流路ユニット4内において、1つの圧力室10と連通したアパーチャ12を、当該圧力室に隣接する圧力室10と平面視で同じ位置に配置することが可能となっている。この結果、圧力室10同士が密着して高密度に配列されるため、比較的小さな占有面積のインクジェットヘッド1により高解像度の画像印刷が実現される。
【0034】
圧力室10は、図5及び図6に描かれた平面内において、インクジェットヘッド1の長手方向(第1配列方向)と、インクジェットヘッド1の幅方向からやや傾いた方向(第2配列方向)との2方向にインク吐出領域内で配列されている。第1配列方向と第2配列方向は、直角よりもやや小さい角度θをなしている。このうち、第2配列方向は、図6に描かれた圧力室10の左下又は右上の一斜辺に沿った方向に相当する。インク吐出口8は、第1配列方向には50dpiで配列されている。一方で、圧力室10は、第2配列方向には1つのアクチュエータユニット21に対応するインク吐出領域内に12個が含まれるように配列されている。これにより、インクジェットヘッド1の全幅内で、第1配列方向に隣接する2つのインク吐出口8間の距離だけ離隔した範囲には、12個のインク吐出口8が存在するようになっている。なお、各インク吐出領域の第1配列方向についての両端部(アクチュエータユニット21の斜辺に相当する)では、インクジェットヘッド1の幅方向に対向する別のアクチュエータユニット21に対応するインク吐出領域と相補関係となることで上記条件を満たしている。そのため、本実施の形態によるインクジェットヘッド1では、第1及び第2配列方向に配列された多数のインク吐出口8から、インクジェットヘッド1の幅方向への用紙に対する相対的な移動に伴って順次インク滴を吐出させることで、主走査方向に600dpiで印刷を行うことが可能になっている。
【0035】
次に、図8を参照して、流路ユニット4の構造をより詳細に説明する。図8は、圧力室10、インク吐出口8及びアパーチャ(制限流路)12の三者の位置関係を示す模式的な図である。図8に示すように、圧力室10は、第1配列方向に所定の間隔である50dpiで列状に配列されている。このような圧力室10の列は、第2配列方向には12列配列されて、全体として圧力室10は1つのアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域内において2次元配列をしている。
【0036】
圧力室10には、ノズルが図8中上側の鋭角部に接続されている圧力室10aと、下側の鋭角部に接続されている圧力室10bとの2種類がある。複数の圧力室10a及び複数の圧力室10bは、共に第1配列方向に配列されて圧力室列11a、11bをそれぞれ形成している。図8に示すように、1つのアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域内においては、図8中下側から順に2列の圧力室列11aが配列され、その上側に隣接して2列の圧力室列11bが配列されている。このような2列の圧力室列11aと2列の圧力室列11bとの合わせて4列の圧力室列を1組とした圧力室列の組が、1つのアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域内において、下側から3回繰り返して配列されている。各圧力室列11a、11b中の各圧力室の上側鋭角部を結ぶ直線は、この圧力室列に上側から隣接する圧力室列中の各圧力室の下側斜辺と交差している。
【0037】
上述のように、図8の紙面に対して垂直な方向から見て、圧力室10に接続されたノズルの配置位置が異なる第1の圧力室列11aと第2の圧力室列11bとを2列ずつ隣接して配列することにより、全体として圧力室10は規則正しく整列している。一方、ノズルは、これら4列の圧力室列を1組とした圧力室列の組の中において中央領域に集まって配列されることになる。これにより、上述のように、4列の圧力室列を1組として、下側から3回繰り返して圧力室列の組を配置した場合、圧力室列の組と組との境界近傍領域、すなわち、このような4列の圧力室列からなる組の両側には、ノズルが存在しない領域が形成される。そして、そこに各圧力室10にインクを供給するための幅の広い副マニホールド5aが延設されている。本案施の形態では、1つのアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域内において、図中下側に1本、一番下側の圧力室列の組と二番目の圧力室列の組との間に1本、一番上側の圧力室列の組の両側に2本、合わせて4本の幅の広い副マニホールド5aが第1配列方向に延設されている。
【0038】
図8に示すように、インクを吐出するインク吐出口8に連通するノズルは、第1配列方向には、この方向に規則正しく並ぶ圧力室10に対応して、50dpiの等間隔で配列されている。また、第1配列方向と角度θで交差している第2配列方向にも12個の圧力室10が規則正しく配列されているのとは異なり、これら12個の圧力室10に対応した12個のノズルは、上述したように圧力室10の上側の鋭角部に連通したものと下側の鋭角部に連通したものとがあって、第2配列方向に規則的に一定の間隔で配列されていない。
【0039】
他方、ノズルが圧力室10の同じ側の鋭角部に常に連通している場合には、ノズルも第2配列方向の方向に規則的に一定の間隔で配列されることになる。すなわち、この場合、ノズルは、図中下側から上側に1圧力室列上がるごとに第1配列方向に印字時の解像度である600dpiに相当する間隔ずつ変位するように配列される。これに対して、本実施の形態では、2列の圧力室列11aと2列の圧力室列11bとの合わせて4列の圧力室列を1組として、これが下側から3回繰り返して配列されているので、図中下側から上側に1圧力室列上がるごとのノズル位置の第1配列方向への変位は常に同じではない。
【0040】
本実施の形態によるインクジェットヘッド1において、第1配列方向に50dpiに相当する幅(約508.0μm)を有し、この第1配列方向と直交する方向に延在する帯状領域Rについて考える。この帯状領域Rの中には、12列の圧力室列の内の何れの列についても、ノズルが1つしか存在していない。すなわち、1つのアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域内の任意の位置に、このような帯状領域Rを区画した場合、この帯状領域R内には、常に12個のノズルが分布している。そして、これら12個の各ノズルを第1配列方向に延びる直線上に射影した点の位置は、印字時の解像度である600dpiに相当する間隔ずつ離隔している。
【0041】
1つの帯状領域Rに属する12個のノズルを第1配列方向に延びる直線上に射影した位置が左にあるものから順に、これら12個のノズルを(1)〜(12)と記することにしたとき、これら12個のノズルは、下から、(1)、(7)、(2)、(8)、(5)、(11)、(6)、(12)、(9)、(3)、(10)、(4)の順番に並んでいる。
【0042】
このように構成された本実施の形態によるインクジェットヘッド1において、アクチュエータユニット21内の活性層を適宜駆動させると、600dpiの解像度を有する文字や図形等を描画することができる。つまり、12列の圧力室列に対応した活性層を印字媒体の搬送に合わせて順次選択的に駆動することで、特定の文字や図形を印字媒体に印刷することができる。
【0043】
