以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施の形態によるインクジェットヘッドを含むインクジェットプリンタの概略図である。図1に示すインクジェットプリンタ301は、4つのインクジェットヘッド1を有するカラーインクジェットプリンタである。このプリンタ301には、図中左方に給紙部311が、図中右方に排紙部312が、それぞれ構成されている。
プリンタ301内部には、給紙部311から排紙部312に向かって流れる用紙搬送経路が形成されている。給紙部311のすぐ下流側には、画像記録媒体たる用紙を挟持搬送する一対の送りローラ305a、305bが配置されている。一対の送りローラ305a、305bによって用紙は図中左方から右方へ送られる。用紙搬送経路の中間部には、二つのベルトローラ306、307と、両ローラ306、307間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト308とが配置されている。搬送ベルト308の外周面すなわち搬送面にはシリコーン処理が施されており、一対の送りローラ305a、305bによって搬送されてくる用紙を、搬送ベルト308の搬送面にその粘着力により保持させながら、一方のベルトローラ306の図中時計回り(矢印304の方向)への回転駆動によって下流側(右方)に向けて搬送できるようになっている。
用紙のベルトローラ306に対する挿入及び排出位置には、押さえ部材309a、309bがそれぞれ配置されている。押さえ部材309a、309bは、搬送ベルト308上の用紙が搬送面から浮かないように、搬送ベルト308の搬送面に用紙を押し付けて搬送面上に確実に粘着させるためのものである。
用紙搬送経路に沿って搬送ベルト308のすぐ下流側には、剥離機構310が設けられている。剥離機構310は、搬送ベルト308の搬送面に粘着されている用紙を搬送面から剥離して、右方の排紙部312へ向けて送るように構成されている。
4つのインクジェットヘッド1は、その下端にヘッドユニット70を有している。ヘッドユニット70は、それぞれが矩形断面を有しており、その長手方向が用紙搬送方向に垂直な方向(図1の紙面垂直方向)となるように互いに近接配置されている。つまり、このプリンタ301は、ライン式プリンタである。4つのヘッドユニット70の各底面は用紙搬送経路に対向しており、これら底面には微小径を有する多数のインク吐出口が形成されたノズルが設けられている。4つのヘッドユニット70のそれぞれからは、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックのインクが吐出される。
ヘッドユニット70は、その下面と搬送ベルト308の搬送面との間に少量の隙間が形成されるように配置されており、この隙間部分に用紙搬送経路が形成されている。この構成で、搬送ベルト308上を搬送される用紙が4つのヘッドユニット70のすぐ下方側を順に通過する際、この用紙の上面すなわち印刷面に向けてノズルから各色のインクが噴射されることで、用紙上に所望のカラー画像を形成できるようになっている。
インクジェットプリンタ301は、インクジェットヘッド1に対するメンテナンスを自動的に行うためのメンテナンスユニット317を有している。このメンテナンスユニット317には、4つのヘッドユニット70の下面を覆うための4つのキャップ316や、図示せぬパージ機構などが設けられている。
メンテナンスユニット317は、インクジェットプリンタ301で印刷が行われているときには、給紙部311の直下方の位置(退避位置)に位置している。そして、印刷終了後に所定の条件が満たされたとき(例えば、印刷動作が行われない状態が所定の時間だけ継続したときや、プリンタ301の電源OFF操作がされたとき)は、4つのヘッドユニット70の直ぐ下方の位置に移動して、この位置(キャップ位置)にて、キャップ316によってヘッドユニット70の下面をそれぞれ覆い、ヘッドユニット70のノズル部分のインクの乾燥を防止するようになっている。
ベルトローラ306、307や搬送ベルト308は、シャーシ313によって支持されている。シャーシ313は、その下方に配置された円筒部材315上に載置されている。円筒部材315は、その中心から外れた位置に取り付けられた軸314を中心として回転可能となっている。そのため、軸314の回転に伴って円筒部材315の上端高さが変化すると、それに合わせてシャーシ313が昇降する。メンテナンスユニット317を退避位置からキャップ位置に移動させる際には、予め円筒部材315を適宜の角度回転させてシャーシ313、搬送ベルト308及びベルトローラ306、307を図1に示す位置から適宜の距離だけ下降させ、メンテナンスユニット317の移動のためのスペースを確保しておく必要がある。
搬送ベルト308によって囲まれた領域内には、インクジェットヘッド1と対向する位置、つまり上側にある搬送ベルト308の下面と接触することによって内周側からこれを支持するほぼ直方体形状(搬送ベルト308と同程度の幅を有している)のガイド318が配置されている。
次に、本実施の形態によるインクジェットヘッド1の構造について、より詳細に説明する。図2は、インクジェットヘッド1の外観斜視図である。図3は、図2のIII−III線における断面図である。
図2および図3に示すように、本実施の形態によるインクジェットヘッド1は、一方向(主走査方向)に延在した略矩形の平面形状を有するヘッドユニット70と、ヘッドユニット70を支持するための支持部材71と、個別電極35a(図6および図10参照)等に駆動信号を供給するドライバIC80と、基板81と、ヒートシンク82とを有している。
ヘッドユニット70は、流路ユニット4と、流路ユニット4の上面に接着された複数のアクチュエータユニット21(共に図4および図7参照)とを含んでおり、用紙に対してインクを吐出するための略矩形の平板状の部材である。なお、ヘッドユニット70の詳細な構成については後述する。
支持部材71は、図3に示すように、ヘッドユニット70の上面と部分的に接着されることでヘッドユニット70を支持するベースブロック75と、ベースブロック75の上面と接着されることでベースブロック75を保持するホルダ72とから構成されている。ベースブロック75は、ヘッドユニット70にインクを供給するためのインク供給源又はインク供給部材としての機能を有している。ホルダ72は、ヘッドユニット70側に配置されるホルダ本体73と、ホルダ本体73からヘッドユニット70とは反対側に延在した一対のホルダ支持部74とから構成されている。
ホルダ本体73は、ヘッドユニット70とほぼ同じ形状を有する平板状の部材であって、副走査方向(インクジェットヘッド1に対する用紙の相対的な移動方向であって、主走査方向と直交する方向)両端部には、その長尺方向に伸延するとともに、下方に突出するように形成された一対の突出部73aが設けられている。ここで、一対の突出部73aは、いずれもホルダ本体73の長尺方向全幅にわたって形成されているため、ホルダ本体73の下面には、一対の突出部73aによって挟まれた略直方体形状の溝部73bが形成される。また、一対のホルダ支持部74は、いずれも平板状の部材であって、ホルダ本体73の長尺方向に沿って所定の間隔を隔てるとともに、互いに平行に設けられている。
ベースブロック75は、ヘッドユニット70の長尺方向長さとほぼ同じ長さを有する略直方体形状の部材であって、ヘッドユニット70に供給されるインクの流路を有している。また、ベースブロック75は、ホルダ本体73の溝部73b内に収納されるように配置されている。ここで、ベースブロック75の上面と、ホルダ本体73の溝部73bの底面とは、接着剤によって接着されている。なお、ベースブロック75の厚さは、ホルダ本体73の溝部73bの深さよりも若干大きいため、ベースブロック75の下端部は、ホルダ本体73の溝部73bよりも下方に飛び出している。
