JP4920769B2 - 導電性接触子用ホルダ - Google Patents

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Description

本発明は、プリント配線板や電子素子等との間に於いて電気信号を授受するのに適する導電性接触子用ホルダに関する。
従来、プリント配線板の導体パターンや電子素子などの電気的検査を行うためのコンタクトプローブに用いられる導電性接触子として、例えば特許文献1に開示されているように、一対の導電性針状体を軸線方向両端にてそれぞれ出没自在にした両端可動型のものがある。この両端可動型の導電性接触子は、2つの回路基板同士を結合して製品化するものに於いて、両基板同士を結合する前に両者間を仮接続して検査を行う際に用いるのに適する。また、液晶パネルの点灯検査やアレイ基板検査を行うべく、そのパネル点灯駆動用LSIとしてのTAB及びPCB(実装プリント基板)を結合する前工程で液晶パネルを検査する場合には、液晶パネルのセルの配線パターンによる接続電極数と同数の接触子を有する導電性接触子ユニットを用いて行うことができる。
例えば同一出願人による特許文献2に記載されているように、複数の板状の合成樹脂製絶縁体を積層して導電性接触子用ホルダを構成したものがある。このような導電性接触子用ホルダにあっては、圧縮コイルばねの両端部にそれぞれ導電性針状体を設け、それらを支持するホルダ孔を各絶縁体の積層方向に貫通する孔により形成している。
具体的には、図9に示されるように、上側及び下側絶縁体41・42にそれぞれ小径孔41a・41b・42a・42bを設け、それらの間に積層された中間絶縁体43に大径孔43a・43bを設け、大径孔43a・43b内にそれぞれコイルばね44・45を受容し、各小径孔41a・41b・42a・42bにより各針状体46・47・48・49の針状部をそれぞれ支持するようにしている。なお、各性針状体46〜49に大径孔43a・43b内に受容される大きさのフランジ部を形成し、そのフランジ部を大径孔43a・43bと小径孔41a・41b・42a・42bとの間に形成される肩部に衝当させて、各性針状体46〜49を抜け止めしている。
そして、上記各絶縁体41〜43による積層構造のホルダ50が形成され、コイルばね44及び針状体46・48を有する導電性接触子51が、検査対象の例えば液晶パネル53の各端子に対応し得る数をもって配置されている。なお、各絶縁体41〜43はねじまたは接着剤で互いに結合されていて良い。また、図では、導電性接触子51と、コイルばね45及び針状体47・49を有する導電性接触子52とが、上側絶縁体41の上面に設けられたTAB54のシート部54aを介して導通し、導電性接触子52の針状体49が下側絶縁体42の下面に設けられたPCB45(55)を介して外部検査装置本体と接続されるようになっている。
このようにして、大径孔43a・43b及び小径孔41a・41b・42a・42bをホルダ孔とする両端可動型の導電性接触子を複数配設した導電性接触子用ホルダ50が構成されている。そして、アクチュエータのアーム56に例えば中間絶縁体43の一部が結合され、ホルダ50がアーム56により支持されている。検査時にはアーム56を変位させて、液晶パネル53の端子部に針状体48を弾発的に接触させることができる。
実開昭60−154868号公報 特願平6−87337号
しかしながら、上記構造のものにあっては、ホルダ50を構成する各絶縁体が合成樹脂材の一体物でそれぞれ形成されているため、例えば検査における温度変化(高温下等での検査)や残留加工歪みや長期の含水等による経時変化によって、ホルダ50に寸法の変化が発生する虞がある。そのような寸法変化が発生すると、各ホルダ孔間のピッチがずれたりして、各導電性接触子の接触位置(針状体の先端位置)の精度が悪化するという問題がある。
このような従来技術の課題に鑑み、本発明の主な目的は、接触点の位置を高精度に設定し、しかも製造が容易な導電性接触子用ホルダを提供することにある。
本発明の第2の目的は、強度の低下を抑制すると共に、より一層薄型化が可能な導電性接触子用ホルダを提供することにある。
本発明の第3の目的は、電気的特性及び機械的特性を両立可能な導電性接触子用ホルダを提供することにある。
