JP2023013946A - 異方導電性コネクタ、フレーム付き異方導電性コネクタ及びコネクタ実装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】膨張や収縮が繰り返し生じても電極等の傷付きや、抵抗値の上昇を抑制できる異方導電性コネクタを提供することを目的とする。【解決手段】複数列の導電帯部12を含むシート状の導電部10を備えた異方導電性コネクタ1において、導電帯部12が、絶縁性を有する弾性材料からなる帯状の絶縁部16と、絶縁部16の厚さ方向の第1面16aから第2面まで貫通し、かつ絶縁部16の長さ方向に一定のピッチで配列された複数の銀線18と、を備えている。【選択図】図1
Description
本発明は、異方導電性コネクタ、フレーム付き異方導電性コネクタ及びコネクタ実装体に関する。
電子デバイス部品、モジュール部品等の基板間の接続には、微細な電極同士を接続するシート状の異方導電性コネクタが広く用いられている。例えば、シリコーンゴム等のエラストマーを含有する絶縁シートに、銅合金線、真鍮線等の複数の導電線が絶縁シートの厚さ方向に貫通するように設けられた異方導電性コネクタが知られている(特許文献1)。
2つの基板間に異方導電性コネクタを配置して挟持し、導電線の両端を2つの基板のそれぞれの電極と接触させることで、それら電極同士が電気的に接続される。一般に異方導電性コネクタは弾性を有し、厚さ方向の両側から基板が圧接され、異方導電性コネクタが厚さ方向に圧縮された状態で基板間の電極同士が接続される。
しかし、特許文献1のような従来の異方導電性コネクタは、温度、湿度等の環境条件の変化によって膨張や収縮が繰り返し起こる。そのため、導電線の端部と電極との接触によって電極が傷付いたり、導電線と電極の接触部分で摺動摩耗が生じ、酸化異物が堆積して経時的に抵抗値が上昇したりすることがある。特に寒暖差のある地域では膨張や収縮の程度が大きいため、電極の傷付きや抵抗値の上昇が生じやすい。
本発明は、膨張や収縮が繰り返し生じても電極等の傷付きや、抵抗値の上昇を抑制できる異方導電性コネクタ、フレーム付き異方導電性コネクタ及びコネクタ実装体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]絶縁性を有する弾性材料からなる帯状の絶縁部と、前記絶縁部の厚さ方向の第1面から第2面まで貫通し、かつ前記絶縁部の長さ方向に一定のピッチで配列された複数の銀線と、を備える、異方導電性コネクタ。
[2]JIS Z 2241に従って測定される前記銀線の引張強度が200N/mm2以上380N/mm2以下である、[1]に記載の異方導電性コネクタ。
[3]前記銀線の側面に金めっき膜が形成されている、[1]に記載の異方導電性コネクタ。
[4]前記絶縁部の圧縮永久歪が20%以下である、[1]に記載の異方導電性コネクタ。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の異方導電性コネクタの周囲の少なくとも一部に、位置決め用のフレームが結合されている、フレーム付き異方導電性コネクタ。
[6]第1回路基板と、[1]~[4]のいずれかに記載の異方導電性コネクタと、前記異方導電性コネクタの外周部分の少なくとも一部を前記第1回路基板上に固定するためのホルダーと、第2回路基板と、を備え、
前記異方導電性コネクタの前記第1回路基板とは反対側における、前記ホルダーが接していない領域に前記第2回路基板が圧接されている、コネクタ実装体。
[7]第1回路基板と、前記第1回路基板に取り付けられた[5]に記載のフレーム付き異方導電性コネクタと、前記フレーム付き異方導電性コネクタの前記第1回路基板とは反対側に圧接された第2回路基板と、を備えるコネクタ実装体。
[1]絶縁性を有する弾性材料からなる帯状の絶縁部と、前記絶縁部の厚さ方向の第1面から第2面まで貫通し、かつ前記絶縁部の長さ方向に一定のピッチで配列された複数の銀線と、を備える、異方導電性コネクタ。
[2]JIS Z 2241に従って測定される前記銀線の引張強度が200N/mm2以上380N/mm2以下である、[1]に記載の異方導電性コネクタ。
[3]前記銀線の側面に金めっき膜が形成されている、[1]に記載の異方導電性コネクタ。
[4]前記絶縁部の圧縮永久歪が20%以下である、[1]に記載の異方導電性コネクタ。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の異方導電性コネクタの周囲の少なくとも一部に、位置決め用のフレームが結合されている、フレーム付き異方導電性コネクタ。
[6]第1回路基板と、[1]~[4]のいずれかに記載の異方導電性コネクタと、前記異方導電性コネクタの外周部分の少なくとも一部を前記第1回路基板上に固定するためのホルダーと、第2回路基板と、を備え、
前記異方導電性コネクタの前記第1回路基板とは反対側における、前記ホルダーが接していない領域に前記第2回路基板が圧接されている、コネクタ実装体。
[7]第1回路基板と、前記第1回路基板に取り付けられた[5]に記載のフレーム付き異方導電性コネクタと、前記フレーム付き異方導電性コネクタの前記第1回路基板とは反対側に圧接された第2回路基板と、を備えるコネクタ実装体。
本発明によれば、膨張や収縮が繰り返し生じても電極等の傷付きや、抵抗値の上昇を抑制できる異方導電性コネクタ、フレーム付き異方導電性コネクタ及びコネクタ実装体を提供できる。
以下、本発明の実施形態の一例について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[異方導電性コネクタ]
図1及び図2に示すように、実施形態の一例の異方導電性コネクタ1は、複数列の導電帯部12を含むシート状の導電部10を備えている。導電部10では、複数列の導電帯部12が平行に並んでおり、隣り合う互いの導電帯部12が接着部14を介して接着されている。ここで、複数列の導電帯部12が平行に延びている方向を長さ方向、複数列の導電帯部12の接着部14を介した積層方向を幅方向、長さ方向と幅方向の両方に垂直な方向を厚さ方向とする。