ベースブロック75の内部には、ヘッドユニット70に供給されるインクの流路として、その長尺方向に伸延する2つの略直方体形状の空隙(中空領域)であるインク溜まり3(図4参照)が設けられている。2つのインク溜まり3は、ベースブロック75の長尺方向に沿って所定の間隔を隔てるとともに、互いに平行に設けられている。つまり、2つのインク溜まり3は、ベースブロック75の内部に形成された略直方体形状の空隙が、ベースブロック75の軸中心位置近傍にその長手方向に沿って配置された隔壁75aによって2分割されて形成されている。また、ベースブロック75の下面76には、一方の(図3では左側の)インク溜まり3に対応する位置に、開口3bが形成されている。
ここで、ベースブロック75の内部を2分割する隔壁75aは、この内部を完全に2分割するように長尺方向に沿って配置されていてもよいし、隔壁75aの両側に形成されるインク溜まり3が互いに連通するように長尺方向に沿って部分的に配置されていてもよい。あるいは、ヘッドユニット70にインクを供給するため、インク供給口として働く開口3bの開設を妨げないのならば、隔壁75aはベースブロック75の内部において副走査方向に延びるように配置されてもよい。この場合においても、この隔壁75aにより形成されるインク溜まり3が隔絶されるように隔壁75aが配置されていてもよいし、インク溜まり3が互いに連通するように配置されていてもよい。さらに、この隔壁75aは、複数配置されていてもよい。いずれも場合も、空隙を内部に有するベースブロック75は、この内部に配置される隔壁75aによりインクジェットヘッド1を構成する一種の剛性部材として働き、インクジェットヘッド1が長尺であっても、印可される外力によって撓んでしまうことを防ぐことができる。
ベースブロック75の下面76は、開口3bの近傍において周囲よりも下方に飛び出している。そして、ベースブロック75は、下面76の開口3b近傍部分76aにおいてのみヘッドユニット70の流路ユニット4(図3参照)と接触している。そのため、ベースブロック75の下面76の開口3b近傍部分76a以外の領域は、ヘッドユニット70から離隔しており、この離隔部分にアクチュエータユニット21が配されている。
このように、本実施の形態では、支持部材71に含まれるベースブロック75は、断面が略長方形であって、その中央部が中空構造(その長手方向に伸延する空隙を有する構造)になっている。そのため、ステンレスなどの金属材料からなるベースブロック75は、支持部材71(インクジェットヘッド1)を補強する軽量の構造体としての機能を有している。また、ベースブロック75内には、その内部に形成された空隙をその長手方向に沿って2分割する隔壁75aを有している。従って、ベースブロック75内に隔壁75aが設けられていることによっても、支持部材71の強度が向上している。
ホルダ72の一対のホルダ支持部74の根本部近傍における副走査方向外側の側面には、スポンジなどで形成された平板状の弾性部材83を介してドライバIC80が取り付けられている。ドライバIC80には、給電部材であるフレキシブルプリント配線板(FPC)50が接続されている。なお、FPC50は、弾性部材83とドライバIC80との間を通過するように配置されている。そして、ドライバIC80の外側には、その外側表面に密着するようにヒートシンク82が配置されている。ヒートシンク82は、略直方体形状の部材であって、ドライバIC80において発生する熱を放出するためのものである。弾性部材83は、FPC50を介して、駆動時に発熱するドライバIC80を放熱用のヒートシンク82に対して押圧しており、良好な放熱が実現されている。
また、ドライバIC80およびヒートシンク82の上方であって、FPC50の外側には、基板81が設けられている。ドライバIC80に接続されたFPC50は、基板81およびヘッドユニット70とハンダ付けによって電気的に接合されている。ここで、ヒートシンク82の上端部近傍と基板81との間、および、ヒートシンク82の下端部近傍とFPC50との間は、それぞれシール部材84で接着されている。
図4は、ヘッドユニット70の模式的な平面図である。ここで、ヘッドユニット70は、図4に示すように、後述する多数の圧力室10やインク吐出口8(共に図5〜図7参照)が形成された流路ユニット4を有しており、その上面には、千鳥状になって2列に配列された複数の台形のアクチュエータユニット21が接着されている。なお、図4は、支持部材71側からヘッドユニット70を見たときの図である。より詳細には、各アクチュエータユニット21は、その平行対向辺(上辺及び下辺)が流路ユニット4の長手方向に沿うように配置されている。また、隣接するアクチュエータユニット21の斜辺同士が、流路ユニット4の幅方向にオーバーラップしている。なお、図4では、アクチュエータユニット21は、流路ユニット4と後述するベースブロック75との間に配置されており、ベースブロック75にかくれて見えないはずであるが、便宜的に実線で示してある。
アクチュエータユニット21の接着領域と対応した流路ユニット4の下面は、インク吐出領域となっている。インク吐出領域の表面には、後述するように、多数のインク吐出口8がマトリクス状に配列されている。また、流路ユニット4の上方には、その内部の長手方向に沿ってインク溜まり3が形成されたベースブロック75が配置されている。インク溜まり3は、ベースブロック75の上面(ホルダ本体73側)に設けられた開口3aを介してインクタンク(図示せず)に連通しており、常にインクで満たされている。インク溜まり3には、上述したように、その延在方向に沿って開口3bが2つずつ対になって、アクチュエータユニット21が設けられていない領域に千鳥状に設けられている。
図5は、図4内に描かれた一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。図4及び図5に示すように、インク溜まり3は、インク溜まり3に対応して形成された開口3bと、この開口3bに対応するように形成された流路ユニット4側の開口3b’を介して流路ユニット4内のマニホールド5と連通している。流路ユニット4側の開口3b’には、インク内に含有される塵埃などを捕獲するためのフィルタ(図示せず)が設けられていてよい。マニホールド5は、その先端部が2つに分岐して副マニホールド5aとなっている。1つのアクチュエータユニット21の下部には、当該アクチュエータユニット21に対してインクジェットヘッド1の長手方向両隣にある2つの開口3b’からそれぞれ2つの副マニホールド5aが進入してきている。つまり、1つのアクチュエータユニット21の下部には、合計で4つの副マニホールド5aがインクジェットヘッド1の長手方向に沿って延在している。各副マニホールド5aには、インク溜まり3からベースブロック75側の開口3bと流路ユニット4側の開口3b’を介して供給されたインクが満たされている。
ここで、上述したように、インク溜まり3内のインクは、流路ユニット4の長手方向に沿って均等に設けられた複数の開口3b’から流路ユニット4に対して供給される。各開口3aは、図4に示すように、流路ユニット4上に配置された各アクチュエータユニット21に対応するように配置されている。従って、ヘッドが長尺化した場合でも、流路ユニット4に対してインクが安定して供給される。
