JP4447136B2 - 熱活性粘着剤、熱活性粘着シート及び熱活性両面粘着紙 - Google Patents
熱活性粘着剤、熱活性粘着シート及び熱活性両面粘着紙 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱活性粘着剤、熱活性粘着シート及び熱活性両面粘着紙に関し、さらに詳しくは、常温では非粘着性であるが加熱により活性化され粘着性が発現し、その後、加熱源を取り去った後でも長時間粘着性が持続する熱活性粘着剤、この粘着剤を用いた熱活性粘着シート及び熱活性両面粘着紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱活性粘着剤は、(「接着便覧」第12版、第(131〜135)頁、昭和55年、高分子刊行会発行)に記載されているように、基本的には熱可塑性樹脂と固体可塑剤のような熱溶融性物質及び必要に応じて粘着付与剤を含有してなるものである。
熱可塑性樹脂は粘着力、接着力を付与するものであり、また熱溶融性物質は、常温では固体であるため、樹脂に可塑性は与えないが、加熱により溶融して樹脂を膨潤又は軟化させて粘着性を発現させるものである。
また、粘着付与剤は粘着性を向上させる働きもする。熱活性粘着剤中の熱溶融性物質は加熱により溶融した後はゆっくりと結晶化するために、熱源を取り除いた後も粘着性を長時間持続させる。
しかしながら、従来の熱活性粘着剤は、粘着性発現後の粘着力が経時的に低下するという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するために、例えば、特開平6−57226号、特開平6−57233号においては、熱可塑性樹脂として、ガラス転移点が0℃以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体又はガラス転移点が−5℃以上の熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体を除く)等を用いることが提案されている。
しかし、これらはステンレス板等に対する粘着力は比較的良好な結果が得られるものの、塩化ビニルシートやポリエチレンシート等に対する粘着力は、未だ実用レベルに達していないものであった。
熱活性粘着剤の用途は特に限定されないが、例えば、基材の片面に熱活性粘着剤からなる層を(熱活性粘着剤層という)設けた熱活性粘着シート、さらに熱活性粘着剤層に加えて基材の他の面に感熱発色層を設けた熱活性粘着シートを挙げることができる。
これらは、各種食料品をラップで包装し、そのラップの上に貼るいわゆる食品POS用として期待が高まっているが、上記のように、従来の熱活性粘着剤はラップの材料である塩化ビニルシート、さらに今後塩化ビニルシートに代わる材料として予想されるポリエチレンシート等に対する粘着力が不充分であるために、熱活性粘着シート自体の実用化の妨げになっている。
また、特開平9−265260号には、基材と感熱発色層の間に非発泡中空粒子を含有させたアンダーコート層を設けてなる熱活性粘着シートであって、フタル酸ジシクロヘキシルを固体可塑剤とする熱活性粘着剤を用いたものが提案されている。
この熱活性粘着シートは、アンダーコート層が設けられているため、感熱発色層の熱感度向上と熱活性化時の感熱発色層の地肌発色防止の点でほぼ満足できるレベルであるが、該粘着シートを重ね合わせる際に発生するブロッキング性に関して、それが40℃程度で発生してしまい、実用化レベルとして期待されている50℃程度には達していないものである。
【0004】
ところで、昨今、環境保全を配慮した経済、生産活動を営むことが人類共通の認識になりつつある。
環境庁は、平成9年に内分泌攪乱作用を持つと疑われる約70種の化学物質について報告を行った。これらの約70の化学物質の中にフタル酸エステルの記載が見られる。
可塑剤として主に用いられているフタル酸エステルが食物連鎖を介して、人体に取り込まれ、体内のホルモンバランスを崩し、生殖機能に悪影響を及ぼすことが懸念されている。
従来、公知の感熱性粘着剤の多くは、固体可塑剤としてフタル酸エステルが使用されており、その代替物質の出現が要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の熱活性粘着剤に見られる欠点を克服し、各被着体に対する粘着力と、耐ブロッキング性に優れた熱活性粘着剤、熱活性粘着シート及び熱活性両面粘着紙を提供すること、さらに環境問題上の観点から、従来の感熱性粘着剤に熱溶融性物質(代表的には固体可塑剤)として使用されているフタル酸エステルに代わる物質を用いた熱活性粘着剤、熱活性粘着シート及び熱活性両面粘着紙を提供することをその課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、フタル酸エステルに代わる化合物について、鋭意検討を重ねた結果、ヒンダードフェノール化合物を用いることにより、上記課題が解決できるということを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち、本発明によれば、第1に、熱可塑性樹脂及び室温において固体で加熱時に溶融する熱溶融性物質からなる熱活性粘着剤において、該熱溶融性物質としてヒンダードフェノール化合物を含有するものを用いることを特徴とする熱活性粘着剤が提供される。
【0008】
本発明によれば、第2に、熱溶融性物質が、下記一般式(I)(R1、R2、R3はそれぞれ独立にアルキル基を示す)で表わされるヒンダードフェノール化合物を含有するものである第1に記載の熱活性粘着剤が提供される。
【化5】
【0009】
本発明によれば、第3に、熱溶融性物質が、下記一般式(II)(R4、R5はそれぞれ独立にアルキル基を示す)で表わされるヒンダードフェノール化合物を含有するものである第1に記載の熱活性粘着剤が提供される。
【化6】
【0010】
