JP4933736B2 - メタクリル酸製造用触媒、その製造方法及びメタクリル酸の製造方法 - Google Patents

メタクリル酸製造用触媒、その製造方法及びメタクリル酸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に使用する触媒(以下、メタクリル酸製造用触媒という。)の製造方法、メタクリル酸製造用触媒、および、メタクリル酸の製造方法に関する。
特許文献1には、少なくともモリブデン、リンおよびバナジウムを含む溶液またはスラリーと、アンモニア化合物を含む溶液またはスラリーを混合し、得られた混合液または混合スラリーに、カリウム等を含む溶液またはスラリーを混合してメタクリル酸製造用触媒を製造する方法が記載されている。また、特許文献2には、上記製造法において、カリウム等を含む溶液またはスラリーをアンモニア化合物を混合する前後に分割して混合し、メタクリル酸製造用触媒を製造する方法が記載されている。
さらに、特許文献3には、アンモニウムを含まないモリブデン化合物を含む溶液またはスラリーと、アンモニア化合物を含む溶液またはスラリーを混合し、得られた混合液または混合スラリーに、モリブデン以外の元素の化合物を混合してメタクリル酸製造用触媒を製造する方法が記載されている。
特開2000−296336号公報 特開2003−190798号公報 特開2003−154273号公報
しかしながら、これらの特許文献に記載された方法を用いて製造された触媒はメタクリル酸の収率は必ずしも十分でなく、工業触媒としてさらなる触媒性能の向上が望まれている。
本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられる、メタクリル酸収率の高いメタクリル酸製造用触媒、その製造方法、およびこのメタクリル酸製造用触媒を用いたメタクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の発明により解決できる。すなわち、本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられる下記式(1)で表される組成を有するメタクリル酸製造用触媒の製造方法において、少なくともモリブデン元素、リン元素よびバナジウム元素を含む溶液またはスラリー(A液)とアンモニウム根を含む溶液またはスラリー(B液)を混合する際に、A液とB液の混合液(AB混合液)の温度を混合開始時から終了時まで、混合開始時の温度Tsを基準として−3℃以上、+3℃以下の範囲に保持することを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法である。
MoCu (1)
(P、Mo、V、CuおよびOは、それぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅および酸素を示し、Xはアンチモン、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステンおよびホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Yは鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タンタル、コバルト、マンガン、バリウム、ガリウム、セリウムおよびランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Zはカリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。a、b、c、d、e、f、gおよびhは各元素の原子比率を表し、b=12のときa=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜2、e=0〜3、f=0〜3、g=0.01〜3であり、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。)
本発明において、A液に含まれるアンモニウム根の含有量がモリブデン原子12モルに対して0〜1.5モルであり、かつ、B液に含まれるアンモニウム根の含有量がA液に含まれるモリブデン原子12モルに対して6〜17モルであることが好ましい。
本発明において、B液はリン、モリブデン、バナジウム、銅、X元素、Y元素およびZ元素を実質的に含まない溶液またはスラリーであることが好ましい。
また本発明は、前記の方法により製造されたメタクリル酸製造用触媒である。
さらに本発明は、前記のメタクリル酸製造用触媒の存在下で、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法である。
本発明によれば、収率の高いメタクリル酸製造用触媒を提供することができる。またメタクリル酸を高収率で製造することができる。
本発明のメタクリル酸製造用触媒は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いるものであって、前記の式(1)で表される組成を有する。
このメタクリル酸製造用触媒は、少なくともモリブデン元素、リン元素およびバナジウム元素を含む溶液またはスラリー(A液)とアンモニウム根を含む溶液またはスラリー(B液)を混合して製造される。
