本発明は、光部品などの各種部品を支持するための部品支持基板及びその製造方法、部品支持基板と光学素子と光部品とを備える光デバイスに関するものである。
近年、インターネットに代表される情報通信技術の発達や、情報処理装置の処理速度の飛躍的向上などに伴って、画像等の大容量データを送受信するニーズが高まりつつある。かかる大容量データを情報通信設備を通じて自由にやり取りするためには10Gbps以上の情報伝達速度が望ましく、そのような高速通信環境を実現しうる技術として光通信技術に大きな期待が寄せられている。一方、機器内の配線基板間での接続、配線基板内の半導体チップ間での接続、半導体チップ内での接続など、比較的短い距離における信号伝達経路に関しても、高速で信号を伝送することが近年望まれている。このため、従来一般的であった金属ケーブルや金属配線から、光導波路等を用いた光伝送へと移行することが理想的であると考えられている。
そして近年では、光導波路、光学素子、部品支持基板等を備え、光導波路と光学素子との間で光通信を行う光デバイスが各種提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。しかしながら、特許文献1,2に記載の従来技術では、各部品同士のアライメントを積極的に行っているわけではなく、はんだリフロー時のセルフアライメント作用に頼っているにすぎない。それゆえ、光学素子と光導波路との間で光軸ズレが生じやすく、光の伝送ロスが生じやすかった。
そこで最近では、上記のセルフアライメント方式の光デバイスばかりでなく、各部品同士のアライメントを積極的に行うガイドピンアライメント方式の光デバイスが提案されている(例えば、特許文献3参照)。改良した形態として図29にその一例を示す。この光デバイス101では、部品支持基板102側に部品支持体であるガイドピン103を立設し、そのガイドピン103を用いて光導波路104を位置合わせ状態で固定している。より具体的にいうと、部品支持基板102には、断面円形状であって一定の内径を有する充填用孔105が設けられる。充填用孔105内には樹脂材料を充填して硬化させることで樹脂充填部106が形成され、さらにその樹脂充填部106には嵌合穴107が形成される。嵌合穴107内にはガイドピン103の一部が嵌合されることで固定される。一方、光導波路104には位置合わせ用孔108があらかじめ設けられる。そして、ガイドピン103の突出箇所を位置合わせ用孔108に挿通させることにより、光導波路104が部品支持基板102や光学素子110に対して位置合わせされる。
特開2002−236228号公報
特開平8−250542号公報
特開2003−107283号公報(図17,図19等)
ところが、ガイドピンアライメント方式の光デバイス101には、以下の問題がある。即ち、部品支持基板102は熱膨張率や熱収縮率が比較的小さいセラミック材料からなるのに対し、樹脂充填部106は熱膨張率や熱収縮率が比較的大きい樹脂材料からなる。従って、光デバイス101の製造時、使用時に加熱や冷却を行うと、両者の熱膨張率の差、熱収縮率の差に起因して、部品支持基板102と樹脂充填部106との界面付近(特に充填用孔105の開口部付近)に熱応力が集中する。その結果、図30に示されるように、部品支持基板102と樹脂充填部106との間に隙間111が生じて、両者の密着性が悪化する。また、部品支持基板102側または樹脂充填部106側に、クラック121が生じやすくなる。よって、図29に示した従来の光デバイス101よりも高い信頼性を実現するためには、何らかの対策を講じる必要がある。さらに、隙間111やクラック121が生じた光デバイス101では、樹脂充填部106を充填用孔105内に保持する強度が低下する。そのため、ガイドピン103が位置ズレしてしまい、各部品同士の位置合わせ精度が悪化する可能性がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂充填部の密着性がよいため信頼性に優れ、しかも部品同士の高精度位置合わせが可能な部品支持基板を提供することにある。また、本発明の別の目的は、樹脂充填部の密着性がよいため信頼性に優れ、しかも部品同士の高精度光軸合わせが可能なため光伝送効率に優れた光デバイスを提供することにある。また、本発明のさらに別の目的は、上記の優れた部品支持基板を得るのに好適な製造方法を提供することにある。
そして上記課題を解決するための第1の課題解決手段としては、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記第1主面にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部と、前記嵌合穴に嵌合されることで固定され、前記嵌合穴から突出した箇所に他部品を支持可能な部品支持体とを備え、前記充填用孔はその内壁面に段差状の凹凸を備えるとともに、前記段差状の凹凸は前記内壁面における凹所と前記内壁面における凸所との高低差が100μm以上であり、その深さ位置によって異なる内径を有することを特徴とする部品支持基板がある。
上記従来技術の充填用孔は一定の内径を有するためその内壁面には凹凸が存在しないのに対し、第1の課題解決手段の充填用孔の内壁面には凹凸が存在している。従って、第1の課題解決手段の構成によると、充填用孔の内壁面と樹脂充填部との接触面積が大きくなり、樹脂充填部の密着性が向上する。ゆえに、部品支持基板と樹脂充填部との界面付近に熱応力が集中しても、隙間の発生やクラックの発生には至らず、信頼性に優れたものとなる。また、樹脂充填部が充填用孔内に強固に保持される結果、部品支持体の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士の位置合わせ精度が高くなる。
なお、第1の課題解決手段における「他部品」とは、例えば部品支持基板とは別体で構成された部品(例えば後述する光部品など)であって、部品支持基板と位置合わせされる対象物のことを指す。しかし「他部品」は第1の課題解決手段において必須構成要素ではない。
また、上記課題を解決するための第2の課題解決手段としては、前記第1の課題解決手段にかかる部品支持基板と、前記部品支持基板上に搭載された光学素子と、前記光学素子と位置合わせした状態で前記部品支持体により支持される光部品とからなることを特徴とする光デバイスがある。
従って、第2の課題解決手段によると、充填用孔の内壁面と樹脂充填部との接触面積が大きくなり、樹脂充填部の密着性が向上する。ゆえに、部品支持基板と樹脂充填部との界面付近に熱応力が集中しても、隙間の発生やクラックの発生には至らず、信頼性に優れたものとなる。また、樹脂充填部が充填用孔内に強固に保持される結果、部品支持体の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士の高精度光軸合わせを行うことができる。このため、光伝送効率に優れた光デバイスを実現することができる。
部品支持基板を構成する基板としては、例えば、樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板または金属基板が使用可能であるが、特にセラミック基板が好ましい。樹脂基板に比較して熱伝導性の高いセラミック基板を用いた場合には、発生した熱が効率よく放散される。そのため、例えば光部品を支持するための部品支持基板に適用した場合には、放熱性の悪化に起因する発光波長のズレが回避され、動作安定性・信頼性に優れた部品支持基板を実現することができる。かかるセラミック基板の好適例を挙げると、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ほう素、ベリリア、ムライト、低温焼成ガラスセラミック、ガラスセラミック等からなる基板がある。これらの中でもアルミナや窒化アルミニウムからなる基板を選択することが特に好ましい。
また、樹脂基板の好適例としては、例えば、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)等からなる基板を挙げることができる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。金属基板の好適例としては、例えば、銅基板、銅合金からなる基板、銅以外の金属単体からなる基板、銅以外の合金からなる基板などを挙げることができる。
部品支持基板を構成する基板は、絶縁層と導体層(金属配線層)とを備えた配線基板であることがよく、特には多層配線基板であることがよい。前記導体層は基板表面に形成されていてもよく、基板内部に形成されていてもよい。これらの導体層の層間接続を図るために、基板内部にビアホール導体が形成されていてもよい。なお、かかる導体層やビアホール導体は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などからなる導電性金属ペーストを印刷または充填することにより形成される。そして、このような導体層には電気信号が流れるようになっている。なお、このような配線基板に加えて、例えば、樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層してなるビルドアップ層を基板上に備えるビルドアップ配線基板を用いることも許容される。
