JP4900003B2 - 熱間圧延t形鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば船体補強部材であるロンジ材として用いるのに好適な熱間圧延T形鋼に関する。
船舶の船体は、一般貨物船(general cargo ship)、原油タンカ(crude oil tanker)さらにはばら積貨物船(bulk carrier)といった用途によっても相違するが、基本的には、主として軟鋼からなるとともに部位によっては高張力鋼からなる船体用圧延鋼材を多数組み合わせて溶接することにより箱型に構築し、その内部に船体補強部材を固定して防撓することにより、建造される。
この船体の強度として、(a)材料力学的に一本のはりとみなす船体に負荷される荷重によって発生する曲げモーメントや剪断力に抵抗する船体の強度である縦強度と、(b)波浪荷重や貨物荷重等が加わることによる、船体の横断面形状の変化に起因して、船体の横方向に配置された横部材に発生する応力に抵抗する横部材の強度である横強度とが知られる。特に縦強度は、波の山が船体中央に存在する場合に生じるホギングモーメント(hogging moment)と、波の谷が船体中央に存在する場合に生じるサギングモーメント(sagging moment)とに対する抵抗性を直接的に示す指標であり、船体に求められる最も基本的な強度である。この縦強度を確保するために、甲板縦通ばりや船底縦通肋骨といった、骨材からなる船体補強部材であるロンジ材を、船底や船壁に長手方向へ向けて多数溶接して配置する縦式構造(longitudinal system)が採用される。
船体補強部材用の骨材として、古くは球形平鋼が用いられたがその後は、ロンジ材の断面性能の向上と使用鋼材の重量低減とを目的として不等辺不等厚山形鋼が用いられてきた。不等辺不等厚山形鋼はJISに200mm×90mmから400mm×100mmまでの5シリーズが規格化される。また、JISの規格外として450mm×100mmから550mm×150mmのシリーズも用いられる。
しかし、不等辺不等厚山形鋼は、L形の横断面形状を呈するので、断面性能に方向性を有する。これに対し、特に船底に用いられる船体補強部材の断面剛性には対称性が要求される。このため、本来、不等辺不等厚山形鋼は船底に用いられる船体補強部材として適当ではない。
そこで、近年では、ウェブを中心として線対称な横断面形状を有するT形鋼が船体補強部材として用いられるようになってきた。T形鋼は、これまでにも建築用鋼材として相当の使用実績を有するが、船体補強部材用としても使用されるようになったのは近年に至ってからである。船体補強部材用としてのT形鋼は、ウェブの先端を船底等の船体の内壁面に、長手方向へ向けて溶接されて配置される。
T形鋼は、一般的には、例えば特許文献1に開示されるように、3ロ−ル又は4ロ−ルを用いて熱間圧延することにより製造される。しかし、特許文献1により開示された発明は、ウェブ高さがフランジ幅よりも小さい横断面形状を有する機械部品用のT形鋼を対象とする。また、そのフランジの厚みは水平ロ−ルの水平面を用いて圧下される。これに対し、船体補強部材用のT形鋼は、フランジ幅に対してウェブ高さが3倍以上大きく、かつウェブ高さが350mm以上となる横断面形状を有する。このため、特許文献1により開示される発明では、船体補強部材用のT形鋼を製造することはできない。
また、建築用鋼材として用いられてきた、例えば150×9〜300×32といった小寸法のT形鋼は、2重式圧延機の孔型圧延ロールに設けられる多数の孔型を順次用いる孔型圧延法によってブルームから直接に圧延T形鋼として製造される。しかし、この方法は、圧延ロールの組み替え、管理さらには製作等といった複雑な工程管理や多大な製造工数を要するので、生産性が低い。また、孔型の摩耗による製品形状の不良や表面肌荒れ等といった、製品品質の低下も発生し易い。さらに、T形鋼は、ウェブ以外については非対称な横断面形状を有するために孔型圧延法を用いた場合におけるウェブ及びフランジそれぞれの圧下率は不可避的に異なることに起因して、圧延後に材料が曲がり易い。
そこで、特許文献2、3には、ユニバーサル圧延機を用いて、製造するT形鋼のウェブ高さの2倍のウェブ高さを有する圧延H形鋼を製造し、製造した圧延H形鋼のウェブを、高さ方向の中央の位置で長手方向へ2分割して2条の圧延T形鋼を製造することにより、良好な生産性及び製品寸法精度で圧延T形鋼を製造する発明が開示される。しかし、特許文献2、3により開示された発明では、圧延H形鋼のウェブを長手方向に切断する工程を新たに設ける必要があるため、製造コストの上昇は避けられない。
さらに、最近の船体の大型化や船体構造のさらなる最適化の推進に伴って、ウェブ高さが500mm以上である大寸法の船体補強部材用T形鋼も要求されるようになってきた。
図10は、T形鋼1(フランジ幅B、ウェブ高さH、フランジ厚みt及びウェブ厚みt)の横断面形状を模式的に示す説明図である。また、図11(a)は、特許文献2、3により開示された発明により製造される圧延H形鋼のうちウェブ高さHが最大である圧延T形鋼1−1の横断面形状を示す説明図であり、図11(b)は、ウェブ高さHが500mm以上である大寸法の船体補強部材用T形鋼1−2の一例の横断面形状を示す説明図である。なお、図11(a)及び図11(b)において、符号4は幅可変の水平ロールを示し、符号5は竪ロールを示す。
図11(a)に示すように、特許文献2、3により開示される発明により製造される圧延T形鋼1−1は、圧延H形鋼2のウェブ3の中央を長手方向へ切断することにより製造される。このため、圧延T形鋼1−1のウェブ高さHは、実際に製造される圧延H形鋼2のウェブ高さ(1000mm)の制約を受ける。このため、ウェブの切断代を考慮すると例えば図11(b)に示すウェブ高さHが500mm以上(図示例では950mm)の圧延T形鋼1−2を製造することはできない。
なお、ウェブ3の中央ではなく幅方向にずらした位置で切断すれば、ウェブ高さHが500mm以上の圧延T形鋼1−2を簡単に製造することができるのでは、とも一見考えられる。しかし、これでは、切り落とされた、ウェブ高さが500mm未満となる他方の圧延T形鋼1−2は、この圧延T形鋼に対する需要が存在しないと、スクラップとせざるを得なくなる。このため、この方法では、圧延T形鋼1−2の製造コストが相当上昇するので、この方法は非現実的である。
一方、ウェブ高さHが350mm以上500mm未満の圧延T形鋼1−1は、特許文献2、3により開示される発明によっても製造可能である。しかし、この場合、熱間圧延でのウェブの切断は困難であるので、熱間圧延及び冷却後にガス切断することとなる。このガス切断によりウェブは不可避的に加熱されるので、切断後のT形鋼はウェブがフランジより伸び大きく曲がる。このため、切断後に逆T字形状に配置してからフランジを冷間圧延することによってフランジにウェブの伸びに近い伸びを与えることにより曲がりを修正しなければならない。しかし、フランジを冷間圧延することからフランジ表面が加工硬化し、伸びや靭性等といった重要な機械的性質の劣化は避けられない。
つまり、圧延H形鋼からウェブを切断してT形鋼を製造する場合、H形鋼を一旦冷却し、ガス等で切断する工程と、切断により発生する曲がりを修正する工程とが必要となるので製造コストが嵩むとともに、これにより製品の機械的性質も劣化する。
特に、船体補強部材であるロンジ材は、長さが20m程度と長大なものが多い。このような長くてかつ曲がった部材を矯正することは材料の搬送を含めて、製造コストを上昇させる。また、製品の工程管理上からも圧延後のT形鋼の仕上がりまでの時間が長くなるため、納期の短縮という要求にも反する。
さらに、特許文献4(特に第18図〜第22図及びその説明参照)には、粗ユニバーサル圧延機を用いてT形鋼の粗形鋼片のウェブ及びフランジの厚み圧下を行った後にエッジャー圧延機を用いてフランジ幅圧下を行い、さらに、仕上げユニバーサル圧延機の水平ロールに設けたスリッターによって目標値を超えて延びたウェブを切断して所望の高さとすることにより、圧延T形鋼を製造する発明が開示されている。