例えば、600dpiの解像度で第1配列方向に延びる直線を印字する場合について説明する。まず、ノズルが圧力室10の同じ側の鋭角部に連通している場合について簡単に説明する。この場合には、印字蝶体が搬送されるのに対応して、図8中一番下に位置する圧力室列中のノズルからインクの吐出を始め、順次上側に隣接する圧力室列に属するノズルを選択してインクを吐出する。これにより、インクのドットが第1配列方向に向かって600dpiの間隔で隣接しながら形成されていく。最終的には、全体で600dpiの解像度で第1配列方向に延びる直線が描かれることになる。
【0044】
一方、本案施の形態では、図8中一番下に位置する圧力室列11a中のノズルからインクの吐出を始め、印字媒体が搬送されるのに伴って順次上側に隣接する圧力室に連通するノズルを選択してインクを吐出していく。このとき、下側から上側に1圧力室列上がるごとのノズル位置の第1配列方向への変位が常に同じでないので、印字媒体が搬送されるのに伴って第1配列方向に沿って順次形成されるインクのドットは、600dpiの間隔で等間隔にはならない。
【0045】
すなわち、図8に示したように、印字媒体が搬送されるのに対応して、まず図中一番下の圧力室列11aに連通するノズル(1)からインクが吐出され、印字媒体上に50dpiに相当する間隔(約508.0μm)でドット列が形成される。この後、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から2番目の圧力室列11aに連通するノズル(7)の位置に達すると、このノズル(7)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分(約42.3μm)の6倍だけ第1配列方向に変位した位置(約42.3μm×6=約254.0μm)に2番目のインクドットが形成される。
【0046】
次に、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から3番目の圧力室列11bに連通するノズル(2)の位置に達すると、ノズル(2)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分(約42.3μm)だけ第1配列方向に変位した位置に3番目のインクドットが形成される。さらに、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から4番目の圧力室列11bに連通するノズル(8)の位置に達すると、ノズル(8)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドットの位置から600dpiに相当する間隔分(約42.3μm)の7倍だけ第1配列方向に変位した位置(約42.3μm×7=約296.3μm)に4番目のインクドットが形成される。さらに、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から5番目の圧力室列11aに連通するノズル(5)の位置に達すると、ノズル(5)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分(約42.3μm)の4倍だけ第1配列方向に変位した位置(約42.3μm×4=約169.3μm)に5番目のインクドットが形成される。
【0047】
以下同様にして、順次図中下側から上側に位置する圧力室10に連通するノズルを選択しながらインクドットが形成されていく。このとき、図8中に示したノズルの番号をNとすると、(倍率n=N−1)×(600dpiに相当する間隔)に相当する分だけ、始めに形成されたドット位置から第1配列方向に変位した位置にインクドットが形成される。最終的に12個のノズルを選択し終わったときには、図中一番下の圧力室列11a中のノズル(1)により50dpiに相当する間隔(約508.0μm)で形成されたインクドットの間が600dpiに相当する間隔(約42.3μm)毎に離れて形成された12個のドットで繋げられ、全体で600dpiの解像度で第1配列方向に延びる直線を描くことが可能になっている。
【0048】
次に、本実施の形態によるインクジェットヘッド1の断面構造について説明する。図9は、図4に描かれたヘッド本体1aの部分分解斜視図である。図7及び図9に示すように、インクジェットヘッド1の底部側の要部は、上から、アクチュエータユニット21、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャプレート24、サプライプレート25、マニホールドプレート26,27,28、カバープレート29及びノズルプレート30の合計10枚のシート材が積層された積層構造を有している。これらのうち、アクチュエータユニット21を除いた9枚のプレートから流路ユニット4が構成されている。
【0049】
アクチュエータユニット21は、後で詳述するように、4枚の圧電シート41〜44(図11参照)が積層され且つ電極が配されることによってそのうちの最上層だけが、電界印加時に活性層となる部分を有する層(以下、単に「活性層を有する層」というように記する)とされ残り3層が非活性層とされたものである。キャビティプレート22は、圧力室10に対応するほぼ菱形の開口が多数設けられた金属プレートである。ベースプレート23は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10とアパーチャ12との連絡孔及び圧力室10からインク吐出口8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。アパーチャプレート24は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、アパーチャ12のほかに圧力室10からインク吐出口8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。サプライプレート25は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、アパーチャ12と副マニホールド5aとの連絡孔及び圧力室10からインク吐出口8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。マニホールドプレート26、27、28は、副マニホールド5aに加えて、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10からインク吐出口8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。カバープレート29は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10からインク吐出口8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。ノズルプレート30は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、ノズルとして機能する先細のインク吐出口8がそれぞれ設けられた金属プレートである。
【0050】
これら10枚のシート21〜30は、図7に示すようなインク流路32が形成されるように、互いに位置合わせして積層される。このインク流路32は、副マニホールド5aからまず上方へ向かい、アパーチャ12において水平に延在し、それからさらに上方に向かい、圧力室10において再び水平に延在し、それからしばらくアパーチャ12から離れる方向に斜め下方に向かってから垂直下方にインク吐出口8へと向かう。
【0051】
