JP4919828B2 - 車両用自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

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本発明は、ロックアップクラッチの作動状態を解放側状態と係合側状態とで択一的に切り換えられるためのロックアップリレーバルブと、ロックアップクラッチの係合側状態においてロックアップクラッチのトルク容量を制御するためのロックアップコントロールバルブとを備えた車両用自動変速機の油圧制御装置に関するものである。
トルクコンバータやフルードカップリングのような流体式伝動装置を機械的に連結してトルクを直接的に伝達することが可能なロックアップクラッチと、ロックアップクラッチの作動状態を解放側状態とするための解放側位置とロックアップクラッチの作動状態を係合側状態とする係合側位置とが択一的に切り換えられるロックアップリレーバルブと、ロックアップリレーバルブが係合側位置へ切り換えられているときにリニアソレノイドバルブによる制御圧に基づいて作動させられることによりロックアップクラッチのトルク容量を制御するロックアップコントロールバルブとを備えた車両の油圧制御装置がよく知られている。
このような車両の油圧制御装置において、例えば低速走行状態などロックアップクラッチがロックアップオフとされる状態では、ロックアップコントロールバルブを作動させる必要がないことから、ロックアップオフ時に限定してロックアップコントロールバルブとは別の所定の弁装置を作動させるためにリニアソレノイドバルブから出力される制御圧を用いることが考えられている。
例えば、特許文献1に記載されている自動変速機の油圧制御装置がそれである。この特許文献1によれば、信号油圧リレーバルブを設けることで、リニアソレノイドバルブの制御圧の供給先を切り換えることが可能となり、ロックアップクラッチのロックアップオフの際には、信号油圧リレーバルブを切り換えることで、制御圧を自動変速機の摩擦係合装置に供給し、摩擦係合装置の過渡油圧制御を可能としている。
特開平7−71591号公報
ところで、油圧制御装置のコンパクト化および低コスト化は、常に課題としてあげられている。ところが、特許文献1の自動変速機の油圧制御装置では、信号油圧リレーバルブを設けたために、バルブの本数が多くなり、油圧制御装置が大型化する問題があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、バルブの本数を増やすことなく、ロックアップコントロールバルブを制御するリニアソレノイドバルブの制御圧を有効に利用することができる車両用自動変速機の油圧制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)ロックアップクラッチが備え付けられた流体式伝動装置と、制御圧を出力するためのリニアソレノイドバルブと、そのロックアップクラッチの作動状態を解放側状態および係合側状態の何れかに択一的に切り換えるためのロックアップリレーバルブと、そのロックアップリレーバルブが係合側状態に切り換えられているときに前記制御圧に基づいて作動させられることによりそのロックアップクラッチのトルク容量を制御するロックアップコントロールバルブと、を備えた車両用自動変速機の油圧制御装置において、(b)前記ソレノイドバルブから出力される前記制御圧は、前記ロックアップリレーバルブを介して選択的に前記ロックアップコントロールバルブおよび前記車両用自動変速機の変速制御部に供給され、(c)前記変速制御部は、前記自動変速機の後進変速段を成立させるために係合させられる後進用摩擦係合装置と、その後進用摩擦係合装置に作動油を供給する変速用リニアソレノイドバルブと、シフトレバーが後進ポジションへ操作されたときに後進レンジ圧を発生させるマニュアルバルブと、前記変速用リニアソレノイドバルブからの作動油を前記後進用摩擦係合装置に供給する過渡位置とそのマニュアルバルブからの作動油を前記後進用摩擦係合装置に供給する定常位置とに切り換えられる切換弁とを備えたものであり、(d)前記制御圧は、該切換弁を前記過渡位置に一時的に切り換えるために該切換弁に供給されるものであることを特徴とする。
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1の車両用自動変速機の油圧制御装置において、(a)前記ロックアップリレーバルブは、前記制御圧が供給される入力ポートと、前記ロックアップコントロールバルブに接続される第1出力ポートと、前記変速制御部に接続される第2出力ポートと、前記入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第1位置および前記入力ポートと前記第2出力ポートとを連通させる第2位置の2位置に切り換えるためのスプール弁子とを備え、(b)前記スプール弁子は、前記ロックアップリレーバルブが係合側状態に切り換えられたときは前記第1位置に移動させられ、解放側状態に切り換えられたときは前記第2位置に移動させられることを特徴とする。
また、請求項にかかる発明の要旨とするとことは、請求項1または2の車両用自動変速機の油圧制御装置において、(a)前記変速制御部は、前記車両用自動変速機のクラッチツークラッチ変速のために用いられる係合側摩擦係合装置と、その係合側摩擦係合装置の非係合時に低圧の作動油を予め供給するための予圧供給油路を備えたものであり、(b)前記制御圧は、前記予圧供給油路に供給されるものであることを特徴とする。
請求項1にかかる発明の車両用自動変速機の油圧制御装置によれば、前記リニアソレノイドバルブから出力される制御圧は、既存の前記ロックアップリレーバルブを介して選択的にロックアップコントロールバルブおよび車両用自動変速機の変速制御部に供給されるため、新たにバルブを追加することなくリニアソレノイドバルブの制御圧を変速制御部に供給することができ、制御圧を有効に利用することができる。ここで、前記リニアソレノイドバルブから出力される制御圧が前記切換弁に供給されると、切換弁が前記変速用リニアソレノイドバルブからの作動油を前記後進用摩擦係合装置に供給する過渡位置に一時的に切り換えられる。これにより、前記後進用摩擦係合装置には、変速用リニアソレノイドバルブによって調圧された制御圧が供給され、滑らかな後進走行が可能となる。
また、請求項2にかかる発明の車両用自動変速機の油圧制御装置によれば、ロックアップリレーバルブが係合側状態に切り換えられると、前記スプール弁子が前記第1位置に移動させられるため、前記入力ポートに供給されたリニアソレノイドバルブの制御圧が前記第1出力ポートを介してロックアップコントロールバルブに供給され、ロックアップクラッチのトルク容量を制御することができる。また、ロックアップリレーバルブが解放側状態に切り換えられると、スプール弁子が前記第2位置に移動させられるため、入力ポートに供給されたリニアソレノイドバルブの制御圧が前記第2出力ポートを介して前記車両用自動変速機の変速制御部に供給される。これにより、ロックアップリレーバルブが解放側状態の際には使用されないリニアソレノイドバルブの制御圧を用いて変速制御部の制御を行うことができる。
また、請求項にかかる発明の車両用自動変速機の油圧制御装置によれば、前記リニアソレノイドバルブから出力される制御圧は、クラッチツークラッチ変速の係合側摩擦係合装置に前記予圧供給油路を介して予め供給されるため、クラッチツークラッチ変速の際の変速ショックを抑制させることができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用自動変速機(以下、自動変速機という)10の構成を説明する骨子図である。図2は、複数の変速段を成立させる際の摩擦係合要素すなわち摩擦係合装置の作動状態を説明する係合作動表である。この自動変速機10は、車両の左右方向(横置き)に搭載するFF車両に好適に用いられるものであって、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース26内において、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成されている第1変速部14と、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置16およびシングルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体としてラビニヨ型に構成されている第2変速部20とを同軸線上(共通の軸心C上)に有し、入力軸22の回転を変速して出力回転部材24から出力する。この入力軸22は、入力部材に相当するものであり、本実施例では走行用の動力源であるエンジン30によって回転駆動される流体式伝動装置としてのトルクコンバータ32のタービン軸である。また、出力回転部材24は自動変速機10の出力部材に相当するものであり、図3に示す差動歯車装置34に動力を伝達するためにそのデフドリブンギヤ(大径歯車)36と噛み合う出力歯車すなわちデフドライブギヤとして機能している。エンジン30の出力は、ロックアップクラッチ28が備え付けられたトルクコンバータ32、自動変速機10、差動歯車34、および一対の車軸38を介して一対の駆動輪40へ伝達されるようになっている。なお、この自動変速機10やトルクコンバータ32は中心線(軸心)Cに対して略対称的に構成されており、図1の骨子図においてはその中心線Cの下半分が省略されている。なお、本実施例のトルクコンバータ32が、本発明の流体式伝動装置に対応している。
