次に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明者らは、感熱性粘着剤の実用性向上に向けて、粗面に対する粘着性の向上とブロッキングの抑制を両立させるために、ゲル材料の有する柔軟性に着目して検討した結果、架橋樹脂を含有する架橋樹脂層の上に感熱性粘着剤からなる感熱性粘着層を積層することにより、加熱後の粘着剤としての機能が向上し、ダンボールをはじめとする粗面に対する粘着性、中でも、低温環境下においても優れた粘着性を維持し、しかも、ブロッキングを抑制することを見出した。
本発明の積層体は、架橋樹脂を含有する架橋樹脂層の上に感熱性粘着剤からなる感熱性粘着層が形成されているが、感熱性粘着剤は、熱可塑性樹脂及び熱溶融性物質を含有する。このため、加熱によって活性化することで、感熱性粘着剤は、粘着性を発現することができる。感熱性粘着剤は、所定の状態にすると、粘着性を示さないことから、ブロッキングを抑制することができ、各種加工工程における不具合も少ない。また、熱によって活性化されて、感熱性粘着剤が粘着性を発現した際には、その下層にある架橋樹脂層の柔軟性と組み合わさることで、種々の被着体、中でもダンボールのような粗面に対する粘着性を向上させることができる。つまり、架橋樹脂層と感熱性粘着層を積層することによって、感熱性粘着層が粘着性を発現する前の耐ブロッキング性、各種加工特性と、感熱性粘着層が粘着性を発現した後の粗面に対する優れた粘着性、中でも低温環境下における優れた粘着性との両立を可能にするものである。
本発明において、架橋樹脂層は、非粘着性であることが重要であり、樹脂、架橋剤及び溶媒を用いて形成することができる。架橋樹脂層は、通常、架橋樹脂中に溶媒を内包するが、その上に形成される感熱性粘着層との関係から、水溶性樹脂が架橋されている架橋樹脂を含有することが好ましい。
架橋樹脂を形成する際に用いられる樹脂としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸の共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられるが、中でも、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
また、樹脂を架橋する架橋剤としては、ホウ酸、ホウ砂、カルシウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、鉄イオン等の多価金属イオンが挙げられる。これらの架橋剤は、架橋する樹脂に応じて適宜選定されるが、ポリビニルアルコールとの組み合わせにおいては、ホウ酸又はホウ砂を用いることが好ましい。
本発明において、架橋樹脂層は、凝固点降下剤をさらに含有することが好ましい。これにより、架橋樹脂が低温下で凍結して柔軟性を失うことを抑制することができる。凝固点降下剤は、凝固点を降下させるだけでなく、架橋樹脂を可塑化する機能も併せ持っていると考えられ、架橋樹脂の柔軟性を低温領域まで維持することができる。このような凝固点降下剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられ、中でも、エチレングリコール又はジエチレングリコールが好ましく、ジエチレングリコールがさらに好ましい。
また、架橋樹脂層を形成する際には、通常、樹脂100重量部に対して、架橋剤1〜20重量部を添加することが好ましいが、樹脂と架橋剤の組み合わせ、架橋樹脂層を形成する条件等によって変動することから、特に限定されない。一方、凝固点降下剤は、低温対応レベルに応じて、添加量を適宜変動させることができる。
架橋樹脂層を形成する方法は、特に限定されず、種々の方法によって形成することが可能である。例えば、樹脂と架橋剤を予め混合した液体を、支持体上に塗布、乾燥する方法を用いることができる。また、樹脂と架橋剤の架橋反応の速度が大きい場合には、両者を分離して塗工することが可能である。例えば、樹脂を含有する液体を塗布した後に、架橋剤を含有する液体を塗布すると、塗膜を形成した後に架橋反応が進行し、架橋樹脂層を形成することができる。また、樹脂を含有する液体を塗布した後に、感熱性粘着剤及び架橋剤を含有する液体を塗布すると、塗膜を形成した後に架橋反応が進行し、架橋樹脂層を形成することができる。
本発明において、感熱性粘着剤は、一般に加熱により粘着性、接着性を発現する主な成分である熱可塑性樹脂及び加熱により溶融し、熱可塑性樹脂等に粘着性を発現させる作用を有する熱溶融性物質を主成分とするものであり、感熱性粘着剤の粘着性を向上させるための粘着付与剤等の添加剤をさらに含有してもよい。
熱可塑性樹脂としては、ビニル系モノマーをグラフト共重合した天然ゴム、天然ゴム(ラテックス);ポリ酢酸ビニル、アクリル酸エステルの共重合体、メタクリル酸エステルの共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、合成ゴム、酢酸ビニル−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル共重合体等の樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
感熱性粘着剤中の熱可塑性樹脂の含有率は、10〜60重量%であることが好ましく、15〜50重量%がさらに好ましい。熱可塑性樹脂の含有率が10重量%未満及び60重量%を超えた場合、粘着性が低下することがある。