本発明によれば、第4に、熱溶融性物質が、下記一般式(III)(R6、R7はそれぞれ独立にアルキル基を示し、R8は2価炭化水素基を示す)で表わされるヒンダードフェノール化合物を含有するものである第1に記載の熱活性粘着剤が提供される。
【化7】
【0011】
本発明によれば、第5に、熱溶融性物質が、下記一般式(IV)(R9、R10はそれぞれ独立にアルキル基を示し、R11は2価炭化水素基を示す)で表わされるヒンダードフェノール化合物を含有するものである第1に記載に熱活性粘着剤が提供される。
【化8】
【0012】
本発明によれば、第6に、熱活性粘着剤中の熱溶融性物質の含有率が、30〜70重量%である第1〜5のいずれかに記載の熱活性粘着剤が提供される。
【0013】
本発明によれば、第7に、粘着付与剤を含有するものである第1〜6のいずれかに記載の熱活性粘着剤が提供される。
【0014】
本発明によれば、第8に、第1〜7のいずれかに記載の熱活性粘着剤からなる層を基材の片面に設けてなることを特徴とする熱活性粘着シートが提供される。
【0015】
本発明によれば、第9に、基材と第1〜7のいずれかに記載の熱活性粘着剤からなる層との間に、断熱層を設けてなる第8に記載の熱活性粘着シートが提供される。
【0016】
本発明によれば、第10に、基材の他の面に、感熱記録層を設けてなる第8又は9に記載の熱活性粘着シートが提供される。
【0017】
本発明によれば、第11に、基材と感熱記録層との間に、アンダーコート層を設けてなる第10に記載の熱活性粘着シートが提供される。
【0018】
本発明によれば、第12に、感熱記録層上に印刷画像を形成した第10に記載の熱活性粘着シートが提供される。
【0019】
本発明によれば、第13に、感熱記録層上に保護層を形成した第10に記載の熱活性粘着シートが提供される。
【0020】
本発明によれば、第14に、保護層上に印刷画像を形成した第13に記載の熱活性粘着シートが提供される。
【0021】
本発明によれば、第15に、基材に熱転写記録用の受容紙を用い、片面に第1〜7のいずれかに記載の熱活性粘着剤を塗布してなることを特徴とする熱転写記録用熱活性粘着シートが提供される。
【0022】
また、本発明によれば、第16に、該シートがラベルである第8〜12のいずれかに記載の熱活性粘着シートが提供される。
【0023】
さらに、本発明によれば、第17に、第1〜7のいずれかに記載の熱活性粘着剤を基材の両面に塗布してなることを特徴とする熱活性両面粘着紙が提供される。
【0024】
【発明の実施の形態】
感熱性粘着剤は、一般に加熱により粘着力、接着力を付与する主な成分である熱可塑性樹脂、加熱により溶融し、粘着剤に粘着性を発現させる作用を有する熱溶融性物質を主成分とし、好ましくはさらに、粘着性を向上させる粘着付与剤等を含有するものである。
【0025】
本発明の感熱性粘着剤は、熱可塑性樹脂、熱溶融性物質及び必要に応じて粘着付与剤からなる熱活性粘着剤において、熱溶融性物質としてヒンダードフェノール化合物を使用することを特徴とする。
これらの熱溶融性物質のうち、特に下記一般式(I)(R1、R2、R3はそれぞれ独立にアルキル基を示す)で表わされるヒンダードフェノール化合物を使用することにより、各被着体、特に塩化ビニルシートやポリエチレンシートに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好となる。
【化9】
R1、R2、R3は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは、R1、R2は、メチル基、エチル基又は炭素数3〜10のα−分岐アルキル基である。
R3は、炭素数1〜8の低級アルキル基がさらに好ましい。
【0026】
また、これらの熱溶融性物質のうち、下記一般式(II)(R4、R5はそれぞれ独立にアルキル基を示す)で表わされるヒンダードフェノール化合物を使用することにより、各被着体、特に塩化ビニルシートやポリエチレンシートに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好となる。
【化10】
R4、R5は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基又は炭素数3〜10のα−分岐アルキル基である。
【0027】
また、これらの熱溶融性物質のうち、下記一般式(III)(R6、R7はそれぞれ独立にアルキル基を示し、R8は2価炭化水素基を示す)で表わされるヒンダードフェノール化合物を使用することにより、各被着体、特に塩化ビニルシートやポリエチレンシートに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好となる。
【化11】
R6、R7は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基又は炭素数3〜10のα−分岐アルキル基である。
R8は、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましい。
【0028】
さらに、これらの熱溶融性物質のうち、下記一般式(IV)(R9、R10はそれぞれ独立にアルキル基を示し、R11は2価炭化水素を示す)で表わされるヒンダードフェノール化合物を使用することにより、各被着体、特に塩化ビニルシートやポリエチレンシートに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好となるものである。
【化12】
R9、R10は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基又は炭素数3〜10のα−分岐アルキル基である。
R11は、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましい。
【0029】
本発明の熱溶融性物質において、上記一般式(I)〜(IV)で表わされるヒンダードフェノール化合物は、室温において固体で加熱時に溶融するものが用いられる。
