JP6400516B2 - 耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法 - Google Patents

耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、船舶、海洋構造物、橋梁、建設機械、建築物、タンクなど各種溶接構造物用として好適な鋼材に係り、とくに、繰返し荷重を受ける部材用として好適な、耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法に関する。なお、ここでいう「鋼材」には、厚鋼板、鋼管、形鋼、薄鋼板等を含むものとする。
近年、船舶、海洋構造物、橋梁、建設機械、建築物、タンクなどの溶接構造物の建造にあたっては、設計の合理化や使用する鋼材重量の低減、薄肉化による溶接施工の省力化を図るため、高強度鋼材が適用される事例が多くなってきている。このため、適用される高強度鋼材には、優れた延性、優れた低温靭性を有していることに加えて、優れた溶接性、さらには構造安全性を確保するため、優れた耐疲労特性を有していることが要求されている。
溶接構造物では、溶接止端部から疲労き裂が発生し、溶接構造物の鋼材中を伝ぱして、破壊(疲労破壊)する事例が多い。これは、溶接止端部がその形状から応力集中部となりやすいことに加えて、溶接後に引張の残留応力が生じることなどに起因するとされている。このため、溶接止端部からのき裂発生を抑制させるために、付加溶接を施して溶接止端部の形状を改善することによって応力集中を低減させる技術、あるいは、ショットピーニングなどで圧縮の残留応力を導入する技術などが広く知られている。
しかし、このような技術を、多数存在する溶接止端部に工業的規模で施すことは、多大な労力と多大な時間とを必要とし、生産性の観点や、コストの面からも現実的とは言いがたい。そこで、仮に、疲労き裂が発生したとしても、その後の鋼材中のき裂伝ぱ速度を低減させることができれば、溶接構造物の疲労寿命を延長することができる。このようなことから、鋼材の耐疲労き裂伝ぱ特性を向上させることが強く要望されている。
このような要望に対し、例えば特許文献1には、重量%で、C:0.02〜0.2%、Si:0.01〜0.8%、Mn:0.3〜2.5%、P:0.0001〜0.04%、S:0.0001〜0.02%、Al:0.005〜0.1%、N:0.001〜0.01%を含む組成を有し、フェライト相が70%以上を占め、鋼板表面に平行な測定面で鋼板内部のα(111)面強度比とα(100)面強度比の比が1.25〜2.0である疲労亀裂伝播特性の良好な鋼板が記載されている。特許文献1に記載された技術では、粗圧延において、少なくともオーステナイト未再結晶域の圧下率を10%以上とし、さらに、仕上圧延において、α−γ二相域またはα相域温度域で累積圧下率を75%以上とするとしている。
また、特許文献2には、質量%で、C:0.06〜0.20%、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.10%以下、S:0.006%以下、Al:0.10%以下を含み、平均で150HV未満の硬さを有するフェライト相を体積率で60%以上含み、第二相が平均で240HV未満の硬さを有する相で、板厚中央位置および板厚1/4位置における(200)面のX線回折強度比が2.0以上または(110)面のX線回折強度比が2.5以上で、かつ{100}面、{110}面、{111}面、{211}面のうちのいずれかの面が、圧延面に対して5°以内に揃ったフェライト粒コロニーの板厚方向の厚さが、板厚中央位置および板厚1/4位置において平均で5μm以下である、板厚方向の耐疲労亀裂伝播特性に優れた溶接構造用厚鋼板が記載されている。特許文献2に記載された技術では、少なくとも500℃以上のフェライト単相域または二相域での累積圧下率が50%以上でかつ圧延速度Sが2.0×10−2/s以下となる圧延を施す温間圧延を含む圧延を施すとしている。
また、特許文献3には、重量%で、C:0.015〜0.20%、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.02%以下を含み、板厚方向の(200)回折強度比が2.0〜15.0で、且つ、回復または再結晶フェライト粒の面積率が15〜40%である板厚方向の疲労き裂伝播速度が低い厚鋼板が記載されている。特許文献3に記載された技術では、再結晶温度域で20〜90%の累積圧下率で圧延し、Ar3変態点以上の未再結晶温度域で10〜80%の累積圧下率で圧延し、Ar3変態点以下600℃以上で40〜90%の累積圧下率で仕上圧延し、圧延終了後、30〜300s間大気中で放冷し、しかる後に5〜100℃/sの冷却速度で室温〜600℃に制御冷却するとしている。
また、特許文献4には、質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.60%以下、Mn:0.80〜1.80%を含み、Ti:0.005〜0.050%、Nb:0.001〜0.1%のうちから選ばれた1種または2種を含む組成を有し、表裏面から板厚方向に2mmの位置から板厚方向の3/10位置までの範囲で、板面に平行な(110)面のX線強度比が2.0以上である板厚方向の耐疲労亀裂伝播特性に優れた厚鋼板が記載されている。特許文献4に記載された技術では、熱間圧延を、オーステナイト部分再結晶温度以上の温度域で累積圧下率10%以上とする第一の圧延と、表面から板厚方向に2mmの位置から板厚方向の3/10位置までに相当する範囲および/または表面から板厚方向に2mmの位置から板厚方向の7/10位置までに相当する範囲が二相組織となる温度域で、1パス当たりの圧下率が5%未満でかつ累積圧下率:50%以上となる第二の圧延とからなり、第二の圧延の終了温度を600℃以上である圧延とするとしている。