粘着付与剤としては、一般的な粘着剤に用いられる粘着付与剤であるロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン、これらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等が挙げられる。中でも、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン及びそれらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)、テルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂)を用いることが好ましい。これらの粘着付与剤は、熱可塑性樹脂及び熱溶融性物質と相溶するため、感熱性粘着剤の粘着性を向上させることができる。
また、粘着付与剤の融点又は軟化点は、80℃以上であることが好ましく、80〜200℃がさらに好ましい。粘着付与剤の融点又は軟化点が80℃未満になると、耐ブロッキング性が低下し、通常の保存環境下で保存上の不具合が生じることがある。
また、感熱性粘着剤中の粘着付与剤の含有量は、5〜30重量%であることが好ましく、5〜20重量%がさらに好ましい。粘着付与剤の含有量が5重量%未満であると、粘着性が低下することがあり、30重量%を超えると、耐ブロッキング性が低下し、通常の保存環境下で保存上の不具合が生じることがある。
さらに、熱溶融性物質は、常温では固体であるため、熱可塑性樹脂に可塑性を与えないが、加熱により溶融して熱可塑性樹脂を膨潤又は軟化させて粘着性を発現し、加熱により溶融した後、ゆっくりと結晶化するため、熱源を取り除いた後も粘着性を長時間持続することができるものである。このような熱溶融性物質としては、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードフェノール系化合物、エステル系化合物、リン系化合物(リン酸エステル系化合物、ホスフィン系化合物)等を用いることができる。
熱溶融性物質の融点は、70〜200℃であることが好ましく、80〜200℃がさらに好ましい。融点が70℃未満であると、通常の保存環境下で、感熱性粘着剤の粘着性が発現する等、保存上の不具合が生じることがあり、また、感熱性粘着剤を含有する塗布液を支持体に塗布、乾燥する際に、粘着性が発現する等の製造上の不具合が生じることがある。一方、融点が200℃を超えると、感熱性粘着剤の粘着性を発現させるために大量のエネルギーが必要となる。
また、熱溶融性物質を2種類以上混合して用いると、熱活性化エネルギーを低くすること(高感度化)が可能となり、特に、構造が類似している熱溶融性物質を2種類以上混合して用いると、このような効果が増大し、さらに、ディレード性も向上する。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、一般式(1)
一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1〜8のアルキル基、ベンジル基及びα,α−ジメチルベンジル基のいずれかを表し、R3は、水素原子及び塩素基のいずれかを表す。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、化合物(1−1)〜(1−11)が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(1−1)5−クロロ−2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル)ベンゾトリアゾール
(1−2)5−クロロ−2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル)ベンゾトリアゾール
(1−3)2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル)ベンゾトリアゾール
(1−4)2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ペンチル)ベンゾトリアゾール
(1−5)2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル)ベンゾトリアゾール
(1−6)2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)]ベンゾトリアゾール
(1−7)2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル)ベンゾトリアゾール
(1−8)2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ペンチル)ベンゾトリアゾール
(1−9)2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチル)ベンゾトリアゾール
(1−10)2−[2’−ヒドロキシ−5’−メチル−3’−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)]ベンゾトリアゾール
(1−11)メチレンビス[2−(2’−ヒドロキシ−5’−ドデカニルフェニル)ベンゾトリアゾール]
ホスフィン系化合物としては、一般式(2)
一般式(3)において、Rは、水素原子、分岐していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。nは、1〜5の整数を表す。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、化合物(2−1)〜(2−5)が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(2−1)トリ(2,4−キシリル)ホスフィン
(2−2)トリ(2,5−キシリル)ホスフィン
(2−3)トリ(2,6−キシリル)ホスフィン
(2−4)トリ(3,4−キシリル)ホスフィン
(2−5)トリ(3,5−キシリル)ホスフィン