本発明によれば、このような目的の少なくとも大部分は、導電性針状体を被接触体に接触させる複数の導電性接触子を並列に配設した状態で支持するための導電性接触子用ホルダであって、第1の材料からなり、開口が設けられた基板と、第2の材料からなり、少なくとも前記開口の内周面を覆うように前記基板表面に被着された被膜と、第3の材料からなり、前記開口内に充填されたホルダ孔形成部材とを有し、前記第1の材料が、金属、半導体、セラミック及びガラス材料から選ばれたものを含むものであり、前記被膜の前記第2の材料が、前記基板と前記ホルダ孔形成部材との一体化を強固にする絶縁性合成樹脂材であり、前記第3の材料が加工容易な合成樹脂材であり、複数の前記導電性接触子をそれぞれ受容するべき複数のホルダ孔が、前記ホルダ孔形成部材を、その厚さ方向に後加工により貫通されており、前記ホルダ孔により、前記被接触体に接触させる複数の前記導電性針状体を個別に軸線方向において出没自在にガイドするとともに、前記導電性針状体を個別に配線基板の端子部に所定の押圧力にて弾発的に接触させることができることを特徴とする導電性接触子用ホルダを提供することにより達成される。
前記第1の材料は、金属、半導体、セラミック及びガラス材料から選ばれたものを含むものであって良く、前記第2及び第3の材料は、同一又は異種の合成樹脂材料を含むものであって良い。
これによれば、ホルダにおける基板に例えば低熱膨張性の金属等の高強度材料を用いることができ、その場合にはホルダの母材を高強度材料とみなすことができるため、合成樹脂材の一体物からなるものに対して、検査等における温度変化(高温下等での検査)による寸法変化が発生することを容易に抑制し得る。また、残留加工歪みによる経時変化による寸法変化が発生することも抑制し得る。したがって、被接触対象となるチップなどの端子が高密度化されても、対応して配設した導電性接触子のピッチ精度を雰囲気や経時変化に影響されずに高精度に保持し得る。
特に、前記開口の内面に前記ホルダ孔形成部材との接合力が高い材質からなる被膜が設けられていることによれば、ホルダ孔形成部材の開口に対する密着性が高まり、一体化が確保される。被膜と基板との密着力が弱い場合でも、被膜が概ね前記基板の表面の全体に渡って被着されていれば、被膜と基板とが強固に結合され、ホルダ孔形成部材と基板との間の結合力を容易に高めることができる。
また、前記高強度基板の表面及び前記開口の内面に被膜が設けられ、かつ前記被膜の上に前記ホルダ孔を形成するのに加工容易な材料が積層されていると良い。これによれば、開口のみにホルダ孔を形成するのに加工容易な材料を埋設する場合に必要となるマスキングが不要になり、作業性を改善することができる。また、絶縁性合成樹脂材をコーティングして被膜を形成し、その上に積層する加工容易な材料として絶縁性のものを用いることができ、このようにすることにより、絶縁材の2層重ねにより絶縁性を向上することができる。そのため、絶縁性を損なうことなく層を薄くすることが可能になり、層を不必要に厚くしなくて良く、ホルダを薄型化し得る。
また、前記ホルダ孔形成部材の材料が静電気の発生し難い合成樹脂材であり、前記高強度基板の少なくとも絶縁を必要とする面に絶縁被膜が設けられていることによれば、被接触対象となるチップ等の端子の高密度化により静電特性を重視する必要がある場合にホルダ孔形成部材に静電特性の高い合成樹脂材を用いることができ、それにより絶縁性が多少劣化しても、絶縁被膜を設けることにより容易に対処できる。
また、前記高強度基板に、前記ホルダと他の部材とを結合するための結合用ねじ孔が設けられていることによれば、高強度基板にねじ孔を形成することになるため、合成樹脂材からなるものにねじ孔を形成するものよりねじ山の強度が高く、ねじの締め付け力を増大することができ、ホルダの他の部材との結合状態が安定化する。また、繰り返しの取り付け取り外しにもねじ山が損傷し難く、メンテナンス性が良い。
本発明の或る実施例によれば、開口の内周面に係合部が設けられていることにより、ホルダ孔形成部材と基板との間の結合強度を確保することができる。このような好適実施例として、基板がシリコンウエハからなり、前記係合部が前記開口内周面に対して異方性エッチングを行なうことにより形成された突条を含むものとすることができる。
