JP2009073828A - 点眼剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】眼粘膜滞留性が高く抗菌力に優れ、保存時には粘性が低く沈殿物などが生じない点眼剤を提供することを課題とする。
【解決手段】(a)金属塩を形成していないサルファ剤、(b)ジェランガム、及び(c)トロメタモール、を配合することを特徴とする点眼剤。及び
(a)金属塩を形成していないサルファ剤、(b)0.001W/V%以上0.07W/V%以下のジェランガム、及び(c)トロメタモール及び/又はモノエタノールアミン、を配合することを特徴とする点眼剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スルファメトキサゾール等のサルファ剤を配合した点眼剤に関する。
サルファ剤とは、sulfanilamide基をもった抗菌薬である。眼粘膜に起こる細菌感染症である結膜炎(はやり目)、ものもらい、眼瞼炎(まぶたのただれ)の治療には、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾール又はスルフイソミジンナトリウムなどのサルファ剤を配合する点眼剤を眼粘膜に適用するのが一般的である。しかしながら、点眼液は速やかに眼粘膜から排出されてしまうため抗菌成分が必ずしも十分には薬効を発揮することができないことが知られている。すなわち、眼粘膜に適用される点眼剤においては、薬物の生物学的利用能を高めるために、眼粘膜への薬物滞留性を向上させる必要がある。そこで、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース系粘稠化剤を配合して組成物に粘性をもたせることによって薬物滞留性を向上した製剤設計が行われている。しかしながら、薬物滞留性を付与するためにセルロース系粘稠化剤を配合し、点眼液の粘度を高めすぎると、点眼剤製造時の濾過滅菌処理が困難になるという問題があった。
上記問題を解決するため、眼粘膜滞留性が高い一方で、保存時には粘性が低い点眼剤の開発が求められており、解決策としては以下に示すジェランガム配合点眼剤等が挙げられる。
ジェランガムは、遊離のNa+等の陽イオンを一定量以上共存させると、ゲル化する性質を有する物質として知られている。ジェランガムのこの性質を利用して、ジェランガムをゲル化剤として用い、涙液に含まれるNa+等の陽イオンによりゲル化を図るジェランガム配合点眼剤が知られている(特許文献1及び2参照)。これらジェランガム配合点眼剤を点眼した場合、眼粘膜表面でジェランガムがゲル化し、ゲル内に含まれる薬物の眼粘膜表面における滞留時間が延長され、眼粘膜表面に滞留した薬物が眼内により多く移行することで、薬物の効果が持続される。すなわち、保存時には粘性の低い液体であるが、投与時にゲル化し粘性が上がる機能を有する製剤となるため、薬効が持続することとなる。
また、ペクチンを配合してジェランガムと同様、Na+等の陽イオンで高粘度化する組成物(特許文献3参照)、アルギン酸誘導体を配合してジェランガムと同様、Na+等の陽イオンで高粘度化する組成物(特許文献4参照)が知られている。
ところで、ジェランガム配合点眼剤にサルファ剤を配合する場合、溶解性が良好な面から汎用されているナトリウム塩のサルファ剤を用いると、ジェランガムがNa+と反応し、点眼剤に沈殿物を生じてしまう。これは、ジェランガム配合点眼剤に薬効が発揮される量のナトリウム塩のサルファ剤を配合すると、ジェランガムが急激にゲル化し、沈殿物を生じてしまうためと考えられる。点眼剤において、沈殿物を生じてしまうことは致命的な問題となる。
一方、金属塩を形成していないサルファ剤を用いれば、上記問題は容易に解決できるとも考えられるが、溶解性が十分でないことから汎用されていない。金属塩を形成していないサルファ剤を溶解させるためにはアルカリを添加する必要があるが、通常汎用される水酸化ナトリウムを用いると、上記と同様に点眼剤に沈殿物を生じてしまう。このように、金属塩を形成していないサルファ剤を用いてジェランガム配合点眼剤を製造するには、サルファ剤の溶解性と沈殿物生成の問題が残されていることから、未だ報告例は無い。
特開昭62−181228号公報 特開平4−230631号公報 特開2002−265671号公報 特開2002−332248号公報
本発明の課題は、眼粘膜滞留性が高く抗菌力に優れる一方で、製造時には濾過滅菌処理を行うことが可能な程度に低い粘度を有し、保存時に沈殿物などが生じない点眼剤を提供することである。
本発明者らは、課題解決のために鋭意検討の結果、(a)金属塩を形成していないサルファ剤、(b)ジェランガム、を配合した点眼剤において、驚くべきことに通常pH値を安定させるための緩衝剤として用いる、(c)トロメタモールをアルカリとして一定量以上配合することで、金属塩を形成していないサルファ剤を溶解させ、かつ上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、ジェランガムの配合量を限定すると、トロメタモールと同様に緩衝剤として用いる、モノエタノールアミンをアルカリとして配合することでも、上記課題が解決できることを見出し、またトロメタモールとモノエタノールアミンを共に配合しても良いことがわかった。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(8)に掲げる点眼剤である。
