JP5341047B2 - 部品支持基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光部品などの各種部品を支持するための部品支持基板及びその製造方法に関するものである。
近年、インターネットに代表される情報通信技術の発達や、情報処理装置の処理速度の飛躍的向上などに伴って、画像等の大容量データを送受信するニーズが高まりつつある。かかる大容量データを、情報通信設備を通じて自由にやり取りするためには10Gbps以上の情報伝達速度が望ましく、そのような高速通信環境を実現しうる技術として光通信技術に大きな期待が寄せられている。一方、機器内の配線基板間での接続、配線基板内の半導体チップ間での接続、半導体チップ内での接続など、比較的短い距離における信号伝達経路に関しても、高速で信号を伝送することが近年望まれている。このため、従来一般的であった金属ケーブルや金属配線から、光導波路等を用いた光伝送へと移行することが理想的であると考えられている。
そして近年では、光導波路、光学素子、部品支持基板等を備え、光導波路と光学素子との間で光通信を行う光デバイスが各種提案されている(例えば特許文献1参照)。なお、特許文献1に記載の光デバイスは、各部品同士のアライメントを行うガイドピンアライメント方式の光デバイスである。改良した形態として図13にその一例を示す。この光デバイス81では、部品支持基板82側にガイドピン83を立設し、そのガイドピン83を用いて光導波路84を位置合わせ状態で固定している。より具体的に言うと、部品支持基板82は、第1主面85及び第2主面86にて開口する断面円形状の充填用孔87を有している。充填用孔87内には樹脂充填部88が形成され、さらにその樹脂充填部88には嵌合穴90が形成されている。なお、樹脂充填部88は、熱硬化性樹脂からなる樹脂材料89を、ディスペンサ装置94を用いて充填用孔87内に充填した後、充填した樹脂材料89を加熱して硬化させることにより形成される(図14参照)。嵌合穴90は、樹脂充填部88に対するドリル加工を行うことによって形成される。また、嵌合穴90内には、ガイドピン83の一部が嵌合されることで固定されている。一方、光導波路84には位置合わせ用孔91があらかじめ設けられている。そして、ガイドピン83の突出箇所を位置合わせ用孔91に挿通させることにより、光導波路84が部品支持基板82や光学素子92に対して位置合わせされる。
特開2003−107283号公報(図14等)
ところが、ガイドピンアライメント方式の光デバイス81には、以下の問題がある。即ち、充填用孔87内に樹脂材料89を充填する樹脂充填工程では、樹脂材料89中への空気の混入を防止するために、樹脂材料89の第1主面85側の端面が第1主面85から突出するように、樹脂材料89を充填している(図14参照)。しかし、硬化前の樹脂材料89は粘度が低く、しかも加熱硬化の際に樹脂材料89が低粘度化するため、樹脂材料89の突出部分が第1主面85上を流れて配線層93(図14参照)に付着し、配線層93を汚してしまう可能性がある。しかも、樹脂材料89の流動に伴って樹脂材料89の第1主面85側の端面が低くなるため、充填した樹脂材料89を加熱して硬化させると、樹脂材料89の硬化時の熱収縮によって、形成される樹脂充填部88の第1主面85側の端面に凹み(ヒケ)が発生してしまう。この場合、ドリル加工を行って嵌合穴90を形成しようとしても、嵌合穴90を正確な位置に形成することが困難であるため、嵌合穴90の位置精度が低下しやすくなる。ゆえに、嵌合穴90内に嵌合されるガイドピン83が位置ずれしてしまい、各部品同士の位置合わせ精度が悪化する可能性がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、嵌合穴の形成に適した樹脂充填部の形成が可能な部品支持基板を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記の優れた部品支持基板を得るのに好適な製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するための手段(手段1)としては、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記基板よりも硬度が低い材料によって形成され、前記第1主面側にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部と、前記嵌合穴に嵌合されることで固定され、前記嵌合穴から突出した箇所に他部品を支持可能な部品支持体とを備え、前記充填用孔は、第1透孔と、前記第1透孔よりも小径の第2透孔とからなり、前記第1主面に配線層が形成され、前記第1透孔は、前記配線層を避けて配置されるとともに前記第1主面にて開口し、前記第2透孔は、前記第1透孔よりも前記第2主面側に配置されるとともに前記第1透孔内にて開口し、前記嵌合穴が前記第1透孔内にて開口することにより、前記樹脂充填部の前記第1主面側の端面が、前記第1透孔内に位置し、かつ、前記第1主面よりも前記第2主面側であって、前記第1主面と、前記第2透孔の前記第1透孔内における開口端面との間に位置していることを特徴とする部品支持基板がある。
従って、手段1によると、樹脂充填部の第1主面側の端面が第1主面よりも第2主面側に位置しているため、樹脂充填部の硬化前または加熱硬化時において、樹脂充填部を形成する材料の第1主面上への流出が防止される。その結果、第1主面側の端面の高さや表面形状が安定した状態に維持され、第1主面側の端面に凹み等が発生しにくくなるため、嵌合穴を正確な位置に形成することができ、嵌合穴の位置精度が向上する。即ち、嵌合穴の形成に適した樹脂充填部の形成が可能となる。また、嵌合穴の位置精度の向上に伴い、嵌合穴内に嵌合される部品支持体の位置精度も向上するため、各部品同士の位置合わせ精度が高くなる。同時に、樹脂材料が配線層に付着し、配線層を汚してしまう不良を防止することができる。
部品支持基板を構成する基板としては、例えば、樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板及び金属基板が使用可能であるが、特にはセラミック基板であることが好ましい。樹脂基板に比較して熱伝導性の高いセラミック基板を用いた場合には、発生した熱が効率良く放散される。そのため、例えば光部品を支持するための部品支持基板に適用した場合には、放熱性の悪化に起因する発光波長のずれが回避され、動作安定性・信頼性に優れた部品支持基板を実現することができる。かかるセラミック基板の好適例を挙げると、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ほう素、ベリリア、ムライト、低温焼成ガラスセラミック、ガラスセラミック等からなる基板がある。これらの中でもアルミナや窒化アルミニウムからなる基板を選択することが特に好ましい。
また、樹脂基板の好適例としては、例えば、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)、フェノール樹脂等からなる基板を挙げることができる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。金属基板の好適例としては、例えば、銅基板、銅合金からなる基板、銅以外の金属単体からなる基板、銅以外の合金からなる基板などを挙げることができる。
なお、基板は、絶縁層と導体層とを積層配置してなり、第1主面上(及び第2主面上)に配線層が設けられた配線基板であることがよく、特には多層配線基板であることがよい。また、導体層同士の層間接続や、導体層と配線層との層間接続を図るために、基板内部にはビアホール導体が形成されていてもよい。なお、かかる導体層、配線層及びビアホール導体は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などからなる導電性金属ペーストを印刷または充填することにより形成される。また、導体層、配線層及びビアホール導体に適宜めっきを施してもよい。そして、このような導体層、配線層及びビアホール導体には電気信号が流れるようになっている。なお、このような配線基板に加えて、例えば、樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層してなるビルドアップ層を基板上に備えるビルドアップ配線基板を用いることも許容される。
また、上記基板は、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも第1主面にて開口する充填用孔を有している。つまり、充填用孔は、第1主面側においてのみ開口する非貫通孔であってもよいほか、第1主面側及び第2主面側の両方において開口する貫通孔であっても構わない。