本発明が適用された導電性接触子用ホルダを示す模式的縦断面図である。 図1の矢印II−II線に沿って見た断面図である。 aは高強度基板に開口を設けた第2の実施例のホルダを示す要部縦断面図であり、bは高強度基板に合成樹脂層を設けたホルダを示すaと同様の図であり、cは開口にホルダ孔形成部材を設けたホルダを示すaと同様の図であり、dはホルダ孔形成部材にホルダ孔を形成したホルダを示すaと同様の図である。 aは開口に突条を設けた第3の実施例のホルダを示す図3のaと同様の図であり、bは開口にホルダ孔形成部材を設けた状態を示すaと同様の図である。 本発明が適用された第4の実施例を示す図1と同様の図である。 aは第5の実施例としての密集型プローブユニットを示す斜視図であり、bは密集型プローブユニットの要部縦断面図である。 aは第6の実施例としてのソケットを示す斜視図であり、bはaのVIIb−VIIb線に沿って見た縦断面図である。 aは第7の実施例とての導電性接触子用ホルダを示す要部縦断面図であり、bは高強度基板に合成樹脂層を設けたホルダを示すaと同様の図であり、cはホルダの製造過程の中間段階を示すaと同様の図である。 従来の導電性接触子用支持体を示す模式的縦断面図である。
図1は、本発明が適用された導電性接触子用ホルダを用いた導電性接触子ユニット1を示す模式的縦断面図であり、図2は図1の矢印II−II線に沿って見た断面図である。図に示されるように、本導電性接触子ユニット1は、板状のホルダ2と、ホルダ2の所定の位置に配設された複数の導電性接触子3と、導電性接触子3と図示されない検査装置本体との間を電気的に接続する配線基板4とからなる。なお、図示例の導電性接触子ユニットにあっては、従来例と同様に液晶パネルの完成前検査を行うものに用いられるものであって良く、アクチュエータのアーム5によりホルダ2を図における上下方向に変位可能とし、図における下方に配設された液晶パネルの端子(図示せず)に導電性接触子3を接触させて検査を行う。
ホルダ2は、インバーやコバールなどの耐熱性を有する低熱膨張金属からなる高強度基板6と、高強度基板6の一部に設けたスロット状の開口6aに埋設状態に例えば充填された合成樹脂材からなるホルダ孔形成部材7とを有する。基板6のための高強度材料は、必要に応じて、半導体、セラミック及びガラス材料から選ぶこともできる。この合成樹脂材には例えば絶縁性の高い材料のものを用いることができる。そのホルダ孔形成部材7には導電性接触子3のホルダ孔8が形成されている。なお、図示例の高強度基板6にあっては、開口6aの内周面以外の表面にもホルダ孔形成部材7と同じ材料からなる合成樹脂材層9が設けられている。これは、先ず、高強度基板6の全表面に渡って合成樹脂層9を被膜状に設け、次に、同じ材料からなるホルダ孔形成部材7を開口6a内に充填して形成したものである。この場合の合成樹脂層9の被着方法としては、カレンダー加工,押出し,浸漬,スプレー,スプレッド,電着などの加工法を用いることができる。逆に、開口6aのみにホルダ孔形成部材7を充填して設け、同じ材料からなる合成樹脂層9を高強度基板6の他部分の表面に被膜状に設けても良い。いずれの場合も、ホルダ孔形成部材7及び合成樹脂材層9は互いに一体化される。更に、この合成樹脂層9は、上記ホルダ孔形成部材7を開口6aに充填する時に同時に形成されるものであって良い。
本導電性接触子ユニット1における導電性接触子3にあっては、種々の構造のものを用いることができる。図示例では、開口6aに充填されたホルダ孔形成部材7に、上記ホルダ孔8を構成する大径孔8a及び小径孔8bが開口5aの貫通方向に軸線を向けかつ同軸的に形成されている。その大径孔8aに圧縮コイルばね10が同軸的に受容されるようになっている。そのコイルばね10の両端には各導電性針状体11・12が例えば半田付けされて一体的に設けられている。
図1における上側の針状体11は、その円柱状胴部を大径孔8aにより軸線方向にスライド可能に支持され、先鋭端を図の上側に向けている。下側の針状体12は、その針状部を小径孔8bにより軸線方向にスライド可能に支持され、先鋭端を図の下側に向けている。また、下側針状体12には大径孔8a内に受容されるフランジ部が設けられており、そのフランジ部と上側針状体11との間にコイルばね10が介装されていると共に、大径孔8a及び小径孔8bによる段部にフランジ部が当接して下側針状体12が抜け止めされるようになっている。
ホルダ2の図1における上面には上記した配線基板4の端部が取り付けられている。この配線基板4には例えばFPC(Flexible Printed Circuit)が用いられており、その端部の図1における下面に各針状体11に対応する各端子部が配設されている。また、ホルダ2のアーム5による支持側とは相反する側の遊端部には他の部材としての固定ブラケット14がねじ13により固設されている。この固定ブラケット14とホルダ2の上面の対応する部分との間に配線基板4の端部が挟持されるようにして固定されている。
