以下に添付図面を参照して、本発明にかかる移動体用モータの好適な実施の形態を詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は、移動体用モータの一例であって、本発明の実施の形態1にかかる車両用ドア開閉モータを適用した四輪の乗用車を概念的に示したものである。ここで例示する乗用車は、いわゆるワンボックスタイプと称される車両本体BDを備え、この車両本体BDの側部においてそのほぼ中央となる位置に搭乗者の乗降を許容する乗降用開口Eを有し、その乗降用開口Eにスライドドア(扉)SDを設けてある。
スライドドアSDは、車両本体BDの上端部との間に設けた上部ガイド手段UG、車両本体BDの下端部との間に設けた下部ガイド手段LG、および車両本体BDの中央部との間に設けた中央部ガイド手段MGを介して車両本体BDの側部にスライド移動可能な態様で設けたもので、車両本体BDに対して最も前方へスライド移動させた場合には乗降用開口Eを閉塞する状態(以下、単に「全閉位置」という)となる一方、車両本体BDに対して最も後方へスライド移動させた場合には乗降用開口Eを開放する状態(以下、単に「全開位置」という)となるよう構成してある。上記ガイド手段UG,LG,MGは、図2に示す下部ガイド手段LGに代表されるように、例えば走行ローラRを備えたサポートフレームSFをスライドドアSDに設ける一方、走行ローラRを案内するガイドレールGRを車両本体BDに設けることで構成してある。
上記スライドドアSDと車両本体BDとの間には、図1に示すように、全閉ストッパ手段SS、および全開ストッパ手段OSを設けてある。
全閉ストッパ手段SSは、スライドドアSDが全閉位置となった場合にこれを維持するためのもので、例えばスライドドアSDの前縁部分と車両本体BDとの間、およびスライドドアSDの後縁部分と車両本体BDとの間に設けてある。全閉ストッパ手段SSとしては、例えば車両本体BDにストライカを設ける一方、スライドドアSD(サポートフレームSF)にラッチを設け、ストライカとラッチとを噛み合わせた場合に、車両本体BDに対するスライドドアSDの移動を規制するよう構成したものを適用している。
全開ストッパ手段OSは、スライドドアSDが全開位置となった場合にこれを維持するためのもので、例えば下部ガイド手段LGのサポートフレームSFと車両本体BDとの間に設けてある。全開ストッパ手段OSとしては、例えば車両本体BDにストライカを設ける一方、スライドドアSD(サポートフレームSF)にラッチを設け、ストライカとラッチとを噛み合わせた場合に、車両本体BDに対するスライドドアSDの移動を規制するよう構成したものを適用している。
全閉ストッパ手段SSおよび全開ストッパ手段OSによるスライドドアSDの移動規制状態は、スライドドアSDに設けたドアハンドルDHを操作、またはリモコンキーに設けた扉スイッチを操作した場合に、図示せぬリリースアクチュエータの駆動によって解除されるものとしてある。
このようなスライドドアSDを備える乗用車には、図2に示すように、パワースライドユニット(移動体装置)10を設けてある。パワースライドユニット10は、車両本体BDに対してスライドドアSDをスライド移動させる駆動装置であり、例えばドアハンドルDHやリモコンキーに設けた扉スイッチを操作することによってアクチュエータたる車両用ドア開閉モータ20(以下、単に「ドア開閉モータ」という)を駆動させ、ドア開閉モータ20の駆動によってスライドドアSDをスライド移動させるよう構成してある。より具体的には、ドア開閉モータ20の駆動軸41aにドラム43を設ける一方、サポートフレームSFにワイヤ連結プレート11を設け、ドラム43とワイヤ連結プレート11との間にスライドドアSDを前方に繰り出すための閉扉用ワイヤWIを設けるとともに、ドラム43とワイヤ連結プレート11との間にスライドドアSDを後方に繰り出すための開扉用ワイヤWIを設け、それらのワイヤWIによってドラム43とサポートフレームSFとの間を連係し、ドア開閉モータ20の駆動を各ワイヤWIを通じてサポートフレームSFに伝達することによりスライドドアSDを開扉方向、あるいは閉扉方向にスライド移動させるように構成してある。なお、上記ワイヤWIは、ワイヤWIの延在方向を変更するアイドラプーリ12にそれぞれ掛け回してある。
ドア開閉モータ20は、後述する電源より電圧を印加することで上記ドラム43を回転するものであって、図3〜図7に示すように、モータケース21と、モータキャップ26と、シャフト33と、ウォームホイール41とを備えている。
モータケース21は、円柱状の第1空間21a、第1空間21aよりも太径の円柱状の第2空間21b、および収納空間21cを内部に有する態様で形成してある。第1空間21aおよび第2空間21bは、上記シャフト33を収納するよう互いに連通する態様で形成してある。収納空間21cは、上記ウォームホイール41を収納するものであって、図3および図4に示すように、第1空間21aと連通する態様で形成してある。
そのようなモータケース21の端であって、上記第2空間21bに通じる開口21dを備える一方の端には、ブラシ23、およびブラシホルダ24を設けてある。
ブラシ23は、後述するコミュテータとで電圧制御手段と通電コイルとを電気的に接続するものであり、例えば一方のブラシ23aおよび他方のブラシ23bの2つで一対を成す態様で設けてある。
ブラシホルダ24は、電気絶縁性を有する材料で、本体部24aとブラシ支持部24bとを有する態様で形成してある。本体部24aは円筒状に形成してある一方、ブラシ支持部24bは本体部24aからシャフト33の回転軸33aに沿う態様で、モータケース21の外方に向けて突出する態様で形成してある。このようなブラシホルダ24は、本体部24aの外周面に設けた不図示の取付部材によってモータケース21に取り付けてあり、ブラシ23a,23bとモータケース21とを電気的に絶縁しながら、ブラシ支持部24bでブラシ23a,23bを保持している。
モータキャップ26は、円筒状に形成した筒部26aと、その筒部26aの一方の端に取り付けた蓋部26bとを備えており、内部に円柱状の第3空間26cを有するよう筒部26aに蓋部26bを組み付けることで形成してある。筒部26aは、磁性材料で形成してあり、取り付ける2つの界磁石28a,28bの磁力が低減することを防止するヨークとして機能するとともに、界磁石28a,28bを保持する界磁石保持体としても機能する。それらのような界磁石28a,28bは、例えば板状の永久磁石であって、上記第3空間26cに磁力線がほぼ平行となる磁界を形成するよう、例えば図5〜7に示すように、一方の界磁石28aを筒部26aの右内側面に取り付け、上記界磁石28aの表面とは異なる極を表面に有する他方の界磁石28bを筒部26aの左内側面に取り付けてある。より具体的には、表面がS極と成る態様で一方の界磁石28aを筒部26aの右内側面に取り付け、表面がN極となる態様で他方の界磁石28bを筒部26aの左側面に取り付けてある。これらの2つの界磁石28a,28bは、所定の間隙を有する態様でモータキャップ26の内側面に配置してある。第3空間26cは、図3に示すように、上記シャフト33および後述するコイル保持体を収納するものである。
そのようなモータキャップ26の蓋部26bには、ブレーキ用ブラシ(移動抑制用ブラシ)30、およびブレーキ用ブラシホルダ(移動抑制用ブラシホルダ)31を設けてある。
ブレーキ用ブラシ30は、後述するブレーキ用コミュテータとでブレーキコイルとスイッチ(スイッチ手段)とを電気的に接続するものであり、例えば一方のブレーキ用ブラシ30aおよび他方のブレーキ用ブラシ30bの2つで一対を成す態様で設けてある。
ブレーキ用ブラシホルダ31は、電気絶縁性を有する材料で、本体部31aとブラシ支持部31bとを有する態様で形成してある。本体部31aは円筒状に形成してある一方、ブラシ支持部31bは本体部31aからシャフト33の回転軸33aに沿って突出する態様で形成してある。このようなブレーキ用ブラシホルダ31は、本体部31aの外周面に設けた不図示の取付部材によってモータキャップ26に取り付けてあり、ブレーキ用ブラシ30a,30bとモータキャップ26とを電気的に絶縁しながら、ブラシ支持部31bでブレーキ用ブラシ30a,30bを保持している。
上記モータケース21およびモータキャップ26は、第2空間21bと第3空間26cとが互いに連通する態様で組み付けてある。
シャフト33は、モータケース21に設けた軸受22a,22b、およびモータキャップ26に設けた軸受27によって、上記第1空間21a、第2空間21bおよび第3空間26cに回転軸33aを中心に回転可能な態様、すなわちモータケース21およびモータキャップ26の内部に回転軸33aを中心に回転可能な態様で設けてある。このようなシャフト33には、上記軸受22aと軸受22bとの間に位置する部位の外周面にウォーム33bを設けてあり、上記軸受22bと軸受27との間に位置する部位の外周面にコイル保持体(コア)35、コミュテータ37、およびブレーキ用コミュテータ39をそれぞれ設けてある。
ウォームホイール41は、図4に示すように、モータケース21に設けた軸受42a,42bによって駆動軸41aを中心に回転可能な態様であって、上記ウォーム33bに噛み合うよう収納空間21cに設けてある。この実施の形態1で示すウォームホイール41は、2本の上記ワイヤWIの一端をそれぞれ取り付けたドラム43を両側部に一体となる態様で設けてある。すなわち、実施の形態1で示すものは、例えばシャフト33が1回転し、ウォーム33bを介してウォームホイール41が所定角度回動すると、ドラム43も所定角度回動するようウォームホイール41とドラム43とを一体に設けてある。
コイル保持体35は、後述する導線を巻き付けることで形成するコイルを保持するものであって、図3に示すように、軸受22bと軸受27との間のほぼ中央に配置してあり、図6に示すように、円筒状に設けた筒部35aと、筒部35aの外周面に突出する態様で設けた複数(この例では10個)の歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jと、それらの歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jに対応するよう設けた複数(この例では10個)のスロット部(溝部)q,r,s,t,u,v,w,x,y,zとを有するよう珪素鋼板等の磁性材料を積層することによって形成してあり、筒部35aに形成した貫通孔35cの内周面とシャフト33の外周面とを固着することで、シャフト33に取り付けてある。
各歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jは、モータキャップ26に取り付けた界磁石28a,28bの表面と、先端の表面ARとの対向面積が広くなるよう側面視が先端に向けて太くなるT字状に設けてある。それらの歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jは、回転軸33aと直交する面において、中央を通る中央線CL1が回転軸33aを通過する態様であって、1つの突出方向と、筒部35aの外周面の反対に設けた別の1つの突出方向とが反対となる態様で、且つ筒部35aの外周面に等間隔となるよう間にスロット部q,r,s,t,u,v,w,x,y,zを挟むよう配置してある。しかも、この実施の形態1で示すものは、回転軸33aと直交する面において、回転軸33aを中心に点対称となる態様で配置してあり、1つの歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの中央線CL1と、隣り合う別の1つの歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの中央線CL1とが成す角が36度となるよう筒部35aの外周面に10個の歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jを配置してある。
このような歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jを備えるコイル保持体35は、界磁石28a,28bの表面と、歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの先端の表面ARとの間に若干の間隙を有する態様であって、界磁石28a,28bの表面ARと歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの先端の表面とが対向するようシャフト33に配置してある。
コミュテータ37は、図3に示すように、コイル保持体35と軸受22bとの間に配置してあり、図5に示すように、円筒状に設けた筒部37aと、筒部37aの外周面に突出する態様で設けた複数(この例では10個)のコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1とを有するよう導電性材料を用いて形成してあり、筒部37aに形成した貫通孔37dの内周面とシャフト33の外周面とを固着することでシャフト33に取り付けてある。
各コミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1は、上記歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jに対応するよう互いに絶縁した態様でそれぞれ形成してある。それらのコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1は、回転軸33aと直交する面において、中央を通る中央線CL2が回転軸33aを通過する態様であって、1つの突出方向と、筒部37aの外周面の反対に設けた別の1つの突出方向とが反対となる態様で、且つ筒部37aの外周面に隣接するよう配置してある。しかも、この実施の形態1で示すものは、回転軸33aと直交する面において、回転軸33aを中心に点対称となる態様で筒部37aの外周面に配置してあり、1つのコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1の中央線CL2と、隣り合う別の1つのコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1の中央線CL2とが成す角が36度となるよう筒部37aの外周面に10個のコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1を配置してある。各コミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1には、導線を取り付けるための係合爪37cをそれぞれ形成してある。
このようなコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1を有するコミュテータ37は、回転軸33aに沿った方向において、上記歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの中央線CL1と、コミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1の中央線CL2とが重なるよう配置してある。
ブレーキ用コミュテータ39は、図3に示すように、コイル保持体35と軸受27との間に配置してあり、図7に示すように、円筒状に設けた筒部39aと、筒部39aの外周面に突出する態様で設けた複数(この例では10個)のコミュテータ片a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2,h2,i2,j2とを有するよう導電性材料を用いて形成してあり、筒部39aに形成した貫通孔39dの内周面とシャフト33の外周面とを固着することでシャフト33に取り付けてある。
各コミュテータ片a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2,h2,i2,j2は、例えば上記歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jに対応するよう互いに絶縁した態様でそれぞれ形成してある。それらのコミュテータ片a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2,h2,i2,j2は、回転軸33aと直交する面において、中央を通る中央線CL3が回転軸33aを通過する態様であって、1つの突出方向と、筒部39aの外周面の反対に設けた別の1つの突出方向とが反対となる態様で、且つ筒部39aの外周面に隣接するよう配置してある。しかも、この実施の形態1で示すものは、回転軸33aと直交する面において、回転軸33aを中心に点対称となる態様で筒部37aの外周面に配置してあり、1つのコミュテータ片a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2,h2,i2,j2の中央線CL3と、隣り合う別の1つのコミュテータ片a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2,h2,i2,j2の中央線CL3とが成す角が36度となるよう筒部39aの外周面に10個のコミュテータ片a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2,h2,i2,j2を配置してある。各コミュテータ片a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2,h2,i2,j2には、導線を取り付けるための係合爪39cをそれぞれ形成してある。
このようなコミュテータ片a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2,h2,i2,j2を有するブレーキ用コミュテータ39は、例えば回転軸33aに沿った方向において、上記歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの中央線CL1と、コミュテータ片a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2,h2,i2,j2の中央線CL3とが重なるよう配置してある。
実施の形態1で示すドア開閉モータ20では、例えば図8に示すように、歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jに導線100(101,102,103,104,105,106,107,108,109,110)を巻き付けることで通電コイル101a,101b,102a,102b,103a,103b,104a,104b,105a,105b,106a,106b,107a,107b,108a,108b,109a,109b,110a,110bを設けてある。
すなわち、第1の導線101は、一方の端をコミュテータ片f1の係合爪37cに取り付けた後、第1歯部Aおよび第2歯部Bに複数回巻き付けるようスロット部qとスロット部sとの間を通して第1通電コイル101aを設けてから、第1歯部Aおよび第2歯部Bに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第6歯部Fおよび第7歯部Gに複数回巻き付けるようスロット部vとスロット部xとの間を通して第1通電コイル101bを設けた後、他方の端をコミュテータ片b1の係合爪37cに取り付けてある。
第2の導線102は、一方の端をコミュテータ片g1の係合爪37cに取り付けた後、第2歯部Bおよび第3歯部Cに複数回巻き付けるようスロット部rとスロット部tとの間を通して第2通電コイル102aを設けてから、第2歯部Bおよび第3歯部Cに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第7歯部Gおよび第8歯部Hに複数回巻き付けるようスロット部wとスロット部yとの間を通して第2通電コイル102bを設けた後、他方の端をコミュテータ片c1の係合爪37cに取り付けてある。
第3の導線103は、一方の端をコミュテータ片h1の係合爪37cに取り付けた後、第3歯部Cおよび第4歯部Dに複数回巻き付けるようスロット部sとスロット部uとの間を通して第3通電コイル103aを設けてから、第3歯部Cおよび第4歯部Dに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第8歯部Hおよび第9歯部Iに複数回巻き付けるようスロット部xとスロット部zとの間を通して第3通電コイル103bを設けた後、他方の端をコミュテータ片d1の係合爪37cに取り付けてある。
第4の導線104は、一方の端をコミュテータ片i1の係合爪37cに取り付けた後、第4歯部Dおよび第5歯部Eに複数回巻き付けるようスロット部tとスロット部vとの間を通して第4通電コイル104aを設けてから、第4歯部Dおよび第5歯部Eに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第9歯部Iおよび第10歯部Jに複数回巻き付けるようスロット部yとスロット部qとの間を通して第4通電コイル104bを形成した後、他方の端をコミュテータ片e1の係合爪37cに取り付けてある。
第5の導線105は、一方の端をコミュテータ片j1の係合爪37cに取り付けた後、第5歯部Eおよび第6歯部Fに複数回巻き付けるようスロット部uとスロット部wとの間を通して第5通電コイル105aを設けてから、第5歯部Eおよび第6歯部Fに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第10歯部Jおよび第1歯部Aに複数回巻き付けるようスロット部zとスロット部rとの間を通して第5通電コイル105bを設けた後、他方の端をコミュテータ片f1の係合爪37cに取り付けてある。
第6の導線106は、一方の端をコミュテータ片a1の係合爪37cに取り付けた後、第6歯部Fおよび第7歯部Gに複数回巻き付けるようスロット部vとスロット部xとの間を通して第6通電コイル106aを設けてから、第6歯部Fおよび第7歯部Gに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第1歯部Aおよび第2歯部Bに複数回巻き付けるようスロット部qとスロット部sとの間を通して第6通電コイル106bを設けた後、他方の端をコミュテータ片g1の係合爪37cに取り付けてある。
第7の導線107は、一方の端をコミュテータ片b1の係合爪37cに取り付けた後、第7歯部Gおよび第8歯部Hに複数回巻き付けるようスロット部wとスロット部yとの間を通して第7通電コイル107aを設けてから、第7歯部Gおよび第8歯部Hに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第2歯部Bおよび第3歯部Cに複数回巻き付けるようスロット部rとスロット部tとの間を通して第7通電コイル107bを設けた後、他方の端をコミュテータ片h1の係合爪37cに取り付けてある。
第8の導線108は、一方の端をコミュテータ片c1の係合爪37cに取り付けた後、第8歯部Hおよび第9歯部Iに複数回巻き付けるようスロット部xとスロット部zとの間を通して第8通電コイル108aを設けてから、第8歯部Hおよび第9歯部Iに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第3歯部Cおよび第4歯部Dに複数回巻き付けるようスロット部sとスロット部uとの間を通して第8通電コイル108bを設けた後、他方の端をコミュテータ片i1の係合爪37cに取り付けてある。
第9の導線109は、一方の端をコミュテータ片d1の係合爪37cに取り付けた後、第9歯部Iおよび第10歯部Jに複数回巻き付けるようスロット部yとスロット部qとの間を通して第9通電コイル109aを設けてから、第9歯部Iおよび第10歯部Jに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第4歯部Dおよび第5歯部Eに複数回巻き付けるようスロット部tとスロット部vとの間を通して第9通電コイル109bを設けた後、他方の端をコミュテータ片j1の係合爪37cに取り付けてある。
第10の導線110は、一方の端をコミュテータ片e1の係合爪37cに取り付けた後、第10歯部Jおよび第1歯部Aに複数回巻き付けるようスロット部zとスロット部rとの間を通して第10通電コイル110aを設けてから、第10歯部Jおよび第1歯部Aに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第5歯部Eおよび第6歯部Fに複数回巻き付けるようスロット部uとスロット部wとの間を通して第10通電コイル110bを設けた後、他方の端をコミュテータ片a1の係合爪37cに取り付けてある。
しかも、上記通電コイル101a,101b,102a,102b,103a,103b,104a,104b,105a,105b,106a,106b,107a,107b,108a,108b,109a,109b,110a,110bを設けてあるコイル保持体35には、例えば図9に示すように、歯部A,B,F,Gに第11の導線111を巻き付けることでブレーキコイル111a,111bを設けてある。
すなわち、第11の導線111は、一方の端をブレーキ用コミュテータ片f2の係合爪39cに取り付けた後、第1歯部Aおよび第2歯部Bに複数回巻き付けるようスロット部qとスロット部sとの間を通して第1ブレーキコイル111aを設けてから、第1歯部Aおよび第2歯部Bに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第6歯部Fおよび第7歯部Gに複数回巻き付けるようスロット部vとスロット部xとの間を通して第2ブレーキコイル111bを設けた後、他方の端をブレーキ用コミュテータ片b2の係合爪39cに取り付けてある。このように構成するブレーキコイル111a,111bの導線111は、例えば上記第1通電コイル101a,101bを設けた導線101に重ねる態様で巻き付けてある。
また、上記のような構成を有するドア開閉モータ20において、一方のブラシ23aは、図8に示すようにケーブル45aによって電圧制御手段47に接続してあり、他方のブラシ23bは、ケーブル45bによって電圧制御手段47に接続してある。これらのブラシ23a,23bは、コミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1のうちいずれか2つに接触することで上記導線101,102,103,104,105,106,107,108,109,110と電圧制御手段47とを電気的に接続する態様で配置してある。より具体的には、これらのブラシ23a,23bは、例えば図8および図10に示すように、第1歯部Aの表面ARと他方の界磁石28bの端部の表面とが対向し、第2歯部Bの表面ARと一方の界磁石28aの端部の表面とが対向し、第6歯部Fの表面ARと一方の界磁石28aの端部の表面とが対向し、第7歯部Gの表面ARと他方の界磁石28bの端部の表面とが対向する位置にコイル保持体35が停止している場合には、一方のブラシ23aがコミュテータ片b1に接触し、且つ他方のブラシ23bがコミュテータ片f1に接触することで、第1の導線101と電圧制御手段47とを電気的に接続する態様で配置してある。
電圧制御手段47は、図8に示すように、ケーブル48を介して車両本体BDの内部に設けてある電源(バッテリー)49に接続してある。このような電圧制御手段47は、例えば電源49から印加される直流電圧を所定の大きさに変圧してからドア開閉モータ20に供給するものである。この実施の形態1に示すドア開閉モータ20は、電源49と電圧制御手段47と導線100とケーブル45a,45bとブラシ23a,23bとコミュテータ37とで駆動回路50を構成している。
また、上記ドア開閉モータ20において、一方のブレーキ用ブラシ30aは、図9に示すようにケーブル51aによってスイッチ(スイッチ手段)53の一方の端子52aに接続してあり、他方のブレーキ用ブラシ30bは、ケーブル51bによってスイッチ53の他方の端子52bに接続してある。これらのブレーキ用ブラシ30a,30bは、ブレーキ用コミュテータ片b2,f2に接触することで上記第11の導線111とスイッチ53とを電気的に接続する態様で配置してある。より具体的には、これらのブレーキ用ブラシ30a,30bは、例えば図9および図10に示すように、第1歯部Aの表面ARと他方の界磁石28bの端部の表面とが対向し、第2歯部Bの表面ARと一方の界磁石28aの端部の表面とが対向し、第6歯部Fの表面ARと一方の界磁石28aの端部の表面とが対向し、第7歯部Gの表面ARと他方の界磁石28bの端部の表面とが対向する位置にコイル保持体35が停止している場合、一方のブレーキ用ブラシ30aがブレーキ用コミュテータ片b2に接触し、且つ他方のブレーキ用ブラシ30bがブレーキ用コミュテータ片f2に接触することで、第11の導線111とスイッチ53とを電気的に接続するよう配置してある。この実施の形態1に示すドア開閉モータ20は、スイッチ53と第11の導線111とブレーキ用ブラシ30a,30bとブレーキ用コミュテータ39とでブレーキ回路(移動抑制回路)54を構成している。
スイッチ53は、上記ブレーキ回路54を閉回路と成す閉成状態と、ブレーキ回路54の一部を開放する開成状態とに切り換え可能な態様で例えばモータケース21の外部に構成してある。このようなスイッチ53には例えば不図示の付勢バネと後述する開閉機構とを設けてあり、スイッチ53は、通常、付勢バネの付勢力によって開成状態と成している一方、後述する制御装置からの指令に基づき付勢バネの付勢力に抗して開閉機構で押圧することによって閉成状態に切り換える。なお、開閉機構による押圧力が解除された場合には、付勢バネの付勢力によって閉成状態から開成状態に切り換わる。