図6は、図5内に描かれた一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。図5及び図6に示すように、アクチュエータユニット21の上面には、平面形状がほぼひし形の個別電極35aがマトリクス状に規則的に配列されていると共に、アクチュエータユニット21の内部であって、各個別電極35aと上下に重なる位置には、個別電極35aと同形状の個別電極35bが配置されている。また、流路ユニット4のアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域の表面には、多数のインク吐出口8がマトリクス状に規則的に配列されている。流路ユニット4内には、共に各インク吐出口8と連通した、平面形状が個別電極35a、35bよりも一回り大きいほぼひし形の圧力室(キャビティ)10と、アパーチャ12とがそれぞれマトリクス状に規則的に配列されている。圧力室10は、個別電極35a、35bと対応する位置に形成されており、平面視において個別電極35a、35bの大部分は圧力室10の領域に含まれている。なお、図5及び図6において、図面を分かりやすくするために、アクチュエータユニット21内又は流路ユニット4内にあって破線で描くべき圧力室10及びアパーチャ12等を実線で描いている。また、図6には、便宜上、アクチュエータユニット21の上面に貼り付けられたFPC50側に設けられた接続パッド55、60が描かれている。
図5及び図6に示すように、アクチュエータユニット21の上面外縁部付近には、それぞれが円形を有する、多数の接地用電極38が形成されている。多数の接地用電極38は、隣接するもの同士の間隔がほぼ等間隔となるように離隔している。そのため、アクチュエータユニット21上面の個別電極35aが形成された領域は、その全周にわたって多数の接地用電極38によって包囲されていることになる。
図7は、図2に描かれたヘッドユニット及びこれに貼り付けられたFPC50の部分断面図である。各インク吐出口8は、図7からも分かるように、先細形状のノズルの先端に形成されている。各インク吐出口8は、圧力室10(長さ900μm、幅350μm)及びアパーチャ12を介して副マニホールド5aと連通している。このようにして、インクジェットヘッド1には、インクタンクからインク溜まり3、マニホールド5、副マニホールド5a、アパーチャ12及び圧力室10を経てインク吐出口8に至るインク流路32が形成されている。
また、図7から明らかなように、圧力室10とアパーチャ12とは異なる高さに設けられている。これにより、図6に示すように、アクチュエータユニット21の下方にあるインク吐出領域に対応した流路ユニット4内において、1つの圧力室10と連通したアパーチャ12を、当該圧力室に隣接する圧力室10と平面視で同じ位置に配置することが可能となっている。この結果、圧力室10同士が密着して高密度に配列されるため、比較的小さな占有面積のインクジェットヘッド1により高解像度の画像印刷が実現される。
圧力室10は、図5及び図6に描かれた平面内において、インクジェットヘッド1の長手方向(第1配列方向)と、インクジェットヘッド1の幅方向からやや傾いた方向(第2配列方向)との2方向にインク吐出領域内で配列されている。第1配列方向と第2配列方向は、直角よりもやや小さい角度θをなしている。インク吐出口8は、第1配列方向には50dpiで配列されている。一方で、圧力室10は、第2配列方向には1つのアクチュエータユニット21に対応するインク吐出領域内に12個が含まれるように配列されている。これにより、インクジェットヘッド1の全幅内で、第1配列方向に隣接する2つのインク吐出口8間の距離だけ離隔した範囲には、12個のインク吐出口8が存在するようになっている。なお、各インク吐出領域の第1配列方向についての両端部(アクチュエータユニット21の斜辺に相当する)では、インクジェットヘッド1の幅方向に対向する別のアクチュエータユニット21に対応するインク吐出領域と相補関係となることで上記条件を満たしている。そのため、本実施の形態によるインクジェットヘッド1では、第1及び第2配列方向に配列された多数のインク吐出口8から、インクジェットヘッド1の幅方向への用紙に対する相対的な移動に伴って順次インク滴を吐出させることで、主走査方向に600dpiで印刷を行うことが可能になっている。
次に、図8を参照して、流路ユニット4の構造をより詳細に説明する。図8は、圧力室10、インク吐出口8及びアパーチャ(制限流路)12の三者の位置関係を示す模式的な図である。図8に示すように、圧力室10は、第1配列方向に所定の間隔である50dpiで列状に配列されている。このような圧力室10の列は、第2配列方向には12列配列されて、全体として圧力室10は1つのアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域内において2次元配列をしている。
圧力室10には、ノズルが図8中上側の鋭角部に接続されている圧力室10aと、下側の鋭角部に接続されている圧力室10bとの2種類がある。複数の圧力室10a及び複数の圧力室11bは、共に第1配列方向に配列されて圧力室列11a、11bをそれぞれ形成している。図8に示すように、1つのアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域内においては、図8中下側から順に2列の圧力室列11aが配列され、その上側に隣接して2列の圧力室列11bが配列されている。このような2列の圧力室列11aと2列の圧力室列11bとの合わせて4列の圧力室列を1組とした圧力室列の組が、1つのアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域内において、下側から3回繰り返して配列されている。各圧力室列11a、11b中の各圧力室の上側鋭角部を結ぶ直線は、この圧力室列に上側から隣接する圧力室列中の各圧力室の下側斜辺と交差している。
上述のように、図8の紙面に対して垂直な方向から見て、圧力室10に接続されたノズルの配置位置が異なる第1の圧力室列11aと第2の圧力室列11bとを2列ずつ隣接して配列することにより、全体として圧力室10は規則正しく整列している。一方、ノズルは、これら4列の圧力室列を1組とした圧力室列の組の中において中央領域に集まって配列されることになる。これにより、上述のように、4列の圧力室列を1組として、下側から3回繰り返して圧力室列の組を配置した場合、圧力室列の組と組との境界近傍領域、すなわち、このような4列の圧力室列からなる組の両側には、ノズルが存在しない領域が形成される。そして、そこに各圧力室10にインクを供給するための幅の広い副マニホールド5aが延設されている。本案施の形態では、1つのアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域内において、図中下側に1本、一番下側の圧力室列の組と二番目の圧力室列の組との間に1本、一番上側の圧力室列の組の両側に2本、合わせて4本の幅の広い副マニホールド5aが第1配列方向に延設されている。
図8に示すように、インクを吐出するインク吐出口8に連通するノズルは、第1配列方向には、この方向に規則正しく並ぶ圧力室10に対応して、50dpiの等間隔で配列されている。また、第1配列方向と角度θで交差している第2配列方向にも12個の圧力室10が規則正しく配列されているのとは異なり、これら12個の圧力室10に対応した12個のノズルは、上述したように圧力室10の上側の鋭角部に連通したものと下側の鋭角部に連通したものとがあって、第2配列方向に規則的に一定の間隔で配列されていない。
他方、ノズルが圧力室10の同じ側の鋭角部に常に連通している場合には、ノズルも第2配列方向の方向に規則的に一定の間隔で配列されることになる。すなわち、この場合、ノズルは、図中下側から上側に1圧力室列上がるごとに第1配列方向に印字時の解像度である600dpiに相当する間隔ずつ変位するように配列される。これに対して、本実施の形態では、2列の圧力室列11aと2列の圧力室列11bとの合わせて4列の圧力室列を1組として、これが下側から3回繰り返して配列されているので、図中下側から上側に1圧力室列上がるごとのノズル位置の第1配列方向への変位は常に同じではない。
インクジェットヘッド1において、第1配列方向に50dpiに相当する幅(約508.0μm)を有し、この第1配列方向と直交する方向に延在する帯状領域Rについて考える。この帯状領域Rの中には、12列の圧力室列の内の何れの列についても、ノズルが1つしか存在していない。すなわち、1つのアクチュエータユニット21に対応したインク吐出領域内の任意の位置に、このような帯状領域Rを区画した場合、この帯状領域R内には、常に12個のノズルが分布している。そして、これら12個の各ノズルを第1配列方向に延びる直線上に射影した点の位置は、印字時の解像度である600dpiに相当する間隔ずつ離隔している。