これらのヒンダードフェノールの融点は、好ましくは、50℃以上、さらに好ましくは60℃以上のものが用いられる。
また、その上限値は150℃程度である。
融点が50℃未満であると、熱活性粘着剤としたときに室温で粘着力が発現するなどの保存上の不具合が生じるときがあり、また、熱活性粘着剤塗布液を基材に塗布乾燥するときに粘着力が発現するなどの製造上の不具合が生じるときがある。
融点が150℃を超えると粘着力を発現させるために大量のエネルギーが必要となり、実用上の不具合が生じる。
また、感熱紙を基材として用い大量のエネルギーで粘着力を発現させた場合、感熱記録層が発色することが考えられ、印字画像が読み取れなくなるという問題がある。
【0030】
本発明の感熱性粘着剤において、熱活性粘着剤中の熱溶融性物質であるヒンダードフェノール化合物の含有率は、好ましくは、30〜70重量%であり、さらに好ましくは、35〜65重量%である。
熱溶融性物質であるヒンダードフェノール化合物の含有率が30重量%未満及び70重量%を超えた場合には、いずれも粘着力の低下を来たすことがある。
また、従来のような酸化防止を目的とした1%以下程度のヒンダードフェノールの含有率では、熱活性粘着剤としての粘着力は発現しない。
【0031】
従来、熱活性粘着剤として知られている熱溶融性物質の代表的なものとしては固体可塑剤があり、具体的には、以下に例示するものが挙げられるが、これらとヒンダードフェノールとの組み合わせで使用することもできる。
固体可塑剤としては、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヒドロキシアビエチル、イソフタル酸ジメチル、安息香酸スクローズ、二安息香酸エチレングリコール、三安息香酸トリメチロールエタン、三安息香酸グリセリド、四安息香酸ペンタエリトリット、八酢酸スクロース、クエン酸トリシクロヘキシル、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらを組み合わせて使用する際には、熱活性粘着剤中に占める熱溶融性物質としての合計の含有率は、好ましくは、30〜70重量%であり、さらに好ましくは、35〜65重量%である。
【0032】
本発明の感熱性粘着剤で好ましく併用される熱可塑性樹脂としては、ビニル系モノマーをグラフト共重合した天然ゴムラテックス、天然ゴムラテックス、ポリ酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、合成ゴム、酢酸ビニル−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニルピロリドン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル共重合体等の高分子樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
感熱性粘着剤中の熱可塑性樹脂の含有率は、好ましくは、10〜70重量%、さらに好ましくは、20〜60重量%である。
熱可塑性樹脂の含有率が10重量%未満及び70重量%を超えた場合、いずれも粘着力の低下となるので望ましくない。
【0033】
上記成分に加え、本発明の感熱性粘着剤で好ましく併用される粘着付与剤としては、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン又はそれらのグリセリン、ペンタエリストール等のエステル、樹脂酸ダイマー等)、テルペン樹脂系、石油樹脂系、フェノール樹脂系、キシレン樹脂系等が挙げられるが、これらについても限定的ではない。
感熱性粘着剤中の粘着付与剤の融点又は軟化点は、好ましくは、70℃以上で、さらに好ましくは、70〜200℃である。
70℃未満になると、耐ブロッキング性が低下する。また、感熱性粘着剤中の粘着付与剤の含有率は、好ましくは、3〜30重量%で、さらに好ましくは、5〜25重量%である。
3重量%未満であると、粘着力が低下し、30重量%を超えると、耐ブロッキング性が低下する。
【0034】
本発明の感熱性粘着剤においては、上記成分以外に、ブロッキング防止のために、酸化チタン、アルミナ、コロイダルシリカ、カオリン、タルク等の無機物や、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス、天然油脂、ポリスチレン粉末等の有機物を、さらに必要に応じて、分散剤、消泡剤、増粘剤等を使用することもできる。
【0035】
本発明の熱活性粘着剤を基材の片面に塗布することにより、各被着体、特に塩化ビニルシートやポリエチレンシートに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な熱活性粘着シートを得ることができる。
この粘着シートは、ラベルとして用いて好適である。
【0036】
基材の片面に感熱記録層を塗布し、他の面に本発明の熱活性粘着剤を塗布することにより、各被着体、特に塩化ビニルシートやポリエチレンシートに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な感熱記録用の熱活性粘着シートを得ることができる。
【0037】
本発明の感熱記録層においては、基材上にロイコ染料及び顕色剤を主成分とする感熱記録層を形成させることができる。