また、上記のような構成を有するドア開閉モータ20では、図3に示すように、シャフト33とコイル保持体35とでロータROを構成している一方、モータケース21とモータキャップ26とでステータSTを構成しており、ステータSTに対してロータROを回転可能に配設してある。しかも、上記駆動回路50において、ロータROとステータSTとの間にコミュテータ37とブラシ23a,23bとを設けることで回転するロータROに設けた導線100と電圧制御手段47とを電気的に接続してあり、ブレーキ回路54において、ロータROとステータSTとの間にブレーキ用コミュテータ39とブレーキ用ブラシ30a,30bとを設けることで回転するロータROに設けた第11の導線111とスイッチ53とを電気的に接続している。
そして、上述したスイッチ53は、車両本体BDの内部に設けてある次のような制御装置によって制御している。制御装置60は、図11に示すように、メモリ61と主制御部62と回転数取得部63と状態設定部64と状態指令部65とを備えている。
主制御部62は、例えばROMやRAM等のメモリ61に予め格納してあるプログラムまたはデータに基づいて、回転数取得部63、状態設定部64、および状態指令部65を統括的に制御するものである。
回転数取得部63は、モータケース21の内部に設けた回転数検知センサ(回転数検知手段)66に接続してあり、回転数検知センサ66が検知したシャフト33の単位時間当たりの回転数(以下、単に「回転数」という)を信号に変換して主制御部62へ送信するものである。回転数検知センサ66は、所定時間毎にシャフト33の回転数を検知している。
状態設定部64は、回転数取得部63を通じて取得したシャフト33の回転数と、メモリ61に予め格納してあるシャフト33の設定回転数(閾値)とを比較して、スイッチ53の状態を設定するものである。より詳細には、状態設定部64は、回転数取得部63を通じて取得したシャフト33の回転数と、上記閾値とを比較して、閾値よりシャフト33の回転数が大きい場合には、スイッチ53を閉成状態に成すよう設定する一方、閾値よりシャフト33の回転数が小さい場合には、スイッチ53の開成状態に成すよう設定するものである。なお、閾値は、車両本体BDを水平であって且つ平坦な地面に停車している際に扉スイッチの操作を行うことによってスライドドアSDを移動させてシャフト33を回転した場合には超えず、車両本体BDをスライドドアSDの移動方向に対して一定角度傾斜している地面に停車している際に扉スイッチの操作を行うことによってスライドドアSDを移動させてシャフト33を回転した場合には、重力の作用でシャフト33がつれ回りすることに起因して超える回転数を選定してある。
状態指令部65は、スイッチ53に設けてある開閉機構67に接続してあり、状態設定部64で設定された状態に基づいて開閉機構67に指令を送信し、それによってスイッチ53の状態を変化させるものである。
実施の形態1に示す制御装置60の主制御部62は、不図示のケーブルを介して上記電圧制御手段47に接続してあり、電圧制御手段47の制御をも行うものである。より具体的には、主制御部62は、ケーブル45a,45bおよびブラシ23a,ブラシ23bを介して導線100の両端間に電圧を印加する旨の指令を電圧制御手段47に送信し、且つその電圧の印加を停止する旨の指令を電圧制御手段47に送信するものである。
上記のような構成を有するドア開閉モータ20を適用した乗用車は、例えば次のようにしてスライドドアSDを閉じる。ここでは、乗用車を、水平であって且つ平坦な地面(スライドドアSDの開扉方向および閉扉方向に対して傾斜していない地面)に停車してあるものとして説明する。また、この説明における初期状態として、スライドドアSDは全開位置にあるものとし、且つ図12に示すように、第1歯部Aの表面ARと他方の界磁石28bの端部の表面とが対向し、第2歯部Bの表面ARと一方の界磁石28aの端部の表面とが対向し、第6歯部Fの表面ARと一方の界磁石28aの端部の表面とが対向し、第7歯部Gの表面ARと他方の界磁石28bの端部の表面とが対向する位置にコイル保持体35が停止(ロータROが停止)しているものとして説明する。
この状態では、モータキャップ26の内部において、一方の界磁石28aと他方の界磁石28bとによって磁力線(図12中、一点鎖線で示す)がほぼ平行となる磁場が形成されている。しかも、この状態では、シャフト33が停止しているため、回転数検知センサ66はシャフト33の回転数が0であることを検知する。それにより回転数取得部63はシャフト33の回転数が0であることを主制御部62へ送信する。その旨を主制御部62が受信すると、状態設定部64はシャフト33の回転数が閾値より小さいことを判断して、開成状態にあるスイッチ53を維持する設定を行う。それにより状態指令部65は、開閉機構67にスイッチ53の開成状態を維持する旨の指令を送信する。開閉機構67がその旨を受信した場合には、スイッチ53を開成状態に維持する。
この状態から、例えば運転者が扉スイッチを操作して閉扉操作すると、ケーブル45a,45bおよびブラシ23a,23bを介して導線100の両端に電圧を印加する旨の指令が、制御装置60から電圧制御手段47に送信される。
その指令を受信した場合には、図8に示すように、ブラシ23aがコミュテータ片b1に接触し、且つブラシ23bがコミュテータ片f1に接触するので、第1の導線101の両端に電圧が印加されて電流が流れ、第1通電コイル101aが通電状態となることによって発生する磁界で第1歯部Aの表面ARおよび第2歯部Bの表面ARがN極と成るとともに、第1通電コイル101bが通電状態となることによって発生する磁界で第6歯部Fの表面ARおよび第7歯部Gの表面ARはS極と成る。
すると、他方の界磁石28bの表面がN極であり、第1歯部Aの表面ARがN極と成るので反発し、一方の界磁石28aの表面がS極であり、第2歯部Bの表面ARがN極と成るので引き合い、一方の界磁石28aの表面がS極であり、第6歯部Fの表面ARがS極と成るので反発し、且つ他方の界磁石28bの表面がN極であり、第7歯部Gの表面ARがS極と成るので引き合い、界磁石28a,28bと歯部A,B,F,Gとが磁力によって反発および引き合うことで、図12中、矢印で示すように、ロータROは時計回りに回動することとなる。
一方、ブラシ23aがコミュテータ片b1に接触し、且つブラシ23bがコミュテータ片f1に接触した状態では、ブレーキ用ブラシ30aがブレーキ用コミュテータ片b2に接触し、且つブレーキ用ブラシ30bがブレーキ用コミュテータ片f2に接触するが、スイッチ53が開成状態となっているため、第1通電コイル101a,101bに発生する磁界で、誘導起電力による電流がブレーキコイル111a,111bに流れることがない。従って、ロータROの回動を抑制することもない。
やがて、図13に示すように、第1歯部Aの中央線CL1が垂直となり、且つ第6歯部Fの中央線CL1が垂直となるまでロータROが回動すると、一方のブラシ23aとコミュテータ片b1との接触が断たれ、且つ他方のブラシ23aとコミュテータ片f1との接触が断たれ、導線101の両端への電圧の印加が遮断され、磁力によってロータROを回動する力が消失することとなるが、図13中、矢印で示すように、慣性によってロータROの回動は継続することとなる。
やがて、図14および図15に示すように、一方のブラシ23aにコミュテータ片a1が接触し、且つ他方のブラシ23bにコミュテータ片e1が接触するまでロータROが回動する。この状態までロータROが回動すると、電圧制御手段47は、ブラシ23aがコミュテータ片a1に接触し、且つブラシ23bがコミュテータ片e1に接触するので、ケーブル45a,45bおよびブラシ23a,23bを介して第10の導線110の両端に電圧が印加されて電流が流れ、第2通電コイル102aが通電状態となることによって発生する磁界で第10歯部Jの表面ARおよび第1歯部Aの表面ARがN極と成り、第2通電コイル102bが通電状態となることによって発生する磁界で第5歯部Eの表面ARおよび第6歯部Fの表面ARがS極と成る。
すると、他方の界磁石28bの表面がN極であり、第10歯部Jの表面ARがN極と成るので反発し、一方の界磁石28aの表面がS極であり、第1歯部Aの表面ARがN極と成るので引き合い、一方の界磁石28aの表面がS極であり、第5歯部Eの表面ARがS極と成るので反発し、且つ他方の界磁石28bの表面がN極であり、第6歯部Fの表面ARがS極と成るので引き合い、界磁石28a,28bと歯部J,A,E,Fとが磁力によって反発および引き合うことで、図14中、矢印で示すように、ロータROは時計回りに回動することとなる。
やがて、図16に示すように、第10歯部Jの中央線CL1が垂直と成り、且つ第5歯部Eの中央線CL1が垂直となるまでロータROが回動すると、一方のブラシ23aとコミュテータ片a1との接触が断たれ、且つ他方のブラシ23bとコミュテータ片e1との接触が断たれ、導線102の両端への電圧の印加が遮断され、磁力によってロータROを回動する力が消失することとなるが、図16中、矢印で示すように、慣性によってロータROの回動は継続することとなる。
以下同様に、ブラシ23a,23bにコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1が接触し、コミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1を介して電圧制御手段47が、図16中、通電コイルaに通電することで発生する磁界によって上方に位置する歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面ARがN極と成り、図16中、通電コイルbに通電することで発生する磁界によって下方に位置する歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面ARがS極と成るよう導線100の両端に電圧を印加し、歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面に発生する磁力と、界磁石28a,28bによる磁力との相互作用によりロータROを時計回りに回動すること、およびブラシ23a,23bとコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1との接触が断たれ、導線100の両端への電圧の印加が遮断さることで、磁力による回動力を消失した状態で慣性によってロータROを回動することを相互に繰り返しながらロータROを回転する。
上記のようにロータROが回転し、シャフト33とともにウォーム33bが回転すると、ウォーム33bに噛み合うウォームホイール41が回転する。ウォームホイール41が回転すると、ウォームホイール41と一体に設けたドラム43も回転する。ドラム43が回転すると、開扉用ワイヤWIを繰り出しながら閉扉用ワイヤWIを巻き取ることとなるので、それらのワイヤWIを介してスライドドアSDが閉扉方向に移動することとなる。
ロータROの回転中にも、回転数検知センサ66は所定時間毎にシャフト33の回転数を検知している。回転数検知センサ66によってシャフト33の回転数が閾地より小さいことを検知した場合、回転数取得部63はシャフト33の回転数が閾地より小さい旨を主制御部62へ送信する。その旨を主制御部62が受信した場合には、状態設定部64がシャフト33の回転数が閾値より小さいことを判断してスイッチ53を開成状態に維持する旨を設定する。それにより状態指令部65は、開閉機構67にスイッチ53を開成状態に維持する旨の指令を送信する。開閉機構67がその旨を受信した場合には、スイッチ53を開成状態に維持し続ける。
一方、回転数検知センサ66によってシャフト33の回転数が閾地より大きいことを検知した場合、回転数取得部63はシャフト33の回転数が閾地より大きい旨を主制御部62へ送信する。その旨を主制御部62が受信した場合には、状態設定部64がシャフト33の回転数が閾値より大きいことを判断してスイッチ53を閉成状態に成す旨を設定する。それにより状態指令部65は、開閉機構67にスイッチを閉成状態に成す旨の指令を送信する。開閉機構67がその旨を受信した場合には、スイッチ53を閉成状態に成す。
上述したように乗用車は、水平であって且つ平坦な地面に停車してあり、重力の作用によってスライドドアSDが閉扉方向に付勢されることがない。よって、この場合には、重力の作用でシャフト33の回転数が閾値より大きくなることはなく、スイッチ53は開成状態を維持し続ける。したがって、ブレーキコイル111a,111bによってロータROの回転が抑制されることもない。
やがて、ドア開閉モータ20の駆動によるスライド移動によって、スライドドアSDが全閉位置となる。スライドドアSDが全閉位置となった場合、制御装置60よりの指令に基づいて、電圧制御手段47は、ケーブル45a,45bおよびブラシ23a,23bを介して導線100の両端に電圧を印加することを停止する。それにより、ロータROの回転が停止する。
次に、乗用車を移動し、車両本体BDがスライドドアSDの開扉方向に向けて低く傾斜している地面で停車した状態で、例えば運転者が扉スイッチを開扉操作した場合を説明する。
扉スイッチを開扉操作すると、制御装置60から電圧制御手段47に、ケーブル45a,45bおよびブラシ23a,23bを介して導線100の両端に電圧を印加する旨の指令が送信される。
電圧制御手段47は、図10中、上方に位置する歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面ARがS極と成り、図10中、下方に位置する歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面ARがN極と成るようブラシ23a,23bを介して導線100の両端に電圧を印加し、歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面に発生する磁力と、モータキャップ26の内周面に設けた界磁石28a,28bの磁力との相互作用によりロータROを反時計回りに回動させる。
ロータROの回動によって、ブラシ23a,23bとコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1との接触が断たれ、導線100の両端への電圧の印加が遮断されると、磁力によってロータROを回動する力が消失した状態となる。しかしながら、慣性によってロータROは回動する。