なお、基板が、複数のセラミック層からなるセラミック多層基板である場合、充填用孔は、複数のセラミック層の積層方向と同一方向に延びており、複数のセラミック層のうち最も第1主面側にあるセラミック層における径が、他のセラミック層における径よりも大きいことが好ましい。このような孔形状であると、特定の充填用孔に対する樹脂充填部の材料の充填量が多過ぎたとしても、樹脂充填部の材料の余剰部分が、最も第1主面側にあるセラミック層に接する他のセラミック層の表面上を流れ、最も第1主面側にあるセラミック層の充填用孔の内壁面に接触することにより停止する。即ち、樹脂充填部の材料の流動が内壁面への接触によって抑制されるため、過剰流動に起因した凹みが樹脂充填部の第1主面側の端面に発生しにくくなり、第1主面側の端面の平坦化が可能となる。よって、嵌合穴を正確な位置に形成しやすくなるため、嵌合穴の位置精度がよりいっそう向上する。
さらに、最も第1主面側にあるセラミック層における充填用孔の径が、他のセラミック層における充填用孔の径よりも大きい場合、基板は、他のセラミック層を複数有し、充填用孔は、他のセラミック層における径が互いに等しいことが好ましい。このようにすれば、複数ある他のセラミック層のそれぞれに充填用孔を形成する場合に、それぞれの充填用孔を同じ工程で形成することが可能となるため、工数が減り、低コスト化を達成しやすくなる。
また、充填用孔内には、基板よりも硬度が低い材料(樹脂材料)によって形成された樹脂充填部が配置されている。樹脂材料はセラミック等の無機材料に比べて加工性に優れているので、樹脂充填部に対する高精度穴あけを簡単にかつ低コストで行うことができる。この樹脂充填部は第1主面側にて開口する嵌合穴を有している。嵌合穴は第1主面側においてのみ開口する非貫通穴であってもよいほか、第1主面側及び第2主面側の両方において開口する貫通穴であってもよい。嵌合穴の形状等については特に限定されず、後述する部品支持体を支持可能な程度であればよい。
樹脂充填部を形成する樹脂としては特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂などを用いることができる。熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等がある。この場合、硬化収縮量が少ない熱硬化性樹脂を選択することが好ましい。熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルホン(PPS)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPES)等がある。なお、高精度穴あけの加工精度や加工速度を向上させるために、樹脂に対して適宜充填物を添加してもよい。充填物の具体例としては、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラーや、銅などの金属フィラーなどが挙げられる。これらのフィラーに対して、樹脂との密着性を向上させるための表面処理などを必要に応じて施してもよい。
部品支持基板を構成する部品支持体は、嵌合穴に嵌合されることで固定される。部品支持体の一部は少なくとも第1主面側から突出するとともに、その突出箇所には他部品(具体的には光部品など)が支持可能である。部品支持体の形状については特に限定されないが、例えばピン状のもの(ガイドピン)が好ましく、その材料としてはステンレス等のようにある程度硬質な金属がよい。また、部品支持体の直径(特に突出箇所の直径)については、他部品の有する位置合わせ凹部と嵌合できるように、位置合わせ凹部とほぼ同径である必要がある。なお、部品支持体の数については特に限定されないが、位置合わせ精度の向上及び固定強度の向上という観点からすると、単数よりは複数であることがよい。
この場合、嵌合穴は精密加工穴であること、具体的には加工要求精度が±0.005mm以内の精密加工穴であることが好ましい。この場合、各部品の位置合わせ精度を向上させることができ、高い光結合効率を得ることができる。
なお、「他部品」とは、例えば部品支持基板とは別体で構成された部品であって、部品支持基板と位置合わせされる対象物のことを指す。他部品としては、光学素子と位置合わせした状態で部品支持体により支持される光部品などが挙げられる。ここで光部品とは、光伝送機能、集光機能及び光反射機能のうちの少なくとも1つの機能を有する部品を意味する。具体例を挙げると、光伝送機能を有する光部品としては、例えば光導波路や光ファイバなどがある。なお、光導波路を支持する基材も、光伝送機能を有する光部品に該当するものとする。光ファイバと光ファイバを支持する光ファイバコネクタとからなる光部品も、光伝送機能を有する光部品に該当するものとする。集光機能を有する光部品としては、例えばマイクロレンズアレイ等に代表されるレンズ部品などがある。光反射機能を有する光部品としては、例えば光路変換部品などがある。なお、光路変換部が形成された光ファイバコネクタは、光反射機能を有する光部品であるということができる。光路変換部が形成された光導波路は、光伝送機能及び光反射機能を有する光部品であるということができる。なお、部品支持基板上には、1つの光部品のみが支持されていてもよく、2つ以上の光部品が支持されていてもよい。
また、光学素子は例えば部品支持基板上に1つまたは2つ以上搭載される。その搭載方法としては、例えば、ワイヤボンディングやフリップチップボンディング等の手法、異方導電性材料を用いた手法などを採用することができる。なお、光学素子は部品支持基板上に直接的に搭載されていてもよいほか、何らかの部材を介して間接的に搭載されていてもよい。発光部を有する光学素子(即ち発光素子)としては、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)、半導体レーザーダイオード(Laser Diode ;LD)、面発光レーザー(Vertical-Cavity-Surface Emitting Laser;VCSEL)等を挙げることができる。これらの発光素子は、入力した電気信号を光信号に変換した後、その光信号を所定部位に向けて発光部から出射する光電変換素子である。一方、受光部を有する光学素子(即ち受光素子)としては、例えば、pinフォトダイオード(pin Photo Diode;pin PD)、アバランシェフォトダイオード(Avalance Photo Diode;APD)等を挙げることができる。これらの受光素子は、光信号を受光部にて入射し、その入射した光信号を電気信号に変換して出力する光電変換素子である。なお、光学素子は発光部及び受光部の両方を有するものであってもよい。光学素子に使用する好適な材料としては、例えば、Si、Ge、GaAs、InGaAs、GaAsP、GaAlAsなどを挙げることができる。このような光学素子(特に発光素子)は、動作回路によって動作される。光学素子及び動作回路は、例えば、部品支持基板に形成された配線層を介して電気的に接続されている。なお、発光素子及び受光素子は、同じ部品支持基板上に搭載されていてもよいし、異なる部品支持基板上に搭載されていてもよい。即ち、発光素子と受光素子との間の信号伝送は、1つの部品支持基板上で行ってもよいし、複数の部品支持基板間で行ってもよい。また、部品支持基板上に搭載された発光素子及び受光素子は、それぞれ別の構造を備える光送信機及び光受信機に対して光伝送媒体を介して接続されることにより、光伝送を実現したものであってもよい。
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記基板よりも硬度が低い材料によって形成され、前記第1主面側にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部と、前記嵌合穴に嵌合されることで固定され、前記嵌合穴から突出した箇所に他部品を支持可能な部品支持体とを備え、前記第1主面上に、複数の配線層と、前記充填用孔を包囲するように突設された環状のダム層とが設けられていることを特徴とする部品支持基板がある。
従って、手段2によると、樹脂充填部の硬化前または加熱硬化時において、樹脂充填部の材料の一部が第1主面上に流出したとしても、樹脂充填部の材料の流動が、充填用孔を包囲する環状のダム層に接触することで停止する。その結果、第1主面側の端面の高さや表面形状が安定した状態に維持され、第1主面側の端面に凹み等が発生しにくくなるため、嵌合穴を正確な位置に形成することができ、嵌合穴の位置精度が向上する。即ち、嵌合穴の形成に適した樹脂充填部の形成が可能となる。また、嵌合穴の位置精度の向上に伴い、嵌合穴内に嵌合される部品支持体の位置精度も向上するため、各部品同士の位置合わせ精度が高くなる。さらに、ダム層が充填用孔を包囲しているため、充填用孔から流出した樹脂充填部の材料がダム層の外側領域にはみ出すことが防止される。よって、樹脂充填部の材料が配線層に付着することに起因する汚れを防止することができる。
