JP4901887B2 - 水田作業機の整地フロート構造 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明の特徴構成は、全条に相当する横幅を有する整地フロートが、全条に亘る横幅を備えたフロート本体部と、前記フロート本体部の横幅よりは細幅で、前記フロート本体部から前向きに突出する前方張出し部とを有し、前記フロート本体部の横幅方向全長に亘る底面に、整地面となる帯状の帯状整地部を形成すると共に、当該帯状整地部が、その後縁が前記フロート本体部の後縁に沿うと共に、前記整地フロートの最下方部位となるよう形成され、前記整地フロートを上下揺動自在に支持する支点が前記帯状整地部よりも後方側に設けられ、後方に泥土を誘導する泥逃がし凹入部を、前記フロート本体部の下面であって、前記前方張出し部の両横側方における前記フロート本体部の前縁から前記帯状整地部の後縁にかけて上方に凹入する状態に設けてある点にあり、その作用効果は次の通りである。
つまり、全条に亘る横幅を備えているフロート本体部に帯状整地部を設けているので、複数個のフロート部で全条をカバーするフロート構造を採るものに比べて、各フロート部の横側端部が圃面内に沈み込んで形成するフロート通過跡を少なくできるものである。
また、この帯状整地部で全条分の圃面を均して、その均した圃面上に例えば苗を植え付けることができるので、植付条が見栄え良く形成される。
これに対して、本願発明においては、帯状整地部の一部に上方に凹入する泥逃がし凹入部を形成してあるので、泥逃がし凹入部を介して泥土を整地フロートの後方に流すことができ、帯状整地部の前端における泥土の滞留や隣接する条への影響を抑制することができる。
また、全条に亘る横幅を備えたフロート本体部から前方に向けて、そのフロート本体部より細い幅の前方張出し部を設けてあるので、フロート本体部に先行して前方張出し部が圃面の凹凸に起因する接地圧の変動を感知することができる。
しかも、前方張出し部は全条に亘るものではないので、畦際での作業を行っている場合にも、畦際の凹凸部分を感知する度合いが小さく、整地フロートのセンサ機能が安定する。
一方、前方張出し部を設けることによって、前方張出し部の側縁部に沿って流動する泥土がフロート本体部における前端部に滞留する可能性がある。
そこで、本発明においては、フロート本体部における底面で前方張出し部の両横側方に、後方に泥土を誘導すべく上方に凹入する泥逃がし凹入部を形成した。このことによって、前方張出し部の側縁部に沿って流動する泥土は、泥逃がし凹入部からフロート本体部を通過するので、フロート本体部の前端での泥土の滞留は抑制される。
また、整地フロートを揺動可能に支持する後支点を、帯状整地部の後方に備えているので、整地フロートの後支点が、凹凸部が帯状整地部で均された後の圃面上を移動することとなり、後支点のガタツキが少なく、圃面の凹凸によって上下揺動する整地フロートの基準位置が安定している。
これによって、この整地フロートを植付に係る耕深を一定にするための自動制御に組み込み、整地フロートを接地センサとして利用する場合に、後支点のガタツキが少なくなる点は、制御の基準点が安定し、制御自体が安定したものとなる。
また、帯状整地部の後方に後支点を配置することにより、揺動に係る支点位置を十分に後方に配置することができ、後支点から整地フロートの前端までの間隔が大きく採れることとなり、同じ高さの凸部によって整地フロートの前端部が持ち上げられても、揺動角を小さくすることができ、外乱を受け難い整地フロートとなる。
全条に亘る横幅で帯状整地部を設けているので、フロートを複数個設けるものに比べて整地状態が全条に亘って一定したものにでき、複数個の整地フロートを有するものに比べて、フロート通過跡も付き難いという効果に加えて、次のような特有の効果を奏することができる。
帯状整地部の一部に泥逃がし凹入部を形成する改善を施すことによって、帯状整地部の前端における泥土の滞留や隣接する条への影響を抑制することができる水田作業機の整地フロートを提供できるに至った。
整地フロートを接地センサとしての機能を高める前方張出し部を設けることに起因して、フロート本体部の前端での泥土の滞留を抑制すべく、前記した泥逃がし凹入部を形成することによって、泥土の滞留を抑制でき、例えば植付作業時における浮き苗等が発生し難い整地フロート構造を設けた。
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記整地フロートの側端部の底面を、側端がわ程フロート本体部の上面に近づく傾斜面に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
つまり、整地フロートの側端部の圃面内への沈み込みが大きいと、泥押しが発生して整地フロートの横側方に位置する例えば植付作業時に既植え苗を押し倒すといった事態や、側端部の跡が圃面上に形成されるといったことがある。
これに対して、本願発明においては、前記整地フロートの側端部の底面に、側端がわ程フロート本体部の上面に近づく傾斜面に形成してあるので、整地フロートの側端部に形成した傾斜面で泥土が均されて、フロート通過跡として残ることが少ない。