次に、アクチュエータユニット21の詳細な構造について説明する。図10は、アクチュエータユニット21の拡大平面図である。図11は、図4に示すヘッド本体1aの図10のXI−XI線に沿った部分断面図である。
【0052】
図10に示すように、アクチュエータユニット21の上面であって平面視で各圧力室10と実質的に重なり合う位置には、厚さ1.1μm程度の個別電極35がそれぞれ設けられている。個別電極35は、ほぼひし形の主電極部35aと、主電極部35aの一方の鋭角部から連続して形成された、主電極部35aよりも小さいほぼひし形の補助電極部35bとからなる。補助電極部35bは、主電極部35aの鋭角部に接続されており、この接続部はくびれた形状を有している。主電極部35aは、圧力室10よりも一回り小さくほぼこれと相似形状を有しており、平面視において圧力室10に収まるように配置されている。また、補助電極部35bは、平面視においてそのほとんどの領域が圧力室10からはみ出している。アクチュエータユニット21の上面の個別電極35以外の領域には、後述する圧電シート41が露出している。
【0053】
本実施の形態のインクジェットヘッド1において、各個別電極35の主電極部35aの鋭角部近傍を除いた部分は、幅30μm程度、深さ20〜25μm程度の溝部61によって包囲されている。この溝部61は、インクジェットヘッド1の長手方向である第1配列方向において、圧力室10の一方側に配置された溝部61aと、他方側に配置された溝部61bとからなる。いずれの溝部61a、61bも主電極部35aの外縁からやや離隔した「くの字」状(V字状)を有し、平面視で圧力室10の内壁とほぼ同じ位置に形成されている。ここでは、2つの溝部61a、61bは、インクジェットヘッド1の幅方向からやや傾いた第2配列方向において、主電極部35aの鋭角な先端(鋭角部)からやや離れた位置から、平面視で圧力室10の内壁に沿って延び、主電極部35aと補助電極部35bとが接続されるくびれ部近傍まで延設されている。溝部61a、61bは、図11に示すように、活性層を含む圧電シート41を貫通しており、その底部は圧電シート42の半分程度の厚さ位置にまで達している。
【0054】
図11に示すように、アクチュエータユニット21は、それぞれ厚みが15μm程度で同じになるように形成された4枚の圧電シート41、42、43、44を含んでいる。そして、アクチュエータユニット21には、個別電極35及び共通電極34の電位を制御する信号を供給するためのFPC136が貼り付けられる。FPC136は、個別電極35の補助電極部35bに対してハンダ付けにより固定され、電気的に接続される。圧電シート41〜44は、インクジェットヘッド1内の1つのインク吐出領域内に形成された多数の圧力室10に跨って配置されるように連続した層状の平板(連続平板層)となっている。圧電シート41〜44が連続平板層として多数の圧力室10に跨って配置されることで、例えばスクリーン印刷技術を用いることにより個別電極35を高密度に配置することが可能となっている。そのため、個別電極35に対応する位置に形成される圧力室10をも高密度に配置することが可能となって、高解像度画像の印刷ができるようになる。本実施の形態において、圧電シート41〜44は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなるものである。
【0055】
最上層にある圧電シート41とその下方に隣接した圧電シート42との間には、シート全面に形成された厚み2μm程度の共通電極34が介在している。また、上述したように、アクチュエータユニット21の上面つまり圧電シート41の上面には、平面形状が圧力室10と相似形状(長さ850μm、幅250μm)を有し且つ積層方向への射影領域が圧力室領域に含まれる主電極部35aと、主電極部35aよりも小さいほぼひし形の補助電極部35bとからなる個別電極35が、圧力室10ごとに形成されている。さらに、圧電シート43と圧電シート44との間、及び、圧電シート42と圧電シート43との間には、アクチュエータユニット21を補強するための補強用金属膜36a、36bがそれぞれ介在している。補強用金属膜36a、36bは、共通電極34と同様にシート全面に形成され且つこれとほぼ同じ厚さを有している。本実施の形態において、個別電極35は下地にNi(膜厚1μm程度)、表層にAu(膜厚0.1μm程度)が形成された積層金属材料からなるものであり、共通電極34及び補強用金属膜36a、36bは、Ag−Pd系の金属材料からなるものである。補強用金属膜36a、36bは電極として作用するものではなく必ずしも設ける必要もないが、補強用金属膜36a、36bがあることで焼結後の圧電シート41〜44の脆さを補うことができ、圧電シート41〜44がハンドリングし易くなるという利点がある。
【0056】
共通電極34は、図示しない領域においてFPC136を介して接地されている。これにより、共通電極34は、すべての圧力室10に対応する領域において等しくグランド電位に保たれている。また、個別電極35は、各圧力室10に対応するものごとに電位を制御することができるように、ほぼひし形の補助電極部35bにおいて、個別電極35ごとに独立してFPC136内に配線されたリード線(図示せず)と接触しており、このリード線を介してドライバIC132に接続されている。このように、本実施の形態では、平面視において圧力室10の外側にある補助電極部35bにおいて個別電極35とFPC136とが接続されていることにより、アクチュエータユニット21の積層方向への伸縮が阻害されることが少なく、圧力室10の容積変化量を大きくすることができるようになっている。なお、共通電極34は、積層方向への射影領域が圧力室領域を含むように圧力室10よりも大きいものが圧力室10ごとに多数形成されてもよいし、或いは、射影領域が圧力室領域に含まれるように圧力室10よりもやや小さいものが圧力室10ごとに多数形成されてもよく、必ずしもシート全面に形成された1枚の導電シートである必要はない。ただし、このとき、圧力室10に対応する部分がすべて同一電位となるように共通電極どうしが電気的に接続されていることが必要である。
【0057】
本実施の形態によるインクジェットヘッド1において、圧電シート41〜44の分極方向はその厚み方向となっている。つまり、アクチュエータユニット21は、最上側(つまり、圧力室10から最も離れた側)の圧電シート41を外部電界の印加で変形する活性層が存在する層とし且つ下側(つまり、圧力室10に近い側)3枚の圧電シート42〜44を活性層の変形によって変形する非活性層とした、いわゆるユニモルフタイプの構成となっている。従って、個別電極35を共通電極34に対して正又は負の所定電位とすると、例えば電界と分極とが同方向であれば圧電シート41〜43中の電極に挟まれた電界印加部分が活性層として働き圧電横効果により分極方向と直角方向に縮む。一方、圧電シート42〜44は、電界の影響を受けないため自発的には縮まないので、最上層の圧電シート41と下層の圧電シート42〜44との間で、分極方向と垂直な方向への歪みに差を生じることとなり、圧電シート41〜44全体が非活性側に凸となるように変形しようとする(ユニモルフ変形)。このとき、図11で示したように、圧電シート41〜44の下面は圧力室を区画する隔壁(キャビティプレート)22の上面に固着されているので、結果的に圧電シート41〜44は圧力室側へ凸になるように変形する。このため、圧力室10の容積が低下して、インクの圧力が上昇し、インク吐出口8からインクが吐出される。その後、個別電極35を共通電極34と同じ電位に戻すと、圧電シート41〜44は元の形状になって圧力室10の容積が元の容積に戻るので、インクをマニホールド5側から吸い込む。
