JP4917566B2 - プラスチック成形機洗浄用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
ここで洗浄能力とは、洗浄剤により成形機内に残留しスクリューやその周囲のシリンダー等に付着した先行樹脂が全て排出されて、該洗浄剤で完全に置き換えられるまでの「洗浄剤への置換性」と、該洗浄剤の排出後、成形機内に残留した洗浄剤が後続樹脂と共に全て排出されて、該後続樹脂へと完全に切り替えられるまでの「後続樹脂への切替性」、すなわち「洗浄剤の自己排出性」とにより評価されるもので、本発明者は、上記第1の熱可塑性樹脂(A)単独よりも、むしろ、それと上記第2の熱可塑性樹脂(B)とを組み合わせることにより、上記「洗浄剤の自己排出性」が向上し洗浄能力が著しく改善されることを見出して本発明に至ったのである。
したがって、本発明に係るプラスチック成形機洗浄用樹脂組成物は、第1の熱可塑性樹脂(A)としての高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対し、第2の熱可塑性樹脂(B)としてのポリプロピレン系樹脂20〜500重量部と、架橋ポリエチレン樹脂(C)の細片20〜500重量部と、界面活性剤(D)1〜50重量部と、を含んで成ることを特徴としている。
一方、第2の熱可塑性樹脂(B)としては、上記第1の熱可塑性樹脂(A)と部分相溶するか或いは非相溶で、同じ温度領域にて溶融するポリプロピレン系樹脂又はポリスチレン系樹脂がより好適に用いられるが、その中でも特にポリプロピレン系樹脂としてはポリプロピレンホモポリマー樹脂が最適であり、ポリスチレン系樹脂としてはポリスチレン樹脂又はAS樹脂(アクリロニトリル・スチレン樹脂)が最適である。そして、その添加量は、上記第1の熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは20〜500重量部であるが、より好ましくは30〜350重量部である。添加量が20重量部よりも少ない場合には、自己排出性に劣り後続材料への切り替え性が悪化する。また、500重量部よりも多く添加した場合にも同様のことが起こる。
本発明に係る樹脂組成物から成る洗浄剤は、第1の熱可塑性樹脂(A)、第2の熱可塑性樹脂(B)、架橋ポリエチレン樹脂(C)及び界面活性剤(D)を、各々所定の比率で秤量して機械的に混合した後、加熱溶融混練し、それを粒状に形成することにより得られる。上記秤量物の機械的混合は、Vミキサー、タンブラー、リボンブレンダー等を用いて行うことができる。そして、そこで得られた秤量混合物は、一軸若しくは二軸混練押出機等による加熱混練押し出しによってストランド状に押し出され、その後、カットにより小片化されて粒状に形成される。また、上記秤量混合物を加熱ニーダー又はバンバリーで混練して、それを粉砕処理により小片化して粒状に形成することも可能である。ただし、本発明に係る樹脂組成物の製造方法は、これらに限定されるものではない。また、本発明の目的を損なわない範囲において、上記秤量物に対し、さらに各種添加剤を配合することが可能であることは言うまでもない。
(実施例1)
高密度ポリエチレン樹脂(MI=0.5、190℃)(A)100重量部に対し、ポリプロピレンホモポリマー樹脂(MI=11、230℃)(B)110重量部、電線被覆廃材の架橋ポリエチレン樹脂をプラスチック粉砕機で0.2〜2.5mmに粉砕した粉砕物(C)58重量部、界面活性剤としての直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(D)18重量部をそれぞれ秤量し、Vミキサーで混合した。そして、その混合物を2軸押し出し機によりシリンダー温度200℃〜240℃、スクリュー回転数200RPMで押し出し、カットして粒状のペレットとし、洗浄剤とした。