一般式(3)で表される化合物の具体例としては、化合物(3−1)〜(3−10)が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(3−1)トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン
(3−2)トリス(m−メトキシフェニル)ホスフィン
(3−3)トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン
(3−4)トリス(p−エトキシフェニル)ホスフィン
(3−5)トリス(p−n−プロピルオキシフェニル)ホスフィン
(3−6)トリス(m−t−ブトキシフェニル)ホスフィン
(3−7)トリス(m−n−ブトキシフェニル)ホスフィン
(3−8)トリス(p−n−ブトキシフェニル)ホスフィン
(3−9)トリス(p−t−ブトキシフェニル)ホスフィン
(3−10)トリス(m−t−ブトキシフェニル)ホスフィン
さらに、リン酸エステル系化合物は、一般に融点が低いため、熱溶融性物質に適する化合物は少ないが、化合物(4−1)、(4−2)は、融点が高く、熱溶融性物質として用いることができる。
(4−1)レゾルシノールビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]
(4−2)ヒドロキノンビス[ジ(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート]
また、エステル系化合物もリン酸エステル系化合物と同様に融点が低く、熱溶融性物質に適する化合物は少ないが、化合物(5−1)〜(5−8)は、融点が高く、熱溶融性物質として用いることができる。
(5−1)シュウ酸ジベンジル
(5−2)シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、p−オキシ安息香酸ベンジル
(5−3)イソフタル酸ジフェニル
(5−4)フタル酸ジフェニル
(5−5)ハイドロキノンジアセテート
(5−6)テレフタル酸ジメチル
(5−7)イソフタル酸ジメチル
さらに、ヒンダードフェノール系化合物の具体例としては、化合物(6−1)〜(6−11)が挙げられる。
(6−1)1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸
(6−2)1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン
(6−3)1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
(6−4)1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン
(6−5)トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
(6−6)4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)
(6−7)ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
(6−8)テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
(6−9)3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン]
(6−10)1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
(6−11)3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニルオキシ)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン]
また、本発明において、感熱性粘着剤は、ブロッキングを抑制するために、酸化チタン、アルミナ、コロイダルシリカ、カオリン、タルク等の無機物や、ステアリン酸の金属塩、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス、天然油脂、ポリスチレン粉末等の有機物をさらに含有してもよく、必要に応じて、分散剤、消泡剤、増粘剤等をさらに含有することもできる。
本発明において、感熱性粘着層は、感熱性粘着剤を含有する液体を塗工又は印刷することにより形成することができるが、熱溶融性物質が溶融しない温度範囲で乾燥することが好ましい。乾燥手段としては、熱風乾燥の他に、赤外線、マイクロ波、高周波による熱源を使用することができる。
本発明において、架橋樹脂層及び感熱性粘着層の乾燥塗工量は、通常、2〜35g/m2であり、5〜25g/m2が好ましい。感熱性粘着層の乾燥塗工量が2g/m2未満であると、加熱による接着を行う際に接着性が不十分となることがある。また、35g/m2を超えると、接着性が飽和することがある。
また、本発明の積層体は、中空粒子及び結着樹脂を含有するアンダー層(断熱層)の上に、架橋樹脂層及び感熱性粘着層が順次積層されていてもよい。この場合、感熱性粘着層を熱活性化する際に、サーマルヘッドからの熱エネルギーを効率的に利用することができ、少ないエネルギーで感熱性粘着層に粘着性を発現させることができる。なお、アンダー層の詳細については、後述する。
本発明の感熱性粘着材料は、本発明の積層体を支持体の片面に有し、積層体の架橋樹脂層又はアンダー層が支持体上に形成されている。これにより、塩化ビニルラップやポリオレフィンラップ、特に、ダンボールに対する粘着性が強く、耐ブロッキング性も良好な感熱性粘着材料を得ることができる。