【0058】
なお、他の駆動方法として、予め個別電極35を共通電極34と異なる電位にしておき、吐出要求があるごとに個別電極35を共通電極34と一旦同じ電位とし、その後所定のタイミングにて再び個別電極35を共通電極34と異なる電位にすることもできる。この場合は、個別電極35と共通電極34とが同じ電位になるタイミングで、圧電シート41〜44が元の形状に戻ることにより、圧力室10の容積は初期状態(両電極の電位が異なる状態)と比較して増加し、インクがマニホールド5側から圧力室10内に吸い込まれる。その後再び個別電極35を共通電極34と異なる電位にしたタイミングで、圧電シート41〜44が圧力室10側へ凸となるように変形し、圧力室10の容積低下によりインクへの圧力が上昇し、インクが吐出される。
【0059】
また、圧電シート41〜44に印加される電界方向とその分極方向とが逆であれば、圧電横効果により、個別電極35と共通電極34とで挟まれた圧電シート41内の活性層が分極方向と直角方向に伸長しようとする。従って、圧電シート41〜44は、圧力室10側に凹となるように変形する。このため、圧力室10の容積が増加して、インクをマニホールド5側から吸い込む。その後、個別電極35の電位が元に戻れば、圧電シート41〜44は元の平板形状となり、圧力室10の容積が元の容積に戻るので、インク吐出口8からインクを吐出する。
【0060】
上述したように、本実施の形態によるインクジェットヘッド1は、アクチュエータユニット21の非活性層側が圧力室を区画する隔壁22の上面に固定され、最上層の圧電シート41だけが圧電効果による自発的な変位を生じる活性層を含むように構成されている。固定されていない最上層の圧電シート41に活性層が含まれていることから、このままでは、外部電界の印加に伴う活性層の変位は、隣接する領域にも伝搬してしまう。しかし、各個別電極35の主電極部35aの鋭角部近傍を除いた部分に圧電シート42に達する溝部61a、61bが形成され、これら2つの溝部61a、61bが、圧力室10の第2配列方向において主電極部35aの鋭角部からやや離れた位置から平面視で圧力室10に沿って、主電極部35aと補助電極部335bとが接続されるくびれ部近傍まで延設されている。このため、個別電極35に電圧を印加したときに大きな変位を生じる主電極部35aの中心部から圧電シート41の面方向に見回した場合、面内のほとんどの方向に少なくとも1つの溝部61が存在することになる。したがって、溝部61が形成されていない場合に比べて、ある圧力室10に対応する部分の活性層が変形したとしても、隣接する別の圧力室10に対応する部分の圧電シート41の変形量は小さくなる。つまり、本来インクを吐出すべきでないインク吐出口からインクが吐出されたり、インク吐出量が本来の量よりも増加又は減少する、いわゆるクロストークの発生が抑制される。よって、良好な画質の画像を印刷可能となってインクジェットプリンタの品質が向上すると共に、圧力室10をより一層高密度に配置することができるようになって、さらに高解像度の画像を形成することが可能となる。
【0061】
活性層が駆動される際、流路ユニット4との固定部から最も離れた圧電シート41は、その他の圧電シート42、43、44よりも変形量が大きい。したがって、圧電シート41の上面、すなわち、アクチュエータユニット21において圧力室10対向面とは反対側の面に溝部61a、61bが形成されていることにより、隣接する圧力室10側に伝わる変形及びこれによって生じるクロストークを効果的に削減することが可能となっている。また、溝部61a、61bを圧電シート41の上面に形成するので、製造工程が簡易で製造しやすく、しかも溝部61a、61bを高い位置精度で形成することができる。
【0062】
本実施の形態のインクジェットヘッド1において、共通電極34を貫いて圧電シート42に達している溝部61a、61bは、主電極部35aを完全に取り囲む環状には形成されていない。そのため、主電極部35a内に対応する部分の共通電極34が他の部分から分離されることがなく、共通電極34は一体の連続したものとなっている。よって、共通電極34への配線が容易なものとなっている。
【0063】
アクチュエータユニット21は、活性層を含む圧力室10から最も離れた圧電シート41と流路ユニット4との間に、3枚の非活性層としての圧電シート42〜44が配置されたユニモルフ構造となっている。そのため、活性層の有する圧電横効果により圧力室10の容積変化量を大きくすることができて、圧力室10側が活性層を含む層でその反対側が非活性層のインクジェットヘッドと比較して、個別電極35に印加される電圧の低電圧化及び/又は圧力室10の高集積化を図ることが可能となる。印加電圧の低電圧化を図ることにより、個別電極35を駆動するドライバを小型化できてコストを抑えることができ、圧力室10を小さくして高集積化を図ったときであっても十分な量のインクを吐出することが可能となって、ヘッド1の小型化と印刷ドットの高密度配置が実現される。また、活性層を含む層を1層とすることで、圧力室10の容積変化量を比較的大きくすることができ、従って、個別電極35の駆動電圧の低電圧化と共に圧力室10の小型化及び高集積化を図ることが可能となることが本発明者によって確認された。
【0064】
また、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、最も圧力室10から離れた圧電シート41が活性層を含む層となるように構成されることにより、活性層の変形を規制する別の層が活性層上にないことになる。これにより、最も圧力室10から離れた圧電シートが非活性層である場合に比較して、活性層の有する圧電横効果による圧力室10の容積変化量をより大きくすることができる。また、活性層に隣接して溝部61a、61bを形成することによる顕著なクロストーク抑制効果を得ることができる。
【0065】
インクジェットヘッド1は、アクチュエータユニット21の圧力室から最も離れた圧電シート41だけが活性層を含む層であって、その圧力室側にある面とは反対側の面(上面)上だけに個別電極35が形成されたものである。そのため、アクチュエータユニット21を作製する際に、平面視で重なるようにアクチュエータ21の内部に設けられた個別電極に対して電気的に接続するためのスルーホールを形成する必要もなく、容易に製造可能である。
【0066】
インクジェットヘッド1は、活性層が存在する圧電シート41と非活性層である圧電シート42〜44とが同じ材料で形成されているために、材料を交換する手間が不要となり、比較的簡略な製造工程により製造可能である。そのため、製造コストを低減できることが期待される。さらに、活性層を含む圧電シート41と非活性層である圧電シート42〜44とがすべて実質的に同じ厚みを有していることからも、製造工程の簡略化によるコスト削減を図ることができる。なぜなら、圧電シートとなるセラミックス材料を塗布積層していくときの厚さ調整工程を簡単に行うことができるようになるからである。
【0067】
上述のように、共通電極34と個別電極35とで挟まれた圧電シート41の部分は、両電極34、35の間に電圧が印加されると、圧電効果により変形する。例えば、圧電シート41は電圧の印加によりその厚み方向に伸びると、面方向に縮む。このとき、圧電シート41と圧力室10との間には、別の圧電シート42、43、44が非活性層として存在しているので、アクチュエータユニット21の活性層部分は全体として圧力室10側に凸となるように変形する。このときのアクチュエータユニット21の変位量は、圧力室10との相対位置に依存して場所ごとに異なる。すなわち、隔壁22によって変位が規制されるアクチュエータユニット21の変位量は、隔壁22間の幅が広い圧力室10の中央部で一番大きく、隔壁22間の幅が狭い圧力室10の鋭角部近傍で最も小さくなる。