図1及び図2に示すように、実施形態の一例の異方導電性コネクタ1は、複数列の導電帯部12を含むシート状の導電部10を備えている。導電部10では、複数列の導電帯部12が平行に並んでおり、隣り合う互いの導電帯部12が接着部14を介して接着されている。ここで、複数列の導電帯部12が平行に延びている方向を長さ方向、複数列の導電帯部12の接着部14を介した積層方向を幅方向、長さ方向と幅方向の両方に垂直な方向を厚さ方向とする。
導電帯部12は、絶縁性を有する弾性材料からなる帯状の絶縁部16と、絶縁部16の厚さ方向の第1面16aから第2面16bまで貫通し、かつ絶縁部16の長さ方向に一定のピッチで配列された複数の銀線18と、を備えている。銀線18は絶縁部16の厚さ方向に平行で設けられていてもよく、厚さ方向に対して傾斜して設けられていてもよい。
絶縁部16の厚さは、用途に応じて適宜設定すればよく、例えば、0.07mm以上2.0mm以下とすることができる。絶縁部16の厚さは、測定顕微鏡などの拡大観察手段によって、絶縁部16の厚さ方向の断面から任意に選択した10箇所の厚さを測定した値の平均値として求められる。
帯状の絶縁部16の長さ及び幅は、特に限定されず、適宜設定することができる。絶縁部16の長さは、例えば、2mm以上50mm以下とすることができる。絶縁部16の幅は、例えば、0.03mm以上0.25mm以下とすることができる。絶縁部16の長さ及び幅は、いずれも任意に選択した10箇所で測定した値の平均値として求められる。
絶縁部16を構成する材料は、絶縁性を有する弾性材料であり、例えば、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等のエラストマーを例示できる。これらの中でも、圧縮永久歪が小さい点から、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムは、縮合型シリコーンゴムであってもよく、付加型シリコーンゴムであってもよい。絶縁部16を構成する弾性材料には、シランカップリング剤、接着助剤、抗酸化剤、染料、顔料、充填剤、レベリング剤等の添加剤が含まれていてもよい。
絶縁部16の圧縮永久歪は、22%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、18%以下がさらに好ましい。絶縁部16の圧縮永久歪が前記上限値以下であれば、温度、湿度等の環境条件の変化による膨張や収縮が繰り返し起こっても、それに容易に追従できるため、より安定した接続が確保できる。また、使用時の異方導電性コネクタ1の厚さ方向の圧縮量を広範囲に設定できる。なお、絶縁部16の圧縮永久歪は、JIS K 6262によって測定される。
導電帯部12では、複数の銀線18が帯状の絶縁部16の長さ方向に一定のピッチで配列されている。銀線18のピッチ、すなわち絶縁部16の第1面16a側から見た銀線18の中心間距離は、特に制限されず、例えばインピーダンスのシミュレーション結果に応じて任意に設定することができる。例えば銀線18のピッチは5μm以上100μm以下とすることができる。銀線18のピッチは、任意に選択した10組の隣り合う銀線18の中心間距離を測定した値の平均値として求められる。
銀線18は、銅合金線、真鍮線等の従来の導電線に比べて柔軟である。本実施形態では、導電線として柔軟な銀線18を用いることで、温度、湿度等の環境条件の変化によって異方導電性コネクタ1に膨張や収縮が繰り返し起こっても電極を傷付けにくい。また、銀線18と電極の接触部分の摺動摩耗による酸化異物の堆積も低減できるため、経時的に抵抗値が上昇することも抑制できる。また、異方導電性コネクタ1が圧縮された際に銀線18が座屈しにくく絶縁部16の変形に追従しやすいため、電極と接触する銀線18の先端面が絶縁部16に潜り込みにくくなることから、電極間の電気的な接続がより安定になる。さらに銀線18は導電線の中でも低抵抗率であるため、他の導電線に比べて低抵抗値での接続が可能となる。
銀線18の引張強度は、200N/mm2以上380N/mm2以下が好ましく、220N/mm2以上360N/mm2以下がより好ましい。銀線18の引張強度が前記範囲の下限値以上であれば、周辺の絶縁部16の変形に追従しやすくなる。銀線18の引張強度が前記範囲の上限値以下であれば、座屈し難く絶縁部16に潜りにくくなり接続が安定する。なお、銀線18の引張強度は、例えばJIS Z 2241に準拠した引張試験機、具体的にはロードセルとしてUR-10N-Dを用いたテンシロン万能材料試験機RTI-1225(株式会社エー・アンド・デイ製)などを用い、試料長さ(上下チャック間の距離)を100mm、引張速度を20mm/minとして引張試験を行い、試料に加えた試験力の最大値を該試料の断面で除した値として求められる。
銀線18は側面に被覆層が形成されていてもよい。被覆層の材料としては、例えば、金、ニッケル、銅等を例示できる。被覆層は1層でもよく、2層以上でもよい。真鍮線及びベリリウム銅線などの銅合金線と異なり単体での酸化膜形成が無く素材としては安定している事から、本実施例としては銀線外周の絶縁部16及び後述の第1絶縁層110との機械的特性、接着性を保持するため金めっき1層としている。
銀線18の長さ方向に対して直交する方向の断面の形状は、特に制限されず、例えば、略円形、略楕円形、略四角形を例示できる。
銀線18の直径は、例えば、5μm以上50μm以下とすることができる。銀線18の直径は、銀線18の長さ方向に直交する断面を含む最小円の直径である。銀線18が側面に被覆層を有する場合、銀線18の直径には被覆層も含む。