船体補強部材であるロンジ材では、船壁の高さ方向の設置位置に応じて、ウェブ高さH及びフランジ幅Bについては各部位に適した異なる値の多種のサイズが要求される。これに対し、特許文献4により開示された発明によれば粗ユニバーサル圧延機及びエッジャー圧延機を用いて圧延T形鋼を製造することは確かに可能にはなるものの、この発明は、ウェブ高さ圧下することなく仕上げ圧延の際に切断することによりはじめてウェブ高さを所定の値とすることを前提とするので、ウェブ高さ(ステム高さ)を圧延により自在に制御するといった作り分けの自由度が低い。このため、例えばウェブ高さH及びフランジ幅Bが同一である同一シリーズの圧延T形鋼の量産においてフランジ厚が変化するとウェブ高さHを一定に維持できなくなり、上述した多種の船体補強部材用の圧延T形鋼を作り分けることはできない。これに対し、いうまでもないが、溶接T形鋼では同一シリーズでフランジ厚が変わってもウェブ高さを一定に維持することは容易である。
また、特許文献4により開示された発明では、特許文献4の第21図及び第22図に示すように、仕上ユニバーサル圧延機の水平ロールに設けられたスリッターによってウェブを切断する際に同時にウェブ先端(ステム先端)に開先を設けて船体への溶接に備えるとしている。しかし、この発明では、被圧延材のウェブ厚(ステム厚)が変化するとウェブの切断が不完全な状態となるので所望の開先を形成することは難しく、後工程での開先加工やウェブの切断を改めて行う必要を生じる。また、この発明では、ウェブ端部(ステム端部)が切断されるため、その分歩留りが低下する。
さらに、特に近年新造される原油タンカでは、改正された海洋汚染防止条約により、(a)船底及び船側の構造を二重にして座礁や衝突等により船体が破れても原油が流出し難いように構成する二重船殻(ダブルハル)構造、又は(b)原油タンクを上下の2層に分け船側だけを二重構造にするとともに上下のタンクを分ける中間デッキを喫水線より下に配置することにより下のタンクの原油の圧力を常に周囲の水圧よりも低く保つことによって、座礁等により船底に穴が開いても下のタンクの原油が、進入する海水の圧力により上に押し上げられてタンク内に閉じ込められるミッドデッキ構造を採用することが義務付けられている。このため、船底や船壁に配置されるロンジ材は、海水に直接的に浸漬されることとなるので十分な耐食性を備えるための防錆塗装を施され、この塗膜の密着性を確保するために船体補強用部材のT形鋼のフランジ先端には面取り加工を行う必要がある。しかし、特許文献4にはフランジ端部に圧延により面取りを施す方法は開示も示唆もされていないので、後工程で面取り加工を施さなければならず、製造コストが嵩む。
このように、ウェブの高さが350mm以上の船体補強部材用の圧延T形鋼は、特許文献2〜4により開示されたいずれの発明に基づいても工業的規模で実用的かつ経済的に製造することはできないので、ウェブ及びフランジをなす2枚の鋼板をT字状に組み合わせて溶接することによる溶接T形鋼として製造される。
他方で、様々な荷重を受ける船体補強部材用の熱間圧延T形鋼には、良好な引張特性や靱性も要求される。特許文献5〜7には、T形鋼の組成を最適化することにより、これらの特性を満足するための発明が開示されている。
しかし、特許文献5〜7により開示されるT形鋼は、そもそもH形鋼をウエブ中心で縦切りして製造されるT形鋼(スプリットT形鋼)に関するものであり、圧延ままで製造される熱間圧延T形鋼に好適な組成を示すものではない。圧延ままで製造される熱間圧延T形鋼において、特許文献5に開示された発明鋼A、BおよびC並びに特許文献6に開示された発明鋼A、BおよびCのように本願明細書の(1)式で計算されるPcmの値が0.23%(本明細書においては特にことわりがない限り組成に関する「%」は「質量%」を意味するものとする)を超えている場合、特許文献7に開示された鋼のようにC含有量が0.21%以上である場合には、圧延後の冷却速度の大きいウェブ先端や圧下量の小さいフィレット部などで靱性低下、超音波欠陥や溶接割れが生じ易いという問題がある。また、スプリットT形鋼である場合には、上述した特許文献2、3により開示された発明が有する課題と同様の課題がある。
特開昭60−102205号公報 特開昭58−135704号公報 特開昭64−15203号公報 特公昭43−19671号公報 特開平10−192913号公報 特開平10−195602号公報 特開平11−81459号公報
上述したように、甲板縦通ばりや船底縦通肋骨といった船体補強用部材には、航海時に縦曲げ応力及び捩じり応力が繰り返し作用する。このため、船体補強部材である溶接T形鋼の溶接部の破壊に対する抵抗性を高めるために、一般的に、フランジとウェブの接合部(溶接ビード部)について超音波探傷検査を行う必要がある。さらに、この超音波探傷検査により溶接欠陥が発見されると、一般的に、欠陥の除去と所定の鋼材断面の確保を目的とした補修を行う必要がある。
また、上述したように船体補強部材は海水に浸漬される状態でも使用されるので防錆塗料が塗布されるため、塗膜の密着性を確保するためにフランジ、さらには必要によりウェブの先端部を面取りする必要がある。一方、溶接T形鋼のフランジ及びウェブの接合部(溶接ビード部)は、溶接ままではその表面の凹凸により塗膜の密着性が低下するため、一般的に、溶接ビード部が滑らかになるようにグラインダー等を用いた補修が行われる。これら面取りや溶接ビード部に対する補修が不十分であると、塗装性が悪化したり、フランジの先端部や溶接部の耐食性が低下する。
さらに、溶接T形鋼は、ウェブとフランジとを接合するための溶接、溶接部の補修ならびに溶接欠陥部の補修を別途行う必要がある。また、フランジ、さらには必要によりウェブの先端部に面取りを行うための加工は、溶接後に専用の面取り加工ラインで機械加工により行うこととなるので、この点からも製造コストが嵩み、また納期も長期化する。
このように、ウェブ高さが350mm以上である従来の船体補強部材用溶接T形鋼には、溶接部の破壊、溶接部の耐食性の低下、製造コストの上昇、製造能率の低下さらには組成が最適でないことといった様々な課題があり、その解決が強く求められる。
本発明は、(i)熱間圧延T形鋼の組成を最適化することによって、良好な引張特性や靱性を有し、(ii)T形鋼の粗形鋼片に対して、平坦な形状を有する水平ロール及び竪ロールを備える第1のユニバーサル圧延機を用いる複数パスの圧延(例えば中間圧延)を行うことによってウェブ及びフランジそれぞれの厚み圧下を行い、さらに、小径部及び大径部を有する段差状の水平ロールと、小径部を有する一方の竪ロールと、通常のロールを有する他方の竪ロールとを備える第2のユニバーサル圧延機を用いる圧延(例えば中間圧延又は仕上げ圧延)を行うことによってウェブ高さ及びフランジ幅を制御することにより、従来の製法では工業的規模で実用的かつ経済的には製造することができなかった、ウェブ高さが350mm以上であるとともにフランジ幅が200mm以下である横断面形状を有する熱間圧延T形鋼を、工業的規模で圧延素材であるブルームから熱間圧延により直接かつ確実に製造でき、さらに(iii)この圧延によりこの熱間圧延T形鋼の先端部の形状を特定の形状とすることによって、熱間圧延T形鋼として望ましい、特に船体補強部材用として好適な特性を得られるという、新規かつ重要な技術思想に基づくものである。
本発明は、C:0.01%以上0.2%以下、Si:0.001%以上1%以下、Mn:0.1%以上3%以下、Al:0.001%以上0.2%以下、任意添加元素として(i)Cu:2%以下、Ni:4%以下、Cr:2%以下、Mo:2%以下、V:0.2%以下、Nb:0.1%以下又はB:0.004%以下のうち1種又は2種以上、(ii)Ti:0.1%以下、又は(iii)N:0.012%以下、残部Fe及び不純物からなり、不純物としてP:0.03%以下、S:0.03%以下を含むとともに、下記(1)式により規定されるPcmの値が0.23%以下である鋼組成を有し、かつ、ウェブの先端面が圧延ロールによる圧下をされた面取り加工された圧延面であることを特徴とする熱間圧延T形鋼である。
