JP5532832B2 - 熱間圧延t形鋼およびその製造方法 - Google Patents

熱間圧延t形鋼およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、各種船舶(例えば、石炭船、鉱石船、鉱炭兼用船、原油タンカー、LPG船、LNG船、ケミカルタンカー、コンテナ船、ばら積み船、木材専用船、チップ専用船、冷凍運搬船、自動車専用船、重量物船、RORO船、石灰石専用船、セメント専用船など)の構造材、特にロンジ材(縦通材)に好適な熱間圧延T形鋼であって、強度レンジがYP355MPa級以上、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーが34J以上の熱間圧延T形鋼とその製造方法に関するものである。
船体構造の補強用形鋼として、古くは球平形鋼が用いられていたが、船体の大型化により断面性能の向上と使用鋼材の重量低減とを目的として、不等辺不等厚山形鋼(以下、NABという)が用いられることが多くなってきた。しかし、NABは左右非対称の断面形状であるため、船体を補強する場合に断面性能に方向性を有し、船体外部から水圧などの力を受けると断面内でねじり力が発生する。そのため、構造上要求される性能から、非対称であるがために発生する上記ねじり力に耐え得る断面性能の形鋼を使用しなければならず、より断面積の大きい寸法のものを使用することにより、船体重量が増加するというデメリットをもたらす場合がある。
さらに、近年新造される原油タンカーでは、改正された海洋汚染防止条約により、(a)船底と船側の構造を二重にして座礁や衝突等により船体が破れても原油が流出し難いように構成する二重船殻(ダブルハル)構造、(b)原油タンクを上下の二層に分けて船側だけを二重構造にするとともに、上下のタンクを分ける中間デッキを喫水線より下に配置することにより、下側のタンクの原油の圧力が常に周囲の水圧よりも低く保たれるようにし、座礁等により船底に穴が開いても下側のタンクの原油が浸入する海水の圧力で上に押し上げられてタンク内に閉じ込められるようにしたミッドデッキ構造、のいずれかを採用することが義務づけられている。特に二重船殻内は、積荷がない時に海水を注入して船舶の安定航行を可能とするバラストウォータータンクとして使用される。このため、船底や船壁に配置されるロンジ材は、海水に直接的に浸漬されるので、十分な耐食性を備えるようにするための防錆塗装が施され、この塗膜の密着性を確保することが要求される。
近年では、T形の断面形状で、ウェブを中心として線対称な横断面形状を有するTロンジ材が船体補強用部材として用いられるようになってきた。このTロンジ材としては、厚板を切断し、溶接組立したものが広く使用されており、このようなTロンジ材(以下、「溶接Tロンジ材」という場合がある)はウェブとフランジの接合部に溶接部を有する。この溶接部上に塗装を行った場合、溶接ビードが凹凸を有する形状であるため、塗膜厚みが不均一となり、溶接ままの表面凹凸部分やエッジ部分が選択的に腐食される原因となり、船体構造部材の腐食劣化という重大な問題が発生する。このような不健全な塗膜の形成を防ぐため、溶接Tロンジ材については、溶接ビード部表面が滑らかになるようにグラインダー等を用いた補修が行われ、その後に塗装が行われる。このような塗装前の溶接ビード部の補修は、形鋼の長手方向の全長にわたって補修が必要な部位を検査した上で、人手をかけてグラインダー等で手入れをするため、補修に時間がかかるとともに、人件費の増加によるコスト上昇を招いていた。
一方、このような溶接Tロンジ材に対して、熱間圧延で得られる形鋼をTロンジ材に利用することが行われており、このTロンジ材の場合は、溶接Tロンジ材のような溶接組立がないため、上述したような溶接部の塗装による問題は生じない。
特許文献1には、熱間圧延でH形鋼に成形した後に、ウェブ部を半裁(2分割)して製造されるT形鋼をTロンジ材として使用することが示されている。この方法では、切断後のロンジ材に曲がりが生じやすいため矯正に時間がかかり、このため製造能率が低く、T形鋼の製造コストが高いという問題がある。
また、特許文献2,3には、熱間圧延して得られたT形鋼(以下、「圧延T形鋼」という場合がある)そのものをTロンジ材として使用することが示されている。しかし、これらの文献はTロンジ材用の圧延T形鋼の形状や製造方法を開示しているだけであり、強度・靭性に優れた圧延T形鋼が得られるとは限らない。