1つの帯状領域Rに属する12個のノズルを第1配列方向に延びる直線上に射影した位置が左にあるものから順に、これら12個のノズルを(1)〜(12)と記することにしたとき、これら12個のノズルは、下から、(1)、(7)、(2)、(8)、(5)、(11)、(6)、(12)、(9)、(3)、(10)、(4)の順番に並んでいる。
このように構成された本実施の形態によるインクジェットヘッド1において、アクチュエータユニット21内の活性層を適宜駆動させると、600dpiの解像度を有する文字や図形等を描画することができる。つまり、12列の圧力室列に対応した活性層を印字媒体の搬送に合わせて順次選択的に駆動することで、特定の文字や図形を印字媒体に印刷することができる。
例えば、600dpiの解像度で第1配列方向に延びる直線を印字する場合について説明する。まず、ノズルが圧力室10の同じ側の鋭角部に連通している場合について簡単に説明する。この場合には、印字蝶体が搬送されるのに対応して、図8中一番下に位置する圧力室列中のノズルからインクの吐出を始め、順次上側に隣接する圧力室列に属するノズルを選択してインクを吐出する。これにより、インクのドットが第1配列方向に向かって600dpiの間隔で隣接しながら形成されていく。最終的には、全体で600dpiの解像度で第1配列方向に延びる直線が描かれることになる。
一方、本案施の形態では、図8中一番下に位置する圧力室列11a中のノズルからインクの吐出を始め、印字媒体が搬送されるのに伴って順次上側に隣接する圧力室に連通するノズルを選択してインクを吐出していく。このとき、下側から上側に1圧力室列上がるごとのノズル位置の第1配列方向への変位が常に同じでないので、印字媒体が搬送されるのに伴って第1配列方向に沿って順次形成されるインクのドットは、600dpiの間隔で等間隔にはならない。
すなわち、図8に示したように、印字媒体が搬送されるのに対応して、まず図中一番下の圧力室列11aに連通するノズル(1)からインクが吐出され、印字媒体上に50dpiに相当する間隔(約508.0μm)でドット列が形成される。この後、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から2番目の圧力室列11aに連通するノズル(7)の位置に達すると、このノズル(7)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分(約42.3μm)の6倍だけ第1配列方向に変位した位置(約42.3μm×6=約254.0μm)に2番目のインクドットが形成される。
次に、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から3番目の圧力室列11bに連通するノズル(2)の位置に達すると、ノズル(2)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分(約42.3μm)だけ第1配列方向に変位した位置に3番目のインクドットが形成される。さらに、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から4番目の圧力室列11bに連通するノズル(8)の位置に達すると、ノズル(8)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドットの位置から600dpiに相当する間隔分(約42.3μm)の7倍だけ第1配列方向に変位した位置(約42.3μm×7=約296.3μm)に4番目のインクドットが形成される。さらに、印字媒体の搬送に伴って、直線の形成位置が下から5番目の圧力室列11aに連通するノズル(5)の位置に達すると、ノズル(5)からインクが吐出される。これにより、始めに形成されたドット位置から600dpiに相当する間隔分(約42.3μm)の4倍だけ第1配列方向に変位した位置(約42.3μm×5=約169.3μm)に5番目のインクドットが形成される。
以下同様にして、順次図中下側から上側に位置する圧力室10に連通するノズルを選択しながらインクドットが形成されていく。このとき、図8中に示したノズルの番号をNとすると、(倍率n=N−1)×(600dpiに相当する間隔)に相当する分だけ、始めに形成されたドット位置から第1配列方向に変位した位置にインクドットが形成される。最終的に12個のノズルを選択し終わったときには、図中一番下の圧力室列11a中のノズル(1)により50dpiに相当する間隔(約508.0μm)で形成されたインクドットの間が600dpiに相当する間隔(約42.3μm)毎に離れて形成された12個のドットで繋げられ、全体で600dpiの解像度で第1配列方向に延びる直線を描くことが可能になっている。
次に、本実施の形態によるヘッドユニット70の断面構造について説明する。図9は、図2に描かれたヘッドユニット及びこれに貼り付けられたFPC50の部分分解斜視図である。図7及び図9に示すように、インクジェットヘッド1の底部側の要部は、上から、FPC50、アクチュエータユニット21、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャプレート24、サプライプレート25、マニホールドプレート26、27、28、カバープレート29及びノズルプレート30の合計11枚のシート材が積層された積層構造を有している。これらのうち、FPC50およびアクチュエータユニット21を除いた9枚のプレートから流路ユニット4が構成されている。
アクチュエータユニット21は、後で詳述するように、5枚の圧電シートが積層され且つ電極が配されることによってそのうちの3層が、電界印加時に活性層となる部分を有する層(以下、単に活性層を有する層のように記す)とされ、残り2層が非活性層とされたものである。キャビティプレート22は、圧力室10に対応するほぼひし形の開口が多数設けられた金属プレートである。ベースプレート23は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10とアパーチャ12との連絡孔及び圧力室10からインク吐出口8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。アパーチャプレート24は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、アパーチャ12のほかに圧力室10からインク吐出口8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。サプライプレート25は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、アパーチャ12と副マニホールド5aとの連絡孔及び圧力室10からインク吐出口8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。マニホールドプレート26、27、28は、副マニホールド5aに加えて、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10からインク吐出口8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。カバープレート29は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、圧力室10からインク吐出口8への連絡孔がそれぞれ設けられた金属プレートである。ノズルプレート30は、キャビティプレート22の1つの圧力室10について、ノズルとして機能する先細のインク吐出口8がそれぞれ設けられた金属プレートである。