Pcm=C+(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)+5B ・・・・・・・(1)
ただし、(1)式における各元素記号は当該元素の含有量(質量%)を意味する。
この本発明において「圧延ロールによる圧下をされた・・・圧延面」とは、圧延ロールに接して圧下をされたままの表面であることを意味し、通常の圧延工程では酸化被膜である黒皮が残存したままの面を意味する。このため、例えば特許文献4により開示された圧延H形鋼のウェブの先端面は仕上げ圧延において切断されて形成される切断面であるので、本発明における「圧延ロールによる圧下をされた圧延面」との相違は目視によっても容易に識別される。
この本発明に係る熱間圧延T形鋼は、ウェブの高さが350mm以上であるとともにフランジの幅が200mm以下であることが好ましい。従来は、このようなウェブ高さ及びフランジ幅の熱間圧延T形鋼は、工業的にブルームから熱間圧延により直接かつ確実に製造できなかった。以下に示すような製造方法を用いれば、このようなウェブ高さ及びフランジ幅を有する熱間圧延T形鋼も製造することができる。
この本発明に係る熱間圧延T形鋼では、さらに、フランジの先端部が、圧延ままの、半径が2〜6mmの円弧形状部又は2〜6Cの面取り部を有することが望ましい。
この本発明に係る熱間圧延T形鋼は、ウェブがフランジの幅方向の中央に配置された形状である場合のみならず、ウェブがフランジの中央よりフランジの幅方向にずれて配置された形状である場合であっても適用可能である。
より具体的に、本発明の熱間圧延T形鋼は、鋼片に粗圧延を行って造形されたT形鋼の粗形鋼片に、タンデム配列された少なくとも2台のユニバーサル圧延機による往復圧延を行うにあたり、一方のユニバーサル圧延機でこの粗形鋼片のウェブ及びフランジを厚み方向へ圧下し、他方のユニバーサル圧延機でこの粗形鋼片のフランジを幅方向へ圧下すること、又は、フランジの幅方向の圧下とウェブの高さ方向の圧下とを同時に行うことで製造が可能である。
この場合、前記タンデム配列された少なくとも2台のユニバーサル圧延機の間に2重式圧延機を配置することにより、1シリ−ズ中に厚みが異なるサイズが存在する場合には、2重式圧延機の孔型深さを、この異なるサイズに合わせておくことにより、ユニバーサル仕上げ圧延機のロールを交換することなく、厚みが異なる多種のサイズを圧延により作り分けることができる。
また、本発明の熱間圧延T形鋼は、鋼片に粗圧延を行って造形されたT形鋼の粗形鋼片に、少なくとも1台の粗ユニバーサル圧延機とこの粗ユニバーサル圧延機に隣接配置された少なくとも一台の2重式圧延機とによる往復圧延を行って、粗ユニバーサル圧延機により粗形鋼片のウェブの厚み及びフランジの厚みの圧下と粗形鋼片のウェブの高さの調整とを行うとともに、2重式圧延機により粗形鋼片のフランジの幅の圧下とウェブの端部の厚みの圧下とを行う中間圧延を行うことによりT形鋼を造形した後に、仕上げユニバーサル圧延機によりフランジの厚み、ウェブの厚み又はウェブの高さのうち少なくとも一つの寸法調整を行う仕上げ圧延を行うことによっても、製造可能である。
これらの熱間圧延T形鋼の製造方法では、仕上げユニバーサル圧延機の竪ロールに付与された孔型による圧下によりフランジの先端、及び/又はウェブの先端の面取り加工を行うことが望ましい。
これらの熱間圧延T形鋼の製造方法では、中間圧延を終了した後であって仕上げ圧延を開始する前に、中間圧延を行う圧延機の下流に配置された2重式圧延機の水平ロールに設けられたフランジ先端面取り加工用孔型によって、T形鋼のフランジ先端の面取り加工を行うことが望ましい。
これらのように熱間圧延T形鋼の製造方法を行えば、フランジの先端部が、圧延ままの、半径が2〜6mmの円弧形状部又は2〜6Cの面取り部を有する熱間圧延T形鋼を製造することができる。
本発明に係る熱間圧延T形鋼は、大寸法のT形鋼であるにもかかわらず溶接部を有さない。このため、高い強度及び剛性と優れた耐食性とを、いずれも高い次元で兼ね備えている。さらに、一定の組成を有することから高い引張強度及び靭性を有する。このため、特に船体補強部材として極めて優れた性能を有する。
また、本発明に係る熱間圧延T形鋼は、圧延のままで、フランジの先端部に半径が2〜6mmの円弧又は2〜6Cの面取り部を有する横断面形状を備える。このため、熱間圧延終了後に、ウェブの切断工程や、フランジ先端の専用の面取り工程を設ける必要がなく、低コストで製造することができる。
また、本発明に係る熱間圧延T形鋼は、フランジとウェブの接合作業や、フランジとウェブの接合部の手入れ、超音波探傷検査及び補修作業やフランジ端部における面取り作業といった、不安定作業を経ないで製造される。このため、低コスト化を図れるとともに製品品質が安定する。
また、本発明に係る熱間圧延T形鋼は、ユニバーサル圧延機によりH形鋼を圧延した後にウェブを長手方向に切断する工程を廃して製造されるものであるので、ウェブの先端面が圧延ロールによる圧下をされた圧延面であり、特許文献4により開示された圧延H形鋼のように切断面ではないので、H形鋼を切断して製造することに起因した製品寸法についての制約を、取り除くことができる。
(実施の形態1)
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
まず、本発明に係る熱間圧延T形鋼の組成及びパラメータPcmの限定理由を説明する。
C:0.01%以上0.2%以下
Cは、母材及び溶接部の強度を高める作用を有する。しかし、C含有量が0.01%未満ではこのような効果に乏しい。一方、C含有量が0.2%を超えると、母材及び溶接部の靱性の低下、鋳造後のスラブの内部欠陥の発生、T形鋼の超音波欠陥の発生、さらには溶接割れの発生を生じ易くなる。したがって、C含有量は0.01%以上0.2%以下と限定する。同様の観点から、C含有量の下限は0.04%であることが望ましい。上限は0.17%であることが望ましく、0.15%であることがさらに望ましい。
Si:0.001%以上1%以下
Siは、0.001%以上含有することにより脱酸作用、及び母材及び溶接部の強度を確保する作用を奏するが、Si含有量が1%を超えると、溶接割れや靱性低下を生じ易くなる。したがって、Si含有量は0.001%以上1%以下と限定する。同様の観点から、Si含有量の下限は0.01%であることが望ましく、0.1%であることがさらに望ましいとともに、上限は0.6%であることが望ましく、0.4%であることがさらに望ましい。
Mn:0.1%以上3%以下
Mnは、0.1%以上含有することにより母材及び溶接部の強度及び靱性を確保することができるが、Mn含有量が3%を超えると、溶接割れや靱性低下を生じ易くなる。したがって、Mn含有量を0.1%以上3%以下と限定する。同様の観点から、Mn含有量の下限は0.5%であることが望ましく、上限は1.6%であることが望ましい。
Al:0.001%以上0.2%以下
Alは、0.001%以上含有することにより製鋼時の脱酸に有効であるが、Al含有量が0.2%を超えると靱性が低下し易くなる。したがって、Al含有量を0.001%以上0.2%以下と限定する。同様の観点から、Al含有量の下限は0.01%であることが望ましく、上限は0.06%であることが望ましい。
さらに、以下に説明する元素を任意添加元素として含有してもよい。
Cu:2%以下
Cuは、強度を高める作用を有するが、Cu含有量が2%を超えると熱間加工時の表面割れや靱性の劣化を生じ易くなる。したがって、Cuを含有する場合にはその含有量は2%以下とする。同様の観点からCu含有量は0.5%以下とすることが望ましい。一方、強度を高める作用を確実に得るためには、Cu含有量は0.01%以上であることが望ましい。
Ni:4%以下
Niは、強度を高める作用を有するが、Ni含有量が4%を超えると鋳造時に表面疵が発生し易くなる。したがって、Niを含有する場合にはその含有量は4%以下とする。同様の観点から、Ni含有量は0.5%以下とすることが望ましい。一方、強度を高める作用を確実に得るためには、Ni含有量は0.01%以上であることが望ましい。
Cr:2%以下