部品支持基板を構成する基板は、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有している。つまり、充填用孔は、第1主面側においてのみ開口する非貫通孔であってもよいほか、第1主面側及び第2主面側の両方において開口する貫通孔であっても構わない。
第2の課題解決手段の光デバイスは、部品支持基板上に搭載された光学素子を備えている。光学素子は例えば部品支持基板上に1つまたは2つ以上搭載される。その搭載方法としては、例えば、ワイヤボンディングやフリップチップボンディング等の手法、異方導電性材料を用いた手法などを採用することができる。なお、光学素子は部品支持基板上に直接的に搭載されていてもよいほか、何らかの部材を介して間接的に搭載されていてもよい。発光部を有する光学素子(即ち発光素子)としては、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)、半導体レーザダイオード(Laser Diode ;LD)、面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser;VCSEL)等を挙げることができる。これらの発光素子は、入力した電気信号を光信号に変換した後、その光信号を所定部位に向けて発光部から出射する機能を備えている。一方、受光部を有する光学素子(即ち受光素子)としては、例えば、pinフォトダイオード(pin Photo Diode;pin PD)、アバランシェフォトダイオード(APD)等を挙げることができる。これらの受光素子は、光信号を受光部にて入射し、その入射した光信号を電気信号に変換して出力する機能を有している。なお、前記光学素子は発光部及び受光部の両方を有するものであってもよい。前記光学素子に使用する好適な材料としては、例えば、Si、Ge、InGaAs、GaAsP、GaAlAsなどを挙げることができる。このような光学素子(特に発光素子)は、動作回路によって動作される。光学素子及び動作回路は、例えば、部品支持基板に形成された導体層(金属配線層)を介して電気的に接続されている。
第2の課題解決手段の光デバイスは、光学素子と位置合わせした状態で部品支持体により支持される光部品を備えている。ここで光部品とは、光伝送機能、集光機能及び光反射機能のうちの少なくとも1つの機能を有する部品を意味する。具体例を挙げると、光伝送機能を有する光部品としては、例えば光導波路や光ファイバなどがある。なお、光導波路を支持する基材も、光伝送機能を有する光部品に該当するものとする。光ファイバと光ファイバを支持する光ファイバコネクタとからなる光部品も、光伝送機能を有する光部品に該当するものとする。集光機能を有する光部品としては、例えばマイクロレンズアレイ等に代表されるレンズ部品などがある。光反射機能を有する光部品としては、例えば光路変換部品などがある。なお、光路変換部が形成された光ファイバコネクタは、光反射機能を有する光部品であるということができる。光路変換部が形成された光導波路は、光伝送機能及び光反射機能を有する光部品であるということができる。なお、部品支持基板上には、1つの光部品のみが支持されていてもよく、2つ以上の光部品が支持されていてもよい。
前記光導波路とは、光信号が伝搬する光路となるコア及びそのコアを取り囲むクラッドを有した板状またはフィルム状の部材を指し、例えば、ポリマ材料等からなる有機系の光導波路、石英ガラスや化合物半導体等からなる無機系の光導波路等がある。前記ポリマ材料としては、感光性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを選択することができ、具体的には、フッ素化ポリイミド等のポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、重水素化PMMA、重水素フッ素化PMMA等のアクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが好適である。
前記基板の充填用孔内には、樹脂材料からなる樹脂充填部が配置されている。樹脂材料はセラミック等の無機材料に比べて加工性に優れているので、樹脂充填部に対する高精度穴明けを簡単にかつ低コストで行うことができる。この樹脂充填部は第1主面にて開口する嵌合穴を有している。嵌合孔は第1主面側においてのみ開口する(即ち開口部を1つ有する)非貫通穴であってもよいほか、第1主面及び第2主面の両方において開口する(即ち開口部を2つ有する)貫通穴であってもよい。嵌合穴の形状等については特に限定されず、後述する部品支持体を支持可能な程度であればよい。ただし、嵌合穴は充填用孔よりも小径であることがよい。また、充填用孔の中心線及び嵌合穴の中心線は、合致していることが好ましいが、必ずしも合致していなくてもよい。
樹脂充填部を形成する樹脂としては特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂などを用いることができる。熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等がある。この場合、硬化収縮量が少ない熱硬化性樹脂を選択することが好ましい。熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルホン(PPS)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPES)等がある。
樹脂充填部はフィラーを含んでいてもよい。フィラーの添加は樹脂充填部の熱膨張係数の低減に貢献する。前記フィラーとしては、樹脂などからなる有機フィラーや、セラミック、金属、ガラスなどからなる無機フィラーを挙げることができる。有機フィラーを選択した場合に得られる利点は、嵌合穴の加工が容易になることである。一方、無機フィラーを選択した場合に得られる利点は、例えばセラミック基板を用いる場合に、樹脂充填部の熱膨張係数をセラミック基板の熱膨張係数に整合させやすくなることである。さらに、金属フィラーを選択した場合には、樹脂充填部に導電性を付与することが可能となる。
部品支持基板を構成する部品支持体は、嵌合穴に嵌合されることで固定される。部品支持体の一部は少なくとも第1主面側から突出するとともに、その突出箇所には他部品(具体的には光部品など)が支持可能である。部品支持体の形状については特に限定されないが、例えばピン状のもの(ガイドピン)が好ましく、その材料としてはステンレス等のようにある程度硬質な金属がよい。また、部品支持体の直径(特に前記突出箇所の直径)については、他部品の有する位置合わせ凹部と嵌合できるように、当該位置合わせ凹部とほぼ同径である必要がある。なお、部品支持体の数については特に限定されないが、位置合わせ精度の向上及び固定強度の向上という観点からすると、単数よりは複数であることがよい。
この場合、嵌合穴は精密加工穴であること、具体的には加工要求精度が±0.001mm以内の精密加工穴であることが好ましい。この場合、各部品の位置合わせ精度を向上できるからである。なお、特に光デバイスにおいては精密加工穴を採用することが望ましく、この場合には光学素子及び光部品の光軸合わせを高い精度で行うことが可能となる。
前記充填用孔は、その内壁面に凹凸を備えている。充填用孔がその内壁面に備える凹凸は、内壁面における凹所と内壁面における凸所との高低差が100μm以上であることが望ましく、特には500μm以上であることが望ましい。即ち、高低差が100μm未満の充填用孔では、内壁面と樹脂充填部との接触面積を十分に確保できず、樹脂充填部の密着性を十分に向上できないからである。ここで、「凹所」とは充填用孔の中心軸から最も離れた箇所のことをいい、「凸所」とは充填用孔の中心軸に最も近い箇所のことをいうものとする。従って、「内壁面に凹所と内壁面に凸所との高低差」とは、充填用孔の中心軸から最も離れた箇所までの距離と、充填用孔の中心軸に最も近い箇所までの距離との差をいうものとする。このため、前記充填用孔に要求される条件は、一定の内径を有していないこと、言い換えるとその深さ位置によって異なる内径を有することである。つまり、前記充填用孔は、所定の深さ位置に最小径部分を有し、それとは別の深さ位置に最大径部分を有している。
前記充填用孔の最大径は最小径の1.1倍以上であることがよく、1.5倍以上であることがよりよい。この場合、内壁面と樹脂充填部との接触面積が十分に確保され、樹脂充填部の密着性を向上しやすくなる。