以下同様に、ブラシ23a,23bにコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1が接触し、電圧制御手段47が、通電コイルaに通電することで発生する磁界によって上方に位置する歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面ARがS極と成り、通電コイルbに通電することで発生する磁界によって下方に位置する歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面ARがN極と成るよう導線100の両端に電圧を印加し、歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面に発生する磁力と、モータキャップ26の内周面に設けた界磁石28a,28bの磁力との相互作用によりロータROを反時計回りに回動すること、およびブラシ23a,23bとコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1との接触が断たれ、導線100の両端への電圧の印加が遮断さることで、磁力による回動力を消失した状態で慣性によってロータROを回動することを相互に繰り返しながら、図10中、反時計回りにロータROを回転する。
上記のようにロータROが回転し、シャフト33とともにウォーム33bが回転すると、ウォーム33bに噛み合うウォームホイール41が回転する。ウォームホイール41が回転すると、ウォームホイール41と一体に設けたドラム43も回転する。ドラム43が回転すると、閉扉用ワイヤWIを繰り出しながら開扉用ワイヤWIを巻き取ることとなるので、それらのワイヤWIを介してスライドドアSDを開扉方向に移動することとなる。
ロータROの回転中、上述したように、回転数検知センサ66は所定時間毎にシャフト33の回転数を検知しており、制御装置60はその検知結果に基づいて、開閉機構67に指令を送信している。
上述したように乗用車は、車両本体BDがスライドドアSDの開扉方向に向けて低く傾斜している地面に停車してあるので、重力の作用によってスライドドアSDが開扉方向に付勢され、それによってロータROがつれ回りすることで、シャフト33の回転数が閾値より大きくなる場合がある。
回転数検知センサ66によってシャフト33の回転数が閾地より大きいことを検知すると、制御装置60はその検知結果に基づいて、開閉機構67にスイッチ53を閉成状態に切り換える旨の指令を送信する。開閉機構67がその旨を受信した場合には、図17に示すように、スイッチ53を閉成状態に切り換える。
スイッチ53が閉成状態に切り換ると、ブレーキ回路54は閉回路となる。この状態で、ロータROが回転し、電圧制御手段47によってブラシ23a,23bを介して導線101の両端に電圧が印加されると、第1通電コイル101a,101bに電流が流れて第1歯部A、第2歯部B、第6歯部F、および第7歯部Gが磁化され、電磁誘導によってブレーキコイル111a,111bに誘導起電力が発生してブレーキ回路54に電流が流れ、第1通電コイル101a,101bに発生する磁界の磁界強度を低減する磁界がブレーキコイル111a,111bに発生し、ロータROの回転が抑制されることとなる。なお、このようなロータROの回転の抑制は、シャフト33の回転数が閾値より大きい間継続する。
従って、ロータROの回転数が閾値より大きくなる事態が防止されるので、スライドドアSDが勢い良く開く事態が防止される。その後、ロータROの回転数が閾値より小さくなった場合には、回転数検知センサ66によって検知され、制御装置60はその検知結果に基づいて、開閉機構67にスイッチ53を開成状態に切り換える旨の指令を送信する。開閉機構67がその旨を受信した場合には、スイッチ53を開成状態に切り換える。
やがて、スライドドアSDが全開位置となった場合、制御装置60よりの指令に基づいて、電圧制御手段47は、ケーブル45a,45bおよびブラシ23a,23bを介して導線100の両端に電圧を印加することを停止する。それにより、ロータROの回転が停止する。
なお、上述した例では、スライドドアSDを開く場合に、スライドドアSDが勢い良く開く事態を防止するもので説明した。このドア開閉モータ20では、スライドドアSDを閉める場合にも、同様の作用によってスライドドアSDが勢い良く閉まる事態を防止する。
実施の形態1に示すドア開閉モータ20によれば、ブレーキコイル111a,111bの両端間に介在させたスイッチ53を閉成状態と開成状態とに切り換え可能な態様で設けたので、スイッチ53を閉成状態に切り換えた場合、ロータROの回転を抑制することができ、スライドドアSDが勢い良く閉じる事態を防止すること、およびスライドドアSDが勢い良く開く事態を防止することができる。よって、スライドドアSDの操作性を向上することができる。しかも、スイッチ53を開成状態に切り換えれば、ロータROの回転を抑制することがないから、効率が低下することがない。
また、上記ドア開閉モータ20によれば、ブレーキ回路54にスイッチ53を設け、必要な場合にスイッチ53を閉成状態に切り換えることができるから、ロータROが容易に回転するようにウォーム33bとウォームホイール41とのギヤ比を設定することが可能となる。ウォーム33bとウォームホイール41とを、ロータROが容易に回転するギヤ比で設け、且つウォームホイール41とドラム43を一体に設ければ、ドアハンドルDHを扉操作することによって手動でスライドドアSDを開閉することができる。しかも、ウォームホイール41とドラム43を一体に設けることによって、部品点数を削減してドア開閉モータ20を安価に提供することができる。もちろん、電圧制御手段47でスライドドアSDをスライド移動している際にスライドドアSDを手動で付勢し、ロータROの回転数が閾値よりも大きくなった場合には、スイッチ53を閉成状態に切り換えてロータROの回転を抑制することができる。
さらに、上記ドア開閉モータ20によれば、ブレーキコイル111a,111bとスイッチ53との間に、ブレーキ用コミュテータ39およびブレーキ用ブラシ30a,30bを設けたので、外部にスイッチ53を設けることが可能となる。よって、小型なドア開閉モータ20を提供することができる。
なお、上述した実施の形態1には、車両本体BDの側部に設けたスライドドアSDを開閉するドア開閉モータ20を用いて説明した。しかし、この発明はそれに限られず、車両本体BDの後部に設けたバックドアを開閉するドア開閉モータに適用しても同様の作用・効果を奏することができる。もちろん、スライドドアSDおよびバックドアに限られず、例えば車両本体BDの天部に設けるサンルーフ(移動体)を移動する移動体開閉モータに適用しても同様の作用・効果を奏することができ、且つ座席シート(移動体)を移動する移動体用モータに適用しても同様の作用・効果を奏することができる。もちろん、上述した例では、四輪の乗用車に適用したもので説明したが、本発明はそれに限られず、例えば貨物自動車(トラック)、または列車等の車両に適用しても同様の作用・効果を奏することができ、さらには住宅用の門扉(移動体)等を移動する移動体用モータに適用しても同様の作用・効果を奏することができる。
さらに、上述した実施の形態1には、シャフト33の回転数が閾値よりも大きい場合、スイッチ53を閉成状態に切り換えてロータROの回転を抑制する制御装置60を設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、シャフト33の回転数が閾値よりも大きい間、ロータROの回転の抑制を断続的に行うようスイッチ53を開成状態と閉成状態とに切り換える制御装置を設けても良い。
また、上述した実施の形態1には、モータキャップ26の筒部26aに2つの界磁石28a,28bを設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、筒部26aに2つ以上の複数の界磁石を設けても良い。
さらに、上述した実施の形態1には、第1歯部A、第2歯部B、第6歯部F、および第7歯部Gに1本の導線111(第11の導線111)を巻き付けてブレーキコイル111a,111bを設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、10本の導線を用い、それらの導線を例えば通電コイル101a,101b,102a,102b,103a,103b,104a,104b,105a,105b,106a,106b,107a,107b,108a,108b,109a,109b,110a,110bを設けたのと同様に歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jにそれぞれ巻き付け、それらの導線の両端をブレーキ用コミュテータ39の係合爪39cに取り付けて複数のブレーキコイルを設けても良い。しかも、それらのブレーキコイルを巻回回数等の条件が同一となる態様ですべての歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jにそれぞれ設ければ、ロータROの回転を抑制する際にバランスがとれるため、回転ムラによる振動の発生を防止することができるとともに、回転ムラによる騒音の発生を防止することができる。もちろん、操作性を向上しつつ、効率が低減することがない移動体用モータを提供する場合、ブレーキコイルの両端間にはスイッチを介在させる必要がある。
また、上述した実施の形態1には、コイル保持体35に10個の歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jを設け、ブレーキ用コミュテータ39に10個のコミュテータ片a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2,h2,i2,j2を設け、歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの数と、ブレーキ用コミュテータ片a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2,h2,i2,j2の数とが同一のもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの数と、ブレーキ用コミュテータ片a2,b2,c2,d2,e2,f2,g2,h2,i2,j2の数とが異なるよう移動体用モータを構成しても良い。
[実施の形態2]
図18〜図20は、本発明の実施の形態2にかかる車両用ドア開閉モータ120(以下、単に「ドア開閉モータ」という)を示す図である。図18〜図20に示すドア開閉モータ(移動体用モータ)120において、上述した図1〜図17に示したドア開閉モータ20と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態2にかかるドア開閉モータ120は、実施の形態1にかかるドア開閉モータ20と同様に、例えば乗用車のパワースライドユニット(移動体装置)10に適用してある。
ドア開閉モータ120は、電源49より電圧を印加することで上記ドラム43を回転するものであって、シャフト133と、ウォームホイール141と、モータキャップ126と、モータケース121とを備えている。
シャフト133は、モータケース121に設けた軸受122a,122b、およびモータキャップ126に設けた軸受127によって、モータケース121およびモータキャップ126の内部に回転軸133aを中心に回転可能な態様で設けてある。このようなシャフト133には、図19に示すように、軸受122aと軸受122bとの間に位置する部位の外周面にウォーム133bを設けてあり、図19および図20に示すように、軸受122bと軸受127との間に位置する部位の外周面に円筒状のブレーキ用界磁石保持体134を介してブレーキ用界磁石128を設けてあり、図19に示すように、軸受122bと軸受127との間に位置する部位の外周面にコミュテータ37、およびコイル保持体(駆動用コイル保持体)35を設けてある。
ブレーキ用界磁石保持体134は、図20に示すように、シャフト133の直径と同一径の孔を有する態様で形成してあり、孔の内周面とシャフト133の外周面とを固着することでシャフト133に取り付けてある。
実施の形態2に示すコイル保持体35には、図には省略してあるが、実施の形態1で示したドア開閉モータ20と同様に、導線100を巻回することで通電コイル101a,101b,102a,102b,103a,103b,104a,104b,105a,105b,106a,106b,107a,107b,108a,108b,109a,109b,110a,110bを設けてある一方、導線111を巻回しておらず、ブレーキコイル111a,111bを設けていない。この点のみが、実施の形態1に示すコイル保持体35と実施の形態2に示すコイル保持体35との違いで、他の点は同一である。
また、実施の形態2に示すドア開閉モータ120は、図には省略してあるが、実施の形態1で示したドア開閉モータ20と同様に、電源49と電圧制御手段47と導線100とケーブル45a,45bとブラシ23a,23bとコミュテータ37とで構成してある駆動回路50を備えている。
ウォームホイール141は、モータケース121に設けた不図示の軸受によって出力軸141aを中心に回転可能な態様であって、図19に示すように、上記ウォーム133bに噛み合うよう、モータケース121に設けた収納空間121cに設けてある。この実施の形態2で示すウォームホイール141は、2本のワイヤWIの一端を取り付けたドラム43を両側部に一体となる態様でそれぞれ設けてある。すなわち、この実施の形態2で示すものは、例えばシャフト133が1回転し、ウォーム133bを介してウォームホイール141が所定角度回転すると、ドラム43も所定角度回転するようウォームホイール141とドラム43とを一体に設けてある。
ブレーキ用界磁石128は、図20に示すように、例えば板状の永久磁石であって、2枚で一組を成すよう構成してあり、ブレーキ用界磁石保持体134の外周面に円筒状を成すよう、一方のブレーキ用界磁石128aをブレーキ用界磁石保持体134の外周面の上側に貼り付け、上記一方のブレーキ用界磁石128aの表面とは異なる極を有する他方のブレーキ用界磁石128bをブレーキ用界磁石保持体134の外周面の下側に貼り付けてある。より具体的には、表面がN極となる態様で一方のブレーキ用界磁石128aをブレーキ用界磁石保持体134の外周面の上側に貼り付け、表面がS極となる態様で他方のブレーキ用界磁石128bをブレーキ用界磁石保持体134の外周面の下側に貼り付けてある。
モータキャップ126は、図18および図19に示すように、上記シャフト133、およびコイル保持体35を収納する円柱状の第4空間126aを内部に備える態様で蓋を有する円筒状に形成してある。このようなモータキャップ126は、磁性材料で形成してあり、取り付ける界磁石(駆動用界磁石)28a,28bの磁力が低減することを防止するヨークとして機能するとともに、界磁石28a,28bを保持する界磁石保持体(駆動用界磁石保持体)としても機能する。