上記配線基板4により大径孔8aの上方開口面が覆われており、配線基板4の大径孔8aに臨むように配設されている端子部に針状体11の先鋭端が当接する。その状態でコイルばね10が圧縮されるように大径孔8aの長さ等を設定することにより、針状体11を配線基板4の端子部に所定の押圧力にて弾発的に接触させることができる。これにより、針状体11と配線基板4の端子部との接触状態が確実になる。
なお、ホルダ孔8をホルダ孔形成部材7に後加工して形成することができるため、機種の変更に応じて容易に種々の形状のホルダ孔8を形成することができ、同じ形状の高強度基板6を用いたものにおける汎用性が高い。
また、ホルダ2と他の部材としての上記したアーム5とは、ねじ15により互いに結合されている。図示例では、アーム5にねじ挿通孔5aを形成し、高強度基板6の対応する部分にねじ15をねじ込むためのねじ孔(雌ねじ)16を設けて、アーム5側から挿入したねじ15をねじ孔16にねじ込んで、アーム5とホルダ2とを結合状態にしている。この場合、上記したように高強度基板6が金属であることから、その金属にねじ孔16を形成することになり、ねじ15による締め付け力が強くなり、ホルダ2のアーム5による支持状態が安定化する。また、繰り返しの取り付け取り外しにもねじ山が損傷し難く、メンテナンスや耐久性が向上する。
なお、上記固定ブラケット14の固定用ねじ13をねじ込むためにホルダ2に設けるねじ孔17も高強度基板6に形成することができるため、同様に固定ブラケット14を強固に固設することができ、上記したように配線基板4を挟持するのみで確実に固定することができるなど同様の効果を奏し得る。また、固定ブラケット14を合成樹脂材とすることにより、その弾性変形を利用して、配線基板4を弾発的に押さえ付けることができ、配線基板4を損傷させずに好適に固定することができる。
また、図2に示されるように、高強度基板6には、アーム5用及び固定ホルダ14用の各位置決めピン用孔18・19がそれぞれ適所に設けられている。これら位置決めピン用孔18・19は、高強度基板6に設けた各開口6b・6cに上記ホルダ孔形成部材7と同様に埋設状態に設けられた合成樹脂材からなる各ピン孔形成部21・22に形成されている。各位置決めピン用孔18・19には、アーム5用及び固定ホルダ14との間にてそれぞれ位置決めピン23・24が挿入されている。また、図示例のように開口6b・6cを長孔状に形成することにより、位置決めピン用孔18・19の位置を開口6b・6cの長手方向に調整可能であり、設計変更に容易に対応し得る。
このようにして構成された導電性接触子用ホルダ2にあっては、母材としての高強度基板6に用いられる金属に、ホルダ孔形成部材7に用いられる合成樹脂材に対して熱膨張係数の小さいものを選択することが容易であり、図示例の合成樹脂層9が高強度基板6に対して無視できる位に薄く設けた場合にはホルダ2全体が金属であるとみなすことができる。そのため、合成樹脂材の単体物でホルダを形成したものに比べ、使用環境における熱変化により発生する変形を容易に抑えることができる。また、後加工により発生する歪みによる経時変化などの発生も容易に抑えることができる。さらに、ホルダ2としての剛性が強化されるため、合成樹脂材の単体物の場合に必要となる各種の補強対策(例えば補強板をインサートモールドして設ける)が不要となる。また、絶縁性を必要とする場合には絶縁性合成樹脂層9を設ければ良いなど、構造が簡略化され、原価低減・納期短縮に対する貢献が大である。
また、ホルダ孔形成部材7と合成樹脂層9とを一体的に高強度基板6に設ける場合には両者が一体的に連続して形成され、ホルダ孔形成部材7の開口6aに対する保持力が確保されるが、合成樹脂層9が薄い場合には上記保持力を期待することができない場合がある。その場合には、ホルダ孔形成部材7と合成樹脂層9とに別の材質のものを用いることで対応できる。その場合について図3を参照して示す。
まず図3(a)に示されるように、高強度基板6に、エッチングやレーザー、プレスあるいは他の機械加工により、検査対象のウェハのチップ単位に対応する開口6aを形成する。高強度支持体6の材料にはインバーやコバールなどの耐熱性を有する低熱膨張金属を用いると良い。
次に、図3(b)に示されるように、開口6aを有する高強度基板6の表面に比較的薄い(数10から数100μm厚)被膜状の合成樹脂層9を、絶縁性合成樹脂材などを例えばコーティングして設ける。このコーティングとしては、カレンダー加工,押出し,浸漬,スプレー,スプレッド,電着などの加工法を用いることができる。次に、図3(c)に示されるように、開口6a内に、導電性接触子のホルダ孔8を形成するのに加工容易な材料としての合成樹脂材からなるホルダ孔形成部材7を例えば充填して埋設状態に設ける。コーティング材には合成樹脂材との接合力が高いものがあり、そのようなコーティング材を開口6aの内周面に設けることにより、開口6a内に埋設された合成樹脂製ホルダ孔形成部材7と高強度基板6との一体化が強固になる。なお、図示例では開口6aの内周面を含む前面にコーティングしているものが示されているが、上記接合力の高いコーティング材を開口6aの内周面にのみ設けても良い。そして、図3(d)に示されるように、ホルダ孔形成部材7に、チップ単位に対応する数の導電性接触子のホルダ孔8(8a・8b)を形成する。
このようにすることにより、合成樹脂層9が被膜のように薄くてもホルダ孔形成部材7の開口6aに対する密着性(接合力・保持力)が確保されるため、高強度基板6とホルダ孔形成部材7との接合力が弱い場合でも何ら問題が生じることがない。したがって、全体の寸法変化に対しては高強度基板6の金属により対応し、導電性接触子3を設けるホルダ孔形成部材7には加工性・摺動性に優れた材料を用いることができる。例えば従来のものでは、使用環境に対して寸法変化が小さくなるような材料を選定した場合には加工性・摺動性が劣ることがあるのに対して、本発明品によれば、そのような犠牲を払う選定を免れ得る。
また、絶縁性合成樹脂層9を被膜状に設けたものにあっては、その部分の絶縁材の厚さをインサートモールドする場合に対して容易に薄くすることができ、基板を例えば1mm程度に薄くしても、ホルダの厚さにおける高強度基板の占める割合が大きく、薄型化しても高い強度を確保することができ、薄い基板のホルダを要求される場合に好適に対応できる。このように、従来のものに比べて、薄型化大型化が可能になる。
上記導電性接触子ユニットにあっては液晶パネル検査用に用いられるものについて示したが、これに限られるものではなく、種々のものに適用可能である。例えば、被検査対象がチップの場合にその端子が高密度化されているものがある。そのような場合には、チップの端子の高密度化により、導電性接触子ユニット側の導電性針状体(及びコイルばね)の隣り合うもの同士が接近し、ホルダ孔形成部材7における各ホルダ孔8間の隔壁となる部分の厚さが薄くなる。したがって、静電対策を必要とする場合には、ホルダ孔形成部材7の材質に静電特性の高いものを用いる必要がある。しかしながら、入手容易な合成樹脂材にあっては静電特性の高いものでは電気的絶縁性に劣る傾向がある。
それに対して、合成樹脂層9に電気的絶縁性の高いものを用いることにより、ホルダ2の電気的絶縁性を確保することができる。その場合には、ホルダ孔形成部材7には静電特性の高い材質のものを用いることができる。このようにすることにより、高密度化における十分な静電対策を施すことができる。このようにホルダ孔形成部材7に使用に応じた特性の材質のものを適用することができ、導電性接触子の適用範囲が広がり得る。
また、ウェハ単位で検査を行う場合に用いられる導電性接触子ユニットにも適用可能であるが、その場合にはウェハと度程度の大型(200〜300mmの直径)のホルダを形成することになる。そのような大型のホルダにあっては、導電性接触子の全長を短くするなど基板の厚さを薄くすると、より一層高い強度を必要とする。したがって、厚さに占める金属などの高強度基板の割合が高い程強度が高く、上記構造のホルダが有効である。
なお、上記図示例で高強度基板6の表面に絶縁性合成樹脂層9を設けたものを示したが、ホルダに結合される他の部品側で絶縁されている場合、または結合部分に絶縁を必要としない場合には、表面に絶縁性合成樹脂層9を設けなくても良い。その場合には、開口6aにホルダ孔形成部材7を直接充填する。
また、図4(a)に示されるように、高強度基板6に開口6aを形成する場合にエッチング加工すると良いが、そのエッチングの方向を図4(a)の矢印に示されるように相反する側に分けて行うことにより、図に示されるように軸線方向中間部に脱落防止部として半径方向内側に突出した突条25を容易に形成することができる。これは、基板をシリコンウエハとし、開口内周面に対して異方性エッチングを行なうことにより簡単に形成することができるものであり、特別な加工を必要としない。
次に、開口6aにホルダ孔形成部材7を埋設することにより、図4(b)に示されるように、ホルダ孔形成部材7に上記突条25に対応した溝7aが形成される。これにより、経時変化によりホルダ孔形成部材7が収縮変形したとしても、ホルダ孔形成部材7の脱落方向(開口6aの軸線方向)に対して突条25と溝7aとが互いに係合し得るため、ホルダ孔形成部材7の脱落が防止される。