充填用孔は第1開口部において径が最も大きいことがよい。第2主面にて開口する第2開口部を有する場合、充填用孔は第1開口部及び第2開口部のうちの少なくともいずれかにおいて径が最も大きいことがよい。このような孔形状であると、充填用孔に樹脂材料を充填しやすくなり、樹脂材料の不完全充填の発生率が低くなる。また、樹脂材料中に空気が混入していたとしても、外部にその空気が抜け出しやすいので、樹脂充填部内における気泡の残留率が低くなる。つまり、このような孔形状は、樹脂充填部の密着性向上にとって好都合である。
また、充填用孔は、第1開口部及び第2開口部の中間位置において径が最も小さいことが望ましく、中間位置から前記第1開口部及び前記第2開口部に向かうに従って径が大きくなることが特に望ましい。このような孔形状であると、不完全充填の発生率低減、気泡残留率の低減をよりいっそう図りやすくなるとともに、充填用孔自身の加工形成も容易になる。
例えば、前記基板が、透孔を有する複数のセラミック層からなるセラミック多層基板である場合、前記充填用孔は、透孔が複数個連続し、かつ、中間位置から第1開口部及び第2開口部に向かうに従って径が段階的に大きくなる構造を有していることが特に好ましい。このような孔形状であると、充填用孔の開口部付近に集中しやすい応力を、径が段階的に大きくなる部分(即ちエッジ部分)にも分散させることができる。よって、特定箇所への応力集中を回避することができ、信頼性の低下につながる隙間の発生やクラックの発生を確実に防止することができる。
また、前記基板が、透孔を有する複数のセラミック層からなるセラミック多層基板である場合、前記充填用孔は、中心軸をずらして配置された前記透孔が複数個連続した構造を有していてもよい。このような孔形状であっても、充填用孔の内壁面に凹凸が存在したものとなる。
また、上記課題を解決するための第3の課題解決手段としては、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記第1主面にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部とを備え、前記嵌合穴には、他部品を支持可能な部品支持体または前記他部品自身に設けられた突部が嵌合可能であり、前記充填用孔はその内壁面に段差状の凹凸を備えるとともに、前記段差状の凹凸は前記内壁面における凹所と前記内壁面における凸所との高低差が100μm以上であり、その深さ位置によって異なる内径を有することを特徴とする部品支持基板がある。
従って、第3の課題解決手段の構成によると、充填用孔の内壁面と樹脂充填部との接触面積が大きくなり、樹脂充填部の密着性が向上する。ゆえに、部品支持基板と樹脂充填部との界面付近に熱応力が集中しても、隙間の発生やクラックの発生には至らず、信頼性に優れたものとなる。また、樹脂充填部が充填用孔内に強固に保持される結果、部品支持体や他部品の突部の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士の位置合わせ精度が高くなる。
なお、第3の課題解決手段における「他部品」とは、例えば部品支持基板とは別体で構成された部品(例えば光部品など)であって、部品支持基板と位置合わせされる対象物のことを指す。しかし「他部品」は第3の課題解決手段において必須構成要素ではない。「他部品を支持可能な部品支持体」も同様に第3の課題解決手段において必須構成要素ではない。
そして上記課題を解決するための第4の課題解決手段としては、第1,第3の課題解決手段にかかる部品支持基板の製造方法において、複数枚のセラミック未焼結体に径の異なる透孔を形成するとともに、前記透孔の最大径を最小径の1.1倍以上にする穴あけ工程と、小径の透孔が形成されたセラミック未焼結体を内部に配置し、大径の透孔が形成されたセラミック未焼結体を外部に配置した状態で、前記複数枚のセラミック未焼結体を積層圧着することにより、前記充填用孔を有するセラミック積層体を作製する積層圧着工程と、前記セラミック積層体を焼結させて前記基板とする焼成工程と、前記充填用孔内に樹脂材料を充填して樹脂充填部を形成する樹脂充填工程とを含むことを特徴とする部品支持基板の製造方法がある。
従って、第4の課題解決手段にかかる製造方法によると、信頼性等に優れる上記の部品支持基板を容易にかつ低コストで製造することができる。
以下、上記部品支持基板の製造方法を工程に沿って説明する。
穴あけ工程では、複数枚のセラミック未焼結体に径の異なる透孔を形成する。セラミック材料は完全に焼結すると極めて硬くなる性質があるため、加工が難しくなり、加工コストも高くなる。しかし、本工程ではそれほど硬くない未焼結状態のセラミック材料を加工対象としているため、穴加工を比較的簡単にかつ低コストで行うことができる。穴あけ工程における穴加工の方法としては周知の技術を採用することができ、具体例としては、ドリル加工、パンチ加工、レーザ加工などがある。ただし、低コストという観点からすると、ドリル加工やパンチ加工といった機械的加工が好ましく、特にはパンチ加工が好ましい。
積層圧着工程では、径の異なる複数の透孔がある場合、大径の透孔に比べて相対的に小径の透孔が形成されたセラミック未焼結体を内部に配置し、前記小径の透孔に比べて相対的に大径の透孔が形成されたセラミック未焼結体を外部に配置する。この配置を採ると、透孔が複数個連続した充填用孔が形成される。また、その充填用孔は、中間位置から第1開口部及び第2開口部に向かうに従って径が段階的に大きくなる構造を有したものとすることがよい。この状態で、複数枚のセラミック未焼結体を積層圧着することにより、充填用孔を有するセラミック積層体を作製する。
焼成工程では、未焼結のセラミック積層体を高温下で加熱することにより焼結させて、前記基板とする。この時点でセラミックは硬質化する。焼成温度や焼成時間等については、選択したセラミックの種類に応じて適宜設定される。
樹脂充填工程では、充填用孔内に樹脂材料を充填して樹脂充填部を形成する。より具体的には、充填用孔内に未硬化状態の樹脂材料を充填した後、その樹脂材料を硬化させて樹脂充填部とする。例えば、熱硬化性樹脂を選択した場合には充填後に加熱して樹脂材料を硬化させるようにし、感光性樹脂を選択した場合には充填後に紫外線を照射して樹脂材料を硬化させるようにする。樹脂材料の充填は例えば印刷等の手法により行うことができる。また、前記樹脂材料として、各種のフィラーを含む未硬化状態の樹脂材料を用いてもよく、熱伝導性の高い無機フィラーを含む未硬化状態の樹脂材料を用いてもよい。その理由は上述したとおりである。
上記の穴あけ工程、積層圧着工程、焼成工程及び樹脂充填工程を実施した後、さらに嵌合穴形成工程を行ってもよい。嵌合穴形成工程では、樹脂充填部に嵌合穴を形成する。本工程における穴加工の方法としては周知の技術を採用することができるが、この場合には精密穴加工を行うことが望ましい。このような加工法によって嵌合穴を形成しておけば、位置合わせの際の基準となる部品支持体を、所望とする正しい位置にて支持することができるからである。精密穴加工の具体的手法としては、ドリル加工、パンチ加工、レーザ加工などがあるが、コスト性などを考慮すると精密ドリルを使用したドリル加工が最も好ましい。嵌合穴形成工程後に必要に応じて仕上げ加工を行うことにより、穴径を微調整してもよい。
なお、樹脂充填工程を行った後に嵌合穴形成工程を行う上記手法に代えて、例えば、以下のように樹脂充填工程及び嵌合穴形成工程を同時に行う手法を採用してもよい。具体的には、まず、充填用孔内にスペーサ部材を配置する。スペーサ部材の好適例としては、例えば、ピンを有する金型などがある。前記ピンは嵌合穴の形状に対応した形状を有している。この場合、金型と基板とは互いに高精度に位置合わせされるべきである。この状態で、未硬化の樹脂材料を充填しかつ硬化させた後、スペーサ部材を除去する。そしてこの手法であっても、嵌合穴を有する樹脂充填部を比較的簡単に形成することができる。
この後、部品支持体取付工程を行い、嵌合穴に部品支持体を嵌合させて部品支持体を基板に支持させてもよい。
なお、樹脂充填工程、嵌合穴形成工程及び部品支持体取付工程を順番に行う上記手法に代えて、例えば、以下のように樹脂充填工程及び部品支持体取付工程を同時に行う手法を採用してもよい。具体的には、まず、充填用孔内に部品支持体の一部を挿入した状態で保持する。この場合には、部品支持体を高精度に位置合わせしておくことが望ましい。また、複数の部品支持体を所定の保持治具を用いて一時的に保持固定することがより好適である。次に、この状態で充填用孔内に未硬化の樹脂材料を充填しかつ硬化させる。その結果、嵌合穴を有する樹脂充填部が形成されると同時に、嵌合穴に部品支持体を嵌合支持させることができる。上記保持治具は樹脂材料の硬化後に除去される。そしてこの手法も低コスト化に極めて有利である。
