JP2004175894A - 熱活性粘着剤及び熱活性粘着シート - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温では非粘着性であるが加熱により粘着性が発現し、しかも粘着性発現後も粘着性が持続する熱活性粘着剤及び熱活性粘着シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ラベル用粘着シートを、価格表示用ラベル、商品表示(バーコード)用ラベル、品質表示用ラベル、計量表示用ラベル、広告宣伝用ラベル(ステッカー)等のラベル用途として使用することが増加している。その記録方式もインクジェット記録方式、感熱記録方式、感圧記録方式等様々な方式がある。
従来からある粘着シートラベルは、支持体の片面が情報記録面をなし、その反対面に粘着剤層と剥離紙を積層した構成からなり、使用時に剥離紙を剥がして加圧のみで被着体に簡便に貼り付けることができるので、広く使用されている。
しかし、このような剥離紙を剥がして使用する一般的な粘着シートは、剥がされた剥離紙は回収されても再利用しにくく、ほとんどの場合廃棄処分されることになって省資源の面で問題となっており、また粘着層が有するが故に、被着体に不用意に貼りついて、剥がしても粘着シート自体は使用不可能なものになってしまう等、剥離紙を設けた粘着シートは、種々の問題を有している。
そこで近年では、基材上に常温では粘着性を示さず加熱によって初めて粘着性を発現する熱活性粘着層が設けられた、剥離紙を用いない熱活性粘着シートが、貼り付けミスをした場合にも加熱すれば被着体から剥がすことができ、また省資源と対環境性の面で利点があり、剥離紙を設けた粘着シートが持つ前記の問題を解消できるために注目されている。
【0003】
この熱活性粘着剤は、熱可塑性樹脂と固体可塑剤のような熱溶融性物質を必須成分とし、必要に応じて粘着付与剤を含有させたもので、この基本的な構成は古くから知られているものである(例えば、非特許文献1参照。)。
また、このような熱活性粘着剤が熱活性粘着シートに用いることについても、大分以前から検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
熱活性粘着剤の構成成分のうち、熱可塑性樹脂は、粘着力、接着力を付与するものであり、熱溶融性物質は、常温では固体であるため熱可塑性樹脂に可塑性を付与することはないが、加熱されて溶融状態になった熱溶融性物質が熱可塑性樹脂を膨潤又は軟化させて粘着性を発現させるものであり、また粘着付与剤はこの粘着性を向上させる働きをするものである。
この熱溶融性物質は、加熱によって溶融状態になった後はゆっくりと結晶化する性質があるために、熱活性粘着シートは、この性質を応用し、加熱後も粘着性を長時間持続させる効果を期待しなされたものである。
熱活性粘着剤の用途は特に限定されないが、基材の片面に熱活性粘着剤を含有する層(熱活性粘着層という)を設けた前記の熱活性粘着シート、および熱活性粘着層に加えて基材の熱活性粘着層の反対側の面に感熱記録層を設けた熱活性粘着シートが代表的なものである。
これらは、様々な被着体に貼り付けて用いられるが、その中で特に最近、各種食料品をラップで包装し、そのラップの上に貼るいわゆる食品POS(point ofsales)用として期待が高まっている。
しかしながら、従来提案されあるいは開発されている熱活性粘着層は、粘着性発現後の粘着力が経時的に低下する等の理由から、塩化ビニルラップ及びポリオレフィンラップ等に対する粘着力が不充分であること等の問題があって、熱活性粘着シート自体の実用化の妨げになっている。
【0004】
この熱活性粘着シートに関し、特に粘着性を向上させるために従来なされた提案のうち、代表的なものについて説明する。
熱活性粘着剤を構成する熱可塑性樹脂として、例えば、ガラス転移点が0℃以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体又はガラス転移点が−5℃以上の熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体を除く)等を用いる提案がある。(例えば、特許文献2、3参照。)。
しかし、この提案によると、ステンレス板等に対する粘着力は比較的良好な結果が得られるものの、塩化ビニルラップやポリオレフィンラップ等に対する粘着力が不十分で、なものである。
【0005】
熱溶融性物質(固体可塑剤ともいう)として、P−オキシ安息香酸エステル化合物を用いた技術がある(例えば、特許文献4参照。)。
しかし、この技術は、熱ブロッキング(ロール状に巻くと貼り付く欠点及び熱活性粘着剤層と接触した感熱記録層(加熱印字側)が発色する問題がある。
また、固体可塑剤(熱溶融性物質)として、ヒンダードフェノール化合物を用いた提案があるが、粘着力があまり発現しない欠点を有するものである(例えば、特許文献5参照。)。
【0006】
また、基材と感熱記録層の間に非発泡中空粒子を含有させたアンダーコート層を、および基材の感熱記録層と反対側に熱活性粘着層を設けてなる熱活性粘着シートが提案され、熱活性粘着剤に含有させる熱溶融性物質の1つとして、フタル酸ジシクロヘキシルが挙げられてある(例えば、特許文献6参照)。
この熱活性粘着シートにはアンダーコート層が設けられているため、感熱発色層の熱感度向上と熱活性化時生じる感熱記録層の地肌発色防止の点でほぼ満足できるレベルであるが、例えば製品として多数枚の粘着シートを重ね合わせて袋に入れて包装状態におくと、フタル酸ジシクロヘキシルが樹脂に対する可塑化能力が大きいために、40℃程度で粘着シート同士が付着するなどのブロッキングが発生してしまう。
ブロッキングについては、50℃程度では発生しない粘着シートが市場で期待されており、従って該粘着シートは実用化レベルに至っていないものである。
【0007】
また、昨今、環境保全を配慮した経済、生産活動を営むことが人類共通の認識になりつつある。平成9年に環境庁から、内分泌攪乱作用を持つ疑いがあるとして報告があった約70種の化学物質の中に、フタル酸エステルが含まれている。
熱溶融性物質として用いられる前記フタル酸エステルは、食物連鎖を介して、人体に取り込まれ、体内のホルモンバランスを崩し、生殖機能に悪影響を及ぼすことが懸念されている。
【0008】
しかしながら、従来から提案されている熱活性粘着シートの多くは、該フタル酸エステルが熱溶融性物質として用いられているものである(例えば、特許文献2、3、5、7、8、9参照。)。
このような実情から、熱活性粘着剤に含有させる熱溶融性物質として、フタル酸エステルの代替物質の出現が望まれている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63−172784号公報
【特許文献2】
特開平6−57226号公報
【特許文献3】
特開平6−57233号公報
【特許文献4】
特開平1−96274号公報
【特許文献5】
特開2001−152128号公報
【特許文献6】
特開平9−265260号公報(請求項1および第3頁第4欄第30行)
【特許文献7】
特開平10−152660号公報(第(3)頁第4欄第35〜36行)
【特許文献8】
特開平11−099751号公報(第(4)頁第5欄第32〜33行)
【特許文献9】
特開平11−269440号公報(第(3)頁第4欄第5〜6行および第25〜26行)
【非特許文献1】
「接着便覧」第13版、第(199〜213)頁、昭和55年、高分子刊行会発行
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、従来の熱活性粘着剤に見られる欠点を克服し、各被着体に対する粘着力と、耐ブロッキング性に優れた熱活性粘着剤及び熱活性粘着シートを提供すること、さらに環境問題上の観点から、従来の熱活性粘着剤に熱溶融性物質(固体可塑剤ともいう)として使用されているフタル酸エステルに代わる物質を用いた熱活性粘着剤及び熱活性粘着シートを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、フタル酸エステルに代わる化合物について、鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(I)〜(IV)で示されるフェノール化合物を用いることにより、上記課題が解決できるということを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0012】
即ち、上記課題は、本発明の(1)「熱可塑性樹脂、粘着付与剤及び室温環境下で固体で加熱時に溶融する熱溶融性物質を主成分とする熱活性粘着剤において、該熱溶融性物質が下記一般式(I)〜(IV)で表わされるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする熱活性粘着剤:
【0013】
【化5】
R:炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基又は置換ベンジルを示す。
【0014】
【化6】
R1:炭素数1〜22のアルキル基、シクロへキシル基、フェニル基、ベンジル基又は置換ベンジルを示す。
【0015】
【化7】
R2:炭素数1〜22のアルキル基、シクロへキシル基、フェニル基、ベンジル基又は置換ベンジルを示す。
【0016】
【化8】
R3:炭素数1〜22のアルキル基、シクロへキシル基、フェニル基、ベンジル基又は置換ベンジルを示す。
」、(2)「該熱活性粘着剤中の熱溶融性物質の体積平均粒子径が、0.5μm以下の固体微粒子であることを特徴とする前記第(1)項に記載の熱活性粘着剤剤」、(3)「該熱活性粘着剤中の熱溶融性物質の含有率が、25〜80重量%であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の熱活性粘着剤」、(4)「該熱活性粘着剤中の粘着付与剤が、ロジン系エステル樹脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂又は水素添加テルペン樹脂から選ばれる少なくとも1種以上用いることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載の熱活性粘着剤」により達成される。
【0017】
また、上記課題は、本発明の(5)「前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載の熱活性粘着剤を含有する層(熱活性粘着層という)を基材の片面に設けてなることを特徴とする熱活性粘着シート」、(6)「前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載の熱活性粘着剤を含有する層(熱活性粘着層という)を基材の両面に設けてなることを特徴とする熱活性粘着シート」、(7)「基材の該熱活性粘着層が設けられた面と反対面にロイコ染料と顕色剤を主成分とする感熱記録層が設けられたことを特徴とする前記第(5)項に記載の熱活性粘着シート」、(8)「基材が熱溶融転写記録用の受容紙であって、その受容紙の片面に前記熱活性粘着層が設けられたことを特徴とする前記第(5)項に記載の熱活性粘着シート」、(9)「熱溶融転写記録によって形成されたインク画像を有するものであることを特徴とする前記第(7)項に記載の熱活性粘着シート」、(10)「ロール状に芯材に巻き付けられたことを特徴とする前記第(5)項乃至第(9)項の何れかに記載の熱活性粘着シート」、(11)「所定の大きさに裁断され積み重ねて包装されたことを特徴とする前記第(5)項乃至第(9)項の何れかに記載の熱活性粘着シート」により達成される。
【0018】
また、上記課題は、本発明の(12)「前記第(5)項乃至第(9)項の何れかに記載の熱活性粘着シートの熱活性粘着層面をサーマルヘッドによって加熱して粘着性を発現する方法」、(13)「前記第(12)項において粘着性が発現した熱活性粘着シートを該被着体に貼りつける方法」により達成される。
【0019】
また、上記課題は、本発明の(14)「前記第(5)項乃至第(9)項の何れかに記載の熱活性粘着シートの熱活性粘着層面が貼りついた被着体」により達成される。
【0020】
また、上記課題は、本発明の(15)「被着体が樹脂フイルム性ラップであって、前記第(14)項に記載の被着体で包装された食品」により達成される。
【0021】
また、上記課題は、本発明の(16)「加熱手段を具備し、前記第(5)項乃至第(9)項の何れかに記載の熱活性粘着シートが搭載された熱活性粘着性発現装置」により達成される。
【0022】
熱活性粘着剤は、一般に加熱により粘着力、接着力を付与する主な成分である熱可塑性樹脂、粘着付与剤及び加熱により溶融し、粘着剤に粘着性を発現させる作用を有する熱溶融性物質を主成分とするものである。
すなわち、本発明の熱活性粘着剤は、熱溶融性物質として下記一般式(I)〜(IV)のフェノール化合物を使用することを特徴とするものである。
これらの熱溶融性物質のフェノール化合物を使用することにより、各被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好となる。
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】
【0025】
【化11】
【0026】
【化12】
【0027】
本発明の熱溶融性物質において、上記一般式(I)〜(IV)で表わされるフェノール化合物は、室温において固体で加熱時に溶融するものが用いられる。
これらのフェノール化合物の融点は、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上のものが用いられる。
融点が70℃未満のものであると、熱活性粘着剤に含有させた場合に、通常の保存環境下温度で粘着力が発現してしまうなど、保存上の不具合が生じることがある。また、熱活性粘着剤塗布液を基材に塗布乾燥するときに粘着力が発現するなどの製造上の不具合も生じる場合がでてくる。
