JP4895303B2 - メタクリル酸製造用触媒の製造方法、メタクリル酸製造用触媒およびメタクリル酸の製造方法 - Google Patents

メタクリル酸製造用触媒の製造方法、メタクリル酸製造用触媒およびメタクリル酸の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4895303B2
JP4895303B2 JP2007218127A JP2007218127A JP4895303B2 JP 4895303 B2 JP4895303 B2 JP 4895303B2 JP 2007218127 A JP2007218127 A JP 2007218127A JP 2007218127 A JP2007218127 A JP 2007218127A JP 4895303 B2 JP4895303 B2 JP 4895303B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
methacrylic acid
liquid
raw material
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007218127A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009050770A (ja
JP2009050770A5 (ja
Inventor
桂子 前原
正英 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2007218127A priority Critical patent/JP4895303B2/ja
Publication of JP2009050770A publication Critical patent/JP2009050770A/ja
Publication of JP2009050770A5 publication Critical patent/JP2009050770A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4895303B2 publication Critical patent/JP4895303B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いる触媒(以下、「メタクリル酸製造用触媒」という)の製造方法、この製造方法によって得られるメタクリル酸製造用触媒、およびメタクリル酸の製造方法に関する。
従来知られているメタクリル酸製造用触媒の製造方法のうち、触媒中にアンチモンを含む触媒の調製例は多く、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4などに記載されている。いずれの場合もモリブデン原料、バナジウム原料、リン原料などを添加した後にアンチモンを混合する触媒の調製法である。特許文献1では、モリブデン、リンなどを含む均一溶液を還流した後にアンチモン溶液を加える調製法であり、アンチモンを混合する際の溶液の温度を0〜25℃が好ましいとする調製法である。特許文献2では、モリブデン原料溶液とモリブデンを除く原料溶液を室温〜80℃で混合してドーソン型ヘテロポリ酸塩を析出し、不活性ガス中で焼成するメタクリル酸製造用触媒の製造方法が提案されている。特許文献3では、モリブデン原料、バナジウム原料およびリン原料を混合して水に溶解または懸濁させ、アンモニウム根が存在する状態で120℃で17時間加熱処理した後、アンチモン原料を添加し、再度120℃で17時間加熱処理するメタクリル酸製造用触媒の製造方法が提案されている。更に、特許文献4の参考例1に、40℃に加熱した水に硝酸セシウム、リン酸などを加えた液と40℃に加熱した水にモリブデン酸アンモニウムを溶解した後にメタバナジン酸アンモニウムを加えた液を用意し、この後者の液に前者の液を添加した後に三酸化アンチモンを添加して水熱合成を行い、触媒の前駆体を得るメタクリル酸製造用触媒の製造方法が記載されている。
特開平5−31368号公報 特開平7−185354号公報 特開平9−75740号公報 特開2005−272313号公報
しかしながら、これら公報に記載された方法を用いて製造された触媒のメタクリル酸選択率は必ずしも十分でなく、工業用触媒としてさらなる触媒性能の向上が望まれている。
本発明の目的は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いる、メタクリル酸選択率の高いメタクリル酸製造用触媒の製造方法、この製造方法によって得られるメタクリル酸製造用触媒、およびこのメタクリル酸製造用触媒を用いたメタクリル酸の製造方法を提供することである。
前記の課題を解決するために、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いるメタクリル酸製造用触媒の製造方法であって、以下の(a)〜(d)の工程を含むメタクリル酸製造用触媒の製造方法を第一の発明とする。