ダム層を構成する材料としては、樹脂材料、金属材料、セラミック材料などが挙げられる。ダム層を構成する樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などを使用することが可能である。また、これらの原料からなるソルダーレジスト材料や層間絶縁材料を使用してもよい。ダム層を構成する金属材料としては、例えば、ニッケル、モリブデン、タングステン、チタン、銅、銀などを使用することが可能である。また、ダム層を形成するセラミック材料としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ほう素、ベリリア、ムライト、ガラスセラミックなどを使用することが可能である。なお、基板が複数のセラミック層からなるセラミック多層基板である場合、ダム層は、セラミック層を構成するセラミック材料を含むことが好ましい。具体的には下記の構成にすることが好適である。即ち、ダム層を、セラミック層を構成するセラミック材料からなるセラミックコート層とする。このようにすれば、ダム層を形成する際に、ダム層用の材料を別途準備しなくても済むため、部品支持基板の製造コストを抑えることができる。
なお、配線層及びダム層を形成する手法としては、従来周知のめっき法が、簡単かつ低コストという理由で好適である。しかし、めっき法以外にも、例えば、スパッタリング、CVD、真空蒸着などといった手法を採用することも可能である。なお、ダム層が樹脂材料によって構成される場合は、レーザー加工や露光及び現像によるパターンニング等の従来周知の手法を用い、樹脂材料の不要部分を除去してダム層となる箇所に樹脂を残すことにより、ダム層を形成することができる。
また、ダム層は複数の配線層と同じまたはそれ以上の高さを有することが好ましい。このように構成すれば、樹脂充填部の材料の流動をダム層によって確実に停止させることができる。また、ダム層の外側領域への材料のはみ出しをより確実に防止できる。
さらに、上記課題を解決するための別の手段(手段3)としては、上記手段1に記載の部品支持基板の製造方法において、複数枚のセラミック未焼結体に透孔を形成する穴あけ工程と、前記複数枚のセラミック未焼結体を積層圧着することにより、複数の前記透孔からなる前記充填用孔を有するセラミック積層体を作製する積層圧着工程と、前記セラミック積層体を焼結させて前記基板とする焼成工程と、前記充填用孔内に樹脂材料を充填して前記樹脂充填部を形成する樹脂充填工程とを含み、前記樹脂充填工程では、前記第1主面側の端面が前記第1主面よりも前記第2主面側に位置するように、前記樹脂材料を充填することを特徴とする部品支持基板の製造方法がある。従って、手段3によると、嵌合穴の形成に適した樹脂充填部を有する上記の優れた部品支持基板を容易に製造することができる。
以下、部品支持基板の製造方法を説明する。
穴あけ工程では、複数枚のセラミック未焼結体に透孔を形成する。セラミック材料は完全に焼結すると極めて硬くなる性質があるため、加工が難しくなり、加工コストも高くなる。しかし本工程では、それ程硬くない未焼結状態のセラミック材料を加工対象としているため、穴加工を比較的簡単にかつ低コストで行うことができる。穴あけ工程における穴加工の方法としては周知の技術を採用することができ、具体例としては、ドリル加工、パンチ加工、レーザー加工などがある。但し、低コストという観点からすると、ドリル加工やパンチ加工といった機械的加工が好ましく、特にはパンチ加工が好ましい。
なお、穴あけ工程において、複数枚のセラミック未焼結体の少なくとも1つに、他のセラミック未焼結体よりも径が大きい透孔を形成する場合、積層圧着工程では、大径の透孔が形成された第1セラミック未焼結体を、複数枚のセラミック未焼結体のうち最も第1主面側に配置し、小径の透孔が形成された第2セラミック未焼結体を第1セラミック未焼結体よりも第2主面側に配置した状態で、複数枚のセラミック未焼結体を積層圧着することが好ましい。このようにした場合、積層圧着工程後の樹脂充填工程において、樹脂材料の第1主面側の端面を大径の透孔内に位置させれば、樹脂材料の一部が、最も第1主面側にあるセラミック層に接する他のセラミック層の表面上を流れたとしても、樹脂材料の流動が大径の透孔の内壁面に接触することで停止する。その結果、第1主面側の端面の高さや表面形状が安定した状態に維持され、第1主面側の端面に凹み等が発生しにくくなるため、嵌合穴を正確な位置に形成することができ、嵌合穴の位置精度が向上する。
焼成工程では、未焼結のセラミック積層体を高温下で加熱することにより焼結させて、基板とする。この時点でセラミックは硬質化する。焼成温度や焼成時間等については、選択したセラミックの種類に応じて適宜設定される。
樹脂充填工程では、充填用孔に樹脂材料を充填して樹脂充填部を形成する。より具体的には、充填用孔内に未硬化状態の樹脂材料を充填した後、充填した樹脂材料を硬化させて樹脂充填部とする。例えば、熱硬化性樹脂を選択した場合には充填後に加熱して樹脂材料を硬化させるようにし、感光性樹脂を選択した場合には充填後に紫外線を照射して樹脂材料を硬化させるようにする。さらには、加熱硬化と紫外線硬化とを併用してもよい。樹脂材料の充填は、例えばディスペンサ装置による充填や印刷等の手法により行うことができる。
なお、上記の穴あけ工程、積層圧着工程、焼成工程及び樹脂充填工程を実施した後、樹脂充填部に嵌合穴を形成する嵌合穴形成工程を行ってもよい。本工程における穴加工の方法としては周知の技術を採用することができるが、この場合には精密穴加工を行うことが望ましい。このような加工法によって嵌合穴を形成しておけば、位置合わせの際の基準となる部品支持体を、所望とする正しい位置にて支持することができるからである。精密穴加工の具体的手法としては、ドリル加工、パンチ加工、レーザー加工などがあるが、コスト性などを考慮すると精密ドリルを使用したドリル加工が最も好ましい。なお、嵌合穴形成工程後に必要に応じて仕上げ加工を行うことにより、穴径を微調整してもよい。
また、焼成工程後かつ樹脂充填工程前に、充填用孔の第2主面側開口を剥離可能な粘着テープでシールするテーピング工程を行い、樹脂充填工程後に、粘着テープを剥離する剥離工程を行うことが好ましい。このようにすれば、充填用孔内に樹脂材料を確実に充填できるため、樹脂材料中への空気の混入を防止することができる。ゆえに、空気の混入に起因したボイドの発生が抑えられて樹脂材料の強度低下が防止されるため、嵌合穴に部品支持体を嵌合した際に、樹脂材料によって部品支持体を確実に固定することができる。また、樹脂充填工程において、樹脂材料の第2主面側の端面が第2主面と面一になるため、部品支持基板の寸法精度が向上する。
また、上記課題を解決するための別の手段(手段4)としては、上記手段2に記載の部品支持基板の製造方法において、複数枚のセラミック未焼結体に透孔を形成する穴あけ工程と、前記複数枚のセラミック未焼結体を積層圧着することにより、複数の前記透孔からなる前記充填用孔を有するセラミック積層体を作製する積層圧着工程と、前記セラミック積層体を焼結させて前記基板とする焼成工程と、前記充填用孔内に樹脂材料を充填して前記樹脂充填部を形成する樹脂充填工程とを含み、前記樹脂充填工程前に、前記第1主面上に前記ダム層を形成するダム層形成工程を行うことを特徴とする部品支持基板の製造方法がある。従って、手段4によると、嵌合穴の形成に適した樹脂充填部を有する上記の優れた部品支持基板を容易に製造することができる。
なお、ダム層形成工程は、第1主面上において充填用孔を包囲する位置にセラミックペーストを塗布する塗布工程と、セラミックペーストを焼結させてダム層とするダム層焼成工程とを含むことが好ましい。このようにすれば、基板がセラミック基板である場合に、ダム層形成工程においてダム層用のセラミック材料を別途準備しなくても済むため、部品支持基板の製造コストを抑えることができる。
また、上記課題を解決するための別の手段(手段5)としては、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する充填用孔を有する基板と、前記充填用孔内に配置され、前記基板よりも硬度が低い材料によって形成され、前記第1主面側にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部と、前記嵌合穴に嵌合されることで固定され、前記嵌合穴から突出した箇所に他部品を支持可能な部品支持体とを備えた部品支持基板の製造方法であって、複数枚のセラミック未焼結体に透孔を形成する穴あけ工程と、前記複数枚のセラミック未焼結体を積層圧着することにより、複数の前記透孔からなる前記充填用孔を有するセラミック積層体を作製する積層圧着工程と、前記セラミック積層体を焼結させて前記基板とする焼成工程と、前記充填用孔内に樹脂材料を充填して前記樹脂充填部を形成する樹脂充填工程とを含み、前記焼成工程後かつ前記樹脂充填工程前に、前記第1主面及び前記第1主面上に形成された配線層の表面を覆うレジスト層を形成するレジスト層形成工程を行うとともに、前記樹脂充填工程後に、前記レジスト層を除去する除去工程を行うことを特徴とする部品支持基板の製造方法がある。
