JP4929533B2 - 多価アルコール含有ゲル状基剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に多価アルコールからなるゲル状基剤に関し、さらに、実質的に水を含まないことを特徴とするゲル状基剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
多価アルコールは水溶性物質であり、種々の薬物に対して高い溶解能を持つため、化粧品、医薬品等の基剤成分として汎用されており、多価アルコールを含むゲル状基剤も提供されてきた。
【0003】
しかしながら、これまでに提供されてきた多価アルコール含有ゲル状基剤の多くはゲル化に必須の成分として水を含有しているため、防腐性、ゲルの安定性(水分の解離など)及び薬物(特に水に不安定な薬物)の安定性等の点で十二分に満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明は、実質的に水を含まない多価アルコール含有ゲル状基剤を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、多価アルコールに対して一定量のヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルピロリドンの少なくとも1種を配合し、これを攪拌・混合することによって得たゲルが、多価アルコール含有基剤としての性質を保持しつつ、防腐性、ゲルの安定性、水に不安定な薬物に対する安定性等の点で極めて優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、多価アルコールを70質量%以上含有するゲル状基剤において、該多価アルコール1質量部に対してヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルピロリドンの少なくとも1種を0.001〜0.05質量部含有するゲル状基剤である。さらに、このゲル状基剤は実質的に水を含まないことによっても特徴づけられる。
【0007】
本発明における多価アルコールとは、1分子中にアルコール性水酸基を2個以上もつ有機化合物であって、水溶性であること、皮膚への刺激が弱いこと等の特徴を有し、外用剤の基剤として汎用されている。このような多価アルコールとしては、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールが挙げられが、安全性の点で好ましいのは、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールである。さらに、ポリエチレングリコールにあってゲル化に好適なのは平均分子量200〜600のポリエチレングリコールである。常温で容易に調製できるからである。ここに、ポリエチレングリコールの平均分子量は日本薬局方記載の平均分子量試験によって決定された値である。
【0008】
本発明における多価アルコールの基剤中に占める割合は多価アルコールの種類によって若干異なるものの通常70質量%以上である。外用剤の基剤としたときの使用感という点からは、80〜99質量%が好ましく、90〜99質量%がさらに好ましい。
なお、前記多価アルコールは1種を用いるだけでなく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0009】
本発明におけるヒドロキシプロピルセルロース(以下、適宜に「HPC」と略記する。)とは、2質量%水溶液としたときの粘度が150〜4000mPa・sとなるヒドロキシプロピルセルロースである。多価アルコールをゲル化したときの粘度が外用剤の基剤に適するという点では、1000〜4000mP・sのものが好ましい。ここに、粘度は20℃における2質量%水溶液の値をB型粘度計で測定したものである。
なお、本発明においては粘度を異にする数種のヒドロキプロピルセルロースを組み合わせて用いてもよい。
【0010】
本発明のポリビニルピロリドン(以下、適宜に「PVP」と略記する。)は、日本薬局方記載のK値(粘度計定数:単位 mm2/s2)によって区別されており、本発明においては、K値が25、30、90のものが好ましく、K値90のものが特に好ましい。
なお、本発明においてはK値を異にする数種のポリビニルピロリドンを組み合わせて用いてもよい。
【0011】
上記ヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルピロリドンは、いずれか1種のみでなく、2種を組み合わせて用いてもよい。これらの配合量は多価アルコール1質量部に対して通常0.001〜0.05質量部であり、外用剤としての使用に適する柔らかさという点では0.005〜0.03質量部が好ましい。
【0012】