フェノール化合物の融点が高すぎると、粘着力を発現させるために大量のエネルギーが必要となり、実用上の不具合が生じてくる。
また、感熱記録層を設けた熱活性粘着シートの場合に、大量のエネルギーをかけて粘着力を発現させると、感熱記録層も同時に発色してしまうことが考えられ、印字画像が読み取れなくなるという問題がある。
そのために、フェノール化合物の融点の上限値としては、限定されないが、200℃程度が適当である。
【0028】
熱溶融性物質の体積平均粒子径を0.5μm以下のものを用いると、動的な熱感度が上がり、低エネルギーで熱可塑性樹脂及び粘着付与剤と相溶し、有効な熱活性粘着剤となり、特に該粒子径が0.4μm以下のものを用いることが特に有効である。
また、このような粒子径の熱溶融性物質を用いると、通常の保存環境下温度における保存性、すなわち耐ブロッキング性を一層向上させることができる。
熱溶融性物質の粒径が大きくなればなるほど、それを用いて得られる熱活性粘着シートは、熱応答性が悪くなり、また粒子の表面積が小さくなるために、ブロッキングが発生しやすいものとなる。
従って、熱溶融性物質の体積平均粒子径を0.5μm以下のものでありさえすれば、小さいものであるほど上記の効果が得られやすくなり、効果上の粒子径の下限はないが、熱溶融性物質粒子の製造する可能性の観点から言えば、せいぜい0.1μm程度である。
【0029】
本発明の熱活性粘着剤中の前記フェノール化合物の含有率は、特に限定されないが、25〜80重量%程度が好ましく、さらに35〜70重量%程度が特に好ましい。
熱溶融性物質であるフェノール化合物の含有率が25重量%未満及び80重量%を超えた場合には、いずれも粘着力が低下してくることがある。
特に、Tgが低い熱可塑性樹脂と組合わせて用いる場合には、フェノール化合物の含有率25重量%未満と少ないと、通常の保存環境下温度でも粘着力が発現することが起こるなど、保存上の不具合が生じる傾向が高い。
【0030】
次いで、本発明に用いられる上記一般式(I)〜(IV)で表わされるフェノール化合物の具体例を示す。
一般式(I)で示される化合物の場合は、
o−クマル酸メチル、m−クマル酸メチル、p−クマル酸メチル、o−クマル酸エチル、p−クマル酸エチル、トランス−o−クマル酸ベンジル、p−クマル酸ベンジル、トランス−o−クマル酸−4−メチルベンジル、トランス−o−クマル酸−2−クロロベンジル、トランス−o−クマル酸−4−クロロベンジル、p−クマル酸−4−クロロベンジル、p−クマル酸−α−ナフチルメチル等が挙げられる。
一般式(II)で示される化合物の場合は、
3,4−ジヒドロキシ桂皮酸メチル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸エチル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−n−プロピル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−n−ブチル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−iso−アミル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−n−アミル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸シクロヘキシル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸ラウリル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸ミリスチル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸ステアリル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸ベンジル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸フェニル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−p−クロロベンジル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−o−クロロベンジル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−p−メチルベンジル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−o−メチルベンジル等が挙げられる。
一般式(III)で示される化合物の場合は、
プロトカテキュ酸メチル、プロトカテキュ酸エチル、プロトカテキュ酸−n−プロピル、プロトカテキュ酸−n−ブチル、プロトカテキュ酸−iso−アミル、プロトカテキュ酸−n−アミル、プロトカテキュ酸シクロヘキシル、プロトカテキュ酸ラウリル、プロトカテキュ酸ミリスチル、プロトカテキュ酸ステアリル、プロトカテキュ酸ベンジル、プロトカテキュ酸フェニル、プロトカテキュ酸−p−クロロベンジル、プロトカテキュ酸−o−クロロベンジル、プロトカテキュ酸−p−メチルベンジル、プロトカテキュ酸−o−メチルベンジル等が挙げられる。
一般式(IV)で示される化合物の場合は、
没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸−n−プロピル、没食子酸−n−ブチル、没食子酸ラウリル、没食子酸ミリスチル、没食子酸ステアリル、没食子酸ベンジル、没食子酸フェニル、没食子酸−p−クロロベンジル、没食子酸−o−クロロベンジル、没食子酸−p−メチルベンジル、没食子酸−o−メチルベンジル等が挙げられる。
【0031】
本発明の熱活性粘着剤に好ましく併用される熱可塑性樹脂としては、ビニル系モノマーをグラフト共重合した天然ゴムラテックス、天然ゴムラテックス、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、合成ゴム、酢酸ビニル−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル共重合体等の高分子樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
熱活性粘着剤中の熱可塑性樹脂の含有率は、好ましくは、10〜60重量%、さらに好ましくは、15〜50重量%である。熱可塑性樹脂の含有率が10重量%未満及び60重量%を超えた場合、いずれも粘着力の低下となるので望ましくない。また、低Tg樹脂の含有率が60重量%を超えた場合には、通常の保存環境下温度で粘着力が発現するなど保存上の不具合が生じる。
さらに、熱活性粘着剤の粘着力を向上させるために、上記成分に一般的な粘着剤に用いられる粘着付与剤であるロジン誘導体、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂及びキシレン系樹脂が使われる。
【0032】
本発明の熱活性粘着剤に特に好ましく用いられる粘着付与剤としては、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン)、テルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂)等が挙げられる。こららの粘着付与剤は、熱可塑性樹脂及び本発明の熱溶融性物質と相溶し、熱活性粘着剤の粘着力が著しく向上する。
また、熱活性粘着剤中の粘着付与剤の融点又は軟化点は、80℃以上でさらに好ましくは、80〜200℃である。80℃未満になると、通常の保存環境下温度で保存上の不具合(耐ブロッキング性が低下)が生じる。
また、熱活性粘着剤中の粘着付与剤の含有率は、好ましくは、5〜30重量%で、さらに好ましくは、5〜20重量%である。5重量%未満であると、粘着力が低下し、30重量%を超えると、通常の保存環境下温度で保存上の不具合(耐ブロッキング性が低下)が生じる。
【0033】
本発明の熱活性粘着剤においては、上記成分以外に、ブロッキング防止のために、酸化チタン、アルミナ、コロイダルシリカ、カオリン、タルク等の無機物や、ステアリン酸金属塩、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス、天然油脂、ポリスチレン粉末等の有機物を、さらに必要に応じて、分散剤、消泡剤、増粘剤等を使用することもできる。
【0034】
熱活性粘着層を基材の片面に設けることによって、各被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な熱活性粘着シートを得ることができる。この粘着シートは、ラベルとして用いるのに、好適である。
【0035】
また、基材の片面に感熱記録層を設け、他の面に本発明の熱活性粘着層を設けることによって、各被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な、感熱記録用の熱活性粘着シートを得ることができる。
【0036】
基材に塗工若しくは印刷の際の乾燥条件は、使用される熱溶融性物質が融解しない温度範囲で乾燥されなければならない。乾燥の手段としては熱風乾燥の他に赤外線、マイクロ波、高周波による熱源を利用した乾燥方法が使用できる。
【0037】
熱活性粘着層の塗布量は、乾燥塗工量で通常2〜35g/m2、好ましくは5〜25g/m2の範囲で塗布される。
熱活性粘着層の塗工量が2g/m2未満であると、加熱による接着を行なう際に充分な接着力が得られなくなる傾向があり。また、35g/m2を越えると接着機能が飽和になるため経済上好ましくない。
【0038】
本発明の感熱記録層においては、基材上にロイコ染料及び顕色剤を主成分とする感熱記録層を形成させることができる。
本発明の感熱記録層において用いられるロイコ染料としては、一般にこの種のロイコ系記録材料において知られているロイコ染料が適用され、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられる。
このようなロイコ染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3’−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−クロルフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロル−5’−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−p−クロロフェニルエチレン−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−メトキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−p−クロロフェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−ベンジルオキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−フェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノ−フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス{2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル}−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジブロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリドフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオランスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を挙げることができる。
【0039】
また、本発明の感熱記録層においては、顕色剤として電子受容性の種々の化合物、例えば、フェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等を適用することができる。
その具体例としては、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、3,4’−イソプロピリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4’−セカンダリーブチリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(o−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、4,4’−ジフェノールスルホン、4,2’−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジフェノールスルホキシド、P−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、P−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキュ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサヘプタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロパン、N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、5−クロロ−サリチルアニリド、サリチル−o−クロロアニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸の亜鉛塩、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸の亜鉛、アルミニウム、カルシウム等の金属塩、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルエステル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4’−ジフェノールスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジフェノールスルホン、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエンチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4’−チオビス(2−メチルフェノール)、3,4−ヒドロキシ−4’−メチル−ジフェニルスルホン、4,4’−チオビス(2−クロロフェノール)等が挙げられる。