モータケース121は、円柱状の第5空間121a、第5空間121aよりも太径の円柱状の第6空間121b、および収納空間121cを内部に有する態様で形成してある。第5空間121aおよび第6空間121bは、上記シャフト133を収納するものであって、互いに連通する態様で形成してある。収納空間121cは、上述したようにウォームホイール141を収納するものであって、第5空間121aに連通する態様で形成してある。そして、モータケース121と上記モータキャップ126とは、第6空間121bと第4空間126aとが互いに連通する態様で組み付けてある。
このようなモータケース121の内部であって上記第6空間121bには、ブレーキ用コイル保持体(コア)135を設けてある。
ブレーキ用コイル保持体135は、後述する導線を巻き付けることで形成するブレーキコイルを保持するものであって、図20に示すように、円筒状に設けた筒部135aと、筒部の内周面に突出する態様で設けた複数(この例では6個)の歯部K,L,M,N,O,Pと、それらの歯部K,L,M,N,O,Pに対応するよう設けた複数(この例では6個)のスロット部(溝部)k1,l1,m1,n1,o1,p1とを有するよう珪素鋼板等の磁性材料を積層することによって形成してあり、筒部135aの外周面とモータケース121の内周面とを固着することでモータケース121に取り付けてある。
各歯部K,L,M,N,O,Pは、上記ブレーキ用界磁石128a,128bの表面と、先端の表面AR1との対向面積が広くなるよう側面視が先端に向けて太くなるT字状に設けてある。それらの歯部K,L,M,N,O,Pは、回転軸133aと直交する面において、中央を通る中央線CL4が回転軸133aを通過する態様であって、1つの突出方向と、筒部135aの内周面の反対に設けた別のひとつの突出方向とが反対となる態様で、且つ筒部135aの内周面に等間隔となるよう間にスロット部k1,l1,m1,n1,o1,p1を挟むよう配置してある。しかも、この実施の形態2で示すものは、回転軸133aと直交する面において、回転軸133aを中心に点対称となる態様で歯部K,L,M,N,O,Pを配置してあり、1つの歯部K,L,M,N,O,Pの中央線CL4と、隣り合う別の1つの歯部K,L,M,N,O,Pの中央線CL4とが成す角が60度となるよう筒部135aの内周面に6個の歯部K,L,M,N,O,Pを配置してある。
このような歯部K,L,M,N,O,Pを備えるブレーキ用コイル保持体135は、ブレーキ用界磁石128a,128bの表面と、歯部K,L,M,N,O,Pの先端の表面AR1との間に若干の間隙を有する態様であって、ブレーキ用界磁石128a,128bの表面と、歯部K,L,M,N,O,Pの先端の表面AR1とが対向するようモータケース121の第6空間121bに配置してある。
実施の形態2で示すドア開閉モータ120では、例えば図21に示すように、ブレーキ用コイル保持体135の歯部K,L,M,N,O,Pに第11の導線204を巻き付けてブレーキコイル211,212,213,214,215,216を設けてある。
第11の導線204は、一方の端を後述するスイッチ(スイッチ手段)153の一方の端子153aに取り付けた後、第11歯部Kに複数回巻き付けるようスロット部k1とスロット部l1との間を通して第1ブレーキコイル211を設けてから、第12歯部Lに複数回巻き付けるようスロット部l1とスロット部m1との間を通して第2ブレーキコイル212を設けた後、第13歯部Mに複数回巻き付けるようスロット部m1とスロット部n1との間を通して第3ブレーキコイル213を設けてから、第14歯部Nに複数回巻き付けるようスロット部n1とスロット部o1との間を通して第4ブレーキコイル214を設けた後、第15歯部Oに複数回巻き付けるようスロット部o1とスロット部p1との間を通して第5ブレーキコイル215を設けてから、第16歯部Pに複数回巻き付けるようスロット部p1とスロット部k1との間を通して第6ブレーキコイル216を設けた後、他方の端をスイッチ153の他方の端子153bに取り付けてある。
この実施の形態2に示すドア開閉モータ120は、第11の導線204とスイッチ153とでブレーキ回路(駆動抑制回路)154を構成している。
スイッチ153は、上記ブレーキ回路154を閉回路と成す閉成状態と、ブレーキ回路154の一部を開放する開成状態とに変更可能な態様で例えばモータキャップ126の外部に設けてある。このようなスイッチ153には不図示の付勢バネと後述する開閉機構とを設けてあり、スイッチ153は、通常、付勢バネの付勢力によって開成状態と成している一方、後述する制御装置からの指令に基づき付勢バネの付勢力に抗して開閉機構で押圧することによって閉成状態と成す。なお、開閉機構による押圧力が解除された場合、付勢バネの付勢力によって閉成状態から開成状態となる。
また、上記のような構成を有するドア開閉モータ120では、図18〜図20に示すように、シャフト133とブレーキ用界磁石保持体134とコイル保持体35とでロータRO1を構成している一方、モータケース121とモータキャップ126とブレーキ用コイル保持体135とでステータST1を構成しており、ステータST1に対してロータRO1を回転可能に配設してある。しかも、上記駆動回路50において、ロータRO1とステータST1との間にコミュテータ37とブラシ23a,23bとを設けることで回転するロータRO1に設けた導線100と電圧制御手段47とを電気的に接続してある。
そして、上述したスイッチ153は、車両本体BDの内部に設けてある次のような制御装置によって制御している。制御装置160は、図22に示すように、メモリ161と主制御部162と回転数取得部163と状態設定部164と状態指令部165とを備えている。
主制御部162は、例えばROMやRAM等のメモリ161に予め格納してあるプログラムまたはデータに基づいて、回転数取得部163、状態設定部164、および状態指令部165を統括的に制御するものである。
回転数取得部163は、図22に示すように、モータケース121の内部に設けた回転数検知センサ(回転数検知手段)166に接続してあり、回転数検知センサ166が検知した磁力の変化によってシャフト133の単位時間当たりの回転数(以下、単に回転数という)を算出し、その算出した回転数を信号に変換して主制御部162へ送信するものである。なお、実施の形態2に示すドア開閉モータ120において、回転数検知センサ166は、例えばホール素子を使用してあり、図18および図19に示すように、上記ブレーキ用界磁石128a,128bの磁力を検知するようブレーキ用界磁石保持体134に対向する態様でモータケース121に取り付けてあり、所定時間毎にシャフト133の回転数を検知している。
状態設定部164は、回転数取得部163を通じて取得したシャフト133の回転数と、メモリ161に予め格納してあるシャフト133の設定回転数(閾値)とを比較して、スイッチ153の状態を設定するものである。より詳細には、状態設定部164は、回転数取得部163を通じて取得したシャフト133の回転数と、上記閾値とを比較して、閾値よりシャフト133の回転数が大きい場合には、スイッチ153を閉成状態に成すよう設定する一方、閾値よりシャフト133の回転数が小さい場合には、スイッチ153を開成状態に成すよう設定するものである。なお、閾値は、車両本体BDを水平であって且つ平坦な地面に停車している際に扉スイッチの操作を行うことによってシャフト133を回転した場合には超えず、車両本体BDをスライドドアSDの移動方向に対して一定角度傾斜している地面に停車している際に扉スイッチの操作を行うことによってシャフト133を回転した場合には、重力の作用でシャフト133がつれ回りすることに起因して超える回転数を選定してある。
状態指令部165は、スイッチ153に設けてある開閉機構167に接続してあり、状態設定部164で設定された状態に基づいて開閉機構167に指令を送信し、それによってスイッチ153の状態を変化させるものである。
実施の形態2に示す制御装置160の主制御部162は、不図示のケーブルを介して上記電圧制御手段47に接続してあり、電圧制御手段47の制御をも行うものである。より具体的には、主制御部162は、ケーブル45a,45bおよびブラシ23a,ブラシ23bを介して導線100の両端間に電圧を印加する旨の指令を電圧制御手段47に送信し、且つその電圧の印加を停止する旨の指令を電圧制御手段47に送信するものである。
上記のような構成を有するドア開閉モータ120を適用した乗用車は、例えば次のようにしてスライドドアSDを閉じる。ここでは、乗用車を、水平であって且つ平坦な地面(スライドドアSDの開扉方向および閉扉方向に対して傾斜していない地面)に停車してあるものとして説明する。また、この説明における初期状態として、スライドドアSDは全開位置にあるものとし、且つ図23に示すように、回転軸133aと直交する面において、一方のブレーキ用界磁石128aの中央128aaと第11歯部Kの表面AR1とが対向し、且つ他方のブレーキ用界磁石128bの中央128bbと第14歯部Nの表面AR1とが対向する位置にロータRO1が停止しているものとして説明する。
この状態では、シャフト133が停止しているので、回転数検知センサ166はシャフト133の回転数が0であることを検知する。それにより回転数取得部163はシャフト133の回転数が0であることを主制御部162へ送信する。その旨を主制御部162が受信すると、状態設定部164はシャフト133の回転数が閾値より小さいことを判断して、開成状態にあるスイッチ153を維持する設定を行う。それにより状態指令部165は、開閉機構167にスイッチ153の開成状態を維持する旨の指令を送信する。開閉機構167がその旨を受信した場合には、スイッチ153の開成状態を維持する。
この状態から、例えば運転者が扉スイッチを操作して閉扉操作すると、ケーブル45a,45bおよびブラシ23a.23bを介して導線100の両端に電圧を印加する旨の指令が、制御装置160から電圧制御手段47に送信される。
その指令が電圧制御手段47に送信されると、実施の形態1で示したドア開閉モータ20と同様に、電圧制御手段47が、ブラシ23a,23bおよびコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1を介し、通電コイルaに通電することで発生する磁界によって上方に位置する歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面ARがN極と成り、通電コイルbに通電することで発生する磁界によって下方に位置する歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面ARがS極と成るよう導線100の両端に電圧を印加し、歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面に発生する磁力と、界磁石28a,28bによる磁力との相互作用によりロータRO1を時計回りに回動すること、およびブラシ23a,23bとコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1との接触が断たれ、導線100の両端への電圧の印加が遮断さることで、磁力による回動力を消失した状態で慣性によってロータRO1を回動することを相互に繰り返しながらロータROを回転する。
上記のようにロータRO1が回転し、シャフト133とともにウォーム133bが回転すると、ウォーム133bに噛み合うウォームホイール141が回転する。ウォームホイール141が回転すると、ウォームホイール141と一体に設けたドラム43も回転する。ドラム43が回転すると、開扉用ワイヤWIを繰り出しながら閉扉用ワイヤWIを巻き取ることとなるので、それらのワイヤWIを介してスライドドアSDが閉扉方向に移動することとなる。
ロータRO1の回転中にも、回転数検知センサ166は所定時間毎にシャフト133の回転数を検知している。回転数検知センサ166によってシャフト133の回転数が閾地より小さいことを検知した場合、回転数取得部163はシャフト133の回転数が閾地より小さい旨を主制御部162へ送信する。その旨を主制御部162が受信した場合には、状態設定部164がシャフト133の回転数が閾値より小さいことを判断してスイッチ153を開成状態に維持する旨を設定する。それにより状態指令部165は、開閉機構167にスイッチ153を開成状態に維持する旨の指令を送信する。開閉機構167がその旨を受信した場合には、スイッチ153を開成状態に維持し続ける。
一方、回転数検知センサ166によってシャフト133の回転数が閾地より大きいことを検知した場合、回転数取得部163はシャフト133の回転数が閾地より大きい旨を主制御部162へ送信する。その旨を主制御部162が受信した場合には、状態設定部164がシャフト133の回転数が閾値より大きいことを判断してスイッチ153を閉成状態に成す旨を設定する。それにより状態指令部165は、開閉機構167にスイッチ153を閉成状態に成す旨の指令を送信する。開閉機構167がその旨を受信した場合には、スイッチ153を閉成状態に成す。
上述したように乗用車は、水平であって且つ平坦な地面に停車してあり、重力の作用によってスライドドアSDが閉扉方向に付勢されることがない。よって、この場合には、重力の作用でシャフト133の回転数が閾値より大きくなることはなく、スイッチ153は開成状態を維持し続ける。したがって、ロータRO1の回転に伴い、ブレーキ用界磁石128a,128bの磁力に起因してブレーキコイル211,212,213,214,215,216に誘導起電力が発生することがなく、ブレーキコイル211,212,213,214,215,216に電流が流れることがない。よって、ブレーキコイル211,212,213,214,215,216によりロータRO1の回転が抑制されることもない。
やがて、ドア開閉モータ120の駆動によるスライドドアSDの移動によって、スライドドアSDが全閉位置となる。スライドドアSDが全閉位置となった場合、制御装置160よりの指令に基づいて、電圧制御手段47は、電圧の印加を停止する。それにより、ロータRO1の回転が停止する。
次に、乗用車を移動し、車両本体BDがスライドドアSDの開扉方向に向けて低く傾斜している地面で停車した状態で、例えば運転者が扉スイッチを開扉操作した場合を説明する。
扉スイッチを開扉操作すると、ケーブル45a,45bおよびブラシ23a.23bを介して導線100の両端に電圧を印加する旨の指令が、制御装置160から電圧制御手段47に送信される。