さらに、特許文献4には、Tロンジ材に適した圧延T形鋼として、C:0.01〜0.2mass%、Si:0.001〜1mass%、Mn:0.1〜3mass%、Al:0.001〜0.2mass%、残部Fe及び不純物からなり、不純物としてP:0.03mass%以下、S:0.03mass%以下を含むとともに、下記(1)式により規定されるPcmの値が0.23mass%以下である鋼組成を有し、且つウェブの先端が圧延ロールによる圧下をされた圧延面であることを特徴とする熱間圧延T形鋼が開示されている。
Pcm=C+(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)+5B …(1)
しかしながら、Pcmは溶接低温割れの対策の判断に用いられる指標であり、Pcmが0.23mass%以下であっても、必ずしも強度や靭性などの機械的性質が良好なT形鋼が得られるとは限らない。
特開2002−301501号公報 特開平11−342401号公報 特開2007−331027号公報 特開2008−254063号公報
船舶に用いられる厚鋼板は、使用鋼材量の低減化によるコスト削減および安全性確保の観点から、高強度化が進められており、降伏応力YPが355MPa以上で、且つ好ましくは引張強さTSが490MPa以上の高強度材が使用されるようになってきている。一方、船舶のロンジ材等に使用される鋼材、なかでも、T形鋼などの熱間圧延形鋼は、同じ船舶に用いられる厚鋼板などと比較して断面形状・寸法が複雑であるため、材質造り込みの方法として、厚鋼板と同様の制御圧延・加速冷却プロセス(TMCP)を採用することは困難である。特に、圧延途中での曲がりや反りに配慮しながら、材質の造り込みを行う必要があるため、降伏応力YPが355MPa以上の高強度形鋼とするためには、形鋼独自の製造技術を検討する必要がある。
したがって本発明の目的は、ロンジ材などの船体構造材に好適なT形鋼であって、引張特性と靭性に優れ且つ安価に製造することが可能な降伏応力YPが355MPa級以上の熱間圧延T形鋼を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そのような熱間圧延T形鋼を安定的に製造することができる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、成分組成と金属組織を種々変化させた熱間圧延T形鋼を製造し、降伏応力YPが355MPa以上で且つ靭性に優れた高強度熱間圧延T形鋼を得るために研究を重ねた結果、特定の成分組成を有し且つフェライトとベイナイトの2相組織を有することが有効であることを見出した。また、このような高強度熱間圧延T形鋼を安定的に得るには、熱間圧延の仕上温度を最適化すること、熱間圧延後直ちに特定の温度領域を加速冷却すること、さらには、熱間圧延の中間段階においてフランジ相当部分を水冷却するなどして、フランジ部相当部分とウェブ相当部分との温度差を極力小さくすることが有効であることを見出した。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]C:0.03〜0.20mass%、Si:0.05〜0.50mass%、Mn:0.1〜2.0mass%、P:0.020mass%以下、S:0.01mass%以下、Al:0.005〜0.07mass%、N:0.001〜0.008mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、且つフェライトとベイナイトの合計の面積分率が90%以上の金属組織を有し、降伏応力YPが355MPa以上、冷間矯正後の衝撃特性として−40℃でのシャルピー吸収エネルギーが34J以上であることを特徴とする熱間圧延T形鋼。
[2]上記[1]の熱間圧延T形鋼において、さらに、Cr:0.20mass%未満、Cu:0.5mass%以下、Ni:0.25mass%以下、Mo:0.5mass%以下、Co:1.0mass%以下の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする熱間圧延T形鋼。