自動変速機10は、第1変速部14および第2変速部20の各回転要素(サンギヤS1乃至S3、キャリヤCA1乃至CA3、リングギヤR1乃至R3)のうちの何れかの連結状態の組合せに応じて第1変速段(第1速ギヤ段)「1st」乃至第6変速段(第6速ギヤ段)「6th」の6つの前進変速段(前進ギヤ段、前進走行用ギヤ段)が成立させられるとともに、後進変速段(後進ギヤ段、後進走行用ギヤ段)「R」の1つの後進変速段が成立させられる。図2に示すように、たとえば前進変速段では、クラッチC1とブレーキB2との係合により第1速変速段が、クラッチC1とブレーキB1との係合により第2速変速段が、クラッチC1とブレーキB3との係合により第3速変速段が、クラッチC1とクラッチC2との係合により第4速変速段が、クラッチC2とブレーキB3との係合により第5速変速段が、クラッチC2とブレーキB1との係合により第6速変速段が、それぞれ成立させられるようになっている。また、ブレーキB2とブレーキB3との係合により後進変速段が成立させられ、クラッチC1、C2、ブレーキB1乃至B3の何れもが解放されることによりニュートラル状態となるように構成されている。
図2の係合作動表は、上記各変速段とクラッチC1、C2、ブレーキB1乃至B3の作動状態との関係をまとめたものであり、「○」は係合を表している。また、各変速段の変速比は、第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、および第3遊星歯車装置18の各ギヤ比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。
上記クラッチC1、C2、およびブレーキB1乃至B3(以下、特に区分しない場合は単にクラッチCおよびブレーキBという)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置であり、油圧制御装置100(図3参照)内の電磁弁装置としてのリニアソレノイドバルブSLC1、SLC2、SLB1、SLB2、SLB3の励磁、非励磁や電流制御により、係合、解放状態が切り換えられるとともに係合、解放時の過渡油圧などが制御される。
図3は、図1の自動変速機10などを制御するために車両に設けられた電気的な制御系統の要部を説明するブロック線図である。電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入力インターフェイス等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン30の出力制御や自動変速機10の変速制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用やリニアソレノイドバルブSLC1、SLC2、SLB1、SLB2、SLB3を制御する変速制御用等に分けて構成される。
図3において、所謂アクセル開度として知られるアクセルペダル50の操作量Accを検出するためのアクセル操作量センサ52、エンジン30の回転速度Nを検出するためのエンジン回転速度センサ58、エンジン30の吸入空気量Qを検出するためのセンサ60、吸入空気の温度T を検出するための吸入空気温度センサ62、電子スロットル弁の開度θTHを検出するためのスロットル弁開度センサ64、車速V(出力回転部材24の回転速度NOUT に対応)を検出するための車速センサ66、エンジン30の冷却水温T を検出するための冷却水温センサ68、常用ブレーキであるフットブレーキペダル69の操作の有無を検出するブレーキスイッチ70、シフト操作部材としてのシフトレバー72のレバーポジション(操作位置)PSHを検出するためのレバーポジションセンサ74、タービン回転速度N すなわち入力軸22の回転速度NINを検出するためのタービン回転速度センサ76、油圧制御装置100内の作動油の温度であるAT油温TOIL を検出するためのAT油温センサ78などが設けられており、それらのセンサやスイッチなどから、アクセル操作量(アクセル開度)Acc、エンジン回転速度N 、吸入空気量Q、吸入空気の温度T 、スロットル弁開度θTH、車速V、出力回転速度NOUT 、エンジン冷却水温T 、ブレーキ操作の有無、シフトレバー72のレバーポジションPSH、タービン回転速度N (=入力軸回転速度NIN)、AT油温TOIL などを表す信号が電子制御装置90へ供給されるようになっている。
また、電子制御装置90からは、エンジン30の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号S 、たとえばアクセル開度Accに応じて電子スロットル弁の開閉を制御するためのスロットルアクチュエータを駆動する信号や燃料噴射装置から噴射される燃料の量を制御するための噴射信号や点火装置によるエンジン30の点火時期を制御するための点火時期信号などが出力されている。また、自動変速機10の変速制御の為の変速制御指令信号S 、例えば自動変速機10の変速段を切り換えるために油圧制御装置100内のリニアソレノイドバルブSLC1、SLC2、SLB1、SLB2、SLB3を制御する信号やライン圧PL1を制御する電磁弁装置としてのリニアソレノイドバルブSLTを駆動するための信号などが出力されている。
上記変速制御についてより具体的には、電子制御装置90は、例えば図4に示すような車速Vおよびアクセル操作量Accを変数として予め記憶された関係(マップ、変速線図)から実際の車速Vおよびアクセル操作量Accに基づいて自動変速機10の変速を実行すべきか否かを判断し、例えば自動変速機10の変速すべき変速段を判断し、その判断した変速段が得られるように自動変速機10の自動変速制御を実行する変速制御手段を機能的に備えている。このとき、電子制御装置90は、例えば図2に示す係合作動表に従って変速段が達成されるように、自動変速機10の変速に関与する油圧式摩擦係合装置を係合および/または解放させる指令(変速出力、油圧指令)すなわち油圧制御装置100内の変速用リニアソレノイドバルブSLC1、SLC2、SLB1、SLB2、SLB3を各々励磁または非励磁して油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータへ供給する油圧を各々調圧制御させる指令を油圧制御装置100へ出力する。
図5は、自動変速機10の油圧制御装置100のうち、本発明に関連する油圧回路を抜き出し、本発明の要部構成を説明するための油圧制御回路図である。
油圧制御装置100は、切換用電磁ソレノイド102によりオンオフ作動させられて切換用制御圧PSLを発生するON−OFFソレノイドバルブSLと、その切換用制御圧PSLに従ってロックアップクラッチ28を解放状態とする解放側位置(オフ側位置)およびロックアップクラッチ28を係合状態とする係合側位置(オン側位置)の何れか択一的にに切り換えるロックアップリレーバルブ108と、電子制御装置90から供給される駆動電流に対応した制御圧PSLUを出力するリニアソレノイドバルブSLUと、ロックアップリレーバルブ108によりロックアップクラッチ28が係合側状態とされているときに制御圧PSLUに基づいてロックアップクラッチ28の作動状態をスリップ状態乃至ロックアップオンの範囲で制御するすなわちトルク容量を制御するロックアップコントロールバルブ112と、作動油を冷却するためのオイルクーラ114と、を備えている。