これにより、圧力室10は、キャビティプレート22の圧力室10を形成する開口の有する一方の開口面がアクチュエータユニット21の下面により閉塞され、他方の開口面がキャビティプレート22の下に位置するベースプレート23の上面により閉塞されることにより形成される。また、各圧力室10にインクを供給する副マニホールド5aは、マニホールドプレート26の副マニホールド5aを形成する開口の上側の開口面がサプライプレート25の下面により閉塞され、マニホールドプレート28の副マニホールド5aを形成する開口の下側の開口面がカバープレート29の上面により閉塞されることにより形成される。
これら10枚のシート21〜30は、図7に示すようなインク流路32が形成されるように、互いに位置合わせして積層される。このインク流路32は、副マニホールド5aからまず上方へ向かい、アパーチャ12において水平に延在し、それからさらに上方に向かい、圧力室10において再び水平に延在し、それからしばらくアパーチャ12から離れる方向に斜め下方に向かってから垂直下方にインク吐出口8へと向かう。なお、FPC50は、アクチュエータユニット21に配置された電極に対して位置合わせして積層される。
次に、アクチュエータユニット21の構造及びこれとFPC50との接続について説明する。図10(a)は、図6に描かれたXA-XA線に沿った、FPC50が貼り付けられたアクチュエータユニットの断面図であって、図7内に描かれた一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。図10(b)は、図6に描かれたXB-XB線に沿った、FPC50が貼り付けられたアクチュエータユニットの断面図である。図10(c)は、図10(a)の一点鎖線で描かれた丸枠内拡大図である。図10(d)は、図10(b)の一点鎖線で描かれた丸枠内拡大図である。
図10(a)及び図10(b)に示すように、アクチュエータユニット21は、それぞれ厚みが15μm程度で同じになるように形成された5枚の圧電シート41、42、43、44、45を含んでいる。これら圧電シート41〜45は、インクジェットヘッド1内の1つのインク吐出領域内に形成された多数の圧力室10に跨って配置されるように連続した層状の平板(連続平板層)となっている。圧電シート41〜45が連続平板層として多数の圧力室10に跨って配置されることで、例えばスクリーン印刷技術を用いることにより、個別電極35a、35bを高密度に配置することが可能となっている。そのため、個別電極35a、35bに対応する位置に形成される圧力室10をも高密度に配置することが可能となって、高解像度画像の印刷ができるようになる。本実施の形態において、圧電シート41〜45は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなるものである。なお、図7及び図10(a)では、FPC50と圧電シート41とが互いの全面において接着されているように描かれているが、実際には、両者は各個別電極35aの主電極部90では接着されていない。これは、主電極部90に貼り付けられたFPC50がアクチュエータユニット21及び圧力室10の変形を阻害するのを防止するためである。
図10(a)に示すように、個別電極35aと個別電極35bとの主電極部90の一端部(補助電極部91と反対側の端部)に対応する位置の間にある圧電シート41、42には、スルーホール41a、42aが形成されている。スルーホール41a、42aには、図10(c)に示すように導電材料(銀パラジウムなど)48が充填されており、この導電材料48を介して、個別電極35aと個別電極35bとが各圧力室10に対応するものごとに互いに接続されている。
図10(b)に示すように、接地用電極38の下方には、圧電シート41、42、43を貫通するスルーホール41b、42b、43bが形成されている。スルーホール41b、42b、43bには、図10(d)に示すように導電材料(銀パラジウムなど)49が充填されており、この導電材料49を介して、接地用電極38が共通電極34a及び共通電極34bに接続されている。
アクチュエータユニット21の最上層にある圧電シート41とその下方に隣接した圧電シート42との間には、厚み2μm程度の共通電極34aが介在している。共通電極34aは、1つのアクチュエータユニット21内のほぼ全域にわたって延在した1枚の導電シートである。同様に、圧電シート42の下方に隣接した圧電シート43とその下方に隣接した圧電シート44との間にも、共通電極34aと同様の形状を有する厚み2μm程度の共通電極34bが介在している。
なお、共通電極34a、34bは、積層方向への射影領域が圧力室領域を含むように圧力室10よりも大きいものが圧力室10ごとに多数形成されてもよいし、或いは、射影領域が圧力室領域に含まれるように圧力室10よりもやや小さいものが圧力室10ごとに多数形成されてもよく、必ずしもシート全面に形成された1枚の導電シートである必要はない。ただし、このとき、圧力室10に対応する部分がすべて同一電位となるように共通電極どうしが電気的に接続されていることが必要である。
図10(a)に示すように、圧電シート41の上面であって圧力室10に対応する位置には、厚み1μm程度の個別電極35aが形成されている。個別電極35aは、平面形状が略ひし形であって圧力室10とほぼ相似形状(長さ850μm、幅250μm)を有している(図6および図11参照)。
図11は、図6の模式的な部分拡大平面図である。個別電極35aは、平面形状が略ひし形形状の主電極部90と、主電極部90よりも小さくその一方の鋭角部から連続して形成されたほぼひし形形状の補助電極部91とを有している。主電極部90は、その積層方向への射影領域が圧力室領域(図11において破線で囲まれる領域)に含まれている。一方、補助電極部91の大部分は、その積層方向への射影領域が圧力室領域には含まれていない。
図11から明らかなように、個別電極35aにおいて、主電極部90と補助電極部91との連結部92の幅(主電極部90と補助電極部91とを結ぶ方向と直交する方向に関する長さ)は、主電極部90の幅及び補助電極部91の幅よりも小さくなっている。つまり、個別電極35aにおいて、主電極部90と補助電極部91との連結部92は、くびれ形状となっている。
さらに、圧電シート42と圧電シート43との間には、個別電極35aと同様に形成された厚み2μm程度の個別電極35bが介在している。一方、圧電シート43の下方に隣接した圧電シート44とその下方に隣接した圧電シート45との間、及び、圧電シート45の下方には、電極が配置されていない。本実施の形態において、電極34a、34b、35a、35bは、Ag−Pd系等の金属材料からなるものである。
FPC50は、アクチュエータユニット21の個別電極35a、35bおよび共通電極34a、34bと、ドライバIC80と、を接続するための部材であって、図10(a)および図10(b)に示すように、アクチュエータユニット21の上面に配置された個別電極35aおよび接地用電極38とハンダ付けにより電気的に接合される接続パッド55、60を下面に有している。
FPC50は、ベースフィルム51と、ベースフィルム51の下面に設けられる導体部53、54と、ベースフィルム51のほぼ全面に対して導体部53、54を覆うように設けられるカバーフィルム52とを有している。そして、FPC50は、図10(a)および図10(b)に示すように、アクチュエータユニット21の最上層にある圧電シート41の上面に対してカバーフィルム52が当接するように配置されている。なお、ベースフィルム51およびカバーフィルム52は、いずれも絶縁性を有するシート状の部材である。
ここで、図10(a)に示すように、ベースフィルム51の下面において、個別電極35aの一端に対応する位置には、導電性を有する接続パッド55が設けられている。つまり、接続パッド55は、個別電極35aの補助電極部91に対応する位置に設けられている。従って、1つの個別電極35aに対して、それぞれ1つの接続パッド55が設けられていることになる。