(a)少なくともモリブデン原料、リン原料およびバナジウム原料を含む触媒原料を溶媒に溶解または懸濁させて溶液またはスラリーとし、それを30〜80℃で加熱してA液を得る工程(ただし、A液の乾燥物はヘテロポリ酸の立方晶系と三斜晶系の結晶を含む)
(b)アンチモン原料と前記A液とを混合してB液を調製する工程
(c)アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種を含む溶液またはスラリーであるC液を調製する工程
(d)前記B液と前記C液を混合する工程
また、上記のメタクリル酸製造用触媒の製造方法で製造したメタクリル酸製造用の触媒を第二の発明とする。
さらに、上記のメタクリル酸製造用触媒の存在下でメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法を第三の発明とする。
本発明によれば、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するためのメタクリル酸選択率の高い触媒およびその製造方法、並びに高選択率でメタクリル酸を製造することのできるメタクリル酸の製造方法を提供することができる。
本発明のメタクリル酸製造用触媒の製造法においては、(a)A液を調製する工程、(b)B液を調製する工程、(c)C液を調製する工程、および(d)B液とC液を混合して混合液(以下、「BC液」という)を調製する工程を経て、この触媒の前駆体の溶液またはスラリーを乾燥して触媒の前駆体を得て、この前駆体を焼成して触媒を得ることができる。
本発明における、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化して、メタクリル酸を製造する際に用いるメタクリル酸製造用触媒は、下記式(1)で示される組成を有するものであることが好ましい。
aMobSbdefgh (1)
(P、Mo、V、SbおよびOは、それぞれリン、モリブデン、バナジウム、アンチモンおよび酸素を示す。Xは、ビスマス、砒素、ゲルマニウム、ジルコニウム、テルル、銀、セレン、ケイ素、タングステンおよびホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を示す。Yは鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タンタル、コバルト、マンガン、バリウム、ガリウム、セリウムおよびランタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Zはカリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。a、b、c、d、e、f、gおよびhは各元素の原子比率を表し、b=12のときa=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜2、e=0〜3、f=0〜3、g=0.01〜3であり、hは前記各成分の原子価を満足するのに必要な酸素の原子比率である。)
(a)A液の調製
A液は、少なくともモリブデン、リンおよびバナジウムの化合物を溶媒に溶解または懸濁させて、溶液またはスラリーとし、これを加熱して調製する。モリブデン、リンおよびバナジウムの他に、銅、X元素、Y元素、Z元素、およびアンモニウム根を含んでもよい。本発明における「アンモニウム根」とは、アンモニウム(NH )になり得るアンモニア(NH)およびアンモニウム塩などのアンモニウム含有化合物に含まれるアンモニウムの総称である。
A液に含まれるアンモニウム根の量はモリブデン原子12モルに対して0〜1.5モルが好ましく、より好ましくは0〜1.0モルである。アンモニウム根の量をこの範囲とすることにより、メタクリル酸選択率の高い触媒が得られる。A液中に含まれるアンモニウム根の量は、これらを含む触媒原料やアンモニアの使用量により調節することができる。
A液の調製に用いる触媒原料としては、モリブデン、リンおよびバナジウムの各元素の酸化物、酸素酸、アンモニウム塩などを適宜選択して使用することができる。例えば、モリブデン元素の原料としては、三酸化モリブデン、モリブデン酸などのアンモニウムを含まない化合物が好ましいが、パラモリブデン酸アンモニウム、ジモリブデン酸アンモニウム、テトラモリブデン酸アンモニウムなどの各種モリブデン酸アンモニウムも少量であれば使用できる。また、リン元素の原料としては、正リン酸、五酸化リン、リン酸アンモニウムなどが使用できる。また、バナジウム元素の原料としては、五酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウムなどが使用できる。さらに、リン、モリブデンおよびバナジウムの各元素の原料として、リンモリブデン酸、モリブドバナドリン酸、リンモリブデン酸アンモニウムなどのヘテロポリ酸を使用することもできる。なお、A液の調製に際しては、アンチモンを触媒原料として使用しないことが好ましい。
A液の調製に使用する溶媒としては、例えば、水、エチルアルコール、エチレングリコール、アセトンなどおよびそれらの混合液が挙げられるが、水を用いることが好ましい。溶媒の量は特に限定されないが、モリブデン、リン、バナジウムを含む溶液またはスラリー中に含まれるモリブデン化合物と溶媒の質量比は1:0.1〜1:100が好ましく、1:0.5〜1:50がより好ましい。