上記油圧制御装置100は、図示しないオイルパンに環流した作動油をストレーナ128を介して吸引して圧送するために、例えばエンジン30によって駆動されるポンプ130が設けられており、そのポンプ130によって昇圧させられた作動油は、リリーフ形式の第1調圧弁132により第1ライン圧PL1に調圧されるようになっている。第2調圧弁134も同様にリリーフ形式の調圧弁であって、第1調圧弁132から流出させられた作動油を調圧することにより、第2ライン圧PL2を発生させる。第3調圧弁136は、上記第1ライン圧PL1を元圧とする減圧弁であって、予め設定された一定圧であるモジュレータ圧Pを発させる。なお、第1調圧弁132および第2調圧弁134には、図示しないリニアソレノイドバルブSLTによって、制御圧が供給され、エンジン30のアクセル開度やエンジン回転数等に基づいて車両の走行に好適な油圧に調圧される。
トルクコンバータ32のロックアップクラッチ28は、係合側油路138を介して供給される係合側油室140内の油圧PONと解放側油路142を介して供給される解放側油室144内の油圧POFFとの差圧ΔP(=PON-POFF)によりフロントカバー146に摩擦係合させられる油圧式摩擦クラッチである。そして、トルクコンバータ32の運転条件としては、例えば差圧ΔPが負とされてロックアップクラッチ28が解放される所謂ロックアップオフ、差圧ΔPが零以上とされてロックアップクラッチ28が半係合される所謂スリップ状態、および差圧ΔPが最大値とされてロックアップクラッチ28が完全係合される所謂ロックアップオンの3条件に大別される。また、ロックアップクラッチ28のスリップ状態においては、差圧ΔPが零とされることによりロックアップクラッチ28のトルク分担がなくなって、トルクコンバータ32は、ロックアップオフと同様の運転状態とされる。
ロックアップリレーバルブ108は、ロックアップクラッチ28の係合側位置および解放側位置を切り換えるスプール弁子148と、そのスプール弁子148の一方の軸端側に設けられスプール弁子148を解放(OFF)側位置へ向かう推力を付与するスプリング150と、そのスプール弁子148の他方の軸端側に設けられスプール弁子148を係合(ON)側の位置へ付勢するためにモジュレータ圧Pを元圧とするON−OFFソレノイドバルブSLの出力油圧である切換用制御圧PSLを受け入れる油室152とを備えている。このON−OFFソレノイドバルブSLは、電子制御装置90により励磁、非励磁され、ロックアップクラッチ28の係合、解放状態を切り換える制御圧発生弁として機能するものである。
ロックアップコントロールバルブ112は、スプール弁子160と、そのスプール弁子160をスリップ(SLIP)側位置へ向かう推力を付与するスプリング162と、そのスプール弁子160をSLIP側位置へ向かって付勢するためにトルクコンバータ32の係合側油室140内の油圧PONを受け入れる油室164と、そのスプール弁子160を完全係合(ON)側位置へ向かって付勢するためにトルクコンバータ32の解放側油室144内の油圧POFFを受け入れる油室166と、スプール弁子160を係合側位置へ向かって付勢するために制御圧PSLUを受け入れる油室168とを備えている。
このように構成された油圧制御装置100により、係合側油室140および解放側油室144への作動油圧の供給状態が切り換えられてロックアップクラッチ28の作動状態が切り換えられる。より具体的には、電子制御装置90は、例えば図6に示すようなスロットル弁開度θTHおよび車速Vを変数として解放(ロックアップオフ)領域、スリップ制御領域、係合(ロックアップオン)領域を有する予め記憶された関係(マップ、ロックアップ領域線図)から実際の車両状態例えばスロットル弁開度θTHおよび車速Vに基づいてロックアップクラッチ28の作動状態の切換えを制御するロックアップクラッチ制御手段を機能的に備えており、この関係に基づいてロックアップクラッチ28の作動状態が切り換えられる。
まず、ロックアップクラッチ28が解放状態を含むスリップ状態乃至ロックアップオン状態に切り換えられた場合を説明する。ロックアップリレーバルブ108において、切換用制御圧PSLが油室152に供給されてスプール弁子148が係合(ON)側位置へ移動させられ、入力ポート170に供給された第2ライン圧PL2が係合側ポート172から係合側油路138を通り係合側油室140へ供給される。この係合側油室140へ供給される第2ライン圧PL2が油圧PONとなる。同時に、解放側油室144は、解放側油路142を通り解放側ポート174から迂回ポート176を経てロックアップコントロールバルブ112の制御ポート178に連通させられる。そして、解放側油室144内の油圧POFFがロックアップコントロールバルブ112により差圧ΔPが調整されて、ロックアップクラッチ28の作動状態がスリップ状態乃至ロックアップオンの範囲で切り換えられる。
具体的には、ロックアップリレーバルブ108のスプール弁子148が係合側位置へ付勢されているときに、すなわちロックアップクラッチ28が係合側状態に切り換えられたときに、ロックアップコントロールバルブ112において、スプール弁子160が完全係合(ON)側位置へ付勢されるための制御圧PSLUが油室168へ供給されずスプリング162の推力によってそのスプール弁子160がスリップ(SLIP)側位置とされると、入力ポート180に供給された第2ライン圧PL2が制御ポート178から迂回ポート176を経て解放側ポート174から解放側油路142を通り解放側油室144へ供給される。これにより、油圧PONと油圧POFFとが同圧とされることから差圧ΔPが零とされて、ロックアップリレーバルブ108が係合側位置へ切り換えられた状態であってもスプール弁子160を完全係合側位置へ移動させるための制御圧PSLUが油室168へ供給されない場合には、ロックアップクラッチ28がロックアップオフと同等の状態とされる。
また、ロックアップリレーバルブ108のスプール弁子148が係合側位置へ付勢されているときに、ロックアップコントロールバルブ112において、スプール弁子160を完全係合側位置へ付勢するための予め定められた制御圧PSLUが(ロックアップオン時)が油室168へ供給されてスプール弁子160が完全係合側位置へ付勢されると、入力ポート180から制御ポート178への油路が遮断されて解放側油室144へは第2ライン圧PL2が供給されないと共に、解放側油室144内の作動油が制御ポート178を経てドレーンポートEXから排出される。これにより、油圧POFFが零とされることから差圧ΔPが最大とされてロックアップクラッチ28がロックアップオンとされる。
ここで、ロックアップリレーバルブ108が係合側位置すなわちロックアップオンの際には、リニアソレノイドバルブSLUからロックアップコントロールバルブ112の油室168に供給される制御圧PSLU は、ロックアップリレーバルブ108を介して供給される。具体的には、ロックアップリレーバルブ108のスプール弁子148が係合側位置へ付勢されていると、リニアソレノイドバルブSLUから出力される制御圧PSLUが供給される制御圧入力ポート184とロックアップコントロールバルブ112の油室168に接続されている第1制御圧出力ポート186とが連通させられる。これにより、制御圧PSLUはロックアップリレーバルブ108の制御圧入力ポート184から第1制御圧出力ポート186を経てロックアップコントロールバルブ112の油室168に供給される。なお、本実施例の制御圧入力ポート184が、本発明の入力ポートに対応しており、第1制御圧出力ポート186が、本発明の第1出力ポートに対応している。また、本実施例の係合側位置が、本発明の第1位置に対応している。
また、ロックアップリレーバルブ108のスプール弁子148が係合側位置へ付勢されているときに、ロックアップコントロールバルブ112において、スプール弁子160をスリップ(SLIP)側位置と完全係合(ON)側位置との間の状態へ位置させるための予め定められた制御圧PSLU が油室168へ供給されると、入力ポート180に供給された第2ライン圧PL2が制御ポート178を経て解放側油室144へ供給される状態と解放側油室144内の作動油が制御ポート178を経てドレーンポートEXから排出される状態とが、上記制御圧PSLUに基づいて調整される。つまり、油圧POFFは、ロックアップクラッチ28の回転速度差NSLP(N-N)が目標回転速度差NSLP となる差圧ΔPとされるように制御圧PSLU に基づいてロックアップコントロールバルブ112によって調圧される。より具体的には、ロックアップコントロールバルブ112において、スプール弁子160の油室164側および油室166側の受圧面積をともにS160、油室168の受圧面積差をΔS168 、スプリング162の推力をF162とすると、(PON−POFF)×S160+F162=PSLU×ΔS168となり差圧ΔPは、制御圧PSLU に基づいて変化させられる。これにより、油圧POFFが零とPONとの中間で調圧されることから差圧ΔPが零と最大との中間値とされてロックアップクラッチ28がスリップ状態とされる。