【0068】
ここで、厚み方向への変位量が大きい圧力室10の中央部の近傍領域では、圧電シート41に形成された活性層の面方向の変位と厚み方向の変位とが合成された変位が周囲に伝搬する。この圧力室10の中央部に隣接して別の圧力室10が配置されていると、伝搬した変位は別の圧力室10に対してクロストークとなってインク吐出に悪影響を及ぼす。本実施の形態においては、上述したように、個別電極35の主電極部35aの鋭角部近傍を除いた部分が、圧電シート42の半分程度の厚さ位置まで達する溝部61によって包囲されている。これにより、圧力室10の中央部の近傍領域における不必要な変位の伝播を効果的に防いでいる。
【0069】
一方、圧力室10の鋭角部近傍では、両電極34、35の間に電圧が印加されて面方向の変位が生じても、厚み方向の変位量が非常に小さいか或いはほとんどない。しかも、アクチュエータユニット21が流路ユニット4の隔壁22に固定されていることから、活性層の面方向への変位も伝搬しにくい。そのため、この圧力室10の鋭角部に隣接する別の圧力室10に面方向の変位がやや伝搬するものの、伝搬した変位がクロストークとなってインク吐出に悪影響を及ぼすことがほとんどない。そのため、図10に示すように、圧力室10の鋭角部近傍には、溝部61は形成されていない。さらに、圧力室10の鋭角部近傍に溝部61を設けないことにより、圧電シート41を挟むように形成されている共通電極34の連続性も確保されている。
【0070】
次に、本実施の形態によるインクジェットヘッド1の製造方法について、さらに図12を参照しつつ説明する。
【0071】
インクジェットヘッド1を製造するには、まず流路ユニット4及びアクチュエータユニット21をそれぞれ並行して別個に作製し、その後両者を接着する。流路ユニット4を作製するには、これを構成する各プレート22〜30に、パターニングされたフォトレジストをマスクとしたエッチングを施して、図7及び図9に示すような開孔及び凹部を各プレート22〜30のそれぞれに形成する。その後、インク流路32が形成されるように9枚のプレート22〜30を接着剤を介在させつつ重ね合わせ、接着することで流路ユニット4を作製する。
【0072】
一方、アクチュエータユニット21を作製するには、まず、圧電シート44となるセラミックス材料のグリーンシート上に、補強用金属膜36aとなる導電性のペーストをパターン印刷する。それと並行して、圧電シート43となるセラミックス材料のグリーンシート上に補強用金属膜36bとなる導電性のペーストをパターン印刷すると共に、圧電シート42となるセラミックス材料のグリーンシート上に共通電極34となる導電性のペーストをパターン印刷する。その後、圧電シート41〜44となる4枚のグリーンシートを治具を用いて位置合わせしつつ重ね合わせることによって得られた積層物を所定の温度で焼成する。しかる後、焼成された積層物の圧電シート41上に個別電極35を形成する。個別電極35は、例えば、圧電シート41上に導電膜を全面めっきし、レーザパターニングにより不要部分を除去するか、或いは、個別電極35に対応する部分に開口を有するマスクを用いて圧電シート41上に導電膜をPVD(Physical Vapor Deposition:物理的蒸着)などで蒸着させることにより形成されてよい。ここまでの工程によりアクチュエータユニット21の作製が終了する。
【0073】
なお、上述した焼成時の蒸発を考慮するのであれば、圧電シート41〜44の焼成後に、金属ペーストからなる個別電極35をパターン印刷し、さらに個別電極35を焼成してもよい。この場合、圧電シート41〜44の焼成時に、圧電シート41〜44が既に十分収縮してしまっているので、個別電極の焼成時には収縮による圧電シート41〜44の寸法変化がほとんどない。したがって、メッキ法や蒸着法を用いて形成する場合と同様に、個別電極35を対応する圧力室10と精度良く位置合わせすることができる。
【0074】
また、先に述べたように、補強用金属膜36a、36bを設けることで圧電シート41〜44の脆さを補い、圧電シート41〜44のハンドリング性を向上させることができるが、必ずしも補強用金属膜36a、36bを設ける必要はない。例えば、アクチュエータユニット21のサイズが1インチ程度であれば、補強用金属膜36a、36bを設けなくても、脆さにより圧電シート41〜44のハンドリング性が損なわれることはない。
【0075】
さらに、本実施の形態では、上述のように、圧電シート41上にのみ個別電極35が形成される。一方、圧電シート41以外の圧電シート42〜44上にも個別電極を形成する場合には、かかる個別電極を圧電シート41〜44の積層及び焼成前に所望の圧電シート41〜44上に印刷しなければならなくなる。したがって、焼成時に生じる圧電シート41〜44の収縮のために、圧電シート42〜44上の個別電極の位置精度と、圧電シート41上の個別電極35の位置精度とに差が生じてしまう。しかし、本実施の形態では圧電シート41上にのみ個別電極35を形成するようにしているので、かかる位置精度の差が生じることがなく、個別電極35は、対応する圧力室10と精度よく位置合わせされることになる。
【0076】
次に、上述のようにして作製されたアクチュエータユニット21は、圧電シート44とキャビティプレート22とが接触するように、接着剤により流路ユニット4と接着される。この際、流路ユニット4のキャビティプレート22の表面及び圧電シート41の表面にそれぞれ形成された位置合わせのための目印に基づいて両者が接着される。
【0077】
次に、図12に示すように、個別電極35の主電極部35aをそれぞれ基準にして、平面視で圧力室10の外縁やや外側にレーザビームが照射されるよう出射方向を制御しつつ例えばYAGレーザを用いてレーザ加工を行う。このレーザ加工によって圧電シート42の半ばまで達する「くの字」状(V字状)の溝部61a、61bを各主電極部35aの両側に形成する。
【0078】
その後、個別電極35に電気信号を供給するためのFPC136をアクチュエータユニット21上にハンダ付けにより電気的に接合し、さらに所定の工程を経ることによってインクジェットヘッド1の製造が完了する。
【0079】
以上説明した製造方法では、圧電シート41〜44を積層する際に隣接する圧電シート間に個別電極を形成しない、つまり、圧力室10から最も離れた圧電シート41だけに活性層が含まれるようにしているので、平面視で重なるように設けられた個別電極同士を互いに接続するためのスルーホールを圧電シート41〜44に形成する必要がない。そのため、上述したように、本実施の形態によるインクジェットヘッド1は、比較的簡易な工程により低コストで製造可能である。
【0080】
なお、上述した製造方法では、個別電極35のみ、共通電極34及び補強用金属膜36a、36bとは異なり圧電シート41〜44となるセラミックス材料と一緒に焼成しない。これは、個別電極35が露出しているために、焼成時の高温加熱により蒸発しやすく、セラミックス材料に被覆された共通電極34などに比べて厚みの制御が困難だからである。しかしながら、共通電極34なども焼成時に多少なりとも厚みが減少するので、焼成後の連続性を維持することを考慮するとその厚みを薄くすることが難しい。一方、個別電極35は、焼成後に上述したような手法で形成するために、共通電極34などよりも薄く形成することが可能である。このように、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、最も上層にある個別電極35を共通電極34よりも薄くすることで、活性層である圧電シート41の変位が個別電極35によって規制されづらくなって、インクジェットヘッド1における圧力室10の容積変形量を向上させている。