その指令が電圧制御手段47に送信されると、実施の形態1で示したドア開閉モータ20と同様に、電圧制御手段47が、ブラシ23a,23bおよびコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1を介し、通電コイルaに通電することで発生する磁界によって上方に位置する歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面ARがS極と成り、通電コイルbに通電することで発生する磁界によって下方に位置する歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面ARがN極と成るよう導線100の両端に電圧を印加し、歯部A,B,C,D,E,F,G,H,I,Jの表面に発生する磁力と、界磁石28a,28bによる磁力との相互作用によりロータRO1を反時計回りに回動すること、およびブラシ23a,23bとコミュテータ片a1,b1,c1,d1,e1,f1,g1,h1,i1,j1との接触が断たれ、導線100の両端への電圧の印加が遮断さることで、磁力による回動力を消失した状態で慣性によってロータRO1を回動することを相互に繰り返しながらロータRO1を回転する。
そして、ロータRO1が反時計回りに回転し、シャフト133とともにウォーム133bが回転すると、ウォーム133bに噛み合うウォームホイール141が回転する。ウォームホイール141が回転すると、ウォームホイール141と一体に設けたドラム43も回転する。ドラム43が回転すると、閉扉用ワイヤWIを繰り出しながら開扉用ワイヤWIを巻き取ることとなるので、それらのワイヤWIを介してスライドドアSDを開扉方向に移動することとなる。
ロータRO1の回転中、上述したように、回転数検知センサ166は所定時間毎にシャフト133の回転数を検知しており、制御装置160はその検知結果に基づいて、開閉機構167に指令を送信している。
上述したように乗用車は、車両本体BDがスライドドアSDの開扉方向に向けて低く傾斜している地面に停車してあり、重力の作用によってスライドドアSDが開扉方向に付勢され、それによってロータRO1がつれ回りすることで、シャフト133の回転数が閾値より大きくなる場合がある。
回転数検知センサ166によってシャフト133の回転数が閾地より大きいことを検知すると、制御装置160はその検知結果に基づいて、開閉機構167にスイッチ153を閉成状態に切り換える旨の指令を送信する。開閉機構167がその旨を受信した場合には、図24に示すように、スイッチ153を閉成状態に切り換える。
スイッチ153が閉成状態に切り換ると、ブレーキ回路154は閉回路となる。この状態で、ロータRO1が回転すると、ブレーキ用界磁石128a,128bによる電磁誘導によってブレーキコイル211,212,213,214,215,216に誘導起電力が発生し、ブレーキ回路154に電流が流れ、ステータST1とロータRO1との相対回転を抑制する磁界がブレーキコイル211,212,213,214,215,216に発生し、ロータRO1の回転が抑制されることとなる。なお、このようなロータRO1の回転の抑制は、シャフト133の回転数が閾値より大きい間継続する。
従って、ロータRO1の回転数が閾値より大きくなる事態が防止されるので、スライドドアSDが勢い良く開く事態が防止される。その後、ロータRO1の回転数が閾値より小さくなった場合には、回転数検知センサ166によって検知され、制御装置160はその検知結果に基づいて、開閉機構167にスイッチ153を開成状態に切り換える旨の指令を送信する。開閉機構167がその旨を受信した場合には、スイッチ153を開成状態に切り換える。
やがて、スライドドアSDが全開位置となった場合、制御装置160よりの指令に基づいて、電圧制御手段47は、電圧の印加を停止する。それにより、ロータRO1の回転が停止する。
なお、上述した例では、スライドドアSDを開く場合に、スライドドアSDが勢い良く開く事態を防止するもので説明した。このドア開閉モータ120では、スライドドアSDを閉める場合にも、同様の作用によってスライドドアSDが勢い良く閉まる事態を防止する。
実施の形態2に示すドア開閉モータ120によれば、ブレーキコイル211,212,213,214,215,216の両端間に介在させたスイッチ153を開成状態と閉成状態とに切り換え可能な態様で設けたので、スイッチ153を閉成状態に切り換えた場合、ロータRO1の回転を抑制することができ、スライドドアSDが勢い良く閉じる事態を防止すること、およびスライドドアSDが勢い良く開く事態を防止することができる。よって、スライドドアSDの操作性を向上することができる。しかも、スイッチ153を開成状態に切り換えれば、ロータRO1の回転を抑制することがないから、効率が低下することがない。
また、上記ドア開閉モータ120によれば、ブレーキ回路154にスイッチ153を設け、必要な場合にスイッチ153を閉成状態に切り換えることができるから、ロータRO1が容易に回転するようにウォーム133bとウォームホイール141とのギヤ比を設定することが可能となる。ウォーム133bとウォームホイール141とを、ロータRO1が容易に回転するギヤ比で設け、且つウォームホイール141とドラム43を一体に設ければ、ドアハンドルDHを扉操作することによって手動でスライドドアSDを開閉することができる。しかも、ウォームホイール141とドラム43を一体に設けることによって、部品点数を削減してドア開閉モータ120を安価に提供することができる。もちろん、電圧制御手段47でスライドドアSDをスライド移動している際にスライドドアSDを手動で付勢し、ロータRO1の回転数が閾値よりも大きくなった場合には、スイッチ153を閉成状態に切り換えてロータRO1の回転を抑制することができる。
さらに、このドア開閉モータ120によれば、ブレーキ用コイル保持体135のすべての歯部K,L,M,N,O,Pにブレーキコイル211,212,213,214,215,216を設けたので、ロータRO1の回転を抑制する際にバランスがとれ、回転ムラによる振動の発生を防止することができるとともに、回転ムラによる騒音の発生を防止することができる。
加えて、このドア開閉モータ120によれば、ステータST1にブレーキ用コイル保持体135を設けるので、ロータRO1とステータST1との間に、実施の形態1で説明したブレーキ用ブラシ30a,30b、およびブレーキ用コミュテータ39を設ける必要をなくすことができる。よって、ブレーキ用ブラシ30a,30bとブレーキ用コミュテータ39とが接触することがないため、上記接触によって発生する振動を防止することができ、上記接触によって発生する騒音を防止することができ、且つ上記接触によるスパークで発生する電気ノイズを防止することができる。
さらに、このドア開閉モータ120によれば、ブレーキ用界磁石128a,128bの磁力を検知する磁力検知センサ166を設けたので、ロータRO1の回転を抑制するブレーキ用界磁石128a,128bを、ロータRO1の回転数を検知する界磁石として利用し、ロータRO1の回転数を検知するためだけに設ける界磁石をなくすことができる。よって、ブレーキ用界磁石128a,128bを共用することで部品コストを低下し、それにより、安価なドア開閉モータ120を提供することができる。
なお、上述した実施の形態2には、車両本体BDの側部に設けたスライドドアSDを開閉するドア開閉モータ120を用いて説明した。しかし、この発明はそれに限られず、車両本体BDの後部に設けたバックドアを開閉するドア開閉モータに適用しても同様の作用・効果を奏することができる。もちろん、スライドドアSDおよびバックドアに限られず、例えば車両本体BDの天部に設けるサンルーフ(移動体)を移動する移動体開閉モータに適用しても同様の作用・効果を奏することができ、座席シート(移動体)を移動する移動体用モータに適用しても同様の作用・効果を奏することができる。もちろん、上述した例では、四輪の乗用車に適用したもので説明したが、本発明はそれに限られず、例えば貨物自動車(トラック)、または列車等の車両に適用しても同様の作用・効果を奏することができ、さらには住宅用の門扉(移動体)等を移動させる移動体用モータに適用しても同様の作用・効果を奏することができる。
さらに、上述した実施の形態2には、シャフト133の回転数が閾値よりも大きい場合、スイッチ153を閉成状態に切り換えてロータRO1の回転を抑制する制御装置160を設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、シャフト133の回転数が閾値よりも大きい間、ロータRO1の回転の抑制を断続的に行うようスイッチ153を開成状態と閉成状態とに切り換える制御装置を設けても良い。
また、上述した実施の形態2には、シャフト133に2つのブレーキ用界磁石128a,128bを設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、シャフト133に2つ以上の複数のブレーキ用界磁石を設けても良い。
さらに、上述した実施の形態2には、すべての歯部K,L,M,N,O,Pにブレーキコイル211,212,213,214,215,216を設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、すべての歯部K,L,M,N,O,Pにブレーキコイルを設けなくても良い。
ところで、実施の形態2に示したドア開閉モータ120´の変形例を図25に示す。なお、図25に示すドア開閉モータ120´において、上述した図18〜図24に示すドア開閉モータ120と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
このドア開閉モータ120´は、上述したブレーキ回路154を有することに加えて、中間位置停止回路228を有している。
中間位置停止回路228は、スイッチ(スイッチ手段)171と、直流電源225と、第20の導線226と第21の導線227で構成してある。
スイッチ171は、中間位置停止回路228を閉回路と成す閉成状態と、中間位置停止回路228の一部を開放する開成状態とに切り換え可能な態様で例えばモータキャップ126の内部に構成してある。このようなスイッチ171には不図示の付勢バネと開閉機構とを設けてあり、スイッチ171は、通常、付勢バネの付勢力によって開成状態と成している一方、後述する制御装置からの指令に基づき付勢バネの付勢力に抗して開閉機構で押圧することによって閉成状態に切り換える。なお、開閉機構による押圧力が解除された場合には、付勢バネの付勢力によって閉成状態から開成状態に切り換わる。また、開閉機構は、上記制御装置160の主制御部162に接続してあり、主制御部162よりの指令に基づいてスイッチ171の状態を切り換えるよう構成してある。
直流電源225は、上記スイッチ171を閉成状態に切り換えた場合、後述する中間位置停止コイルの両端間に直流電圧を印加するものである。
第20の導線226は、一方の端をスイッチ171の端子171aに取り付けてから、例えば第14歯部Nに複数回巻き付けるようスロット部n1とスロット部o1との間を通して第1中間位置停止コイル231を設けてから、第14歯部Nに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第11歯部Kに複数回巻き付けるようスロット部k1とスロット部l1との間を通して第2中間位置停止コイル232を設けた後、他方の端を直流電源225に取り付けてある。第21の導線227は、直流電源225とスイッチ171とを電気的に接続するものであり、一方の端を直流電源225に取り付けてあり、且つ他方の端をスイッチ171の端子171bに取り付けてある。
次に、中間位置停止回路228を有するドア開閉モータ120´の作用を説明する。ここでは、スライドドアSDを全開位置と全閉位置との間の中間位置に停止してあり、且つ電圧制御手段47によってブラシ23aとブラシ23bとの間に電圧が印加されていないものとして説明する。
この状態で、例えば運転者が、運転席や助手席等の室内、あるいはドアハンドルDHやリモコンキーに設けた中間位置停止スイッチを操作すると、スイッチ171を閉成状態に切り換える旨の指令が制御装置160の主制御部162から開閉機構に送信される。
その旨の指令を開閉機構が受信すると、開閉機構は、スイッチ171を開成状態から閉成状態に切り換える。スイッチ171が閉成状態に切り換ると、中間位置停止回路228が閉回路となって、中間位置停止コイル231,232の両端間にそれぞれ電圧が印加されることとなる。
中間位置停止コイル231,232の両端間にそれぞれ電圧が印加されて電流が流れると、中間位置停止コイル231,232が通電状態となることによって発生する磁界で第11歯部Kおよび第14歯部Nの表面が磁化され、それらの歯部K,Nの磁力と、ブレーキ用界磁石128a,128bの磁力とが相互に引き合い、ロータRO1をロック状態とし、スライドドアSDのスライド移動が規制されることとなる。
よって、このようなドア開閉モータ120´によれば、ブレーキ用界磁石128a,128bの磁力と両端間に電圧を印加することで発生した磁力とが引き合うよう配設した中間位置停止コイルをブレーキ用コイル保持体135に設けたので、スライドドアSDを全開位置と全閉位置との間の中間位置で停止することができる。よって、スライドドアSDの操作性を一層向上することができる。
なお、上述した例では、中間位置停止コイル231,232と、ブレーキコイル211,212,213,214,215,216とをそれぞれ設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、ブレーキコイル211,212,213,214,215,216を中間位置停止コイルとして使用しても良い。ブレーキコイル211,212,213,214,215,216を中間位置停止コイルとして使用する場合には、直流電源225の両端間を導線で接続したバイパス手段を設ける必要がある。
[実施の形態3]
図26は、本発明の実施の形態3にかかる車両用ドア開閉モータ320(以下、単に「ドア開閉モータ」という)を示す図である。図26に示すドア開閉モータ(移動体用モータ)320において、上述した図1〜図17に示したドア開閉モータ20と同様のものには同一の符号を付して説明を省略するとともに、上述した図18〜図25に示したドア開閉モータ120と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態3にかかるドア開閉モータ320は、実施の形態1にかかるドア開閉モータ20と同様に、例えば乗用車のパワースライドユニット(移動体装置)10に適用してある。
ドア開閉モータ320は、後述する電源より電圧を印加することで上記ドラム43を回転するものであって、シャフト333と、ウォームホイール341と、モータキャップ326と、モータケース321とを備えている。
シャフト333は、モータケース321に設けた軸受322a,322b、およびモータキャップ326に設けた軸受327によって、モータケース321およびモータキャップ326の内部に回転軸333aを中心に回転可能な態様で設けてある。このようなシャフト333には、軸受322aと軸受322bとの間に位置する部位の外周面にウォーム333bを設けてあり、軸受322bと軸受327との間に位置する部位の外周面にブレーキ用界磁石保持体134を介してブレーキ用界磁石128を設けてあるとともに、図27に示すように、駆動用界磁石保持体334を介して駆動用界磁石328を設けてある。