本発明の感熱記録層において用いられるロイコ染料としては、一般にこの種のロイコ系記録材料において知られているロイコ染料が適用され、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられる。このようなロイコ染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3′−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6′−クロロ−8′−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、6′−ブロモ−3′−メトキシ−ベンゾインドリノ−ピリロスピラン、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−クロルフェニル)フタリド、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−ニトロフェニル)フタリド、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジエチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−メチルフェニル)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2′,4′−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(2′−メトキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−ヒドロキシ−4′−クロル−5′−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4′−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4′,5′−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2′,4′−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−p−クロロフェニルエチレン−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4′−ジメチルアミノ−2′−メトキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−p−クロロフェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−(4′−ジメチルアミノ−2′−ベンジルオキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−フェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノ−フルオレン−9−スピロ−3′−(6′−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス{2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル}−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジブロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリドフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオランスピロ(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4′,5′−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を挙げることができる。
【0038】
また、本発明の感熱記録層においては、顕色剤として電子受容性の種々の化合物、例えば、フェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等を適用することができる。
その具体例としては、4,4′−イソプロピリデンビスフェノール、3,4′−イソプロピリデンビスフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4′−セカンダリーブチリデンビスフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(o−ターシャリーブチルフェノール)、4,4′−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4′−チオビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、4,4′−ジフェノールスルホン、4,2′−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジフェノールスルホキシド、P−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、P−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキュ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサヘプタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロパン、N,N′−ジフェニルチオ尿素、N,N′−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、5−クロロ−サリチルアニリド、サリチル−o−クロロアニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸の亜鉛塩、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸の亜鉛、アルミニウム、カルシウム等の金属塩、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルエステル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4′−ジフェノールスルホン、3,3′−ジアリル−4,4′−ジフェノールスルホン、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエンチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4′−チオビス(2−メチルフェノール)、3,4−ヒドロキシ−4′−メチル−ジフェニルスルホン、4,4′−チオビス(2−クロロフェノール)等が挙げられる。