本発明の感熱性粘着材料において、支持体の積層体を有する面と反対側の面に記録層を設けてもよい。記録層は、画像等を記録することができる層であり、目的に応じて適宜選択することができる。記録層の具体例としては、感熱記録層、インクジェット記録層、熱転写用インク受容層、電子写真記録層等が挙げられる。
記録層には、目的に応じて適宜選択される画像、文字等の情報が単色(例えば、黒色等)又は多色(二色、三色、フルカラー等)で記録(形成)することができ、さらに、単色又は多色の印刷加工を施してもよい。印刷加工は、目的に応じて適宜選択することができるが、UV硬化樹脂を含有するインクを用いたUV加工印刷を施すことが好ましい。これにより、耐ブロッキング性を向上させることができる。
記録層の中では、感熱記録層(感熱発色層)及び熱転写用インク受容層が特に好ましい。記録層が感熱記録層である場合、例えば、感熱性粘着層を加熱するのとは別に、感熱記録層側から熱を像様に印加することにより、所望の発色画像を感熱記録層に記録(形成)することができ、感熱性粘着材料に付加価値を与えることができる。
感熱記録層は、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ロイコ染料と、顕色剤とを主成分とし、さらに結合剤、増感剤等を含有するもの等が挙げられる。
ロイコ染料は、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トリフェニルメタン系染料、フルオラン系染料、フェノチアジン系染料、オーラミン系染料、スピロピラン系染料、インドリノフタリド系染料等を用いることができる。
ロイコ染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3’−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロロアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシベンゾインドリノピリロスピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシベンゾインドリノピリロスピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−クロロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロロ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジルトリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロロフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−p−クロロフェニルエチレン−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−メトキシ)−3−(1”−p−ジメチルアミノフェニル−1”−p−クロロフェニル−1”,3”−ブタジエン−4”−イル)ベンゾフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−ベンジルオキシ)−3−(1”−p−ジメチルアミノフェニル−1”−フェニル−1”,3”−ブタジエン−4”−イル)ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノフルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス{2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル}−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジブロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリドフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオランスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
顕色剤としては、公知の電子受容性化合物の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等を用いることができる。
顕色剤の具体例としては、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、3,4’−イソプロピリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4’−s−ブチリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(o−t−ブチルフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−2−メチル)フェノール、4,4’−ジフェノールスルホン、4,2’−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジフェノールスルホキシド、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキュ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサヘプタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)プロパン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロパン、N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、o−クロロサリチルアニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸の亜鉛塩、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸の亜鉛、アルミニウム、カルシウム等の金属塩、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4’−ジフェノールスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジフェノールスルホン、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエンチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4’−チオビス(2−メチルフェノール)、3,4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、4,4’−チオビス(2−クロロフェノール)等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
感熱記録層中の顕色剤の含有量は、目的に応じて適宜選択することができるが、発色剤1重量部に対して、1〜20重量部であることが好ましく、2〜10重量部がさらに好ましい。
結合剤は、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉又はその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸ブチル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等(エマルション);スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等(ラテックス類)等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
感熱記録層は、填料として、種々の熱可融性物質を含有してもよい。熱可融性物質としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類、p−ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ジフェノキシブタン、1,4−ジフェノキシ−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ビス(フェニルチオ)ブタン、1,4−ビス(フェニルチオ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリルオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−(ベンジルオキシ)ベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、シュウ酸ジベンジル、1,5−ビス(p−メトキシフェニルオキシ)−3−オキサペンタン等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
感熱記録層は、必要に応じて、各種補助添加成分、例えば、界面活性剤、滑剤等をさらに含有することができる。滑剤としては、例えば、高級脂肪酸、その金属塩、アミド、エステル、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、石油系ワックス等が挙げられる。
感熱記録層は、公知の方法により形成することができる。例えば、ロイコ染料、顕色剤を別々に結合剤、その他の成分と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散後の平均粒子径が1〜3μmになるまで粉砕分散した後、必要に応じて、填料、熱可融性物質(増感剤)分散液等と共に、一定処方で混合して塗布液を調製し、支持体上に塗布することによって感熱記録層を形成することができる。
感熱記録層の厚みは、感熱記録層の組成や感熱性粘着材料の用途等により適宜選択することができるが、1〜50μmであることが好ましく、3〜20μmがさらに好ましい。
また、支持体と感熱記録層との間にアンダー層を設けたり、感熱記録層の上に画像信頼性を向上させる目的で、保護層を設けたりすることもできる。これらの層を構成する成分としては、前述の填料、結合剤、熱可融性物質、界面活性剤等を用いることができる。アンダー層及び保護層の詳細については、後述する。
熱転写記録用インク受容層は、フィラー、バインダー樹脂及び耐水化剤を含有し、必要に応じて、その他の成分をさらに含有してもよい。
フィラーは、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、クレー、焼成クレー、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカ、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン等の微粉末等が挙げられる。
バインダー樹脂は、公知の水溶性樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン又はその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩、イソブチレン−無水マレイン共重合体のアルカリ金属塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子化合物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱転写記録用インク受容層におけるフィラーに対するバインダー樹脂の重量比(固形分)は、耐ブロッキング性に関わり、0.1〜0.2であることが好ましい。