従って、手段5によると、充填用孔内に充填した樹脂材料の一部が第1主面上に流出したとしても、樹脂材料の流動が、第1主面を覆うレジスト層に接触することで停止する。その結果、第1主面側の端面の高さや表面形状が安定した状態に維持され、第1主面側の端面に凹み等が発生しにくくなるため、嵌合穴を正確な位置に形成することができ、嵌合穴の位置精度が向上する。即ち、嵌合穴の形成に適した樹脂充填部の形成が可能となる。また、嵌合穴の位置精度の向上に伴い、嵌合穴内に嵌合される部品支持体の位置精度も向上するため、各部品同士の位置合わせ精度が高くなる。さらに、第1主面上に形成された配線層は、樹脂充填工程が行われる前の時点でレジスト層によって覆われているため、第1主面上に流れ出した樹脂材料は、配線層に付着せずにレジスト層に付着する。よって、樹脂材料が配線層に付着することに起因する汚れを防止することができる。
第1実施形態の光デバイスを示す概略平面図。 同じく、光デバイスを示す概略断面図。 同じく、セラミック基板を示す要部断面図。 同じく、光デバイスの製造過程において、充填用孔を有するセラミック積層体を示す要部断面図。 同じく、光デバイスの製造過程において、セラミック積層体を焼成してセラミック基板とした状態を示す要部断面図。 同じく、光デバイスの製造過程において、セラミック基板の充填用孔に樹脂材料を充填して樹脂充填部を形成した状態を示す要部断面図。 同じく、光デバイスの製造過程において、樹脂充填部に嵌合穴を形成する状態を示す要部断面図。 第2実施形態の光デバイスの製造過程において、セラミック基板の充填用孔に樹脂材料を充填して樹脂充填部を形成した状態を示す要部断面図。 第3実施形態の光デバイスの製造過程において、セラミック基板の充填用孔に樹脂材料を充填して樹脂充填部を形成した状態を示す要部断面図。 第4実施形態の光デバイスの製造過程において、セラミック基板にレジスト層を形成した状態を示す要部断面図。 同じく、光デバイスの製造過程において、セラミック基板の充填用孔に樹脂材料を充填して樹脂充填部を形成した状態を示す要部断面図。 第5実施形態の光デバイスを示す概略断面図。 従来技術の光デバイスを示す概略断面図。 従来技術の光デバイスにおける問題点を説明するための要部断面図。
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態の光デバイスを図面に基づき詳細に説明する。
図1,図2に示されるように、本実施形態の光デバイス41は、光学素子(VCSEL14、フォトダイオード16)及び光部品(光導波路31)を部品支持基板10上に搭載した構造を備える。
図1〜図3に示されるように、部品支持基板10を構成するセラミック基板11は、第1主面12及び第2主面13を有する略矩形状の板部材である。セラミック基板11は、絶縁層である5層のセラミック層51,52,53,54,55と4層の導体層(図示略)とを積層配置してなる、いわゆるセラミック多層配線基板である。また、セラミック基板11の第1主面12上には、複数の配線層61(図3参照)が設けられている。なお、セラミック基板11はビアホール導体(図示略)も備えており、層の異なる導体層同士や、導体層と配線層61との間は、ビアホール導体を介して層間接続されている。
また、セラミック基板11では、各セラミック層51〜55の厚さが0.1mm以上0.5mm以下(本実施形態では0.25mm)に設定され、導体層及び配線層61の厚さが0.002mm以上0.02mm以下(本実施形態では0.01mm)に設定されている。さらに、セラミック基板11全体の厚さは1.0mmに設定されている。ここで、セラミック基板11全体の厚さは、0.5mm以上3.0mm以下であることが好ましい。仮に、セラミック基板11全体の厚さが0.5mm未満であると、光部品(光導波路31)及び後述するガイドピン24をセラミック基板11によって確実に支持できなくなる。一方、セラミック基板11全体の厚さが3.0mmよりも大きいと、セラミック基板11が肉厚になり、重量化してしまう。
図2においてセラミック基板11の第1主面12の左端には、発光素子の一種であるVCSEL14が、発光面を上方に向けた状態で搭載されている。このVCSEL14は、一列に並べられた複数(ここでは4つ)の発光部15を発光面内に有している。従って、これらの発光部15は、セラミック基板11の第1主面12に対して直交する方向(即ち図2の上方向)に、所定波長のレーザー光を出射するようになっている。図2においてセラミック基板11の第1主面12の右端には、受光素子の一種であるフォトダイオード16が、受光面を上方に向けた状態で搭載されている。このフォトダイオード16は、一列に並べられた複数(ここでは4つ)の受光部17を受光面内に有している。従って、これらの受光部17は、図2の上側から下側に向かうレーザー光を受けやすいような構成となっている。
なお、VCSEL14及びフォトダイオード16の有する端子は、配線層61(図3参照)に対してそれぞれ接合されている。特にVCSEL14は、セラミック基板11の第1主面12に搭載された図示しない動作回路用IC(いわゆるドライバIC)に対し、配線層61を介して電気的に接続されている。
図1〜図3に示されるように、セラミック基板11における複数の箇所(ここでは4箇所)には、第1主面12及び第2主面13の両方にて開口する充填用孔21が形成されている。この充填用孔21は、各セラミック層51〜55の積層方向と同一方向に延びている。また、充填用孔21は、断面円形状をなし、深さ位置によって異なる内径を有している。具体的に言うと、充填用孔21は、各セラミック層51〜55のうち最も第1主面12側にあるセラミック層51における内径が、他のセラミック層52〜55における内径よりも大きくなっている。また、他のセラミック層52〜55における内径は、互いに等しくなっている。詳述すると、充填用孔21は、第1層めのセラミック層51に形成された大径の第1透孔58と、第2層め〜第5層めのセラミック層52〜55に形成された小径の第2透孔59とからなっている。第1透孔58の内径は、0.8mm以上2.0mm以下(本実施形態では1.4mm)に設定され、第2透孔59の内径は、0.6mm以上2.0mm以下(本実施形態では1.2mm)に設定されている。
そして本実施形態では、4つある充填用孔21のうちの2つがVCSEL14に近接して配置され、残りの2つがフォトダイオード16に近接して配置されている。VCSEL14に近接して配置された一対の充填用孔21は、発光部15の列とほぼ同一直線上にあって、発光部15の列をその両端側から挟む位置に配置されている。フォトダイオード16に近接して配置された一対の充填用孔21は、受光部17の列とほぼ同一直線上にあって、受光部17の列をその両端側から挟む位置に配置されている。
図2,図3に示されるように、各充填用孔21内には、セラミック基板11を構成するセラミック材料よりも硬度が低く加工性の良い樹脂材料20(図5参照)からなる樹脂充填部22が充填されている。樹脂充填部22の第1主面12側の端面は、第1主面12よりも第2主面13側、具体的には第1透孔58内に位置している。樹脂充填部22の外径は、第1主面12側の端部において第1透孔58の内径(本実施形態では1.4mm)と等しくなっており、それ以外の部分において第2透孔59の内径(本実施形態では1.2mm)と等しくなっている。
また、樹脂充填部22のほぼ中心部には、嵌合穴23が設けられている。嵌合穴23は、断面円形状であって、セラミック基板11の第1主面12側及び第2主面13側の両方にて開口している。本実施形態の場合、嵌合穴23の内径は、充填用孔21の最小径(即ち、第2透孔59の内径)よりも小さく、0.4mm以上1.2mm以下(本実施形態では0.7mm)に設定されている。そして、4つある嵌合穴23の内部には、ステンレス鋼からなる断面円形状のガイドピン24(部品支持体)が、第1主面12側に一端を突出させた状態で嵌合されることで固定されている。本実施形態において具体的には、JIS C 5981に規定するガイドピン「CNF125A−21」(直径0.699mm)を使用している。