また、上記例では合成樹脂層9を高強度基板6の表面に直接積層するようにしたが、図1に対応する図5に示されるように、絶縁性被膜26を介して合成樹脂層9を積層すると良い。なお、図5において、図1と同様の部分には同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
図5に示されるものにあっては、高強度基板6に開口6aを形成した後に、その表面に絶縁性合成樹脂材などの被膜材を例えばコーティングして、比較的薄い(数10から数100μm厚)被膜26を形成する。このコーティングとしては、カレンダー加工,押出し,浸漬,スプレー,スプレッド,電着などの加工法を用いることができる。次に、上記例と同様に、開口6a内に、ホルダ孔2を形成するのに加工容易な材料としての合成樹脂材を例えば充填して、ホルダ孔形成部材7を開口6aに埋設状態に設ける。その時、同じ材料を、高強度基板6の表面となる部分の上記被膜26の上にも積層する。
このようにすることにより、高強度基板6に金属を用いた場合の絶縁性を絶縁性被膜26により確保することができ、ホルダ孔形成部材7の材料には絶縁性よりも他の性質に優れたものを用途に応じて選択することができる。例えば上記静電特性のより一層優れたものを用いることが可能である。なお、被膜26には合成樹脂材との接合力が高いものがあり、そのような被膜26を開口6aの内周面に設けることにより、開口6a内に埋設された合成樹脂製ホルダ孔形成部材7と高強度基板6との一体化を強固にすることができる。
なお、本発明は、図示例の液晶パネルの完成前検査を行うものに用いられるものに限られるものではなく、導電性接触子を用いた種々の検査装置、その他のものに適用し得る。例えば、ICチップを検査する場合に用いるソケットや、半導体チップを搭載するパッケージ基板や、ウェハレベルの検査に用いる高密度プローブユニットに適用可能である。それらにおいても、ホルダの強度が高く、経時変化などによる接触位置精度が劣化しないものが良く、本発明による構造を適用することで容易に対処し得る。
上記一例として、図6(a)及び図6(b)に密集型プローブユニット27について示す。図6(a)は密集プローブユニットの全体を示す斜視図であり、図6(b)はその要部縦断面図である。このプローブユニット27は、例えば半導体チップを搭載するパッケージ基板の電気検査に用いられる。なお、上記図示例と同様の部分については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
チップ搭載側ランドに対応する各検査針としての針状体12がプローブユニット27の中央部の狭い範囲に密集するように配置されているが、そのプローブユニット27の周縁部近傍には複数のプッシャー28が周縁に沿って配設されている。なお、プッシャー28は、例えば圧縮コイルばねにより上方に向けて弾発付勢されており、検査時に上方に配置される図示されないパッケージ基板をプローブユニット27により押圧した場合に、そのパッケージ基板の周縁部を弾発付勢することになり、集中荷重による反りの増大を抑制するためのものである。
このプローブユニット27は、図に示されるように4層の支持体29・30・31・32によりホルダが構成されている。その最上層の支持体29が、図5の例と同様に高強度基板6の表面に絶縁性被膜26を介して合成樹脂層9を積層して形成されている。この作用効果は上記と同様である。なお、他の支持体30・31・32は合成樹脂基板であって良い。また、コイルばね10及び他方の針状体11を受容する大径孔8aが中間の2層の支持体30・31により形成されており、図6(b)における最下層の支持板32には、支持体32の大径孔8aに対応させて設けた挿入孔に外部接続線33が圧入されて設けられており、その外部接続線33の端面に針状体11が接触している。
次に、図7(a)及び図7(b)にソケットの例を示す。図7(a)はソケットの全体を示す斜視図であり、図7(b)はその要部縦断面図である。このソケットは、ソケット本体34とホルダとしての枠状のベース35とからなり、例えばICチップを回路基板にソケットを介して搭載する場合に用いられる。このソケット本体34は、上記図6のプローブユニット26と同一構造のものであって良い。
図7(b)に示されるように、ソケット本体34が回路基板としてのテスターボード36上にベース35により固定されて設けられている。テスターボード36上にはソケット本体の複数の針状体11に対応する配線パターン36aが設けられており、各針状体11が配線パターン36aの対応する各端子部に当接するようになっている。