【0081】
本実施の形態において、溝部61a、61bは上から2番目の圧電シート42に達するように形成されているが、溝部は最上層の圧電シート41内だけに収まるように、つまり上から2番目の圧電シート42に達しないように形成されていてもよい。或いは、溝部は、上から3番目又は4番目の圧電シート43、44に達するように形成されていてもよい。なお、溝部を上から2番目以下の圧電シートに達するように形成する場合、共通電極34が複数に分離されることがないように溝部を環状とせず、少なくとも一部において他の領域とつながるようにすることが好ましい。ただし、各共通電極のための配線を設けるようにすれば、共通電極が溝部のために複数に分割されていてもよい。
【0082】
本実施の形態では、凹部として細長い溝部61a、61bを形成したが、凹部の形状は細長い溝とする必要はなく、例えば平面形状が円形の凹部を隣接する圧力室10の間に対応した領域に一または複数形成するようにしてもよい。ただし、細長い溝部とすることは、よりクロストークの抑制効果を高めることができる点で好ましい。
【0083】
本実施の形態では、凹部として平面視で圧力室10の外縁に対応した細長い溝部61a、61bを形成しているが、このような細長い溝部を圧力室の各外縁につき2本以上並列に設けてもよい。また、溝部の幅は圧電シートの動作を阻害しない範囲で任意に変更可能である。
【0084】
本実施の形態では、レーザ加工により溝部61a、61bを形成しているが、溝部はレーザ加工以外に、パターニングされたフォトレジストをマスクとしたエッチングなど様々な方法によって形成することが可能である。
【0085】
また、凹部はアクチュエータユニット21と流路ユニット4とを接着する前に形成してもよいし、上述のように接着した後に形成してもよい。さらに、最上層の圧電シート41上に個別電極35を形成する場合には、当該圧電シート41上の全面に導電膜を形成した後にレーザ加工によって個別電極35となる領域以外の導電膜を除去し、この導電膜除去に併せて圧電シート41に凹部を形成するようにしてもよい。
【0086】
また、上述の実施の形態では、圧力室10から最も離れた最上層の圧電シート41だけに活性層を形成しているが、最上層の圧電シート41は必ずしも活性層を含んでいなくてもよく、また、最上層の圧電シート41に加えてそれ以外の圧電シートに活性層を形成してもよい。これらの場合であっても、十分なクロストークの抑制効果を得ることができ 。さらに、上述の実施の形態では非活性層はすべて圧電シートであるが、非活性層として圧電シート以外の絶縁シートを用いてもよい。
【0087】
次に、本発明の第2〜第6の実施の形態によるインクジェットヘッドについて説明する。なお、これら実施の形態によるインクジェットヘッドは、アクチュエータユニットに形成される溝部の位置及び形状においてのみ第1の実施の形態と相違している。そこで、これらの実施の形態にかかる図面において、第1の実施の形態と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0088】
図13は、本発明の第2の実施の形態によるインクジェットヘッドにおけるアクチュエータユニットの拡大平面図である。図14は、図13のXIII−XIII線に沿った断面図である。
【0089】
図13に示すように、本実施の形態のインクジェットヘッドにおいて、アクチュエータユニット21’の上面であって第1配列方向に隣接する2つの個別電極35の間には、主電極部35aの鋭角部近傍を除いた部分に対応して、主電極部35aの長い方の対角線と平行に、ほぼ直線状の溝部61cが設けられている。溝部61cは、図14に示すように、アクチュエータユニット21’を貫通しており、その底部はキャビティプレート22の上面に達している。
【0090】
このような形態を有するアクチュエータユニット21’は、上述のようにアクチュエータユニット21’を構成する各圧電シートに、補強用金属膜36bや共通電極34となる導電性ペーストをパターン印刷して重ね合わせ、所定の温度で焼成され、さらに焼成された積層物において圧電シート41上に個別電極35を形成することで得られる。溝61cとなる直線状の貫通孔は、アクチュエータユニット21’を接着剤により流路ユニット4に固定した後にYAGレーザの出力や照射回数、出射方向を調整しながらレーザ加工を行うことで穿設される。その後、図14に示すように、個別電極35に電気信号を供給するためのFPC136をアクチュエータユニット21’上に貼り付けて、インクジェットヘッド1の製造が完了する。
【0091】
以上説明した溝部61cの形態では、溝部61cがアクチュエータユニット21’の表面からその反対側の面に達する貫通孔として形成されているので、個別電極35と共通電極343との間に電圧を印加することにより生じる活性層の変位を、隣接する圧力室側へ伝搬させるセラミックス材料自体が存在していない。これにより、より効果的に隣接する圧力室側への変位の伝搬、すなわち、クロストークを抑制することができる。また、図14に示すように、貫通孔である溝部61cは、流路ユニット4の隣接する圧力室の間の部分に対応して、アクチュエータユニット21’を確実に接着固定できるだけの肉厚を残してアクチュエータユニット21’に形成されているので、圧電素子としての機械的剛性を高く保つことができ、インクジェットヘッド1におけるインク吐出性能の応答性を高めることができる。
【0092】
また、溝部61c内は、溝部61c内に露出した電極の腐食を防止するためにシリコンゴム71で埋め込まれていてもよい。シリコンゴム71は、圧電シート41〜44に比較して、変形を伝播しにくい材料である。
【0093】
このように溝部61cがアクチュエータユニット21’を貫通していることにより、ある圧力室10に対応する活性層を駆動させたときに隣接する圧力室10側に伝わる変形及びこれによって生じるクロストークを極めて効果的に削減することが可能となっている。
【0094】
なお、このようにアクチュエータユニットを貫通する溝部は、本実施の形態だけではなく、上述した第1の実施の形態や、後述する第3〜第5の実施の形態においても採用することが可能である。また、本実施の形態において、溝部61cをアクチュエータユニット21’を貫通しないものとしてもよい。この場合、隣接する個別電極35間に形成される溝が1本だけになるので、第1の実施の形態に比べて製造工程が簡略化される。
【0095】
次に、本発明の第3の実施の形態によるインクジェットヘッドについて説明する。図15は、本実施の形態によるインクジェットヘッドにおけるアクチュエータユニットの拡大平面図である。
【0096】
図14に示すように、本実施の形態のインクジェットヘッドにおいて、アクチュエータユニットの上面には、各個別電極35の主電極部35aの右下側辺からやや離隔しており平面視で圧力室10の内壁とほぼ同じ位置(主電極部35aの鋭角部近傍を除く)から、当該個別電極35に対して第1配列方向右側に隣接する個別電極35の主電極部35aの左上側辺からやや離隔しており平面視で圧力室10の内壁とほぼ同じ位置(主電極部35aの鋭角部近傍を除く)にかけて、ほぼ直線状の溝部61dが設けられている。溝部61dは、圧電シート41を貫通しており、その底部は圧電シート42の半ばまで達している。本実施の形態においても、溝部61dが設けられていることにより、第1の実施の形態と同様に、ある圧力室10に対応する活性層を駆動させたときに隣接する圧力室10側に伝わる変形及びこれによって生じるクロストークを削減することが可能である。