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記フロート本体部から、前記フロート本体部の横幅よりは細幅で、かつ、後向きに突出する後方張出し部を形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
つまり、前記フロート本体部から、前記フロート本体部の横幅よりは細幅で、かつ、後向きに突出する後方張出し部を形成してあるので、フロート本体部自体の前後長を余り長く採ることなく、整地フロート全体として必要な前後長を確保できるので、整地フロート全体が余り大型化せず、かつ、安定して作動するフロート構造を構築することができた。
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記帯状整地部に、前記泥逃がし凹入部とその泥逃がし凹入部より下方に位置する整地平坦部とを設け、前記泥逃がし凹入部と前記整地平坦部との境界位置を横幅方向に対して傾斜した傾斜面に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
帯状整地部に泥逃がし凹入部を形成すると、その泥逃がし凹入部とそれより下方に位置する整地平坦部との境界部位に段差できる。そうすると、その段差部分が圃面上にフロート通過跡となって形成される。
これに対して、泥逃がし凹入部と整地平坦部との境界部位に横幅方向に対して傾斜した傾斜面を形成してあるので、段差部分がなく、その傾斜面で均されるところから、フロート通過跡の形成は抑制される。
苗植付装置7は、苗のせ台8、苗のせ台8の下方に位置する前後向き姿勢の植付伝動ケース9、植付伝動ケース9の後端部左右に装備されている苗植付機構10、植付伝動ケース9に後支点周りで上下揺動自在に整地フロート11を装備して、構成されている。
前方張出し部13は、フロート本体部12の前端の左右中央位置から前方に向かって張り出されたものであり、植付制御に使用されるセンサフロートとしての機能を有する。
整地フロート11の上面の形状について説明する。図4、図5及び図9に示すように、前方張出し部13において、上面は前端側程上方に位置し緩やかに傾斜する傾斜平坦面13Aに形成してあり、傾斜平坦面13Aの前端から横側方にかけて前方下向きに傾斜する前方下向き傾斜面13Cが形成してある。図4及び図11、図12に示すように、前方下向き傾斜面13Cの前端近くに、下方に凹入する載置面13Bを設けてある。載置部13Bには、整地フロート11を機体フレーム側に吊り下げ支持する前ブラケット15を取り付けてある。
また、前方張出し部13の前端に泥水が走行抵抗となって作用するので、その抵抗のために整地フロート11の上下揺動が安定せず、この整地フロート11の接地圧に基づく上下変動を利用して、植付高さを一定に維持する植付制御が安定しない点を、前記した切り欠きによって泥水の抵抗を軽減して、制御の安定を確保することができる。
取付座14Aが後方張出し部14の後端近傍に設けてあるので、取付座14Aと後方張出し部14の後端とが極近接した位置にある。したがって、整地フロート11が後ブラケット20の後支点a回りで上方に回動しても、後方張出し部14の後端が圃面内に入り込む深さが余り大きくならず、帯状整地面Aが施した整地面を乱すことが少ない。
このように、横側端12aの端面が推進方向に沿った面に形成してあるので、横側端12aの端面に沿って流れる泥水土が横側方に押し流されることが少なく、隣接する苗を押し倒す等の不都合を抑制できる。
図6及び図11に示すように、前方張出し部13の底面と、フロート本体部12における前方張出し部13の後方に位置する部分の底面とに亘って、中央側泥取り込み凹入部23が形成してある。中央側泥取り込み凹入部23は、側面視で、前方張出し部13の前端位置から上方に凹入するものであり、底面の湾曲状態に沿って略一定の凹入深さを維持しながら、フロート本体部12の後端部近くに至るまで形成されている。
図6及び図8に示すように、側方側取り込み凹入部24は、フロート本体部12の横側部分12Aの前端から開口し、側面視で、側方側取り込み凹入部24の天井面24bは、フロート本体部12の底面(後記する第1整地平坦部26A)の湾曲形状に沿った湾曲形状に形成されて後方に向けて延出してあり、第1整地平坦部26Aの後端部で同一の高さ位置となるように、後端側ほど徐々に浅くなり、第3整地部26Cの水平面26aに段差無く接続されている。このように、側方側取り込み凹入部24の後端部は、第3整地部26Cと段差なく繋がっており、この後端部を第4傾斜繋ぎ面24Dと称する。
図6〜11に示すように、中央側泥取り込み凹入部23を囲む周囲に底面部26が形成してあり、側面視で、底面部26のうちの前方底面部26Eは前端側程上方に位置する湾曲形状に形成されている。中央側泥取り込み凹入部23の狭幅部分24Bを囲む後方底面部が、整地フロート11全体の底面において最も下方に突出する部分になっている。後方底面部のうち、狭幅部分24Bを左右両側から囲む部分を第2整地平坦部26Bと称し、狭幅部分24Bの後方に位置する部分を第4整地平坦部26Dと称する。