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態の光デバイスを、図1〜図20に基づき詳細に説明する。
図1,図2に示されるように、本実施形態の光デバイス41は、光学素子(VCSEL14、フォトダイオード16)及び光部品(光導波路31)を部品支持基板10上に搭載した構造を備える。部品支持基板10を構成するセラミック基板11は、上面12(第1主面)及び下面13(第2主面)を有する略矩形状の板部材である。かかるセラミック基板11は、複数のセラミック層51,52,53,54,55からなる、いわゆるセラミック多層配線基板であって、上面12、下面13、内層に図示しない金属配線層を備えている。このセラミック基板11はビアホール導体(図示略)も備えており、層の異なる金属配線層同士はビアホール導体を介して層間接続されている。
図2においてセラミック基板11の上面12の左端には、発光素子の一種であるVCSEL14が、発光面を上方に向けた状態で搭載されている。このVCSEL14は、一列に並べられた複数(ここでは4つ)の発光部15を発光面内に有している。従って、これらの発光部15は、セラミック基板11の上面12に対して直交する方向(即ち図2の上方向)に、所定波長のレーザ光を出射するようになっている。一方、図2においてセラミック基板11の上面12の右端には、受光素子の一種であるフォトダイオード16が、受光面を上方に向けた状態で搭載されている。このフォトダイオード16は、一列に並べられた複数(ここでは4つ)の受光部17を受光面内に有している。従って、これらの受光部17は、図2の上側から下側に向かうレーザ光を受けやすいような構成となっている。
なお、フォトダイオード16及びVCSEL14の有する端子は、セラミック基板11の上面12の金属配線層に対してそれぞれ接合されている。特にVCSEL14は、セラミック基板11の上面12に搭載された図示しない動作回路用ICに対し、前記金属配線層を介して電気的に接続されている。
図1,図2に示されるように、セラミック基板11における複数の箇所(ここでは4箇所)には、セラミック基板11の上面12及び下面13の両方にて開口する充填用孔21が形成されている。この充填用孔21は、内径が一定ではなく深さ位置によって異なっている。このため、充填用孔21の内壁面には凹凸が存在している。なお、充填用孔21の形状の詳細については後述する。
そして本実施形態では、4つある充填用孔21のうちの2つがVCSEL14に近接して配置され、残りの2つがフォトダイオード16に近接して配置されている。VCSEL14に近接して配置された一対の充填用孔21は、発光部15の列とほぼ同一直線上にあって、発光部15の列をその両端側から挟む位置に配置されている。フォトダイオード16に近接して配置された一対の充填用孔21は、受光部17の列とほぼ同一直線上にあって、受光部17の列をその両端側から挟む位置に配置されている。
これらの充填用孔21の内部には樹脂充填部22が設けられており、その樹脂充填部22のほぼ中心部には嵌合穴23が設けられている。嵌合穴23は円形かつ等断面形状であって、セラミック基板11の上面12及び下面13の両方にて開口している。本実施形態の場合、嵌合穴23の直径は上記充填用孔21の最小径よりも小さく、約0.7mmに設定されている。4つある嵌合穴23の内部には、ステンレス鋼からなる断面円形状のガイドピン24(部品支持体)が、上面12側に一端を突出させた状態で嵌合されている。本実施形態において具体的には、JIS C 5981に規定するガイドピン「CNF125A−21」(直径0.699mm)を使用している。
図1,図2に示されるように、セラミック基板11の上面12側には、矩形状の光導波路31が配置されている。この光導波路31は、セラミック基板11よりも外形寸法が一回り小さくなるように形成されている。光導波路31を構成する基材32は、コア33及びそれを上下左右から取り囲むクラッド34を有している。実質的にコア33は光信号が伝搬する光路となる。本実施形態の場合、コア33及びクラッド34は、屈折率等の異なる透明なポリマ材料、具体的には屈折率等の異なるPMMA(ポリメチルメタクリレート)により形成されている。光路となるコア33は発光部15及び受光部17の数と同じく4つであって、それらは直線的にかつ平行に延びるように形成されている。コア33の両端部にはコア33の長手方向に対して45°の角度を持つ傾斜面が形成され、その傾斜面には光を全反射可能な金属からなる薄膜が蒸着されている。よって、各コア33の両端部は、それぞれ光を90°の角度で反射する光路変換用ミラー35,37を備えたものとなっている。光導波路31の四隅には円形状の位置合わせ穴36が貫通形成されている。これらの位置合わせ穴36は、ガイドピン24の大きさに対応して直径約0.7mmに設定されている。そして、光導波路31の有する各位置合わせ穴36(位置合わせ凹部)には、セラミック基板11から突出する各ガイドピン24が嵌合されている。その結果、セラミック基板11の上面12上にて、光導波路31が位置合わせされた状態で固定されている。ここで「位置合わせされた状態」とは、具体的には、図2の左端側に位置する各光路変換用ミラー35が各発光部15の直上にあり各コア33と各発光部15との光軸が合った状態、かつ、図2の右端側に位置する各光路変換用ミラー37が各受光部17の直上にあり各コア33と各受光部17との光軸が合った状態をいう。なお本実施形態では、セラミック基板11及び光導波路31は、位置合わせ穴36とガイドピン24との嵌合関係のみをもって互いに固定されている。
このように構成された光デバイス41の一般的な動作について簡単に述べる。
VCSEL14及びフォトダイオード16は、セラミック基板11の金属配線層を介した電力供給により、動作可能な状態となる。セラミック基板11上の図示しないドライバICからVCSEL14に電気信号が出力されると、VCSEL14は入力した電気信号を光信号(レーザ光)に変換した後、その光信号をコア33の左端にある光路変換用ミラー35に向けて、発光部15から出射する。発光部15から出射したレーザ光は、光導波路31の下面側から入射して、コア33の光路変換用ミラー35に入射する。光路変換用ミラー35に入射したレーザ光は、そこで進行方向を90°変更する。このため、レーザ光はコア33の内部をその長手方向に沿って伝搬する。そして、コア33の右端に到ったレーザ光は、今度は光導波路31の右端に形成されている光路変換用ミラー37に入射する。光路変換用ミラー37に入射したレーザ光は、そこで進行方向を90°変更する。このため、レーザ光は光導波路31の下面側から出射し、さらにフォトダイオード16の受光部17に入射する。フォトダイオード16は受光したレーザ光を電気信号に変換し、変換した電気信号を図示しないレシーバICに出力するようになっている。
次に、上記構成の光デバイス41の製造方法を図3〜図11に基づいて説明する。
まず、従来公知の手法によって光導波路31を作製し(図3参照)、これに対して精密ドリル加工を施すことにより四隅に位置合わせ穴36を形成しておく(図4参照)。
また、以下の手順によりセラミック基板11を作製する。アルミナ粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤などを均一に混合・混練してなる原料スラリーを作製し、この原料スラリーを用いてドクターブレード装置によるシート成形を行い、所定厚みのグリーンシート56(セラミック未焼結体)を5層分形成する。次に、各グリーンシート56における所定部分にパンチ加工を施し、充填用孔21の一部をなす透孔57と、図示しないビア用孔とをそれぞれ形成する(図5参照)。この段階ではまだ未焼結状態であるので、穴加工を比較的簡単にかつ低コストで行うことができる。この後、ビア用孔に金属ペーストを充填するとともに、グリーンシート56の表面に金属ペーストを印刷する。
続く積層圧着工程では、5枚のグリーンシート56を積層して配置し、プレス装置を用いてそれらを圧着、一体化することにより、充填用孔21を有するセラミック積層体58を作製する(図6参照)。なお、図6のセラミック積層体58においては、上記の金属配線層やビアホール導体は示されず、省略されている。
次に、周知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、さらにアルミナが焼結しうる加熱温度(1650℃〜1950℃)にて焼成工程を行う。これにより、セラミック積層体58を焼結させてセラミック基板11とする。この時点でセラミックは硬質化しかつ収縮する(図7参照)。