【0097】
次に、本発明の第4の実施の形態によるインクジェットヘッドについて説明する。図16は、本実施の形態によるインクジェットヘッドにおけるアクチュエータユニットの拡大平面図である。
【0098】
図16に示すように、本実施の形態のインクジェットヘッドにおいて、アクチュエータユニットの上面には、各個別電極35の主電極部35aの左上側辺からやや離隔しており平面視で圧力室10の内壁とほぼ同じ位置(主電極部35aの鋭角部近傍を除く)にほぼ直線状の溝部61eが設けられていると共に、各個別電極35の主電極部35aの右下側辺からやや離隔しており平面視で圧力室10の内壁とほぼ同じ位置(主電極部35aの鋭角部近傍を除く)にほぼ直線状の溝部61fが設けられている。溝部61e、61fは、圧電シート41を貫通しており、その底部は圧電シート42の半ばまで達している。
【0099】
溝部61eの下方端部は、主電極部35aの左上側辺と左下側辺との接続部よりもやや下方に位置している。他方、溝部61fの上方端部は、主電極部35aの右上側辺と右下側辺との接続部よりもやや上方に位置している。つまり、2つの溝部61eと61fとは、主電極部35aの長い方の対角線方向に関して若干オーバーラップしている。このように、それぞれが比較的短いものの主電極部35aの長い方の対角線方向に関して互いにオーバーラップするように溝部61e、61fが設けられていることにより、第1の実施の形態と同様に、ある圧力室10に対応する活性層を駆動させたときに隣接する圧力室10側に伝わる変形及びこれによって生じるクロストークを削減することが可能である。なお、溝部61eの下方端部と61fの上方端部が主電極部35aの長い方の対角線方向に関してオーバーラップしておらず、両者が主電極部35aの長い方の対角線方向に関してほぼ同じ位置にあっても、同様の効果が得られる。
【0100】
次に、本発明の第5の実施の形態によるインクジェットヘッドについて説明する。図17は、本実施の形態によるインクジェットヘッドにおけるアクチュエータユニットの拡大平面図である。
【0101】
図17に示すように、本実施の形態のインクジェットヘッドにおいて、アクチュエータユニットの上面には、各個別電極35の主電極部35aの左側辺からやや離隔しており平面視で圧力室10の内壁とほぼ同じ位置(主電極部35aの鋭角部近傍を除く)に「くの字」状(V字状)の溝部61gが設けられている。溝部61gは、圧電シート41を貫通しており、その底部は圧電シート42の半ばまで達している。本実施の形態においても、溝部61gが設けられていることにより、第1の実施の形態と同様に、ある圧力室10に対応する活性層を駆動させたときに隣接する圧力室10側に伝わる変形及びこれによって生じるクロストークを削減することが可能である。
【0102】
次に、本発明の第6の実施の形態によるインクジェットヘッドについて説明する。図18は、本実施の形態によるインクジェットヘッドにおけるアクチュエータユニットの拡大平面図である。
【0103】
図18に示すように、本実施の形態のインクジェットヘッドは、第1の実施の形態に形成された溝部61a、61bよりも長く、圧力室10の鋭角部にさらに近い位置にまで延在した溝部61h、61iを有している。このとき、図18中において中央に描かれている圧力室10の中心位置から、図18中に描かれている当該圧力室10に隣接する6個の圧力室10方向を見たとき、どの方向にも少なくとも1つの溝部61が存在しているために、極めて高いクロストーク抑制効果が得られる。
【0104】
また、上述の説明からも明らかなように、本実施の形態においては、大きな変位を生じる主電極部35aの中心位置から第2配列方向を見た場合、ある圧力室10の中心位置と、第2配列方向に隣接する別の圧力室10との間に少なくとも1つの溝部61が存在することになる。したがって、ある圧力室10に対応する活性層が変形したときにおける、第2配列方向に隣接する別の圧力室10に対応する部分の圧電シート41の変形量は、かかる溝部61が形成されていない場合に比べて小さくなる。第2配列方向に隣接する圧力室10は、印刷が行われる際に同時に駆動されることが多いため、本実施の形態のように、第2配列方向に隣接する圧力室10の間に対応して少なくとも1つの溝部61を形成することによって、画質に悪影響を及ぼすクロストークの発生を大幅に抑制することが可能である。
【0105】
上述した第1〜第6の実施の形態からも明らかなように、本発明において、アクチュエータユニットに形成される溝部の位置及び形状は種々変更が可能である。例えば、第1の実施の形態で説明した溝部61a、61bと、第2の実施の形態で説明した溝部61cとの両方をアクチュエータユニットに形成してもよい。
【0106】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述した実施の形態において、圧電シートや電極の材料は、上述したものに限らず、その他の公知の材料に変更してもよい。また、圧力室の平面形状や断面形状、配置形態、活性層を含む圧電シートの数、非活性層の数などは、適宜変更してよい。例えば、細長く形成されたアクチュエータユニット1つだけを流路ユニットに接着するようにいてもよい。また、活性層を含む圧電シートと非活性層とで層厚を異なる厚みにしてもよい。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、クロストークの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態によるインクジェットヘッドを含むインクジェットプリンタの概略図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態によるインクジェットヘッドの斜視図である。
【図3】 図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】 図2に描かれたインクジェットヘッドに含まれるヘッド本体の平面図である。
【図5】 図4内に描かれた一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【図6】 図5内に描かれた一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【図7】 図4に描かれたヘッド本体の部分断面図である。
【図8】 図5内に描かれた二点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【図9】 図4に描かれたヘッド本体の部分分解斜視図である。
【図10】 アクチュエータユニットの拡大平面図である。
【図11】 図4に示すヘッド本体の図10のXI−XI線に沿った部分断面図である。
【図12】 図4に示すヘッド本体の製造途中の一過程における、図11に対応した部分断面図である。
【図13】 本発明の第2の実施の形態によるインクジェットヘッドに含まれるアクチュエータユニットの拡大平面図である。
【図14】 本発明の第2の実施の形態によるインクジェットヘッドのヘッド本体の部分断面図である。
【図15】 本発明の第3の実施の形態によるインクジェットヘッドに含まれるアクチュエータユニットの拡大平面図である。