【0040】
本発明の感熱記録層を形成させるためには、ロイコ染料及び顕色剤を基材上に結合支持させればよい。この場合の結合剤としては、慣用の種々の結合剤を適宜用いることができる。
このような結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子の他、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックス類等を挙げることができる。
【0041】
また、本発明により感熱記録層を形成させる場合は、填料として種々の熱可融性物質を使用することができる。
その具体例としては、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類、p−ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジベンジルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ビス(フェノキシ)ブタン、1,4−ビス(フェノキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ビス(フェニルチオ)ブタン、1,4−ビス(フェニルチオ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−(ベンジルオキシ)ベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、蓚酸ジベンジルエステル、1,5−ビス(p−メトキシフェニルオキシ)−3−オキサペンタン等が挙げられる。
【0042】
また、本発明においては、必要に応じ、この種の感熱記録層に慣用される補助添加成分、例えば、界面活性剤、滑剤等を併用することができる。この場合、滑剤としては、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、植物性、鉱物性又は石油系の各種ワックス類等が挙げられる。
なお、本発明においては必要に応じ、基材と感熱記録層との間にアンダーコート層を設けたり、また、感熱記録層の上に画像信頼性を向上させる目的等で例えば、水溶性樹脂を主成分とする保護層を設けたり、さらに、基材の裏面にバックコート層を設けたりすることもできる。この場合、これらの層を構成する成分としては、上記の填料、結合剤、熱可融性物質、界面活性剤等を用いることができる。さらに、保護層上及び保護層を設けない場合は直接感熱記録層の上に、印刷画像を形成することができ、印刷インクとしては、例えば、UV硬化性インクが用いられる。
【0043】
本発明における感熱記録層は、一般に知られている方法により形成することができる。例えば、先ず、ロイコ染料、顕色剤を別々に結合剤水溶液と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散粒径が1〜3μmになるまで粉砕分散した後、必要に応じて填料、熱可融性物質(増感剤)分散液等と共に、一定処方で混合して感熱記録層塗布液を調製し、基材に塗布することによって感熱記録層を形成することができる。
【0044】
本発明においては、熱溶融転写記録方法によってインク画像が被着される受容紙を基材として用い、その受容紙の片面に前記熱活性粘着層を設けて、各被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な熱溶融転写記録用の熱活性粘着シート(熱溶融転写用粘着シートという)とすることもできる。
【0045】
さらに、本発明の熱活性粘着シートには、フィラーと水溶性樹脂を主成分とするインク受容層が設けられた熱溶融転写記録用の受容紙を基材として用い、該受容紙のインク受容層と反対側の面に熱活性粘着層を設けた、熱溶融転写用粘着シートも包含される。このインク受容層には耐水化剤を含有させることができる。
これらの熱溶融転写用粘着シートは、インク画像が形成されたラベルとして用いると、利便性の高いものとして利用できる。
【0046】
該インク受容層に含有させるフィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、クレー、焼成クレー、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカ、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン等の微粉末等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
また、インク受容層に用いる水溶性樹脂としては、慣用の種々の水溶性樹脂を適宜用いることができ、例えばポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子を挙げることができる。
【0048】
インク受容層における上記フィラーと水溶性樹脂の割合は、ブロッキング性に関わり、フィラー対水溶性樹脂の含有重量比(固形分)を1:0.1〜0.2とすることが好ましい。
また、インク受容層に用いる耐水化剤の具体例としては、例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、クロムミョウバン、メラミン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。この耐水化剤と水溶性樹脂の割合もブロッキング性に関わり、その含有重量比(固形分)は、水溶性樹脂1に対して、耐水化剤0.3〜0.5が好ましい。
このようにインク受容層は、フィラー及び水溶性樹脂を、さらに必要に応じて耐水化剤を含有させて形成されるが、さらに、キャレンダー等の方法を用いてインク受容層の表面を平滑度500秒以上に処理すると、印字品質を一層向上させることができる。
【0049】
また、本発明の熱活性粘着剤を基材の両面に塗布した両面熱活性粘着シートとすることができ、該両面熱活性粘着シートは、各被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好なものである。
以上説明したように、本発明の熱活性粘着剤を種々の基材上に塗布することによって、種々の熱活性粘着シートとすることができる。
【0050】
上記のように、基材と熱活性粘着剤層との間に該熱活性粘着剤層を低エネルギーで活性化させるための中間層が設けられた粘着シートとすることができ、また感熱記録層が設けられた粘着シートの場合には、基材と感熱記録層の間にアンダーコート層を設けて、感熱発色層を低エネルギーで発色させることができる。
これらの中間層及び/又はアンダーコート層を設ける場合には、断熱性であることが好ましく、このような層を設けることによって感熱記録層の熱感度が向上し、かつ熱活性化時における感熱発色層の地肌発色が防止でき、熱活性時の熱エネルギーを効率よく活用することができる。
上記の中間層及び/又はアンダーコート層が断熱性である場合は、以下、断熱層と言う。断熱層としては、熱可塑性樹脂を殼としてなる中空度30〜95%程度の微小中空粒子又はポーラスな顔料を用いた非発泡性断熱層及び発泡性フィラーを用いた発泡性断熱層が挙げられる。
【0051】
断熱層に用いられる熱可塑性樹脂を殼としてなる中空度30〜95%程度の微小中空粒子は、内部に空気その他の気体を含有するもので、すでに発泡状態となっている微小中空粒子である。この微小中空粒子の平均粒子径は、0.2〜20μmのものが好ましく、より好ましくは0.5〜10μmの微小中空粒子が好ましい。
この平均粒子径(粒子外径)が小さすぎると、技術的に中空にするのが難しいことや断熱層の役割が不充分となる傾向がある。
また、逆にこの平均粒子径が大きすぎると、塗布乾燥後の表面の平滑性が低下するため、熱活性粘着剤層の塗布が不均一になる傾向があり、さらに均一にするために必要量以上の熱活性粘着剤を塗布しなければならない。
従って、このよう微小中空粒子は、その粒子径が上記の範囲にあることが好ましいが、それと同時に、バラツキの少ない分布スペクトラムの均一なものがさらに望ましい。
さらに、本発明において、プラスチック球状中空粒子は、中空度が30%以上のものが使用できるが、50%以上のものがより好ましい。中空度が低いと、断熱性が不充分なため、熱エネルギーが基材を通じて外へ放出され、粘着剤活性化の熱の効率が悪くなるので望ましくない。
ここでいう中空度とは、中空粒子の外径と内径の比であり、次式で表示されるものである。
【0052】
【数1】
中空度=(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100(%)
【0053】
本発明で用いる微小中空粒子は上述のように、熱可塑性樹脂を殼とするものであるが、この熱可塑性樹脂としては、特に塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
また、本発明において断熱層に用いられるポーラスな顔料としては、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の有機顔料やシラス土等の無機顔料があるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0054】
本発明において非発泡性断熱層を形成させるには、上記の微小中空粒子やポーラスな顔料をバインダーと共に水に分散し、これを基材上に塗布し、乾燥することによって得られる。
この場合、微小中空粒子の塗布量は支持体1m2当たり少なくとも1g以上であり、さらに好ましくは2〜15g程度が好ましい。
また、バインダー樹脂の塗布量は、断熱層を基材に強く結合させるに足りる量でよく、通常は、該微小中空粒子とバインダー樹脂との合計量に対して、2〜50重量%である。
【0055】
非発泡性断熱層を形成する際に使用されるバインダーとしては、従来公知の水溶性高分子及び/又は水性高分子エマルジョンから適宜選択される。
その具体例としては、水溶性高分子として例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
また、水性高分子エマルジョンとしては、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックスや酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のエマルジョン等が挙げられる。
【0056】
また、本発明において用いる発泡性フィラーは、熱可塑性樹脂を殼とし、内部に低沸点溶媒の発泡剤を含有する中空状のプラスチックフィラーであり、種々のものが適用されるが、その粒子直径に関しては、未発泡の状態の場合、2〜50μmであり、発泡状態では10〜100μm、好ましくは、10〜50μmである。
このプラスチックフィラーの殼となる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、又はそれらの共重合体が挙げられる。また、殼内に含まれる発泡剤としては、プロパンやブタンその混合物等が一般的に用いられる。
【0057】
基材上に発泡性断熱層を形成させるには、上記した発泡性プラスチックフィラーを、結着剤と共に支持体上に塗布乾燥した後、その塗布面に熱板を密着させ、プラスチックフィラーを加熱発泡させればよい。プラスチックフィラーの塗布量は、支持体1m2に対し未発泡フィラーとして、少なくとも1g以上であり、好ましくは2〜5g程度である。
また、結着剤の使用量は、発泡性断熱層を支持体上に対し強く結着させるような量であればよく、通常は、未発泡フィラーと結着剤の合計量に対し、5〜50重量%である。また、加熱発泡温度は、フィラーの殼を構成する熱可塑性樹脂を軟化させる温度である。発泡倍率は、通常、2〜4倍、好ましくは、2〜3倍程度であり、上記の発泡が達成されるように適宜、選択される。
【0058】
上記のようにし、基材上に形成された発泡性断熱層の表面は、かなり凹凸が生じているために、発泡性断熱層形成後(加熱発泡後)キャレンダー処理により平面を平滑にすることが好ましく、また、必要に応じて、発泡性断熱層の表面又は下面に1層又は複数のアンダーコート層を設けることもできる。
なお、本発明の粘着シートを構成する断熱層においては、上記微小中空粒子、ポーラスな顔料又は発泡性フィラー及びバインダーと共に、必要に応じて、フィラー、熱可融性増感剤、界面活性剤等を併用することができる。
この場合、フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末を挙げることができ。
また、熱可融性増感剤としては、例えば、高級脂肪酸又はそのエステル、アミドもしくは金属塩の他、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合物、安息香酸フェニルエステル、高級直鎖グリコール、3,4−エポキシ−ヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、高級ケトン、p−ベンジルビフェニル他の熱可融性有機化合物等50〜200℃程度の融点を持つものが挙げられる。