[3]上記[1]または[2]の熱間圧延T形鋼において、さらに、W:0.5mass%以下、Nb:0.1mass%以下、Ti:0.1mass%以下、Zr:0.1mass%以下、V:0.2mass%以下の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする熱間圧延T形鋼。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの熱間圧延T形鋼において、さらに、B:0.003mass%以下を含有することを特徴とする熱間圧延T形鋼。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの熱間圧延T形鋼において、さらに、Ca:0.01mass%以下、REM:0.015mass%以下、Y:0.1mass%以下の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする熱間圧延T形鋼。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の成分組成を有する鋼素材を熱間圧延した後、冷間矯正して上記[1]〜[5]のいずれかに記載のT形鋼を製造する方法であって、
鋼素材を1100〜1350℃に加熱して熱間圧延を行い、該熱間圧延では、圧延仕上温度を700℃以上、最終圧延直後のフランジ相当部分とウェブ相当部分との温度差を50℃以内とし、熱間圧延終了後、直ちに、1.0℃/sec以上の平均冷却速度で650℃〜500℃の温度域まで加速冷却することを特徴とする熱間圧延T形鋼の製造方法。
本発明の熱間圧延T形鋼は、降伏応力YPが355MPa以上で且つ靭性に優れ、しかも、厚板鋼板を溶接して製造されるT形鋼や、H形鋼などの形鋼のウェブを切断して製造されるT形鋼に比べて、安価に製造することができる。このため、特にロンジ材などの船体構造材として好適なT形鋼である。
また、本発明の製造方法によれば、そのような熱間圧延T形鋼を安定的に製造することができる。
まず、本発明の熱間圧延T形鋼の成分組成について説明する。
・C:0.03〜0.20mass%
Cは、鋼の強度を高めるのに有効な元素であり、本発明では所望の強度を得るために0.03mass%以上含有させる必要がある。一方、0.20mass%を超える添加は、溶接熱影響部(HAZ)の靭性を低下させる。このためC含有量は0.03〜0.20mass%とする。なお、後述する加工フェライトによって強度と靭性を両立させる観点からは、C含有量は0.05〜0.17mass%が好ましい。
・Si:0.05〜0.50mass%
Siは、脱酸剤として、また、鋼の強度を高めるために添加される元素であり、本発明では0.05mass%以上添加する。しかし、0.50mass%を超える添加は、鋼の靭性を低下させるので、Si含有量の上限は0.50mass%とする。
・Mn:0.1〜2.0mass%
Mnは、熱間脆性を防止し、鋼の強度を高める効果がある元素であり、0.1mass%以上添加する。しかし、2.0mass%を超える添加は、鋼の靱性および溶接性を低下させるため、Mn含有量の上限は2.0mass%とする。好ましいMn含有量は0.5〜1.6mass%である。
・P:0.020mass%以下
Pは、鋼の母材靭性、溶接性および溶接部靭性を低下させる有害な元素であり、できるかぎり低減するのが好ましい。特に、P含有量が0.020mass%を超えると、母材靭性および溶接部靭性の低下が大きくなる。よって、P含有量は0.020mass%以下とする。好ましいP含有量は0.014mass%以下である。
・S:0.01mass%以下
Sは、鋼の靭性および溶接性を低下させる有害な元素であるので、できるかぎり低減することが好ましく、本発明では0.01mass%以下とする。
・Al:0.005〜0.07mass%
Alは、脱酸剤として添加される元素であり、0.005mass%以上添加する必要がある。しかし、0.07mass%を超えて添加すると、粗大な酸化物系介在物が鋼中に存在するようになるため、靭性が却って低下するので、Al含有量の上限は0.07mass%とする。
・N:0.001〜0.008mass%
Nは、鋼の靭性に対して有害な成分である。したがって、靭性の向上を図るためには、Nはできるだけ低減することが望ましく、0.008mass%以下とする。しかし、工業的には、Nを0.001mass%未満に低減するのは難しい。よって、N含有量は0.001〜0.008mass%とする。
本発明の熱間圧延T形鋼は、上記成分組成に加えて、さらに下記A〜D群の中から選ばれる少なくとも1つの群の元素を含有することができる。