図1,図2に示されるように、セラミック基板11の第1主面12側には、矩形状の光導波路31が配置されている。この光導波路31は、セラミック基板11よりも外形寸法が一回り小さくなるように形成されている。光導波路31を構成する基材32は、コア33及びそれを上下左右から取り囲むクラッド34を有している。実質的にコア33は光信号が伝搬する光路となる。本実施形態の場合、コア33及びクラッド34は、屈折率等の異なる透明なポリマ材料、具体的には屈折率等の異なるPMMA(ポリメチルメタクリレート)により形成されている。光路となるコア33は発光部15及び受光部17の数と同じく4つであって、それらは直線的にかつ平行に延びるように形成されている。コア33の両端部にはコア33の長手方向に対して45°の角度を持つ傾斜面が形成され、その傾斜面には光を全反射可能な金属からなる薄膜が蒸着されている。よって、各コア33の両端部は、それぞれ光を90°の角度で反射する光路変換用ミラー35,37(光路変換部)を備えたものとなっている。光導波路31の四隅には円形状の位置合わせ穴36(位置合わせ凹部)が貫通形成されている。これらの位置合わせ穴36は、ガイドピン24の直径とほぼ同じ大きさであり、内径が約0.7mmに設定されている。そして、各位置合わせ穴36には、セラミック基板11から突出する各ガイドピン24が嵌合されている。その結果、ガイドピン24において嵌合穴23から突出した箇所に、部品支持基板10とは他部品である光導波路31が支持され、セラミック基板11の第1主面12上にて、光導波路31が位置合わせされた状態で固定される。ここで「位置合わせされた状態」とは、具体的には、図2の左端側に位置する各光路変換用ミラー35が各発光部15の直上にあり各コア33の光軸と各発光部15の光軸とが合った状態、かつ、図2の右端側に位置する各光路変換用ミラー37が各受光部17の直上にあり各コア33の光軸と各受光部17の光軸とが合った状態をいう。なお本実施形態では、セラミック基板11及び光導波路31が、位置合わせ穴36とガイドピン24との嵌合関係のみをもって互いに固定されている。
このように構成された光デバイス41の一般的な動作について簡単に述べる。
VCSEL14及びフォトダイオード16は、セラミック基板11の導体層及び配線層61を介した電力供給により、動作可能な状態となる。セラミック基板11上のドライバIC(図示略)からVCSEL14に電気信号が出力されると、VCSEL14は入力した電気信号を光信号(レーザー光)に変換した後、その光信号をコア33の左端にある光路変換用ミラー35に向けて、発光部15から出射する。発光部15から出射したレーザー光は、光導波路31の下面側から入射して、コア33の光路変換用ミラー35に入射する。光路変換用ミラー35に入射したレーザー光は、そこで進行方向を90°変更する。このため、レーザー光はコア33の内部をその長手方向に沿って伝搬する。そして、コア33の右端に到ったレーザー光は、今度は光導波路31の右端に形成されている光路変換用ミラー37に入射する。光路変換用ミラー37に入射したレーザー光は、そこで進行方向を90°変更する。このため、レーザー光は光導波路31の下面側から出射し、さらにフォトダイオード16の受光部17に入射する。フォトダイオード16は受光したレーザー光を電気信号に変換し、変換した電気信号を図示しない受信用IC(いわゆるレシーバIC)に出力するようになっている。なお本実施形態では、1つの部品支持基板10上に搭載されたVCSEL14とフォトダイオード16との間を光導波路31で接続することにより、光伝送を実現しているが、VCSEL14及びフォトダイオード16をそれぞれ別の部品支持基板上に搭載した状態で、両者を光導波路31で接続することにより、光伝送を実現してもよい。また、VCSEL14及びフォトダイオード16をそれぞれ別の部品支持基板10上に搭載した状態で、光導波路31のような光伝送媒体を介してそれぞれ別の構造を備える光送信機及び光受信機に接続することにより、光伝送を実現してもよい。
次に、光デバイス41の製造方法を説明する。
まず、従来公知の手法によって光導波路31を作製し、これに対して精密ドリル加工を施すことにより、四隅に位置合わせ穴36を形成しておく。
また、以下の手順によりセラミック基板11を作製する。まず、アルミナ粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤などを均一に混合・混練してなる原料スラリーを作製し、この原料スラリーを用いてドクターブレード装置によるシート成形を行う。その結果、後に第1層めのセラミック層51となる第1グリーンシート56(第1セラミック未焼結体)と、後に第2層め〜第5層めのセラミック層52〜55となる第2グリーンシート57(第2セラミック未焼結体)とが形成される(図4参照)。
続く穴あけ工程では、第1グリーンシート56における所定部分にパンチ加工を施し、充填用孔21の一部をなす大径の第1透孔58(図4参照)と、図示しないビア用孔とを形成する。また、第2グリーンシート57における所定部分にパンチ加工を施し、充填用孔21の一部をなす小径の第2透孔59(図4参照)と、図示しないビア用孔とを形成する。また、この段階ではまだ未焼結状態であるので、穴加工を比較的簡単にかつ低コストで行うことができる。この後、ビア用孔内にビアホール導体用の金属ペースト(例えばタングステンペースト)を充填する。
続く塗布工程では、第1グリーンシート56の表面に配線層用の金属ペースト(例えばタングステンペースト)を印刷(塗布)し、後に配線層61となる印刷層を形成する。また、第2グリーンシート57の表面に導体層用の金属ペースト(例えばタングステンペースト)を印刷(塗布)し、後に導体層となる印刷層を形成する。
続く積層圧着工程では、5枚のグリーンシート56,57を積層して配置し、プレス装置を用いてそれらを圧着、一体化することにより、透孔58,59からなる充填用孔21を有するセラミック積層体60を作製する(図4参照)。具体的に言うと、第1グリーンシート56を各グリーンシート56,57のうち最も第1主面12側に配置し、第2グリーンシート57を第1グリーンシート56よりも第2主面13側に配置した状態で、各グリーンシート56,57を積層圧着する。この時点で、セラミック積層体60を切断して製品領域同士に分割した後、焼成してもよいし、次に述べるように、焼成工程の後に分割してもよい。
次に、周知の手法に従って乾燥工程や脱脂工程などを行った後、さらにアルミナが焼結しうる加熱温度(1650℃〜1950℃)にて焼成工程を行う。その結果、セラミック積層体60が焼結し、セラミック基板11(図5参照)が平面方向に沿って縦横に複数配列された構造の板状パネルが完成する。この時点でセラミックは硬質化しかつ収縮する。そして、板状パネルをブレーク溝に沿って切断することにより、製品領域同士が分割され、複数ピースのセラミック基板11となる。なお、セラミック基板11の個片化は、焼成後であればどのタイミングで行ってもよい。次に、得られたセラミック基板11が有する配線層61に対して無電解金めっき(厚さ10μm程度)を行う。その結果、配線層61の上に金めっき層が形成される。なお、無電解金めっきに代えて電解金めっきを行ってもよい。
そして、焼成工程後に行われるテーピング工程では、充填用孔21の第2主面13側開口を、剥離可能な粘着テープ71(図5参照)でシールする。この粘着テープ71は、支持台(図示略)によって支持されている。かかる粘着テープ71の粘着面には、セラミック基板11が貼り付けられて仮固定されている。
続く樹脂充填工程では、以下のようにして充填用孔21内に樹脂充填部22を形成する。まず、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(JER社製「エピコート807」)80重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(JER社製「エピコート152」)20重量部に対し、硬化剤(四国化成工業社製「2P4MZ−CN」)5重量部、シランカップリング材(信越化学社製「KBM−403」)で処理したシリカフィラー(龍森製「TSS−6」)200重量部、消泡剤(サンノプコ社製「ベレノールS−4」)を混合する。この混合物を3本ロールにて混練することにより、充填用の樹脂材料20を調製しておく。即ち、本実施形態では、熱硬化性樹脂中に無機フィラーを含む未硬化状態の樹脂材料20を用いる。
次に、各充填用孔21内に、ディスペンサ装置72(Asymtek社製)を用いて、未硬化状態の樹脂材料20を充填する(図5参照)。このとき、第1主面12側の端面が、第1主面12よりも第2主面13側に位置するとともに、充填用孔21の第1主面12側開口から突出しないように、樹脂材料20を充填する。このとき、樹脂材料20の第1主面12側の端部は山状になる。そして、120℃,1時間の条件で加熱し、充填された樹脂材料20を半硬化させて、樹脂充填部22とする(図6参照)。この時点で樹脂材料20は硬質化しかつ収縮するため、第1主面12側の端面が少しだけ低くなる。ここで、樹脂充填部22を完全に硬化させないのは、後の嵌合穴形成工程での穴加工をいっそう容易に行うためである。その後、剥離工程を行い、粘着テープ71を剥離する。