続く樹脂充填工程では、以下のようにして充填用孔21内に樹脂充填部22を形成する。まず、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(JER社製「エピコート807」)80重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(JER社製「エピコート152」)20重量部に対し、硬化剤(四国化成工業社製「2P4MZ−CN」)5重量部、シランカップリング剤(信越化学社製「KBM−403」)で処理したシリカフィラー(龍森製「TSS−6」)200重量部、消泡剤(サンノプコ社製「ベレノールS−4」)を混合する。この混合物を3本ロールにて混練することにより、充填用の樹脂材料を調製しておく。即ち、本実施形態では、熱硬化性樹脂中に無機フィラーを含む未硬化状態の樹脂材料を用いる。
次に、セラミック基板11を印刷装置にセットし、その上面12に所定のメタルマスク(図示略)を密着させて配置する。メタルマスクにおいて充填用孔21に対応する箇所には、開口部があらかじめ形成されている。このようなメタルマスクを介して前記樹脂材料を印刷することにより、各充填用孔21内に樹脂材料を充填する。そして、印刷後のセラミック基板11を印刷装置から取り外した後、120℃,1時間の条件で加熱し、充填された樹脂材料を半硬化させて、樹脂充填部22とする(図8参照)。ここで、樹脂充填部22を完全に硬化させないのは、次の嵌合穴形成工程での穴加工をいっそう容易に行うためである。
続く嵌合穴形成工程では、精密ドリルを用いた精密穴加工を行って樹脂充填部22に嵌合穴23を形成する(図9参照)。このような加工法によれば、光軸合わせの際の基準となるガイドピン24を、所望とする正しい位置にて支持可能な嵌合穴23とすることができる。ここで、前記セラミック基板11を表面研磨装置にセットして、上面12及び下面13を研磨する。この研磨により、充填用孔21の開口部から突出して盛り上がっている余剰の樹脂や、基板表面に付着している樹脂を除去する。この研磨工程を行うと、セラミック基板11の上面12における凹凸が解消されて平坦化する。
次に、前記セラミック基板11を150℃,5時間の条件で加熱する本硬化処理を行って、樹脂充填部22を完全に硬化させる。さらに、周知の手法により仕上げ加工を行って、嵌合穴23の穴径を0.700mmとなるように微調整する。このときの加工に要求される精度は、具体的には±0.001mmである。
次に、平坦化されたセラミック基板11の上面12上に、図示しない異方導電性材料を介してVCSEL14及びフォトダイオード16を搭載する(図10参照)。その結果、セラミック基板11の上面12における金属配線層の一部と、VCSEL14及びフォトダイオード16の接続端子とが電気的に接続される。なお、このとき上面12は凹凸のない平坦面となっているので、VCSEL14及びフォトダイオード16は上面12に対して平行な状態となる。
続く部品支持体取付工程では、専用の治具などを用いて、嵌合穴23にガイドピン24を圧入するようにして嵌合させる(図11参照)。
続く位置合わせ工程では、セラミック基板11の有する各ガイドピン24を光導波路31の有する各位置合わせ穴36に対して嵌合させる(図12参照)。これにより、光導波路31及びVCSEL14の光軸合わせと、光導波路31及びフォトダイオード16の光軸合わせと同時に行いつつ、光導波路31をセラミック基板11に支持させかつ固定する。以上のようにして図1,図2に示す本実施形態の光デバイス41が完成する。
以上述べたように、本実施形態の光デバイス41では、充填用孔21の内壁面に凹凸が存在している。そのため、充填用孔21の内壁面と樹脂充填部22との接触面積が大きくなり、充填用孔21に対する樹脂充填部22の密着性が高くなっている。ゆえに、セラミック材料からなる部品支持基板10と樹脂材料からなる樹脂充填部22との界面付近に熱応力が集中しても、隙間の発生やクラックの発生には至らず、信頼性に優れたものとなる。また、樹脂充填部22が充填用孔21内に強固に保持される結果、ガイドピン24の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士を高い精度で光軸合わせすることができる。このため、光伝送効率に優れた光デバイス41を実現することができる。
次に、本実施形態についてのいくつかの実施例及び比較例を図13〜図20に基づいて説明する。
実施例及び比較例
(実施例1の試験サンプルの作製)
ここでは以下の手順で図13に示す試験サンプルを作製した。まず、5枚のグリーンシート56を用意し、そのうちの1枚について内径1.20mmの透孔57を形成し、2枚について内径2.00mmの透孔57を形成し、残りの2枚について2.30mmの透孔57を形成した。そして、内径1.20mmの透孔57が形成されたグリーンシート56の両側に、内径2.00mmの透孔57が形成されたグリーンシート56を配置し、さらにその両側に内径2.30mmの透孔57が形成されたグリーンシート56を配置した。この状態で5枚のグリーンシート56を積層圧着した後、焼成工程等を行った。その結果、透孔57が5個連続した構造の充填用孔21を有するセラミック基板11とした。そして、さらにこのセラミック基板11に対して上記の樹脂材料を充填して完全に硬化させることにより、樹脂充填部22を形成した。
その結果、透孔57を有する5層のセラミック層51〜55からなるセラミック基板11の試験サンプル(実施例1の試験サンプル)を得た。この試験サンプルでは、各セラミック層51〜55の厚さが約0.24mmに設定され、セラミック基板11全体の厚さが約1.20mmに設定されている。第1層めのセラミック層51が有する透孔57の内径は、約1.9mmに設定されている。第2層めのセラミック層52が有する透孔57の内径は、約1.65mmに設定されている。第3層めのセラミック層53が有する透孔57の内径は、約1.0mmに設定されている。第4層めのセラミック層54が有する透孔57の内径は、約1.65mmに設定されている。第5層めのセラミック層55が有する透孔57の内径は、約1.9mmに設定されている。
従って、実施例1の充填用孔21は、第1開口部61及び第2開口部62において径が最も大きく、第1開口部61及び第2開口部62の中間位置63において径が最も小さくなっている。また、実施例1の充填用孔21は、中間位置63から第1開口部61及び第2開口部62に向かうに従って、径が段階的に大きくなる構造を有している。即ち、この充填用孔21は、内径が深さ位置によって異なり、内壁面に凹凸を備えている。
(実施例2の試験サンプルの作製)
ここでは、内径2.30mmの透孔57が形成されたグリーンシート56の両側に、内径2.00mmの透孔57が形成されたグリーンシート56を配置し、さらにその両側に内径1.20mmの透孔57が形成されたグリーンシート56を配置した。この状態で積層圧着工程を行った後、焼成工程、樹脂充填工程等を実施した。その結果、図14に示すような、充填用孔21を有する厚さ約1.20mmのセラミック基板11の試験サンプル(実施例2の試験サンプル)を得た。
得られた実施例2の試験サンプルにおいて、第1層めのセラミック層51が有する透孔57の内径は、約1.0mmに設定されている。第2層めのセラミック層52が有する透孔57の内径は、約1.65mmに設定されている。第3層めのセラミック層53が有する透孔57の内径は、約1.9mmに設定されている。第4層めのセラミック層54が有する透孔57の内径は、約1.65mmに設定されている。第5層めのセラミック層55が有する透孔57の内径は、約1.0mmに設定されている。
従って、実施例2の充填用孔21は、第1開口部61及び第2開口部62において径が最も小さく、第1開口部61及び第2開口部62の中間位置63において径が最も大きくなっている。また、実施例1の充填用孔21は、中間位置63から第1開口部61及び第2開口部62に向かうに従って、径が段階的に小さくなる構造を有している。即ち、この充填用孔21も、内径が深さ位置によって異なり、内壁面に凹凸を備えている。
(実施例3の試験サンプルの作製)
ここでは以下の手順で図15に示す試験サンプルを作製した。まず、5枚のグリーンシート56を用意し、それぞれについて内径2.00mmの透孔57を形成した。そして、透孔57をその中心軸をずらして配置した状態で5枚のグリーンシート56を積層圧着した。この場合のずらし量(オフセット量)を0.30mm〜0.50mmの範囲内で設定した。そして、焼成工程、樹脂充填工程等を実施して、充填用孔21を有する厚さ約1.20mmのセラミック基板11の試験サンプル(実施例3の試験サンプル)を得た。
得られた実施例3の試験サンプルにおいて、各セラミック層51〜55が有する透孔57の内径は、いずれも約1.65mmに設定されている。即ち、この充填用孔21も、内径が深さ位置によって異なり、内壁面に凹凸を備えている。
(実施例4の試験サンプルの作製)