【図16】 本発明の第4の実施の形態によるインクジェットヘッドに含まれるアクチュエータユニットの拡大平面図である。
【図17】 本発明の第5の実施の形態によるインクジェットヘッドに含まれるアクチュエータユニットの拡大平面図である。
【図18】 本発明の第6の実施の形態によるインクジェットヘッドに含まれるアクチュエータユニットの拡大平面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
1a ヘッド本体
4 流路ユニット
5 マニホールド
5a 副マニホールド
8 インク吐出口
10 圧力室
12 アパーチャ
21 アクチュエータユニット
22 キャビティプレート
30 ノズルプレート
32 インク流路
34 共通電極
35 個別電極
35a 主電極部
35b 補助電極部
36a,36b 補強用電極
41 圧電シート(活性層を含む層)
42、43、44 圧電シート(非活性層)
61a、61b 溝部(凹部)
101 インクジェットプリンタ
136 フレキシブルプリント回路(FPC)

Claims (15)

  1. 一端をノズルに他端をインク供給源にそれぞれ接続された複数の圧力室を含み、前記複数の圧力室がマトリクス状に互いに隣接配置された流路ユニットと、
    前記圧力室の容積を変化させるために前記流路ユニットの一表面に固定されたアクチュエータユニットとを備えており、
    前記アクチュエータユニットが、
    複数の前記圧力室に跨って連続して配置されており、厚み方向に分極した圧電シートと、
    前記圧電シートの一方側に配設され、一定電位に保たれた共通電極と、
    前記圧電シートの他方側に配設され、各圧力室に対応する位置に配置された複数の個別電極と、
    前記圧電シートの前記圧力室の間に対応した領域に形成された凹部と、
    前記圧電シートと前記流路ユニットとの間に、複数の前記圧力室に跨って連続して配置された非活性層とを含んでおり、
    前記アクチュエータユニットの前記個別電極に対応する個所は、当該個所に前記厚み方向への電界が印加されたときに、前記圧電シートの前記厚み方向と直交する方向への伸縮に伴ってユニモルフ変形を生じ、
    前記凹部が前記圧電シート及び前記共通電極を貫通して前記非活性層の内部にまで達しており、前記共通電極が前記凹部によって複数に分離されておらず一つの連続体として形成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記圧力室が平行四辺形状に形成されており、各圧力室の辺が互いに平行となるようにマトリクス状に配列され、
    前記個別電極は前記圧力室と相似形に形成され、
    前記凹部は前記圧力室を実質的に囲むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記凹部は前記圧力室の外縁に沿って形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記凹部が、前記圧力室の鋭角部を除いた領域に対応して形成されていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記流路ユニットは前記複数の圧力室が一列に配置された列を複数備えており、
    ある一つの前記列内の一つの圧力室と当該列内において当該圧力室に隣接する他の圧力室との間の領域に凹部が形成され、
    前記一つの圧力室の中心から前記他の圧力室方向を見たときに、前記領域に少なくとも1つの凹部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
  6. ある一つの圧力室と当該圧力室に隣接する少なくとも6個の圧力室との間の領域に前記凹部が形成され。
    前記一つの圧力室から前記隣接する圧力室方向を見たときに、前記領域に少なくとも1つの凹部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットヘッド。
  7. 前記凹部が、前記流路ユニットの前記一表面に固定された面とは反対側の面に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  8. 前記凹部が、前記アクチュエータユニットを貫通していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  9. 前記非活性層が圧電シートからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  10. 前記圧力室から最も離れた前記圧電シートが、前記共通電極と前記個別電極とに挟まれていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  11. 前記アクチュエータユニットが複数の前記非活性層を含んでおり、
    互いに隣接する2つの前記非活性層の間に補強用金属膜が配設されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  12. 前記補強用金属膜が、前記凹部によって複数に分離されておらず一つの連続体として形成されていることを特徴とする請求項11に記載のインクジェットヘッド。
  13. 前記圧力室から最も離れた前記圧電シートが、前記個別電極と前記共通電極とに挟まれており、
    前記凹部が、前記個別電極と前記共通電極とに挟まれた前記圧電シートに隣接した前記非活性層の厚みの半分程度の位置にまで達していることを特徴とする請求項11又は12に記載のインクジェットヘッド。
  14. 前記凹部の中にシリコンゴムが充填されていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
  15. 一端をノズルに他端をインク供給源にそれぞれ接続された複数の圧力室を含み、前記複数の圧力室がマトリクス状に互いに隣接配置された流路ユニットと、
    前記圧力室の容積を変化させるために前記流路ユニットの一表面に固定されたアクチュエータユニットとを備えたインクジェットヘッドを含むインクジェットプリンタであって、
    前記アクチュエータユニットが、
    複数の前記圧力室に跨って連続して配置されており、厚み方向に分極した圧電シートと、
    前記圧電シートの一方側に配設され、一定電位に保たれた共通電極と、
    前記圧電シートの他方側に配設され、各圧力室に対応する位置に配置された複数の個別電極と、
    前記圧電シートの前記圧力室の間に対応した領域に形成された凹部と、
    前記圧電シートと前記流路ユニットとの間に、複数の前記圧力室に跨って連続して配置された非活性層とを含んでおり、
    前記圧電シートと前記流路ユニットとの間には、非活性層が配置されおり、
    前記アクチュエータユニットの前記個別電極に対応する個所は、当該個所に前記厚み方向への電界が印加されたときに、前記圧電シートの前記厚み方向と直交する方向への伸縮に伴ってユニモルフ変形を生じ、
    前記凹部が前記圧電シート及び前記共通電極を貫通して前記非活性層の内部にまで達しており、前記共通電極が前記凹部によって複数に分離されておらず一つの連続体として形成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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