【0059】
また、本発明で使用する基材としては、特に限定されず、上質紙、アート紙、コート紙等、紙以外でもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム或いはこれらを貼り合わせたフィルム等を使用することができる。
【0060】
上記塗工層を設ける塗工方法として、ブレード塗工法、グラビア塗工法、グラビアオフセット塗工法、バー塗工法、ロール塗工法、ナイフ塗工法、エアナイフ塗工法、コンマ塗工法、Uコンマ塗工法、AKKU塗工法、スムージング塗工法、マイクログラビア塗工法、リバースロール塗工法、4本あるいは5本ロール塗工法、ディップ塗工法、落下カーテン塗工法、スライド塗工法、ダイ塗工法、等公知の塗工方法が利用可能である。
【0061】
本発明の熱活性粘着シートは、製造後、芯材に巻き付けてロール状にして、あるいは所定の大きさに裁断し複数枚を包装状態にして、顧客の元に届けられるのが一般的である。
本発明の熱活性粘着シートにおいて、その熱活性粘着層の粘着性を発現させる加熱手段としては、特に限定されず、熱板、熱風、赤外線、加熱ロール、サーマルヘッドなど、公知のものが使用可能である。
しかしながら、サーマルヘッドは、オンデマンドで発熱制御でき通電と同時に熱活性を行なえるので、エネルギー消費を軽減でき、また効率よく感熱性粘着剤層に熱を伝えられるので、感熱性粘着材料を早い速度で移動させても熱活性化できる等の利点があるため、特に有効である。さらに、サーマルヘッドの中でも、その発熱部をニアエッジ、コーナーエッジあるいは端面に設けたものを用いると、熱活性化された感熱性粘着剤層を構成する成分がサーマルヘッドに転移しにくいので、有効である。
熱活性粘着シートは、このような加熱手段で熱活性粘着層を加熱して粘着性を発現させた後、被着体に貼り付けて用いられる。
【0062】
本発明の熱活性粘着シートを貼りつける被着体としては、特に限定されず、原材料が紙、樹脂、木材等であって貼り付くものであればあらゆるものが包含され、その厚さの如何を問わない。
さらに、食品POS業界における食品包装用樹脂フイルムに有用であり、特にポリオレフィン系樹脂フイルムからなる被着体に対しても高い粘着力で貼着させることができる。
本発明の熱活性粘着シートを粘着化するために、あるいはその後に被着体の貼りつける一連の工程を行なうために、用いる装置としては公知のものが用いられる。
【0063】
例えば、図1は、本発明に係るプリンタ(1)の概略構造を示す全体図であり本発明の熱活性粘着シートを粘着ラベルとして用い、プリンタ(1)には、ロール状に巻回された熱活性粘着ラベル(2)を保持するラベル保持部(3)が設けられている。
また図2は、本発明による熱活性粘着シートの一例を示す図であり、感熱記録層が設けられたものである。
【0064】
前記プリンタ(1)には、熱活性粘着ラベル(2)の感熱発色層に記録する記録手段(8)と、熱活性粘着ラベル(2)を所定の長さにカットするカッター(9)と、熱活性粘着ラベル(2)の熱活性粘着層を熱活性化する熱活性化装置(10)とが設けられている。
記録手段(8)は、記録用のサーマルヘッド(11)とプラテンロール(12)とにより形成されている。熱活性化装置(10)は、感熱性粘着ラベル(2)を搬送する搬送手段であるプラテンロール(13)と発熱部(14)を有する加熱手段であるサーマルヘッド(15)とにより形成されている。
発熱部(14)は、セラミック基板の上に薄膜技術で発熱抵抗体を設け、この発熱抵抗体の表面に結晶化ガラスからなる保護膜を設けることにより形成されている。なお、プラテンロール(13)は、発熱部(14)とにより熱活性粘着ラベル(2)を挾む加圧体としても機能する。
【0065】
このような構成において、ロール状に巻回した熱活性粘着ラベル(2)をラベル保持部(3)に取付け、ラベル保持部(3)から引き出された熱活性粘着ラベル(2)の感熱発色層(7)に対してサーマルヘッド(11)の発熱部(11a)から熱を加えることにより感熱発色層(7)を発色させ、所定事項の記録を行う。
【0066】
感熱発色層(7)への記録が終了して搬送される熱活性粘着ラベル(2)の熱活性粘着層(5)にはサーマルヘッド(15)の発熱部(14)が接触しており、この発熱部(14)を発熱させることにより熱活性粘着層(5)が熱活性化される。
【0067】
ここで、発熱部(14)が熱活性粘着層(5)に接触しているため、発熱部(14)を発熱させると熱活性粘着層(5)の熱活性化を確実に行える。しかも、発熱部(14)からの熱が熱活性粘着層(5)に効率良く伝わり、かつ、発熱部(14)を熱活性化に必要な熱を加えた状態で待機させておかなくても通電と同時に熱活性化を行え、熱活性化のためのエネルギー消費量が少なくなり、また、熱活性化時に感熱性粘着ラベル(2)を過熱することがなくなり、プリンタ(1)の安全性が高くなる。
さらに、発熱部(14)からの熱が効率良く熱活性粘着層(5)に伝わるため、熱活性粘着層(5)を発熱部(14)に接触させた熱活性粘着ラベル(2)を速い速度で移動させても熱活性化することができ、これにより、熱活性化された熱活性粘着層(5)が発熱部(14)に転移することを防止でき、かつ、熱活性化の作業及び熱活性化した感熱性粘着ラベル(2)の被着体への貼付作業の作業能率が高くなる。
【0068】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。なお、以下に示す部及び%は、いずれも重量基準である。
(実施例1)
〔A液〕
熱溶融性物質分散液
o−クマル酸メチル(mp139℃) 40.0部
ポリビニルアルコール(30%水溶液) 6.7部
水 54.3部
上記組成からなる混合物を、平均粒径が1.0μmとなるようにサンドミルを用いて分散して分散液〔A液〕を得た。
〔B液〕
熱活性粘着剤分散液
メチルメタアクリレート−ブチルアクリレート共重合体エマルジョン10部
(Tg+20℃,不揮発分50%)
重合ロジンエマルジョン(軟化点145℃,不揮発分50%) 6部
熱溶融性物質分散液〔A液〕 37.5部
上記組成からなる熱活性粘着剤分散液〔B液〕を80g/m2の片面コート紙の裏面に乾燥重量16g/m2となるように塗布乾燥し、熱活性粘着シートを得た。
【0069】
(実施例2)
実施例1において〔A液〕の代わりに下記〔C液〕を用いた以外は、実施例1と同様にして、熱活性粘着シートを得た。
〔C液〕
熱溶融性物質分散液
p−クマル酸メチル(mp136〜137℃) 40.0部
ポリビニルアルコール(30%水溶液) 6.7部
水 54.3部
上記組成からなる混合物を、平均粒径が0.4μmとなるようにサンドミルを用いて分散して分散液〔C液〕を得た。
【0070】
(実施例3)
実施例2において〔C液〕のp−クマル酸メチルの代わりに、p−クマル酸−2−クロロベンジル(mp113〜114℃)を用いた以外は,実施例2と同様にして熱活性粘着シートを得た。
【0071】
(実施例4)
実施例2における〔C液〕のP−クマル酸メチルの代わりに、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸ベンジル(mp125〜130℃)を用いた以外は、実施例2と同様にして、熱活性粘着シートを得た。
【0072】
(実施例5)
実施例2において〔C液〕のp−クマル酸メチルの代わりに、プロトカテキュ酸ベンジル(mp149〜151℃)を用いた以外は、実施例2と同様にして熱活性粘着シートを得た。
【0073】
(実施例6)
実施例2において〔C液〕のp−クマル酸メチルの代わりに、没食子酸−n−プロピル(mp145℃)を用いた以外は実施例2と同様にして、熱活性粘着シートを得た。
【0074】
(実施例7)
実施例2において〔C液〕のp−クマル酸メチルの代わりに、没食子酸−n−オクチル(mp101〜104℃)を用いた以外は実施例2と同様にして、熱活性粘着シートを得た。
【0075】
(実施例8)
[D液]非発泡性断熱層形成用塗液
微小中空粒子分散体(塩化ビニリデン/アクリロニトリルを
主体とする共重合樹脂) 30部
(固形分濃度32%、平均粒子径5μm、中空度92%)
スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス 10部
水 60部
上記組成からなる混合物を攪拌分散して非発泡性断熱層形成用塗液[D液]を調製した
[E液]発色剤分散液
3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部
ポリビニルアルコ−ル(10%水溶液) 10部
水 70部
[F液]顕色剤分散液
4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン 10部
ポリビニルアルコ−ル(10%水溶液) 25部
炭酸カルシウム 15部
水 50部
上記組成からなる混合物を、それぞれ平均粒径が1.5μm程度となるようにサンドミルを用いて分散して[E液]と[F液]を調製し、次に[E液]:[F液]=1:8となるように混合攪拌して感熱記録層[G液]を得た。
上記[D液]を、基材の表面に乾燥後重量が4g/m2となるように塗布乾燥して非発泡性断熱層を設けた。
この上に、上記[F液]を乾燥後重量が5g/m2となるように塗布乾燥して感熱記録層を設けた後に、さらに王研式平滑度が2000秒になるようにス−パ−キャレンダ−処理して感熱発色層が設けられた紙を得た。
実施例6の片面コート紙の代わりに、上記感熱記録層が設けられた紙を使用した以外は、実施例6と同様にして熱活性粘着シートを得た。
【0076】
(比較例1)
実施例1において、〔A液〕のo−クマル酸メチルをフタル酸ジシクロヘキシルに代えた以外は、実施例1と同様にして熱活性粘着シートを得た。
【0077】
(比較例2)
実施例1において、〔A液〕のo−クマル酸メチルをフタル酸ジフェニルに代えた以外は、実施例1と同様にして熱活性粘着シートを得た。
【0078】
(比較例3)
比較例1の片面コート紙の代わりに、上記感熱記録層塗布済み紙を使用した以外は、比較例1と同様にして、熱活性粘着シートを得た。
【0079】
以上の各実施例と各比較例で作製した熱活性粘着シートについて、その粘着性とブロッキング性を、以下の方法によって評価した。
<粘着性>
熱活性粘着シートを4.0cm×9.0cmの長方形にカットし、大倉電気製感熱印字装置TH−PMDを用いて、ヘッド条件0.54mJ/dot、印字スピード4ms/line、プラテン圧6kgf/lineの各条件によって、熱活性粘着層を熱活性化させる。
次に、被着体としてポリオレフィンラップを用い、それに加圧2kgのゴムローラーで熱活性された粘着シートを長手方向に貼り付け、1分放置した後に剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で剥離させる。
その時の粘着力の抵抗値を数値で示した。なお、単位はgf/25mmである。この試験を低温環境(0℃、15%)、常温環境(22℃、65%)、高温環境(40℃,Dry)の各環境で実施した。
<ブロッキング性>
同一サンプルの感熱記録層の保護層面と熱活性粘着層面とを接触させ、200g/cm2の圧力で50℃、Dry条件下で24時間試験した後、室温で放置後サンプルを剥がし、その時のブロッキング性を表1に示すランク基準に従って評価した。その結果を表2に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、従来の熱活性粘着剤に見られる欠点を克服し、各被着体に対する粘着力と、耐ブロッキング性に優れた熱活性粘着剤、熱活性粘着シート及び熱活性両面粘着紙が提供され、さらに環境問題上の観点から、従来の熱活性粘着剤に熱溶融性物質(固体可塑剤)として使用されているフタル酸エステルに代わる物質を用いた熱活性粘着剤、熱活性粘着シート及び熱活性両面粘着紙が提供され、このような粘着剤、粘着シート及び粘着紙分野及び環境保全に寄与するところはきわめて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリンタの概略構造を示す全体図である。
【図2】本発明による熱活性粘着シートの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 プリンタ
2 熱活性粘着シート
3 ラベル保持部
4 ベース
5 熱活性粘着層
6 保護層
7 感熱発色層
8 記録手段
9 カッター
10 熱活性化装置
11 サーマルヘッド
12 プラテンロール
13 プラテンロール
14 発熱部
15 サーマルヘッド
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温では非粘着性であるが加熱により粘着性が発現し、しかも粘着性発現後も粘着性が持続する熱活性粘着剤及び熱活性粘着シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ラベル用粘着シートを、価格表示用ラベル、商品表示(バーコード)用ラベル、品質表示用ラベル、計量表示用ラベル、広告宣伝用ラベル(ステッカー)等のラベル用途として使用することが増加している。その記録方式もインクジェット記録方式、感熱記録方式、感圧記録方式等様々な方式がある。
従来からある粘着シートラベルは、支持体の片面が情報記録面をなし、その反対面に粘着剤層と剥離紙を積層した構成からなり、使用時に剥離紙を剥がして加圧のみで被着体に簡便に貼り付けることができるので、広く使用されている。
しかし、このような剥離紙を剥がして使用する一般的な粘着シートは、剥がされた剥離紙は回収されても再利用しにくく、ほとんどの場合廃棄処分されることになって省資源の面で問題となっており、また粘着層が有するが故に、被着体に不用意に貼りついて、剥がしても粘着シート自体は使用不可能なものになってしまう等、剥離紙を設けた粘着シートは、種々の問題を有している。