本発明にかかるゲル状基剤は、一般的には、常温で液体状の多価アルコールに対して所定量のヒドロキシプロピルセルロース等を攪拌・混合し、溶解させることによって調製できる。ただし、多価アルコールとして常温で半固形乃至固形状のポリエチレングリコールを使用する場合には、該ポリエチレングリコールの融点以上において攪拌・混合を行い、常温への冷却過程を経て基剤を調製することを要する。
【0013】
本発明にかかるゲル状基剤は実質的に無水であって、防腐性、ゲルの安定性等の点からは水を含有させないのが好ましいが、これら安定性等に影響を及ぼさない程度の少量の水を配合することは許容範囲にあり、なお実質的に無水といえる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるゲル状基剤は、食品、化粧品または医薬品等の種々の分野における基剤としての利用が可能である。例えば、医薬品の基剤としては、ソフトカプセルの内容物基剤への応用も可能であるが、皮膚、粘膜、眼、鼻腔、口腔等に用いられる外用剤の基剤として用いるのが最も適している。
【0015】
本発明にかかるゲル状基剤には、生物学的に活性のある薬物を溶解・分散させることによって外用剤とすることができる。
【0016】
本発明のゲル状基剤に配合される薬物は、ゲル中に含有させたときに外用剤等としての薬効を発現するものであれば特に限定はないが、本発明のゲル状基剤が実質的に無水であることから、特に水に不安定な薬物もしくはpHに影響され易い薬物を配合する場合に、こうした薬物をゲル中に安定に保持しうるという点で有用である。
【0017】
もっとも、水に安定な薬物もしくはpHに影響されない薬物を本発明のゲル状基剤に配合するにあたっては、実質的に無水の範囲を超えて水を配合することも差し支えない。水に安定な薬物等にとってゲル中に水が存することは、薬物の安定性等の点で何ら問題はないのであって、防腐性や離水といった問題もそれぞれ防腐剤の添加や基剤の選定によって解決しうるのであり、むしろ、薬物や他の基剤をゲル中に均一に分散・溶解させる等の上で、水が必要となることもあるからである。
【0018】
その他、本発明にかかるゲル状基剤を外用剤等とするにあたっては、溶解補助剤、炭化水素、界面活性剤、抗酸化剤、乳化安定剤、高分子等のゲル化剤、粘着剤、pH調節剤、防腐剤、キレート剤、香料、色素等をゲルの安定性等を損なわない範囲で配合することができる。
【0019】
【実施例】
以下に、実施例及び試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、ポリエチレングリコール及び1,3−ブチレングリコールは、それぞれ「PEG」及び「1,3-BG」と適宜に略記し、また、HPC-M及びHPC-Hは、平均分子量がそれぞれ110,000〜150,000及び250,000〜400,000のHPCを表す。
【0020】
(実施例1)
97gのPEG300に1gの水溶性アズレンを分散させた後、2gのHPC-Mを溶解・膨潤させてゲル状の外用剤を調製した。
【0021】
(実施例2)
51gのPEG400と45gの1,3-BGを混合した液に1gのビタミンA酸、1gのビタミンE、1gのパンテノールを分散させた後、1gのHPC-Hを溶解・膨潤させてゲル状の外用剤を調製した。
【0022】
(実施例3)
49gのPEG400と45gの1,3-BGを混合した液に5gのアシクロビルを分散させた後、1gのHPC-Hを溶解・膨潤させてゲル状の外用剤を調製した。
【0023】
(実施例4)
92gのPEG300と5gの濃グリセリンを混合した液に1gのクロロブタノールを分散させた後、2gのPVP-K90を溶解・膨潤させてゲル状の外用剤を調製した。
【0024】
(試験例1) ゲル状基剤の物性試験
多価アルコールとして1,3-BG及びPEG300、並びに、ゲル化剤としてHPC-M,HPC-H及びPVP-K90を用い、表1の実験例1〜24のような組成でゲルを調製し、その物性を測定してゲル化を確認した。なお、粘度測定には振動粘度計(VM-100,山一電機社製)を用いた。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明により、実質的に水を含まないゲル状基剤を簡易に調製することができ、したがって、防腐性、ゲルの安定性及び薬物安定性等に優れたゲル状外用剤を提供することが可能となった。
Claims (2)
- 1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種又は2種の多価アルコールを90〜99質量%含有するゲル状皮膚外用基剤において、該多価アルコール1質量部に対してヒドロキシプロピルセルロースを0.50/99.50〜3.00/97.00質量部含有し、振動粘度計で測定したときの粘度が130〜705cpであることを特徴とする、ゲル状皮膚外用基剤。
- 実質的に水を含まないことを特徴とする請求項1に記載のゲル状皮膚外用基剤。
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