ベース35は、図に示されるようにソケット本体34の周縁部を外囲しかつ覆い被さるような逆L字形断面形状をなし、テスターボード36に対して所定位置に図示されない位置決めピンにより位置決めされると共に複数のボルト37によりテスターボード36上に固設されている。なお、ベース35の上記したソケット本体34の周縁部に覆い被さる内向き突出部35aには、ソケット本体34の周縁部分が複数のねじ38により結合されている。
このベース35は、上記図示例と同様に高強度基板6の表面に絶縁性被膜26を介して合成樹脂層9を積層して形成され、合成樹脂層9を形成する合成樹脂材により全体の形状が必要に応じて形成されている。この作用効果は上記と同様である。
図示例では、ベース35において、テスターボード36とのねじ結合のためのねじ孔35bや、ソケット本体34とのねじ結合のためのねじ孔35cが高強度基板6に形成されている。これにより強い結合力が得られるため、高精度にかつ高剛性にてソケット本体34をテスターボード36に固定することができる。なお、それ程結合強度を確保しなくても良い場合には、ねじ孔35b・35cを高強度基板6に設けなくても良い。
図8(a)及び図8(b)は、図1及び図2に示されたものと同様に、液晶パネルの検査を行うための導電性接触子に用いるのに適するホルダを示す。前記実施例に対応する部分には同様の符号を付し、その詳しい説明を省略する。
インバーやコバールなどの耐熱性を有する低熱膨張金属からなる高強度基板6にスロット状の開口6aが設けられ、その表面には、絶縁性の高い合成樹脂材からなる合成樹脂層9が被膜状に設けられている。開口6a内には、ホルダ孔形成部材60が配置されている。開口6aの一辺には、基板6の薄肉部6bが階段状に設けられ、ホルダ孔形成部材60の対応薄肉部60aと重ね合わされ、ねじ61が、ホルダ孔形成部材60の薄肉部60aの貫通孔に挿通され、基板6の薄肉部6bのねじ孔に螺じ込まれ、両部分を互いに結合している。
また、ホルダ孔形成部材60と合成樹脂層9とが互いに異種の合成樹脂からなるが、合成樹脂層9は、ホルダ孔形成部材60と基板6との間の強固な接合に寄与し、しかも高い絶縁性を発揮している。基板6には、ホルダに対して、固定ブラケット等を固定する際のねじ孔64及び位置決め孔63が設けられている。
図8(c)は、図8(a)及び図8(b)に示されたホルダの製造の中間過程を示す。先ず、合成樹脂層9が被膜状に設けられた基板6の開口6aにて、ねじ61により、ホルダ孔形成部材60を固定する。その際の位置決めのための孔が、薄肉部60a及び薄肉部6bに設けられており、ホルダ孔形成部材60の薄肉部60aに設けられた位置決め孔62のみが図8(a)に示されている。更に、合成樹脂層9と同種の材料をホルダ全体に被着し、基板6及びホルダ孔形成部材60の表面を覆うと共に両者間の隙間を埋める。このように、圧肉化された合成樹脂層9の表面に対して、ホルダ孔形成部材60が露出する程度まで(図8(c)に破線70により示すように)切削・研磨加工を行う。
このように本発明によれば、ホルダにおける基板に例えば低熱膨張性の金属を用いることができ、その場合にはホルダの母材を金属とみなすことができるため、合成樹脂材の一体物からなるものに対して、検査等における温度変化(高温下等での検査)による寸法変化が発生することを容易に抑制し得る。また、残留加工歪みによる経時変化による寸法変化が発生することも抑制し得る。したがって、被接触対象となるチップなどの端子が高密度化されても、対応して配設した導電性接触子のピッチ精度を雰囲気や経時変化に影響されずに高精度に保持し得るため、長期に渡って安定した検査を行うことが可能となる。
特に、開口の内面に前記ホルダ孔形成部材との接合力が高い材質からなる被膜が設けられていることによれば、ホルダ孔形成部材の開口に対する密着性が高まり、一体化が確保される。
また、高強度基板に結合用ねじ孔を設けたる場合には、合成樹脂材からなるものにねじ孔を形成するものよりねじ山の強度が高く、ねじの締め付け力を増大することができ、ホルダの他の部材との結合状態が安定化する。また、繰り返しの取り付け取り外しにもねじ山が損傷し難く、メンテナンス性が良い。
また、ホルダ孔形成部材の材料を静電気の発生し難い合成樹脂材とし、高強度基板の少なくとも絶縁を必要とする面に絶縁被膜を設けることによれば、被接触対象となるチップ等の端子の高密度化により静電特性を重視する必要がある場合にホルダ孔形成部材に静電特性の高い合成樹脂材を用いることができ、それにより絶縁性が多少劣化しても、絶縁被膜を設けることによりホルダの絶縁性を確保できる。