また、図10(b)に示すように、ベースフィルム51の下面において、アクチュエータユニット21の上面外縁部近傍に形成された接地用電極38に対応する位置には、導電性を有する接続パッド60が設けられている。
そして、カバーフィルム52の接続パッド55および接続パッド60に対応する位置には、図10(a)および図10(b)に示すように、接続パッド55および接続パッド60の径よりも若干大きい径を有する貫通孔52a、52bが形成されている。従って、ベースフィルム51の下面において、貫通孔52a、52bに対応する位置にある接続パッド55および接続パッド60を除くほとんどの部分は、カバーフィルム52によって覆われている。
また、ベースフィルム51とカバーフィルム52との間に配置される導体部53、54は、銅箔により形成されている。ここで、導体部53は、接続パッド55とドライバIC80とを接続するための配線である。一方、導体部54は、接続パッド60を接地するための配線である。従って、導体部53、54は、ベースフィルム51の下面において所定のパターンを形成するように設けられている。
このように、個別電極35aおよび接地用電極38が形成された圧電シート41の上面に、接続パッド55、60を有するFPC50が配置されると、接続パッド55と個別電極35aとが電気的に接続されると共に、接続パッド60と接地用電極38とが電気的に接続される。従って、個別電極35aが、接続パッド55および導体部53を介してドライバIC80に電気的に接続されるとともに、接地用電極38が、接続パッド60および導体部54を介して図示しない領域において接地される。
多数の個別電極35aは、それぞれ独立した個別の導体部53を介してドライバIC80に接続されている。また、個別電極35a、35bは、各圧力室10に対応するものごとに、圧電シート41、42に形成されたスルーホール41a、42a内に設けられた導電材料48を介して接続されている。従って、個別電極35a、35bの電位を各圧力室10ごとに独立して制御することができる。
接地用電極38は、いずれも圧電シート41に形成されたスルーホール41b内に設けられた導電材料49を介して共通電極34aに接続されている。また、共通電極34a、34bは、圧電シート42、43に形成されたスルーホール42b、43b内に設けられた導電材料49を介して接続されている。従って、接続パッド60および導体部54を介して接地された接地用電極38に接続された共通電極34a、34bは、すべての圧力室10に対応する領域において等しくグランド電位に保たれている。
ここで、共通電極34a、34bは、積層方向への射影領域が圧力室領域を含むように或いは射影領域が圧力室領域に含まれるように圧力室10ごとに多数形成されたものであってもよく、必ずしもシート全面に形成された1枚の導電シートである必要はない。ただし、このとき、圧力室10に対応する部分がすべて同一電位となるように共通電極どうしが電気的に接続されていることが必要である。
なお、本実施の形態では、共通電極34a、34bに接続された接地用電極38は図示しない領域において接地されており、個別電極35aに対してのみドライバIC80から所定の駆動信号が供給されているが、接地用電極38に対してもドライバIC80からそれが接地されるのと同様の作用を有する駆動信号が供給されてもよい。
また、上述したように、流路ユニット4の上面に接着されたアクチュエータユニット21を含むヘッドユニット70、および、その上面に接着されたFPC50は、支持部材71のホルダ72の下方に保持されている。より詳細には、支持部材71のホルダ本体73の突出部73aが、流路ユニット4の副走査方向両端部に対応するように配置されているとともに、ベースブロック75の下面60の開口3b近傍部分76aが、流路ユニット4の上面に接着されている。そして、ヘッドユニット70のアクチュエータユニット21は、流路ユニット4の上面にその端部から離隔すると共に、ベースブロック75と流路ユニット4との間に配置されている。なお、上述したように、ベースブロック75の下端部は、ホルダ本体73の溝部73bから飛び出しているため、ホルダ本体73の突出部73aの下面と流路ユニット4の上面との間には、所定の間隙が形成される。
また、アクチュエータユニット21の上面に接着されたFPC50は、図3に示したように、ホルダ本体73の突出部73aの下面と流路ユニット4の上面との間を通過するように外部に引き出された後、支持部材71の外周面に沿って配置される。図12は、ヘッドユニット70の端部近傍の拡大断面図である。ここで、図12に示すように、ホルダ本体73の突出部73aの下面と流路ユニット4の上面との間には、FPC50を挟むようにシール部材85が配置されている。従って、FPC50は、流路ユニット4およびホルダ本体73に対してシール部材85によって固定される。なお、シール部材85としては、シリコン系の材料で形成されたものなどが用いられる。
また、ベースブロック75の下面76の開口3b近傍部分76a以外の部分と流路ユニット4との間の間隔は、アクチュエータユニット21の厚さとFPC50の厚さの合計よりも大きくなっている。従って、ベースブロック75の下面76の開口3b近傍部分76aとヘッドユニット70の流路ユニット4とが接触するように配置された場合には、FPC50の上面とベースブロック75の下面76の開口3b近傍部分76a以外の部分との間には所定の間隙が形成されている。従って、アクチュエータユニット21とベースブロック75との間には所定の間隙が形成されることになる。
また、図2および図12に示すように、流路ユニット4の最下層に配置されたノズルプレート30の副走査方向両端部には、その外側方向に延在する凸設部30aが設けられている。凸設部30aは、ノズルプレート30の上述のいずれの端部にも、その長手方向(主走査方向)に沿って6つ配置されており、それぞれ所定の間隔を隔てて設けられている。そして、凸設部30aは、流路ユニット4の副走査方向両端部に対応する位置においてホルダ72側に折り曲げられている。また、凸設部30aの根本部は、所定のR形状を有しており、用紙の先端部が、ノズルプレート30(流路ユニット4)の下面に対向する位置に進入しやすくなっている。さらに、アクチュエータユニット21の上面に接着されて延在するFPC50もホルダ72側に折り曲げられて支持部材71に沿って配設されることになる。
ここで、凸設部30aは、ノズルプレート30の副走査方向両端部において、インクジェットヘッド1が備えられたプリンタ301における印刷に用いられる用紙幅(定型用紙幅)に対応するように設けられている。つまり、凸設部30aが、用紙の両端部付近およびその中間位置に対応するように、或いは、用紙の両端部付近およびその間がほぼ均等に分割される位置に対応するように設けられている。
従って、凸設部30aは、例えば、図2における副走査方向を示す矢印方向に用紙が搬送される場合、主走査方向における最も外側であって印字データの原点側の位置をXとし、この位置Xから使用可能な最大幅の定型用紙幅(例えばA4)に相当する距離だけ離れた位置Aと、位置Xから前記最大幅の次に大きな定型用紙幅(例えばB5)に相当する距離だけ離れた位置Bと、位置Xから官製ハガキの幅に相当する距離だけ離れた位置Cと、位置Bと位置Cとの間および位置Cと位置Xとの間を適当に埋める位置D、位置Eなどに設けられる。
あるいは、ノズルプレート30は、副走査方向両端部において、その外側方向に所定の長さだけ延在していてもよい。この場合も、上述の凸設部30aと同じように、副走査方向両端部の根本部が所定のR形状を有するようにホルダ72側に折り曲げられている。これにより、FPC50は、ノズルプレート30の外側に延在した部分により案内されてホルダ72側に折り曲げられるとともに、支持部材71に沿って配設されることになる。このような構成では、ホルダ本体73の突出部73aとノズルプレート30の折り曲げられた延在部との間にシール部材85を配置して、FPC50を固定するようにしてもよい。これにより、後述するような、アクチュエータユニット21とFPC50との接続部への応力印可の防止及びFPC50の確実な保持が可能となる。
