JP4926255B2 - プレキャストコンクリート部材の連結固定構造 - Google Patents
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Description
2分割タイプのボックスカルバートは、下分割体と上分割体からなり、下分割体は、底壁と、底壁の両端から起立する下側側壁とで構成され、上分割体は、上壁と、上壁の両端から垂設された上側側壁とで構成されている。
そして、下側側壁の上端の合わせ面と、上側側壁の下端の合わせ面を合わせ、モルタル充填式継手を用いて下分割体と上分割体とを連結固定し、ボックスカルバートを組み立てるようにしている。
また、4分割タイプのボックスカルバートは、下分割体と、2つの中間側壁と、上分割体からなり、下分割体は、底壁と、底壁の両端から起立する下側側壁とで構成され、中間側壁は直方体状に構成され、上分割体は、上壁と、上壁の両端から垂設された上側側壁とで構成されている。
そして、下側側壁の上端の合わせ面と、中間側壁の下端の合わせ面を合わせ、モルタル充填式継手を用いて下分割体と中間側壁とを連結固定する。その後、両中間側壁の上端の合わせ面と、上側側壁の下端の合わせ面を合わせ、モルタル充填式継手を用いて中間側壁と上分割体とを連結固定し、これによりボックスカルバートを組み立てるようにしている。
また、打設されたコンクリート床に、柱をなすプレキャストコンクリート部材を立設する場合なども、モルタル充填式継手が用いられているが、やはりこの場合も複数の支保工を用いて仮固定する必要があり、柱などをなすプレキャストコンクリート部材の組み立てを簡易迅速に行なえない問題があった。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、支保工を不要とし、プレキャストコンクリート部材の組立を簡易迅速に行なえ、プレキャストコンクリート部材の連結固定をより強固に行なう上で有利なプレキャストコンクリート部材の連結固定構造を提供することにある。
まず、4分割タイプのボックスカルバートを対象とした第1の参考例から説明する。
図1および図2は第1の参考例の説明図で、図1(A)はボックスカルバートの分解斜視図、(B)は下分割体の合わせ面の分解斜視図(C)は中間側壁の合わせ面の斜視図、図2(A)乃至(E)はボックスカルバートの組立工程の説明図を示す。
4分割タイプのボックスカルバート12は、下分割体14と、2つの中間側壁16と、上分割体18とで構成され、これら下分割体14、2つの中間側壁16、上分割体18はそれぞれプレキャストコンクリート製である。
前記中間側壁16は直方体状に構成され、その下端には前記合わせ面1404Aに合わされる平坦な合わせ面16Aが形成され、その上端には上分割体18に合わされる平坦な合わせ面16Bが形成されている。
前記上分割体18は、上壁1802と、上壁1802の両端から垂設された上側側壁1804とで構成され、各上側側壁1804の下端には前記合わせ面16Bに合わされる平坦な合わせ面1804Aが形成されている。
前記モルタル充填式継手は、周知のように、筒体、筒体の下端に設けられたモルタル注入口、筒体の上端に設けられたエア排出口などにより構成されている。
そして、連結固定する2つのプレキャストコンクリート部材のうちの一方のプレキャストコンクリート部材に前記筒体が埋設固定され、他方のプレキャストコンクリート部材に埋設固定された鉄筋を前記筒体の内部に挿入した状態で、前記モルタル注入口から前記筒体の内部にモルタルを充填し、前記筒体の内部で前記鉄筋を固定することで2つのプレキャストコンクリート部材を連結固定するようにしたものである。