そこで近年では、基材上に常温では粘着性を示さず加熱によって初めて粘着性を発現する熱活性粘着層が設けられた、剥離紙を用いない熱活性粘着シートが、貼り付けミスをした場合にも加熱すれば被着体から剥がすことができ、また省資源と対環境性の面で利点があり、剥離紙を設けた粘着シートが持つ前記の問題を解消できるために注目されている。
【0003】
この熱活性粘着剤は、熱可塑性樹脂と固体可塑剤のような熱溶融性物質を必須成分とし、必要に応じて粘着付与剤を含有させたもので、この基本的な構成は古くから知られているものである(例えば、非特許文献1参照。)。
また、このような熱活性粘着剤が熱活性粘着シートに用いることについても、大分以前から検討されている(例えば、特許文献1参照。)。
熱活性粘着剤の構成成分のうち、熱可塑性樹脂は、粘着力、接着力を付与するものであり、熱溶融性物質は、常温では固体であるため熱可塑性樹脂に可塑性を付与することはないが、加熱されて溶融状態になった熱溶融性物質が熱可塑性樹脂を膨潤又は軟化させて粘着性を発現させるものであり、また粘着付与剤はこの粘着性を向上させる働きをするものである。
この熱溶融性物質は、加熱によって溶融状態になった後はゆっくりと結晶化する性質があるために、熱活性粘着シートは、この性質を応用し、加熱後も粘着性を長時間持続させる効果を期待しなされたものである。
熱活性粘着剤の用途は特に限定されないが、基材の片面に熱活性粘着剤を含有する層(熱活性粘着層という)を設けた前記の熱活性粘着シート、および熱活性粘着層に加えて基材の熱活性粘着層の反対側の面に感熱記録層を設けた熱活性粘着シートが代表的なものである。
これらは、様々な被着体に貼り付けて用いられるが、その中で特に最近、各種食料品をラップで包装し、そのラップの上に貼るいわゆる食品POS(point ofsales)用として期待が高まっている。
しかしながら、従来提案されあるいは開発されている熱活性粘着層は、粘着性発現後の粘着力が経時的に低下する等の理由から、塩化ビニルラップ及びポリオレフィンラップ等に対する粘着力が不充分であること等の問題があって、熱活性粘着シート自体の実用化の妨げになっている。
【0004】
この熱活性粘着シートに関し、特に粘着性を向上させるために従来なされた提案のうち、代表的なものについて説明する。
熱活性粘着剤を構成する熱可塑性樹脂として、例えば、ガラス転移点が0℃以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体又はガラス転移点が−5℃以上の熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体を除く)等を用いる提案がある。(例えば、特許文献2、3参照。)。
しかし、この提案によると、ステンレス板等に対する粘着力は比較的良好な結果が得られるものの、塩化ビニルラップやポリオレフィンラップ等に対する粘着力が不十分で、なものである。
【0005】
熱溶融性物質(固体可塑剤ともいう)として、P−オキシ安息香酸エステル化合物を用いた技術がある(例えば、特許文献4参照。)。
しかし、この技術は、熱ブロッキング(ロール状に巻くと貼り付く欠点及び熱活性粘着剤層と接触した感熱記録層(加熱印字側)が発色する問題がある。
また、固体可塑剤(熱溶融性物質)として、ヒンダードフェノール化合物を用いた提案があるが、粘着力があまり発現しない欠点を有するものである(例えば、特許文献5参照。)。
【0006】
また、基材と感熱記録層の間に非発泡中空粒子を含有させたアンダーコート層を、および基材の感熱記録層と反対側に熱活性粘着層を設けてなる熱活性粘着シートが提案され、熱活性粘着剤に含有させる熱溶融性物質の1つとして、フタル酸ジシクロヘキシルが挙げられてある(例えば、特許文献6参照)。
この熱活性粘着シートにはアンダーコート層が設けられているため、感熱発色層の熱感度向上と熱活性化時生じる感熱記録層の地肌発色防止の点でほぼ満足できるレベルであるが、例えば製品として多数枚の粘着シートを重ね合わせて袋に入れて包装状態におくと、フタル酸ジシクロヘキシルが樹脂に対する可塑化能力が大きいために、40℃程度で粘着シート同士が付着するなどのブロッキングが発生してしまう。
ブロッキングについては、50℃程度では発生しない粘着シートが市場で期待されており、従って該粘着シートは実用化レベルに至っていないものである。
【0007】
また、昨今、環境保全を配慮した経済、生産活動を営むことが人類共通の認識になりつつある。平成9年に環境庁から、内分泌攪乱作用を持つ疑いがあるとして報告があった約70種の化学物質の中に、フタル酸エステルが含まれている。
熱溶融性物質として用いられる前記フタル酸エステルは、食物連鎖を介して、人体に取り込まれ、体内のホルモンバランスを崩し、生殖機能に悪影響を及ぼすことが懸念されている。
【0008】
しかしながら、従来から提案されている熱活性粘着シートの多くは、該フタル酸エステルが熱溶融性物質として用いられているものである(例えば、特許文献2、3、5、7、8、9参照。)。
このような実情から、熱活性粘着剤に含有させる熱溶融性物質として、フタル酸エステルの代替物質の出現が望まれている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63−172784号公報
【特許文献2】
特開平6−57226号公報
【特許文献3】
特開平6−57233号公報
【特許文献4】
特開平1−96274号公報
【特許文献5】
特開2001−152128号公報
【特許文献6】
特開平9−265260号公報(請求項1および第3頁第4欄第30行)
【特許文献7】
特開平10−152660号公報(第(3)頁第4欄第35〜36行)
【特許文献8】
特開平11−099751号公報(第(4)頁第5欄第32〜33行)
【特許文献9】
特開平11−269440号公報(第(3)頁第4欄第5〜6行および第25〜26行)
【非特許文献1】
「接着便覧」第13版、第(199〜213)頁、昭和55年、高分子刊行会発行
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、従来の熱活性粘着剤に見られる欠点を克服し、各被着体に対する粘着力と、耐ブロッキング性に優れた熱活性粘着剤及び熱活性粘着シートを提供すること、さらに環境問題上の観点から、従来の熱活性粘着剤に熱溶融性物質(固体可塑剤ともいう)として使用されているフタル酸エステルに代わる物質を用いた熱活性粘着剤及び熱活性粘着シートを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために、フタル酸エステルに代わる化合物について、鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(I)〜(IV)で示されるフェノール化合物を用いることにより、上記課題が解決できるということを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0012】
即ち、上記課題は、本発明の(1)「熱可塑性樹脂、粘着付与剤及び室温環境下で固体で加熱時に溶融する熱溶融性物質を主成分とする熱活性粘着剤において、該熱溶融性物質が下記一般式(I)〜(IV)で表わされるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする熱活性粘着剤:
【0013】
【化5】
R:炭素数1〜4のアルキル基、ベンジル基又は置換ベンジルを示す。
【0014】
【化6】
R1:炭素数1〜22のアルキル基、シクロへキシル基、フェニル基、ベンジル基又は置換ベンジルを示す。
【0015】
【化7】
R2:炭素数1〜22のアルキル基、シクロへキシル基、フェニル基、ベンジル基又は置換ベンジルを示す。
【0016】
【化8】
R3:炭素数1〜22のアルキル基、シクロへキシル基、フェニル基、ベンジル基又は置換ベンジルを示す。
」、(2)「該熱活性粘着剤中の熱溶融性物質の体積平均粒子径が、0.5μm以下の固体微粒子であることを特徴とする前記第(1)項に記載の熱活性粘着剤剤」、(3)「該熱活性粘着剤中の熱溶融性物質の含有率が、25〜80重量%であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載の熱活性粘着剤」、(4)「該熱活性粘着剤中の粘着付与剤が、ロジン系エステル樹脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂又は水素添加テルペン樹脂から選ばれる少なくとも1種以上用いることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項の何れかに記載の熱活性粘着剤」により達成される。
【0017】
また、上記課題は、本発明の(5)「前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載の熱活性粘着剤を含有する層(熱活性粘着層という)を基材の片面に設けてなることを特徴とする熱活性粘着シート」、(6)「前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載の熱活性粘着剤を含有する層(熱活性粘着層という)を基材の両面に設けてなることを特徴とする熱活性粘着シート」、(7)「基材の該熱活性粘着層が設けられた面と反対面にロイコ染料と顕色剤を主成分とする感熱記録層が設けられたことを特徴とする前記第(5)項に記載の熱活性粘着シート」、(8)「基材が熱溶融転写記録用の受容紙であって、その受容紙の片面に前記熱活性粘着層が設けられたことを特徴とする前記第(5)項に記載の熱活性粘着シート」、(9)「熱溶融転写記録によって形成されたインク画像を有するものであることを特徴とする前記第(7)項に記載の熱活性粘着シート」、(10)「ロール状に芯材に巻き付けられたことを特徴とする前記第(5)項乃至第(9)項の何れかに記載の熱活性粘着シート」、(11)「所定の大きさに裁断され積み重ねて包装されたことを特徴とする前記第(5)項乃至第(9)項の何れかに記載の熱活性粘着シート」により達成される。
【0018】
また、上記課題は、本発明の(12)「前記第(5)項乃至第(9)項の何れかに記載の熱活性粘着シートの熱活性粘着層面をサーマルヘッドによって加熱して粘着性を発現する方法」、(13)「前記第(12)項において粘着性が発現した熱活性粘着シートを該被着体に貼りつける方法」により達成される。
【0019】
また、上記課題は、本発明の(14)「前記第(5)項乃至第(9)項の何れかに記載の熱活性粘着シートの熱活性粘着層面が貼りついた被着体」により達成される。
【0020】
また、上記課題は、本発明の(15)「被着体が樹脂フイルム性ラップであって、前記第(14)項に記載の被着体で包装された食品」により達成される。
【0021】
また、上記課題は、本発明の(16)「加熱手段を具備し、前記第(5)項乃至第(9)項の何れかに記載の熱活性粘着シートが搭載された熱活性粘着性発現装置」により達成される。
【0022】
熱活性粘着剤は、一般に加熱により粘着力、接着力を付与する主な成分である熱可塑性樹脂、粘着付与剤及び加熱により溶融し、粘着剤に粘着性を発現させる作用を有する熱溶融性物質を主成分とするものである。
すなわち、本発明の熱活性粘着剤は、熱溶融性物質として下記一般式(I)〜(IV)のフェノール化合物を使用することを特徴とするものである。
これらの熱溶融性物質のフェノール化合物を使用することにより、各被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好となる。
【0023】
【化9】
【0024】
【化10】
【0025】
【化11】
【0026】
【化12】
【0027】
本発明の熱溶融性物質において、上記一般式(I)〜(IV)で表わされるフェノール化合物は、室温において固体で加熱時に溶融するものが用いられる。
これらのフェノール化合物の融点は、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上のものが用いられる。
融点が70℃未満のものであると、熱活性粘着剤に含有させた場合に、通常の保存環境下温度で粘着力が発現してしまうなど、保存上の不具合が生じることがある。また、熱活性粘着剤塗布液を基材に塗布乾燥するときに粘着力が発現するなどの製造上の不具合も生じる場合がでてくる。
フェノール化合物の融点が高すぎると、粘着力を発現させるために大量のエネルギーが必要となり、実用上の不具合が生じてくる。
また、感熱記録層を設けた熱活性粘着シートの場合に、大量のエネルギーをかけて粘着力を発現させると、感熱記録層も同時に発色してしまうことが考えられ、印字画像が読み取れなくなるという問題がある。
そのために、フェノール化合物の融点の上限値としては、限定されないが、200℃程度が適当である。
【0028】
熱溶融性物質の体積平均粒子径を0.5μm以下のものを用いると、動的な熱感度が上がり、低エネルギーで熱可塑性樹脂及び粘着付与剤と相溶し、有効な熱活性粘着剤となり、特に該粒子径が0.4μm以下のものを用いることが特に有効である。
また、このような粒子径の熱溶融性物質を用いると、通常の保存環境下温度における保存性、すなわち耐ブロッキング性を一層向上させることができる。
熱溶融性物質の粒径が大きくなればなるほど、それを用いて得られる熱活性粘着シートは、熱応答性が悪くなり、また粒子の表面積が小さくなるために、ブロッキングが発生しやすいものとなる。
従って、熱溶融性物質の体積平均粒子径を0.5μm以下のものでありさえすれば、小さいものであるほど上記の効果が得られやすくなり、効果上の粒子径の下限はないが、熱溶融性物質粒子の製造する可能性の観点から言えば、せいぜい0.1μm程度である。
【0029】
本発明の熱活性粘着剤中の前記フェノール化合物の含有率は、特に限定されないが、25〜80重量%程度が好ましく、さらに35〜70重量%程度が特に好ましい。