本実施の形態によるインクジェットヘッド1において、圧電シート41〜43はその厚み方向に分極されている。従って、個別電極35a,35bを共通電極34a,34bと異なる電位にして圧電シート41〜43中に対してその分極方向に電界を印加すると、その電界が印加された部分が活性層として働き、その厚み方向すなわち積層方向に伸長又は収縮し、その結果として、圧電横効果のために積層方向と垂直な方向すなわち面方向に収縮又は伸長しようとする。一方、残り2枚の圧電シート44、45は、個別電極35a,35bと共通電極34a,34bとに挟まれた領域をもたない非活性層であるので、自発的に変形することができない。つまり、アクチュエータユニット21は、上側(つまり、圧力室10とは離れた)3枚の圧電シート41〜43を活性層が存在する層とし且つ下側(つまり、圧力室10に近い)2枚の圧電シート44,45を非活性層とした、いわゆるユニモルフタイプの構成となっている。
そのため、電界と分極とが同方向となるようにドライバIC80を制御して個別電極35a,35bを正又は負の所定電位とすると、圧電シート41〜43の個別電極35a,35bと共通電極34a,34bとで挟まれた活性層が面方向に収縮し、その一方で圧電シート44,45は自発的には収縮しない。このとき、図10(a)で示したように、圧電シート41〜45の下面はキャビティプレート22に形成された圧力室10を区画する隔壁の上面に固着されているので、圧電横効果に基づき、結果的に圧電シート41〜45は圧力室10側へ凸になるように変形(ユニモルフ変形)する。すると、圧力室10の容積が低下して、インクの圧力が上昇し、インク吐出口8からインクが吐出される。その後、個別電極35a,35bの電位が元に戻れば、圧電シート41〜45は元の平板形状となり、圧力室10の容積が元の容積に戻るので、インクをマニホールド5側から吸い込む。
なお、他の駆動方法として、予め個別電極35a,35bを共通電極34a,34bと異なる電位にしておき、吐出要求があるごとに個別電極35a,35bを共通電極34a,34bと一旦同じ電位とし、その後所定のタイミングにて再び個別電極35a,35bを共通電極34a,34bと異なる電位にすることもできる。この場合は、個別電極35a,35bと共通電極34a,34bとが同じ電位になるタイミングで、圧電シート41〜45が元の形状に戻り、圧力室10の容積は初期状態(両電極の電位が異なる状態)と比較して増加し、インクがマニホールド5側から圧力室10内に吸い込まれる。その後再び個別電極35a,35bを共通電極34a,34bと異なる電位にしたタイミングで、圧電シート41〜45が圧力室10側へ凸となるように変形し、圧力室10の容積低下によりインクへの圧力が上昇し、インクが吐出される。
圧電シート41〜43に印加される電界方向とその分極方向とが逆であれば、圧電横効果により、個別電極35a,35bと共通電極34a,34bとで挟まれた圧電シート41〜43中の活性層が分極方向と直角方向に伸長しようとする。従って、圧電シート41〜45は、圧電横効果に基づき、圧力室10側に凹となるように変形する。このため、圧力室10の容積が増加して、インクをマニホールド5側から吸い込む。その後、個別電極35a,35bの電位が元に戻れば、圧電シート41〜45は元の平板形状となり、圧力室10の容積が元の容積に戻るので、インク吐出口8からインクを吐出する。
なお、本実施の形態では、上述したように、ベースブロック75がホルダ本体73の溝部73b内に配置されており、ホルダ本体73は、ベースブロック75を覆うようなスカート状の部分(スカート部)を有していることが分かる。ここで、ホルダ本体73のスカート部は、支持部材71の強度を向上させる補強部材としての機能を有している。そして、FPC50は、ホルダ本体73のスカート部と流路ユニット4との間においてシール部材85によって固定されている。従って、ヘッドが長尺化した場合の撓みの防止、アクチュエータユニット21とFPC50との接続部への応力印可の防止およびFPC50の確実な保持が可能となる。
以上のように、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、アクチュエータユニット21に電気的に接続された導体部53、54を含むFPC50が、流路ユニット4の端部近傍部分と支持部材71の一部であるホルダ72に対してシール部材85によって固定されているので、外部からFPC50にアクチュエータユニット21から引き剥がすような力が加えられた場合でも、アクチュエータユニット21とFPC50との接続部に大きな力が直接的に加わるのが抑制される。従って、FPC50がアクチュエータユニット21から剥がれにくくなるため、アクチュエータユニット21とドライバIC80との電気的接続の信頼性を向上させることができる。また、支持部材71の一部であるホルダ72は、ヘッド全体が撓むことによってアクチュエータ21とFPC50との接続部に加わる(両者を剥離させようとする)応力を小さくすることができる。また、外部から何らかの理由で導電性のインクが、アクチュエータユニット21とFPC50との接続部に侵入するのを防止することができる。従って、両者の接続部の電気的な短絡を未然に防ぐことができる。その結果、インクジェットプリンタ301の電気的接続の信頼性を向上させることができる。
また、導体部53、54がFPC50に含まれているので、外部から導体部53、54にアクチュエータユニット21から引き剥がすような力が加えられた場合でも、この力がさらに分散されるため、導体部53、54がアクチュエータユニット21からさらに剥がれにくくなる。従って、アクチュエータユニット21とドライバIC80との電気的接続の信頼性をさらに向上させることができる。
また、支持部材71は、流路ユニット4に供給されるインクの流路となるインク溜まり3が形成されたベースブロック75を含んでいるため、インクを消費する流路ユニット4に対して、ヘッドが長尺化した場合でも、インクを安定して供給できるので、全体として構造が簡略化される。また、さらに、ベースブロック75自体も内部の空隙に隔壁75aが配置されているので、軽量の補強用構造体として働き、インクジェットヘッド1の強度を向上することに寄与している。
また、ベースブロック75とアクチュエータユニット21との間に所定の間隙が形成されているため、アクチュエータユニット21の動作(圧電シート41〜45の変位)を阻害しないとともに、外部からアクチュエータユニット21とFPC50との接続部に力が直接的に加わるのを抑制することができる。
また、インクジェットヘッド1では、流路ユニット4の最下層に配置されたノズルプレート30の副走査方向両端部に、その長手方向に沿って設けられた凸設部30aがホルダ72側に折り曲げられているため、凸設部30aに用紙の先端部が衝突しても当該ヘッド1に対向する位置にガイドされつつ進入しやすい。従って、用紙の先端部が当該ヘッド1の側面に衝突して紙詰まりを起こしたり、当該ヘッド1が故障したりするのを未然に防止することが可能になる。また、用紙の先端部が当該ヘッド1の側面に衝突するのを抑制するために、ノズルプレート30利用しているので、別の部材を用意する必要がなく低コストであり、しかもヘッドのサイズが大きくなることもほとんどない。従って、ヘッド1近傍における紙詰まりおよびヘッド1の故障が発生しにくいと共に、低コストで製造することができるインクジェットプリンタ301が得られる。