異方導電性コネクタ1が備える複数の銀線18の断面形状及び直径は、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。
銀線18の直径は、例えば、5μm以上50μm以下とすることができる。銀線18の直径は、銀線18の長さ方向に直交する断面を含む最小円の直径である。銀線18が側面に被覆層を有する場合、銀線18の直径には被覆層も含む。
異方導電性コネクタ1が備える複数の銀線18の断面形状及び直径は、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。
銀線18における絶縁部16の第1面16a側の端部は、絶縁部16の第1面16aから突出していてもよい。同様に、銀線18における絶縁部16の第2面16b側の端部は、絶縁部16の第2面16bから突出していてもよい。銀線18における絶縁部16の第1面16a又は第2面16bから突出している部分の長さは、例えば1μm~60μmとすることができる。
接着部14を形成する接着剤としては、特に限定されず、例えば、公知の硬化型接着剤を例示できる。接着部14を形成する接着剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
接着部14の長さ及び厚さは、隣り合う導電帯部12同士を十分に接着できる範囲で設定すればよく、例えば絶縁部の長さ及び厚さと同じにすることができる。接着部14の幅は、特に限定されず、例えば、0.01mm以上0.05mm以下とすることができる。接着部14の厚さ、長さ及び幅は、いずれも任意に選択した10箇所で測定した値の平均値として求められる。
接着部14の長さ及び厚さは、隣り合う導電帯部12同士を十分に接着できる範囲で設定すればよく、例えば絶縁部の長さ及び厚さと同じにすることができる。接着部14の幅は、特に限定されず、例えば、0.01mm以上0.05mm以下とすることができる。接着部14の厚さ、長さ及び幅は、いずれも任意に選択した10箇所で測定した値の平均値として求められる。
異方導電性コネクタ1の平面視の形状は、この例では矩形であるが、矩形に限定されず、円形、楕円形、矩形、多角形等であってもよい。異方導電性コネクタ1の寸法は、用途に応じて適宜設定すればよく、例えば縦5mm以上50mm以下、横5mm以上100mm以下の矩形とすることができる。
異方導電性コネクタ1を厚さ方向から見たときの銀線18の配置パターンは、特に限定されず、例えば、各々の帯状の絶縁部16の長さ方向に並んで配置されている複数の銀線18が、それぞれ絶縁部16の幅方向においても直線的に並んでいる2次元アレイ状の配置を例示できる。この場合、絶縁部16の幅方向に並ぶ銀線18のピッチは、例えば帯状の絶縁部16の長さ方向に並ぶ銀線18のピッチと同じにすることができる。また、銀線18の配置パターンは、千鳥状等であってもよい。
異方導電性コネクタ1を厚さ方向から見たときの導電部10における銀線18の配線密度は、用途に応じて適宜設定でき、例えば、10本/mm2以上1,100本/mm2以下とすることができる。銀線18の配線密度は、絶縁部16の長さ方向における銀線18のピッチ、絶縁部16の幅、接着部14の幅等を調節することによって調節できる。
異方導電性コネクタ1の用途は特に限定されない。異方導電性コネクタ1は、例えば、電子デバイス部品、モジュール部品等の基板間の電極同士を電気的に接続する等のいわゆる実装用途に好適に用いることができ、高速通信機器の基板間の接続に特に有用である。なお、異方導電性コネクタ1は電子デバイス部品等の機能や特性の試験を行う検査用途に用いてもよい。
[異方導電性コネクタの製造方法]
以下、異方導電性コネクタ1の製造方法について説明する。異方導電性コネクタ1の製造方法は、特に限定されず、導電線として銀線を用いる以外は公知の方法を採用することができる。本実施態様の異方導電性コネクタ1の製造方法は、例えば、後述するコアシート形成工程と、積層工程と、切断工程と、を含む。
以下、異方導電性コネクタ1の製造方法について説明する。異方導電性コネクタ1の製造方法は、特に限定されず、導電線として銀線を用いる以外は公知の方法を採用することができる。本実施態様の異方導電性コネクタ1の製造方法は、例えば、後述するコアシート形成工程と、積層工程と、切断工程と、を含む。
(コアシート形成工程)
図3に示すように、絶縁部16を形成するための絶縁性を有する弾性材料によって第1絶縁層110を基材100の表面に形成し、第1絶縁層110の上面110aに複数の銀線18を一定の間隔をあけて平行に配置する。基材100は、その表面に第1絶縁層110を形成可能なものであれば特に制限されず、例えば樹脂シート、金属板、ガラス板等の平面を有する部材を例示できる。
図3に示すように、絶縁部16を形成するための絶縁性を有する弾性材料によって第1絶縁層110を基材100の表面に形成し、第1絶縁層110の上面110aに複数の銀線18を一定の間隔をあけて平行に配置する。基材100は、その表面に第1絶縁層110を形成可能なものであれば特に制限されず、例えば樹脂シート、金属板、ガラス板等の平面を有する部材を例示できる。
図4に示すように、絶縁部16を形成するための絶縁性を有する弾性材料によって、銀線18を覆うように第1絶縁層110の表面に第2絶縁層112を形成し、コアシート114を得る。
(積層工程)
同様にして複数枚のコアシート114を作成し、不要な基材100を取り除いて、図5に示すように、接着層116を介して複数枚のコアシート114を積層したシート積層体118を得る。接着層116に用いる接着剤は、接着部14を形成する接着剤である。シート積層体118においては、各々のコアシート114が有する銀線18の長さ方向を揃える。
同様にして複数枚のコアシート114を作成し、不要な基材100を取り除いて、図5に示すように、接着層116を介して複数枚のコアシート114を積層したシート積層体118を得る。接着層116に用いる接着剤は、接着部14を形成する接着剤である。シート積層体118においては、各々のコアシート114が有する銀線18の長さ方向を揃える。