熱溶融性物質であるフェノール化合物の含有率が25重量%未満及び80重量%を超えた場合には、いずれも粘着力が低下してくることがある。
特に、Tgが低い熱可塑性樹脂と組合わせて用いる場合には、フェノール化合物の含有率25重量%未満と少ないと、通常の保存環境下温度でも粘着力が発現することが起こるなど、保存上の不具合が生じる傾向が高い。
【0030】
次いで、本発明に用いられる上記一般式(I)〜(IV)で表わされるフェノール化合物の具体例を示す。
一般式(I)で示される化合物の場合は、
o−クマル酸メチル、m−クマル酸メチル、p−クマル酸メチル、o−クマル酸エチル、p−クマル酸エチル、トランス−o−クマル酸ベンジル、p−クマル酸ベンジル、トランス−o−クマル酸−4−メチルベンジル、トランス−o−クマル酸−2−クロロベンジル、トランス−o−クマル酸−4−クロロベンジル、p−クマル酸−4−クロロベンジル、p−クマル酸−α−ナフチルメチル等が挙げられる。
一般式(II)で示される化合物の場合は、
3,4−ジヒドロキシ桂皮酸メチル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸エチル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−n−プロピル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−n−ブチル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−iso−アミル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−n−アミル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸シクロヘキシル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸ラウリル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸ミリスチル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸ステアリル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸ベンジル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸フェニル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−p−クロロベンジル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−o−クロロベンジル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−p−メチルベンジル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸−o−メチルベンジル等が挙げられる。
一般式(III)で示される化合物の場合は、
プロトカテキュ酸メチル、プロトカテキュ酸エチル、プロトカテキュ酸−n−プロピル、プロトカテキュ酸−n−ブチル、プロトカテキュ酸−iso−アミル、プロトカテキュ酸−n−アミル、プロトカテキュ酸シクロヘキシル、プロトカテキュ酸ラウリル、プロトカテキュ酸ミリスチル、プロトカテキュ酸ステアリル、プロトカテキュ酸ベンジル、プロトカテキュ酸フェニル、プロトカテキュ酸−p−クロロベンジル、プロトカテキュ酸−o−クロロベンジル、プロトカテキュ酸−p−メチルベンジル、プロトカテキュ酸−o−メチルベンジル等が挙げられる。
一般式(IV)で示される化合物の場合は、
没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸−n−プロピル、没食子酸−n−ブチル、没食子酸ラウリル、没食子酸ミリスチル、没食子酸ステアリル、没食子酸ベンジル、没食子酸フェニル、没食子酸−p−クロロベンジル、没食子酸−o−クロロベンジル、没食子酸−p−メチルベンジル、没食子酸−o−メチルベンジル等が挙げられる。
【0031】
本発明の熱活性粘着剤に好ましく併用される熱可塑性樹脂としては、ビニル系モノマーをグラフト共重合した天然ゴムラテックス、天然ゴムラテックス、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、合成ゴム、酢酸ビニル−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル共重合体等の高分子樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
熱活性粘着剤中の熱可塑性樹脂の含有率は、好ましくは、10〜60重量%、さらに好ましくは、15〜50重量%である。熱可塑性樹脂の含有率が10重量%未満及び60重量%を超えた場合、いずれも粘着力の低下となるので望ましくない。また、低Tg樹脂の含有率が60重量%を超えた場合には、通常の保存環境下温度で粘着力が発現するなど保存上の不具合が生じる。
さらに、熱活性粘着剤の粘着力を向上させるために、上記成分に一般的な粘着剤に用いられる粘着付与剤であるロジン誘導体、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂及びキシレン系樹脂が使われる。
【0032】
本発明の熱活性粘着剤に特に好ましく用いられる粘着付与剤としては、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン)、テルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂)等が挙げられる。こららの粘着付与剤は、熱可塑性樹脂及び本発明の熱溶融性物質と相溶し、熱活性粘着剤の粘着力が著しく向上する。
また、熱活性粘着剤中の粘着付与剤の融点又は軟化点は、80℃以上でさらに好ましくは、80〜200℃である。80℃未満になると、通常の保存環境下温度で保存上の不具合(耐ブロッキング性が低下)が生じる。
また、熱活性粘着剤中の粘着付与剤の含有率は、好ましくは、5〜30重量%で、さらに好ましくは、5〜20重量%である。5重量%未満であると、粘着力が低下し、30重量%を超えると、通常の保存環境下温度で保存上の不具合(耐ブロッキング性が低下)が生じる。
【0033】
本発明の熱活性粘着剤においては、上記成分以外に、ブロッキング防止のために、酸化チタン、アルミナ、コロイダルシリカ、カオリン、タルク等の無機物や、ステアリン酸金属塩、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス、天然油脂、ポリスチレン粉末等の有機物を、さらに必要に応じて、分散剤、消泡剤、増粘剤等を使用することもできる。
【0034】
熱活性粘着層を基材の片面に設けることによって、各被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な熱活性粘着シートを得ることができる。この粘着シートは、ラベルとして用いるのに、好適である。
【0035】
また、基材の片面に感熱記録層を設け、他の面に本発明の熱活性粘着層を設けることによって、各被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な、感熱記録用の熱活性粘着シートを得ることができる。
【0036】
基材に塗工若しくは印刷の際の乾燥条件は、使用される熱溶融性物質が融解しない温度範囲で乾燥されなければならない。乾燥の手段としては熱風乾燥の他に赤外線、マイクロ波、高周波による熱源を利用した乾燥方法が使用できる。
【0037】
熱活性粘着層の塗布量は、乾燥塗工量で通常2〜35g/m2、好ましくは5〜25g/m2の範囲で塗布される。
熱活性粘着層の塗工量が2g/m2未満であると、加熱による接着を行なう際に充分な接着力が得られなくなる傾向があり。また、35g/m2を越えると接着機能が飽和になるため経済上好ましくない。
【0038】
本発明の感熱記録層においては、基材上にロイコ染料及び顕色剤を主成分とする感熱記録層を形成させることができる。
本発明の感熱記録層において用いられるロイコ染料としては、一般にこの種のロイコ系記録材料において知られているロイコ染料が適用され、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられる。
このようなロイコ染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3’−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−クロルフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロル−5’−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−p−クロロフェニルエチレン−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−メトキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−p−クロロフェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−ベンジルオキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−フェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノ−フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス{2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル}−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジブロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリドフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオランスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を挙げることができる。
【0039】
また、本発明の感熱記録層においては、顕色剤として電子受容性の種々の化合物、例えば、フェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等を適用することができる。
その具体例としては、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、3,4’−イソプロピリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4’−セカンダリーブチリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(o−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、4,4’−ジフェノールスルホン、4,2’−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジフェノールスルホキシド、P−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、P−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキュ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサヘプタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロパン、N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、5−クロロ−サリチルアニリド、サリチル−o−クロロアニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸の亜鉛塩、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸の亜鉛、アルミニウム、カルシウム等の金属塩、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルエステル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4’−ジフェノールスルホン、3,3’−ジアリル−4,4’−ジフェノールスルホン、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエンチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4’−チオビス(2−メチルフェノール)、3,4−ヒドロキシ−4’−メチル−ジフェニルスルホン、4,4’−チオビス(2−クロロフェノール)等が挙げられる。
【0040】
本発明の感熱記録層を形成させるためには、ロイコ染料及び顕色剤を基材上に結合支持させればよい。この場合の結合剤としては、慣用の種々の結合剤を適宜用いることができる。
このような結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子の他、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックス類等を挙げることができる。
【0041】
また、本発明により感熱記録層を形成させる場合は、填料として種々の熱可融性物質を使用することができる。