本参考例では、前記下分割体14の下側側壁1404の上部と上分割体18の上側側壁1804の下部とにそれぞれ4つのモルタル充填式継手が埋設固定され、図1(B)において符号20は、下側側壁1404の上部に埋設されたモルタル充填式継手の筒体の内部に通じる開口を示しており、図1(A)、(C)において符号22は、前記中間側壁16の上下に貫通して埋設固定され前記モルタル充填式継手の筒体の内部に挿入される鉄筋を示し、図1(B)、(C)において符号24は、相手方の凹部に嵌め込まれるずれ止めピンを示す。
すなわち、図2(A)乃至(E)に示すように、下分割体14は、下分割体14の下側側壁1404に基部が支持されて下側側壁1404の合わせ面1404Aからこの合わせ面1404A1と直交する方向に突出するねじふし鉄筋26を備えている。
中間側壁16は、下側側壁1404の合わせ面1404Aに合わせられる合わせ面16Aと、上分割体18の上側側壁1804の合わせ面1804Aに合わせられ前記合わせ面16Aと平行する合わせ面16Bと、前記ねじふし鉄筋26の挿通を可能とし前記合わせ面16Aから合わせ面16Bにわたって貫通する挿通孔1612とを備えている。
上分割体18は、前記ねじふし鉄筋26の挿通を可能とし上側側壁1804の合わせ面1804Aからこの合わせ面1804Aと反対の上端面1804Bにわたって貫通する挿通孔1812を備えている。
また、前記中間側壁16と上分割体18は、それらの合わせ面16B、1804Aが合わせられた状態で前記ねじふし鉄筋26が前記挿通孔1812に挿通されると共に、前記上端面1804Bにおいて螺合されたナット部材30によりねじふし鉄筋26が締結されることで仮固定されている。
図1(B)および図2(A)に示すように、下分割体14の各下側側壁1404には、合わせ面1404Aに露出するように2つの雌ねじ部材32が埋め込まれ、各雌ねじ部材32の下半部にはねじふし鉄筋34が螺合されており、このねじふし鉄筋34により雌ねじ部材32は下側側壁1404に強固に固定されている。
次に、図2(C)に示すように、中間側壁16の上下に貫通して設けられた挿通孔1612に前記ねじふし鉄筋26を挿通させ、中間側壁16の鉄筋22を、下側側壁1404に埋設されたモルタル充填式継手の筒体の内部に開口20から挿入し、下側側壁1404のずれ止めピン24を中間側壁16の凹部に嵌め込み、下側側壁1404の合わせ面1404Aと中間側壁16の合わせ面16Aを合わせる。
そして、このように仮固定された状態で、下側側壁1404に埋設されたモルタル充填式継手のモルタル注入口から、筒体の内部にモルタルが注入され、このモルタルが硬化することで下側側壁1404と中間側壁16が連結固定される。
次に、上側側壁1804の上端面1804B上で、挿通孔1812と同軸上に形成された凹部1814内で、ねじふし鉄筋26に前記ナット部材30を螺合させ、ねじふし鉄筋26およびナット部材30により中間側壁16に対して上側側壁1804を締結し、これにより中間側壁16に上側側壁1804が仮固定される。
そして、このように仮固定された状態で、上側側壁1804に埋設されたモルタル充填式継手のモルタル注入口から、筒体の内部にモルタルが注入され、このモルタルが硬化することで中間側壁16と上側側壁1804が連結固定され、これにより4分割タイプのボックスカルバート12の組立が完了する。
特に、ボックスカルバート12は、横方向に多数連結されて用いられる場合が多いため、本参考例によれば、ボックスカルバート12の組立にまつわる労力を大幅に軽減でき、工期の短縮化を図り、また、コストダウンを図る上で極めて有利となる。
図3(A)乃至(E)は第2の参考例に係るボックスカルバートの組立工程の説明図を示す。
第1の参考例と同様な箇所に同一の符号を付して説明すると、第2の参考例では2本のねじふし鉄筋26A、26Bを用いている点が前記第1の参考例と異なっている。