駆動用界磁石保持体334は、シャフト333の直径と同一径の孔を有する態様で形成してあり、その孔の内周面とシャフト333の外周面とを固着することでシャフト333に取り付けてある。
ウォームホイール341は、モータケース321に設けた不図示の軸受によって出力軸341aを中心に回転可能な態様であって、図26に示すように、上記ウォーム333bに噛み合うよう、モータケース321に設けた収納空間321cに設けてある。この実施の形態3で示すウォームホイール341は、2本のワイヤWIの一端を取り付けたドラム43を両側部に一体となる態様でそれぞれ設けてある。すなわち、この実施の形態3で示すものは、例えばシャフト333が1回転し、ウォーム333bを介してウォームホイール341が所定角度回転すると、ドラム43も所定角度回転するようウォームホイール341とドラム43とを一体に設けてある。
駆動用界磁石328は、図27に示すように、例えば板状の永久磁石であって、2枚で一組を成すよう構成してあり、駆動用界磁石保持体334の外周面に円筒状を成すよう、一方の駆動用界磁石328aを駆動用界磁石保持体334の外周面の上側に貼り付け、上記一方の駆動用界磁石328aの表面とは異なる極を表面に有する他方の駆動用界磁石328bを駆動用界磁石保持体334の外周面の下側に貼り付けてある。より具体的には、表面がN極となる態様で一方の駆動用界磁石328aを駆動用界磁石保持体334の外周面の上側に貼り付け、表面がS極となる態様で他方の駆動用界磁石328bを駆動用界磁石保持体334の外周面の下側に貼り付けてある。
モータキャップ326は、図26に示すように、上記シャフト333を収納する第7空間326aを内部に有する態様で蓋を有する円筒状に形成してある。
モータケース321は、円柱状の第8空間321a、第8空間321aよりも太径の円柱状の第9空間321b、および収納空間321cを内部に有する態様で形成してある。第8空間321aおよび第9空間321bは、上記シャフト333を収納するものであって、互いに連通する態様で形成してある。収納空間321cは、上述したようにウォームホイール341を収納するものであって、第8空間321aに連通する態様で形成してある。そして、モータケース321と上記モータキャップ326とは、第9空間321bと第7空間326aとが互いに連通する態様で組み付けてある。
このようなモータケース321の内部であって上記第9空間321bには、ブレーキ用コイル保持体135、および駆動用コイル保持体335を設けてある。
駆動用コイル保持体335は、後述する導線を巻き付けることで形成する通電コイルを保持するものであって、図27に示すように、円筒状に設けた筒部335aと、筒部の内周面に突出する態様で設けた複数(この例では6個)の歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdと、それらの歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdに対応するよう設けた複数(この例では6個)のスロット部(溝部)kd1,ld1,md1,nd1,od1,pd1とを有するよう珪素鋼板等の磁性材料を積層することによって形成してあり、筒部335aの外周面とモータケース321の内周面とを固着することでモータケース321に取り付けてある。
各歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdは、上記駆動用界磁石328a,328bの表面と、先端の表面AR2との対向面積が広くなるよう側面視が先端に向けて太くなるT字状に設けてある。それらの歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdは、回転軸333aと直交する面において、中央を通る中央線CL5が回転軸333aを通過する態様であって、1つの突出方向と、筒部の内周面の反対に設けた別のひとつの突出方向とが反対となる態様で、且つ筒部335aの内周面に等間隔となるよう間にスロット部kd1,ld1,md1,nd1,od1,pd1を挟むよう配置してある。しかも、この実施の形態3で示すものは、回転軸333aと直交する面において、回転軸333aを中心に点対称となる態様で歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdを配置してあり、1つの歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdの中央線CL5と、隣り合う別の1つの歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdの中央線CL5とが成す角が60度となるよう筒部335aの内周面に6個の歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdを配置してある。
このような歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdを備える駆動用コイル保持体335は、駆動用界磁石328a,328bの表面と、歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdの先端の表面AR2との間に若干の間隙を有する態様であって、駆動用界磁石328a,328bの表面と、歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdの先端の表面AR2とが対向するようモータケース321の第9空間321bに配置してある。
実施の形態3で示すドア開閉モータ320では、例えば図28に示すように、歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdに導線301,302,303を巻き付けることで通電コイル301a,301b,302a,302b,303a,303bを設けてある。
すなわち、第31の導線301は、一方の端を端子TUに取り付けた後、第21歯部Kdに複数回巻き付けるようスロット部kd1とスロット部ld1との間を通して第21通電コイル301aを設けてから、第21歯部Kdに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第24歯部Ndに複数回巻き付けるようスロット部nd1とスロット部od1との間を通して第21通電コイル301bを設けた後、他方の端を端子TWに取り付けてある。
第22の導線302は、一方の端を端子TVに取り付けた後、第22歯部Ldに複数回巻き付けるようスロット部ld1とスロット部md1との間を通して第22通電コイル302aを設けてから、第22歯部Ldに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第25歯部Odに複数回巻き付けるようスロット部od1とスロット部pd1との間を通して第22通電コイル302bを設けた後、他方の端を端子TWに取り付けてある。
第23の導線303は、一方の端を端子TVに取り付けた後、第23歯部Mdに複数回巻き付けるようスロット部md1とスロット部nd1との間を通して第23通電コイル303aを設けてから、第23歯部Mdに巻き付けた巻回方向と反対となる態様で第26歯部Pdに複数回巻き付けるようスロット部pd1とスロット部kd1との間を通して第23通電コイル303bを設けた後、他方の端を端子TUに取り付けてある。
端子TVはケーブルC1を介して電圧制御手段347に接続してあり、端子TUはケーブルC2を介して電圧制御手段347に接続してあり、端子TWはケーブルC3を介して電圧制御手段347に接続してある。電圧制御手段347は、例えばモータキャップ326の内部に配置してあり、ケーブルC4を介して車両本体BDの内部に設けてある電源(バッテリー)349に接続してあって、電源349から印加される直流電圧を3相交流電圧に変換して供給するものである。より具体的には、この実施の形態3で示す電圧制御手段347は、電源349からの直流電圧を、端子TVと端子TUとの間、端子TUと端子TWとの間、および端子TWと端子TVとの間に、位相が120度ずつずれる3相交流電圧に変換して供給するものである。また、この実施の形態3で示すドア開閉モータ320では、電源349と電圧制御手段347とケーブルC1,C2,C3,C4と端子TV,TU,TWと導線301,302,303とで駆動回路350を構成している。
しかも、この実施の形態3に示すドア開閉モータ320は、図には明示していないが、第11の導線204とスイッチ153とで構成してあるブレーキ回路(駆動抑制回路)154を備えている。
また、上記のような構成を有するドア開閉モータ320では、図26および図27に示すように、シャフト333とブレーキ用界磁石保持体134と駆動用界磁石保持体334とでロータRO2を構成している一方、モータケース321とモータキャップ326とブレーキ用コイル保持体135と駆動用コイル保持体335とでステータST2を構成しており、ステータST2に対してロータRO2を回転可能に配設してある。
そして、上述したスイッチ153は、車両本体BDの内部に設けてある次のような制御装置によって制御している。制御装置360は、図29に示すように、メモリ361と主制御部362と回転数取得部363と状態設定部364と状態指令部365とを備えている。
主制御部362は、例えばROMやRAM等のメモリ361に予め格納してあるプログラムまたはデータに基づいて、回転数取得部363、状態設定部364、および状態指令部365を統括的に制御するものである。
回転数取得部363は、モータケース321の内部に設けた図26に示す回転数検知センサ166に接続してあり、回転数検知センサ166が検知した磁力の変化によってシャフト333の単位時間当たりの回転数(以下、単に回転数という)を算出し、その算出した回転数を信号に変換して主制御部362へ送信するものである。
状態設定部364は、回転数取得部363を通じて取得したシャフト333の回転数と、メモリ361に予め格納してあるシャフト333の設定回転数(閾値)とを比較して、スイッチ153の状態を設定するものである。より詳細には、状態設定部364は、回転数取得部363を通じて取得したシャフト333の回転数と、上記閾値とを比較して、閾値よりシャフト333の回転数が大きい場合には、スイッチ153を閉成状態に成すよう設定する一方、閾値よりシャフト333の回転数が小さい場合には、スイッチ153を開成状態に成すよう設定するものである。なお、閾値は、車両本体BDを水平であって且つ平坦な地面に停車している際に扉スイッチの操作を行うことによってシャフト333を回転した場合には超えず、車両本体BDを扉の移動方向に対して一定角度傾斜している地面に停車している際に扉スイッチの操作を行うことによってシャフト333を回転した場合には、重力の作用でシャフト333がつれ回りすることに起因して超える回転数を選定してある。
状態指令部365は、スイッチ153に設けてある開閉機構367に接続してあり、状態設定部364で設定された状態に基づいて開閉機構367に指令を送信し、それによってスイッチ153の状態を変化させるものである。
実施の形態3に示す制御装置360の主制御部362は、不図示のケーブルを介して上記電圧制御手段347に接続してあり、電圧制御手段347の制御をも行うものである。より具体的には、主制御部362は、端子TVと端子TUとの間、端子TUと端子TWとの間、および端子TWと端子TVとの間に、位相が120度ずつずれる3相交流電圧を印加する旨の指令を電圧制御手段347に送信し、且つその電圧の印加を停止する旨の指令を電圧制御手段347に送信するものである。
上記のような構成を有するドア開閉モータ320を適用した乗用車は、例えば次のようにしてスライドドアSDを閉じる。ここでは、乗用車を、水平であって且つ平坦な地面(スライドドアSDの開扉方向および閉扉方向に対して傾斜していない地面)に停車してあるものとして説明する。また、この説明における初期状態として、スライドドアSDは全開位置にあるものとし、且つ図30に示すように、回転軸333aと直交する面において、一方の駆動用界磁石328aの中央328aaと第21歯部Kdの表面AR2とが対向し、且つ他方の駆動用界磁石328bの中央328bbと第24歯部Ndの表面AR2とが対向する位置にロータRO2が停止しているものとして説明する。
この状態では、シャフト333が停止しているので、回転数検知センサ166はシャフト333の回転数が0であることを検知する。それにより回転数取得部363はシャフト333の回転数が0であることを主制御部362へ送信する。その旨を主制御部362が受信すると、状態設定部364はシャフト333の回転数が閾値より小さいことを判断して、開成状態にあるスイッチ153を維持する設定を行う。それにより状態指令部365は、開閉機構367にスイッチ153の開成状態を維持する旨の指令を送信する。開閉機構367がその旨を受信した場合には、スイッチ153の開成状態を維持する。
この状態から、例えば運転者が扉スイッチを操作して閉扉操作すると、端子TVと端子TUとの間、端子TUと端子TWとの間、および端子TWと端子TVとの間に、周期がTで、位相が120度ずつずれる交流電圧を印加する旨の指令が、制御装置360から電圧制御手段347に送信される。
その旨の指令を電圧制御手段347が受信すると、電圧制御手段347は、端子TVと端子TUとの間、端子TUと端子TWとの間、および端子TWと端子TVとの間に位相が120度ずつずれる交流電圧の印加を開始する。
その後、電圧制御手段347は、時刻t1において、第22歯部Ldが最も磁界強度が強いS極と成り、第25歯部Odが最も磁界強度が強いN極となるよう端子TVと端子TUとの間、端子TUと端子TWとの間、および端子TWと端子TVとの間に電圧を印加する。
そのような電圧が印加されると、第22歯部Ldと駆動用界磁石328aが引き合い、第25歯部Odと駆動用界磁石328bとが引き合うので、ロータRO2が時計回りに回動することとなる。その回動によって、図31に示すように、回転軸333aと直交する面において、一方の駆動用界磁石328aの中央328aaと第22歯部Ldの表面AR2とが対向し、且つ他方の駆動用界磁石328bの中央328bbと第25歯部Odの表面AR2とが対向する位置までロータRO2が回動する。
時刻t1からT/6時間が経過すると、電圧制御手段347は、第23歯部Mdが最も磁界強度が強いS極と成り、第26歯部Pdが最も磁界強度が強いN極となるよう端子TVと端子TUとの間、端子TUと端子TWとの間、および端子TWと端子TVとの間に電圧を印加する。