その具体例としては、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類、p−ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジベンジルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ビス(フェノキシ)ブタン、1,4−ビス(フェノキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ビス(フェニルチオ)ブタン、1,4−ビス(フェニルチオ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−(ベンジルオキシ)ベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、蓚酸ジベンジルエステル、1,5−ビス(p−メトキシフェニルオキシ)−3−オキサペンタン等が挙げられる。
【0042】
また、本発明においては、必要に応じ、この種の感熱記録層に慣用される補助添加成分、例えば、界面活性剤、滑剤等を併用することができる。この場合、滑剤としては、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、植物性、鉱物性又は石油系の各種ワックス類等が挙げられる。
なお、本発明においては必要に応じ、基材と感熱記録層との間にアンダーコート層を設けたり、また、感熱記録層の上に画像信頼性を向上させる目的等で例えば、水溶性樹脂を主成分とする保護層を設けたり、さらに、基材の裏面にバックコート層を設けたりすることもできる。この場合、これらの層を構成する成分としては、上記の填料、結合剤、熱可融性物質、界面活性剤等を用いることができる。さらに、保護層上及び保護層を設けない場合は直接感熱記録層の上に、印刷画像を形成することができ、印刷インクとしては、例えば、UV硬化性インクが用いられる。
【0043】
本発明における感熱記録層は、一般に知られている方法により形成することができる。例えば、先ず、ロイコ染料、顕色剤を別々に結合剤水溶液と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散粒径が1〜3μmになるまで粉砕分散した後、必要に応じて填料、熱可融性物質(増感剤)分散液等と共に、一定処方で混合して感熱記録層塗布液を調製し、基材に塗布することによって感熱記録層を形成することができる。
【0044】
本発明においては、熱溶融転写記録方法によってインク画像が被着される受容紙を基材として用い、その受容紙の片面に前記熱活性粘着層を設けて、各被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な熱溶融転写記録用の熱活性粘着シート(熱溶融転写用粘着シートという)とすることもできる。
【0045】
さらに、本発明の熱活性粘着シートには、フィラーと水溶性樹脂を主成分とするインク受容層が設けられた熱溶融転写記録用の受容紙を基材として用い、該受容紙のインク受容層と反対側の面に熱活性粘着層を設けた、熱溶融転写用粘着シートも包含される。このインク受容層には耐水化剤を含有させることができる。
これらの熱溶融転写用粘着シートは、インク画像が形成されたラベルとして用いると、利便性の高いものとして利用できる。
【0046】
該インク受容層に含有させるフィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、クレー、焼成クレー、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカ、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン等の微粉末等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
また、インク受容層に用いる水溶性樹脂としては、慣用の種々の水溶性樹脂を適宜用いることができ、例えばポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子を挙げることができる。
【0048】
インク受容層における上記フィラーと水溶性樹脂の割合は、ブロッキング性に関わり、フィラー対水溶性樹脂の含有重量比(固形分)を1:0.1〜0.2とすることが好ましい。
また、インク受容層に用いる耐水化剤の具体例としては、例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、クロムミョウバン、メラミン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。この耐水化剤と水溶性樹脂の割合もブロッキング性に関わり、その含有重量比(固形分)は、水溶性樹脂1に対して、耐水化剤0.3〜0.5が好ましい。
このようにインク受容層は、フィラー及び水溶性樹脂を、さらに必要に応じて耐水化剤を含有させて形成されるが、さらに、キャレンダー等の方法を用いてインク受容層の表面を平滑度500秒以上に処理すると、印字品質を一層向上させることができる。
【0049】
また、本発明の熱活性粘着剤を基材の両面に塗布した両面熱活性粘着シートとすることができ、該両面熱活性粘着シートは、各被着体、特に塩化ビニルラップやポリオレフィンラップに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好なものである。
以上説明したように、本発明の熱活性粘着剤を種々の基材上に塗布することによって、種々の熱活性粘着シートとすることができる。
【0050】
上記のように、基材と熱活性粘着剤層との間に該熱活性粘着剤層を低エネルギーで活性化させるための中間層が設けられた粘着シートとすることができ、また感熱記録層が設けられた粘着シートの場合には、基材と感熱記録層の間にアンダーコート層を設けて、感熱発色層を低エネルギーで発色させることができる。
これらの中間層及び/又はアンダーコート層を設ける場合には、断熱性であることが好ましく、このような層を設けることによって感熱記録層の熱感度が向上し、かつ熱活性化時における感熱発色層の地肌発色が防止でき、熱活性時の熱エネルギーを効率よく活用することができる。
上記の中間層及び/又はアンダーコート層が断熱性である場合は、以下、断熱層と言う。断熱層としては、熱可塑性樹脂を殼としてなる中空度30〜95%程度の微小中空粒子又はポーラスな顔料を用いた非発泡性断熱層及び発泡性フィラーを用いた発泡性断熱層が挙げられる。
【0051】
断熱層に用いられる熱可塑性樹脂を殼としてなる中空度30〜95%程度の微小中空粒子は、内部に空気その他の気体を含有するもので、すでに発泡状態となっている微小中空粒子である。この微小中空粒子の平均粒子径は、0.2〜20μmのものが好ましく、より好ましくは0.5〜10μmの微小中空粒子が好ましい。
この平均粒子径(粒子外径)が小さすぎると、技術的に中空にするのが難しいことや断熱層の役割が不充分となる傾向がある。
また、逆にこの平均粒子径が大きすぎると、塗布乾燥後の表面の平滑性が低下するため、熱活性粘着剤層の塗布が不均一になる傾向があり、さらに均一にするために必要量以上の熱活性粘着剤を塗布しなければならない。
従って、このよう微小中空粒子は、その粒子径が上記の範囲にあることが好ましいが、それと同時に、バラツキの少ない分布スペクトラムの均一なものがさらに望ましい。
さらに、本発明において、プラスチック球状中空粒子は、中空度が30%以上のものが使用できるが、50%以上のものがより好ましい。中空度が低いと、断熱性が不充分なため、熱エネルギーが基材を通じて外へ放出され、粘着剤活性化の熱の効率が悪くなるので望ましくない。
ここでいう中空度とは、中空粒子の外径と内径の比であり、次式で表示されるものである。
【0052】
【数1】
中空度=(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100(%)
【0053】
本発明で用いる微小中空粒子は上述のように、熱可塑性樹脂を殼とするものであるが、この熱可塑性樹脂としては、特に塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
また、本発明において断熱層に用いられるポーラスな顔料としては、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の有機顔料やシラス土等の無機顔料があるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0054】
本発明において非発泡性断熱層を形成させるには、上記の微小中空粒子やポーラスな顔料をバインダーと共に水に分散し、これを基材上に塗布し、乾燥することによって得られる。
この場合、微小中空粒子の塗布量は支持体1m2当たり少なくとも1g以上であり、さらに好ましくは2〜15g程度が好ましい。
また、バインダー樹脂の塗布量は、断熱層を基材に強く結合させるに足りる量でよく、通常は、該微小中空粒子とバインダー樹脂との合計量に対して、2〜50重量%である。
【0055】
非発泡性断熱層を形成する際に使用されるバインダーとしては、従来公知の水溶性高分子及び/又は水性高分子エマルジョンから適宜選択される。
その具体例としては、水溶性高分子として例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
また、水性高分子エマルジョンとしては、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックスや酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のエマルジョン等が挙げられる。
【0056】
また、本発明において用いる発泡性フィラーは、熱可塑性樹脂を殼とし、内部に低沸点溶媒の発泡剤を含有する中空状のプラスチックフィラーであり、種々のものが適用されるが、その粒子直径に関しては、未発泡の状態の場合、2〜50μmであり、発泡状態では10〜100μm、好ましくは、10〜50μmである。
このプラスチックフィラーの殼となる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、又はそれらの共重合体が挙げられる。また、殼内に含まれる発泡剤としては、プロパンやブタンその混合物等が一般的に用いられる。
【0057】
基材上に発泡性断熱層を形成させるには、上記した発泡性プラスチックフィラーを、結着剤と共に支持体上に塗布乾燥した後、その塗布面に熱板を密着させ、プラスチックフィラーを加熱発泡させればよい。プラスチックフィラーの塗布量は、支持体1m2に対し未発泡フィラーとして、少なくとも1g以上であり、好ましくは2〜5g程度である。
また、結着剤の使用量は、発泡性断熱層を支持体上に対し強く結着させるような量であればよく、通常は、未発泡フィラーと結着剤の合計量に対し、5〜50重量%である。また、加熱発泡温度は、フィラーの殼を構成する熱可塑性樹脂を軟化させる温度である。発泡倍率は、通常、2〜4倍、好ましくは、2〜3倍程度であり、上記の発泡が達成されるように適宜、選択される。
【0058】
上記のようにし、基材上に形成された発泡性断熱層の表面は、かなり凹凸が生じているために、発泡性断熱層形成後(加熱発泡後)キャレンダー処理により平面を平滑にすることが好ましく、また、必要に応じて、発泡性断熱層の表面又は下面に1層又は複数のアンダーコート層を設けることもできる。
なお、本発明の粘着シートを構成する断熱層においては、上記微小中空粒子、ポーラスな顔料又は発泡性フィラー及びバインダーと共に、必要に応じて、フィラー、熱可融性増感剤、界面活性剤等を併用することができる。
この場合、フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末を挙げることができ。
また、熱可融性増感剤としては、例えば、高級脂肪酸又はそのエステル、アミドもしくは金属塩の他、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合物、安息香酸フェニルエステル、高級直鎖グリコール、3,4−エポキシ−ヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、高級ケトン、p−ベンジルビフェニル他の熱可融性有機化合物等50〜200℃程度の融点を持つものが挙げられる。
【0059】
また、本発明で使用する基材としては、特に限定されず、上質紙、アート紙、コート紙等、紙以外でもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム或いはこれらを貼り合わせたフィルム等を使用することができる。
【0060】
上記塗工層を設ける塗工方法として、ブレード塗工法、グラビア塗工法、グラビアオフセット塗工法、バー塗工法、ロール塗工法、ナイフ塗工法、エアナイフ塗工法、コンマ塗工法、Uコンマ塗工法、AKKU塗工法、スムージング塗工法、マイクログラビア塗工法、リバースロール塗工法、4本あるいは5本ロール塗工法、ディップ塗工法、落下カーテン塗工法、スライド塗工法、ダイ塗工法、等公知の塗工方法が利用可能である。
【0061】
本発明の熱活性粘着シートは、製造後、芯材に巻き付けてロール状にして、あるいは所定の大きさに裁断し複数枚を包装状態にして、顧客の元に届けられるのが一般的である。
本発明の熱活性粘着シートにおいて、その熱活性粘着層の粘着性を発現させる加熱手段としては、特に限定されず、熱板、熱風、赤外線、加熱ロール、サーマルヘッドなど、公知のものが使用可能である。