次いで、その洗浄剤の効果を評価するため、75トン射出成形機を用い、成形機のシリンダー温度230℃〜250℃で、まず先行材料であるポリスチレン樹脂の乳白色品を成形し、成形終了後シリンダーを引きスクリューを回転させて、上記先行材料を完全開放状態で排出させた。その後、ここで製造した洗浄剤250gを成形機に流し、スクリューを回転させ、シリンダー内で計量状態にした後、ノズルを金型にタッチさせて、100×100×3mmの平板の成形作業を行った。洗浄剤が無くなると直ちに後続材料である無色透明なポリスチレン樹脂を成形機に投入して、成形作業を続行し、洗浄剤の投入から後続材料の平板全体が完全に無色透明になるまでの全成形ショットにおけるスプルーとランナー部を含めた樹脂材料の総重量(すなわち、成形機内に残って付着していた先行樹脂の重量と、投入された洗浄剤の重量と、該洗浄剤が完全に排出されて後続樹脂の平板が無色透明になるまでに投入された該後続樹脂の重量との合計重量)を比較した。
本実施例の場合、上記洗浄剤の投入から後続材料が完全に無色透明な平板になるまでの全成形ショットにおいて計量された樹脂の総重量は1153gで、その後は、全く無色透明なポリスチレン樹脂の平板を成形することができた。
高密度ポリエチレン樹脂(MI=0.5、190℃)(A)100重量部に対し、ポリプロピレンホモポリマー樹脂(MI=11、230℃)(B)100重量部、電線被覆廃材の架橋ポリエチレン樹脂をプラスチック粉砕機で0.2〜2.5mmに粉砕した粉砕物(C)91重量部、界面活性剤としての直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(D)18.2重量部をそれぞれ秤量し、Vミキサーで混合した。そして、その混合物を2軸押し出し機によりシリンダー温度200℃〜240℃、スクリュー回転数200RPMで押し出し、カットして粒状のペレットとし、洗浄剤とした。
次いで、その洗浄剤の効果を上記実施例1と同じ方法で評価した。
本実施例の場合、上記洗浄剤の投入から後続材料が完全に無色透明な平板になるまでの全成形ショットにおいて計量された樹脂の総重量は828gで、その後は、全く無色透明なポリスチレン樹脂の平板を成形することができた。
高密度ポリエチレン樹脂(MI=0.5、190℃)(A)100重量部に対し、ポリプロピレンホモポリマー樹脂(MI=12、230℃)(B)60重量部、電線被覆廃材の架橋ポリエチレン樹脂をプラスチック粉砕機で0.2〜2.5mmに粉砕した粉砕物(C)30重量部、界面活性剤としての直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(D)12重量部をそれぞれ秤量し、Vミキサーで混合した。そして、その混合物を2軸押し出し機によりシリンダー温度200℃〜240℃、スクリュー回転数200RPMで押し出し、カットして粒状のペレットとし、洗浄剤とした。
次いで、その洗浄剤の効果を上記実施例1と同じ方法で評価した。
本実施例の場合、上記洗浄剤の投入から後続材料が完全に無色透明な平板になるまでの全成形ショットにおいて計量された樹脂の総重量は1346gで、その後は、全く無色透明なポリスチレン樹脂の平板を成形することができた。
高密度ポリエチレン樹脂(MI=0.5、190℃)(A)100重量部に対し、ポリスチレン樹脂(MI=50、220℃)(B)101重量部、電線被覆廃材の架橋ポリエチレン樹脂をプラスチック粉砕機で0.2〜2.5mmに粉砕した粉砕物(C)101重量部、界面活性剤としての直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(D)10重量部をそれぞれ秤量し、Vミキサーで混合した。そして、その混合物を2軸押し出し機によりシリンダー温度200℃〜240℃、スクリュー回転数200RPMで押し出し、カットして粒状のペレットとし、洗浄剤とした。
次いで、その洗浄剤の効果を上記実施例1と同じ方法で評価した。
本実施例の場合、上記洗浄剤の投入から後続材料が完全に無色透明な平板になるまでの全成形ショットにおいて計量された樹脂の総重量は1090gで、その後は、全く無色透明なポリスチレン樹脂の平板を成形することができた。
高密度ポリエチレン樹脂(MI=0.5、190℃)(A)100重量部に対し、AS樹脂(MI=70、220℃)(B)103重量部、電線被覆廃材の架橋ポリエチレン樹脂をプラスチック粉砕機で0.2〜2.5mmに粉砕した粉砕物(C)103重量部、界面活性剤としての直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(D)20重量部をそれぞれ秤量し、Vミキサーで混合した。そして、その混合物を2軸押し出し機によりシリンダー温度200℃〜240℃、スクリュー回転数200RPMで押し出し、カットして粒状のペレットとし、洗浄剤とした。