続く嵌合穴形成工程では、精密ドリル73を用いた精密穴加工を行って、樹脂充填部22のほぼ中心部に嵌合穴23を形成する(図7参照)。このような加工法によれば、光軸合わせの際の基準となるガイドピン24を、所望とする正しい位置にて支持可能な嵌合穴23とすることができる。ここで、セラミック基板11を表面研磨装置にセットして、第1主面12及び第2主面13を研磨する。この研磨により、充填用孔21の開口部から突出して盛り上がっている余剰の樹脂や、基板表面に付着している樹脂を除去する。この研磨工程を行うと、セラミック基板11の第1主面12及び第2主面13における凹凸が解消されて平坦化される。
次に、セラミック基板11を150℃、5時間の条件で加熱する本硬化処理を行って、樹脂充填部22を完全に硬化させる。さらに、周知の手法により仕上げ加工を行って、嵌合穴23の穴径を0.700mmとなるように微調整する。このときの加工に要求される精度は、具体的には±0.005mmである。そして、仕上げ加工が終了したら、洗浄工程を実施する。この時点で、図3に示す本実施形態の部品支持基板10が完成する。
次に、セラミック基板11の第1主面12上に、図示しない異方導電性材料を介してVCSEL14及びフォトダイオード16を搭載する。その結果、セラミック基板11の第1主面12における配線層61の一部と、VCSEL14及びフォトダイオード16の接続端子とが電気的に接続される。なお、このときの第1主面12は凹凸のない平坦面となっているので、VCSEL14及びフォトダイオード16は第1主面12に対して平行な状態となる。なお、別の搭載方法としては、発光部が接続端子と同じ面に存在するVCSEL14や、受光部が接続端子と同じ面に存在するフォトダイオード16においては、導電性を有しない接着材を介して第1主面12上にVCSEL14及びフォトダイオード16を搭載し、ワイヤボンディングなどの周知技術を用いて電気的な接続を行うことなどが挙げられる。さらに、発光部15が接続端子の反対面に存在する本実施形態のVCSEL14や、受光部17が接続端子の反対面に存在する本実施形態のフォトダイオード16においては、はんだを用いたフリップチップ接続を行うことなども挙げられる。
その後、専用のピン立て治具などを用いて、嵌合穴23にガイドピン24を圧入するようにして嵌合させる。次に、セラミック基板11の有する各ガイドピン24を光導波路31の有する各位置合わせ穴36に対して嵌合させる。その結果、光導波路31及びVCSEL14の光軸合わせと、光導波路31及びフォトダイオード16の光軸合わせとが同時に行われ、光導波路31がセラミック基板11に支持されかつ固定される。以上のようにして、図1,図2に示す本実施形態の光デバイス41が完成する。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の光デバイス41では、樹脂充填部22の第1主面12側の端面が第1主面12よりも第2主面13側に位置しているため、樹脂充填部22の硬化前または加熱硬化時において、樹脂充填部22を形成する樹脂材料20の第1主面12上への流出が防止される。その結果、第1主面12側の端面の高さや表面形状が安定した状態に維持され、第1主面12側の端面に凹み等が発生しにくくなるため、嵌合穴23を正確な位置に形成することができ、嵌合穴23の位置精度が向上する。即ち、嵌合穴23の形成に適した樹脂充填部22の形成が可能となる。また、嵌合穴23の位置精度の向上に伴い、嵌合穴23内に嵌合されるガイドピン24の位置精度も向上するため、各部品同士の位置合わせ精度が高くなる。同時に、樹脂材料20が配線層61に付着し、配線層61を汚してしまう不良を防止することができる。
(2)特開2003−107283号公報に記載の従来技術には、セラミック基板に一次孔20を形成し、樹脂を充填して筒状部12を作製した後、筒状部12に精密穴加工を行う方法が開示されている。しかし、一次孔20の断面構造についての言及はなく、樹脂の第1主面側の端面が第1主面と面一になっているため、樹脂の硬化前において、樹脂を形成する樹脂材料が第1主面上に流出する可能性が高い。一方、本実施形態では、樹脂材料20の第1主面12側の端面の高さや表面形状が安定した状態に維持され、第1主面12側の端面に凹み等が発生しにくくなるため、嵌合穴23を正確な位置に形成することができ、嵌合穴23の位置精度が向上する。
(3)国際公開第03/087852号パンフレットに記載の従来技術には、中央部にて最小径を有する貫通孔が開示されている(図4a,図4b等)。しかし、貫通孔の構造は、樹脂充填部(ホルダ孔形成部材)の脱落防止を目的としており、樹脂充填部の第1主面側の端面が第1主面と面一になっているため、樹脂充填部の硬化前または加熱硬化時において、樹脂充填部を形成する樹脂材料が第1主面上に流出する可能性が高い。一方、本実施形態では、樹脂材料20の第1主面12上への流出防止を目的としており、上記した従来技術とは課題が異なっている。よって、本実施形態では、樹脂材料20の第1主面12側の端面において、高さや表面形状が安定した状態に維持され、第1主面12側の端面に凹み等が発生しにくくなるため、嵌合穴23を正確な位置に形成することができ、嵌合穴23の位置精度が向上する。
[第2実施形態]
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に基づき説明する。ここでは、第1実施形態と相違する部分を中心に説明し、共通する部分については同じ部材番号を付す代わりに説明を省略する。
本実施形態では、充填用孔の形状などが上記第1実施形態とは異なっている。詳述すると、図8に示されるように、セラミック基板111に形成された充填用孔121は、深さ位置にかかわらず一定の内径を有している。また、充填用孔121内に充填された樹脂充填部122は、第1主面112側の端部においても、それ以外の部分においても、一定の外径(本実施形態では1.2mm)を有している。
従って本実施形態によれば、充填用孔121が一定の内径を有しているため、セラミック基板111を構成するセラミック層151,152,153,154,155のそれぞれに充填用孔121を構成する透孔を形成する場合に、それぞれの透孔を同じ工程で形成することが可能となるため、工数が減り、低コスト化を達成しやすくなる。
[第3実施形態]
以下、本発明を具体化した第3実施形態を図面に基づき説明する。ここでは、第1実施形態と相違する部分を中心に説明し、共通する部分については同じ部材番号を付す代わりに説明を省略する。
本実施形態では、樹脂充填部の材料の流出を防止する構造などが上記第1実施形態とは異なっている。詳述すると、図9に示されるように、本実施形態のセラミック基板211は、上記第2実施形態のセラミック基板111と同じ構造を有し、第1主面212上に複数の配線層261と複数のダム層262とが突設されている。なお、本実施形態の配線層261は、上記第1実施形態の配線層61と同じ構造を有しており、タングステンを主材料として形成されている。
一方、ダム層262は、第1主面212上において、上記第2実施形態の充填用孔121と同じ構造を有する充填用孔221を包囲するように配置されている。即ち、セラミック基板211の厚さ方向から見たときのダム層262の外形形状は円環状であり、円形状の開口部を有した形状をなしている。また、本実施形態のダム層262は、アルミナを主材料として形成されている。即ち、ダム層262は、セラミック基板211のセラミック層251,252,253,254,255を構成するセラミック材料と、主成分が同じセラミック材料を含んでいる。ダム層262は、配線層261の厚さ(0.01mm)以上の厚さ(高さ)を有しており、0.02mm以上0.03mm以下(本実施形態では0.02mm)に設定されている。さらに、ダム層262の内径は、充填用孔221の内径(1.2mm)以上、具体的には1.4mmに設定されている。また、ダム層262の幅は、0.050mm以上(具体的には0.1mm〜1.0mm程度)に設定されている。なお、ダム層262は、セラミック基板211内の導体部分(ビアホール導体や導体層)には何ら導通していない。
なお、本実施形態のダム層262を有するセラミック基板211を得たい場合には、さらに下記の工程を実施する。即ち、樹脂充填工程前に、第1主面212上にダム層262を形成するダム層形成工程を行う。詳述すると、塗布工程では、後に第1層めのセラミック層251となるグリーンシートの表面(第1主面212)上に、金属ペースト(例えばタングステンペースト)を印刷(塗布)し、後に配線層261となる印刷層を形成する。それとともに、第1主面212上において充填用孔221を包囲する位置に、セラミックペースト(例えばアルミナペースト)を塗布し、後にダム層262となる印刷層を形成する。なお、本実施形態のアルミナペーストは、グリーンシートの形成材料である原料スラリーを用いて形成したものであり、原料スラリーとは有機バインダ及び溶媒の配合量が異なっている。続く焼成工程では、5枚のグリーンシートを積層してなるセラミック積層体が焼結してセラミック基板211となると同時に、セラミックペーストが焼結してダム層262となる(ダム層焼成工程)。その結果、第1主面212上にダム層262が形成され、セラミック基板211が平面方向に沿って縦横に複数配列された構造の板状パネルが完成する。そして、板状パネルをブレーク溝に沿って切断することにより、製品領域同士が分割され、複数ピースのセラミック基板211となる。