A液の調製における溶液またはスラリーの加熱温度は30〜80℃であり、35〜60℃が好ましい。また、加熱時間に関しては、通常0〜5時間の範囲が好ましく、0〜0.5時間がより好ましい。
A液をこの加熱温度で調製することで図1に示すように、A液の乾燥物のX線回折(対陰極Cu−Kα)においてヘテロポリ酸の立方晶系に由来する約2θ=26.5°のピークと約2θ=30.7°のピークの間にヘテロポリ酸の三斜晶系に由来する約2θ=27.8、28.5および29.1の3本のピークが現れる。また、三酸化モリブデンに由来する約2θ=25.7°、約2θ=27.4°のピークが現れ、選択率を向上させるには約2θ=26.5°の強度を100とした場合、約2θ=27.4°の相対強度が40%以下であることが好ましい。
また、A液の温度をこの範囲に制御することでメタクリル酸選択率の高い触媒を得ることができる傾向にある。
A液の乾燥物のX線回折測定を行う際は、A液をサンプル瓶に分取して室温〜80℃で減圧乾燥し、A液中に含まれる水分を完全に除去する。
(b)B液の調製
アンチモン原料と前記A液を混合してB液とする場合、アンチモン原料を溶媒に溶解または懸濁させて使用することができるが、アンチモン原料をそのまま使用することが好ましい。
アンチモン原料と前記A液を混合する際に、アンチモンの他に、リン、モリブデン、バナジウム、銅、X元素、Y元素、Z元素、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素を混合してもよいが、これらの元素は混合しないことが好ましい。
アンチモン原料としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、硫酸アンチモン、アンチモンゾルなどが使用でき、これら原料は1種を用いても2種以上を併用してもよい。特に、三酸化アンチモンを使用することで選択率の高い触媒を得ることができる傾向にある。
A液とアンチモン原料の混合方法として、A液にアンチモン原料を混合する方法、アンチモン原料にA液を混合する方法およびA液とアンチモン原料を同時に混合する方法があるが、メタクリル酸選択率の観点からA液にアンチモン原料を混合する方法で混合することが好ましい。また、A液とアンチモン原料の混合は1回で行っても、2回以上に分けて混合してもよい。
A液とアンチモン原料の混合は、A液の温度が30〜80℃が好ましく、35〜60℃がより好ましい。このようなA液の温度でA液とアンチモン原料の混合液を調製することにより、メタクリル酸選択率の高い触媒が得られる傾向にある。また、アンチモン原料の温度については特に限定しない。
本発明において、A液とアンチモン原料の混合時の温度を保持するためには、A液とアンチモン原料の混合速度を調節する方法、A液とアンチモン原料の濃度を調節する方法、A液とアンチモン原料を調製する槽のジャケット部に冷却または加熱媒体を通じることによる方法、混合時の攪拌翼の回転速度を調節する方法など、様々な方法を用いることができる。これらの方法は単独でまたは組み合わせて使用することができる。ここで、A液とアンチモン原料の混合速度は、混合開始時から終了時まで同じ速度でもよいし、途中で速度を変えてもよい。また、加熱時間は特に限定されず、適宜決めればよい。
本発明において、A液とアンチモン原料を混合する時間は、メタクリル酸選択率の観点から0.1〜15分間が好ましく、0.5〜10分間がより好ましい。
(c)C液の調製
C液を調製する場合、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種の他に触媒原料となる他の元素の化合物も全量でなければ含んでも構わないが、これらの元素は基本的に含まない方が好ましい。
使用するアルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素は、各元素の硝酸塩、炭酸塩、水酸化物などを適宜選択して使用することができる。例えば、セシウムの原料としては、硝酸セシウム、炭酸セシウムおよび水酸化セシウムが使用できる。これら触媒成分の原料は各元素に対して1種を用いても2種以上を併用してもよい。
また、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種は溶媒に溶解または懸濁させて用いられる。その溶媒として例えば、水、エチルアルコールおよびアセトンなどが挙げられるが、水を用いることが好ましい。この溶媒の量は特に限定されないが、通常、原料と溶媒の質量比は1:0.1〜1:100であることが好ましく、1:0.5〜1:50がより好ましい。
アルカリ金属およびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種を溶媒に溶解して溶液とするか、または溶媒中に懸濁してスラリーとする場合、常温で系を撹拌して調製してもよいが、メタクリル酸選択率の観点から加熱撹拌して調製する方が好ましい。加熱温度は必要に応じて100℃程度まで加熱して調製してもよいが、80℃以下がより好ましい。