すなわち、図3(A)乃至(E)に示すように、下分割体14は、下分割体14の下側側壁1404に基部が支持されて下側側壁1404の合わせ面1404Aからこの合わせ面1404A1と直交する方向に突出する第1のねじふし鉄筋26Aを備えている。
上分割体18は、前記第2のねじふし鉄筋26Bの挿通を可能とし上側側壁1804の合わせ面1804Aからこの合わせ面1804Aと反対の上端面1804Bにわたって貫通する挿通孔1812を備えている。
また、前記中間側壁16と上分割体18は、それらの合わせ面16B、1804Aが合わせられた状態で、前記ナット部材28に螺合する第2のねじふし鉄筋26Bが前記挿通孔1812に挿通されると共に、前記上端面1804Bにおいて螺合されたナット部材30により第2のねじふし鉄筋26Bが締結されることで仮固定されている。
このような第2の参考例によっても、ねじふし鉄筋26A、26Bとナット部材28、30を用いた簡単な構成により、下分割体14に対して中間側壁16を仮固定でき、また、中間側壁16に対して上分割体18を仮固定できるので、支保工の取り付け、取り外し作業を省いてボックスカルバート12の組立を簡易迅速に行なうことが可能となり、ボックスカルバート12の組立にまつわる労力を大幅に軽減でき、工期の短縮化を図り、また、コストダウンを図る上で極めて有利となる。
なお、前記第1、第2の参考例では、中間側壁16の合わせ面16Bに、ナット部材28を収容させるための凹部1614を設けた場合について説明したが、合わせ面16Bを平坦面で形成し、ナット部材28を収容させるための凹部を上側側壁1804の合わせ面1804Aに設けるようにしてもよい。
図4および図5は第3の参考例の説明図で、図4(A)は擁壁の分解斜視図、(B)は下分割体の合わせ面の分解斜視図(C)は中間側壁の端面の斜視図、図5(A)乃至(D)は擁壁の組立工程の説明図を示す。
擁壁42は底壁44と、側壁46とでL字状に構成され、これらはそれぞれプレキャストコンクリート製である。
前記側壁46は直方体状に構成され、その下端には前記合わせ面4402Aに合わされる平坦な合わせ面46Aが形成され、その上端には前記合わせ面46Aと平行する平坦な端面46Bが形成されている。
擁壁42は、底壁44と側壁46がそれらの合わせ面4402A、46Aを合わせた状態で、前記第1、第2の参考例と同様に、モルタル充填式継手、鉄筋を介して組み立て固定される。
本参考例では、膨出部4402に4つのモルタル充填式継手が埋設固定され、図4(B)において符号48は、モルタル充填式継手の筒体の内部に通じる開口を示しており、図4(A)において符号50は、側壁46に埋設固定され前記モルタル充填式継手の筒体の内部に挿入される鉄筋を示し、図4(B)において符号52は、相手方の凹部に嵌め込まれるずれ止めピンを示す。
すなわち、図5(A)乃至(D)に示すように、底壁44は、膨出部4402に基部が支持されて合わせ面4402Aからこの合わせ面4402Aと直交する方向に突出するねじふし鉄筋54を備えている。
側壁46の合わせ面46Aには、前記ねじふし鉄筋54の挿通を可能とした挿通孔4612が前記端面46Bまで貫通して設けられている。
底壁44と側壁46は、それらの合わせ面4402A、46Aが合わせられた状態でねじふし鉄筋54が挿通孔4612に挿通されると共に、前記端面46Bにおいて螺合されたナット部材56によりねじふし鉄筋54が締結されることで仮固定されている。
図4(B)および図5(A)に示すように、底壁44の膨出部4402には、合わせ面4402Aに露出するように2つの雌ねじ部材60が埋め込まれ、各雌ねじ部材60の下半部にはねじふし鉄筋62が螺合されており、このねじふし鉄筋62により雌ねじ部材60は膨出部4402に強固に固定されている。
前記底壁44に側壁46を組み立てる前に、図5(B)に示すように、まず、前記雌ねじ部材60のねじ孔に螺合させてねじふし鉄筋54を合わせ面4402Aから直角に立設する。前記ねじふし鉄筋56はこのように立設された状態で、側壁46の高さにほぼ等しい長さで形成されている。