また、被膜とホルダ孔を形成するのに加工容易な材料との積層構造とすることにより、開口のみにホルダ孔を形成するのに加工容易な材料を埋設する場合に必要となるマスキングが不要になり、作業性を改善することができる。また、絶縁性合成樹脂材をコーティングして被膜を形成し、その上に積層する加工容易な材料として絶縁性のものを用いることができ、このようにすることにより、絶縁材の2層重ねにより絶縁性を向上することができる。そのため、絶縁性を損なうことなく層を薄くすることが可能になり、層を不必要に厚くしなくて良く、ホルダを薄型化し得る。
以上、本発明を特定の実施例について説明したが、当業者であれば、請求の範囲に記載された本発明の概念から逸脱することなく、種々の変形・変更が可能である。

Claims (12)

  1. 導電性針状体を被接触体に接触させる複数の導電性接触子を並列に配設した状態で支持するための導電性接触子用ホルダであって、
    第1の材料からなり、開口が設けられた基板と、
    第2の材料からなり、少なくとも前記開口の内周面を覆うように前記基板表面に被着された被膜と、
    第3の材料からなり、前記開口内に充填されたホルダ孔形成部材とを有し、
    前記第1の材料が、金属、半導体、セラミック及びガラス材料から選ばれたものを含むものであり、
    前記被膜の前記第2の材料が、前記基板と前記ホルダ孔形成部材との一体化を強固にする絶縁性合成樹脂材であり、
    前記第3の材料が加工容易な合成樹脂材であり、
    複数の前記導電性接触子をそれぞれ受容するべき複数のホルダ孔が、前記ホルダ孔形成部材を、その厚さ方向に後加工により貫通されており、
    前記ホルダ孔により、前記被接触体に接触させる複数の前記導電性針状体を個別に軸線方向において出没自在にガイドするとともに、前記導電性針状体を個別に配線基板の端子部に所定の押圧力にて弾発的に接触させることができることを特徴とする導電性接触子用ホルダ。
  2. 前記第2及び第3の材料が、同一又は異種の合成樹脂材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性接触子用ホルダ。
  3. 前記被膜が前記基板の表面の全体に渡って被着されていることを特徴とする請求項1に記載の導電性接触子用ホルダ。
  4. 前記第2の材料が前記第3の材料よりも高い電気絶縁性を有した合成樹脂材料であり、
    前記第3の材料が前記第2の材料よりも静電気を発生し難い合成樹脂材料であることを特徴とする請求項3に記載の導電性接触子用ホルダ。
  5. 前記開口の内周面に半径方向内側に突出した係合部が設けられており、
    前記ホルダ孔形成部材が前記開口に充填されたとき、前記係合部は、前記ホルダ孔形成部材を前記開口からの脱落を防止するように前記ホルダ孔形成部材と係合することを特徴とする請求項1に記載の導電性接触子用ホルダ。
  6. 前記基板がシリコンウエハからなり、前記係合部が前記開口内周面に対して異方性エッチングを行なうことにより形成された突条を含むことを特徴とする請求項6に記載の導電性接触子用ホルダ。
  7. 前記基板に、前記ホルダと他の部材とを結合するための結合用ねじ孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の導電性接触子用ホルダ。
  8. 前記基板に、前記ホルダと他の部材とを結合する際の位置決めのための孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の導電性接触子用ホルダ。
  9. 前記開口の内周面のみに前記被膜が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の導電性接触子用ホルダ。
  10. 前記ホルダ孔形成部材が、前記開口内にねじにより固定されていることを特徴とする請求項1に記載の導電性接触子用ホルダ。
  11. 前記ホルダ孔形成部材を前記開口内に固定した状態で、前記被膜が被着されていることを特徴とする請求項10に記載の導電性接触子用ホルダ。
  12. 前記被膜の表面が切削・研磨加工されていることを特徴とする請求項11に記載の導電性接触子用ホルダ。
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