JP4919558B2 - ミシンの枠駆動機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工布を展張保持する縫製枠を駆動する枠駆動機構に関するものである。なお、ミシンにおいては慣行的に左右方向をX方向(又はV方向)といい、前後方向をY方向(又はH方向)というので、本明細書でもそれに従う。
【0002】
【従来の技術】
業務用の刺繍ミシンにおける縫製枠(刺繍枠)は平面四角枠状に形成されたものが多く、その枠内に1枚の加工布を展張保持する。この縫製枠が小さい場合には剛性が高いのでたわみ変形は生じないが、縫製枠が大きく各辺が長い場合には剛性の確保が難しいので、その辺の1〜2箇所の作用点を駆動するだけでは、その作用点が移動することにより刺繍枠にたわみ変形が生じるおそれがある。
【0003】
このたわみ変形を防止する一機構として、特開平5−163660号公報には、図6に示すように、テーブル80上の刺繍枠50の短辺の一方に駆動体51を沿わせて結合するとともに、刺繍枠50の長辺の一方に駆動体55を沿わせて結合し、テーブル80の下方に設けたX方向駆動機構60とY方向駆動機構70とを両駆動体51,55に結合し、両駆動体51,55を介して前記短辺及び長辺から刺繍枠50を駆動することで、作用点の移動に拘わらず、刺繍枠50のたわみ変形を防止する機構が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のY方向駆動機構70は駆動体55を介して刺繍枠50の一方の長辺のみを駆動するように構成されており、Y方向駆動機構70の駆動力が刺繍枠50の短辺を介して他方の長辺に伝動されるようになっているため、刺繍枠50の短辺のたわみ変形により刺繍枠50の他方の長辺に移動誤差が生じるという問題がある。また、同駆動力は、刺繍枠50の両短辺を介して該他方の長辺の両端部に伝動されるので、該長辺の長さ方向中央部にたわみ変形が生じ、もって移動誤差が生じるという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決し、大型の縫製枠のたわみ変形による移動誤差を低減することができるミシンの枠駆動機構を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のミシンの枠駆動機構は、駆動方向にスライド自在に支持された第1可動部と、回転駆動される第1駆動プーリと、第1駆動プーリからみて駆動方向の一方側に間隔を置いて回転自在に支持された第1被動プーリと、第1駆動プーリ及び第1被動プーリに巻き掛けられるとともに、第1可動部に連結された第1ベルト部とを備えた一方側枠駆動要素と、
駆動方向にスライド自在に支持された第2可動部と、回転駆動される第2駆動プーリと、第2駆動プーリからみて駆動方向の他方側に間隔を置いて回転自在に支持された第2被動プーリと、第2駆動プーリ及び第2被動プーリに巻き掛けられるとともに、第2可動部に連結された第2ベルト部とを備えた他方側枠駆動要素とを含み、
一方側枠駆動要素及び他方側枠駆動要素は、第1駆動プーリの回転軸と第2駆動プーリの回転軸とが軸芯が一致するように配設されて互いに連結され、第1可動部が一つの平面四角枠状の縫製枠の駆動方向における一方側の辺のみに係合され、第2可動部が前記縫製枠の駆動方向における他方側の辺のみに係合されている。
【0007】
前記枠駆動機構をミシンに配設する態様としては、特に限定されないが、上側から縫製枠を駆動するように縫製枠の上側に配設する態様や、下側から縫製枠を駆動するように縫製枠の下側に配設する態様を例示する。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜図4は本発明を具体化した一実施形態の多頭式ミシンの枠駆動機構を示している。このミシンは、床面に立つ左右一対の支柱1と、該両支柱1の下部間及び上部間に支持されてそれぞれ左右方向に延びる下フレーム2及び上フレーム3とからなる機枠を有している。下フレーム2にはテーブル4が略水平に支持されている。上フレーム3は両支柱1の後側に支持された後側上フレーム3aと、両支柱1の前側に支持された前側上フレーム3bとからなっており、該前側上フレーム3bの前面には複数のミシンヘッド6が左右方向に所定間隔をおいて列設されている。下フレーム2には複数のベッド7が各ミシンヘッド6の直下位置にテーブル4と略同一高さで列設されている。周知の通り、ミシンヘッド6で上下往復駆動される針と、ベッド7で回転駆動される釜との協働により、後述する加工布に縫製が行なわれる。