次に、図5(D)に示すように、側壁46の合わせ面46B上で、挿通孔4612と同軸上に形成された凹部4614内で、ねじふし鉄筋54に前記ナット部材56を螺合させ、ねじふし鉄筋54およびナット部材56により膨出部4402に対して側壁46を締結し、これにより底壁44に側壁46が仮固定される。
そして、このように仮固定された状態で、膨出部4402に埋設されたモルタル充填式継手のモルタル注入口から、筒体の内部にモルタルが注入され、このモルタルが硬化することで底壁44と側壁46が連結固定される。
特に、擁壁42は、横方向に多数連結されて用いられる場合が多いため、本実施の形態によれば、擁壁42の組立にまつわる労力を大幅に軽減でき、工期の短縮化を図り、また、コストダウンを図る上で極めて有利となる。
なお、前記第1、第2、第3の参考例では、プレキャストコンクリート部材相互を連結する場合について説明したが、本発明は、現場で打設されたコンクリート体に対してプレキャストコンクリート部材を連結する場合にも無論適用される。
図6(A)乃至(D)はコンクリート床にプレキャストコンクリート部材を立設する場合の説明図、図7(A)乃至(D)はコンクリート床にプレキャストコンクリート部材を立設する場合のモルタル充填式継手部分の説明図、図8(A)、(B)はコンクリート体に立設される鉄筋の説明図、(C)は雌ねじ部材の説明図、(D)はモルタル充填式継手の筒体と雌ねじ部材部分の説明図を示す。
第4の参考例では、現場で打設されたコンクリート床70(特許請求の範囲のコンクリート体に相当)に、柱をなす直方体状のプレキャストコンクリート部材72を立設する際の仮固定に適用されたものである。
前記鉄筋74としては、図8(A)に示すように、ねじふし鉄筋7402や、図8(B)に示すように、ねじふし鉄筋7402に異形鉄筋7404を摩擦圧接により接合したものを用いることができる。
前記鉄筋74は、プレキャストコンクリート部材72を吊り込む前に、コンクリート床70に埋設された雌ねじ部材7002に螺合することで平坦な床面70Aから直角に立設され、雌ねじ部材7002は鉄筋7004により定着されている。
前記モルタル充填式継手76は、筒体7602が鉛直方向に延在するように埋め込まれ、筒体76の内部空間はプレキャストコンクリート部材72の平坦な下面72Aに開放されている。
前記筒体76には、プレキャストコンクリート部材72に埋め込まれた接合用鉄筋7202の下部が挿入され、接合用鉄筋7202の下端は筒体76の内部空間の上下中間部に位置し、図7(B)において符号7610はゴムパッキンを示している。
本参考例では、図8(D)に示すように、雌ねじ部材78の先端が位置する筒体7602部分に、雌ねじ部材78の雌ねじ7802に連続する雌ねじが形成されている。
前記雌ねじ部材78は、プレキャストコンクリート部材72の側面72Bから前記雄ねじ80を螺合できるように延在しており、側面72Bには雄ねじ80の頭部を収容する凹部72Cが形成されている。
まず、図7(A)に示すように、コンクリート床70に埋設された雌ねじ部材7002に鉄筋74を螺合し、8本の鉄筋74を床面70Aから立設する。
次に、図6(A)、図7(B)に示すように、プレキャストコンクリート部材72を吊り込み、前記鉄筋74が各モルタル充填式継手76の筒体7602の内部空間に挿入されるように下降させ、床面70Aにプレキャストコンクリート部材72の下面72Aを合わせ、位置決めする。
次に、図6(B)、図7(C)に示すように、プレキャストコンクリート部材72の側面72Bから雄ねじ80を雌ねじ部材78の雌ねじ7802に螺合させねじ込んでいく。