また、特許文献5には、質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.19〜0.60%、Mn:0.5〜2.0%、sol.Al:0.005%超0.10%以下、N:0.0005〜0.03%、Nb:0.005〜0.08%、Ti:0.005〜0.03%、V:0.005〜0.080%を含み、かつ特定式で表される条件を満たす組成と、フェライトとベイナイトの構成比率が合計で90%以上、パーライトの面積率が2〜10%、(110)面からのX線回折強度の半価幅が0.13〜0.3°である耐疲労き裂進展特性に優れた鋼材が記載されている。特許文献5に記載された技術では、1000〜1250℃に加熱した鋳造スラブに、仕上温度720〜800℃とする熱間圧延を施し、650〜400℃間の平均冷却速度を5〜25℃/sとする加速冷却を、400℃以下の温度で停止し、その後、復熱温度幅が70℃以下となるようにして冷却を終了するとしている。
また、特許文献6には、耐疲労亀裂進展性に優れた鋼板が記載されている。特許文献6に記載された鋼板は、C:0.030〜0.30%、Si:0.50%以下、Mn:0.8〜2.0%、Al:0.01〜0.10%、N:0.010%以下を含む組成を有し、板厚1/4位置において、アスペクト比が2以上で、γ粒内方向に成長した針状フェライトを面積分率で1〜60%含み、長径が5〜100μmの範囲にある針状フェライトの個数割合が80%以上である組織を有する鋼板である。
また、特許文献7には、シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが高く、耐疲労き裂進展性に優れた鋼板が記載されている。特許文献7に記載された鋼板は、C:0.01〜0.1%、Si:0.03〜0.6%、Mn:0.3〜2%、sol.Al:0.001〜0.1%、N:0.0005〜0.008%を含む組成と、面積率で60〜85%のベイナイトと、合計で0〜5%のマルテンサイトとパーライトと、残部がフェライトである組織を有する鋼板である。
また、特許文献8には、母材靭性と疲労亀裂進展特性に優れた厚鋼板が記載されている。特許文献8に記載された厚鋼板は、質量%で、C:0.030〜0.300%、Si:0.50%以下、Mn:0.80〜2.00%、Al:0.01〜0.10%、N:0.0100%以下を含む組成と、再結晶フェライトからなる軟質部と、マルテンサイトとベイナイトの1種以上からなる硬質部とで主に構成された複相組織とを有し、硬質部の面積分率が15〜85%、平均円相当径が10μm以上、平均硬さがHv200〜700で、かつ硬質部と軟質部の平均硬さの差がHv100以上であり、さらに再結晶フェライト粒の平均円相当径が20μm以下、マルテンサイトとベイナイトの平均ラス長さが5μm以下である厚鋼板である。
特開2000‐17379号公報 特許第4876972号公報 特許第3434378号公報 特開2010‐242211号公報 特許第4706477号公報 特許第4976749号公報 特許第4466196号公報 特許第4721956号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載された技術では、α−γ二相域あるいはフェライト単相域で強加工を施して、特定方位の集合組織を発達させている。しかし、このような圧延は、圧延機への負荷が大きく、故障等のトラブルの原因となりやすいうえ、圧延能率が大幅に低下し、生産性の低下を招く。さらに、加工硬化したフェライトは、母材靱性を著しく低下させる恐れが高いという問題がある。
さらに、特許文献1〜4に記載された技術によれば、板厚方向における疲労き裂伝ぱ速度は低減することができるが、しかし、特許文献1〜4には、板厚方向以外の方向における疲労き裂伝ぱ速度の低減についての言及はない。実際の溶接構造物においては、板厚方向のみならず板幅方向や板長さ方向にも、疲労き裂は伝播し、破壊に至るケースが多々ある。特許文献1〜4に記載された技術には、一方向の疲労き裂伝ぱ速度を極度に低減させた代償として、例えば板長さ方向の疲労き裂が加速され進展して、終局的な破壊に至るなど、構造物全体としての安全性が低下する可能性が内包されている。
また、特許文献5に記載された技術では、疲労き裂伝ぱ特性を向上させるために半価幅の大きな(すなわち、転位密度が高い)組織を導入している。このような組織を得るためには合金元素の多量含有や、加速冷却停止温度の低下などが必要である。しかし、合金元素の多量含有は溶接性の低下を招き、また、加速冷却停止温度の低下は延性の確保が困難になるという問題がある。
また、実構造物において使用する鋼材は、耐疲労き裂進展特性のみならず、強度、延性、靱性、溶接性など様々な特性がバランスよく向上した鋼材とすることが肝要となる。特許文献6に記載された技術は、針状フェライトを有効活用し、耐疲労き裂進展性を向上させる技術であるが、特許文献6には、延性、靭性等の特性についての言及はなく、特許文献6に記載された技術で製造された鋼板が、構造物用鋼板として、耐疲労き裂進展性以外に必要な特性をバランスよく具備しているかどうかは不明のままである。