【0009】
テーブル4の直ぐ上方には、直接的に加工布を張設保持するための平面横長四角枠状の縫製枠10(刺繍ミシンにおいては刺繍枠)が配設されている。この各辺を後側X長辺10a、前側X長辺10b、右側Y短辺10c、左側Y短辺10dとする。
【0010】
まず、後側X長辺10aの後縁部、及び前側X長辺10bの前縁部には、縫製枠10をY方向に駆動するための後側Y方向駆動枠15a及び前側Y方向駆動枠15bが、Y方向には相対移動不能に且つX方向には相対移動可能にそれぞれ結合されている。後側X長辺10aと後側Y方向駆動枠15aとの結合構造と、前側X長辺10bと前側Y方向駆動枠15bとの結合構造とは同様である。このため前者についてのみ具体的に説明すると、後側Y方向駆動枠15aの前縁部には平面壁からX方向に延びる縦壁16が垂下した形状部分が形成され、後側X長辺10aに立設された一対の支軸に回転可能に軸着された一対の係合ローラ17が縦壁16の一つにそれを挟むように係合している。後側X長辺10aと後側Y方向駆動枠15aとがY方向に相対移動不能なのは係合ローラ17が縦壁16に当接しているからであり、X方向に相対移動可能なのは係合ローラ17が回転して相対移動を許容するからである。この係合ローラ17は後側X長辺10aのX方向に複数対設けられている。
【0011】
また、右側Y短辺10cの右縁部には、縫製枠10をX方向に駆動するためのX方向駆動枠11が、X方向には相対移動不能に且つY方向には相対移動可能に結合されている。この結合構造も、前述した後側X長辺10aと後側Y方向駆動枠15aとの結合構造と同様に構成されている。
【0012】
X方向駆動枠11と、後側Y方向駆動枠15a及び前側Y方向駆動枠15bとは、それぞれが対応する右側Y短辺10cと、後側X長辺10a及び前側X長辺10bよりも充分に長く設定されている。さらに、X方向駆動枠11と、後側Y方向駆動枠15a及び前側Y方向駆動枠15bとが、互いに干渉し合わないように上下にずらせて交差されている。本実施形態では、X方向駆動枠11の方が下側になるので、該X方向駆動枠11を該駆動枠11より下方に設けたX方向駆動機構20によりX方向駆動し、後側Y方向駆動枠15a及び前側Y方向駆動枠15bの方が上側となるので、該両Y方向駆動枠15a,15bをそれより上方に設けた、本発明の枠駆動機構としてのY方向駆動機構25によりY方向駆動するように構成されている。
【0013】
Y方向駆動機構25は、両Y方向駆動枠15a,15b及びテーブル4より上方において、上フレーム3に設けられた3つの後側枠駆動要素30a及び2つの前側枠駆動要素30bを備えている。後側枠駆動要素30aは前側上フレーム3bの両側及び略中央においてそれぞれ後方に向けて延設されており、前側枠駆動要素30bは前側上フレーム3bの両側においてそれぞれ前方に向けて延設されている。各枠駆動要素30a,30bは、上フレーム3に支持されたレール土台9と、該レール土台9に取り付けられたガイドレール31と、該ガイドレール31に沿って駆動方向にスライド自在に支持された可動部32と、該ガイドレール31の両端側においてレール土台9に回転自在に支持された駆動プーリ34a及び被動プーリ34bと、該両プーリ34a,34bに巻き掛けられるとともに、可動部32に連結されたベルト部35とを備えている。後側枠駆動要素30aは駆動プーリ34aが被動プーリ34bより前側に配設され、その逆に前側枠駆動要素30bは駆動プーリ34aが被動プーリ34bより後側に配設されている。各駆動プーリ34aは、その回転軸37の軸芯が一致するように配設されており、前側上フレーム3bの略中央に設けられた駆動モータ36の回転軸を介して互いに連結されている。そして、後側枠駆動要素30a及び前側枠駆動要素30bの可動部32は、それぞれ連結部材33を介して後側Y方向駆動枠15a及び前側Y方向駆動枠15bに連結されている。