(d)BC液の調製
本発明において、前記B液と前記C液を混合してBC液を調製する。B液とC液の混合方法は特に限定されず、例えば、B液にC液を添加して混合する方法、C液にB液を添加して混合する方法およびB液とC液を同時に混合する方法が適用できる。メタクリル酸選択率の観点から中でも好ましいのは、B液にC液を添加して混合する方法である。B液とC液の混合は、常温で行ってもよいが、加熱して調製してもよい。メタクリル酸選択率の観点から、混合時の温度はそれぞれ80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。
<BC液と触媒原料の混合>
次いで、必要であれば上記で調製したBC液と触媒の製造に使用する残りの原料(以下、「残原料」という)を混合し、触媒の前駆体を含む溶液またはスラリーを調製する。本発明では、混合する残原料としては、X元素、Y元素、Z元素およびその他化合物も少量であれば添加することが可能である。混合する残原料は、1種を用いても2種以上を併用してもよい。
これらの残原料はそのまま加えてもよく、溶液の状態または懸濁した状態で加えてもよい。使用する溶媒は、例えば、水、エチルアルコール、アセトンなどおよびそれらの混合液が挙げられるが、水を用いることが好ましい。この溶媒の量は特に限定されない。また、BC液に残原料を混合する方法は特に限定されない。
<乾燥および焼成>
次いで、公知の処理方法および条件により、全ての触媒原料を含む溶液またはスラリーを乾燥し、触媒の前駆体の乾燥物を得ることができる。
乾燥方法としては種々の方法を用いることが可能であり、例えば、蒸発乾固法、噴霧乾燥法、ドラム乾燥法および気流乾燥法などを用いることができる。乾燥に使用する乾燥機の機種や乾燥時の温度、時間などは特に限定されず、乾燥条件を適宜変えることによって目的に応じた触媒の前駆体の乾燥物を得ることができる。
このようにして得られた触媒の前駆体の乾燥物は、必要により粉砕した後、成形せずにそのまま次の焼成を行ってもよいが、触媒の前駆体の成形品を焼成することが好ましい。
触媒の前駆体の成形方法は特に限定されず、公知の乾式および湿式の種々の成形法が適用できるが、シリカなどの担体などを含めずに成形することが好ましい。具体的な成形方法としては、例えば、打錠成形法、プレス成形法、押出成形法および造粒成形法が挙げられる。成形品の形状についても特に限定されず、例えば、円柱状、リング状および球状など所望の形状を選択することができる。
なお、成形に際しては、公知の添加剤、例えば、グラファイトおよびタルクなどを少量添加してもよい。
そして、このようにして得られた触媒の前駆体の乾燥物またはその成形品を焼成し、メタクリル酸製造用触媒が得られる。
焼成方法や焼成条件は特に限定されず、公知の処理方法および条件を適用することができる。焼成の最適条件は、用いる触媒原料、触媒組成、調製法などによって異なるが、通常、空気などの酸素含有ガス流通下または不活性ガス流通下で、200〜500℃、好ましくは300〜450℃で、0.5時間以上、好ましくは1〜40時間で行う。ここで、不活性ガスとは触媒の反応活性を低下させないような気体のことをいい、具体例として、窒素、炭酸ガス、ヘリウムおよびアルゴンなどが挙げられる。
<メタクリル酸の製造方法>
次に、本発明のメタクリル酸の製造方法について説明する。本発明のメタクリル酸の製造方法は、上記のようにして得られる本発明の触媒の存在下でメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するものである。
反応は通常の固定床で行われる。また、触媒層は1層でも2層以上でもよい。触媒は担体に担持させたものであってもその他の添加成分を混合したものであってもよい。
上記のような本発明の触媒を用いてメタクリル酸を製造する際には、メタクロレインと分子状酸素とを含む原料ガスを触媒と接触させる。
原料ガス中のメタクロレイン濃度は広い範囲で変えることができるが、通常、1〜20容量%が適当であり、3〜10容量%がより好ましい。
分子状酸素としては空気を用いることが経済的であるが、必要ならば純酸素で富化した空気なども用いることができる。原料ガス中の分子状酸素の濃度は、通常、メタクロレイン1モルに対して0.4〜4モルが適当であり、0.5〜3モルがより好ましい。
原料ガスはメタクロレインおよび分子状酸素を窒素、炭酸ガスなどの不活性ガスで希釈したものであってもよい。
また、原料ガスには水蒸気を加えてもよい。水の存在下で反応を行うと、より高収率でメタクリル酸が得られる。原料ガス中の水蒸気の濃度は0.1〜50容量%が好ましく、1〜40容量%がより好ましい。
また、原料ガス中には低級飽和アルデヒドなどの不純物を少量含んでいてもよいが、その量はできるだけ少ないことが好ましい。
メタクリル酸製造反応の反応圧力は大気圧から数気圧まで用いられる。反応温度は、通常、230〜450℃が好ましく、250〜400℃がより好ましい。