耐水化剤は、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、クロムミョウバン、メラミン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂等が挙げられる。
熱転写記録用インク受容層におけるバインダー樹脂に対する耐水化剤の重量比(固形分)も、耐ブロッキング性に関わり、0.3〜0.5であることが好ましい。
熱転写記録用インク受容層は、フィラー、バインダー樹脂及び耐水化剤を特定の比率で含有するように支持体上に形成されるが、さらに、熱転写記録用インク受容層の表面をキャレンダー等により、平滑度が500秒以上になるように処理することにより、フィラーによる効果に加えて印字品質をさらに向上させることができる。
インクジェット記録層は、フィラー、バインダー樹脂を含有し、必要に応じて、その他の成分をさらに含有してもよい。これらの構成材料及び作製方法については、熱転写インク受容層を形成する場合と同様のものを適用することができる。
また、電子写真記録層についても、感熱記録層、熱転写記録用インク受容層及びインクジェット記録層のように、該当する分野における公知の方法により作製することができる。
本発明の感熱性粘着材料において、本発明の積層体の下層(支持体と接する層)や、記録層(特に、感熱記録層)と支持体との間に、アンダー層(断熱層)を設けることができる。アンダー層は、空気を含有する層であり、断熱効果を有する限り、目的に応じて適宜選択することができる。
この場合、感熱性粘着層を熱活性化する際に、サーマルヘッドからの熱エネルギーを効率的に利用することができ、少ないエネルギーで感熱性粘着層に粘着性を発現させることができる。また、支持体の感熱性粘着層を有する面と反対側の面に記録層、特に感熱記録層が設けられている場合に、感熱性粘着層を高エネルギーで加熱すると、そのエネルギーが感熱記録層に達してしまい、地肌カブリ等が生じることがあるが、アンダー層の存在により、感熱記録層への断熱効果が十分となり、感熱記録層で地肌カブリ等が生じるのを抑制することができる。
アンダー層における空気率、即ち、アンダー層に占める空気の割合は、目的に応じて適宜選択することができるが、高い程、断熱性に優れ、感熱性粘着層の粘着性を向上させることができる。
アンダー層は、各種の構成で形成することができるが、熱可塑性樹脂を殼とし、中空度が30〜95%の中空粒子、ポーラスな顔料等の非発泡性粒子を含有することが好ましい。
中空粒子は、内部に空気その他の気体を含有するもので、既に発泡状態となっている粒子である。中空粒子の平均粒子径(粒子外径)は、0.2〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmがさらに好ましい。平均粒子径が0.2μmより小さいと、技術的に中空にするのが難しいと共に、断熱層の機能が不十分となることがある。また、平均粒子径が20μmより大きいと、塗布、乾燥後の表面の平滑性が低下するため、感熱性粘着層の塗布が不均一になることがある。したがって、中空粒子は、粒子径が上記の範囲にあると同時に、粒子径のバラツキが少ないことが望ましい。
さらに、中空粒子の中空度は、30%以上であることが好ましく、70%以上がさらに好ましい。中空度が30%未満であると、断熱性が不十分なため、熱エネルギーが基材を通じて外部へ放出され、感熱性粘着剤の活性化の熱効率が低下することがある。
中空粒子は、上述したように、熱可塑性樹脂を殼とするものであるが、熱可塑性樹脂は、塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主成分とするモノマーを共重合することにより得られる樹脂であることが好ましい。
また、ポーラスな顔料としては、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等の有機顔料、シラス土等の無機顔料が挙げられる。
本発明において、アンダー層は、中空粒子やポーラスな顔料を結着樹脂と共に水に分散した分散液を、支持体上に塗布し、乾燥することにより、形成することができる。この場合、中空粒子やポーラスな顔料の塗布量は、支持体1m2当たり、少なくとも1g以上であることが好ましく、2〜15gがさらに好ましい。また、結着樹脂の塗布量は、アンダー層を支持体に結着させる量であればよく、通常、中空粒子やポーラスな顔料と結着樹脂との合計量に対して、2〜50重量%である。
アンダー層を形成する際に使用される結着樹脂は、従来公知の水溶性高分子及び/又は水性高分子エマルションから適宜選択される。水溶性高分子の具体例としては、ポリビニルアルコール、澱粉又はその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩、イソブチレン−無水マレイン共重合体のアルカリ金属塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。また、水性高分子エマルションの具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等のラテックスや酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリウレタン樹脂等のエマルション等が挙げられる。