(切断工程)
シート積層体118の上面118a側から刃を入れて、銀線18の長さ方向に垂直な面で切断し、所望の厚さのシート状の異方導電性コネクタ1を得る。
シート積層体118の上面118a側から刃を入れて、銀線18の長さ方向に垂直な面で切断し、所望の厚さのシート状の異方導電性コネクタ1を得る。
以上説明したように、異方導電性コネクタ1においては、導電線として柔軟な銀線18が用いられている。そのため、温度、湿度等の環境条件の変化によって膨張や収縮が繰り返し起こっても、銀線と接触する電極に摩耗痕が生じることを抑制でき、また摩耗による酸化異物の発生を低減して抵抗値の上昇を抑制することができる。
なお、本発明の異方導電性コネクタは、前記した異方導電性コネクタ1には限定されない。例えば、本発明の異方導電性コネクタは、銀線が設けられていない絶縁部をさらに含む導電部を備えるものであってもよい。具体的には、例えば図6に例示した異方導電性コネクタ2であってもよい。図6における図1と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
異方導電性コネクタ2は、帯状の絶縁部16と帯状の絶縁部20とが幅方向に交互に平行して並んで配置され、それらが接着部14を介して接着された導電部10Aを備えている。このように、導電部は、絶縁部に複数の銀線が設けられた導電帯部と、銀線が設けられていない絶縁部とを含むものであってもよい。
絶縁部20の厚さ及び長さは、用途に応じて適宜設定すればよく、例えば絶縁部16の厚さ及び長さと同じにすることができる。絶縁部20の幅は、銀線18の配線密度等に応じて適宜設定すればよく、例えば、0.1mm以上0.5mm以下とすることができる。絶縁部20を構成する材料は、絶縁部16を構成する材料と同じ絶縁性を有する弾性材料を例示でき、好ましい態様も同じである。
絶縁部20の圧縮永久歪は、絶縁部16の圧縮永久歪と同じ理由から、22%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、18%以下がさらに好ましい。
絶縁部20の圧縮永久歪は、絶縁部16の圧縮永久歪と同じ理由から、22%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、18%以下がさらに好ましい。
本発明の異方導電性コネクタは、例えば図7に例示した異方導電性コネクタ3であってもよい。図7における図1及び図6と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。異方導電性コネクタ3は、導電部10Aに加えて、導電部10Aにおける絶縁部16の幅方向の隣りに接着部14を介して接着された貼付け部22をさらに備えている以外は、異方導電性コネクタ2と同様の態様である。
貼付け部22は、平面視矩形状の絶縁部24と、絶縁部24の厚さ方向の第1面24a側に設けられた接着層26と、を備えている。異方導電性コネクタ3は、貼付け部22を備えていることで、電子デバイス部品、モジュール部品等の基板の電極が設けられた側に接着層26を介して直に貼り付けることができる。また、基板に異方導電性コネクタ3を貼り付けてそれらを一体に扱うことができるため、実装機等を用いた自動実装にも容易に適用できる。
近年は電子機器の省スペース化に伴って電子デバイス部品やモジュール部品がコンパクト化されており、また実装強度を高める目的でダミー電極(ホールドダウン)が用いられることから電極の数も多いため、電極同士の位置決めが難しい。さらに、多電極を要する電子デバイス部品、モジュール部品等では、実装後の機能確認時に不良があるとリペア作業が非常に大変である。しかし、接着層26を介して貼り付ける異方導電性コネクタ3であれば、はんだ実装に比べて位置決めが容易であり、またリペア作業での交換も容易である。
絶縁部24の形状及び寸法は、適宜設定すればよく、例えば、縦2mm以上50mm以下、横5mm以上100mm以下の矩形とすることができる。
絶縁部24を構成する材料は、絶縁部16を構成する材料と同じ絶縁性を有する弾性材料を例示でき、好ましい態様も同じである。
絶縁部24を構成する材料は、絶縁部16を構成する材料と同じ絶縁性を有する弾性材料を例示でき、好ましい態様も同じである。
接着層26を形成する接着剤としては、特に限定されず、例えば、公知の硬化型接着剤を例示できる。接着層26を形成する接着剤は、1種でもよく、2種以上でもよい。
接着層26の厚さは、異方導電性コネクタ3を安定して基板に貼る付けることができる範囲で設定すればよく、例えば0.01mm以上0.04mm以下とすることができる。接着層26の厚さは、任意に選択した10箇所で測定した値の平均値として求められる。
接着層26の厚さは、異方導電性コネクタ3を安定して基板に貼る付けることができる範囲で設定すればよく、例えば0.01mm以上0.04mm以下とすることができる。接着層26の厚さは、任意に選択した10箇所で測定した値の平均値として求められる。
[フレーム付き異方導電性コネクタ]
本発明の異方導電性コネクタには、その周囲に位置決めのためのフレームが結合されていてもよい。
フレーム付き異方導電性コネクタの一例の概略構成を図8に示す。
フレーム付き異方導電性コネクタ4は、異方導電性コネクタ1の周囲に、全周にわたって環状のフレーム30が結合されている。
本発明の異方導電性コネクタには、その周囲に位置決めのためのフレームが結合されていてもよい。
フレーム付き異方導電性コネクタの一例の概略構成を図8に示す。
フレーム付き異方導電性コネクタ4は、異方導電性コネクタ1の周囲に、全周にわたって環状のフレーム30が結合されている。