原料ガスの流量は特に限定されないが、通常、接触時間は1.5〜15秒が好ましく、2〜5秒がより好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例および比較例中の「部」は「質量部」を意味する。触媒の組成は触媒成分の原料仕込み量から求めた。反応原料ガスおよび生成物の分析はガスクロマトグラフィーを用いて行った。また、溶液中に含まれるアンモニアおよびアンモニウムの量はキェールダール法で測定した。
なお、メタクロレインの反応率、生成したメタクリル酸の選択率およびメタクリル酸の単流収率は以下のように定義される。
メタクロレインの反応率(%)=(β/α)×100
メタクリル酸の選択率(%)=(γ/β)×100
メタクリル酸の単流収率(%)=(γ/α)×100
ここで、αは供給したメタクロレインのモル数、βは反応したメタクロレインのモル数、γは生成したメタクリル酸のモル数である。
[実施例1]
純水200部に三酸化モリブテン100部、85質量%リン酸6.66部および五酸化バナジウム2.63部を加え、撹拌しながらスラリーとし、得られたスラリーを60℃で0.2時間加熱してA液を得た。このA液の一部(2ml)を50℃で8時間、約7kPaで減圧乾燥して得た乾燥粉のX線回折(対陰極Cu−Kα)を測定した。回折パターンから図1に示すようにヘテロポリ酸の立方晶系に由来する2θ=26.5°および30.7°のピークとヘテロポリ酸の三斜晶系に由来する2θ=27.8°、28.5°および29.1°のピークが現れた。A液を60℃に保持した状態で三酸化アンチモン2.53部をスラリーに一括添加してB液を調製し、これを還流下で3時間撹拌した。還流撹拌後スラリーを50℃に冷却し、これに硝酸セシウム13.54部を純水28.43部に溶解したC液を加え5分間撹拌保持してBC液を調製した後、25質量%アンモニア水39.44部を滴下した。得られた溶液を50℃のまま2時間撹拌して触媒の前駆体を含むスラリーを得た。
この触媒の前駆体を含むスラリーを101℃まで加熱し、撹拌しながら蒸発、乾固した。そして、得られた固形物を130℃で16時間乾燥した。得られた乾燥物を加圧成形した後、空気流通下、375℃にて10時間焼成して触媒を得た。得られた触媒の組成はP1.0Mo120.5Sb0.3Cs1.2であった。
得られた触媒を反応管に充填し、メタクロレイン5容量%、酸素10容量%、水蒸気30容量%、窒素55容量%の混合ガスを常圧下、反応温度290℃、接触時間3.6秒で通じたときの反応結果は、メタクリル酸選択率92.4%、メタクロレイン反応率65.3%であった。
[実施例2]
実施例1において、A液を調製する際の加熱温度を40℃とし、A液の温度を40℃に保持した状態で三酸化アンチモン2.53部を一括添加した点以外は、実施例1と同様の方法により触媒を調製した。実施例1と同様にして得たこのA液の乾燥物のX線回折ではヘテロポリ酸の立方晶系に由来する2θ=26.5°および30.7°のピークとヘテロポリ酸の三斜晶系に由来する2θ=27.8°、28.5°および29.1°のピークが現れた。調製した触媒を用いて実施例1と同様の方法によりメタクリル酸を製造した結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、A液を調製する際の加熱温度を20℃とし、A液の温度を20℃に保持した状態で三酸化アンチモン2.53部を一括添加した点以外は実施例1と同様の方法により触媒を調製した。実施例1と同様にして得たこのA液の乾燥物のX線回折ではヘテロポリ酸の立方晶系に由来する2θ=26.5°および30.7°のピークとヘテロポリ酸の三斜晶系に由来する2θ=27.8°、28.5°および29.1°のピークが現れなかった。調製した触媒を用いて実施例1と同様の方法によりメタクリル酸を製造した結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1においてA液の温度を60℃に保持した状態で硝酸セシウム13.54部を純水28.43部に溶解したC液を加え、次いで三酸化アンチモン2.53部を一括添加し、還流下で3時間攪拌後、スラリーを50℃に冷却した以外は実施例1と同様の方法により触媒を調製した。調製した触媒を用いて実施例1と同様の方法によりメタクリル酸を製造した結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、A液を調製する際の加熱において1時間還流(約100℃)し、三酸化アンチモン2.53部を一括添加してB液を調製した点以外は実施例1と同様の方法により触媒を調製した。実施例1と同様にして得たこのA液の乾燥物のX線回折では三酸化モリブデンに由来する2θ=25.7°、2θ=27.4°のピークが顕著に現れた。調製した触媒を用いて実施例1と同様の方法によりメタクリル酸を製造した結果を表1に示す。
Figure 0004895303
三酸化モリブデン及びA液の乾燥物のX線回折チャートである。

Claims (3)

  1. メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いるメタクリル酸製造用触媒の製造方法であって、以下の(a)〜(d)の工程を含むメタクリル酸製造用触媒の製造方法。