ここでは、内径2.00mmの透孔57が形成されたグリーンシート56の両側に、内径3.00mmの透孔57が形成されたグリーンシート56を配置し、さらにその両側に内径2.00mmの透孔57が形成されたグリーンシート56を配置した。この状態で積層圧着工程を行った後、焼成工程、樹脂充填工程等を実施した。その結果、図16に示すような、充填用孔21を有する厚さ約1.20mmのセラミック基板11の試験サンプル(実施例4の試験サンプル)を得た。
得られた実施例4の試験サンプルにおいて、第1層めのセラミック層51が有する透孔57の内径は、約1.65mmに設定されている。第2層めのセラミック層52が有する透孔57の内径は、約2.48mmに設定されている。第3層めのセラミック層53が有する透孔57の内径は、約1.65mmに設定されている。第4層めのセラミック層54が有する透孔57の内径は、約2.48mmに設定されている。第5層めのセラミック層55が有する透孔57の内径は、約1.65mmに設定されている。
従って、実施例4の充填用孔21は、第1開口部61及び第2開口部62において径が最も小さいほか、第1開口部61及び第2開口部62の中間位置63においても径が最も小さくなっている。この充填用孔21も、内径が深さ位置によって異なり、内壁面に凹凸を備えている。
(実施例5の試験サンプルの作製)
ここでは、内径3.00mmの透孔57が形成されたグリーンシート56の両側に、内径2.00mmの透孔57が形成されたグリーンシート56を配置し、さらにその両側に内径3.00mmの透孔57が形成されたグリーンシート56を配置した。この状態で積層圧着工程を行った後、焼成工程、樹脂充填工程等を実施した。その結果、図17に示すような、充填用孔21を有する厚さ約1.20mmのセラミック基板11の試験サンプル(実施例5の試験サンプル)を得た。
得られた実施例5の試験サンプルにおいて、第1層めのセラミック層51が有する透孔57の内径は、約2.48mmに設定されている。第2層めのセラミック層52が有する透孔57の内径は、約1.65mmに設定されている。第3層めのセラミック層53が有する透孔57の内径は、約2.48mmに設定されている。第4層めのセラミック層54が有する透孔57の内径は、約1.65mmに設定されている。第5層めのセラミック層55が有する透孔57の内径は、約2.48mmに設定されている。
従って、実施例5の充填用孔21は、第1開口部61及び第2開口部62において径が最も大きいほか、第1開口部61及び第2開口部62の中間位置63においても径が最も大きくなっている。この充填用孔21も、内径が深さ位置によって異なり、内壁面に凹凸を備えている。
(実施例6の試験サンプルの作製)
ここでは、内径2.00mmの透孔57が形成されたグリーンシート56を3枚重ね合わせ、それらの両側に内径3.00mmの透孔57が形成されたグリーンシート56を配置した。この状態で積層圧着工程を行った後、焼成工程、樹脂充填工程等を実施した。その結果、図18に示すような、充填用孔21を有する厚さ約1.20mmのセラミック基板11の試験サンプル(実施例6の試験サンプル)を得た。
得られた実施例6の試験サンプルにおいて、第1層めのセラミック層51が有する透孔57の内径は、約2.48mmに設定されている。第2、第3及び第4層めのセラミック層52,53,54が有する透孔57の内径は、約1.65mmに設定されている。第5層めのセラミック層55が有する透孔57の内径は、約2.48mmに設定されている。
従って、実施例6の充填用孔21は、第1開口部61及び第2開口部62において径が最も大きいほか、第1開口部61及び第2開口部62の中間位置63においても径が最も大きくなっている。この充填用孔21も、内径が深さ位置によって異なり、内壁面に凹凸を備えている。
(比較例1の試験サンプルの作製)
ここでは、内径1.20mmの透孔57が形成されたグリーンシート56を5枚重ね合わせて配置して積層圧着工程を行った後、焼成工程、樹脂充填工程等を実施した。その結果、図19に示すような、充填用孔21を有する厚さ約1.20mmのセラミック基板11の試験サンプル(比較例1の試験サンプル)を得た。得られた比較例1の試験サンプルにおいては、各層のセラミック層51,52,53,54,55が有する透孔57の内径は、約1.0mmに設定されている。従って、比較例1の充填用孔21は、内径が深さ位置のいかんにかかわらず一定であり、内壁面に凹凸を備えないものとなっている。
(比較例2の試験サンプルの作製)
ここでは、内径3.00mmの透孔57が形成されたグリーンシート56を5枚重ね合わせて配置して積層圧着工程を行った後、焼成工程、樹脂充填工程等を実施した。その結果、図19に示すような、充填用孔21を有する厚さ約1.20mmのセラミック基板11の試験サンプル(比較例2の試験サンプル)を得た。得られた比較例2の試験サンプルにおいては、各層のセラミック層51,52,53,54,55が有する透孔57の内径は、約2.48mmに設定されている。従って、比較例2の充填用孔21も、内径が深さ位置のいかんにかかわらず一定であり、内壁面に凹凸を備えないものとなっている。
(第1の試験の方法及び結果)
ここでは、まず、実施例及び比較例の試験サンプル(ただし実施例3を除く。)について有限要素解析法による解析を行い、温度変化時に発生する熱応力の分布状況をシミュレーションした。具体的には、市販の線形有限要素解析プログラムを使用して2次元の線形有限要素解析モデルを作成した。なお、解析の簡略化のために、充填用孔21の中心軸を中心とした軸対象モデルを、前記線形有限要素解析モデルとした。また、樹脂材料の硬化温度である150℃を応力フリーのリファレンス温度として設定し、解析モデル全体が25℃となるように温度加重を設定した。また、解析モデルの作成にあたって、セラミック基板11の材料であるアルミナのヤング率を270GPa、ポアソン比を0.25、熱膨張係数6.5ppm/Kと定義した。樹脂充填部22の材料であるエポキシ系樹脂については、ヤング率を6GPa、ポアソン比を0.33、熱膨張係数(CTE)を15ppm/K〜45ppm/Kと定義した。
その結果、例えばCTEが45ppm/Kの場合にセラミック基板11に加わるであろう最大相当応力の値は、実施例1では約195MPa、実施例2では約410MPa、実施例4では約350MPa、実施例5では約220MPa、実施例6では約225MPa、比較例1では約280MPaとなった。つまり、第1開口部61及び第2開口部62における径が最も大きいもの(実施例1,5,6)が、構造的に好ましい、という結果を得た(図20の表参照)。また、CTEが15ppm/K以上では、いずれの実施例においても、CTEに比例して最大相当応力の値は大きくなった。
また、いずれのサンプルにおいても、充填用孔21の開口部付近、とりわけ充填用孔21の開口縁に熱応力が集中することがわかった。ただし、充填用孔21の内壁面に段部がある各実施例については、その段部に熱応力が分散されることもわかった。ゆえに、各実施例では、充填用孔21の開口縁に集中する熱応力は、比較例1ほど大きくないものと予想された。
(第2の試験の方法及び結果)
次に、実際に作製した実施例及び比較例のサンプルを厚さ方向に沿って切断し、その切断面を光学顕微鏡で観察した。そして、隙間やクラックの発生の程度、樹脂充填部22内における気泡の残留の程度、樹脂材料の不完全充填の程度について調査した。その結果を図20の表に示す。
その結果、実施例1では、充填用孔21内に樹脂材料が完全に充填されていた。また、隙間やクラックは全く発生しておらず、気泡は殆ど残留していなかった。実施例2では、充填用孔21内における樹脂材料の充填が不完全であった。また、隙間やクラックは発生していなかったが、いくぶん気泡が残留していた。実施例3では、充填用孔21内に樹脂材料が完全に充填されていた。また、隙間やクラックは発生しておらず、気泡は少ししか残留していなかった。実施例4では、充填用孔21内における樹脂材料の充填が不完全であった。また、隙間やクラックは発生していなかったが、いくぶん気泡が残留していた。実施例5では、充填用孔21内に樹脂材料が完全に充填されていた。また、隙間やクラックは発生していなかったが、いくぶん気泡が残留していた。実施例6では、充填用孔21内に樹脂材料が完全に充填されていた。また、隙間やクラックは全く発生しておらず、気泡は少ししか残留していなかった。比較例1では、充填用孔21内に樹脂材料が完全に充填されていて、気泡の残留もなかったが、樹脂材料とセラミック材料との界面に隙間が発生していた。比較例2では、充填用孔21内に樹脂材料が完全に充填されていて、気泡の残留もなかったが、セラミック基板11側において充填用孔21の周囲の箇所にクラックが発生していた。
(第3の試験の方法及び結果)
次に、上記実施例及び比較例の試験サンプル(ただし実施例2,4を除く。)を対象として、下記の2つの手法により微小な隙間やクラックの有無を調査するリーク試験を行った。即ち、第1の手法であるヘリウムリーク試験では、試験サンプルの表裏面を隔てるとともに、一方側面にヘリウムを供給してそのヘリウムが他方側面にリークするか否かを調べた。また、第2の手法であるレッドチェック試験では、試験サンプルの片側面に赤色溶液を着け、その赤色溶液が反対側面にリークするか否かを調査した。その結果を図20の表に示す。