次に、ロックアップクラッチ28が解放側状態に切り換えられた場合を説明する。ロックアップリレーバルブ108において、切換用制御圧PSLが油室152に供給されず、スプリング150の推力によってスプール弁子148が解放(OFF)側位置へ移動させられ、入力ポート170に供給された第2ライン圧PL2が解放側ポート174からトルクコンバータ32の解放側油路142を通り、解放側油室144へ供給される。そして、係合側油室140を経てトルクコンバータ32の係合側油路138を通り係合側ポート172に排出された作動油が排出ポート182からオイルクーラ114や図示しないクーラバイパス(COOLER BY-PASS)へ排出される。これにより、差圧ΔPが負とされてロックアップクラッチ28がロックアップオフとされる。
ここで、ロックアップリレーバルブ108が解放側位置すなわちロックアップオフの際には、リニアソレノイドバルブSLUから出力される制御圧PSLUは、ロックアップリレーバルブ108を介して自動変速制御を実行する変速制御部190に供給される。具体的には、ロックアップリレーバルブ108において、切換用制御圧PSLが油室152に供給されず、スプリング150の推力によってスプール弁子148が解放(OFF)側位置へ付勢されていると、制御圧入力ポート184と変速制御部190に接続されている第2制御圧出力ポート188とが連通させられる。これにより、リニアソレノイドバルブSLUから出力される制御圧PSLUがロックアップリレーバルブ108の制御圧入力ポート184から第2制御圧出力ポート188を経て変速制御部190に供給される。なお、本実施例の第2制御圧出力ポート188が、本発明の第2出力ポートに対応している。また、本実施例の解放側位置が、本発明の第2位置に対応している。
このように、リニアソレノイドバルブSLUから出力される制御圧PSLUは、ロックアップリレーバルブ108を介して択一的にロックアップコントロールバルブ112の油室168および変速制御部190に供給される。図7は、制御圧PSLUが供給される変速制御部190の一例を説明するために、図6の油圧制御装置100を一点鎖線で示す変速制御部190まで含めて示した油圧制御回路図である。なお、ポンプ130、第1乃至第3調圧弁(132、134、136)などの構成は、前述した図6の構成と同様であるため、その説明を省略する。また、図6に示すトルクコンバータ32は、図7においては図示しなかったが、ロックアップリレーバルブ108、ロックアップコントロールバルブ112などの構成は、トルクコンバータ32を含めて同様の構成となっているため、その説明を省略する。
図7において、マニュアルバルブ200は、ケーブルやリンクなどを介してシフトレバー202の操作に連動して弁子が切り換えられることによりシフトレバー202の「D」ポジションへの操作に従って第1ライン圧PL1を前進走行用油圧すなわちDレンジ圧Pとして出力する出力ポート204、或いは「R」ポジションへの操作に従って第1ライン圧PL1を後進走行用油圧すなわちリバース圧Pとして出力する出力ポート208等を備えており、第1ライン圧PL1、第2ライン圧PL2、モジュレータ圧P、Dレンジ圧P、およびリバース圧Pを油圧制御装置100内の各部例えば油圧制御装置100が備える変速用リニアソレノイドバルブSLC1、SLC2、SLB1、SLB2、SLB3などへ供給する。
これら変速用リニアソレノイドバルブSLC1、SLC2、SLB1、SLB2、SLB3は、基本的には何れも同じ構成の電磁調圧弁であり、電子制御装置90により独立に励磁状態および非励磁状態が制御され、励磁状態(オン状態)においては、開いた状態とされて連続的に変化する油圧を出力し、非励磁状態(オフ状態)においては、閉じた状態とされて油圧を出力しない常閉型(ノーマルクローズ型)のリニアソレノイドバルブ(電磁調圧弁)である。
また、油圧制御装置100は、Dレンジ圧Pを元圧とする変速用リニアソレノイドバルブSLC1の出力油圧である制御圧PSLC1がクラッチC1へ直接的に供給可能なように、DレンジP を元圧とする変速用リニアソレノイドバルブSLC2の出力油圧である制御圧PSLC2がクラッチC2へ直接的に供給可能なように、DレンジP を元圧とする変速用リニアソレノイドバルブSLB1の出力油圧である制御圧PSLB1がブレーキB1へ後述する図8に示す第2作動弁244を介して供給可能なように、第1ライン圧PL1を元圧とする変速用リニアソレノイドバルブSLB2の出力油圧である制御圧PSLB2がブレーキB2へ第2作動弁244を介して供給可能なように、およびDレンジ圧P およびリバース圧Pのうちシャトル弁210を介して供給された何れか一方の油圧を元圧とする変速用リニアソレノイドバルブSLB3の出力油圧である制御圧PSLB3がブレーキB3へ後述する図8に示す第1作動弁242を介して供給可能なようにそれぞれ油路が構成されており、変速用リニアソレノイドバルブSLC1、SLC2、SLB1、SLB2、SLB3によりそれぞれ独立にクラッチCおよびブレーキBの係合と解放との作動が制御される。
また、油圧制御装置100には、制御圧PSLC1、制御圧PSLC2、および制御圧PSLB2がそれぞれクラッチC1、クラッチC2、およびブレーキB2の係合トルクを発生させるための所定圧以上となった場合に所定の信号を電子制御装置90に出力する油圧スイッチ212、214、216がそれぞれ設けられている。
このように構成されたロックアップリレーバルブ108において、切換用制御圧PSLが油室152に供給されずスプリング150の推力によってスプール弁子148が解放(OFF)側位置へ付勢されると、前述したようにロックアップクラッチ28がロックアップオフされると共に、モジュレータ圧Pを元圧とするリニアソレノイドバルブSLUの出力油圧である制御圧入力ポート184に供給された制御圧PSLUが、ロックアップクラッチ28の作動状態の制御に関与することがないロックアップオフ時の制御圧PSLUとして第2制御圧出力ポート188から出力可能な状態とされる。
この第2制御圧出力ポート188は予圧供給油路218に接続されている。予圧供給油路218は、一方向弁220およびオリフィス222を介してクラッチC2に制御圧PSLC2を直接出力する変速用リニアソレノイドバルブSLC2のドレーンポートEXに接続され、一方向弁224およびオリフィス226を介してブレーキB1に制御圧PSLB1を出力する変速用リニアソレノイドバルブSLB1のドレーンポートEXに接続され、一方向弁228およびオリフィス230を介してブレーキB3に制御圧PSLB3を出力する変速用リニアソレノイドバルブSLB3のドレーンポートEXに接続されている。このドレーンポートEXは、これら一方向弁220、224、228によって常時塞がれており、一方向弁220、224、228に所定圧以上の油圧がかかると開弁させられるようになっている。
この予圧供給油路218を介して第2制御圧出力ポート188と連通されている変速用リニアソレノイドバルブSLC2、SLB1、SLB3は、図2に示すように、クラッチツークラッチ変速のアップシフトの際に係合させられる側、すなわち摩擦係合装置に制御圧を供給する側の変速用リニアソレノイドバルブとなっている。具体的には、第1変速段から第2変速段へはブレーキB1が係合させられることで変速用リニアソレノイドバルブSLB1から制御圧PSLB1が出力され、第2変速段から第3変速段へはブレーキB3が係合させられることで変速用リニアソレノイドバルブSLB3から制御圧PSLB3が出力され、第3変速段から第4変速段へはクラッチC2が係合させられることで変速用リニアソレノイドバルブSLC2から制御圧PSLC2が出力され、第4変速段から第5変速段へはブレーキB3が係合させられることで変速用リニアソレノイドバルブSLB3から制御圧PSLB3が出力され、第5変速段から第6変速段へはブレーキB1が係合させられることで変速用リニアソレノイドバルブSLB1から制御圧PSLB1が出力される。これにより、摩擦係合装置(C2、B1、B3)は、クラッチツークラッチ変速のアップシフトの際の係合側摩擦係合装置となる。