・A群;Cr:0.20mass%未満、Cu:0.5mass%以下、Ni:0.25mass%以下、Mo:0.5mass%以下、Co:1.0mass%以下の中から選ばれる1種または2種以上
Crは、鋼の強度を高めるのに有効な元素であり、必要に応じて添加することができる。しかし、0.20mass%以上添加すると、溶接部靭性を低下させるので、Crを添加する場合には、上記値を上限として添加する。一方、上記の効果を得るためには、0.01mass%以上添加することが好ましい。より好ましいCr含有量は0.02〜0.15mass%である。
Cu、Ni、MoおよびCoは、いずれも鋼の強度を高める元素であり、必要とする強度に応じて選択して添加することができる。しかし、Cu、Moは0.5mass%、Niは0.25mass%、Coは1.0mass%をそれぞれ超えて添加すると、却って靭性が低下するため、Cu、Ni、Mo、Coを添加する場合には、上記値を上限として添加する。一方、上記のような効果を得るためには、Cu、Niは0.005mass%以上、Mo、Coは0.01mass%以上添加することが好ましい。
・B群;W:0.5mass%以下、Nb:0.1mass%以下、Ti:0.1mass%以下、Zr:0.1mass%以下、V:0.2mass%以下の中から選ばれる1種または2種以上
W、Nb、Ti、ZrおよびVは、いずれも鋼の強度を高める元素であり、必要とする強度に応じて選択して添加することができる。しかし、Wは0.5mass%、Nb、Ti、Zrは0.1mass%、Vは0.2mass%をそれぞれ超えて添加すると、却って靭性が低下するため、W、Nb、Ti、Zr、Vを添加する場合には、上記値を上限として添加する。一方、上記のような効果を得るためには、W、Nb、Ti、Zrは、それぞれ0.001mass%以上、Vは0.002mass%以上添加することが好ましい。
・C群;B:0.003mass%以下
Bは、鋼の強度を高める元素であり、必要に応じて添加することができる。しかし、0.003mass%を超えて添加すると、靭性が却って低下するので、Bを添加する場合には、上記値を上限として添加する。一方、上記のような効果を得るためには、0.0002mass%以上添加するのが好ましい。
・D群;Ca:0.01mass%以下、REM:0.015mass%以下、Y:0.1mass%以下の中から選ばれる1種または2種以上
Ca、REMおよびYは、いずれも溶接熱影響部の靭性向上に効果のある元素であり、必要に応じて選択して添加することができる。しかし、Ca:0.01mass%、REM:0.015mass%、Y:0.1mass%をそれぞれ超えて添加すると、却って靭性の低下を招くので、Ca、REM、Yを添加する場合には、上記値を上限として添加する。一方、上記のような効果を得るためには、Caは0.0002mass%以上、REMは0.0002mass%以上、Yは0.0001mass%以上添加するのが好ましい。
本発明の熱間圧延T形鋼の上記以外の成分は、Feおよび不可避的不純物である。但し、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、上記以外の成分を含有することを妨げない。
次に、本発明の熱間圧延T形鋼の金属組織について説明する。
本発明の熱間圧延T形鋼の金属組織は、実質的にフェライトとベイナイトとからなる2相組織である。
船体構造用の熱間圧延T形鋼の場合は、ウェブとフランジの厚さが異なるために、必然的に圧延時や冷却時に温度の不均一が発生する。特に、制御冷却(加速冷却)を適用した強度調整は、残留応力が不均一となり、冷却床にてねじれや曲がり、反りを誘発し、寸法精度の低下を招く。これを、圧延後の冷間矯正工程で所望の寸法精度に冷間矯正するが、ねじれや曲がり、反りの大きなT形鋼の場合には、矯正量が大きくなり、ウェブの靭性の低下を招くとともに、矯正負荷が増大するため、生産性を低下させる。