これにより本参考例では、プレキャストコンクリート部材御72の下部において8本の雄ねじ80によりそれぞれ鉄筋74を押さえ付けることになり、支保工による支えを要せずに、プレキャストコンクリート部材72が安定した状態で仮固定される。
最後に、雄ねじ80の頭部を覆うように凹部72Cをモルタルで閉塞し、これによりプレキャストコンクリート部材72の設置作業が終了する。
特に、多数のプレキャストコンクリート部材72を設置するような場合、本実施の形態によれば、プレキャストコンクリート部材72の設置にまつわる労力を大幅に軽減でき、工期の短縮化を図り、また、コストダウンを図る上で極めて有利となる。
図9(A)乃至(C)はモルタル充填式継手の筒体や雄ねじの変形例の説明図を示す。
図9(A)では、モルタル充填式継手76の筒体7602の内面で、前記雌ねじ部材78の雌ねじ7802に対向する箇所に、前記鉄筋74に当接可能な凸部7612が設けられている。
多くの場合、コンクリート埋設用として使用される鉄筋74の表面には凹凸が設けられており、したがって、筒体7602の内面にこのような凸部7612を設けることで雄ねじ80による鉄筋74の押さえ付けがより確実になされ、コンクリート床70に対してプレキャストコンクリート部材72をより強固に仮固定する上で有利となる。
また、雄ねじ80の軸部の先部に、断面形状が先端に至るにつれて次第に小さくなる突起80Aを形成したものである。
上述のように、コンクリート埋設用として使用される鉄筋74の表面には凹凸が設けられており、したがって、このように凸部7612の先部に突起7612Aを設けたり、雄ねじ80の軸部の先部に突起80Aを設けるようにすると、これら突起7612A、80Aが鉄筋74の表面に食い込み易くなり、雄ねじ80による鉄筋74の押さえ付けをより確実し、コンクリート床70に対してプレキャストコンクリート部材72をより強固に仮固定する上で有利となる。
図9(C)では、前記筒体7602の内面の凸部7612を、筒体7602にねじ結合した、あるいは溶着した雄ねじ7620により構成したものである。
このように雄ねじ7620を用いると、市販のモルタル充填式継手76の筒体7602にも簡単に凸部7612を設けることができる。
図10(A)乃至(C)は雌ねじの変形例の説明図を示す。
図10(A)では、雌ねじ部材78をモルタル充填式継手76の筒体7602の外周部から凹部72Cの底部まで延在させ、この雌ねじ部材78の内周面の全長にわたって雌ねじ7802を形成したものである。
図10(B)では、筒体7602の外周部で鉄筋74に臨む箇所に環状の部材7822を嵌合固定し、この環状の部材7822に前記雌ねじ7802を形成したものである。
図10(C)では、筒体7602の外周部で鉄筋74に臨む箇所7630が、他の筒体7602箇所よりも肉厚に形成され、この肉厚の箇所7630に前記雌ねじ7802を形成したものである。
なお、図10(A)、(B)の場合、雌ねじ7802に臨む筒体7602の壁部に、雌ねじ7802に連続する雌ねじを形成するか、あるいは、単に雄ねじ挿通孔を形成するかは任意である。
また、図10(B)、(C)の場合、雌ねじ7802と凹部72Cとの間は、雄ねじ挿通孔72Dにより接続されることになる。
図11(A)、(B)はそれぞれ雌ねじ部材の配設構造を説明するための断面平面図を示す。
図11(A)では、プレキャストコンクリート部材72の内部で水平面内において配設される直線状の鉄筋7220に雌ねじ部材78を溶着固定したものである。
図11(B)では、筒体7602の周囲に配設される環状の定着鉄筋7222に雌ねじ部材78を溶着固定したものである。
このように型枠内において、鉄筋7220、7222を配筋する際、雌ねじ部材78を鉄筋7220、7222に溶着固定することで簡単に配設でき、この状態で型枠内にコンクリートが打設され、プレキャストコンクリート部材72が製造される。