Crは、強度を高める作用を有するが、Cr含有量が2%を超えると母材と溶接部の靱性の低下が著しくなる。したがって、Crを含有する場合にはその含有量は2%以下とする。同様の観点から、Cr含有量は0.5%以下とすることが好ましい。一方、強度を高める作用を確実に得るためには、Cr含有量は0.01%以上であることが望ましい。
Mo:2%以下
Moは、強度を高める作用を有するが、Mo含有量が2%を超えると母材と溶接部の靱性の低下が著しくなる。したがって、Moを含有する場合にはその含有量は2%以下とする。同様の観点から、Mo含有量は0.5%以下とすることが望ましい。一方、強度を高める作用を確実に得るためには、Mo含有量は0.01%以上であることが望ましい。
V:0.2%以下
Vは、強度を高める作用を有するが、V含有量が0.2%を超えると母材と溶接部の靱性の低下が著しくなる。したがって、Vを含有する場合にはその含有量は0.2%以下とする。同様の観点から、V含有量は0.06%以下とすることが望ましい。一方、強度を高める作用を確実に得るためには、V含有量は0.001%以上であることが望ましい。
Nb:0.1%以下
Nbは、強度を向上させる作用を有するが、Nb含有量が0.1%を超えると強度の向上効果が飽和してコストが嵩むばかりか、溶接部の靱性が著しく低下する。したがって、Nbを含有する場合にはその含有量は0.1%以下とする。同様の観点から、Nb含有量は0.04%以下であることが望ましい。一方、強度を高める作用を確実に得るためには、Nb含有量は0.001%以上であることが望ましい。
B:0.004%以下
Bは、強度を向上させる作用を有するが、B含有量が0.004%を超えると靱性の低下が著しくなる。したがって、Bを含有する場合にはその含有量は0.004%以下とする。同様の観点から、B含有量は0.002%以下であることが望ましい。一方、強度を高める作用を確実に得るためには、B含有量は0.0001%以上であることが望ましい。
Ti:0.1%以下
Tiは、鋳片の表面性状を改善したり、強度を向上させたりするが、Ti含有量が0.1%を超えると、靱性の低下が著しくなる。したがって、Tiを含有する場合にはその含有量は0.1%以下とする。同様の観点から、Ti含有量は0.03%以下であることが望ましい。一方、強度を高める作用を確実に得るためには、Ti含有量は0.001%以上であることが望ましい。
N:0.012%以下
Nは、TiNやBNを形成し、これら窒化物が微細な場合には、高温加熱時のオーステナイト粒の粗大化を抑制し、また、相変態を促進することによって、靱性を高める作用を奏する。しかしながら、N含有量が0.012%を超えると、母材や溶接部の靱性が低下する。したがって、Nを含有する場合にはその含有量は0.012%以下とする。同様の観点から、N含有量は0.009%であることが望ましく、0.005%以下であることがより望ましい。一方、上述した効果を確実に得るためには、N含有量は0.001%以上であることが望ましく、0.002%以上であることがさらに望ましい。
これらの各任意添加元素は、単独で含有してよいし、あるいは2種以上を複合して含有してもよい。
また、上述したこれらの任意添加元素以外の元素、例えば、Ca、Mg、W、REM、Co、Y、Zr、Ce、Nd、Sc、Ge、SnさらにはSb等についても、本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよいことは言うまでもない。
Pcm:0.23%以下
Pcmは下記(1)式で示されるパラメータである。Pcmの値が大きくなりすぎると、鋳造後のスラブの内部欠陥、T形鋼の超音波欠陥、母材靱性の低下や溶接性の低下が生じ易くなるので、Pcmの値は0.23%以下とする。同様の観点から、Pcmの値は0.22%以下であることが望ましい。一方、強度を確実に確保するためには、Pcmの値は0.1%以上であることが望ましく、0.12%以上であることがさらに望ましい。
Pcm=C+(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)+5B ・・・・(1)
これら以外は、Fe及び不純物である。不純物として、P:0.03%以下、S:0.03%以下、O:0.005%以下を含むので、これらの不純物についても説明する。
Pは、不純物として鋼中に不可避的に存在する。Pは、粒界に偏析して靱性の低下をきたし、さらに溶接時に高温割れを生じさせる。したがって、P含有量は0.03%以下とする。さらにP含有量は0.015%以下であることが望ましい。
一方、Sは、不純物として鋼中に不可避的に存在する。Sは、介在物であるMnSを生成し、靱性の低下の原因となる。したがって、S含有量を0.03%以下とする。S含有量は、0.01%以下であることが望ましく、0.005%以下であることがさらに望ましい。
P、S以外の不純物としてO(酸素)がある。O含有量が0.005%を超えると、母材及び溶接部の靱性や延性の低下を招く。したがって、O含有量は0.005%以下とする。同様の観点から、O含有量は0.002%以下とすることが望ましい。
本実施の形態の熱間圧延T形鋼は、このような組成を有する鋼塊又は鋼片を用い、以下に示すような一連の工程により製造することができる。
まず、鋼塊又は鋼片を熱間圧延に際し、加熱する。このとき、鋼片を1000℃以上1350℃以下の温度域に加熱することが好ましい。加熱温度を1000℃以上にすることにより、NbやV等が基地に固溶し易くなるので、最終製品の強度の増大を図ることができる。一方、鋼片の加熱温度の上限を1350℃以下とすることにより、結晶粒の著しい粗大化に伴う靱性の劣化を抑制できる。同様の観点から、鋼片の加熱温度の下限は1200℃とすることがより好ましく、上限は1300℃とすることがより好ましい。特に、鋼塊又は鋼片の中心部の温度を1200℃以上1300℃以下とすることがより好ましい。このようにして鋼塊又は鋼片を加熱した後に圧延を行う。
図1は、本実施の形態によりT形鋼を圧延により製造する工程の一例を模式的に示す説明図である。同図における符号BDはブレイクダウンミル(粗圧延機)を示し、符号URは第1のユニバーサル圧延機である粗ユニバーサル圧延機を示し、符号Eは2重式(2Hi)のエッジャー圧延機を示し、さらに、符号UFは第2のユニバーサル圧延機である仕上げユニバーサル圧延機を示す。また、表1には、船体補強部材用不等辺不等厚山形鋼の寸法の一例をまとめて示す。
Figure 0004900003
以降の説明では、表1に寸法を示す船体補強部材用不等辺不等厚山形鋼のうち呼称550×150(×12/21)を置換することができるT形鋼を製造する場合を例にとる。
550×150×12/21のT形鋼を製造する場合、T形鋼を2つ連結した対称形状のH形鋼、つまり1100×150×12/21のH形鋼を圧延により製造し、このH形鋼のウェブを二分割すれば、圧延作業は極めて容易となる。しかしながら、国内に既存のH形鋼製造用ユニバーサル圧延機により製造可能なH形鋼のウェブ高さの最大値は1000mmである。したがって、上記寸法を有するH形鋼を圧延により製造することはできない。
これに対し、本実施の形態では、図1に示す、一般的なH形鋼のミル配列であるBD−UR/E/UFを有する圧延工程を流用して、550×150×12/21のT形鋼を圧延により直接的に製造する。
本実施の形態によりT形鋼を圧延により直接的に製造する場合に用いる圧延素材である鋼片は、連続鋳造によって製造したビ−ムブランクであってもよいし、あるいはブル−ムであってもよい。
図1における粗圧延機BDでは、この圧延素材に粗圧延を行って左右対称のビームブランクを造形し、引き続いて一方のフランジ部を平坦に圧下することにより、T形鋼の粗形鋼片を造形する。
この場合、被圧延材の左右曲がりを低減するために、例えば、一方のフランジ部に対して幅圧下を行うのに対して他方のフランジ部に対して厚み圧下を行うといったように、孔型及び圧延パススケジュールを工夫して左右のフランジ部の延伸率を近づけることが望ましい。
次に、このようにして粗圧延を行われた粗形鋼片をユニバ−サル圧延機群に移送して中間圧延を行う。