アンダー層は、必要に応じて、フィラー、熱可融性物質(増感剤)、界面活性剤等をさらに含有することができる。この場合、フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリスチレン等の有機系の微粉末が挙げられる。また、熱可融性物質(増感剤)としては、例えば、高級脂肪酸、そのエステル、アミド、金属塩の他、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合物、安息香酸フェニル、高級直鎖グリコール、3,4−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、高級ケトン、p−ベンジルビフェニル等の融点が50〜200℃である熱可融性有機化合物等が挙げられる。
アンダー層は、公知の塗布方法により形成することができ、塗布方法としては、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本又は5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法等が挙げられる。
保護層は、バリアー性、ヘッドマッチング性、記録材料への筆記性等の向上を目的として、記録層上に設けることができる。
保護層は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔料、結着剤、架橋剤、滑剤等を主成分とするもの等が挙げられる。保護層は、アンダー層と同様の塗布方法により形成することができる。
本発明の感熱性粘着材料においては、記録層又は記録層上の保護層に、印刷画像を形成することができ、印刷インクとしては、例えば、UV硬化性インクが速乾性である点から感熱記録紙には、最適なインクとして用いられる。UV硬化性インク(UVインク)としては、例えば、UV RNC、UV NVR、UV SOYA、UV SOYA−RNC(以上、T&K TOKA社製)、FD FL(東洋インキ製造社製)等が挙げられる。
本発明の感熱性粘着材料の形状は、特に限定されないが、ラベル状、シート状、ロール状等であることが好ましい。
本発明の感熱性粘着材料は、感熱性粘着層の熱活性化時(加熱時)の前又は後でカットして使用することができ、この場合、感熱性粘着材料に、予め切れ目が形成されていてもよい。これらの場合、感熱性粘着材料を、ラベル、タグ等の様々な用途に好適に用いることができる。
感熱性粘着材料が貼付される被着体は、目的に応じてその大きさ、形状、構造、材質等を適宜選択することができるが、材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、ナイロン等の樹脂板、SUS、アルミニウム等の金属板、封筒、ダンボール等の紙製品、ポリオレフィン製のラップ類、ポリ塩化ビニル製のラップ類、ポリエチエレン製不織布(封筒等)等が挙げられる。
これらの中でも、ダンボール等の粗面被着体は、一般に感熱性粘着材料を貼付することが難しいが、本発明の感熱性粘着材料の場合、強い粘着性を発現することができる。
本発明の感熱性粘着材料において、感熱性粘着層を熱活性化する方法は、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱風による活性化方法、熱ロールによる活性化方法、サーマルヘッドによる活性化方法等が挙げられる。これらの中でも、サーマルヘッドによる活性化方法を用いることが好ましい。この場合、既存の感熱記録プリンタ装置を用いて、感熱性粘着材料の両面を加熱することにより、感熱記録層への記録と、感熱性粘着層の熱活性化とを行うことができる。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更しても差支えない。例えば、アンダー層及び感熱性粘着層を支持体の両面に設けることにより、ダンボール等の粗面被着体に対する粘着性が強く、耐ブロッキング性も良好な感熱性両面粘着紙を得ることもできる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これら実施例によってなんら限定されるものではない。なお、以下に示す部は、重量部である。
各塗工層形成液処方と塗工層形成方法について以下に示す。
10重量%水溶性高分子水溶液90.0部、界面活性剤アルキル−アリルスルホン酸塩0.15部及び水9.85部からなる架橋樹脂層形成液1(A液)を調製した。
10重量%架橋剤水溶液20.0部、界面活性剤アルキル−アリルスルホン酸塩0.15部及び水80.85部からなる架橋樹脂層形成液2(B液)を調製した。
次に、80g/m2の片面コート紙の裏面にA液を乾燥後の付着量が10g/m2となるように塗布、乾燥し、その上に、B液を乾燥後の付着量が1g/m2となるように塗布、乾燥し、架橋樹脂層を形成した。
熱溶融性物質30.0部、30重量%ポリビニルアルコール水溶液5.0部、界面活性剤アルキル−アリルスルホン酸塩0.15部及び水64.85部からなる混合物を、平均粒子径が1.0μmとなるようにサンドミルを用いて分散し、熱溶融性物質分散液(C液)を調製した。
50重量%のメタクリル酸メチル−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(ガラス転移温度−65℃)のエマルション10部、50重量%の重合ロジン(軟化点145℃)のエマルション6.5部及びC液33.3部からなる感熱性粘着層形成液(D液)を調製した。
次に、架橋樹脂層の上に、D液を乾燥後の付着量が16g/m2となるように塗布、乾燥して、感熱性粘着層を形成し、感熱性粘着材料を作製した。
上述の手順に従って、以下の実施例及び比較例の感熱性粘着材料を作製した。
(参考例1)
A液における水溶性高分子として、カルボキシメチルセルロース、B液における架橋剤として、塩化カルシウム、C液における熱溶融性物質として、ベンゾトリアゾール系化合物(1−1)を用いて、感熱性粘着材料を作製した。
(実施例2)
A液における水溶性高分子として、完全ケン化タイプのポリビニルアルコール、B液における架橋剤として、ホウ砂を用いた以外は、参考例1と同様にして、感熱性粘着材料を作製した。