【0014】
以上のように構成されたミシンのY方向駆動機構25によれば、前側上フレーム3bの後方に延設された後側枠駆動要素30aと、前側上フレーム3bの前方に延設された前側枠駆動要素30bとを備え、該一対の枠駆動要素30a,30bは、回転駆動される各駆動プーリ34aの回転軸37が互いに連結され、各被動プーリ34bがY方向に互いに距離を置いて配設され、各可動部32が後側Y方向駆動枠15a及び前側Y方向駆動枠15bにそれぞれ係合されているので、縫製枠10の後側X長辺10a及び前側X長辺10bの両方を駆動することができる。このように従来とは異なり縫製枠10の枠剛性にたよらずに、縫製枠10の後側X長辺10a及び前側X長辺10bの両方を駆動するようになっているので、縫製枠10のたわみ変形による移動誤差を低減することができる。従って、縫製枠10が大きく、その各辺が長い場合であっても、精度よく大柄刺繍を行うことができる。
【0015】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)下側から縫製枠10を駆動するようにY方向駆動機構25を構成すること。例えば、図5に示すように、Y方向駆動機構25をテーブル4上面より下側に設け、可動部32の上面に立設した係合ローラ17を縫製枠10の下側に係合させることにより、縫製枠10を駆動するように構成する態様が挙げられる。
(2)駆動モータ36の配設位置を適宜変更すること。例えば、上フレームの左側又は右側に配設する態様が挙げられる。
【0016】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係るミシンの枠駆動機構によれば、大型の縫製枠のたわみ変形による移動誤差を低減することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る枠駆動機構を備えたミシンの平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】同枠駆動機構を示す斜視図である。
【図4】同ミシンの駆動枠及び縫製枠を示す斜視図である。
【図5】同枠駆動機構の変更例を示す平面図である。
【図6】従来のミシンの斜視図である。
【符号の説明】
10 縫製枠
10a 後側X長辺
10b 前側X長辺
15a 後側Y方向駆動枠
15b 前側Y方向駆動枠
25 Y方向駆動機構
30a 後側枠駆動要素
30b 前側枠駆動要素
32 可動部
34a 駆動プーリ
34b 被動プーリ
35 ベルト部
36 駆動モータ
37 回転軸

Claims (1)

  1. 駆動方向にスライド自在に支持された第1可動部と、回転駆動される第1駆動プーリと、第1駆動プーリからみて駆動方向の一方側に間隔を置いて回転自在に支持された第1被動プーリと、第1駆動プーリ及び第1被動プーリに巻き掛けられるとともに、第1可動部に連結された第1ベルト部とを備えた一方側枠駆動要素と、
    駆動方向にスライド自在に支持された第2可動部と、回転駆動される第2駆動プーリと、第2駆動プーリからみて駆動方向の他方側に間隔を置いて回転自在に支持された第2被動プーリと、第2駆動プーリ及び第2被動プーリに巻き掛けられるとともに、第2可動部に連結された第2ベルト部とを備えた他方側枠駆動要素とを含み、
    一方側枠駆動要素及び他方側枠駆動要素は、第1駆動プーリの回転軸と第2駆動プーリの回転軸とが軸芯が一致するように配設されて互いに連結され、第1可動部が一つの平面四角枠状の縫製枠の駆動方向における一方側の辺のみに係合され、第2可動部が前記縫製枠の駆動方向における他方側の辺のみに係合されたミシンの枠駆動機構。
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