図2は、第1のユニバーサル圧延機である粗ユニバーサル圧延機URにより粗形鋼片である被圧延材Aの圧延を行う状況を示す説明図である。
図2に示すように、上水平ロール6及び下水平ロール7と、左竪ロール8及び右竪ロール9とによって図2に示すT形の孔型を構成する。そして、上水平ロール6及び下水平ロール7により被圧延材AのウェブAwをその厚み方向へ圧下するとともに、左竪ロール8の外周面8aと上水平ロール6の側面6a及び下水平ロール7の側面7aとにより被圧延材AのフランジAfをその厚み方向へ圧下する。これにより、被圧延材AのウェブAw及びフランジAfそれぞれの厚さを低減する。この際、被圧延材Aに生じる左右曲がりを抑制するために、被圧延材Aの各部の延伸率が概ね同じ値となるように圧延することが望ましい。
また、被圧延材AのウェブAw及びフランジAfの厚みの圧下の際には、上水平ロ−ル6及び下水平ロール7それぞれの軸方向への位置ずれを防止するために、フランジAfを圧延しない右竪ロ−ル9の外周面9aが上水平ロ−ル6の側面6a及び下水平ロール7の側面7aに押し付けられるように、竪ロール9を配置することが望ましい。
図3は、図1において、粗ユニバーサル圧延機URと仕上げユニバーサル圧延機UFとの間に配置される2重式(2Hi)のエッジャー圧延機Eにより構成される孔型形状を模式的に示す説明図である。
このエッジャー圧延機Eは、被圧延材Aの造形に使用してもよいし、あるいは使用しなくてもよい。このエッジャー圧延機Eの上ロール6−1及び下ロール7−1にそれぞれ刻設する孔型は、被圧延材Aの通過を容易にするため、図3に示すように、ユニバーサル粗圧延機URにより圧延された被圧延材Aの横断面形状と同じ形状とすることが望ましい。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、テーブルローラの代替として機能させる場合には、孔型を有さないフラットな形状のロールを用いてもよい。
図4は、第2のユニバーサル圧延機である仕上げユニバーサル圧延機UFにより構成される孔型形状を模式的に示す説明図である。
仕上げユニバーサル圧延機UFは、小径部6−2a及び大径部6−2bをロール軸方向へ並べて有する上水平ロール6−2と、小径部7−2a及び大径部7−2bをロール軸方向へ並べて有する下水平ロール7−2と、ロール軸方向の中央に被圧延材Aのフランジ幅よりも小さいロール幅の大径部8−2b及びこの両側にそれぞれ小径部8−2aを有する左竪ロール8−2と、通常のロールからなる右竪ロール9−2とを備える。
仕上げユニバーサル圧延機UFは、上下の水平ロール6−2、7−2の大径部6−2b、7−2bにより被圧延材AのウェブAwを厚み方向に圧下率数%程度の軽圧下又は拘束しながら、上下の水平ロール6−2、7−2の小径部6−2a、7−2aにより被圧延材AのフランジAfを幅方向へ圧下してフランジAfの幅を制御するとともに、左竪ロール8−2の大径部8−2b及び右竪ロール9−2により被圧延材AのウェブAwを高さ方向へ圧下してウェブAwの高さを制御する。このように、本例では、フランジAfの幅方向の圧下とウェブAwの高さ方向の圧下とを同時に行うのである。
この仕上げユニバーサル圧延機UFによる圧下では、フランジAfの幅の圧下と同時にフランジAfの厚みの圧下を行うようにしてもよいが、フランジAfの外面に左竪ロール8−2の大径部8−2bが接する圧延部と接しない非圧延部との境界付近に疵が発生し易くなるので、左竪ロール8−2の大径部8−2bが被圧延材Aの外面に接する程度、又は圧下率数%程度の軽圧下とすることが望ましい。ウェブAwについても同様である。
一方、同一のシリ−ズ内に厚みが異なる2以上のサイズが存在する場合、例えば、550×150×14/25の被圧延材Aの場合には仕上げユニバーサル圧延機UFの水平ロール6−2、7−2の孔型深さ、すなわち{大径部6−2b(7−2b)と小径部6−2a(7−2a)との外径差}/2は550×150×12/21にあわせて設定するので、この水平ロール6−2、7−2により圧延した場合フランジAfの幅は2mm大きくなり、550×152×14/25となってしまう。この場合、仕上げユニバーサル圧延機UFの6−2、7−2を適正な孔型深さを有するものに交換すればよいが、ロール保有数の増加やロール交換時間の増大により製造コストが上昇する。
そこで、このような場合は、エッジャー圧延機Eの水平ロール6−1、6−2の孔型深さを、厚みが異なる550×150×14/25の被圧延材Aに合わせた寸法に設定しておくことにより、仕上げユニバーサル圧延機UFのロールを交換することなく、厚みが異なる2サイズを圧延することができる。つまり、この場合には、粗ユニバーサル圧延機URと仕上げユニバーサル圧延機UFとにより550×152×14/25の近くの寸法まで圧延しておき、次いで、粗ユニバーサル圧延機URとエッジャー圧延機Eとを用いて目標の550×150×14/25の寸法へ仕上げ圧延を行う。
ところで、一般的に、エッジャー圧延機Eはロール長さが2m以上あるので、一組のロールに数種類の孔型を刻設することができる。図5は、本実施の形態で用いることができる、エッジャー圧延機Eの他の形状例を示す説明図である。本実施の形態におけるエッジャー圧延機Eのロール幅は2.5mであるので、図5に示すように、上ロール6−3、下ロール7−3の一方側(紙面左側)から順に、550×150×12/21用孔型kal.1、550×150×14/25用孔型kal.2、550×150×16/28用孔型kal.3が順次刻設される。
そして、550×150×12/21用孔型kal.1を用いた圧延が終了すると、エッジャー圧延機Eを使用して550×150×14/25用孔型kal.2を用いた圧延を行う。次いで、550×150×16/28用孔型kal.3を用いた圧延を行う場合、台車でエッジャー圧延機Eを約700mm移動させ、エッジャー圧延機Eのロール孔型を550×150×16/28用孔型kal.3とし、かつ、粗ユニバーサル圧延機UR及び仕上げユニバーサル圧延機UFそれぞれのパスセンターに一致させればよい。このスタンドの移動は10分間程度で行うことができる。
また、被圧延材AのウェブAwの位置を、フランジAfの中央から幅方向左右にずらして配置させる場合、例えば550×150×12/21の場合にウェブAwの中心位置がフランジAfの先端から75mmであればフランジAfの中央であるが、50mmであればウェブAwは25mm一方にずれる。
このような非対称のT形鋼を圧延する場合は、粗ユニバーサル圧延機URについては対称形の場合と同じでよい。そして、仕上げユニバーサル圧延機UFの上下の水平ロ−ル6−2、7−2の孔型を、図6に例示するように上下方向に所定距離だけずらして配置すればよい。
なお、以上に説明した圧延を行うことにより、被圧延材Aの温度は順次低下するが、このときの圧延終了温度が980℃以下700℃以上の温度域となるように圧延を行うことが好ましい。圧延終了温度が980℃を超えると、所望の衝撃特性を確保することが困難になり易い。また、圧延終了温度が700℃未満であると、鋼の変形抵抗が上昇し、目標の形状に仕上げることが難しくなる。同様の観点から圧延終了温度の上限は880℃であることが望ましい。
熱間圧延終了後には、制御冷却によりT形鋼の強度を増加させることも可能である。制御冷却は、980℃以下650℃以上の温度域から開始することが好ましい。制御冷却の開始温度が980℃を超えると所望の衝撃特性を確保することが困難になり易い。一方、制御冷却の開始温度が650℃よりも低いと所望の強度増加を得ることが困難になり易い。同様の観点から、制御冷却の開始温度の上限は880℃であることが望ましく、下限は700℃であることが望ましい。
制御冷却の開始温度から終了温度までの鋼の平均冷却速度は1℃/秒以上20℃/秒以下であることが望ましい。冷却速度が20℃/秒を超えると、部位による機械的性質のばらつきが大きくなることがあり、一方、冷却速度が1℃/秒を下回ると、所望の強度増加を得ることが困難になることがある。同様の観点から、冷却速度の上限は10℃/秒であることが望ましい。