その結果、実施例1,3,5,6については、ヘリウムのリークも赤色溶液のリークも認められなかった。よって、微小な隙間やクラックすらも発生していないことがわかった。一方、隙間やクラックが発生している比較例1については、ヘリウムのリーク及び赤色溶液のリークが認められた。
(結論)
以上の各種試験の結果を総合すると、実施例1,3,6が他のものに比べて優れており、それらの中でも特に実施例1が優れていることが明らかとなった。
[第2実施形態]
図21には、本発明を具体化した第2実施形態の光デバイス71が示されている。ここでは、第1実施形態と相違する点について説明し、同じ点については共通の部材番号を付すのみとする。
図21に示されるように、この光デバイス71は光ファイバコネクタ72を備えている。この光ファイバコネクタ72は、4心構造を有する光ファイバ75の先端に設けられた、いわゆるMTコネクタである。光ファイバ75の端面(即ち各コア33の端部)は、光ファイバコネクタ72の下端面において露出している。光ファイバコネクタ72の下端面における両端部には、下端面にて開口する位置合わせ穴74が一対設けられている。そして、これらの位置合わせ穴74にセラミック基板11側のガイドピン24が嵌合されている。その結果、左側の光ファイバコネクタ72は、VCSEL14と光軸が合った状態で、セラミック基板11の上面12側に固定されている。右側の光ファイバコネクタ72は、フォトダイオード16と光軸が合った状態で、セラミック基板11の上面12側に固定されている。
そして、この光デバイス71においても、第1実施形態の実施例1と同じ構造の充填用孔21が、セラミック基板11に形成されている。即ち、充填用孔21の内壁面には凹凸が存在し、このため充填用孔21に対する樹脂充填部22の密着性が向上している。ゆえに、セラミック材料からなる部品支持基板10と樹脂材料からなる樹脂充填部22との界面付近に熱応力が集中しても、隙間の発生やクラックの発生には至らず、信頼性に優れたものとなる。また、樹脂充填部22が充填用孔21内に強固に保持される結果、ガイドピン24の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士を高い精度で光軸合わせすることができる。このため、光伝送効率に優れた光デバイス71を実現することができる。
[第3実施形態]
図22には、本発明を具体化した第3実施形態の光デバイス81が示されている。ここでも、第1実施形態と相違する点について説明し、同じ点については共通の部材番号を付すのみとする。
図22に示されるように、本実施形態の光デバイス81は、VCSEL14(光学素子)、セラミック基板11(基板)、マイクロレンズアレイ87、光ファイバコネクタ86、ガイドピン24(部品支持体)等によって構成されている。
セラミック基板11の上面12には金属配線層93が形成され、その金属配線層93の一部には接続パッド92が形成されている。セラミック基板11の下面13には複数のはんだバンプ95が設けられている。セラミック基板11の上面12にはVCSEL14が搭載されている。なお、VCSEL14に代えて、フォトダイオードのような受光素子を搭載した構成としてもよい。VCSEL14の近傍には、VCSEL14を駆動するための動作回路用IC94(いわゆるドライバIC)が配置される。
セラミック基板11の上面12側に配置されるマイクロレンズアレイ87は、蓋状のマイクロレンズアレイ本体96を備えている。マイクロレンズアレイ本体96は樹脂成形品であって、そのマイクロレンズ取付穴90にはマイクロレンズ88が取り付けられている。マイクロレンズアレイ本体96は、表裏を貫通すように形成された位置合わせ穴89を有している。この位置合わせ穴89にはガイドピン24が挿通されている。本実施形態のマイクロレンズアレイ87は、集光機能を有する光部品であると把握できる。マイクロレンズ88及びマイクロレンズアレイ本体96は、上記のように別体として構成されていてもよいが、一体として構成されていてもよい。
マイクロレンズアレイ87の上側に配置される光ファイバコネクタ86は、光ファイバ82の先端に取り付けられている。光ファイバコネクタ86の左端側下部には約45°の傾斜面を有する切欠部85が設けられ、その傾斜面上には光路変換ミラー84が形成されている。光路変換ミラー84が形成された本実施形態の光ファイバコネクタ86は、光反射機能を有する光部品であると把握できる。光ファイバコネクタ86は、表裏を貫通するように形成された位置合わせ穴83を有している。この位置合わせ穴83にはガイドピン24が挿通されている。
そして、この光デバイス81においても、第1実施形態の実施例1と同じ構造の充填用孔21が、セラミック基板11に形成されている。従って、充填用孔21の内壁面には凹凸が存在し、このため充填用孔21に対する樹脂充填部22の密着性が高くなっている。ゆえに、セラミック材料からなる部品支持基板10と樹脂材料からなる樹脂充填部22との界面付近に熱応力が集中しても、隙間の発生やクラックの発生には至らず、信頼性に優れたものとなる。また、樹脂充填部22が充填用孔21内に強固に保持される結果、ガイドピン24の位置ズレを未然に防止することができ、各部品同士を高い精度で光軸合わせすることができる。このため、光伝送効率に優れた光デバイス81を実現することができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・本発明に属する形態ではなく参考例の形態であるが、例えば、上記第1〜第3実施形態とは異なる手法で充填用孔21を形成することも可能である。まず、図23に示すようなグリーンシート56を用意する。このグリーンシート56の片側面(例えば上面12)に対してドリル加工を施し、すり鉢状穴98を加工形成する(図24参照)。この場合に形成されるすり鉢状穴98は、内径が開口部から底部に向かって徐々に小さくなっている。次に、このグリーンシート56の反対側面(例えば下面13)に対しても同様にドリル加工を施し、すり鉢状穴98を加工形成する(図25参照)。このとき、両面のすり鉢状穴98をセラミック基板11の内部にて互いに連通させれば、好適な孔形状を比較的簡単に実現することができる。
・また、グリーンシート56を用意し、このグリーンシート56にドリル加工を行って貫通孔を加工形成した後、テーパ状面を有する成形治具を用いて前記貫通孔の両側開口部を拡げるようにしてもよい。この手法によっても、好適な孔形状を比較的簡単に実現することができる。
・上記実施形態では基板厚みを1.20mmとしているが、基板厚みが0.3mm以上であれば部品を支持するための基板として十分機能しうる。そして、特に基板厚みが1.0mm以上のときに、本実施形態の構成を採用すれば、より信頼性に優れた部品支持基板とすることが可能である。
・上記実施形態では、半硬化状態の樹脂充填部22をドリルで穴加工した後に樹脂充填部22を本硬化(本キュア)する方法を採用したが、ドリルで穴加工する前に本キュアする方法を採用することが好ましい。この方法によれば、本キュアの熱による嵌合穴23の径の変化を防止できるため、部品同士をよりいっそう高精度に位置合わせすることが可能となる。また、本キュア工程の実施前には、被加工面である樹脂充填部22の端面を平滑にする研磨工程を実施しておくことが好適である。研磨によって樹脂充填部22の端面を平滑にしておくと、ドリルでの精密加工が行いやすくなるからである。
・上記実施形態では、部品支持体(ガイドピン24)を嵌合穴23に嵌合固定した構造の部品支持基板10を示したが、部品支持基板10は必ずしも部品支持体を有していなくてもよい。別の言い方をすると、部品支持体は、部品支持基板10側の要素ではなく、部品支持基板10とは別体で構成された他部品側の要素であってもよい。図26に示す別の実施形態の光デバイス141は、基本的に、図22にて示した光ファイバコネクタ86と、部品支持基板150とにより構成されている。この光ファイバコネクタ86には位置合わせ穴83が設けられ、その位置合わせ穴83には部品支持体であるガイドピン24が嵌合固定されている。ガイドピン24の一端は光ファイバコネクタ86の下面側に所定量だけ突出している。一方、部品支持基板150を構成するセラミック基板11の上面12側には、VCSEL14が搭載されている。このセラミック基板11における充填用孔21は、図2に示したものと同様の構造を有している。充填用孔21の内部には樹脂充填部22が設けられ、そのほぼ中心部には嵌合穴23が設けられている。そして、この嵌合穴23にガイドピン24を嵌合固定することにより、部品支持基板150と光ファイバコネクタ86とが位置合わせされ、光デバイス141が完成する。