【0039】
本発明の感熱記録層を形成させるためには、ロイコ染料及び顕色剤を基材上に結合支持させればよい。
この場合の結合剤としては、慣用の種々の結合剤を適宜用いることができる。このような結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子の他、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のエマルジョンやスチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックス類等を挙げることができる。
【0040】
また、本発明により感熱記録層を形成させる場合は、填料として種々の熱可融性物質を使用することができる。
その具体例としては、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類、p−ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジベンジルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ビス(フェノキシ)ブタン、1,4−ビス(フェノキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ビス(フェニルチオ)ブタン、1,4−ビス(フェニルチオ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−(ベンジルオキシ)ベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、蓚酸ジベンジルエステル、1,5−ビス(p−メトキシフェニルオキシ)−3−オキサペンタン等が挙げられる。
【0041】
また、本発明においては、必要に応じ、この種の感熱記録層に慣用される補助添加成分、例えば、界面活性剤、滑剤等を併用することができる。
この場合、滑剤としては、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、植物性、鉱物性又は石油系の各種ワックス類等が挙げられる。
【0042】
なお、本発明においては、必要に応じ、常法により、基材と感熱記録層との間にアンダーコート層を設けたり、また、感熱記録層の上に画像信頼性を向上させる目的等で例えば、水溶性樹脂を主成分とする保護層を設けたり、さらに、基材の裏面にバックコート層を設けたりすることもできる。
この場合、これらの層を構成する成分としては、上記の填料、結合剤、熱可融性物質、界面活性剤等を用いることができる。
さらに、保護層の上に、保護層を設けない場合は直接、感熱記録層の上に、常法により、印刷画像を形成することができ、印刷インクとしては、例えば、UV硬化性インクが用いられる。
【0043】
本発明の感熱記録層は、一般に知られている方法により形成することができる。
例えば、先ず、ロイコ染料、顕色剤を別々に結合剤水溶液と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散粒径が1〜3μmになるまで粉砕分散した後、必要に応じて填料、熱可融性物質分散液等と共に、一定処方で混合して感熱記録層塗布液を調製し、基材に塗布することによって感熱記録層を形成することができる。
【0044】
基材に熱転写記録用の受容紙を用い、片面に本発明の熱活性粘着剤を塗布することにより、各被着体、特に塩化ビニルシートやポリエチレンシートに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な熱転写記録用の熱活性粘着シートを得ることができる。
【0045】
本発明の熱転写記録用の受容紙の片面に、熱転写記録媒体用フィラーと水溶性樹脂を主成分とするインク受容層を設けることができ、他の面に熱活性粘着剤を塗布することにより熱転写記録用の熱活性化粘着シートを得ることができる。また、インク受容層に耐水化剤を含有させることができる。
これら粘着シートは、ラベルとして用いて好適である。
【0046】
本発明の熱転写記録用受容紙のインク受容層において、インク受容層に含有させるフィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、クレー、焼成クレー、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカ、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン等の微粉末等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
また、インク受容層に用いる水溶性樹脂としては、慣用の種々の水溶性樹脂を適宜用いることができ、例えばポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子を挙げることができる。
【0048】
インク受容層における上記フィラーと水溶性樹脂の割合は、ブロッキング性に関わり、フィラー対水溶性樹脂の含有重量比(固形分)を1:0.1〜0.2とすることが好ましい。
また、インク受容層に用いる耐水化剤の具体例としては、例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、クロムミョウバン、メラミン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。