これら摩擦係合装置(C2、B1、B3)の図示しないピストン油室に充分な作動油が充填されていないと、クラッチツークラッチアップシフトの際に、ピストンのストローク不足により、エンジン吹きなどの変速異常が発生する可能性がある。特に、車両が長時間放置されていた場合などは、一方向弁220、224、228などから作動油が漏洩している可能性があり、エンジン始動後の最初のクラッチツークラッチ変速の際にこのような変速異常が発生する可能性が高くなっている。そこで、エンジン始動直後は、ロックアップリレーバルブ108のスプール弁子148が解放(OFF)側位置に位置される、すなわちロックアップオフ状態となっているため、これらの摩擦係合装置(C2、B1、B3)において、図示しないピストンを非係合側に付勢する図示しないスプリングの付勢力に抗わない範囲の低圧の制御圧PSLUが、予め予圧供給油路218からそれぞれの図示しないピストン油室に供給される。ここで、リニアソレノイドバルブSLUから出力された制御圧PSLUはロックアップリレーバルブ108から予圧供給油路218に供給され、各オリフィス222、226、230を介して各変速用リニアソレノイドバルブSLC2、SLB1、SLB3のドレーンポートEXに供給される。ドレーンポートEXに制御圧PSLUが供給されることで、各摩擦係合装置(C2、B1、B3)の図示しないピストン油室内に作動油が充填される。これにより、例えば車両発進後の最初のクラッチツークラッチ変速においても滑らかな変速が可能となり、エンジン吹きなどの変速異常が防止される。
また、第2制御圧出力ポート188は、後述する図8に示すフェールセーフ機構240の作動弁と連通されている。図8は、フェールセーフ機構240を説明するための油圧制御回路図である。図8に示すように、フェールセーフ機構240は、ブレーキB3への制御圧PSLB3の供給を遮断することが可能な第1作動弁242とブレーキB1への制御圧PSLB1の供給およびブレーキB2への制御圧PSLB2の供給を共に遮断することが可能な第2作動弁244とを備えており、何らかの原因により例えば非励磁状態であっても油圧が出力される変速用リニアソレノイドバルブのオンフェールの発生により、第1変速段乃至第6変速段のうち何れかの変速段を達成させる際に正常時であれば同時に供給されることがない変速用リニアソレノイドバルブの制御圧が同時に供給されるような故障時に、所定の油圧式摩擦係合装置への制御圧の供給を遮断して自動変速機10のインタロックを回避するフェールセーフ機能を有している。なお、本実施例の第1作動弁242および第2作動弁244が、本発明の切換弁に対応している。
第1作動弁242は、一方の軸端側付近から順に他方の軸端側へ向かう程径が大きくされているランド246a、b、cを備えるスプール弁子246と、スプール弁子246の他方の軸端側に設けられてそのスプール弁子246に正常側位置へ向かう推力を付与するすなわちスプール弁子246を正常側位置へ付勢する付勢部材であるスプリング248と、そのスプリング248を収容し且つスプール弁子246を正常側位置へ付勢するために制御圧PSLU(ロックアップオフ時)を受け入れる油室250と、スプール弁子246の他方の軸端側に設けられてそのスプール弁子246と当接するプランジャ252と、スプール弁子246の他方の軸端側に設けられプランジャ252と共にスプール弁子246を正常位置へ付勢するためにDレンジ圧Pを受け入れる油室254と、スプール弁子246の一方の軸端側に設けられてそのスプール弁子246を故障側位置へ付勢するために制御圧PSLB1を受け入れる油室256と、スプール弁子246の一方の軸端付近に設けられてそのスプール弁子246を故障側位置へ付勢するためにランド246aとそのランド246aよりも大きな径のランド246bとの間に作用させる制御圧PSLC2を受け入れる油室258と、スプール弁子246の軸方向中央付近に設けられてそのスプール弁子246を故障側位置へ付勢するためにランド246bとそのランド246bよりも大きな径のランド246cとの間に作用させる制御圧PSLC1を受け入れる油室260と、スプール弁子246の一方の軸端側に設けられてそのスプール弁子246と当接するプランジャ262と、スプール弁子246の一方の軸端側に設けられてプランジャ262と共にスプール弁子246を故障側位置へ付勢するためにリバース圧Pおよび制御圧PSLB2のうちシャトル弁264を介して供給された何れか一方の油圧および制御圧PSLB3のうちシャトル弁266を介して供給された何れか一方の油圧を受け入れる油室268とを備えている。
このように構成された第1作動弁242において、シフトレバー202が「D」ポジションであって、第1変速段乃至第6変速段のうちの何れかの変速段を達成させるための変速用リニアソレノイドバルブの制御圧のみが供給される正常時である場合には、油室256、258、260、268のうちの何れか2つの油室に供給される制御圧による推力に抗して、油室254に供給されるDレンジ圧P およびスプリング248の推力によりプランジャ252と共にスプール弁子246が正常側位置へ切り換えられて、制御圧PSLB3が入力される入力ポート270とブレーキB3および第2作動弁244への油路に接続された供給ポート272とが連通させられ、且つリバース圧Pが入力される入力ポート274と第2作動弁244への油路に接続された供給ポート276とが連通させられる。
つまり、第1作動弁242は、Dレンジ圧Pの発生時である前進走行の際の正常時にはスプリング248の推力およびそのDレンジ圧Pに基づいて正常側位置が維持され、その正常側位置において制御圧PSLB3が供給ポート272からブレーキB3に供給されることを許容する。これにより、シフトレバー202の「D」ポジションにおいてブレーキB3の係合が成立要件となる第3速変速段および第5速変速段の達成が許容される。
一方、シフトレバー202が「D」ポジションであって第1変速段乃至第6変速段のうちの何れかの変速段を達成させる際に正常時であれば同時に供給されることがない、制御圧PSLC1、制御圧PSLC2、制御圧PSLB1、および制御圧PSLB2或いは制御圧PSLB3のうち少なくとも3つの変速用リニアソレノイドバルブの制御圧が同時に供給されるような故障時である場合には、油室254に供給されるDレンジ圧Pおよびスプリング248の推力に抗して、油室256、258、260、268のうちの少なくとも3つの油室に供給される制御油圧による推力によりスプール弁子246が故障側位置に切り換えられて、入力ポート270から供給ポート272への油路が遮断されると共に入力ポート274と供給ポート272とが連通させられ、且つDレンジ圧Pが入力される入力ポート278と供給ポート276とが連通させられる。
つまり、第1作動弁242は、Dレンジ圧Pの発生時である前進走行の際の上記故障時には、制御圧PSLC1、制御圧PSLC2、制御圧PSLB1、および制御圧PSLB2或いは制御圧PSLB3のうち少なくとも3つの変速用リニアソレノイドバルブの制御圧の発生に基づいて故障側位置へ切り換えられ、その故障位置においてブレーキB3への制御圧PSLB3の供給を遮断すると共に、故障時の所定油圧としてのDレンジ圧PDを第2作動弁244へ出力するこりにより、前進走行の際の故障時にブレーキB3の異常な係合に起因する自動変速機10のインタロックが回避され得る。