したがって、熱間圧延T形鋼においては、降伏応力YP:355MPa以上且つ引張強さTS:490MPa以上の高強度で高靭性を達成するためには、圧延中にウェブとフランジの温度差の極小化を図り、冷却床におけるウェブとフランジの厚肉差に伴うねじれ、反り、曲がりを軽減し、冷間矯正における靭性低下と矯正負荷の軽減を図る必要がある。そこで、本発明においては、熱間圧延T形鋼の高強度化手段として、フェライト+ベイナイト組織を主体とするミクロ組織、すなわちフェライトとベイナイトの合計の面積分率が90%以上の金属組織とすることとした。しかし、厚鋼板に適用する単純なTMCPでは、圧延T形鋼においては前述したような曲がりや反りなどの形状や寸法不良をきたすので、圧延中のウェブとフランジの温度差を考慮しながら、圧延後の組織制御を行うための冷却を行う必要がある。なお、冷却条件により、フェライト+ベイナイト組織以外の金属相として、パーライト等が存在する場合があるが、その面積分率が10%未満であれば、大きな問題はない。このため本発明では、フェライトとベイナイトの合計の面積分率を90%以上とする。
また、ベイナイトの面積分率は、10%未満では高強度化の寄与が小さく、逆に70%を超えると延性が低下することから、10〜70%の範囲とすることが好ましい。
本発明が規定する金属組織は、T形鋼のフランジから組織観察用の試料を採取し、光学顕微鏡で観察して同定する。金属相の面積分率の求め方は、後述する実施例に記載のとおりである。
本発明の熱間圧延T形鋼は、船舶用のロンジ材として低温環境で使用される場合などの脆性破壊防止のために、−40℃でのシャルピー吸収エネルギーを34J以上とする。
本発明の熱間圧延T形鋼は、船体構造用として、なかでもTロンジ材として最適なものであるが、橋梁、建築等の分野において構造材等として使用することもできる。
次に、本発明の熱間圧延T形鋼の好ましい製造方法について説明する。
上述した成分組成を有する鋼を常法に従い溶製し、鋳造することでスラブやブルームなどの鋼素材を得る。この鋼素材を加熱炉で加熱した後、熱間圧延してT形鋼とするが、この際の鋼素材の加熱温度は1100〜1350℃とする。加熱温度が1100℃未満では変形抵抗が大きく、熱間圧延が難しくなる。一方、1350℃を超える加熱は、表面痕の発生原因となったり、スケールロスや燃料原単位が増加したりするので好ましくない。より好ましい加熱温度は1150〜1300℃である。
熱間圧延工程では、リバースの圧延により、T形に圧延成形が行われるが、その圧延機入側または/および出側において、被圧延材のフランジ相当部分を水冷するなどして、最終圧延直後のフランジ相当部分とウェブ相当部分との温度差を50℃以内とする必要がある。フランジ相当部分とウェブ相当部分との温度差が50℃を超えると、圧延、冷却後のそりや曲がりが大きくなり、冷間矯正の負荷が増大するばかりでなく、矯正後のウェブの靱性も低下する。フランジ相当部分の水冷では、例えば、リバース圧延中にフランジ相当部分の外面および内面のうちの片方または両方に対して冷却装置から水量密度500L/min・m以上で冷却水を供給する。この水冷は、リバース圧延時に最低1回以上行う。
熱間圧延の仕上温度は700℃以上とする。圧延仕上温度が700℃未満では、圧延後に加速冷却を行っても、ベイナイト組織とならず、強度上昇効果が期待できない。より好ましい圧延仕上温度は750℃以上である。一方、830℃を超えると靭性が低下することから、圧延仕上温度は830℃以下とすることが好ましい。
熱間圧延後、直ちに、1℃/sec以上の平均冷却速度で650℃〜500℃の温度域まで加速冷却を行う。平均冷却速度が1℃/sec未満の加速冷却では、ベイナイト組織が十分に得られないために、強度が低い。より好ましい平均冷却速度は5℃/sec以上である。また、加速冷却停止温度が500℃未満では、延性が低下する。より好ましい加速冷却停止温度は550℃以上である。一方、加速冷却停止温度が650℃超では強靭化の効果が小さい。
また、加速冷却条件としては、上記のように5℃/sec以上の平均冷却速度で650℃〜550℃の温度域まで加速冷却を行うことが、特に好ましい。
また、加速冷却開始温度については、特に規定しないが、加速冷却開始温度が680℃未満では、フェライト変態の抑制により、強度や靱性の低下を生じるので、680℃以上の温度が好ましい。
なお、本発明において、圧延時や冷却時の材料温度、冷却速度の求め方は、後述する実施例に記載のとおりである。
表1に示した成分組成を有する鋼を真空溶解炉または転炉で溶製した後、鋳造してブルームとし、このブルームを加熱炉に装入して加熱した後、表2に示す条件で熱間圧延し、同表に示すサイズの熱間圧延T形鋼を製造した。表2の「圧延中の水冷の有無:有り」の実施例では、リバース圧延中、フランジ相当部分の外面および内面のうちの片方または両方に対して冷却装置から水量密度500〜2000L/min・mで冷却水を供給した。