(実施例3)
C液における熱溶融性物質として、トリフェニルホスフィン系化合物(3−9)を用いた以外は、実施例2と同様にして、感熱性粘着材料を作製した。
(実施例4)
C液における熱溶融性物質として、ヒンダードフェノール系化合物(6−5)を用いた以外は、実施例2と同様にして、感熱性粘着材料を作製した。
(実施例5)
A液の調製において、10重量%ペンタエリスルトール水溶液20部をさらに添加した以外は、実施例2と同様にして、感熱性粘着材料を作製した。
(実施例6)
A液の調製において、10重量%ジエチレングリコール水溶液20部をさらに添加した以外は、実施例2と同様にして、感熱性粘着材料を作製した。
(実施例7)
41重量%の中空粒子の分散体14.6部、55.4重量%のアクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(ガラス転移温度−65℃)のエマルション(昭和高分子社製)21.7部及び水63.7部からなる混合物を攪拌分散して、アンダー層形成液(E液)を調製した。なお、中空粒子としては、アクリロニトリル−塩化ビニリデン−メタクリル酸メチル共重合体からなり、平均粒子径が3.6μm、中空度が90%のものを用いた。
片面コート紙の裏面に、乾燥後の付着量が5g/m2となるように、E液を塗布、乾燥してアンダー層を形成した。次に、実施例2と同様にして、架橋樹脂層及び感熱性粘着層を形成して、感熱性粘着材料を作製した。
(比較例1)
架橋樹脂層を設けなかった以外は、参考例1と同様にして、感熱性粘着材料を作製した。
(比較例2)
B液を塗布しなかった以外は、参考例1と同様にして、感熱性粘着材料を作製した。
(比較例3)
B液を塗布しなかった以外は、実施例2と同様にして、感熱性粘着材料を作製した。
(感熱記録層の形成)
32重量%の中空粒子の分散体30部、45重量%のスチレン−ブタジエン共重合体(ガラス転移温度4℃)のラテックス10部及び水60部からなる混合物を攪拌分散して、アンダー層形成液(F液)を調製した。なお、中空粒子としては、塩化ビニリデン及びアクリロニトリルを主成分とするモノマーを共重合することにより得られる樹脂からなり、平均粒子径が3.0μm、中空度が92%のものを用いた。
3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、10重量%ポリビニルアルコ−ル水溶液10部及び水70部からなる混合物を、平均粒子径が1.5μmとなるように、サンドミルを用いて分散し、ロイコ染料分散液(G液)を調製した。
4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン10部、10重量%ポリビニルアルコ−ル水溶液25部、炭酸カルシウム15部及び水50部からなる混合物を、平均粒子径が1.5μmとなるように、サンドミルを用いて分散し、顕色剤分散液(H液)を調製した。
次に、G液:H液=1:8(体積比)となるように混合攪拌して、感熱記録層形成液(I液)を調製した。
坪量60g/m2の上質紙の表面に、乾燥後の付着量が4g/m2となるように、F液を塗布、乾燥して、アンダー層を形成した。この上に、乾燥後の付着量が5g/m2となるように、H液を塗布、乾燥して、感熱記録層を形成した。
水酸化アルミニウム20部、10重量%ポリビニルアルコール水溶液20部及び水40部からなる混合物を、縦型サンドミルで平均粒子径が1μm以下になるように、粉砕、分散化して、保護層用分散液(J液)を調製した。
J液10部、10重量%ポリビニルアルコール水溶液20部、12.5重量%エピクロヒドリン水溶液5部及び30重量%ステアリン酸亜鉛分散液2部からなる保護層形成液(K液)を調製した。
次に、感熱記録層上に、乾燥後の付着量が3g/m2となるように、K液を塗布、乾燥して、保護層を形成し、さらに王研式平滑度が2000秒になるようにスーパーキャレンダー処理して感熱記録紙を作製した。
片面コート紙の代わりに、感熱記録紙を用い、感熱記録層が形成されていない面に、参考例1、実施例2〜7及び比較例1〜3と同様にして、感熱性粘着層等を形成し、感熱性粘着シートを作製した。
(評価方法及び評価結果)
<粘着性の評価>
感熱性粘着シートを40mm×150mmの長方形にカットして、感熱性粘着ラベルとし、感熱印字装置TH−PMD(大倉電気社製)を用いて、印加エネルギー0.40mJ/dot又は0.50mJ/dot、印字スピード4ms/line、プラテン圧6kgf/lineのヘッド条件で、感熱性粘着ラベルを熱活性化させた。次に、各環境条件下のダンボールに、2kgのゴムローラーで長手方向に貼り付けて、1時間後に剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で剥離させた。
その時の粘着力をフォースゲージMODEL DPS−5(IMADA社製)で測定し、0.1秒間隔でデータを読み取り、平均化した。この試験は、常温環境(22℃、65%RH)及び低温環境(10℃、40%RH;5℃、40%RH)で実施した。
<耐ブロッキング性の評価>
感熱性粘着シートの感熱性粘着層を有する面と、感熱性記録層を有する面を接触させ、200gf/cm2で加圧し、60℃、乾燥条件下で24時間放置した。その後、室温で放置した後、感熱性粘着シートを剥がし、その時の耐ブロッキング性を表1に示す基準で評価した。
表2に、上記の評価結果を示す。
なお、粘着性は、1000gf/40mm以上を◎、500gf/40mm以上1000gf/40mm未満を○、100gf/40mm以上500gf/40mm未満を△、100gf/40mm未満を×として判定した。
これより、参考例1及び実施例2〜7の感熱性粘着材料は、耐ブロキング性を低下させることなく、常温から低温領域における粗面に対する粘着性を向上させることがわかる。