図27に示す別の実施形態の光デバイス151の場合、光ファイバコネクタ86に位置合わせ穴83が形成されていない。その代わりに、位置合わせ用の突部124が光ファイバコネクタ86の下面に対し接着剤等を用いて接合されている。そして、嵌合穴23に突部124を嵌合固定することにより、部品支持基板150と光ファイバコネクタ86とが位置合わせされ、光デバイス151が完成する。また、図28に示す別の実施形態の光デバイス161においても、光ファイバコネクタ86に位置合わせ穴83が形成されていない。その代わりに、光ファイバコネクタ86自身の下面に位置合わせ用の突部224が一体形成されている。そして、嵌合穴23に突部224を嵌合固定することにより、部品支持基板150と光ファイバコネクタ86とが位置合わせされ、光デバイス161が完成する。なお、図26,図27,図28に示した充填用孔構造に代えて、例えば、図14,図15,図16,図17または図18に示した充填用孔構造を採用することも勿論可能である。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記第1主面にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部と、前記嵌合穴に嵌合されることで固定され、前記嵌合穴から突出した箇所に他部品を支持可能な部品支持体とを備え、前記充填用孔は深さ位置によって異なる内径を有することを特徴とする部品支持基板。
(2)第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記第1主面にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部と、前記嵌合穴に嵌合されることで固定され、前記嵌合穴から突出した箇所に他部品を支持可能な部品支持体とを備え、前記充填用孔は一定の内径を有しておらず、最大径と最小径との差が100μm以上であることを特徴とする部品支持基板。
(3)第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面にて開口する第1開口部及び前記第2主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有するセラミック基板と、前記充填用孔内に配置され、前記第1主面及び前記第2主面にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部と、前記嵌合穴に嵌合されることで固定され、前記嵌合穴から突出した箇所に他部品を支持可能な部品支持体とを備え、前記充填用孔の内壁面には、100μm以上の大きさの凹凸が存在していることを特徴とする部品支持基板。
(4)技術的思想(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の部品支持基板と、前記部品支持基板上に搭載された光学素子と、前記光学素子と位置合わせした状態で前記部品支持体により支持される光部品とを備えたことを特徴とする光デバイス。
(5)前記セラミック基板は、透孔を有する複数のセラミック層からなるセラミック多層基板であり、前記充填用孔は、中心軸をずらして配置された前記透孔が複数個連続した構造を有していることを特徴とする技術的思想(3)に記載の部品支持基板。
(6)技術的思想(5)に記載の部品支持基板の製造方法において、複数枚のセラミック未焼結体に透孔を形成する穴あけ工程と、前記透孔をその中心軸をずらして配置した状態で前記複数枚のセラミック未焼結体を積層圧着し、前記充填用孔を有するセラミック積層体を作製する積層圧着工程と、前記セラミック積層体を焼結させて前記セラミック基板とする焼成工程と、前記充填用孔内に樹脂材料を充填して前記樹脂充填部を形成する樹脂充填工程とを含むことを特徴とする部品支持基板の製造方法。
(7)第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記第1主面にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部とを備え、前記嵌合穴には、他部品を支持可能な部品支持体または前記他部品自身に設けられた突部が嵌合可能であり、前記充填用孔は深さ位置によって異なる内径を有することを特徴とする部品支持基板。
(8)第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記第1主面にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部とを備え、前記嵌合穴には、他部品を支持可能な部品支持体または前記他部品自身に設けられた突部が嵌合可能であり、前記充填用孔は一定の内径を有しておらず、最大径と最小径との差が100μm以上であることを特徴とする部品支持基板。
(9)第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面にて開口する第1開口部及び前記第2主面にて開口する第1開口部を持つ充填用孔を有するセラミック基板と、前記充填用孔内に配置され、前記第1主面及び前記第2主面にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部とを備え、前記嵌合穴には、他部品を支持可能な部品支持体または前記他部品自身に設けられた突部が嵌合可能であり、前記充填用孔の内壁面には、100μm以上の大きさの凹凸が存在していることを特徴とする部品支持基板。
本発明を具体化した第1実施形態の光デバイスを示す概略平面図。
前記光デバイスを示す概略断面図。
前記光デバイスの製造過程において、光導波路を示す概略断面図。
前記光デバイスの製造過程において、光導波路に位置合わせ穴を形成した状態を示す概略断面図。
前記光デバイスの製造過程において、複数枚のグリーンシートに透孔を形成した状態を示す概略断面図。
前記光デバイスの製造過程において、充填用孔を有するセラミック積層体を示す概略断面図。
前記光デバイスの製造過程において、セラミック積層体を焼成してセラミック基板とした状態を示す概略断面図。
前記光デバイスの製造過程において、セラミック基板に樹脂材料を充填して樹脂充填部を形成した状態を示す概略断面図。
前記光デバイスの製造過程において、樹脂充填部に嵌合穴を形成した状態を示す概略断面図。
前記光デバイスの製造過程において、セラミック基板上にVCSEL及びフォトダイオードを搭載した状態を示す概略断面図。
前記光デバイスの製造過程において、嵌合穴にガイドピンを嵌合させた状態を示す概略断面図。
前記光デバイスの製造過程において、セラミック基板と光導波路との位置合わせを行いつつ光導波路を固定する状態を示す概略断面図。
実施例1の試験サンプルを示す要部拡大概略断面図。
実施例2の試験サンプルを示す要部拡大概略断面図。
実施例3の試験サンプルを示す要部拡大概略断面図。
実施例4の試験サンプルを示す要部拡大概略断面図。
実施例5の試験サンプルを示す要部拡大概略断面図。
実施例6の試験サンプルを示す要部拡大概略断面図。
比較例1,2の試験サンプルを示す要部拡大概略断面図。
試験結果を示す表。
光ファイバコネクタを備える第2実施形態の光デバイスを示す概略断面図。
光ファイバコネクタを備える第3実施形態の光デバイスを示す概略断面図。
別の実施形態の光デバイスの製造過程において、穴加工前のグリーンシートを示す概略断面図。
別の実施形態の光デバイスの製造過程において、グリーンシートの上面側にドリル加工を施した状態を示す概略断面図。
別の実施形態の光デバイスの製造過程において、グリーンシートの下面側にドリル加工を施して充填用孔を形成した状態を示す概略断面図。
別の実施形態の光デバイスを示す概略断面図。
別の実施形態の光デバイスを示す概略断面図。
別の実施形態の光デバイスを示す概略断面図。
従来技術の光デバイスを示す概略断面図。
従来技術の光デバイスにおける問題点を説明するための要部拡大概略断面図。
符号の説明
10,150…部品支持基板としての光部品支持基板
11…基板としてのセラミック基板
12…第1主面としての上面
13…第2主面としての下面
14…光学素子としてのVCSEL
16…光学素子としてのフォトダイオード
21…充填用孔
22…樹脂充填部
23…嵌合穴
24…部品支持体としてのガイドピン
31…他部品(光部品)としての光導波路
36…位置合わせ凹部としての位置合わせ穴
41,71,81,141,151,161…光デバイス
51,52,53,54,55…セラミック層
56…セラミック未焼結体としてのグリーンシート
57…透孔
58…セラミック積層体
61…第1開口部
62…第2開口部
63…中間位置
72…他部品(光部品)としての光ファイバコネクタ
86…他部品(光部品)としての光ファイバコネクタ
87…他部品(光部品)としてのマイクロレンズアレイ
124,224…突部