フレーム30は、中央の領域が矩形に打ち抜かれており、この領域に接着材32を介して異方導電性コネクタ1が結合されている。異方導電性コネクタ1の上面とフレーム30の上面とは互いにほぼ平行な面となっている。
フレーム30には、複数の貫通孔34が設けられている。フレーム付き異方導電性コネクタ4を基板等に実装する際には、例えばフレーム30の貫通孔34に位置決めピンを通して固定することにより、基板等への実装を容易に行うことができる。
フレーム30には、複数の貫通孔34が設けられている。フレーム付き異方導電性コネクタ4を基板等に実装する際には、例えばフレーム30の貫通孔34に位置決めピンを通して固定することにより、基板等への実装を容易に行うことができる。
フレーム30の平面視形状は、図8に示す例では矩形であるが、限定されるものではない。フレーム30は、異方導電性コネクタ1の全周を囲う環状には限定されず、異方導電性コネクタ1の周囲の1箇所又は複数箇所に部分的に結合されているものであってもよい。
フレーム30のサイズは、異方導電性コネクタ1を実装する対象に応じて適宜設計すればよい。
フレーム30の材質は特に限定されず、例えば樹脂製のフレーム、金属製のフレーム等とすることができる。
フレーム30のサイズは、異方導電性コネクタ1を実装する対象に応じて適宜設計すればよい。
フレーム30の材質は特に限定されず、例えば樹脂製のフレーム、金属製のフレーム等とすることができる。
接着材32は接着剤の硬化物であり、異方導電性コネクタ1の使用温度域において硬化状態を安定に保つ耐熱性、耐寒性を有するものが選択される。具体的には、例えば、アクリル樹脂、シリコーン、アクリル変性シリコーン、シアノアクリレート樹脂を例示できる。
フレーム30における接着材32の接着面には、予めプライマー処理を施し、接着力を高めてもよい。
フレーム30における接着材32の接着面には、予めプライマー処理を施し、接着力を高めてもよい。
フレーム付き異方導電性コネクタの製造方法は、特に限定されず、本発明の異方導電性コネクタを用いる以外は公知の方法を利用することができる。
なお、本発明のフレーム付き異方導電性コネクタは、本発明の異方導電性コネクタを備えるものであれば、前記したフレーム付き異方導電性コネクタ4には限定されず、適用する電子デバイス部品、モジュール部品等に応じて適宜設計を変更できる。
なお、本発明のフレーム付き異方導電性コネクタは、本発明の異方導電性コネクタを備えるものであれば、前記したフレーム付き異方導電性コネクタ4には限定されず、適用する電子デバイス部品、モジュール部品等に応じて適宜設計を変更できる。
[コネクタ実装体]
本発明の異方導電性コネクタは、電子デバイス部品、モジュール部品等の基板間の接続に用いることができる。
図9は、本発明の異方導電性コネクタを実装したコネクタ実装体の一例を示した斜視図である。
本発明の異方導電性コネクタは、電子デバイス部品、モジュール部品等の基板間の接続に用いることができる。
図9は、本発明の異方導電性コネクタを実装したコネクタ実装体の一例を示した斜視図である。
図9に示す例のコネクタ実装体5は、第1回路基板40と、異方導電性コネクタ1と、異方導電性コネクタ1の外周部分を第1回路基板40上に固定するためのホルダー42と、第2回路基板44と、プレート46と、を備えている。
第1回路基板40としては、特に限定されず、例えばプリント配線基板を用いることができる。この例では、第1回路基板40はプレート46上に配置されているが、この態様に限定されるものではない。
プレート46の材質は特に限定されず、樹脂製であってもよく、金属製であってもよい。
プレート46の材質は特に限定されず、樹脂製であってもよく、金属製であってもよい。
ホルダー42は、矩形の枠状における一辺に一部が欠けた欠け部分42aを有するC字状になっている。なお、ホルダー42の形状は、この例の形状は限定されず、例えば欠け部分のない枠状であってもよい。
ホルダー42の材質は特に限定されず、樹脂製であってもよく、金属製であってもよい。
ホルダー42の材質は特に限定されず、樹脂製であってもよく、金属製であってもよい。
コネクタ実装体5では、第1回路基板40上に異方導電性コネクタ1が配置され、さらにその上にホルダー42が配置された状態で、ボルト43がホルダー42のボルト孔に螺挿されている。これにより、異方導電性コネクタ1の外周部分が第1回路基板40とホルダー42で挟持されることで、異方導電性コネクタ1が第1回路基板40上に固定されている。
異方導電性コネクタ1の第1回路基板40とは反対側における、ホルダー42が接していないT字状の領域には、それと相補的なT字状部分を有する第2回路基板44が嵌まり込むように配置されて圧接されている。この状態では、第1回路基板40の電極と第2回路基板44の電極とが異方導電性コネクタ1の銀線によって電気的に接続される。
第2回路基板44としては、特に限定されず、例えばフレキシブルプリント配線基板を用いることができる。第2回路基板44におけるホルダー42の欠け部分42aから外側に延びる部分の末端は適宜モジュール部品と接続される。
コネクタ実装体の製造方法は、特に限定されず、本発明の異方導電性コネクタを用いる以外は公知の方法を利用することができる。
なお、本発明のコネクタ実装体は、本発明の異方導電性コネクタを備えるものであれば、前記したコネクタ実装体5には限定されず、適用する電子デバイス部品、モジュール部品等に応じて適宜設計を変更できる。
例えば、本発明のコネクタ実装体においては、欠け部分のない枠状のホルダーを用いて異方導電性コネクタを第1回路基板に固定し、ホルダーの内側に第2回路基板を配置して異方導電性コネクタに圧接してもよい。
本発明のコネクタ実装体は、フレーム付き異方導電性コネクタを備えるものであってもよい。より具体的には、位置決めピン等によってフレーム付き異方導電性コネクタが第1回路基板に固定され、そのフレーム付き異方導電性コネクタの第1回路基板とは反対側に第2回路基板が圧接されているコネクタ実装体であってもよい。