そのような電圧が印加されると、第23歯部Mdと駆動用界磁石328aが引き合い、第26歯部Pdと駆動用界磁石328bとが引き合うので、ロータRO2が時計回りに回動することとなる。その回動によって、図32に示すように、回転軸333aと直交する面において、駆動用界磁石328aの中央328aaと第23歯部Mdの表面AR2とが対向し、且つ駆動用界磁石328bの中央328bbと第26歯部Pdの表面AR2とが対向する位置までロータRO2が回動する。
以下、同様に、T/6時間が経過する毎に、電圧制御手段347は、時計回りの方向に隣り合う歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdの磁界強度が最も強くなるよう端子TVと端子TUとの間、端子TUと端子TWとの間、および端子TWと端子TVとの間に電圧を印加する。
そして、上記電圧の印加により、磁界強度が最も強いS極と成る歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdと駆動用界磁石328aとが引き合い、磁界強度が最も強いN極と成る歯部Kd,Ld,Md,Nd,Od,Pdと駆動用界磁石328bとが引き合ってロータRO2が時計回りに回動され、その回動によってロータRO2が時計回りに回転することとなる。
上記のようにロータRO2が回転し、シャフト333とともにウォーム333bが回転すると、ウォーム333bに噛み合うウォームホイール341が回転する。ウォームホイール341が回転すると、ウォームホイール341と一体に設けたドラム43も回転する。ドラム43が回転すると、開扉用ワイヤWIを繰り出しながら閉扉用ワイヤWIを巻き取ることとなるので、それらのワイヤWIを介してスライドドアSDが閉扉方向に移動することとなる。
ロータRO2の回転中にも、回転数検知センサ166は所定時間毎にシャフト333の回転数を検知している。回転数検知センサ166によってシャフト333の回転数が閾地より小さいことを検知した場合、回転数取得部363はシャフト333の回転数が閾地より小さい旨を主制御部362へ送信する。その旨を主制御部362が受信した場合には、状態設定部364がシャフト333の回転数が閾値より小さいことを判断してスイッチ153を開成状態に維持する旨を設定する。それにより状態指令部365は、開閉機構367にスイッチ153を開成状態に維持する旨の指令を送信する。開閉機構367がその旨を受信した場合には、スイッチ153を開成状態に維持し続ける。
一方、回転数検知センサ166によってシャフト333の回転数が閾地より大きいことを検知した場合、回転数取得部363はシャフト333の回転数が閾地より大きい旨を主制御部362へ送信する。その旨を主制御部362が受信した場合には、状態設定部364がシャフト333の回転数が閾値より大きいことを判断してスイッチ153を閉成状態に成す旨を設定する。それにより状態指令部365は、開閉機構367にスイッチ153を閉成状態に成す旨の指令を送信する。開閉機構367がその旨を受信した場合には、スイッチ153を閉成状態に成す。
上述したように乗用車は、水平であって且つ平坦な地面に停車してあり、重力の作用によってスライドドアSDが閉扉方向に付勢されることがない。よって、この場合には、重力の作用でシャフト333の回転数が閾値より大きくなることはなく、スイッチ153は開成状態を維持し続ける。したがって、ロータRO2の回転に伴い、ブレーキ用界磁石128a,128bの磁力に起因してブレーキコイル211,212,213,214,215,216に誘導起電力が発生することがなく、ブレーキコイル211,212,213,214,215,216に電流が流れることがない。よって、ブレーキコイル211,212,213,214,215,216によりロータRO2の回転が抑制されることもない。
やがて、ドア開閉モータ320の駆動によるスライドドアSDの移動によって、スライドドアSDが全閉位置となる。スライドドアSDが全閉位置となった場合、制御装置360よりの指令に基づいて、電圧制御手段347は、電圧の印加を停止する。それにより、ロータRO2の回転が停止する。
次に、乗用車を移動し、車両本体BDがスライドドアSDの開扉方向に向けて低く傾斜している地面で停車した状態で、例えば運転者が扉スイッチを開扉操作した場合を説明する。
扉スイッチを開扉操作すると、制御装置360から電圧制御手段347に、端子TVと端子TUとの間、端子TUと端子TWとの間、および端子TWと端子TVとの間に位相が120度ずつずれる交流電圧を印加する旨の指令が送信される。
制御装置360からその旨の指令を受信した場合、電圧制御手段347は、ロータRO2が反時計回りに回転するよう、端子TVと端子TUとの間、端子TUと端子TWとの間、および端子TWと端子TVとの間に、周期がTで、位相が120度ずつずれる交流電圧を印加する。
そして、ロータRO2が反時計回りに回転し、シャフト333とともにウォーム333bが回転すると、ウォーム333bに噛み合うウォームホイール341が回転する。ウォームホイール341が回転すると、ウォームホイール341と一体に設けたドラム43も回転する。ドラム43が回転すると、閉扉用ワイヤWIを繰り出しながら開扉用ワイヤWIを巻き取ることとなるので、それらのワイヤWIを介してスライドドアSDを開扉方向に移動することとなる。
ロータRO2の回転中、上述したように、回転数検知センサ166は所定時間毎にシャフト333の回転数を検知しており、制御装置360はその検知結果に基づいて、開閉機構367に指令を送信している。
上述したように乗用車は、車両本体BDがスライドドアSDの開扉方向に向けて低く傾斜している地面に停車してあり、重力の作用によってスライドドアSDが開扉方向に付勢され、それによってロータRO2がつれ回りすることで、シャフト333の回転数が閾値より大きくなる場合がある。
回転数検知センサ166によってシャフト333の回転数が閾地より大きいことを検知すると、制御装置360はその検知結果に基づいて、開閉機構367にスイッチ153を閉成状態に切り換える旨の指令を送信する。開閉機構367がその旨を受信した場合には、スイッチ153を閉成状態に切り換える。
スイッチ153が閉成状態に切り換ると、ブレーキ回路154は閉回路となる。この状態で、ロータRO2が回転すると、ブレーキ用界磁石128a,128bによる電磁誘導によってブレーキコイル211,212,213,214,215,216に誘導起電力が発生してブレーキ回路154に電流が流れ、ロータRO2の回転を抑制する磁界がブレーキコイル211,212,213,214,215,216に発生する。なお、このようなロータRO2の回転の抑制は、シャフト333の回転数が閾値より大きい間継続する。
従って、ロータRO2の回転数が閾値より大きくなる事態が防止されるので、スライドドアSDが勢い良く開く事態が防止される。その後、ロータRO2の回転数が閾値より小さくなった場合には、回転数検知センサ166によって検知され、制御装置360はその検知結果に基づいて、開閉機構367にスイッチ153を開成状態に切り換える旨の指令を送信する。開閉機構367がその旨を受信した場合には、スイッチ153を開成状態に切り換える。
やがて、スライドドアSDが全開位置となった場合、制御装置360よりの指令に基づいて、電圧制御手段347は、電圧の印加を停止する。それにより、ロータRO2の回転が停止する。
なお、上述した例では、スライドドアSDを開く場合に、スライドドアSDが勢い良く開く事態を防止するもので説明した。このドア開閉モータ320では、スライドドアSDを閉める場合にも、同様の作用によってスライドドアSDが勢い良く閉まる事態を防止する。
実施の形態3に示すドア開閉モータ320によれば、ブレーキコイル211,212,213,214,215,216の両端間に介在させたスイッチ153を開成状態と閉成状態とに切り換え可能な態様で設けたので、スイッチ153を閉成状態に切り換えた場合、ロータRO2の回転を抑制することができ、スライドドアSDが勢い良く閉じる事態を防止すること、およびスライドドアSDが勢い良く開く事態を防止することができる。よって、スライドドアSDの操作性を向上することができる。しかも、スイッチ153を開成状態に切り換えれば、ロータRO2の回転を抑制することがないから、効率が低下することがない。
また、上記ドア開閉モータ320によれば、ブレーキ回路154にスイッチ153を設け、必要な場合にスイッチ153を閉成状態に切り換えることができるから、ロータRO2が容易に回転するようにウォーム333bとウォームホイール341とのギヤ比を設定することが可能となる。ウォーム333bとウォームホイール341とを、ロータRO2が容易に回転するギヤ比で設け、且つウォームホイール341とドラム43を一体に設ければ、ドアハンドルDHを扉操作することによって手動でスライドドアSDを開閉することができる。しかも、ウォームホイール341とドラム43を一体に設けることによって、部品点数を削減してドア開閉モータ320を安価に提供することができる。もちろん、電圧制御手段347でスライドドアSDをスライド移動している際にスライドドアSDを手動で付勢し、ロータRO2の回転数が閾値よりも大きくなった場合には、スイッチ153を閉成状態に切り換えてロータRO2の回転を抑制することができる。
さらに、このドア開閉モータ320によれば、ブレーキ用コイル保持体135のすべての歯部K,L,M,N,O,Pにブレーキコイル211,212,213,214,215,216を設けたので、ロータRO2の回転を抑制する際にバランスがとれ、回転ムラによる振動の発生を防止することができるとともに、回転ムラによる騒音の発生を防止することができる。
加えて、このドア開閉モータ320によれば、ステータST2にブレーキ用コイル保持体135および駆動用コイル保持体335を設けるので、ロータRO2とステータST2との間に、実施の形態1で説明したブラシ23a,23b、ブレーキ用ブラシ30a,30b、コミュテータ37、およびブレーキ用コミュテータ39を設ける必要をなくすことができる。よって、ブラシ23a,23bとコミュテータ37とが接触すること、およびブレーキ用ブラシ30a,30bとブレーキ用コミュテータ39とが接触することがないため、上記接触によって発生する振動を防止することができ、上記接触によって発生する騒音を防止することができ、且つ上記接触によるスパークで発生する電気ノイズを防止することができる。
さらに、このドア開閉モータ320によれば、ブレーキ用界磁石128a,128bの磁力を検知する磁力検知センサ166を設けたので、ロータRO2の回転を抑制するブレーキ用界磁石128a,128bを、ロータRO2の回転数を検知する界磁石として利用し、ロータRO2の回転数を検知するためだけに設ける界磁石をなくすことができる。よって、ブレーキ用界磁石128a,128bを共用することで部品コストを低下し、それにより、安価なドア開閉モータ320を提供することができる。
なお、上述した実施の形態3には、車両本体BDの側部に設けたスライドドアSDを開閉するドア開閉モータ320を用いて説明した。しかし、この発明はそれに限られず、車両本体BDの後部に設けたバックドアを開閉するドア開閉モータに適用しても同様の作用・効果を奏することができる。もちろん、スライドドアSDおよびバックドアに限られず、例えば車両本体BDの天部に設けるサンルーフ(移動体)を移動する移動体開閉モータに適用しても同様の作用・効果を奏することができ、且つ座席シート(移動体)を移動する移動体用モータに適用しても同様の作用・効果を奏することができる。もちろん、上述した例では、四輪の乗用車に適用したもので説明したが、本発明はそれに限られず、例えば貨物自動車(トラック)、または列車等の車両に適用しても同様の作用・効果を奏することができ、さらには、住宅用の門扉(移動体)等に適用しても同様の作用・効果を奏することができる。
さらに、上述した実施の形態3には、シャフト333の回転数が閾値よりも大きい場合、スイッチ153を閉成状態に切り換えてロータRO2の回転を抑制する制御装置360を設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、シャフト333の回転数が閾値よりも大きい間、ロータRO2の回転の抑制を断続的に行うようスイッチ153を開成状態と閉成状態とに切り換える制御装置を設けても良い。
また、上述した実施の形態3には、シャフト333に2つの駆動用界磁石328a,328bを設けるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、シャフト333に2つ以上の複数の駆動用界磁石を設けても良い。
さらに、上述した実施の形態3には、ブレーキ用界磁石128a,128bの磁力を検知する磁力検知センサ166を設け、ロータRO2の回転を抑制するブレーキ用界磁石128a,128bを、ロータRO2の回転数を検知する界磁石として利用するもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、駆動用界磁石328a,328bの磁力を検知する磁力検知センサ(磁力検知手段)を設け、ロータRO2を回転する駆動用界磁石328a,328bを、ロータRO2の回転数を検知する界磁石として利用すれば、安価なドア開閉モータを提供することが可能となる。
また、上述した実施の形態3には、ブレーキ用界磁石128a,128bを保持するブレーキ用界磁石保持体134と、ブレーキコイル211,212,213,214,215,216を保持するブレーキ用コイル保持体135と、通電コイル301a,301b,302a,302b,303a,303bを保持する駆動用コイル保持体334と、駆動用界磁石328a,328bを保持する駆動用界磁石保持体334とを備えるもので説明した。しかし、この発明はそれに限られず、ブレーキ用界磁石128a,128bおよび駆動用界磁石328a,328bを保持する界磁石保持体と、ブレーキコイル211,212,213,214,215,216および通電コイル301a,301b,302a,302b,303a,303bを保持するコイル保持体と備えるよう移動体用モータを構成しても良い。
また、上述した実施の形態3には、駆動用コイル保持体334およびブレーキ用コイル保持体135をステータST2に設ける一方、駆動用界磁石保持体334およびブレーキ用界磁石保持体134をロータRO2に設けるものを用いて説明し、実施の形態2には、モータキャップ(駆動用界磁石保持体)126およびブレーキ用コイル保持体135をステータST1に設ける一方、コイル保持体(駆動用コイル保持体)135およびブレーキ用界磁石保持体134をロータRO1に設けるものを用いて説明した、しかし、この発明はそれらに限られず、駆動用界磁石保持体およびブレーキ用コイル保持体をロータに設ける一方、駆動用コイル保持体およびブレーキ用界磁石保持体をステータに設けても良いし、駆動用界磁石保持体およびブレーキ用界磁石保持体をステータに設ける一方、駆動用コイル保持体およびブレーキ用コイル保持体をロータに設けても良い。