(1)(a)金属塩を形成していないサルファ剤、(b)ジェランガム、及び(c)トロメタモール、を配合することを特徴とする点眼剤。
(2)(a)金属塩を形成していないサルファ剤、(b)0.001W/V%以上0.07W/V%以下のジェランガム、及び(c)トロメタモール及び/又はモノエタノールアミン、を配合することを特徴とする点眼剤。
(3)ジェランガムの配合量が0.07W/V%より大きく1.0W/V%以下である(1)に記載の点眼剤。
(4)0.0001W/V%以上0.9W/V%以下のモノエタノールアミンを更に配合することを特徴とする(3)に記載の点眼剤。
(5)pHが7.6以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の点眼剤。
(6)トロメタモールの配合量が0.3W/V%以上10W/V%以下である(1)〜(5)
のいずれかに記載の点眼剤。
(7)トロメタモールの配合量が2W/V%以上10W/V%以下である(1)〜(5)
のいずれかに記載の点眼剤。
(8)金属塩を形成していないサルファ剤が、スルファメトキサゾールまたはスルフイソキサゾールである(1)〜(7)のいずれかに記載の点眼剤。
本発明の点眼剤は、金属塩を形成していないサルファ剤を溶解させたジェランガム配合点眼剤であり、沈殿物を生じず、サルファ剤の眼粘膜への滞留性が向上し優れた抗菌力を発揮することができる。また、製造時には粘性が低い為、濾過滅菌処理も容易に行うことができる。
本発明に用いるサルファ剤は金属塩を形成していないものである。本発明において金属塩とは、ジェランガムと反応して沈殿を生成する金属の塩であり、例えばアルカリ金属塩(具体的にはNa塩が挙げられる)、アルカリ土類金属塩が挙げられる。金属塩を形成していないサルファ剤のうち好ましいものとして、スルファメトキサゾール又はスルフイソキサゾールが挙げられる。これらは公知の化合物であり、2種を組み合わせて使用してもよい。
本発明の点眼剤中におけるこれらのサルファ剤の配合量は、点眼剤に配合した際に抗菌活性を有する限り特に限定されないが、通常0.01〜10W/V%程度であり、好ましくは0.1〜8W/V%、より好ましくは0.5〜4W/V%である。
本発明に用いるサルファ剤を溶解させるためにはアルカリが必要であり、本発明においてはトロメタモール及び/又はモノエタノールアミンを用いることができる。その必要量は、サルファ剤の配合量によって異なる。なお、ジェランガムの配合量が多い場合、モノエタノールアミンを配合すると沈殿物を生じることがあるため、モノエタノールアミンを配合しないか、モノエタノールアミンの配合量を制限して、さらにトロメタモールと併せて配合する必要がある。トロメタモールはジェランガムの配合量に関係なく、配合することができる。
トロメタモールの配合量を具体的な数値で示すと、点眼剤に対して通常0.0001W/V%以上であり、好ましくは0.3〜10W/V%、より好ましくは2〜10W/V%、よりさらに好ましくは2.7〜5W/V%である。また、モノエタノールアミンを配合する場合には、沈殿物の生成を避けるため、配合量を0.9W/V%以下にすることが好ましいが、ジェランガムの配合量が0.07W/V%以下であれば沈殿物が生成しないため、特に配合量は制限されない。
本発明に用いるジェランガムとしては特に限定されず、天然型であっても、そのβ−D−グルコピラノース(β−D−Glcp)残基上の一部がo−アセチル化されているアセチル化型であってもよい。上記アセチル化型のジェランガムとしては、例えば、低アセチル化型である、ゲルライト(Gelrite(登録商標)、メルク社製)等が好適に用いられる。本発明の点眼剤におけるジェランガムの濃度としては、目的に従い適宜選択されればよく特に限定されないが、一般的には0.001〜1.0W/V%の範囲内であり、好ましくは0.005〜0.2W/V%、より好ましくは0.01〜0.2W/V%である。
本発明の点眼剤は、本発明の効果を損なわない範囲でスルファメトキサゾール等のサルファ剤以外にも、種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を組み合わせて配合することができる。点眼剤に通常用いられる充血除去成分、眼筋調節薬成分、抗炎症薬成分または収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、局所麻酔薬成分、ステロイド成分などが例示できる。具体的には、以下に挙げる成分が例示できる。