例えば、本発明のコネクタ実装体においては、欠け部分のない枠状のホルダーを用いて異方導電性コネクタを第1回路基板に固定し、ホルダーの内側に第2回路基板を配置して異方導電性コネクタに圧接してもよい。
本発明のコネクタ実装体は、フレーム付き異方導電性コネクタを備えるものであってもよい。より具体的には、位置決めピン等によってフレーム付き異方導電性コネクタが第1回路基板に固定され、そのフレーム付き異方導電性コネクタの第1回路基板とは反対側に第2回路基板が圧接されているコネクタ実装体であってもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[圧縮量に対する荷重及び抵抗値]
異方導電性コネクタに対し、自動荷重試験機MAX-1KN-M(日本計測システム株式会社製)を用いて、圧縮量に対する荷重及び抵抗値を測定した。測定においては、フラットな測定基板上に異方導電性コネクタを配置し、直径0.5mmの圧縮先端子を上方から異方導電性コネクタに接触させ、圧縮先端子に0.005Nの力が掛かる位置をゼロ位置として圧縮を行った。圧縮速度は0.3mm/分とし、ロードセルには10Nを使用した。
異方導電性コネクタに対し、自動荷重試験機MAX-1KN-M(日本計測システム株式会社製)を用いて、圧縮量に対する荷重及び抵抗値を測定した。測定においては、フラットな測定基板上に異方導電性コネクタを配置し、直径0.5mmの圧縮先端子を上方から異方導電性コネクタに接触させ、圧縮先端子に0.005Nの力が掛かる位置をゼロ位置として圧縮を行った。圧縮速度は0.3mm/分とし、ロードセルには10Nを使用した。
[信頼性試験]
異方導電性コネクタに対し、導電線と電極が接するように一方の側から基板電極を押し当て、該異方導電性コネクタを厚さ方向に0.475mm(15%)圧縮した状態として、以下の高温試験、高温高湿試験、及び熱衝撃試験を実施した。
異方導電性コネクタに対し、導電線と電極が接するように一方の側から基板電極を押し当て、該異方導電性コネクタを厚さ方向に0.475mm(15%)圧縮した状態として、以下の高温試験、高温高湿試験、及び熱衝撃試験を実施した。
(1)高温試験
小型環境試験機SH-242(エスペック株式会社製)を用いて、異方導電性コネクタに対して高温試験を行った。試験条件は、温度を125℃とした。試験中、定期的に試験機から異方導電性コネクタを取り出して抵抗値を測定し、試験時間は最長で1008時間とした。
小型環境試験機SH-242(エスペック株式会社製)を用いて、異方導電性コネクタに対して高温試験を行った。試験条件は、温度を125℃とした。試験中、定期的に試験機から異方導電性コネクタを取り出して抵抗値を測定し、試験時間は最長で1008時間とした。
(2)高温高湿試験
小型環境試験機SH-242(エスペック株式会社製)を用いて、異方導電性コネクタに対して高温高湿試験を行った。試験条件は、温度を85℃、湿度を85%RHとした。試験中、定期的に試験機から異方導電性コネクタを取り出して抵抗値を測定し、試験時間は最長で1008時間とした。
小型環境試験機SH-242(エスペック株式会社製)を用いて、異方導電性コネクタに対して高温高湿試験を行った。試験条件は、温度を85℃、湿度を85%RHとした。試験中、定期的に試験機から異方導電性コネクタを取り出して抵抗値を測定し、試験時間は最長で1008時間とした。
(3)熱衝撃試験
小型冷熱衝撃装置TSE-12-A(エスペック株式会社製)を用いて、異方導電性コネクタに対して熱衝撃試験を行った。試験では、-40℃まで冷却して0.5時間保持し、125℃まで加熱して0.5時間保持するサイクルを繰り返し実施した。試験中、定期的に異方導電性コネクタの抵抗値を測定し、試験時間は最長で1008時間(1008サイクル)とした。
小型冷熱衝撃装置TSE-12-A(エスペック株式会社製)を用いて、異方導電性コネクタに対して熱衝撃試験を行った。試験では、-40℃まで冷却して0.5時間保持し、125℃まで加熱して0.5時間保持するサイクルを繰り返し実施した。試験中、定期的に異方導電性コネクタの抵抗値を測定し、試験時間は最長で1008時間(1008サイクル)とした。
[例1]
ポリエステルフィルム(基材)の上に未硬化のシリコーンゴム(信越化学工業社製)からなる厚さ約0.025mmの塗膜(第1絶縁層)を形成し、この塗膜上に直径23μmの導電線を0.05mm程度の間隔でそれぞれ平行に配置した。導電線としては、ベリリウム銅線の外周に下地ニッケル層、表層に金めっき層(被覆層)が形成されたものを使用した。シリコーンゴムによって、これら導電線を覆う厚さ約0.025mmの塗膜(第2絶縁層)を形成し、加熱硬化してコアシートを得た。同様に複数枚のコアシートを作成して、それらを接着剤により、互いの導電線の長さ方向が平行に揃うように積層してシート積層体を得た。
前記シート積層体を各導電線の長さ方向に垂直な方向にスライスカットすることにより、絶縁部の長さ方向と幅方向の導電線のピッチがいずれも0.05mmであり、厚さが0.3mmである異方導電性コネクタを得た。
得られた異方導電性コネクタについて、自動荷重試験機を用いて厚さ方向に0.06mm(20%)圧縮したときの荷重及び抵抗値を測定した。その結果を図10に示す。
ポリエステルフィルム(基材)の上に未硬化のシリコーンゴム(信越化学工業社製)からなる厚さ約0.025mmの塗膜(第1絶縁層)を形成し、この塗膜上に直径23μmの導電線を0.05mm程度の間隔でそれぞれ平行に配置した。導電線としては、ベリリウム銅線の外周に下地ニッケル層、表層に金めっき層(被覆層)が形成されたものを使用した。シリコーンゴムによって、これら導電線を覆う厚さ約0.025mmの塗膜(第2絶縁層)を形成し、加熱硬化してコアシートを得た。同様に複数枚のコアシートを作成して、それらを接着剤により、互いの導電線の長さ方向が平行に揃うように積層してシート積層体を得た。