第2作動弁244は、一方の軸端側付近から順に他方の軸端側へ向かう程径が大きくされているランド280a、b、c、dを備えるスプール弁子280と、そのスプール弁子280の他方の軸端側に設けられそのスプール弁子280に正常側位置へ向かう推力を付与するすなわちスプール弁子280を正常側位置へ付勢する付勢部材であるスプリング282と、そのスプリング282を収容し且つスプール弁子280を正常側位置へ付勢するために制御圧PSLU(ロックアップオフ時)を受け入れいる油室284と、スプール弁子280の他方の軸端側に設けられそのスプール弁子280と当接するプランジャ286と、スプール弁子280の他方の軸端側に設けられプランジャ286と共にスプール弁子280を正常側位置へ付勢するために第1ライン圧PL1を受け入れる油室288と、スプール弁子280の一方の軸端側に設けられてそのスプール弁子280を故障側位置へ付勢するために供給ポート276からの油圧(Dレンジ圧P或いはリバース圧P)を受け入れる油室290と、スプール弁子280の一方の軸端側付近に設けられてそのスプール弁子280を故障側位置へ付勢するためにランド280aとそのランド280aよりも大きな径のランド280bとの間に作用させるリバース圧Pおよび制御圧PSLB2のうちシャトル弁264を介して供給された何れか一方の油圧を受け入れる油室292と、スプール弁子280の軸方向中央付近に設けられてそのスプール弁子280を故障側位置へ付勢するためにランド280cとそのランド280cよりも大きな径のランド280dとの間に作用させる制御圧PSLB1を受け入れる油室294と、スプール弁子280の一方の軸端側に設けられてスプール弁子280と当接するプランジャ296と、スプール弁子280の一方の軸端側に設けられてプランジャ296と共にスプール弁子280を故障側位置へ付勢するために供給ポート272からの油圧(制御圧PSLB3或いはリバース圧P)を受け入れる油室298とを備えている。
このように構成された第2作動弁244において、シフトレバー202が「D」ポジションであって第1変速段乃至第6変速段のうちの何れかの変速段を達成させるための変速用リニアソレノイドバルブの制御圧のみが供給される正常時である場合には、油室290、292、294、298のうちの多くとも1つの油室に供給される制御圧による推力に抗して、油室288に供給される第1ライン圧PL1およびスプリング282の推力によりプランジャ286と共にスプール弁子280が正常位置へ切り換えられて、制御圧PSLB1が入力される入力ポート300とブレーキB1への油路に接続された供給ポート302とが連通させられ、且つ制御圧PSLB2が入力される入力ポート304とブレーキB2の油路に接続された供給ポート306とが連通させられる。
つまり、第2作動弁244は、Dレンジ圧PDの発生時である前進走行の際の正常時には、スプリング282の推力および第1ライン圧PL1に基づいて正常側位置が維持され、その正常側位置において制御圧PSLB1および制御圧PSLB2がそれぞれブレーキB1およびブレーキB2へ供給されることを許容する。これにより、シフトレバー202の「D」ポジションにおいてブレーキB1或いはブレーキB2の係合が成立要件となる第1変速段、第2変速段、および第6変速段の達成が許容される。
一方、シフトレバー202が「D」ポジションであって、第1変速段乃至第6変速段のうちの何れかの変速段を達成させる際に正常時であれば同時に供給されることがない、制御圧PSLB1、制御圧PSLB2、制御圧PSLB3、および故障時の所定油圧として第1作動弁242から出力されるDレンジ圧Pの少なくとも2つの油圧が同時に供給されるような故障である場合には、油室288に供給される第1ライン圧PL1およびスプリング282の推力に抗して油室290、292、294、298のうちの少なくとも2つの油室に供給される油圧による推力によりスプール弁子280が故障位置へ切り換えられて、入力ポート300から供給ポート302への油路が遮断させられると共にオリフィスを経由して制御圧PSLU(ロックアップオフ時)が入力される入力ポート308と供給ポート302とが連通させられ、入力ポート304から供給ポート306への油路が遮断させられると共にリバース圧Pが入力される入力ポート310と供給ポート306とが連通させられる。
つまり、第2作動弁244は、Dレンジ圧Pの発生時である前進走行の際の上記故障時には制御圧PSLB1、制御圧PSLB2、制御圧PSLB3、および故障時の所定油圧として第1作動弁242から出力されるDレンジ圧Pのうちの少なくとも2つの油圧の発生に基づいて故障側位置へ切り換えられてその故障側位置においてブレーキB1への制御圧PSLB1の供給およびブレーキB2の制御圧PSLB2の供給を遮断する。これにより、前進走行時の故障の際にブレーキB1またはブレーキB2の異常な係合に起因する自動変速機10のインタロックが回避される。
そして、油圧制御装置100は、前記機能を有する第1作動弁242および第2作動弁244を備えることにより、第1変速段乃至第6変速段のうちの何れかの変速段を達成させる際に正常であれば同時に供給されることがない制御圧PSLC1、制御圧PSLC2、制御圧PSLB1、制御圧PSLB2、および制御圧PSLB3(以下、制御圧PSLC1乃至制御圧PSLB3という)のうちの少なくとも3つの制御圧が同時に供給された故障時には、クラッチCおよびブレーキBのうち3つ異常の油圧式摩擦係合装置が同時に係合されず、且つブレーキB1とブレーキB2とが係合されないように構成されている。
例えば、制御圧PSLC1および制御圧PSLC2の供給により第4変速段を達成させる際に変速用リニアソレノイドバルブSLB3のオンフェールにより制御圧PSLB3が同時に供給されるような故障時には、第1作動弁242が制御圧PSLC1、制御圧PSLC2、および制御圧PSLB3の発生に基づいて故障側位置へ切り換えられることによりブレーキB3への制御圧PSLB3の供給が遮断されるので、クラッチC1、クラッチC2、およBブレーキB3が係合させられることによる自動変速機10のインタロックが回避されると共に、制御圧PSLC1および制御圧PSLC2によりクラッチC1およびクラッチC2のみが係合させられて第4変速段が達成させられる。
また、制御圧PSLC1および制御圧PSLB2の供給により第1変速段を達成させる際に、変速用リニアソレノイドバルブSLB1のオンフェールにより制御圧PSLB1が同時に供給されるような故障時には、第2作動弁244が制御圧PSLB1および制御圧PSLB2の発生に基づいて故障側位置に切り換えられることによりブレーキB1への制御圧PSLB1の供給およびブレーキB2への制御圧PSLB2の供給が遮断されるので、クラッチC1、ブレーキB1、およびブレーキB2が係合させられることによる自動変速機10のインタロックが回避されると共に、制御圧PSLC1によりクラッチC1のみが係合させられて自動変速機10がニュートラル状態とされる。
また、制御圧PSLC1および制御圧PSLB2の供給により第1変速段を達成させる際に変速用リニアソレノイドバルブSLC2のオンフェールにより制御圧PSLC2が同時に供給されるような故障時には、第1作動弁242が制御圧PSLC1、制御圧PSLC2、および制御圧PSLB2の発生に基づいて故障側位置へ切り換えられることによりDレンジ圧Pが第2作動弁244へ出力されると共に、第2作動弁244が制御圧PSLB2および第1作動弁242から出力されるDレンジ圧Pの発生に基づいて故障側位置に切り換えられることによりブレーキB2への制御圧PSLB2の供給が遮断されるので、クラッチC1、クラッチC2、およびブレーキB2が係合させられることによる自動変速機10のインタロックが回避されると共に、制御圧PSLC1および制御圧PSLC2のみが係合させられて第4変速段が達成される。
また、制御圧PSLC1および制御圧PSLB2の供給により第1変速段を達成させる際に変速用リニアソレノイドバルブSLB3のオンフェールにより制御圧PSLB3が同時に供給されるような故障時には、第1作動弁242においては、制御圧PSLC1と制御圧PSLB2または制御圧PSLB3とが入力されるだけであるため正常側位置がそのまま維持されるが、第2作動弁244が制御圧PSLB2および制御圧PSLB3の発生に基づいて故障側位置に切り換えられることによりブレーキB2への制御圧PSLB2の供給が遮断されるので、クラッチC1、ブレーキB2、およびブレーキB3が係合されることによる自動変速機10のインタロックが回避されると共に、制御圧PSLC1および制御圧PSLB3によりクラッチC1およびブレーキB3のみが係合させられて第3変速段が達成される。
以下、故障となるような制御圧が同時供給される上記の他の異常な組合せはいちいち例示しないが、第1作動弁242および第2作動弁244により、第1変速段乃至第6変速段のうちの何れかの変速段を達成させる際に正常時であれば同時に供給されることがない制御圧が同時に供給された故障時には、自動変速機10のインタロックする全ての組合せが回避される。
また、第1作動弁242および第2作動弁244は、シフトレバー202が「D」ポジションである前進走行の際には、故障時のみ故障側へ作動する構成とされているので、正常時すなわち通常時の変則には影響を及ぼさない。