図5、図10及び図11に示すように、第1凹入部27A及び第2凹入部27B共に、フロート本体部12の後端まで形成されており、フロート本体部12の後端近くでは、前記したフランジ部11aの高さに揃えられている。
また、水平部26aの後方側に後方側ほど上方に向けて傾斜する傾斜面26bを形成してあるので、傾斜面26bでの泥の滞留が抑制され、整地フロート11が後支点回りで上下揺動しても、傾斜面26b部分が圃面内に深く沈み込み難く、泥押しも少ない。
図6及び図13,14に示すように、中央側泥取り込み凹入部23の狭幅部分23Bと第2整地平坦部26Bとの境界部位に、横幅方向に沿った第2傾斜繋ぎ面23Cが形成されている。第2傾斜繋ぎ面23Cは、整地フロート11をブロー成形する際に使用される金型の抜け勾配より緩やかな傾斜面に形成されている。
したがって、本願発明においてはこのような段差跡が残り難い構成となっている。
これによって、段差跡が残り難い構成となっており、植付面の凹凸が均されるので、苗の植付姿勢が乱れず、植付深さが安定し、苗の生育が良好になる。
このようにフロート本体部12(整地フロート11)の横側端の底面に上向き傾斜面12bを形成することによって、整地フロート11の横側端部位の圃面内への沈み込みを抑制し、かつ、横側方への泥の押し出しを軽減できるものである。
フロート本体部12の後端部に帯状整地部Aを形成してある。図6に示すように、帯状整地部Aは、フロート本体部12の後端部の底面における横幅方向の全長又は略全長に亘って、横幅方向に沿った帯状を呈する面である。帯状整地部Aは、中央側泥取り込み凹部23の後端部に形成される第4整地平坦部26D、中央側泥取り込み凹部23の両横側方に形成される第2凹入部27Bの後端部に形成されている前後向き傾斜面27a及び第2凹入部27Bに隣接する第1凹入部27Aの後端部に形成されている平面27c、平面27cの横側方に隣接する横幅方向に対して傾斜する第1傾斜繋ぎ面27C、凹入部27の更に横側方に位置する側方側泥取り込み凹部24の後端に形成されている水平面状の第3整地平坦部26Cとで構成される。第3整地平坦部26Cは、側方側取り込み凹部24からフロート本体部12の横側端部に至る状態で形成されている。
第4整地平坦部26Dは、後方側張出し部14とフロート本体部12における前方側張出し部13の後方に位置する部分とを含む領域内においては、最も下方に位置しかつ水平面を形成するものであり、整地機能の高い部分である。
この取付孔14bは、帯状整地部Aに形成した泥逃がし凹部27Bの平面27cより上方に大きく凹入する形状に形成してある。これによって、支点としての機能だけを発揮させるものであり、帯状整地部Aによる整地面をこの取付孔14bが乱すことはない。
(1)帯状整地部Aにおいて左右一対の泥逃がし部27Bを形成したが、泥逃がし部27Bの個数または形状、幅等については任意に設けることができる。
また、設ける位置は、前方張出し部13の横側方に限定されない。
12 フロート本体部
12a 側端部
12b 傾斜面
13 前方張出し部
14 後方張出し部
26A 第1整地平坦部(整地平坦部)
26C 第3整地平坦部(整地平坦部)
27A 第1凹入部(泥逃がし凹部)
A 帯状整地部
L 横幅
Claims (4)
- 全条に相当する横幅を有する整地フロートが、全条に亘る横幅を備えたフロート本体部と、前記フロート本体部の横幅よりは細幅で、前記フロート本体部から前向きに突出する前方張出し部とを有し、
前記フロート本体部の横幅方向全長に亘る底面に、整地面となる帯状の帯状整地部を形成すると共に、当該帯状整地部が、その後縁が前記フロート本体部の後縁に沿うと共に、前記整地フロートの最下方部位となるよう形成され、
前記整地フロートを上下揺動自在に支持する支点が前記帯状整地部よりも後方側に設けられ、
後方に泥土を誘導する泥逃がし凹入部を、前記フロート本体部の下面であって、前記前方張出し部の両横側方における前記フロート本体部の前縁から前記帯状整地部の後縁にかけて上方に凹入する状態に設けてある水田作業機の整地フロート構造。 - 前記整地フロートの側端部の底面を、側端がわ程フロート本体部の上面に近づく傾斜面に形成してある請求項1記載の水田作業機の整地フロート構造。
- 前記フロート本体部から、前記フロート本体部の横幅よりは細幅で、かつ、後向きに突出する後方張出し部を形成してある請求項1又は2記載の水田作業機の整地フロート構造。
- 前記帯状整地部に、前記泥逃がし凹入部とその泥逃がし凹入部より下方に位置する整地平坦部とを設け、前記泥逃がし凹入部と前記整地平坦部との境界位置を横幅方向に対して傾斜した傾斜面に形成してある請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の水田作業機の整地フロート構造。
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