また、アクチュエータユニット21の上面に固定されて延在するFPC50は、ノズルプレート30の外側に延在した部分により案内されてホルダ72側に折り曲げられている。ここで、ノズルプレート30の凸設部30aの上端部は、アクチュエータユニット21とFPC50との接続部分よりもホルダ72側にあるので、この折り曲げられたノズルプレート30により、用紙の衝突時に生じる衝撃力が直接的にFPC50に伝わらない。その結果、アクチュエータユニット21とFPC50との電気的接続の信頼性をより向上させることができる。
また、ノズルプレート30の端部近傍全体ではなく、ノズルプレート30に設けられた凸設部30aだけを折り曲げればいいので、加工が容易である。
また、凸設部30aが、用紙の両端部付近およびその中間位置に対応するように、或いは、用紙の両端部付近およびその間がほぼ均等に分割される位置に対応するように設けられているので、用紙の先端部が当該ヘッド1に対向する位置により進入しやすくなる。従って、用紙の流れがスムーズになる。
次に、本発明の実施の形態の第1の変形例について、図面を参照しつつ説明する。図13は、本発明の実施の形態の第1の変形例によるインクジェットヘッドのヘッドユニットの端部近傍の拡大断面図である。図13のインクジェットヘッド101が、図2のインクジェットヘッド1と異なる点は、図2のインクジェットヘッド1では、FPC50が、流路ユニット4の上面とホルダ本体73の突出部73aの下面との間に配置されたシール部材85によって、流路ユニット4およびホルダ本体73に対して固定されているのに対し、図13のインクジェットヘッド101では、FPC50が、流路ユニット4の上面とホルダ本体73の突出部73aの下面との間において、両者によって挟持されている点である。なお、その他の構成は、図2のインクジェットヘッド1と同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
ここで、第1の変形例のインクジェットヘッド101では、アクチュエータユニット121に電気的に接続されたFPC50が、ホルダ本体73の突出部73aと流路ユニット4とにより挟持されているので、外部からFPC50にアクチュエータユニット121から引き剥がすような力が加えられた場合でも、アクチュエータユニット121とFPC50との接続部に大きな力が直接的に加わるのが抑制される。従って、FPC50がアクチュエータユニット121から剥がれにくくなるため、本実施の形態と同様に、アクチュエータユニット121とドライバIC80との電気的接続の信頼性を向上させることができる。
この場合、ホルダ本体73の突出部73aと流路ユニット4との挟持部に、図2のインクジェットヘッド1と同様に、シール部材85を配置してもよい。これにより、外部から何らかの理由で導電性のインクが、この挟持部を介してアクチュエータユニット121とFPC50との接続部に侵入するのを防止することができる。
次に、本発明の実施の形態の第2の変形例について、図面を参照しつつ説明する。図14は、本発明の実施の形態の第2の変形例によるインクジェットヘッドのヘッドユニットの端部近傍の拡大断面図である。図14のインクジェットヘッド201が、図2のインクジェットヘッド1と異なる点は、図2のインクジェットヘッド1では、FPC50が、流路ユニット4の上面とホルダ本体73の突出部73aの下面との間に配置されたシール部材85によって、流路ユニット4およびホルダ本体73に対して固定されているのに対し、図14のインクジェットヘッド201では、FPC50が、アクチュエータユニット21の上面端部とホルダ本体73の突出部73aの下面との間において、両者によって挟持されている点である。なお、その他の構成は、図2のインクジェットヘッド1と同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
ここで、第2の変形例のインクジェットヘッドでは、アクチュエータユニット221が流路ユニット4の上面においてその端部近傍まで設けられており、アクチュエータユニット221に電気的に接続されたFPC50が、ホルダ本体73の突出部73aとアクチュエータユニット221とにより挟持されているので、外部からFPC50にアクチュエータユニット221から引き剥がすような力が加えられた場合でも、アクチュエータユニット221とFPC50との接続部に大きな力が直接的に加わるのが抑制される。従って、FPC50がアクチュエータユニット221から剥がれにくくなるため、本実施の形態と同様に、アクチュエータユニット221とドライバIC80との電気的接続の信頼性を向上させることができる。なお、この変形例における挟持部に、シール部材85を配置することにより、上述の効果がより確実なものになることはいうまでもないことである。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、個別電極35aに接続された接続パッド55とドライバIC80とを接続するための配線である導体部53および接続パッド60を接地するための配線である導体部54が、FPC50に含まれている場合について説明しているが、これに限らず、接続パッドとドライバICとを接続するための配線および接続パッドを接地するための配線の少なくとも一方が単独の信号線として配置されていてもよい。ここで、特に、導体部のうち、大多数を占める個別電極35aに接続された接続パッド55とドライバIC80とを接続するための配線である導体部53がFPC50上に形成されている場合には、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上述の実施の形態では、支持部材71が、流路ユニット4に供給されるインクの流路となるインク溜まり3が形成されたベースブロック75を含んでいる場合について説明しているが、必ずしも支持部材がインク溜まりが形成されたベースブロックを含んでいなくてもよい。
また、上述の実施の形態では、ベースブロック75とアクチュエータユニット21との間に所定の間隙が形成されている場合について説明しているが、必ずしも両者間に間隙が形成されている必要はなく、両者が接触するように配置されていてもよい。
また、上述の実施の形態では、共通電極34a、34bが接地されている場合について説明しているが、これに限らず、必ずしも共通電極は接地されている必要はなく、アクチュエータユニットについて本実施の形態と同様の動作が可能である範囲において、共通電極に対して、個別電極に供給される駆動信号とは異なる駆動信号が供給されてもよい。
また、上述の実施の形態では、ノズルプレート30の副走査方向両端部のそれぞれに所定の間隔を隔てて設けられた6つの凸設部30aだけが折り曲げられている場合について説明しているが、これに限らず、ノズルプレートに凸設部が設けられることなく、ノズルプレートの端部近傍全体が折り曲げられてもよい。また、凸設部が設けられる場合であっても、その数および配置は任意に変更することができる。従って、凸設部は、基準の位置となる位置Xを長手方向における中央部として、定型用紙幅の半分に相当する距離だけ離すように配置してもよいし、本実施の形態のように、必ずしも定型用紙幅に対応するように設けられている必要はなく、複数の凸設部が均等間隔で配置されていてもよい。また、ノズルプレート30において、その副走査方向に突出した折り曲げ部または凸設部は、必ずしも副走査方向の両端部のいずれにも存在する必要はなく、少なくともノズルプレートの副走査方向上流側に設けられていればよい。
また、圧電シートや電極の材料は、上述したものに限らず、その他の公知の材料に変更してもよい。また、圧力室の平面形状や断面形状、配置形態などは、適宜変更してよい。また、活性層を含む圧電シートの数及び活性層を含まない圧電シートの数は、適宜変更することができる。また、活性層を含む圧電シート及び活性層を含まない圧電シートのそれぞれの層厚は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、非活性層として、圧電シート以外の絶縁シートを用いてもよい。