したがって、第4の参考例におけるモルタル充填式継手76、雌ねじ部材78、雄ねじ80を用いれば、コンクリート床70に対するプレキャストコンクリート部材72の連結強度を維持しつつモルタル充填式継手76の筒体7602の長さを従来よりも短くすることが可能となる。
図12(C)は本実施の形態の説明図であり、さらに、図12(C)に示すように、第4の参考例の雌ねじ部材78、雄ねじ80に加え、プレキャストコンクリート部材72に、筒体7602の側部でプレキャストコンクリート部材72の鉄筋7202に臨む箇所に筒体7602の延在方向とほぼ直交する方向に延在する雌ねじ部材78を設け、この雌ねじ部材78の雌ねじ7802に螺合する雄ねじ80を設ければ、さらに連結強度が増し、図12(B)の場合よりもモルタル充填式継手76の筒体7602の長さを寸法L2だけ短くすることが可能となる。
なお、図13(C)に示すように、雌ねじ部材78の長さを短くすることで雌ねじ7802を短くし、雌ねじ7802と凹部72Cとの間を雄ねじ挿通孔72Dで接続すると、雄ねじ80の回動量が減少し、雄ねじ80の取り付け作業を簡単化する上で有利となる。
26、26A、26B、54 ねじふし鉄筋
28,30、56 ナット部材
42 擁壁
72 プレキャストコンクリート部材
76 モルタル充填式継手
78 雌ねじ部材
80 雄ねじ
Claims (6)
- コンクリート体から突設された鉄筋を、プレキャストコンクリート部材に埋め込まれたモルタル充填式継手の筒体の内部に挿入し、プレキャストコンクリート部材に埋め込まれた鉄筋の先端と前記コンクリート体の鉄筋の先端を前記筒体の内部で向かい合わせてコンクリート体とプレキャストコンクリート部材を合わせ、前記筒体の内部にモルタルを充填してコンクリート体にプレキャストコンクリート部材を連結固定する構造であって、
前記プレキャストコンクリート部材に、前記筒体の側部でプレキャストコンクリート部材の鉄筋に臨む箇所に前記筒体の延在方向とほぼ直交する方向に延在する雌ねじが設けられ、
前記プレキャストコンクリート部材の外面から前記雌ねじに螺合し、その先端がプレキャストコンクリート部材の鉄筋を押圧する雄ねじが設けられ、
前記プレキャストコンクリート部材に、前記筒体の側部で前記コンクリート体の鉄筋に臨む箇所に前記筒体の延在方向とほぼ直交する方向に延在する雌ねじが設けられ、
前記プレキャストコンクリート部材の外面から前記雌ねじに螺合し、その先端が前記コンクリート体の鉄筋を押圧する雄ねじが設けられている、
ことを特徴とするプレキャストコンクリート部材の連結固定構造。 - 前記プレキャストコンクリート部材に、前記筒体の側部で前記鉄筋に臨む箇所に前記筒体の延在方向とほぼ直交する方向に延在して雌ねじ部材が埋め込まれ、前記雌ねじは前記雌ねじ部材に形成されていることを特徴とする請求項1記載のプレキャストコンクリート部材の連結固定構造。
- 前記筒体の外周部で前記鉄筋に臨む箇所に環状の部材が固定され、前記雌ねじは前記環状の部材に形成されていることを特徴とする請求項1記載のプレキャストコンクリート部材の連結固定構造。
- 前記筒体の側部で前記鉄筋に臨む箇所は、他の筒体箇所よりも肉厚に形成され、前記雌ねじは前記肉厚の部分に形成されていることを特徴とする請求項1記載のプレキャストコンクリート部材の連結固定構造。
- 前記プレキャストコンクリート部材の外面に、前記雄ねじの頭部を収容する凹部が設けられ、前記凹部はモルタルで閉塞されることを特徴とする請求項1記載のプレキャストコンクリート部材の連結固定構造。
- 前記雌ねじは、前記筒体と凹部との間の中間箇所まで延在し、前記筒体と凹部との間の中間箇所と凹部との間は、雄ねじ挿通孔が設けられていることを特徴とする請求項5記載のプレキャストコンクリート部材の連結固定構造。
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