ここで、シフトレバー202が「R」ポジションへ操作された場合には、第1作動弁242において、スプリング248の推力に抗して油室268に供給されるリバース圧Pによる推力のみによりスプール弁子246が故障側位置に切り換えられて入力ポート274と供給ポート272とが連通させられると共に、第2作動弁244において、油室288に供給される第1ライン圧PL1およびスプリング282の推力に抗して油室292に供給されるリバース圧Pおよび供給ポート272から油室298に供給されるリバース圧Pによる推力のみによりスプール弁子280が故障側位置に切り換えられて入力ポート310と供給ポート306とが連通させられる。
つまり、リバース圧Pの発生時である後進走行の際には、第1作動弁242は専らリバース圧Pの発生に基づいて故障側位置へ切り換えられると共に、その故障側位置においてリバース圧PがブレーキB3へ供給されることを許容し、第2作動弁244は専らリバース圧Pの発生に基づいて故障側位置へ切り換えられると共に、その故障側位置においてリバース圧PがブレーキB2へ供給されることを許容する。これにより、シフトレバー202の「R」ポジションにおいてブレーキB2およびブレーキB3の係合が成立要件となる後進変速段が達成させられ得る。なお、本実施例のブレーキB2およびB3が、本発明の自動変速機の後進変速段を成立させるために係合させられる後進用摩擦係合装置に対応している。
また、このシフトレバー202の「R」ポジションへの操作時には、第1作動弁242および第2作動弁244は、作動油に混入した微少異物を排出することができてその蓄積が抑制されるように、専らそれぞれのスプール弁子を故障側位置へ切り換えるための部品例えばスプリング等を各弁に設けることなしに、リバース圧Pによって故障時でなくとも故障側位置にぞれぞれ切り換えられる。これにより、第1作動弁242および第2作動弁244のバルブスティックの可能性を低くすることができ、実際の故障時に第1作動弁242および第2作動弁244のバルブスティックの可能性を低くすることができ、実際の故障時に第1作動弁242および第2作動弁244の作動不良が生じることを抑制することができる。また、通常の使用であれば当然行われる後進走行の際に発生させられるリバース圧Pを用いてプランジャ252、262、286、296と共にスプール弁子246、280が移動させられて弁全体が故障側位置へ切り換えられるので、作動不良が抑制される信頼度の高いフェールセーフ機能を保持しつつ部品点数が削減される。
ところで、シフトレバー202が「R」ポジションへ操作されて第1作動弁242および第2作動弁244がリバース圧Pに基づいてそれぞれ故障側位置へ切り換えられる際に、すなわちN→R操作の際に、ブレーキB2およびブレーキB3へ比較的大きなリバース圧Pが直接的に供給されると係合ショックが発生する可能性がある。
そこで、このN→R操作の際には、リバース圧Pに基づいて故障側位置へ切り換えられてそのリバース圧PによりブレーキB2およびブレーキB3がそれぞれ係合される前に、第1作動弁242および第2作動弁244をそれぞれ一時的に正常側位置に切り換え、その正常側位置において制御圧PSLB2および制御圧PSLB3によりブレーキB2およびブレーキB3の係合過渡油圧をそれぞれ制御させる。ここで、このN→Rの操作時の際には、ロックアップクラッチ28がロックアップオフとされることから、ロックアップオフ時のリニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUを用いて第1作動弁242および第2作動弁244を一時的に正常側位置へ固定(ロック)させる。
より具体的には、N→R操作の際に制御圧PSLB3よりも大きなリバース圧Pが直接的に供給されてブレーキB3が係合されることに比較して係合ショックが抑制されるように、第1作動弁242は電子制御装置90の励磁制御指令によって一時的に油室250に入力される制御圧PSLUに基づいて正常側位置に切り換えると共に、この正常側位置に維持されている間、電子制御装置90の調圧制御指令による制御圧PSLB3が入力ポート270から供給ポート272を経てブレーキB3へ供給されてそのブレーキB3が所定の係合速度で滑らかに係合させられる。なお、第1作動弁242において、正常側位置は制御圧PSLB3がブレーキB3へ供給される本発明における過渡位置でもあり、故障側位置はリバース圧PがブレーキB3へ供給される本発明の定常位置でもある。
また、N→R操作の際に制御圧PSLB2よりも大きなリバース圧Pが直接的に供給されてブレーキB2が係合されることに比較して係合ショックが抑制させるように、第2作動弁244は電子制御装置90の励磁制御指令によって一時的に発生させられて油室284に入力される制御圧PSLU(ロックアップオフ時)に基づいて正常側位置に切り換えると共に、この正常側位置に維持されている間、電子制御装置90の調圧制御指令による制御圧PSLB2が入力ポート304から供給ポート306を経てブレーキB2に供給されてそのブレーキB2が所定の係合速度で滑らかに係合させられる。なお、第2作動弁244において、正常側位置は制御圧PSLB2がブレーキB2へ供給される本発明における過渡位置でもあり、故障側位置はリバース圧PがブレーキB2へ供給される本発明における定常位置でもある。
また、上記一時的な制御圧PSLU(ロックアップオフ時)の発生は、ブレーキB2およびブレーキB3はそれぞれ供給される制御圧PSLB2および制御圧PSLB3からリバース圧Pへの切換えの際の切換えショックが抑制されるように、予め定められた所定時間が経過するか、或いは制御圧PSLB2および制御圧PSLB3がそれぞれ予め定められた所定の係合圧以上に増加するまで継続される。また、この制御圧PSLUの供給は、ロックアップクラッチ28のロックアップオン時はロックアップリレーバルブ108によって遮断されるため、この制御圧PSLUが変速制御部190に影響を及ぼすことは阻止されている。
このように、第1作動弁242は、後進変速段達成時における制御圧PSLB3とリバース圧Pとを切り換えるための切換えバルブの機能を有している。また、第2作動弁244は、後進変速段達成時における制御圧PSLB2とリバース圧Pとを切り換えるための切換えバルブとしての機能を有している。これにより、このような切換えバルブが第1作動弁242および第2作動弁244とは別に設けられることに比較して、油圧制御装置100の構成部品の削減により小型化および重量やコスト低減が可能になる。
また、N→R操作の際には、専ら第1作動弁242および第2作動弁244をそれぞれ正常位置へ付勢するための制御圧を発生する制御圧発生装置を設けることなしに、ロックアップクラッチ28のスリップ状態乃至ロックアップオンを制御するためのリニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUによって正常側位置へ切り換えられる。これにより、このような制御圧発生装置がリニアソレノイドバルブSLUとは別に設けられることに比較して、油圧制御装置100の構成部品の削減により小型化および重量やコスト低減が可能になる。
上述のように、本実施例の油圧制御装置100によれば、リニアソレノイドバルブSLUから出力される制御圧PSLUは、既存のロックアップリレーバルブ108を介して選択的にロックアップコントロールバルブ112および車両用自動変速機10の変速制御部190に供給されるため、新たにバルブを追加することなくリニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUを有効に利用することができる。
また、本実施例の油圧制御装置100によれば、ロックアップリレーバルブ108が係合側状態に切り換えられると、スプール弁子148が係合側位置に移動させられるため、制御圧入力ポート184に供給されたリニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUが第1制御圧出力ポート186を介してロックアップコントロールバルブ112に供給され、ロックアップクラッチ28のトルク容量を制御することができる。また、ロックアップリレーバルブ108が解放側状態に切り換えられると、スプール弁子148が解放側位置に移動させられるため、制御圧入力ポート184に供給されたリニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUが第2制御圧出力ポート188を介して前記車両用自動変速機10の変速制御部190に供給される。これにより、ロックアップリレーバルブ108が解放側状態の際には使用されないリニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUを用いて変速制御部190の制御を行うことができる。