前記シート積層体を各導電線の長さ方向に垂直な方向にスライスカットすることにより、絶縁部の長さ方向と幅方向の導電線のピッチがいずれも0.05mmであり、厚さが0.3mmである異方導電性コネクタを得た。
得られた異方導電性コネクタについて、自動荷重試験機を用いて厚さ方向に0.06mm(20%)圧縮したときの荷重及び抵抗値を測定した。その結果を図10に示す。
[例2]
導電線として、ベリリウム銅線の代わりに銀線を用いた以外は、例1と同様にして異方導電性コネクタを作成した。
得られた異方導電性コネクタについて、自動荷重試験機を用いて厚さ方向に0.06mm(20%)圧縮したときの荷重及び抵抗値を測定した。その結果を図11に示す。
導電線として、ベリリウム銅線の代わりに銀線を用いた以外は、例1と同様にして異方導電性コネクタを作成した。
得られた異方導電性コネクタについて、自動荷重試験機を用いて厚さ方向に0.06mm(20%)圧縮したときの荷重及び抵抗値を測定した。その結果を図11に示す。
図10及び図11に示すように、銀線を用いた例2の異方導電性コネクタは、ベリリウム銅線を用いた例1の異方導電性コネクタに比べて、圧縮時の荷重が小さく柔軟であり、また圧縮による抵抗値の上昇も小さかった。
[例3]
ポリエステルフィルム(基材)の上に未硬化のシリコーンゴム(信越化学工業社製)からなる厚さ約0.3mmの塗膜(第1絶縁層)を形成し、この塗膜上に直径40μmの導電線を0.2mm程度の間隔でそれぞれ平行に配置した。導電線としては、真鍮線の外周に下地ニッケル層、表層に金めっき層(被覆層)が形成されたものを使用した。シリコーンゴムによって、これら導電線を覆う厚さ約0.3mmの塗膜(第2絶縁層)を形成し、加熱硬化してコアシートを得た。同様に複数枚のコアシートを作成して、それらを接着剤により、互いの導電線の長さ方向が平行に揃うように積層してシート積層体を得た。
前記シート積層体を各導電線の長さ方向に垂直な方向にスライスカットすることにより、絶縁部の長さ方向と幅方向の導電線のピッチがそれぞれ0.2mm、0.6mmであり、厚さが1.0mmである異方導電性コネクタを得た。
得られた異方導電性コネクタについて、高温試験、高温高湿試験、及び熱衝撃試験を実施し、各試験中の抵抗値を測定した。いずれの試験においても、異方導電性コネクタの厚さ方向の圧縮率は20%とし、任意の3箇所の導電線(position1~3)に対して測定を行った。その結果を図12~14に示す。また、各試験後の異方導電性コネクタについて、絶縁部表面の導電線の周辺部をCCDカメラで観察した結果を図18に示し、SEM(走査型電子顕微鏡)により観察した結果を図19に示す。また、各試験に用いた基板電極の表面をSEMにより観察した結果を図20に示す。
ポリエステルフィルム(基材)の上に未硬化のシリコーンゴム(信越化学工業社製)からなる厚さ約0.3mmの塗膜(第1絶縁層)を形成し、この塗膜上に直径40μmの導電線を0.2mm程度の間隔でそれぞれ平行に配置した。導電線としては、真鍮線の外周に下地ニッケル層、表層に金めっき層(被覆層)が形成されたものを使用した。シリコーンゴムによって、これら導電線を覆う厚さ約0.3mmの塗膜(第2絶縁層)を形成し、加熱硬化してコアシートを得た。同様に複数枚のコアシートを作成して、それらを接着剤により、互いの導電線の長さ方向が平行に揃うように積層してシート積層体を得た。
前記シート積層体を各導電線の長さ方向に垂直な方向にスライスカットすることにより、絶縁部の長さ方向と幅方向の導電線のピッチがそれぞれ0.2mm、0.6mmであり、厚さが1.0mmである異方導電性コネクタを得た。
得られた異方導電性コネクタについて、高温試験、高温高湿試験、及び熱衝撃試験を実施し、各試験中の抵抗値を測定した。いずれの試験においても、異方導電性コネクタの厚さ方向の圧縮率は20%とし、任意の3箇所の導電線(position1~3)に対して測定を行った。その結果を図12~14に示す。また、各試験後の異方導電性コネクタについて、絶縁部表面の導電線の周辺部をCCDカメラで観察した結果を図18に示し、SEM(走査型電子顕微鏡)により観察した結果を図19に示す。また、各試験に用いた基板電極の表面をSEMにより観察した結果を図20に示す。
[例4]
導電線として、真鍮線の代わりに銀線を用いた以外は、例3と同様にして異方導電性コネクタを作成した。
得られた異方導電性コネクタについて、高温試験、高温高湿試験、及び熱衝撃試験を実施し、各試験中の抵抗値を測定した。その結果を図15~17に示す。また、各試験後の異方導電性コネクタについて、絶縁部表面の導電線の周辺部をCCDカメラで観察した結果を図18に示し、SEMにより観察した結果を図19に示す。また、各試験に用いた基板電極の表面をSEMにより観察した結果を図20に示す。
導電線として、真鍮線の代わりに銀線を用いた以外は、例3と同様にして異方導電性コネクタを作成した。
得られた異方導電性コネクタについて、高温試験、高温高湿試験、及び熱衝撃試験を実施し、各試験中の抵抗値を測定した。その結果を図15~17に示す。また、各試験後の異方導電性コネクタについて、絶縁部表面の導電線の周辺部をCCDカメラで観察した結果を図18に示し、SEMにより観察した結果を図19に示す。また、各試験に用いた基板電極の表面をSEMにより観察した結果を図20に示す。
図12~図17に示すように、高温試験、高温高湿試験、及び熱衝撃試験のいずれにおいても、銀線を用いた例4の異方導電性コネクタは、真鍮線を用いた例3の異方導電性コネクタに比べて抵抗値の上昇が抑制されていた。
図18に示すように、真鍮線を用いた例3の異方導電性コネクタでは、特に熱衝撃試験後において真鍮線周辺に黒色異物が蓄積したが、銀線を用いた例4の異方導電性コネクタでは、このような黒色異物は蓄積しなかった。この黒色異物は、熱衝撃試験の低温と高温のサイクルにおいてコネクタが膨張と収縮を繰り返し、基板電極と導電線との微摺動摩耗による摩耗残渣である。