しかしながら、サーマルヘッドは、オンデマンドで発熱制御でき通電と同時に熱活性を行なえるので、エネルギー消費を軽減でき、また効率よく感熱性粘着剤層に熱を伝えられるので、感熱性粘着材料を早い速度で移動させても熱活性化できる等の利点があるため、特に有効である。さらに、サーマルヘッドの中でも、その発熱部をニアエッジ、コーナーエッジあるいは端面に設けたものを用いると、熱活性化された感熱性粘着剤層を構成する成分がサーマルヘッドに転移しにくいので、有効である。
熱活性粘着シートは、このような加熱手段で熱活性粘着層を加熱して粘着性を発現させた後、被着体に貼り付けて用いられる。
【0062】
本発明の熱活性粘着シートを貼りつける被着体としては、特に限定されず、原材料が紙、樹脂、木材等であって貼り付くものであればあらゆるものが包含され、その厚さの如何を問わない。
さらに、食品POS業界における食品包装用樹脂フイルムに有用であり、特にポリオレフィン系樹脂フイルムからなる被着体に対しても高い粘着力で貼着させることができる。
本発明の熱活性粘着シートを粘着化するために、あるいはその後に被着体の貼りつける一連の工程を行なうために、用いる装置としては公知のものが用いられる。
【0063】
例えば、図1は、本発明に係るプリンタ(1)の概略構造を示す全体図であり本発明の熱活性粘着シートを粘着ラベルとして用い、プリンタ(1)には、ロール状に巻回された熱活性粘着ラベル(2)を保持するラベル保持部(3)が設けられている。
また図2は、本発明による熱活性粘着シートの一例を示す図であり、感熱記録層が設けられたものである。
【0064】
前記プリンタ(1)には、熱活性粘着ラベル(2)の感熱発色層に記録する記録手段(8)と、熱活性粘着ラベル(2)を所定の長さにカットするカッター(9)と、熱活性粘着ラベル(2)の熱活性粘着層を熱活性化する熱活性化装置(10)とが設けられている。
記録手段(8)は、記録用のサーマルヘッド(11)とプラテンロール(12)とにより形成されている。熱活性化装置(10)は、感熱性粘着ラベル(2)を搬送する搬送手段であるプラテンロール(13)と発熱部(14)を有する加熱手段であるサーマルヘッド(15)とにより形成されている。
発熱部(14)は、セラミック基板の上に薄膜技術で発熱抵抗体を設け、この発熱抵抗体の表面に結晶化ガラスからなる保護膜を設けることにより形成されている。なお、プラテンロール(13)は、発熱部(14)とにより熱活性粘着ラベル(2)を挾む加圧体としても機能する。
【0065】
このような構成において、ロール状に巻回した熱活性粘着ラベル(2)をラベル保持部(3)に取付け、ラベル保持部(3)から引き出された熱活性粘着ラベル(2)の感熱発色層(7)に対してサーマルヘッド(11)の発熱部(11a)から熱を加えることにより感熱発色層(7)を発色させ、所定事項の記録を行う。
【0066】
感熱発色層(7)への記録が終了して搬送される熱活性粘着ラベル(2)の熱活性粘着層(5)にはサーマルヘッド(15)の発熱部(14)が接触しており、この発熱部(14)を発熱させることにより熱活性粘着層(5)が熱活性化される。
【0067】
ここで、発熱部(14)が熱活性粘着層(5)に接触しているため、発熱部(14)を発熱させると熱活性粘着層(5)の熱活性化を確実に行える。しかも、発熱部(14)からの熱が熱活性粘着層(5)に効率良く伝わり、かつ、発熱部(14)を熱活性化に必要な熱を加えた状態で待機させておかなくても通電と同時に熱活性化を行え、熱活性化のためのエネルギー消費量が少なくなり、また、熱活性化時に感熱性粘着ラベル(2)を過熱することがなくなり、プリンタ(1)の安全性が高くなる。
さらに、発熱部(14)からの熱が効率良く熱活性粘着層(5)に伝わるため、熱活性粘着層(5)を発熱部(14)に接触させた熱活性粘着ラベル(2)を速い速度で移動させても熱活性化することができ、これにより、熱活性化された熱活性粘着層(5)が発熱部(14)に転移することを防止でき、かつ、熱活性化の作業及び熱活性化した感熱性粘着ラベル(2)の被着体への貼付作業の作業能率が高くなる。
【0068】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。なお、以下に示す部及び%は、いずれも重量基準である。
(実施例1)
〔A液〕
熱溶融性物質分散液
o−クマル酸メチル(mp139℃) 40.0部
ポリビニルアルコール(30%水溶液) 6.7部
水 54.3部
上記組成からなる混合物を、平均粒径が1.0μmとなるようにサンドミルを用いて分散して分散液〔A液〕を得た。
〔B液〕
熱活性粘着剤分散液
メチルメタアクリレート−ブチルアクリレート共重合体エマルジョン10部
(Tg+20℃,不揮発分50%)
重合ロジンエマルジョン(軟化点145℃,不揮発分50%) 6部
熱溶融性物質分散液〔A液〕 37.5部
上記組成からなる熱活性粘着剤分散液〔B液〕を80g/m2の片面コート紙の裏面に乾燥重量16g/m2となるように塗布乾燥し、熱活性粘着シートを得た。
【0069】
(実施例2)
実施例1において〔A液〕の代わりに下記〔C液〕を用いた以外は、実施例1と同様にして、熱活性粘着シートを得た。
〔C液〕
熱溶融性物質分散液
p−クマル酸メチル(mp136〜137℃) 40.0部
ポリビニルアルコール(30%水溶液) 6.7部
水 54.3部
上記組成からなる混合物を、平均粒径が0.4μmとなるようにサンドミルを用いて分散して分散液〔C液〕を得た。
【0070】
(実施例3)
実施例2において〔C液〕のp−クマル酸メチルの代わりに、p−クマル酸−2−クロロベンジル(mp113〜114℃)を用いた以外は,実施例2と同様にして熱活性粘着シートを得た。
【0071】
(実施例4)
実施例2における〔C液〕のP−クマル酸メチルの代わりに、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸ベンジル(mp125〜130℃)を用いた以外は、実施例2と同様にして、熱活性粘着シートを得た。
【0072】
(実施例5)
実施例2において〔C液〕のp−クマル酸メチルの代わりに、プロトカテキュ酸ベンジル(mp149〜151℃)を用いた以外は、実施例2と同様にして熱活性粘着シートを得た。
【0073】
(実施例6)
実施例2において〔C液〕のp−クマル酸メチルの代わりに、没食子酸−n−プロピル(mp145℃)を用いた以外は実施例2と同様にして、熱活性粘着シートを得た。
【0074】
(実施例7)
実施例2において〔C液〕のp−クマル酸メチルの代わりに、没食子酸−n−オクチル(mp101〜104℃)を用いた以外は実施例2と同様にして、熱活性粘着シートを得た。
【0075】
(実施例8)
[D液]非発泡性断熱層形成用塗液
微小中空粒子分散体(塩化ビニリデン/アクリロニトリルを
主体とする共重合樹脂) 30部
(固形分濃度32%、平均粒子径5μm、中空度92%)
スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス 10部
水 60部
上記組成からなる混合物を攪拌分散して非発泡性断熱層形成用塗液[D液]を調製した
[E液]発色剤分散液
3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部
ポリビニルアルコ−ル(10%水溶液) 10部
水 70部
[F液]顕色剤分散液
4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン 10部
ポリビニルアルコ−ル(10%水溶液) 25部
炭酸カルシウム 15部
水 50部
上記組成からなる混合物を、それぞれ平均粒径が1.5μm程度となるようにサンドミルを用いて分散して[E液]と[F液]を調製し、次に[E液]:[F液]=1:8となるように混合攪拌して感熱記録層[G液]を得た。
上記[D液]を、基材の表面に乾燥後重量が4g/m2となるように塗布乾燥して非発泡性断熱層を設けた。
この上に、上記[F液]を乾燥後重量が5g/m2となるように塗布乾燥して感熱記録層を設けた後に、さらに王研式平滑度が2000秒になるようにス−パ−キャレンダ−処理して感熱発色層が設けられた紙を得た。
実施例6の片面コート紙の代わりに、上記感熱記録層が設けられた紙を使用した以外は、実施例6と同様にして熱活性粘着シートを得た。
【0076】
(比較例1)
実施例1において、〔A液〕のo−クマル酸メチルをフタル酸ジシクロヘキシルに代えた以外は、実施例1と同様にして熱活性粘着シートを得た。
【0077】
(比較例2)
実施例1において、〔A液〕のo−クマル酸メチルをフタル酸ジフェニルに代えた以外は、実施例1と同様にして熱活性粘着シートを得た。
【0078】
(比較例3)
比較例1の片面コート紙の代わりに、上記感熱記録層塗布済み紙を使用した以外は、比較例1と同様にして、熱活性粘着シートを得た。
【0079】
以上の各実施例と各比較例で作製した熱活性粘着シートについて、その粘着性とブロッキング性を、以下の方法によって評価した。
<粘着性>
熱活性粘着シートを4.0cm×9.0cmの長方形にカットし、大倉電気製感熱印字装置TH−PMDを用いて、ヘッド条件0.54mJ/dot、印字スピード4ms/line、プラテン圧6kgf/lineの各条件によって、熱活性粘着層を熱活性化させる。
次に、被着体としてポリオレフィンラップを用い、それに加圧2kgのゴムローラーで熱活性された粘着シートを長手方向に貼り付け、1分放置した後に剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で剥離させる。
その時の粘着力の抵抗値を数値で示した。なお、単位はgf/25mmである。この試験を低温環境(0℃、15%)、常温環境(22℃、65%)、高温環境(40℃,Dry)の各環境で実施した。
<ブロッキング性>
同一サンプルの感熱記録層の保護層面と熱活性粘着層面とを接触させ、200g/cm2の圧力で50℃、Dry条件下で24時間試験した後、室温で放置後サンプルを剥がし、その時のブロッキング性を表1に示すランク基準に従って評価した。その結果を表2に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、従来の熱活性粘着剤に見られる欠点を克服し、各被着体に対する粘着力と、耐ブロッキング性に優れた熱活性粘着剤、熱活性粘着シート及び熱活性両面粘着紙が提供され、さらに環境問題上の観点から、従来の熱活性粘着剤に熱溶融性物質(固体可塑剤)として使用されているフタル酸エステルに代わる物質を用いた熱活性粘着剤、熱活性粘着シート及び熱活性両面粘着紙が提供され、このような粘着剤、粘着シート及び粘着紙分野及び環境保全に寄与するところはきわめて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリンタの概略構造を示す全体図である。
【図2】本発明による熱活性粘着シートの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 プリンタ
2 熱活性粘着シート
3 ラベル保持部
4 ベース
5 熱活性粘着層
6 保護層
7 感熱発色層
8 記録手段
9 カッター
10 熱活性化装置
11 サーマルヘッド
12 プラテンロール
13 プラテンロール
14 発熱部
15 サーマルヘッド
Claims (16)
- 熱可塑性樹脂、粘着付与剤及び室温環境下で固体で加熱時に溶融する熱溶融性物質を主成分とする熱活性粘着剤において、該熱溶融性物質が下記一般式(I)〜(IV)で表わされるフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする熱活性粘着剤。
- 該熱活性粘着剤中の熱溶融性物質の体積平均粒子径が、0.5μm以下の固体微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の熱活性粘着剤剤。
- 該熱活性粘着剤中の熱溶融性物質の含有率が、25〜80重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱活性粘着剤。
- 該熱活性粘着剤中の粘着付与剤が、ロジン系エステル樹脂、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂又は水素添加テルペン樹脂から選ばれる少なくとも1種以上用いることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の熱活性粘着剤。
- 請求項1乃至4の何れかに記載の熱活性粘着剤を含有する層(熱活性粘着層という)を基材の片面に設けてなることを特徴とする熱活性粘着シート。
- 請求項1乃至4の何れかに記載の熱活性粘着剤を含有する層(熱活性粘着層という)を基材の両面に設けてなることを特徴とする熱活性粘着シート。
- 基材の該熱活性粘着層が設けられた面と反対面にロイコ染料と顕色剤を主成分とする感熱記録層が設けられたことを特徴とする請求項5に記載の熱活性粘着シート。
- 基材が熱溶融転写記録用の受容紙であって、その受容紙の片面に前記熱活性粘着層が設けられたことを特徴とする請求項5に記載の熱活性粘着シート。
- 熱溶融転写記録によって形成されたインク画像を有するものであることを特徴とする請求項7に記載の熱活性粘着シート。
- ロール状に芯材に巻き付けられたことを特徴とする請求項5乃至9の何れかに記載の熱活性粘着シート。
- 所定の大きさに裁断され積み重ねて包装されたことを特徴とする請求項5乃至9の何れかに記載の熱活性粘着シート。
- 請求項5乃至9の何れかに記載の熱活性粘着シートの熱活性粘着層面をサーマルヘッドによって加熱して粘着性を発現する方法。
- 請求項12において粘着性が発現した熱活性粘着シートを該被着体に貼りつける方法。
- 請求項5乃至9の何れかに記載の熱活性粘着シートの熱活性粘着層面が貼りついた被着体。
- 被着体が樹脂フイルム性ラップであって、請求項14に記載の被着体で包装された食品。
- 加熱手段を具備し、請求項5乃至9の何れかに記載の熱活性粘着シートが搭載された熱活性粘着性発現装置。
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