充血除去成分:例えば、α−アドレナリン作動薬、具体的にはエピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン、酒石酸水素エピネフリン、硝酸ナファゾリンなどが挙げられる。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
眼筋調節薬成分:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン硫酸アトロピンなどが挙げられる。
抗炎症薬成分または収斂薬成分:例えば、アラントイン、イプシロン−アミノカプロン酸、インドメタシン、塩化リゾチーム、プラノプロフェン、グリチルリチン酸二カリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリンなどが挙げられる。
抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分:例えば、アシタザノラスト、アンレキサノクス、イブジラスト、トラニラスト、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸レボカバスチン、フマル酸ケトチフェン、ペミロラストカリウム、マレイン酸クロルフェニラミンなどが挙げられる。
ビタミン類:例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リン酸ピリドキサール、シアノコバラミン、パンテノール、アスコルビン酸、酢酸トコフェロールなどが挙げられる。
アミノ酸類:例えば、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、グルタミン酸、クレアチ
ニンなどが挙げられる。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
局所麻酔薬成分:例えば、塩酸オキシブプロカイン、塩酸コカイン、塩酸コルネカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル、塩酸ピペロカイン、塩酸プロカイン、塩酸プロパラカイン、塩酸ヘキソチオカイン、塩酸リドカインなどが挙げられる。
ステロイド成分:例えば、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、フルオロメトロン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロキシメステロン(hydroxymesterone)、カプロン酸ヒドロコルチゾン、カプロン酸プレドニゾロン、酢酸コルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロンなどが挙げられる。
また、本発明の点眼剤には、発明の効果を損なわない範囲でその用途や形態に応じて、常法に従い、様々な成分や添加物を適宜選択し、一種またはそれ以上を併用して配合してもよい。それらの成分または添加物として、例えば、液剤などの調製に一般的に使用される担体(水、水性溶媒、水性または油性基剤など)、増粘剤、糖類、界面活性剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、pH調節剤、等張化剤、香料または清涼化剤、緩衝剤、安定剤、溶解剤、基剤などの各種添加剤を挙げることができる。
以下に本発明の点眼剤に使用される代表的な成分を例示するが、これらに限定されない。
増粘剤:例えば、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸、ポリビニルアルコール(完全、又は部分ケン化物)、マクロゴールなどが挙げられる。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリンなどが挙げられる。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトールなどが挙げられる。
界面活性剤:例えば、アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型両性界面活性剤、アルキル4級アンモニウム塩(具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの陽イオン界面活性剤)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどの非イオン界面活性剤などが挙げられる。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニドなど)、グローキル(ローディア社製 商品名)などが挙げられる。
pH調整剤:例えば、塩酸、ホウ酸、アミノエチルスルホン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、酢酸、ホウ砂などが挙げられる。
等張化剤:例えば、グリセリン、プロピレングリコールなどが挙げられる。