さらに、制御冷却の停止温度は、750℃以下200℃以上の温度域とすることが望ましい。制御冷却の停止温度が750℃を超えると、所望の強度増加を得ることが困難になる。また、制御冷却の停止温度が200℃よりも低いと、鋼中の水素の大気中への拡散が不十分となってT形鋼の超音波欠陥が生じ易くなる。同様の観点から、制御冷却の停止温度の上限は600℃であることが望ましく、下限は400℃であることが望ましい。
以上説明したように、実施の形態1によれば、第1のユニバーサル圧延機である粗ユニバーサル圧延機URを用いてT形鋼の粗形鋼片のウェブ、及びフランジそれぞれの厚み圧下を行った後に、特定形状(図4に示す形状)の水平ロール及び竪ロールを備える第2のユニバーサル圧延機である仕上げユニバーサル圧延機UFを用いてフランジ幅圧下及びウェブ高さ圧下を行うことによって、ウェブ高さ350mm以上、フランジ幅200mm以下の圧延T形鋼を、熱間圧延により直接的に製造することができる。
また、実施の形態1によれば、熱間圧延T形鋼を直接造形するため、従来のようなユニバーサル圧延機によりH形鋼を圧延した後にウェブを長手方向に切断する工程を省略でき、H形鋼を切断して製造するために制約を受けていた製品寸法も拡大できる。さらに、上述した図11(b)に示すようにフランジの造形が片側だけでよいため、従来のH形鋼の圧延ではフランジを造形していたフランジ部とは反対側の部分にまでウェブを拡大すること、すなわち製造可能な製品ウェブ高さを粗ユニバーサル圧延機及び仕上げユニバーサル圧延機の最大水平ロール幅まで拡大することができ、同一の圧延機を用いて製造可能な製品のウェブ高さを、拡大することができる。
また、実施の形態1により製造される熱間圧延T形鋼は、大寸法のT形鋼であるにもかかわらず溶接部を有さないことから、船体補強部材に要求される高い強度・剛性と優れた耐食性とをともに高い次元で兼ね備えており、船体補強部材として極めて優れた性能を有する。
また、実施の形態1では、第2のユニバーサル圧延機である仕上ユニバーサル圧延機UFあるいはエッジャー圧延機Eを用いてフランジ幅圧下を行う際に、仕上ユニバーサル圧延機の水平ロールを孔型化することにより圧延工程においてフランジの面取り加工ができるので、塗膜の密着性を高めたり、溶接性を向上するために施されていたフランジ専用の面取り加工を省略でき、製造コストを低減できる。
このようにして、本実施の形態によれば、従来の溶接T形鋼に比較して、溶接部の破壊、溶接部の耐食性の低下、さらには製造コストの上昇をいずれも抑制でき、特に船体補強部材として好適な熱間圧延T形鋼を提供することができる。
なお、以上の説明では、第2のユニバーサル圧延機が仕上ユニバーサル圧延機UFである場合を例にとったが、これに限定されるものではなく、例えば、第2のユニバーサル圧延機を粗ユニバーサル圧延機UR2とし、仕上ユニバーサル圧延機UFを下流側に別に設けるようにしてもよい。
(実施の形態2)
次に、本発明に係る熱間圧延T形鋼を好ましいT形鋼の製造方法とともに、添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態では、圧延素材であるブルームに対して粗圧延を行ってT形鋼の粗形鋼片を造形し、この粗形鋼片に対して中間圧延を行ってT形鋼を造形し、さらに仕上げ圧延を行うものであるので、以下、粗圧延、中間圧延及び仕上げ圧延について順次説明する。
なお、ブルームの組成、圧延を行うに際してのブルームの加熱温度、圧延終了温度等については、上述した実施の形態1と同様であるので、以下説明を省略する。
(粗圧延)
図7は、本実施の形態で用いる、既存のH形鋼の圧延工程10を模式的に示す説明図である。
同図に示すように、粗圧延機BDにより、圧延素材である連続鋳造ブル−ム(図示しない。本例では1000×250mm)を、図示しない加熱炉に装入して1250℃まで加熱して均熱する。次に、加熱炉から抽出してから、3個のボックス孔型K−1、K−2、K−3(図示しない)と2個の造形孔型K−4、K−5(図示しない)とが刻設された上下のロールを備える粗圧延機BDを用いて、表2に示すパススケジュ−ルで複数パスの往復圧延による粗圧延を行って、T形鋼(本例では500×150シリーズ)の粗形鋼片11を造形する。
なお、表2のウェブ厚ならびに材料幅は、各パスにおける圧延終了後の材料の冷間寸法(熱間圧延終了後、常温まで冷却した後の寸法)により示す。
Figure 0004900003
この粗圧延では、表2に示すように、圧延素材であるブル−ムは、ボックス孔型K−1により幅方向へ1000mmから575mmまで約425mm圧下される。次いで、圧延パス間で被圧延材を90度転回し、造形孔型(K−4、K−5)による造形圧延ならびにボックス孔型(K−1、K−2、K−3)によるウェブ高さ方向のエッジング圧延を繰り返すことによりT形鋼の粗形鋼片11に造形される。
本実施の形態では、このようにして、粗圧延によりブルームがT形鋼の粗形鋼片11に造形される。
(中間圧延)
このようにして造形されたT形鋼の粗形鋼片11は、粗ユニバーサル圧延機UR及びエッジャー圧延機Eからなる中間圧延機に送られて、中間圧延が行われる。
図8(a)には粗ユニバーサル圧延機URのロール形状を示し、図8(b)にはエッジャー圧延機Eのロール形状を示す。
図8(a)に示すように、粗ユニバーサル圧延機URの上水平ロ−ル12a、下水平ロール12b及び左竪ロ−ル13a、右竪ロール13bのフランジ圧下部の角度θ、及びエッジャ−圧延機Eの上ロール14a、下ロール14bのフランジ内面の角度θは、いずれも0度以上5度以下であることが望ましく、粗ユニバーサル圧延機URのウェブ先端を圧下する竪ロール13bはフラットな形状であることが望ましい。
また、粗ユニバーサル圧延機URにおける上水平ロ−ル12a、下水平ロール12bの側面と粗形鋼片11のウェブの先端を圧下する竪ロ−ル13bとの隙間の距離dは、圧延におけるウェブの高さの広がりとウェブの先端を圧下したときのウェブの先端の座屈防止とを考慮して、5mm以上30mm以下程度とすることが望ましい。
一方、エッジャー圧延機Eのエッジャー深さ(図8(b)におけるフランジ深さ)は、シリーズ中最もウェブ厚が厚いサイズのフランジ深さを基準に設定することが望ましく、500×150シリーズについて500×150×10×20と、500×150×15×25を製造する場合には、500×150×15×25のフランジ深さ67.5mmを基準としてエッジャー圧延機Eのエッジャー深さは、65mmとすることが例示される。
そして、T形鋼の粗形鋼片11に対して、近接して配置される粗ユニバーサル圧延機URとエッジャー圧延機Eとからなる中間圧延機群を少なくとも1組以上用いる往復圧延により、粗ユニバーサル圧延機UFではウェブ及びフランジの厚み圧下とウェブの高さ調整とを行うとともに、エッジャー圧延機Eではフランジの幅とウェブの端部の厚み圧下とを行う中間圧延を行う。
通常、非対称形状の形鋼の圧延時には、断面内の厚み圧下が不均一となり圧延方向の延伸差が生じることにより、圧延機の出側で曲がりを生じる。しかし、本例では、T形鋼の粗形鋼片11の圧延に粗ユニバーサル圧延機URを用いるので、ウェブの厚みの圧下率と、フランジの厚み圧下率とを、上下の水平ロール12a、12bの開度及び左右の竪ロール13a、13bの開度を、各部の圧延方向の延伸率が略等しくなる値にそれぞれ独自に設定することができる。これにより、被圧延材である粗形鋼片11の曲がりを防止することができる。
さらに、エッジャー圧延機Eの上下のロール14a,14bや後述する仕上げユニバーサル圧延機UFの左右の竪ロール16a、16bに孔型を付与することにより、中間圧延工程及び仕上げ圧延工程において、フランジの先端及びウェブの先端に圧延時に面取り加工を施すことができる。つまり、図9(a)に示すように、エッジャー圧延機Eの上下のロール14a、14bのフランジ先端圧下部分に面取り加工用の孔型17a、17bを付与すること、又は、図9(b)に示すように、仕上げユニバーサル圧延機UFの左右の竪ロール16a、16bのロール胴長方向の略中央部に面取り加工用の孔型18a、18bを付与することにより、中間圧延又は仕上げ圧延の際にフランジ先端及びウェブ先端の面取り加工を行うことができる。