    (a)少なくともモリブデン原料、リン原料およびバナジウム原料を含む触媒原料を溶媒に溶解または懸濁させて溶液またはスラリーとし、それを30〜80℃で加熱してA液を得る工程(ただし、A液の乾燥物はヘテロポリ酸の立方晶系と三斜晶系の結晶を含む)
    (b)アンチモン原料と前記A液とを混合してB液を調製する工程
    (c)アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも1種を含む溶液またはスラリーであるC液を調製する工程
    (d)前記B液と前記C液を混合する工程
  2. 請求項1に記載の方法により製造されたメタクリル酸製造用触媒。
  3. 請求項2に記載のメタクリル酸製造用触媒の存在下で、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化するメタクリル酸の製造方法。
JP2007218127A 2007-08-24 2007-08-24 メタクリル酸製造用触媒の製造方法、メタクリル酸製造用触媒およびメタクリル酸の製造方法 Active JP4895303B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007218127A JP4895303B2 (ja) 2007-08-24 2007-08-24 メタクリル酸製造用触媒の製造方法、メタクリル酸製造用触媒およびメタクリル酸の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007218127A JP4895303B2 (ja) 2007-08-24 2007-08-24 メタクリル酸製造用触媒の製造方法、メタクリル酸製造用触媒およびメタクリル酸の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2009050770A JP2009050770A (ja) 2009-03-12
JP2009050770A5 JP2009050770A5 (ja) 2011-08-25
JP4895303B2 true JP4895303B2 (ja) 2012-03-14

Family

ID=40502344

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007218127A Active JP4895303B2 (ja) 2007-08-24 2007-08-24 メタクリル酸製造用触媒の製造方法、メタクリル酸製造用触媒およびメタクリル酸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4895303B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5424914B2 (ja) * 2010-01-28 2014-02-26 三菱レイヨン株式会社 メタクリル酸製造用触媒およびその製造方法、ならびにメタクリル酸の製造方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57179007A (en) * 1981-04-24 1982-11-04 Sumitomo Chem Co Ltd Novel heteropolyacid, its manufacture and its using method
JPS60209259A (ja) * 1984-04-03 1985-10-21 Nippon Shokubai Kagaku Kogyo Co Ltd 酸化用触媒およびその調製法
JPH0733344B2 (ja) * 1986-12-06 1995-04-12 旭化成工業株式会社 メタクリル酸および/またはメタクロレインの製法
JPH0631172A (ja) * 1992-07-15 1994-02-08 Daicel Chem Ind Ltd メタクリル酸製造用触媒
JPH09290162A (ja) * 1996-04-26 1997-11-11 Mitsubishi Chem Corp 酸化触媒の製造方法及びメタクリル酸の製造方法
JP3995381B2 (ja) * 1999-02-08 2007-10-24 三菱レイヨン株式会社 メタクリル酸製造用触媒およびメタクリル酸の製造方法
JP3763246B2 (ja) * 2000-04-06 2006-04-05 住友化学株式会社 ヘテロポリ酸系触媒の再生方法およびメタクリル酸の製造方法
JP2003154273A (ja) * 2001-11-21 2003-05-27 Mitsubishi Rayon Co Ltd メタクリル酸製造用触媒の製造方法、メタクリル酸製造用触媒、および、メタクリル酸の製造方法
JP2004008834A (ja) * 2002-06-03 2004-01-15 Mitsubishi Rayon Co Ltd メタクリル酸製造用触媒の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009050770A (ja) 2009-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8716523B2 (en) Catalyst for use in production of methacrylic acid and method for manufacturing the same