香料又は清涼化剤:例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、リュウノウ、ウイキョウ油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ水、ハッカ油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油などが挙げられる。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
緩衝剤:アミノエチルスルホン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、クエン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤など。具体的には、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなどが挙げられる。好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤及びクエン酸緩衝剤である。特に好ましい緩衝剤は、ホウ酸緩衝剤またはクエン酸緩衝剤である。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸、ホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩などのホウ酸塩、ホウ酸とホウ酸塩との組み合わせが挙げられる。クエン酸緩衝剤としては、クエン酸、クエン酸アルカリ金属塩、クエン酸アルカリ土類金属塩などのクエン酸塩、クエン酸とクエン酸塩との組み合わせが挙げられる。また、ホウ酸緩衝剤又はクエン酸緩衝剤として、ホウ酸塩又はクエン酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的には、ホウ酸又はその塩 (ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウムなど) 、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムなど)が挙げられる。
安定剤:ジブチルヒドロキシトルエン、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロールなどが挙げられる。
溶解剤、基剤:オクチルドデカノール、パラフィン、ヒマシ油、プラスチベース、ラノリン、ワセリンなどが挙げられる。
上記した種々の成分や添加物中には、金属塩が含まれることがある。本発明の点眼剤に対して、これらを配合する際には、ジェランガムがゲル化しないように配合量に留意する必要がある。
本発明の点眼剤は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧に調整して用いる。浸透圧は、100〜1200mOsm、好ましくは100〜600mOsm、特に好ましくは150〜400mOsm程度であり、生理食塩液に対する浸透圧比は、通常、0.4〜4.1、好ましくは0.3〜2.1、特に好ましくは0.5〜1.4程度である。本発明の点眼剤の粘度は、濾過滅菌処理を行える程度であれば問題ないが、好ましくは20mPa・s以下である。
本発明の点眼剤は、必要に応じて、生体に適用可能な範囲内のpHに調整して用いる。pHは、通常、pH6.5〜10.0、好ましくは7.0〜9.5、特に好ましくは7.6 〜9.0である。pHの調整は、緩衝剤、前記pH調整剤などを用いて行うことができる。
本発明の点眼剤は、公知の方法により製造できる。液剤は、基剤と各成分とを混合し、調製できる。さらに、必要により、濾過滅菌処理工程や、容器への充填工程等を加えることができる。
以下に、試験例及び実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例および比較例の調製
試験に用いた各実施例及び比較例の調製は、表1−1〜1−3に示す処方に従った。具体的には、実施例1の調製方法を示す。0.1gのエデト酸二ナトリウム、0.5gのクエン酸ナトリウムを350mLの精製水中にて攪拌溶解し、さらに加熱しながらジェランガムを2.0g加え、攪拌溶解した(調製液A)。100gのトロメタモールを500mLの精製水中にて攪拌溶解し、さらに40gのスルファメトキサゾールを攪拌溶解した(調製液B)。調製液Bを調製液Aに加え、さらに精製水を加えて全体を1000mLとした。さらに実施例1に従い、他の実施例及び比較例も調製した。
試験例1 調製直後の状態
各実施例及び比較例の調製直後の状態は目視観察により行った。判定は以下の基準で行った。結果を表1−1〜1−3に示した。
×:ゲルと認められる大きな沈殿物が存在する
△:微小な粒子状の沈殿物が存在する
○:沈殿物が全く存在しない
試験例2 ゲル化力試験