本実施の形態では、このようにして、中間圧延により粗形鋼片からT形鋼を直接熱間圧延による造形する。
(仕上げ圧延)
図7、さらには仕上げユニバーサル圧延機UFのロ−ル形状を示す図8(c)及び図9(b)に示すように、中間圧延を終えて造形されたT形鋼に、望ましくは、ロール幅が変更可能な上下の水平ロール15a、15bを有する仕上げユニバーサル圧延機UFを用いて、フランジの厚み、ウェブの厚み又はウェブの高さのうち少なくとも一つの寸法調整を行って、フランジの成形及びウェブの高さの仕上げを行う。
仕上げユニバーサル圧延機UFの上下の水平ロール15a、15bに、ロール幅が変更可能なロールを使用することが望ましいのは、圧延する製品のフランジ厚に応じてロール幅を変更して圧延することが可能になるからである。
仕上げユニバーサル圧延機UFの上下の水平ロ−ル15a、15b及び左右の竪ロ−ル16a、16bの角度は、0〜0.3度であることが望ましく、粗ユニバーサル圧延機UR及び仕上げユニバーサル圧延機UFの各ロ−ル12a、12b、13a、13b、15a、15b、16a、16bに摩耗が少ない材質を選択することにより、上下の水平ロ−ル15a、15b及び左右の竪ロ−ル16a、16bの傾斜角度をいずれも0度に設定することが望ましい。
ロール幅が変更可能な水平ロール15a、15bを有する仕上げユニバーサル圧延機UFを用いてフランジ成形及びウェブ高さの寸法の仕上げを行うことにより、フランジ厚みに関係なくウェブ高さが一定である圧延T形鋼19を製造する際に、ウェブの先端部の板厚及び直角度に関する寸法精度を向上させることができる。
仕上げユニバーサル圧延機UFの上下の水平ロール15a、15bの幅を製品のウェブ高さに対する基準幅よりも広く設定すると、ウェブの先端が右竪ロール16bにより圧下されないために圧延方向について製品のウェブ高さの寸法がばらつく。一方、上下の水平ロール15a、15bの幅を製品のウェブ高さに対する基準幅よりも狭く設定すると、ウェブの先端の水平ロールにより圧下されない部分に板厚の増加が発生する。これに対し、上下の水平ロール15a、15bの幅を製品のウェブ高さに対する基準幅に設定すれば、ウェブの先端は上下の水平ロール15a、15b及び左右の竪ロール16a、16bにより圧下されており、目標の製品寸法が得られる。
本実施の形態では、エッジャー圧延機Eの上下のロール14a、14bに孔型17a、17bを付与してフランジの先端の面取り加工を行うこととしたが、孔型17a、17bを付与することにより粗ユニバーサル圧延機URでの往復圧延時のフランジの内面側の先端部の圧下が少なくなり、表面に線状の肌荒れが発生し易くなる。そこで、図8(b)に示すような通常のロールを有するエッジャー圧延機Eの後段にフランジ先端面取り加工専用のエッジャーミルE’(図示しない)をもう一基配置しておき、粗ユニバーサル圧延機URでの往復圧延を終了した後に、エッジャーミルE’によりフランジの先端の面取り加工を行うことにより、線状の肌荒れもなく良好な面取り加工を施すことができる。
さらに別の方法として、仕上げユニバーサル圧延機UFの左右の竪ロール16a、16bに孔型18a、18bを設けてフランジの先端及びウェブ先端の面取り加工を行うことにより、線状の肌荒れもなく良好な面取り加工を施すことができる。
このようにして、本実施の形態によれば、T形鋼の粗形鋼片11に対して、第1のユニバーサル圧延機である粗ユニバーサル圧延機URを用いる複数パスの中間圧延を行ってT形鋼を造形し、さらに第2のユニバーサル圧延機である仕上げユニバーサル圧延機UFを用いる軽圧下の仕上げ圧延を行う。このため、所望の寸法の熱間圧延T形鋼19を、ブルームから熱間圧延により直接的に製造することができる。
また、本実施の形態によれば、熱間圧延T形鋼19を直接造形するため、従来のようなユニバーサル圧延機によりH形鋼を圧延した後にウェブを長手方向に切断する工程を省略でき、H形鋼を切断して製造するために制約を受けていた製品寸法も拡大できる。さらに、上述した図11(b)に示すようにフランジの造形が片側だけでよいため、従来のH形鋼の圧延ではフランジを造形していたフランジ部とは反対側の部分にまでウェブを拡大すること、すなわち製造可能な製品ウェブ高さを粗ユニバーサル圧延機及び仕上げユニバーサル圧延機の最大水平ロール幅まで拡大することができ、同一の圧延機を用いて製造可能な製品のウェブ高さを、拡大することができる。
また、本実施の形態によれば、この本発明に係る熱間圧延T形鋼は、大寸法のT形鋼であるにもかかわらず溶接部を有さない。このため、船体補強部材と要求される高い強度・剛性と優れた耐食性とをともに高い次元で兼ね備えており、船体補強部材として極めて優れた性能を有する。
また、本実施の形態により、エッジャロール及び仕上げユニバーサル圧延機の竪ロールに孔型を付与することにより圧延工程においてフランジ及びウェブ先端の面取り加工ができる。このため、塗装のノリをよくしたり、溶接性をよくするために施されていたフランジ及びウェブ先端の専用の面取り加工を省略でき、製造コストを低減できる。
さらに、本実施の形態により、ロール幅が変更可能な水平ロールを有する仕上げユニバーサル圧延機を用いてフランジ成形及びウェブ高さ寸法の調整を行う。このため、フランジ厚に関係なくウェブ高さの寸法精度を確保することができる。
このようにして、本実施の形態によれば、従来の溶接T形鋼に比較して、溶接部の破壊、溶接部の耐食性の低下、さらには製造コストの上昇をいずれも抑制でき、特に船体補強部材用熱間圧延T形鋼を提供することができる。
なお、以上の説明では粗ユニバーサル圧延機UR及びエッジャー圧延機E各々1基からなる中間圧延工程を例にとったが、粗ユニバーサル圧延機UR及びエッジャー圧延機E各々1基からなる中間圧延機群を複数設けるようにしてもよい。
さらに、本発明を実施例とともに詳細に説明する。本発明の熱間圧延T形鋼は、その配列がBD−UR/E/UFであるミル配列を用いて製造した。対象となる製品サイズ(550×150×12/21と550×150×14/25のT形鋼)について説明する。
表3には、熱間圧延T形鋼の製造に用いた、連続鋳造によって製造されたブル−ム(800×250mm)の組成を示す。表3に示す組成を有するブルームを加熱炉で1250℃まで加熱及び均熱する。そして、加熱炉から抽出した後に粗圧延に供する。
Figure 0004900003
粗圧延機BDは1個のボックス孔型K−1(図示しない)と3個の造形孔型K−2,3,4(図示しない)を有する。粗圧延機BDにおけるパススケジュールを表4に示す。素材のブルームは、ボックス孔型K−1で幅方向に800mmから640mmまで約160mm圧下される。なお、表4のウェブ厚さならびに材料幅は、各パスにおける圧延終了後の材料の冷間寸法(熱間圧延終了後、常温まで冷却した後の寸法)により示す。
Figure 0004900003
次いで材料は90度回転され、造形孔型K−2でビームブランクに造形され、造形孔型K−3,4で一方のフランジ部が圧下され、T形鋼の粗形鋼片が造形される。
次いで、圧延材はUR/E/UFタンデム圧延機群に移送される。
第1のユニバーサル圧延機である粗ユニバーサル圧延機URのロール形状は図2に示す通りであり、上下の水平ロール6、7、左右の竪ロール8、9のフランジ相当部の角度は0度とした。
一方、図3に示すように、エッジャー圧延機Eの上下のロール6−1、7−1により構成されるロール孔型は、550×150×14/25用の孔型である。さらに、第2のユニバーサル圧延機である仕上げユニバーサル圧延機UFのロール形状は図4に示す通りであり、上下の水平ロール6−2、7−2、左右の竪ロール8−2、9−2の角度は0度とした。
最終前パスにおける仕上げユニバーサル圧延機UFの水平ロール6−2、7−2の側面とウェブ幅を圧下する竪ロール9−2との間隔は、圧延におけるウェブ幅の広がりを考慮して適宜調整した。