本実施例において、圧延時のフランジ相当部分とウェブ相当部分の材料温度は、それぞれ幅1/4部分を放射温度計にて測定した表面温度である。また、熱間圧延後の冷却開始温度、冷却停止温度、冷却速度については、フランジ1/4t部の温度である。
引張特性については、フランジからJIS1A号引張試験片を採取し、引張特性(降伏応力YP、引張強さTS、伸びEl)を測定した。
母材の衝撃特性(靱性)については、フランジからJIS−Z−2242に記載の2mmVノッチシャルピー衝撃試験片を採取し、−40℃でのシャルピー衝撃試験における吸収エネルギーを測定した。また、冷間矯正後の母材の衝撃特性(靱性)については、矯正効果の高いウェブ部からJIS−Z−2242に記載の2mmVノッチシャルピー衝撃試験片を採取し、−40℃でのシャルピー衝撃試験における吸収エネルギーを測定した。
また、製造された圧延T形鋼のフランジ1/4幅−1/4t部より、組織観察用の試料を採取し、光学顕微鏡により金属組織を観察し、画像処理により、フェライトおよびベイナイトの面積分率を求めた。
表3に、上記のようにして測定した引張特性、衝撃特性および金属組織を示す。これによれば、No.1〜13の本発明例は、良好な引張特性、衝撃特性を有し、冷間矯正後でも高靭性を有している。
これに対して、本発明の成分組成を満たさないNo.14は強度が低い。また、No.15の比較例は靭性が低い。また、No.16〜No.20のように成分組成が本発明の範囲内であっても、金属組織が本発明条件を満足せず、或いは製造条件が本発明条件を満足しない場合には、良好な引張特性や衝撃特性が得られない。
Figure 0005532832
Figure 0005532832
Figure 0005532832

Claims (6)

  1. C:0.03〜0.20mass%、Si:0.05〜0.50mass%、Mn:0.1〜2.0mass%、P:0.020mass%以下、S:0.01mass%以下、Al:0.005〜0.07mass%、N:0.001〜0.008mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、且つフェライトとベイナイトの合計の面積分率が90%以上の金属組織を有し、降伏応力YPが355MPa以上、冷間矯正後の衝撃特性として−40℃でのシャルピー吸収エネルギーが34J以上であることを特徴とする熱間圧延T形鋼。
  2. さらに、Cr:0.20mass%未満、Cu:0.5mass%以下、Ni:0.25mass%以下、Mo:0.5mass%以下、Co:1.0mass%以下の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱間圧延T形鋼。
  3. さらに、W:0.5mass%以下、Nb:0.1mass%以下、Ti:0.1mass%以下、Zr:0.1mass%以下、V:0.2mass%以下の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱間圧延T形鋼。
  4. さらに、B:0.003mass%以下を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱間圧延T形鋼。
  5. さらに、Ca:0.01mass%以下、REM:0.015mass%以下、Y:0.1mass%以下の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱間圧延T形鋼。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の成分組成を有する鋼素材を熱間圧延した後、冷間矯正して請求項1〜5のいずれかに記載のT形鋼を製造する方法であって、
    鋼素材を1100〜1350℃に加熱して熱間圧延を行い、該熱間圧延では、圧延仕上温度を700℃以上、最終圧延直後のフランジ相当部分とウェブ相当部分との温度差を50℃以内とし、熱間圧延終了後、直ちに、1.0℃/sec以上の平均冷却速度で650℃〜500℃の温度域まで加速冷却することを特徴とする熱間圧延T形鋼の製造方法。
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