次いで、その洗浄剤の効果を上記実施例1と同じ方法で評価した。
本実施例の場合、上記洗浄剤の投入から後続材料が完全に無色透明な平板になるまでの全成形ショットにおいて計量された樹脂の総重量は891gで、その後は、全く無色透明なポリスチレン樹脂の平板を成形することができた。
高密度ポリエチレン樹脂(MI=0.5、190℃)(A)100重量部に対し、電線被覆廃材の架橋ポリエチレン樹脂をプラスチック粉砕機で0.2〜2.5mmに粉砕した粉砕物(C)45.4重量部、直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(D)9.1重量部をそれぞれ秤量し、Vミキサーで混合した。そして、その混合物を2軸押し出し機によりシリンダー温度200℃〜240℃、スクリュー回転数175RPMで押し出し、カットして粒状のペレットとし、洗浄剤とした。
次いで、その洗浄剤の効果を上記実施例1と同じ方法で評価した。
本比較例の場合、上記洗浄剤の投入から後続材料が完全に無色透明な平板になるまでの全成形ショットにおいて計量された樹脂の総重量は2002gで、その後は、全く無色透明なポリスチレン樹脂の平板を成形することができた。
高密度ポリエチレン樹脂(MI=12、190℃)(A)100重量部に対し、電線被覆廃材の架橋ポリエチレン樹脂をプラスチック粉砕機で0.2〜2.5mmに粉砕した粉砕物(C)45.4重量部、直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(D)9.1重量部をそれぞれ秤量し、Vミキサーで混合した。そして、その混合物を2軸押し出し機によりシリンダー温度200℃〜240℃、スクリュー回転数200RPMで押し出し、カットして粒状のペレットとし、洗浄剤とした。
次いで、その洗浄剤の効果を上記実施例1と同じ方法で評価した。
本比較例の場合、上記洗浄剤の投入から後続材料が完全に無色透明な平板になるまでの全成形ショットにおいて計量された樹脂の総重量は1619gで、その後は、全く無色透明なポリスチレン樹脂の平板を成形することができた。
高密度ポリエチレン樹脂(MI=0.5、190℃)(A)100重量部に対し、同じ高密度ポリエチレン樹脂(MI=12、190℃)(A)100重量部、電線被覆廃材の架橋ポリエチレン樹脂をプラスチック粉砕機で0.2〜2.5mmに粉砕した粉砕物(C)91重量部、直鎖アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム(D)18.2重量部をそれぞれ秤量し、Vミキサーで混合した。そして、その混合物を2軸押し出し機によりシリンダー温度200℃〜240℃、スクリュー回転数200RPMで押し出し、カットして粒状のペレットとし、洗浄剤とした。
次いで、その洗浄剤の効果を上記実施例1と同じ方法で評価した。
本比較例の場合、上記洗浄剤の投入から後続材料が完全に無色透明な平板になるまでの全成形ショットにおいて計量された樹脂の総重量は1881gで、その後は、全く無色透明なポリスチレン樹脂の平板を成形することができた。
なお、図1は、上記実施例1〜3及び比較例1〜3における実験結果及びその内訳を棒グラフで示したものであり、当該グラフ中、aは「先行材料のみ」,bは「先行材料と洗浄剤との混合物」,cは「洗浄剤のみ」,dは「洗浄剤と後続材料との混合物」をそれぞれ示している。そして、この結果によれば、実施例1〜3においては、比較例1〜3と比較して、特にdの重量がより少なくなっており、すなわち、実施例1〜3に係る洗浄剤は、比較例1〜3に係る洗浄剤と比較して、特に自己排出性においてより優れているといえる。
Claims (2)
- 第1の熱可塑性樹脂(A)としての高密度ポリエチレン樹脂100重量部に対し、第2の熱可塑性樹脂(B)としてのポリプロピレン系樹脂20〜500重量部と、架橋ポリエチレン樹脂(C)の細片20〜500重量部と、界面活性剤(D)1〜50重量部とを含んで成るプラスチック成形機洗浄用樹脂組成物。
- 上記架橋ポリエチレン樹脂(C)の細片が、架橋ポリエチレン樹脂廃材の粉砕物である請求項1に記載のプラスチック成形機洗浄用樹脂組成物。
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