従って本実施形態によれば、充填用孔221内に形成される樹脂充填部222の硬化前または加熱硬化時において、樹脂充填部222の材料の一部が第1主面212上に流出したとしても、樹脂充填部222の材料の流動が、充填用孔221を包囲する環状のダム層262に接触することで停止する。即ち、ダム層262は、樹脂充填部222の材料を堰き止めるためのいわゆる「堤防」となる。その結果、第1主面212側の端面の高さや表面形状が安定した状態に維持され、第1主面212側の端面に凹み等が発生しにくくなるため、上記第1実施形態の嵌合穴23と同じ構造を有する嵌合穴を正確な位置に形成することができ、嵌合穴の位置精度が向上する。即ち、嵌合穴の形成に適した樹脂充填部222の形成が可能となる。また、嵌合穴の位置精度の向上に伴い、嵌合穴内に嵌合されるガイドピン24(図1,図2参照)の位置精度も向上するため、各部品同士の位置合わせ精度が高くなる。さらに、ダム層262が充填用孔221を包囲しているため、充填用孔221から流出した樹脂充填部222の材料がダム層262の外側領域にはみ出すことが防止される。よって、樹脂充填部222の材料が配線層261に付着することに起因する汚れを防止することができる。
[第4実施形態]
以下、本発明を具体化した第4実施形態を図面に基づき説明する。ここでは、第1実施形態と相違する部分を中心に説明し、共通する部分については同じ部材番号を付す代わりに説明を省略する。
本実施形態では、部品支持基板の製造方法が上記第1実施形態とは異なっている。詳述すると、まず、焼成工程を行い、深さ位置にかかわらず一定の内径を有する充填用孔321が形成され、セラミック基板311(図10参照)が平面方向に沿って縦横に複数配列された構造の板状パネルが完成する。そして、板状パネルをブレーク溝に沿って切断することにより、製品領域同士が分割され、複数ピースのセラミック基板311となる。
次に、焼成工程後にレジスト層形成工程を行い、第1主面312及び配線層361の表面を覆うレジスト層362(図10参照)を形成する。なお、レジスト層362は、従来周知のスクリーン印刷やラミネートでレジストフィルムを被覆し、露光及び現像でパターニングするといった方法によって形成される。また、レジスト層362は、配線層361を覆うことができる程度の厚さを有しており、0.003mm以上0.1mm以下(本実施形態では0.02mm)に設定されている。
その後、テーピング工程では、充填用孔321の第2主面313側開口を粘着テープ371(図11参照)でシールする。さらに、続く樹脂充填工程では、充填用孔321内に樹脂充填部322を形成する。詳述すると、充填用孔321内に未硬化状態の樹脂材料を充填する。このとき、第1主面312側の端面が、充填用孔321の第1主面312側開口から突出するものの、レジスト層362の最上面363からは突出しないように、樹脂材料を充填する。そして、充填された樹脂材料を半硬化させて、樹脂充填部322とする(図11参照)。
その後、樹脂充填工程後に剥離工程を行い、粘着テープ371を剥離する。それとともに、除去工程を行ってレジスト層362を除去する。なお、レジスト層362は、薬液による洗浄などの従来周知の方法によって除去される。そして、嵌合穴形成工程において樹脂充填部322に嵌合穴を形成し、洗浄工程を実施するなどすれば、本実施形態の部品支持基板が完成する。
従って本実施形態によれば、充填用孔321内に充填した樹脂材料の一部が第1主面312上に流出したとしても、樹脂材料の流動がレジスト層362に接触することで停止する。その結果、第1主面312側の端面の高さや表面形状が安定した状態に維持され、第1主面312側の端面に凹み等が発生しにくくなるため、嵌合穴を正確な位置に形成することができ、嵌合穴の位置精度が向上する。即ち、嵌合穴の形成に適した樹脂充填部322の形成が可能となる。また、嵌合穴の位置精度の向上に伴い、嵌合穴内に嵌合されるガイドピン24(図1,図2参照)の位置精度も向上するため、各部品同士の位置合わせ精度が高くなる。さらに、配線層361は、樹脂充填工程が行われる前の時点でレジスト層362によって覆われているため、第1主面312上に流れ出した樹脂材料は、配線層361に付着せずにレジスト層362に付着する。よって、樹脂材料が配線層361に付着することに起因する汚れを防止することができる。
[第5実施形態]
以下、本発明を具体化した第5実施形態を図面に基づき説明する。図12に示されるように、本実施形態の光デバイス400は、上記第2実施形態の充填用孔121及び樹脂充填部122と同様の構成を有するものである。詳述すると、光デバイス400は、セラミック基板401(基板)、マイクロレンズアレイ411(他部品)、光ファイバコネクタ421(他部品)、ガイドピン434(部品支持体)等によって構成されている。
セラミック基板401の第1主面402には、複数の配線層442が設けられている。一方、セラミック基板401の第2主面403には、複数のはんだバンプ445が設けられている。また、セラミック基板401の第1主面402には、VCSEL404が発光面を上方に向けた状態で搭載されている。このVCSEL404は、一列に並べられた複数(ここでは4つ)の発光部405を発光面内に有している。VCSEL404の有する複数の端子は、配線層442上にそれぞれ接合されている。また、セラミック基板401の第1主面402においてVCSEL404の近傍には、VCSEL404を駆動するための動作回路用IC444(いわゆるドライバIC)が配置されている。動作回路用IC444の有する複数の端子は、配線層442上にそれぞれ接合されている。従って、VCSEL404と動作回路用IC444とが、配線層442を介して電気的に接続される。
図12に示されるように、セラミック基板401における複数の箇所(ここでは2箇所)には、第1主面402及び第2主面403の両方にて開口する充填用孔431が設けられている。これらの充填用孔431内には樹脂充填部432が充填されている。樹脂充填部432の第1主面402側の端面は、第1主面402よりも第2主面403側に位置している。即ち、本実施形態の充填用孔431及び樹脂充填部432は、上記第2実施形態の充填用孔121及び樹脂充填部122と同様の構成を有している。そして、樹脂充填部432のほぼ中心部には嵌合穴433が設けられている。さらに、2つある嵌合穴433の内部には、ステンレス鋼からなる断面円形状のガイドピン434の一端が嵌着されている。
また、セラミック基板401の第1主面402側に配置されるマイクロレンズアレイ411は、底面側に収容凹部を有する蓋状のマイクロレンズアレイ本体415を備えている。マイクロレンズアレイ本体415は樹脂成形品であって、VCSEL404の上方の位置にはマイクロレンズ取付穴414が形成されている。マイクロレンズ取付穴414には、透光性樹脂材料からなる凸状のマイクロレンズ412が取り付けられている。マイクロレンズアレイ本体415における別の箇所には、位置合わせ穴413が表裏を貫通するようにして形成されている。そして、このような位置合わせ穴413には、ガイドピン434が挿通された状態で嵌合するようになっている。なお、マイクロレンズ412及びマイクロレンズアレイ本体415は、上記のように別体として構成されていてもよいが、一体として構成されていてもよい。
図12に示されるように、マイクロレンズアレイ411の上側に配置される光ファイバコネクタ421は、光ファイバ422の先端に取り付けられている。光ファイバコネクタ421の左端側下部には、約45°の傾斜面を有する切欠部425が設けられている。切欠部425の傾斜面には、光を反射する金属の薄膜からなる光路変換ミラー424が形成されている。光結合効率の向上や光クロストークの低減のためには、必要に応じて、光路変換ミラー424に凹面または凸面の曲面を施してもよい。さらに、別のマイクロレンズアレイ(図示せず)を備えていてもよい。なお、マイクロレンズアレイ411及び光ファイバコネクタ421は、上記のように別体として構成されていてもよいが、一体として構成されていてもよい。また、この光ファイバコネクタ421における所定箇所には、複数の位置合わせ穴423が表裏を貫通するようにして形成されている。そして、このような位置合わせ穴423には、ガイドピン434が挿通された状態で嵌合するようになっている。