この耐水化剤と水溶性樹脂の割合もブロッキング性に関わり、その含有重量比(固形分)は、水溶性樹脂1に対して、耐水化剤0.3〜0.5が好ましい。
このようにインク受容層はフィラー及び水溶性樹脂を、またさらに、水溶性樹脂と耐水化剤を特定の比率で含有させて形成させるが、さらに、インク受容層の表面をキャレンダーなどにより、平滑度500秒以上に処理することにより、上記フィラーによる効果に加えて印字品質を一層向上させることができる。
【0049】
さらに、本発明の熱活性粘着剤を基材の両面に塗布することにより、各被着体、特に塩化ビニルシートやポリエチレンシートに対する粘着力が強く、かつ耐ブロッキング性も良好な熱活性両面粘着紙を得ることができる。
【0050】
本発明の熱活性粘着剤を種々の基材上に塗布することによって、熱活性粘着シートが得られるが、上記のように、基材と熱活性粘着剤層との間に中間層又は感熱発色層が設けられた粘着シートの場合には、基材と感熱発色層の間にアンダーコート層を設けることができる。
これらの中間層及び/又はアンダーコート層を設ける場合には、断熱性であることが好ましく、このような層を設けることによって感熱発色層の熱感度が向上し、かつ熱活性化時における感熱発色層の地肌発色が防止でき、熱活性時の熱エネルギーを効率よく活用することができる。
上記の中間層及び/又はアンダーコート層が断熱性である場合は、以下、断熱層と言う。
断熱層としては、熱可塑性樹脂を殼としてなる中空度30%以上の微小中空粒子又はポーラスな顔料を用いた非発泡性断熱層及び発泡性フィラーを用いた発泡性断熱層が挙げられる。
【0051】
断熱層に用いられる熱可塑性樹脂を殼としてなる中空度30%以上の微小中空粒子は、内部に空気その他の気体を含有するもので、すでに発泡状態となっている微小中空粒子であり、この平均粒子径は、2.0〜20μmのものが使用でき、3.0〜10μmのものがより好ましい。
この平均粒子径(粒子外径)が2.0μmより小さいものは、任意の中空度にするのが難しい等の生産上の問題があって、コストの面で問題があり、逆に20μmより大きいものは、塗布乾燥後の表面の平滑性が低下するため、熱活性粘着剤層の塗布が不均一になり、さらに均一にするために必要量以上の熱活性粘着剤を塗布しなければならない。
従って、このような微小中空粒子の分布は粒子径が上記の範囲にあると同時に、バラツキの少ない分布スペクトラムの均一なものが望ましい。
さらに、本発明において、プラスチック球状中空粒子は、中空度が30%以上のものが使用できるが、50%以上のものがより好ましい。
中空度が30%未満のものは、断熱性が不十分なため、熱エネルギーが基材を通じて外へ放出され、粘着剤活性化の熱の効率が悪くなるので望ましくない。
【0052】
ここでいう中空度とは、中空粒子の外径と内径の比であり、次式で表示されるものである。
【数1】
中空度=(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100(%)
【0053】
本発明で用いる微小中空粒子は、上記したように、熱可塑性樹脂を殼とするものであるが、この熱可塑性樹脂としては、特に塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
【0054】
また、本発明の断熱層に用いられるポーラスな顔料としては、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の有機顔料やシラス土等の無機顔料があるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0055】
本発明の非発泡性断熱層を形成させるには、上記の微小中空粒子やポーラスな顔料をバインダーと共に水に分散し、これを基材上に塗布し、乾燥することによって得られる。
この場合、微小中空粒子の塗布量は支持体1m2当たり少なくとも1g、好ましくは、2〜15g程度であり、また、バインダー樹脂の塗布量は、断熱層を基材に強く結合させるに足る量でよく、通常は、該微小中空粒子とバインダー樹脂との合計量に対して、2〜50重量%である。
【0056】
非発泡性断熱層を形成する際に使用されるバインダーとしては、従来公知の水溶性高分子及び/又は水性高分子エマルジョンから適宜選択される。
その具体例としては、水溶性高分子として例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。また、水性高分子エマルジョンとしては、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックスや酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のエマルジョン等が挙げられる。
【0057】
また、本発明において用いる発泡性フィラーは、熱可塑性樹脂を殼とし、内部に低沸点溶媒の発泡剤を含有する中空状のプラスチックフィラーであり、種々のものが適用されるが、その粒子直径に関しては、未発泡の状態の場合、2〜50μmであり、発泡状態では10〜100μm、好ましくは、10〜50μmである。このプラスチックフィラーの殼となる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、又はそれらの共重合体が挙げられる。
また、殼内に含まれる発泡剤としては、プロパンやブタンその混合物等が一般的に用いられる。
【0058】
基材上に発泡性断熱層を形成させるには、上記した発泡性プラスチックフィラーを、結着剤と共に支持体上に塗布乾燥した後、その塗布面に熱板を密着させ、プラスチックフィラーを加熱発泡させればよい。プラスチックフィラーの塗布量は、支持体1m2に対し、未発泡フィラーとして、少なくとも1g、好ましくは、2〜5g程度である。
また、結着剤の使用量は、発泡性断熱層を支持体上に対し強く結着させるような量であればよく、通常は、未発泡フィラーと結着剤の合計量に対し、5〜50重量%である。