また、本実施例の油圧制御装置100によれば、リニアソレノイドバルブSLUから出力される制御圧PSLUが第1作動弁242および第2作動弁244に供給されると、第1および第2作動弁242、244は変速用リニアソレノイドバルブSLB2、SLB3から出力される制御圧PSLB2、PSLB3を後進用摩擦係合装置B2、B3に供給する過渡位置に一時的に切り換えることができる。これにより、後進用摩擦係合装置B2、B3には、変速用リニアソレノイドバルブSLB2、SLB3によって調圧された制御圧PSLB2、PSLB3が供給され、滑らかな変速が可能となる。
また、本実施例の油圧制御装置100によれば、リニアソレノイドバルブSLUから出力される制御圧PSLUは、クラッチツークラッチ変速の係合側摩擦係合装置C2、B1、B3に予圧供給油路218を介して予め供給されるため、クラッチツークラッチ変速の際の変速ショックを抑制させることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、本実施例の車両用自動変速機の油圧制御装置100では、流体式伝動装置としてトルクコンバータ32が用いられていたが、特にトルクコンバータ32限定されず、フルードカップリングを用いて実施してもよい。
また、本実施例の自動変速機10は、前進6段の遊星歯車式多段変速機であったが、自動変速機は、他の形式の自動変速機であっても本発明は適用することができる。たとえば、前進4段、前進5段、或いはそれ以上の変速段を有する多段変速機であってもよい。また、動力伝達部材として機能する伝動ベルトの有効径が可変である一対の可変プーリに巻き掛けられて変速比が無段階に連続的に変化させられる形式のベルト式無段変速機、或いは、エンジンからの動力を第1電動機および出力軸へ分配する例えば遊星歯車装置で構成される差動機構とその差動機構の出力軸に設けられた第2電動機とを備えてその差動機構の差動作用によりエンジンからの動力の残部を第1電動機から第2電動機にへの電気パスを用いて電気的に伝達することにより電気的に変速比が変更される自動変速機例えば電気的な無段変速機として機能させられるハイブリッド車両用駆動装置などに適用することもできる。
また、本実施例の油圧制御装置100は、電磁弁装置として例えば複数の電磁調圧弁すなわち変速用リニアソレノイドバルブSLC1、SLC2、SLB1、SLB2、SLB3を備え、その変速用リニアソレノイドバルブSLC1、SLC2、SLB1、SLB2、SLB3の出力油圧を直接的に油圧式摩擦係合装置の油圧アクチュエータC1、C2、B1、B2、B3にそれぞれ供給しているが、それに替えて、変速用リニアソレノイドバルブSLC1、SLC2、SLB1、SLB2、SLB3に対応するシフトコントロールバルブをそれぞれ備え、変速用リニアソレノイドバルブSLC1、SLC2、SLB1、SLB2、SLB3の出力油圧をパイロット圧として用いることによりそのシフトコントロールバルブから油圧アクチュエータに作動油を供給するように制御してもよい。
また、本実施例のリニアソレノイドバルブSLUから出力される制御圧PSLUは、ロックアップクラッチ28のロックアップオフの際には、クラッチツークラッチ変速の際の係合側の摩擦係合装置C2、B1、B3、および第1および第2作動弁242、244に供給されているが、本発明はそれらの供給先に限定されず、例えば、ロックアップオフ時に変速に関与しない弁のスプール弁子を制御圧PSLUによって強制的に移動させて弁のバルブスティックを防止するなど、制御圧PSLUを他の弁装置などに選択的に供給して他の所定の目的のために利用することができる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明が適用された車両用自動変速機の構成を説明する骨子図である。 図1の車両用自動変速機の複数の変速段を成立させる際の摩擦係合装置の作動状態を説明する図表である。 図1の自動変速機などを制御するために車両に設けられた電気的な制御系統の要部を説明するブロック線図である。 図3の電子制御装置によって行われる自動変速機の変速制御で用いられる変速線図(マップ)の一例を示す図である。 油圧制御回路のうち主にトルクコンバータに備えられているロックアップクラッチを制御する要部構成を説明する回路図である。 トルクコンバータにおけるロックアップクラッチの制御に用いられるロックアップ領域線図の一例を説明する図である。 油圧制御回路のうち図6の回路図を含め主に自動変速機の変速を制御するためのクラッチおよびブレーキの係合と解放とを制御する要部構成を説明する回路図である。 油圧制御回路のうち主に自動変速機のインタロックを回避するための要部構成を説明する回路図である。
符号の説明
10:車両用自動変速機 28:ロックアップクラッチ 32:トルクコンバータ(流体式伝動装置) 100:油圧制御回路 108:ロックアップリレーバルブ 112:ロックアップコントロールバルブ 148:スプール弁子 184:制御圧入力ポート(入力ポート) 186:第1制御圧出力ポート(第1出力ポート) 188:第2制御圧出力ポート(第2出力ポート) 190:変速制御部 200:マニュアルバルブ 202:シフトレバー 242:第1作動弁(切換弁) 244:第2作動弁(切換弁) SLU:リニアソレノイドバルブ C2:クラッチ(係合側摩擦係合装置) B1:ブレーキ(係合側摩擦係合装置) B2:ブレーキ(後進用摩擦係合装置) B3:ブレーキ(後進用摩擦係合装置、係合側摩擦係合装置) SLC1、SLC2、SLB1、SLB2、SLB3:変速用リニアソレノイドバルブ

Claims (3)

  1. ロックアップクラッチが備え付けられた流体式伝動装置と、制御圧を出力するためのリニアソレノイドバルブと、該ロックアップクラッチの作動状態を解放側状態および係合側状態の何れかに択一的に切り換えるためのロックアップリレーバルブと、該ロックアップリレーバルブが係合側状態に切り換えられているときに前記制御圧に基づいて作動させられることにより該ロックアップクラッチのトルク容量を制御するロックアップコントロールバルブと、を備えた車両用自動変速機の油圧制御装置であって、
    前記リニアソレノイドバルブから出力される前記制御圧は、前記ロックアップリレーバルブを介して選択的に前記ロックアップコントロールバルブおよび前記車両用自動変速機の変速制御部に供給され
    前記変速制御部は、前記自動変速機の後進変速段を成立させるために係合させられる後進用摩擦係合装置と、該後進用摩擦係合装置に作動油を供給する変速用リニアソレノイドバルブと、シフトレバーが後進ポジションへ操作されたときに後進レンジ圧を発生させるマニュアルバルブと、前記変速用リニアソレノイドバルブからの作動油を前記後進用摩擦係合装置に供給する過渡位置と該マニュアルバルブからの作動油を前記後進用摩擦係合装置に供給する定常位置とに切り換えられる切換弁とを備えたものであり、
    前記制御圧は、該切換弁を前記過渡位置に一時的に切り換えるために該切換弁に供給されるものであることを特徴とする車両用自動変速機の油圧制御装置。
  2. 前記ロックアップリレーバルブは、前記制御圧が供給される入力ポートと、前記ロックアップコントロールバルブに接続される第1出力ポートと、前記変速制御部に接続される第2出力ポートと、前記入力ポートと前記第1出力ポートとを連通させる第1位置および前記入力ポートと前記第2出力ポートとを連通させる第2位置の2位置に切り換えるためのスプール弁子とを備え、
    前記スプール弁子は、前記ロックアップリレーバルブが係合側状態に切り換えられたときは前記第1位置に移動させられ、解放側状態に切り換えられたときは前記第2位置に移動させられることを特徴とする請求項1の車両用自動変速機の油圧制御装置。
  3. 前記変速制御部は、前記車両用自動変速機のクラッチツークラッチ変速のために用いられる係合側摩擦係合装置と、該係合側摩擦係合装置の非係合時に低圧の作動油を予め供給するための予圧供給油路を備えたものであり、
    前記制御圧は、前記予圧供給油路に供給されるものであることを特徴とする請求項1または2の車両用自動変速機の油圧制御装置。
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