「ドライアイのすべて」(文光堂、1998)、「Ocular Surfaceの診断と治療」(メディカル葵出版、1993)、「点眼剤」(南山堂、1984)等を参考に、表2の組成の人工涙液を調製した。人工涙液にピペットを用いてサンプルを挿入し、1分間その形状を観察した後、その形状を判定し、ゲル化力を評価した。判定を容易にするため、各試験例の点眼剤に成分と相互作用のない色素(青色1号:ブリリアントブルーFCF:和光純薬製)を添加した。結果を表1−2及び1−3に示した。なお、評価基準は下記の通りである。
○:瞬時にゲルを形成し、1分後もゲルの形状に変化が見られなかった
△:瞬時にゲルを形成したものの、1分後、ゲルの形状は保持しなかった
×:ゲルを形成しなかった
試験例1の結果、比較例1より、ナトリウム塩のサルファ剤を用いると多量のゲルが生成し調製できなかった。比較例2より、アルカリとして水酸化ナトリウムを用いると多量のゲルが生成し、調製できなかった。比較例3〜6及び9では大きな沈殿物は生じないものの、微少な沈殿物が生成し、点眼剤として調製することはできなかった。実施例1〜6より、サルファ剤としては、非ナトリウム塩のサルファ剤を選択し、アルカリとしてトロメタモールを一定量加えた場合に問題のない点眼剤が調製できた。すなわち、トロメタモールを加えた場合には、ジェランガムの配合量によらずに点眼剤を調製することができた。また、実施例7〜10及び比較例3〜5よりジェランガムの配合量が0.07W/V%以下であればアルカリとしてモノエタノールアミンを一定量加えた場合にも問題のない点眼剤が調製できた。さらに、実施例11、12及び比較例4、5より、ジェランガムの配合量が0.07W/V%以上の場合、モノエタノールアミンの配合量を減らして、トロメタモールを加えることで、問題のない点眼剤が調製できた。すなわち、沈殿物の生成が抑えられ、濾過滅菌処理を容易に行える粘性を有する点眼剤を得ることができた。
また、比較例7及び8の結果より、配合するアルカリとして全ての有機アミンが本願発明の効果を奏するわけではないことも判明した。さらに、実施例9と比較例9の結果よりサルファ剤を4W/V%配合した場合には、pHを7.6以上とする必要があることが判明した。すなわち、pHを7.6以上にする程度のアルカリの配合が必要であることがわかった。全ての実施例のpHが上記範囲内である。なお、他の比較例の結果より、pHを7.6以上にしただけでは、本願発明の効果は得られないこともわかる。
また、試験例2の結果より本願発明の実施例は人工涙液に触れるとゲル化するので、眼粘膜滞留性が高く抗菌力に優れると言える。
なお、実施例1〜12にクエン酸ナトリウムとEDTA・2Naを加えているが、粘度と沈殿物生成の観点から問題は見られなかった。すなわち、Na+等の陽イオンを生じ得る物質を加えること自体が点眼剤の調製に問題となるわけではなく、配合する物質と配合量によると考えられる。従って、本願発明の効果を奏する限り、Na+等の陽イオンを生じ得る物質を適宜配合することを妨げるものではない。
Figure 2009073828
Figure 2009073828
Figure 2009073828
表1−1から1−3において記号「−」が、pH及び粘度の欄で使用されている場合、pH及び粘度を測定していないことを意味し、ゲル化力試験の欄で使用されている場合、ゲル化力試験を行っていないことを意味する。また、表中の配合成分の欄に記載の数値の単位は、それぞれの比較例及び実施例を1000mL製造した際の、100mL中に含まれる配合量(mg/100mL)である。
Figure 2009073828
本発明により、眼粘膜滞留性が高く抗菌力に優れ、保存時には粘性が低く沈殿物などが生じない点眼剤を提供することが可能となった。

Claims (8)

  1. (a)金属塩を形成していないサルファ剤、(b)ジェランガム、及び(c)トロメタモール、を配合することを特徴とする点眼剤。
  2. (a)金属塩を形成していないサルファ剤、(b)0.001W/V%以上0.07W/V%以下のジェランガム、及び(c)トロメタモール及び/又はモノエタノールアミン、を配合することを特徴とする点眼剤。
  3. ジェランガムの配合量が0.07W/V%より大きく1.0W/V%以下である請求項1に記載の点眼剤。
  4. 0.0001W/V%以上0.9W/V%以下のモノエタノールアミンを更に配合することを特徴とする請求項3に記載の点眼剤。
  5. pHが7.6以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の点眼剤。
  6. トロメタモールの配合量が0.3W/V%以上10W/V%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の点眼剤。
  7. トロメタモールの配合量が2W/V%以上10W/V%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の点眼剤。
  8. 金属塩を形成していないサルファ剤が、スルファメトキサゾールまたはスルフイソキサゾールである請求項1〜7のいずれか1項に記載の点眼剤。
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