また、加熱発泡温度は、フィラーの殼を構成する熱可塑性樹脂を軟化させる温度である。
発泡倍率は、通常、2〜4倍、好ましくは、2〜3倍程度であり、上記の発泡が達成されるように適宜、選択される。
【0059】
上記のようにし、基材上に形成された発泡性断熱層の表面は、かなり凹凸が生じているために、発泡性断熱層形成後(加熱発泡後)キャレンダー処理により平面を平滑にすることが好ましく、また、必要に応じて、発泡性断熱層の表面又は下面に1層又は複数のアンダーコート層を設けることもできる。
【0060】
なお、本発明の断熱層においては、上記微小中空粒子、ポーラスな顔料又は発泡性フィラー及びバインダーと共に、必要に応じて、フィラー、熱可融性物質、界面活性剤等を併用することができる。
この場合、フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末を挙げることができ、また、熱可融性物質としては、例えば、高級脂肪酸又はそのエステル、アミドもしくは金属塩の他、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合物、安息香酸フェニルエステル、高級直鎖グリコール、3,4−エポキシ−ヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、高級ケトン、p−ベンジルビフェニル、その他の熱可融性有機化合物等の50〜200℃の程度の融点を持つものが挙げられる。
【0061】
また、本発明で使用する基材としては、特に限定されず、上質紙、アート紙、コート紙等、紙以外でもポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム或いはこれらを貼り合わせたフィルム等を使用することができる。
【0062】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、以下に示す部及び%は、いずれも重量基準である。
【0063】
実施例1
〔A液〕熱溶融性物質分散液
メチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ 40部
フェニル)プロピオネート
ポリビニルアルコール(30%水溶液) 4部
水 56部
上記組成からなる混合物を、平均粒径が1.0μmとなるようにサンドミルを用いて分散して分散液〔A液〕を得た。
〔B液〕感熱性粘着剤分散液
メタクリル酸メチルグラフト共重合天然ゴムラテックス 50部
分散液(50%)
ロジンエステル分散液(50%) 35部
熱溶融性物質分散液〔A液〕 100部
上記組成からなる感熱性粘着剤分散液〔B液〕を80g/m2の片面コート紙の裏面に乾燥重量25g/m2となるように塗布乾燥し、感熱性粘着シートを得た。
【0064】
実施例2
実施例1において、〔A液〕のメチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕に代えたものを用いた以外は実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
【0065】
実施例3
実施例1において、〔A液〕のメチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕に代えたものを用いた以外は実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
【0066】
実施例4
実施例1において、〔A液〕のメチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕に代えたものを用いた以外は実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
【0067】
実施例5
[C液]非発泡性断熱層形成用塗液
微小中空粒子分散体(塩化ビニリデン/
アクリロニトリルを主体とする共重合樹脂)
(固形分濃度32%、平均粒子径5μm、中空度92%) 30部
スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス 10部
水 60部
上記組成からなる混合物を攪拌分散して非発泡性断熱層形成用塗液[C液]を調製した
[D液]発色剤分散液
3−ジベンジルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 20部
ポリビニルアルコ−ル(10%水溶液) 10部
水 70部
[E液]顕色剤分散液
4,4‘−ジヒドロキシベンゾフェノン 10部
ポリビニルアルコ−ル(10%水溶液) 25部
炭酸カルシウム 15部
水 50部
上記組成からなる混合物を、それぞれ平均粒径が2.5μm以下となるようにサンドミルを用いて分散して[D液]と[E液]を調製し、次に[D液]:[E液]=1:8となるように混合攪拌して感熱発色層[F液]を得た。
上記[C液]を、基材の表面に乾燥後重量が4g/m2となるように塗布乾燥して非発泡性断熱層を設けた。
この上に、上記[F液]を乾燥後重量が5g/m2となるように塗布乾燥して感熱発色層を設けた後に、さらに王研式平滑度が2000秒になるようにス−パ−キャレンダ−処理して感熱発色層塗布済み紙を得た。
実施例1の片面コ−ト紙の代わりに、上記感熱発色層塗布済み紙を使用した以外は、実施例1と同様にして、感熱性粘着シ−トを得た。
【0068】
実施例6
実施例5の非発泡性断熱層を形成しなかった以外は、実施例5と同様にして、感熱性粘着シ−トを得た。
【0069】
比較例1
実施例1において、〔A液〕のメチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをフタル酸ジシクロヘキシルに代えたものを用いた以外は実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
【0070】