9パスの往復圧延を行い、その後冷却することにより、目的とする550×150×12/21のT形鋼を製造することができる。そのときのユニバーサル圧延機群UR,UFのパススケジュールを表5に示す。また、仕上圧延温度およびその後の冷却方法を表6に示す。ここで、形鋼No.7、8のみ加速冷却で冷却を行った。このときのフランジの幅方向1/4の冷却速度を表7に示す。表7で、700/600℃の欄は700℃から600℃までの平均冷却速度を示し、700/500℃の欄は700℃から500℃までの平均冷却速度を示す。
なお、表5におけるウェブ厚さ、フランジ厚さ、フランジ幅ならびにウェブ高さは、各々図10に示すT形鋼のtw、th、B、Hに相当する寸法を表し、各パスにおける圧延終了後のT形鋼の冷間寸法(熱間圧延終了後、常温まで冷却した後の寸法)により示す。
Figure 0004900003
Figure 0004900003
Figure 0004900003
また、550×150×14/25のT形鋼についても圧延して製造した。最終前の8パス目においてエッジャー圧延機Eでフランジ幅を2mm圧下する。そして、9パス目の粗ユニバーサル圧延機URで、目標の550×150×14/25に圧延する。そのときのユニバーサル圧延機群UR、UF及びエッジャー圧延機Eのパススケジュールを表8に示す。
また、仕上圧延温度およびその後の冷却方法を表6(形鋼No.偶数番)に示す。ここで、形鋼No.8のみ加速冷却で冷却を行った。このときの冷却速度は表7に示すとおりである。以上示した以外についての製造条件等は、上述の550×150×12/21のT形鋼と同じである。
Figure 0004900003
なお、以上の実施例の説明では、550×150シリーズのT形鋼の圧延について例示したが、ウェブ高さが550mmを除く350mm以上のT形鋼、あるいはフランジ幅が100mmや200mmのT形鋼についても本実施例の製造方法を同様に適用できる。
以上のようにして作成した鋼板の強度や靱性を調査するため、製造したT形鋼のフランジの幅方向1/4の厚さ1/2の部位から圧延方向(鋼板の長さ方向)と平行に、丸棒引張試験片(平行部の直径が8.5mm、平行部の長さが50mm)を採取し、引張試験を実施した。
引張試験は室温で行い、降伏強度(YS。ただし、0.2%耐力)、引張強さ(TS)、伸び(El。ただし、全伸び)を測定した。
また、同部位より圧延方向と平行にJIS Z 2242(2005)に記載のVノッチ試験片を採取してシャルピー衝撃試験を行い、延性−脆性破面遷移温度(vTs)と0℃、−40℃での吸収エネルギー(vE0、vE−40)を測定した。
表9に、上記の各試験結果を示す。
Figure 0004900003
表9において、化学組成が本発明で規定する条件を満たす本発明例の形鋼No.1〜34の形鋼は、所望の引張特性を有していることに加えて、vTsが−40℃以下という良好な靱性を有している。
これに対して、比較例の形鋼No.35、36の形鋼は、靱性に劣っている。
第1の実施の形態によりT形鋼を圧延により製造する工程の一例を模式的に示す説明図である。 粗ユニバーサル圧延機により粗形鋼片である被圧延材の圧延を行う状況を示す説明図である。 2重式のエッジャー圧延機より構成される孔型形状を模式的に示す説明図である。 仕上げユニバーサル圧延機により構成される孔型形状を模式的に示す説明図である。 実施の形態1で用いることができるエッジャー圧延機の他の形状例を示す説明図である。 水平ロ−ルを上下方向にずらして配置した仕上げユニバーサル圧延機により構成される孔型形状を模式的に示す説明図である。 実施の形態2で用いる、既存のH形鋼の圧延工程10を模式的に示す説明図である。 図8(a)は、粗ユニバーサル圧延機のロール形状を示す説明図であり、図8(b)は、エッジャー圧延機のロール形状を示す説明図であり、さらに、図8(c)は、仕上げユニバーサル圧延機のロ−ル形状を示す説明図である。 図9(a)は、エッジャー圧延機のロールのフランジ先端圧下部分に設けられた面取り加工用の孔型を示す説明図であり、図9(b)は、仕上げユニバーサル圧延機の竪ロールのロール胴長方向の略中央部に設けられた面取り加工用の孔型を示す説明図である。 T形鋼(フランジ幅B、ウェブ高さH、フランジ厚みt及びウェブ厚みt)の横断面形状を示す説明図である。 図11(a)は、特許文献2、3により開示された発明により製造可能な圧延H形鋼のうちでウェブ高さが最大な圧延H形鋼の横断面形状を示す説明図であり、図11(b)は、ウェブ高さが500mm以上である大寸法の船体補強部材用T形鋼の一例の横断面形状を示す説明図である。
符号の説明
1 T形鋼
1−1 圧延T形鋼
1−2 船体補強部材用T形鋼
2 圧延H形鋼
3 ウェブ
4 幅可変の水平ロール
5 竪ロール
6 上水平ロール
6a 側面
6−1 上ロール
6−2 上水平ロール
6−2a 小径部
6−2b 大径部
6−3 上ロール
7 下水平ロール
7a 側面
7−1 下ロール
7−2 下水平ロール
7−2a 小径部
7−2b 大径部
7−3 下ロール
8 左竪ロール
8−2 左竪ロール
8−2a 小径部
8−2b 大径部
9 右竪ロール
9a 外周面
9−2 右竪ロール
10 実施の形態2で用いる既存のH形鋼の圧延工程
11 T形鋼の粗形鋼片
12a 上水平ロ−ル
12b 下水平ロ−ル
13a 左竪ロ−ル
13b 右竪ロ−ル
14a 上ロール
14b 下ロール
15a 上水平ロ−ル
15b 下水平ロ−ル
16a 左竪ロール
16b 右竪ロール
17a、17b 面取り加工用の孔型
18a、18b 面取り加工用の孔型
19 圧延T形鋼
A 圧延材
Af フランジ
Aw ウェブ
BD 粗圧延機(ブレイクダウンミル)
UR 粗ユニバーサル圧延機
E エッジャー圧延機
UF 仕上げユニバーサル圧延機
kal.1〜kal.3 孔型

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:0.001〜1%、Mn:0.1〜3%、Al:0.001〜0.2%、残部Fe及び不純物からなり、不純物としてP:0.03%以下、S:0.03%以下を含むとともに、下記(1)式により規定されるPcmの値が0.23%以下である鋼組成を有し、かつ、ウェブの先端面が圧延ロールによる圧下をされた面取り加工された圧延面であることを特徴とする熱間圧延T形鋼。
    Pcm=C+(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)+5B ・・・・・・・(1)
    ただし、(1)式における各元素記号は当該元素の含有量(質量%)を意味する。
  2. さらに、質量%で、Cu:2%以下、Ni:4%以下、Cr:2%以下、Mo:2%以下、V:0.2%以下、Nb:0.1%以下又はB:0.004%以下のうち1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載された熱間圧延T形鋼。
  3. さらに、質量%で、Ti:0.1%以下を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された熱間圧延T形鋼。
  4. さらに、質量%で、N:0.012%以下を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された熱間圧延T形鋼。
  5. 前記ウェブの高さが350mm以上であるとともにフランジの幅が200mm以下である、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載された熱間圧延T形鋼。
  6. 前記フランジの先端部が、圧延ままの、半径が2〜6mmの円弧形状部又は2〜6Cの面取り部を有する請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された熱間圧延T形鋼。
  7. 前記ウェブが前記フランジの中央より該フランジの幅方向にずれて配置される請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された熱間圧延T形鋼。
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