A液は、モリブデン、リンおよびバナジウム等を含む化合物を溶媒に溶解あるいは懸濁等させることによって調製される。A液の調製に用いる触媒原料としては、各元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩等を適宜選択して使用することができる。例えば、モリブデンの原料としては、三酸化モリブデン、モリブデン酸等のアンモニウムを含まない化合物、パラモリブデン酸アンモニウム、ジモリブデン酸アンモニウム、テトラモリブデン酸アンモニウム等のアンモニウムを含む化合物を使用することができるが、アンモニウムを含まない化合物が好適である。またアンモニウムを含む化合物を使用する場合は、アンモニウムを含まない化合物と併用し、アンモニウムを含む化合物の割合を小さくすることが好ましい。リンの原料としては、正リン酸、五酸化リン、リン酸アンモニウム等が使用できる。バナジウムの原料としては、五酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム等が使用できる。触媒原料としては、前記式(1)の組成式に含まれる複数の元素を含む化合物も使用できる。このような触媒原料として、例えば、リンモリブデン酸、モリブドバナドリン酸、リンモリブデン酸アンモニウム等のヘテロポリ酸およびこれらの塩、各種の複合酸化物等が挙げられる。触媒成分の原料は、各元素に関して1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
A液には、モリブデン元素、リン元素およびバナジウム元素の他に、銅元素を含むことができる。さらに、前記式(1)に示すX元素、Y元素、Z元素およびアンモニウム根を含むことができる。
A液には前記式(1)に示す触媒組成の必須成分である銅元素を全量または一部含むことができる。銅元素の触媒原料としては、銅の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩等を適宜選択して使用することができ、例えば、酸化第二銅、硝酸第二銅、炭酸銅などが例示できる。
A液には前記式(1)に示す触媒組成の必須成分であるZ元素を全量または一部含むことができる。本発明では、特にメタクリル酸収率の高い触媒が得られることからZ元素はセシウムであることが好ましい。Z元素の触媒原料としては、各元素の硝酸塩、炭酸塩、水酸化物等を適宜選択して使用することができる。例えば、セシウムの原料としては、硝酸セシウム、炭酸セシウム、水酸化セシウム等が使用できる。
A液にはX元素および/またはY元素を全量または一部含むこともできる。これらの元素の原料としては、各元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩等を適宜選択して使用することができる。
モリブデン元素、リン元素およびバナジウム元素以外の元素の触媒原料は、各元素に関して1種を用いても、2種以上を併用してもよい。また、これらの原料の混合方法はA液中に存在させることだけに限定されない。例えばこれらの原料は、後述するB液中や、A液やB液以外の別の溶液またはスラリー(C液)中に存在させることもできる。C液はA液とB液の混合前のA液やB液と混合することができる。またこのC液は、A液とB液の混合中に、その混合液中に混合することができる。また、C液に代えて固体状の触媒原料を混合することもできる。
A液の溶媒としては、例えば、水、エチルアルコール、アセトン等が挙げられるが、水を用いることが好ましい。A液中の溶媒の量は特に限定されないが、通常、A液中に含まれるモリブデン化合物と溶媒の含有比(質量比)は1:0.1〜1:100が好ましく、1:0.5〜1:50がより好ましい。溶媒の量をこの範囲とすることにより、収率の高い触媒が得られる。
A液は、室温で攪拌して調製してもよいが、加熱攪拌して調製することが好ましい。加熱温度は、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。また、加熱温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。加熱温度をこのような範囲にすることで、活性の高い触媒が得られる。加熱時間は、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、また、24時間以下が好ましく、12時間以下がより好ましい。加熱時間をこのような範囲にすることで、触媒原料同士の反応を十分に進行させることができる。
本発明において、B液にはアンモニウム根が含まれる。B液は、アンモニウム根を含む化合物を溶媒に溶解あるいは懸濁等させることによって調製される。アンモニウム根を含む化合物(アンモニウム根含有化合物)としては、例えば、アンモニア、各種のアンモニウム塩等がある。具体的には、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硝酸アンモニウム、パラモリブデン酸アンモニウム、ジモリブデン酸アンモニウム、テトラモリブデン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウム等が例示できる。アンモニウム根含有化合物は1種を用いても、2種以上を併用してもよい。尚、アンモニウム根とは、アンモニウム(NH )になり得るアンモニア(NH)、またはアンモニウム塩等のアンモニウム含有化合物に含まれるアンモニウムのことをいう。