比較例2
実施例1において、〔A液〕のメチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをフタル酸ジフェニルに代えたものを用いた以外は実施例1と同様にして、感熱性粘着シートを得た。
【0071】
比較例3
比較例1の片面コ−ト紙の代わりに、上記感熱発色層塗布済み紙を使用した以外は、比較例1と同様にして、感熱性粘着シ−トを得た。
【0072】
比較例4
比較例3の非発泡性断熱層を形成しなかった以外は、比較例3と同様にして、感熱性粘着シ−トを得た。
【0073】
このようにして得られた感熱性粘着シートに関して、感熱性粘着剤層の熱活性化に伴う粘着力及び感熱性粘着シートのコート紙表面と感熱性粘着剤層とを接触させたときの耐ブロッキング性について、以下に示す試験を行い、評価した。
【0074】
〈粘着性〉
上記のようにして得られた感熱性粘着シートを恒温槽90℃に1分間入れて感熱粘着剤層を熱活性化させ、サンプルを被着体(塩化ビニルシート、ポリエチレンシート)に貼り付けて、その粘着力を次に示すランクにより評価した。
(評価基準)
◎:強く粘着した。
○:粘着した(実用上問題がないレベル)。
△:やや粘着した。
【0075】
〈耐ブロッキング性〉
同一の感熱性粘着シートサンプルのコート紙表面と感熱性粘着剤層とを接触させ、2kg/cm2の圧力で40℃、50℃、60℃でそれぞれ30%RHの条件下で24時間試験した後、室温で放置後サンプルを剥がし、その時の耐ブロッキング性を次に示すランクにより評価した。
(評価基準)
◎:ブロッキング発生なし(剥離音なし)。
○:ブロッキング発生なし(剥離音あり)。
△:若干ブロッキング発生(実用上、問題がないレベル)。
×:ブロッキング発生。
【0076】
〈動的発色濃度〉
松下電子部品(株)製薄膜ヘッドを有する感熱印字装置にて、ヘッド電圧0.6W/dot、1ライン記録時間10msec/1line、走査線密度8×7:7dot/mm条件下で、パルス幅0.4、0.5msecで印字し、その印字濃度をマクベス濃度計RD-914で測定した。
評価結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
表1の結果から、本発明の感熱性粘着シートは、比較例の感熱性粘着シートに比べ、粘着性、耐熱性に優れていることが分かる。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の熱活性粘着剤に見られる欠点を克服し、各被着体に対する粘着力と、耐ブロッキング性に優れた熱活性粘着剤、熱活性粘着シート及び熱活性両面粘着紙が提供され、さらに環境問題上の観点から、従来の感熱性粘着剤に熱溶融性物質(代表的には固体可塑剤)として使用されているフタル酸エステルに代わる物質を用いた熱活性粘着剤、熱活性粘着シート及び熱活性両面粘着紙が提供され、このような粘着剤、粘着シート及び粘着紙分野及び環境保全に寄与するところはきわめて大きいものである。
Claims (16)
- 基材と熱活性粘着剤からなる層との間に、断熱層を有する熱活性粘着シートにおいて、前記熱活性粘着剤が熱可塑性樹脂及び室温において固体で加熱時に溶融する熱溶融性物質からなり、該熱溶融性物質が、下記一般式(I)(R1、R2、R3はそれぞれ独立にアルキル基を示す)で表わされるヒンダードフェノール化合物を含有するものであることを特徴とする熱活性粘着シート。
- 基材と熱活性粘着剤からなる層との間に、断熱層を有する熱活性粘着シートにおいて、前記熱活性粘着剤が熱可塑性樹脂及び室温において固体で加熱時に溶融する熱溶融性物質からなり、該熱溶融性物質が、下記一般式(IV)(R9、R10はそれぞれ独立にアルキル基を示し、R11は2価炭化水素基を示す)で表わされるヒンダードフェノール化合物を含有するものであることを特徴とする熱活性粘着シート。
- 断熱層が、熱可塑性樹脂を殼としてなる中空度30%以上の微小中空粒子である請求項1〜2のいずれかに記載の熱活性粘着シート。
- 熱活性粘着剤中の熱溶融性物質の含有率が、30〜70重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の熱活性粘着シート。
- 熱活性粘着剤からなる層が粘着付与剤を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の熱活性粘着シート。
- 基材の片面に熱活性粘着剤からなる層を設け、基材の他の面に感熱記録層を設けてなる請求項1〜5のいずれかに記載の熱活性粘着シート。
- 基材と感熱記録層との間に、アンダーコート層を設けてなる請求項6に記載の熱活性粘着シート。
- 該感熱記録層上に印刷画像を形成した請求項6に記載の熱活性粘着シート。
- 該感熱記録層上に保護層を形成した請求項6に記載の熱活性粘着シート。
- 該保護層上に印刷画像を形成した請求項9に記載の熱活性粘着シート。
- 基材に熱転写記録用の受容紙を用いて熱転写記録用とした請求項1〜5のいずれかに記載の熱活性粘着シート。
- 該シートがラベルである請求項6〜8のいずれかに記載の熱活性粘着シート。
- 下記一般式(I)(R1、R2、R3はそれぞれ独立にアルキル基を示す)で表わされるヒンダードフェノール化合物を含有する熱活性粘着剤を基材の両面に塗布してなることを特徴とする熱活性両面粘着紙。
- 下記一般式(IV)(R9、R10はそれぞれ独立にアルキル基を示し、R11は2価炭化水素基を示す)で表わされるヒンダードフェノール化合物を含有する熱活性粘着剤を基材の両面に塗布してなることを特徴とする熱活性両面粘着紙。
- 熱活性粘着剤中の熱溶融性物質の含有率が、30〜70重量%である請求項13〜14のいずれかに記載の熱活性両面粘着紙。
- 熱活性粘着剤が粘着付与剤を含有するものである請求項13〜15のいずれかに記載の熱活性両面粘着紙。
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