従って、本実施形態によれば、嵌合穴433に嵌着されたガイドピン434と位置合わせ穴413,423との嵌合関係をもって、光軸合わせを達成しつつ、セラミック基板401とマイクロレンズアレイ411と光ファイバコネクタ421とを相互に固定した構成となっている。よって、リフロー時のセルフアライメント作用のみに頼る従来の消極的な光軸合わせに比べて、より積極的にかつ高い精度で光軸が合った状態となる。ゆえに、光の伝送ロスが小さく、高速度化及び高密度化等に十分に対応しうる光デバイス400を実現することができる。また、樹脂基板に比較して熱伝導性の高いセラミック基板401を用いているため、VCSEL404及び動作回路用IC444の発する熱が効率良く放散される。よって、放熱性の悪化に起因する発光波長のズレも回避され、動作安定性及び信頼性に優れた光デバイス400を実現することができる。
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
・上記第3実施形態では、セラミック基板211の厚さ方向から見たときのダム層262の外形形状は円環状であった。しかし、ダム層262の外形形状は、三角環状、矩形環状、六角環状などの他の形状であってもよい。
・上記第3実施形態では、ダム層262が、配線層261の厚さ(高さ)以上の厚さ(高さ)を有していたが、配線層261と同じ厚さを有していてもよいし、配線層261よりも薄くてもよい。
・上記第4実施形態では、焼成工程時に、セラミック基板311の焼成との同時焼成によって配線層361を形成していた。しかし、例えばセラミック基板311全体が薄い場合(例えば0.5mmである場合)には、焼成工程後かつ樹脂充填工程前に、配線層361を形成する配線層形成工程を行うことが好ましい。このようにすれば、配線層361の形成に伴うセラミック基板311の変形を防止できるため、より信頼性に優れた部品支持基板とすることが可能である。
・上記各実施形態において、セラミック基板11,111,211,311,401の側面にて開口するとともに、充填用孔21,121,221,321,431の内端部に連通する抜き穴を設けてもよい。このようにすれば、充填用孔21,121,221,321,431に樹脂材料を充填する際に、充填用孔21,121,221,321,431内の空気は抜き穴を介してセラミック基板11,111,211,311,401の外部に放出される。ゆえに、空気の混入に起因したボイド(気泡)の発生を抑えることで樹脂材料の強度低下が防止されるため、嵌合穴にガイドピン24,434(図1,図2,図12参照)を挿入した際に、樹脂材料によってガイドピン24,434を確実に固定することができる。
・上記各実施形態では、嵌合穴を形成するにあたり、樹脂材料の充填→樹脂材料の半硬化(120℃)→精密穴加工→樹脂材料の本硬化(150℃)というプロセスを採用したが、これとは別のプロセスを採用しても勿論よい。例えば、樹脂材料の充填→樹脂材料の半硬化(120℃)→樹脂材料の本硬化(150℃)→精密穴加工というプロセスであってもよい。
・上記各実施形態では、焼成工程後にテーピング工程を行っていたが、テーピング工程は省略されていてもよい。即ち、セラミック基板11,111,211,311,401を支持台によって直接支持させたとしても、充填用孔21,121,221,321,431の第2主面側開口が支持台によってシールされるため、充填用孔21,121,221,321,431内への樹脂材料の充填が可能である。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)上記手段1または2において、前記充填用孔及び前記嵌合穴は、ともに前記第1主面及び前記第2主面にて開口する貫通穴であることを特徴とする部品支持基板。
(2)上記手段1または2において、前記嵌合穴は精密加工穴であり、前記部品支持体は、光伝送機能、集光機能及び光反射機能のうちの少なくとも1つを有する光部品の位置合わせ凹部に対して嵌合することにより、前記光部品を支持可能なガイドピンであることを特徴とする部品支持基板。
(3)上記手段5において、前記焼成工程後かつ前記樹脂充填工程前に、前記第1主面上に前記配線層を形成する配線層形成工程を行うことを特徴とする部品支持基板の製造方法。
10…部品支持基板
11,111,211,311,401…基板としてのセラミック基板
12,112,212,312,402…第1主面
13,313,403…第2主面
20…樹脂材料
21,121,221,321,431…充填用孔
22,222,322…樹脂充填部
23…嵌合穴
24,434…部品支持体としてのガイドピン
31…他部品としての光導波路
51,52,53,54,55,251,252,253,254,255…セラミック層
56…セラミック未焼結体及び第1セラミック未焼結体としての第1グリーンシート
57…セラミック未焼結体及び第2セラミック未焼結体としての第2グリーンシート
58…透孔としての第1透孔
59…透孔としての第2透孔
60…セラミック積層体
71,371…粘着テープ
261,361…配線層
262…ダム層
362…レジスト層
411…他部品としてのマイクロレンズアレイ
421…他部品としての光ファイバコネクタ

Claims (6)

  1. 第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第1主面にて開口する充填用孔を有する基板と、
    前記充填用孔内に配置され、前記基板よりも硬度が低い材料によって形成され、前記第1主面側にて開口する嵌合穴を有する樹脂充填部と、
    前記嵌合穴に嵌合されることで固定され、前記嵌合穴から突出した箇所に他部品を支持可能な部品支持体と
    を備え、
    前記充填用孔は、第1透孔と、前記第1透孔よりも小径の第2透孔とからなり、
    前記第1主面に配線層が形成され、
    前記第1透孔は、前記配線層を避けて配置されるとともに前記第1主面にて開口し、
    前記第2透孔は、前記第1透孔よりも前記第2主面側に配置されるとともに前記第1透孔内にて開口し、
    前記嵌合穴が前記第1透孔内にて開口することにより、前記樹脂充填部の前記第1主面側の端面が、前記第1透孔内に位置し、かつ、前記第1主面よりも前記第2主面側であって、前記第1主面と、前記第2透孔の前記第1透孔内における開口端面との間に位置している
    ことを特徴とする部品支持基板。
  2. 前記基板は、複数のセラミック層からなるセラミック多層基板であり、
    前記充填用孔は、前記複数のセラミック層の積層方向と同一方向に延びており、前記複数のセラミック層のうち最も前記第1主面側にあるセラミック層における径が、他のセラミック層における径よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1に記載の部品支持基板。
  3. 前記基板は、前記他のセラミック層を複数有し、前記充填用孔は、前記他のセラミック層における径が互いに等しいことを特徴とする請求項2に記載の部品支持基板。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部品支持基板の製造方法において、
    複数枚のセラミック未焼結体に透孔を形成する穴あけ工程と、
    前記複数枚のセラミック未焼結体を積層圧着することにより、複数の前記透孔からなる前記充填用孔を有するセラミック積層体を作製する積層圧着工程と、
    前記セラミック積層体を焼結させて前記基板とする焼成工程と、
    前記充填用孔内に樹脂材料を充填して前記樹脂充填部を形成する樹脂充填工程と
    を含み、
    前記樹脂充填工程では、前記第1主面側の端面が前記第1主面よりも前記第2主面側に位置するように、前記樹脂材料を充填する
    ことを特徴とする部品支持基板の製造方法。
  5. 前記穴あけ工程では、前記複数枚のセラミック未焼結体の少なくとも1つに、他のセラミック未焼結体よりも径が大きい透孔を形成し、
    前記積層圧着工程では、大径の透孔が形成された第1セラミック未焼結体を、前記複数枚のセラミック未焼結体のうち最も前記第1主面側に配置し、小径の透孔が形成された第2セラミック未焼結体を前記第1セラミック未焼結体よりも前記第2主面側に配置した状態で、前記複数枚のセラミック未焼結体を積層圧着する
    ことを特徴とする請求項に記載の部品支持基板の製造方法。
  6. 前記焼成工程後かつ前記樹脂充填工程前に、前記充填用孔の第2主面側開口を剥離可能な粘着テープでシールするテーピング工程を行い、
    前記樹脂充填工程後に、前記粘着テープを剥離する剥離工程を行う
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の部品支持基板の製造方法。
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