B液の溶媒としては、例えば、水、エチルアルコール、アセトン等が挙げられるが、水を用いることが好ましい。B液中の溶媒の量は特に限定されないが、B液中に含まれるアンモニウム根含有化合物と溶媒の含有比(質量比)は1:0.1〜1:100であることが好ましく、1:0.5〜1:50がより好ましい。溶媒の量をこの範囲とすることにより、収率の高い触媒が得られる。
B液は、通常、室温で攪拌して調製すればよいが、必要に応じて80℃程度まで加熱して調製してもかまわない。ただし、アンモニウム根含有化合物としてアンモニア水をそのまま用いる場合は、溶媒である水を既に含んでいるので、このような調製工程は必ずしも必要ではない。
B液に含まれるアンモニウム根の量は、A液に含まれるモリブデン元素12モルに対して6モル以上が好ましく、7モル以上がより好ましい。また、B液に含まれるアンモニウム根の量は、A液中に含まれるモリブデン原子12モルに対して17モル以下が好ましく、15モル以下がより好ましい。アンモニウム根の量をこの範囲とすることにより、収率の高い触媒が得られる。B液中に含まれるアンモニウム根の量は、アンモニウム根含有化合物の配合量により調節することができる。
尚、A液に含まれるアンモニウム根の量は、モリブデン原子12モルに対して好ましくは0〜1.5モルであり、より好ましくは0〜1.0モルである。アンモニウム根の量をこの範囲とすることにより、収率の高い触媒が得られる。A液中に含まれるアンモニウム根の量はアンモニウム根含有化合物の配合量により調節することができる。
B液には、アンモニウム根含有化合物の他に、リン元素、モリブデン元素、バナジウム元素、銅元素、X元素、Y元素およびZ元素を含ませることができるが、これらの元素は実質的に含まれないことが好ましい。
本発明において、A液、B液の混合方法は特に限定されず、例えば、A液にB液を添加して混合する方法、B液にA液を添加して混合する方法、A液とB液を同時に混合する方法等の任意の方法が適用できる。中でも好ましいのは、A液にB液を添加して混合する方法である。また、B液を2回以上に分けて混合してよい。
A液、B液の混合時の温度は、40〜80℃が好ましく、50〜75℃がより好ましい。このような範囲の液温でA液、B液の混合液を調製することにより、収率の高い触媒が得られる。
本発明において、A液とB液の混合液(AB混合液)の温度は、混合開始時から全量の混合終了時まで(混合期間)に亘って、混合開始時の温度Tsを基準として−3〜+3℃の範囲に保持される。なお、実質的に−3〜+3℃の範囲に保持されていればよく、瞬間的にこの範囲を外れる場合も含まれる。このような温度範囲に保持することで、収率が高い触媒を再現性よく製造できる。この温度は、−2.5〜+2.5℃の範囲に保持することがさらに好ましい。
本発明において、混合期間のAB混合液の温度を上記範囲に保持するためには、A液とB液の混合速度を調節する方法、A液とB液の濃度を調節する方法、AB混合液を調製する槽のジャケット部に冷却または加熱媒体を通じる方法、混合時の攪拌翼の回転速度を調節する方法など、様々な方法を用いることができる。これらの方法は単独で行ってもよいし、組み合わせて行ってもよいが、A液とB液の混合速度を調節する方法と、AB混合液調製槽のジャケット部に冷却または加熱媒体を通じる方法を組み合わせる方法が好ましい。ここで、A液とB液の混合速度は、混合開始時から終了時まで同じ速度でもよいし、途中で速度を変えてもよい。また、A液とB液の混合は連続的に行うだけでなく、断続的に行ってもよい。尚、冷却または加熱媒体を通じる時間は特に限定されず、AB混合液の温度が上記範囲に保持されるように適宜決めればよい。
本発明において、混合期間は、0.1〜30分間が好ましい。この混合期間は0.5分間以上がより好ましく、1分間以上が特に好ましい。また、この混合時間は28分間以下がより好ましく、25分間以下が特に好ましい。混合期間を0.1〜30分間にすることによって、触媒の活性、選択性が共に良好になる。この理由は定かではないが、好ましい範囲では原料混合速度が触媒の沈殿形成状態に影響を与え難く、メタクリル酸を有利に生成できる最適沈殿構造が得られるためと考えられる。
前記の条件で調製された触媒原料を含む溶液またはスラリーは乾燥されて触媒前駆体の乾燥物とされ、次いで焼成されて触媒が製造される。
乾燥方法としては種々の方法を用いることが可能であり、例えば、蒸発乾固法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法、気流乾燥法等を用いることができる。乾燥に使用する乾燥機の機種や乾燥時の温度、時間等は特に限定されず、乾燥条件を適宜変えることによって目的に応じた触媒前駆体の乾燥物を得ることができる。
このようにして得られた触媒前駆体の乾燥物は、必要により粉砕された後に成形品に成形され、次いで焼成される。尚、触媒前駆体の乾燥物は、成形せずに、焼成し、得られた焼成物を成形することもできる。