また、図19に示すように、真鍮線を用いた例3の異方導電性コネクタでは、信頼性試験後に真鍮線の端部が絶縁部に埋没したが、銀線を用いた例4の異方導電性コネクタでは、信頼性試験後も銀線の端部が露出していた。
また、図20に示すように、真鍮線を用いた例3の異方導電性コネクタでは、信頼性試験後の基板電極に摩擦痕が見られたが、銀線を用いた例4の異方導電性コネクタでは、信頼性試験後の基板電極に摩擦痕は見られなかった。
以上のように、銀線を用いた例4の異方導電性コネクタは、真鍮線を用いた例3の異方導電性コネクタに比べて信頼性が高かった。
図18に示すように、真鍮線を用いた例3の異方導電性コネクタでは、特に熱衝撃試験後において真鍮線周辺に黒色異物が蓄積したが、銀線を用いた例4の異方導電性コネクタでは、このような黒色異物は蓄積しなかった。この黒色異物は、熱衝撃試験の低温と高温のサイクルにおいてコネクタが膨張と収縮を繰り返し、基板電極と導電線との微摺動摩耗による摩耗残渣である。
また、図19に示すように、真鍮線を用いた例3の異方導電性コネクタでは、信頼性試験後に真鍮線の端部が絶縁部に埋没したが、銀線を用いた例4の異方導電性コネクタでは、信頼性試験後も銀線の端部が露出していた。
また、図20に示すように、真鍮線を用いた例3の異方導電性コネクタでは、信頼性試験後の基板電極に摩擦痕が見られたが、銀線を用いた例4の異方導電性コネクタでは、信頼性試験後の基板電極に摩擦痕は見られなかった。
以上のように、銀線を用いた例4の異方導電性コネクタは、真鍮線を用いた例3の異方導電性コネクタに比べて信頼性が高かった。
[例5]
1本の金属線を直流定電流電源(菊水電子工業社製PAN16-10)と接続して電流を印加し、デジタル温度計を用いて金属線の温度を測定した。電流値は0Aから0.1Aまでは0.01Aずつ増加させ、0.1Aから0.5Aまでは0.02Aずつ増加させ、各電流値において3分間ずつ電流を流した。
金属線として、直径30μmの銀線、直径40μmの銀線、直径30μmの真鍮線、直径40μmの真鍮線をそれぞれ用いて試験を行った。
金属線への印加電流に対する金属線の温度変化を示すグラフを図21に示す。
1本の金属線を直流定電流電源(菊水電子工業社製PAN16-10)と接続して電流を印加し、デジタル温度計を用いて金属線の温度を測定した。電流値は0Aから0.1Aまでは0.01Aずつ増加させ、0.1Aから0.5Aまでは0.02Aずつ増加させ、各電流値において3分間ずつ電流を流した。
金属線として、直径30μmの銀線、直径40μmの銀線、直径30μmの真鍮線、直径40μmの真鍮線をそれぞれ用いて試験を行った。
金属線への印加電流に対する金属線の温度変化を示すグラフを図21に示す。
図21に示すように、真鍮線に比べて、銀線は電流が流れた状態で温度が上昇しにくかった。また、銀線は、印加電流が0.15A以下の範囲では温度が室温程度までしか上がらなかった。
また、電流印加時の温度の経時変化を確認したところ、真鍮線に比べて銀線の方が温度変化の上下の振れが小さい傾向があった。
以上のように、銀線を用いた異方導電性コネクタを実装した部品は温度が上昇しにくい点で有利である。
また、電流印加時の温度の経時変化を確認したところ、真鍮線に比べて銀線の方が温度変化の上下の振れが小さい傾向があった。
以上のように、銀線を用いた異方導電性コネクタを実装した部品は温度が上昇しにくい点で有利である。
1~3…異方導電性コネクタ、4…フレーム付き異方導電性コネクタ、5…コネクタ実装体、10,10A…導電部、12…導電帯部、14…接着部、16…絶縁部、18…銀線、20…絶縁部、22…貼付け部、24…絶縁部、26…接着層、30…フレーム、32…接着材、34…貫通孔、40…第1回路基板、42…ホルダー、44…第2回路基板、46…プレート。
Claims (6)
- 絶縁性を有する弾性材料からなる帯状の絶縁部と、前記絶縁部の厚さ方向の第1面から第2面まで貫通し、かつ前記絶縁部の長さ方向に一定のピッチで配列された複数の銀線と、を備える、異方導電性コネクタ。
- JIS Z 2241に従って測定される前記銀線の引張強度が200N/mm2以上380N/mm2以下である、請求項1に記載の異方導電性コネクタ。
- 前記銀線の側面に金めっき膜が形成されている、請求項1に記載の異方導電性コネクタ。
- 前記絶縁部の圧縮永久歪が20%以下である、請求項1に記載の異方導電性コネクタ。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の異方導電性コネクタの周囲の少なくとも一部に、位置決め用のフレームが結合されている、フレーム付き異方導電性コネクタ。
- 第1回路基板と、請求項1~4のいずれか一項に記載の異方導電性コネクタと、前記異方導電性コネクタの外周部分の少なくとも一部を前記第1回路基板上に固定するためのホルダーと、第2回路基板と、を備え、
前記異方導電性コネクタの前記第1回路基板とは反対側における、前記ホルダーが接していない領域に前記第2回路基板が圧接されている、コネクタ実装体。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021117090 | 2021-07-15 |
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JP2022077055A Pending JP2023013946A (ja) | 2021-07-15 | 2022-05-09 | 異方導電性コネクタ、フレーム付き異方導電性コネクタ及びコネクタ実装体 |
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2022
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