JP4691359B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法
US20140316160A1 (en) Catalyst For Methacrylic Acid Production And Process For Producing Methacrylic Acid
WO2016136882A1 (ja) 不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸製造用触媒及びその製造方法並びに不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸の製造方法
JP4925415B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法
JP4922614B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法
JP7356923B2 (ja) ヘテロポリ酸化合物の製造方法、ヘテロポリ酸化合物及びメタクリル酸の製造方法
JP3995381B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒およびメタクリル酸の製造方法
JP2004008834A (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法
JP4766610B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法
JP5560596B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法
JP4895303B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法、メタクリル酸製造用触媒およびメタクリル酸の製造方法
JP2005058909A (ja) メタクリル酸合成用触媒の製造方法
JP4372573B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法
JP4933736B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒、その製造方法及びメタクリル酸の製造方法
JP2005066476A (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法、この方法により製造される触媒、およびメタクリル酸の製造方法
JP4745653B2 (ja) メタクリル酸の製造方法
JP4951230B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒及びその製造方法、並びにその触媒を用いたメタクリル酸の製造方法
JP4017864B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法、および、メタクリル酸の製造方法
JP4601420B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法
JP4629886B2 (ja) メタクロレインおよび/またはメタクリル酸製造用触媒、その製造方法、および、メタクロレインおよび/またはメタクリル酸の製造方法
JP2003154273A (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法、メタクリル酸製造用触媒、および、メタクリル酸の製造方法
JP4564317B2 (ja) メタクリル酸製造用触媒の製造方法
JP5149138B2 (ja) 不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法
JP2008149262A (ja) 不飽和カルボン酸合成用触媒の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100810

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100810

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110705

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111215

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111216

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4895303

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250