成形方法は特に限定されず、公知の乾式および湿式の種々の成形法が適用できるが、シリカ等の担体などを含めずに成形することが好ましい。具体的な成形方法としては、例えば、打錠成形、プレス成形、押出成形、造粒成形等が挙げられる。成形品の形状についても特に限定されず、例えば、円柱状、リング状、球状等の所望の形状を選択することができる。尚、触媒性能の確認試験では一定サイズに揃えた不定形の粒状に成形したものを使用することができる。このような粒状物はプレス成形等によって先ず大きめの成形物を成形し、次いでそれを破砕して所望のサイズのものを篩分けることによって得ることができる。
なお、成形に際しては、公知の添加剤、例えば、グラファイト、タルク等を少量添加してもよい。
焼成方法や焼成条件は特に限定されず、公知の処理方法および条件を適用することができる。焼成の条件は、用いる触媒原料、触媒組成、調製法等によって異なるが、通常、空気等の酸素含有ガス流通下または不活性ガス流通下で、好ましくは200〜500℃、より好ましくは300〜450℃で、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1〜40時間で行う。ここで、不活性ガスとは、触媒の反応活性を低下させないような気体のことをいい、具体的には、窒素、炭酸ガス、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
次に、本発明のメタクリル酸の製造方法について説明する。上記のようにして得られる触媒の存在下でメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸が製造される。
気相接触酸化反応は、メタクロレインと分子状酸素とを含む原料ガスと上記のような本発明の触媒とを接触させて行う。反応は固定床で行うことが好ましい。この場合の触媒層は1層でも2層以上でもよく、触媒層は担体等で希釈したものであってもよい。
原料ガス中のメタクロレイン濃度は広い範囲で変えることができるが、1〜20容量%が好ましく、3〜10容量%がより好ましい。
分子状酸素源としては空気を用いることが経済的であるが、必要ならば純酸素で富化した空気等も用いることができる。原料ガス中の分子状酸素濃度は、メタクロレイン1モルに対して0.4〜4モルが好ましく、0.5〜3モルがより好ましい。
原料ガスは、メタクロレインおよび分子状酸素源を、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスで希釈したものであってもよい。
また、原料ガスには水蒸気を加えることが好ましい。水の存在下で反応を行うと、より高収率でメタクリル酸が得られる。原料ガス中の水蒸気の濃度は、0.1〜50容量%が好ましく、1〜40容量%がより好ましい。
また、原料ガス中には、低級飽和アルデヒド等の不純物を少量含んでいてもよいが、その量はできるだけ少なくすることが好ましい。
メタクリル酸製造反応は、大気圧から数気圧までの反応圧力で行うことが好ましい。反応温度は、230〜450℃の範囲が好ましく、250〜400℃がより好ましい。
原料ガスの流量は特に限定されないが、接触時間は1.5〜15秒が好ましく、2〜5秒がより好ましい。
本発明の製造方法により得られる触媒の性能が向上するメカニズムについては明らかではないが、A液とB液を混合する際のAB混合液の温度を前記範囲に保持することにより、メタクリル酸を高い収率で得られるような結晶構造が形成されるためと推定している。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例および比較例中の「部」は質量部を意味する。触媒の組成は触媒成分の原料仕込み量から求めた。反応原料ガスおよび生成物の分析はガスクロマトグラフィーを用いて行った。また、溶液中に含まれるアンモニウム根の量は、キェールダール法で測定した。
なお、メタクロレインの反応率、生成したメタクリル酸の選択率、メタクリル酸の単流収率は以下のように定義される。
メタクロレインの反応率(%)=(B/A)×100
メタクリル酸の選択率(%)=(C/B)×100
メタクリル酸の単流収率(%)=(C/A)×100
ここで、Aは供給したメタクロレインのモル数、Bは反応したメタクロレインのモル数、Cは生成したメタクリル酸のモル数である。
[実施例1]
内容積250Lのジャケット付反応槽に純水200部を投入し、そこに三酸化モリブデン100部、85質量%正リン酸6.68部、五酸化バナジウム2.63部、三酸化アンチモン2.53部および硝酸第二銅1.40部を純水2.80部に溶解した溶液を加え、還流下で5時間攪拌した。その後、50℃まで冷却し、硝酸セシウム13.54部を純水28.43部に溶解した溶液を添加してA液を調製した。A液中に含まれるアンモニウム根の量は、A液中に含まれるモリブデン原子12モルに対して0モルであった。
25質量%アンモニア水39.44部をB液とした。B液中に含まれるアンモニウム根の量は、A液中に含まれるモリブデン原子12モルに対して10.0モルであった。B液は反応槽の上部に設置した鏡部がコーン型の縦型槽に投入した。
A液を攪拌しながらその温度を70.0℃に上げ、縦型槽の鏡部の最下部(コーンの先端)に設けたノズルからB液の全量を15分間かけて連続的に流下してA液に混合した。A液にB液を混合する混合期間のAB混合液の温度は、最低69.8℃、最高70.5℃であった。すなわち、AB混合液の温度が混合開始時の温度(70.0℃)を基準として−0.2〜+0.5℃の範囲にあった。なお、AB混合液調製の際はA液反応槽のジャケットに冷媒(0℃の不凍液)を流し、液温が70.0℃を保持できるように初期流量を15L/分とし、以降はオン・オフ制御で流量をコントロールした。得られたAB混合液を90分間攪拌し触媒前駆体を含むスラリーを得た。
この触媒前駆体を含むスラリーを101℃まで加熱し、攪拌しながら蒸発乾固した。得られた固形物を130℃で16時間乾燥し、乾燥物をプレス機を用いて円柱状にプレス成形後、粉砕して7.5〜20メッシュ部分を分取し、空気流通下、390℃にて8時間焼成して触媒を得た。得られた触媒の組成は、P1.0Mo120.5Cu0.1Sb0.3Cs1.2であった。
この触媒10gを内径14mmの反応管に充填し、メタクロレイン5%、酸素10%、水蒸気30%、窒素55%(容量%)の混合ガスを、大気圧下、反応温度290℃、接触時間3.6秒で通じたときの反応結果は、メタクロレイン転化率83.7%、メタクリル酸選択率88.5%、メタクリル酸収率74.1%であった。
[実施例2]
実施例1において、AB混合液調製の際にA液反応槽のジャケットに20℃の水を初期流量15L/分で流し、以降はオン・オフ制御で液温が70.0℃を保持できるようにした点以外は、実施例1と同様にして触媒を調製し、またメタクリル酸を製造し、表1の結果を得た。
[実施例3]
実施例2において、A液にB液を10分間で混合した点以外は、実施例2と同様にして触媒を調製し、またメタクリル酸を製造し、表1の結果を得た。
[比較例1]
実施例1において、AB混合液調製の際にA液反応槽のジャケットに冷媒を流さなかった点以外は、実施例1と同様にして触媒を調製し、またメタクリル酸を製造し、表1の結果を得た。
[比較例2]
実施例1において、A液にB液を30分間で混合し、かつ、A液反応槽のジャケットに冷媒を流さなかった点以外は、実施例1と同様にして触媒を調製し、またメタクリル酸を製造し、表1の結果を得た。
[比較例3]
実施例1において、AB混合液調製の際にA液反応槽のジャケットに冷媒(0℃の不凍液)を終始一定流量15L/分で流した点以外は、実施例1と同様にして触媒を調製し、またメタクリル酸を製造し、表1の結果を得た。
Figure 0004933736

Claims (5)

  1. メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられる下記式(1)で表される組成を有するメタクリル酸製造用触媒の製造方法において、少なくともモリブデン元素、リン元素およびバナジウム元素を含む溶液またはスラリー(A液)とアンモニウム根を含む溶液またはスラリー(B液)を混合する際に、混合開始時から混合終了時までに亘って混合液の温度を、混合開始時の温度Tsを基準として−3℃以上、+3℃以下の範囲に保持することを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
    MoCu (1)
    (P、Mo、V、CuおよびOは、それぞれリン、モリブデン、バナジウム、銅および酸素を示し、Xはアンチモン、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステンおよびホウ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Yは鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タンタル、コバルト、マンガン、バリウム、ガリウム、セリウムおよびランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Zはカリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。a、b、c、d、e、f、gおよびhは各元素の原子比率を表し、b=12のときa=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜2、e=0〜3、f=0〜3、g=0.01〜3であり、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。)
  2. A液に含まれるアンモニウム根の含有量がモリブデン原子12モルに対して0〜1.5モルであり、かつ、B液に含まれるアンモニウム根の含有量がA液に含まれるモリブデン原子12モルに対して6〜17モルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. B液が、リン、モリブデン、バナジウム、銅、X元素、Y元素およびZ元素を実質的に含まない溶液またはスラリーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの請求項に記載の方法により製造されたメタクリル酸製造用触媒。
  5. 請求項4に記載の触媒の存在下でメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法。

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