また、特許文献7に記載された技術では、疲労き裂がベイナイトと遭遇すると、その境界でき裂が停留したり、ベイナイトを避けるように屈曲したりしながら進展するため、疲労き裂進展速度が小さくなり、耐疲労き裂進展特性が向上するとしている。しかし、特許文献7には、耐疲労き裂進展特性、靭性についての記載はあるが、構造物用鋼板として重要な、延性、溶接性等についての記載はなく、特許文献7に記載された技術で製造された鋼板が、構造物用鋼板として必要な特性をバランスよく具備しているかどうかについては不明のままである。
また、特許文献8に記載された技術では、十分微細化したフェライトと、加工γから変態したラス長さの短い低温変態相とを組み合わせた複相組織にすることにより、疲労き裂進展特性と母材靭性の両特性を両立させることができるとしている。しかし、特許文献8には、疲労き裂進展速度、靭性以外の実構造物用鋼板として必要な、延性、溶接性等の特性をバランスよく具備しているかどうかについては不明のままである。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材およびその製造方法を提供することを目的とする。
ここでいう「高強度」とは、引張強さTS:490MPa以上である場合をいう。また、ここでいう「耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた」とは、き裂伝ぱ方向によらず、疲労き裂伝ぱ速度da/dNが、少なくともΔK:15MPa√mで1.75×10−8(m/cycle)以下、ΔK:25MPa√mで8.5×10−8(m/cycle)以下である場合をいう。
なお、上記した各応力拡大係数範囲におけるき裂伝ぱ速度の上限値は、日本材料学会編「金属材料疲労き裂進展抵抗データ集」vol.1、p55に記載されたNK船級KA鋼についての応力拡大係数範囲と疲労き裂伝ぱ速度の関係のデータバンド上限を基準値として、同じ応力拡大係数範囲で疲労き裂伝ぱ速度が基準の1/2以下となる場合を目安として決定した。
また、本発明が目的とする高強度鋼材は、上記したように耐疲労き裂伝ぱ特性に優れるうえ、さらに、延性、低温靭性、溶接性にも優れた鋼材とする。ここでいう「延性に優れた」とは、引張試験で得られた伸びEl値が20%以上である場合をいう。また、ここでいう「低温靭性に優れた」とは、JIS Z 2242-2005の規定に準拠して行ったシャルピー衝撃試験における試験温度:−40℃における吸収エネルギーが53J以上である場合をいうものとする。また、「溶接性に優れた」とは、JIS Z 3158の規程に準拠して、予熱温度を25℃とし、気温:20℃、湿度:60%の溶接雰囲気中で、MAG溶接(入熱14kJ/cm)するy形溶接割れ試験を実施し、割れが発生しなかった場合をいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、疲労き裂伝ぱ速度に及ぼす各種要因について鋭意研究した。その結果、き裂伝ぱ方向によらず、疲労き裂伝ぱ速度を低減するためには、まず、板厚の1/4位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qおよび板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Mを2.0以下とする必要があることを知見した。というのは、板厚の1/4位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qおよび板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Mが2.0を超えて大きくなると、板厚方向の疲労き裂伝ぱ速度だけが顕著に低減し、その他の方向(板幅方向、板長手方向)の疲労き裂伝ぱ速度が逆に大きくなり、疲労き裂伝ぱ速度の方向依存性が大きくなりすぎることを突き止めた。このため、き裂伝ぱ方向によらず、疲労き裂伝ぱ速度を低減するためには、(110)Q、(110)Mをともに2.0以下とする必要があることを突き止めた。
さらに、本発明者らは、板厚中央位置における、板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)M、板面に平行な(100)面のX線回折強度比(100)Mおよび板面に平行な(111)面のX線回折強度比(111)Mが、次(3)〜(5)式
2.0×(110)M ≦ (100)M ≦ 6.0×(110)M ……(3)
2.5×(110)M ≦ (111)M ≦ 7.0×(110)M ……(4)
(100)M≦(111)M ……(5)
をすべて満足するように、集合組織を調整することにより、疲労き裂伝ぱ速度が、き裂伝ぱ方向によらず、顕著に低減することを見出した。
板厚中央位置における、板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)M、板面に平行な(100)面のX線回折強度比(100)Mおよび板面に平行な(111)面のX線回折強度比(111)Mが(3)〜(5)式のうち、一つでも満足しない場合には、板厚方向、板幅方向、板長さ方向のうちの1つ以上の方向で、疲労き裂伝ぱ速度の低減が認められなくなる。そのため、本発明では、(110)M、(100)Mおよび(111)Mが(3)〜(5)式すべてを満足するように、集合組織を調整する必要があることを突き止めた。
また、本発明者らは、上記したように集合組織を調整し、さらに組成を適正範囲に調整することにより、結果として、耐疲労き裂伝ぱ特性のみならず、強度、延性、低温靱性がバランスよく向上することを知見した。
さらに、本発明者らは、上記した集合組織は、熱間圧延をオーステナイト未再結晶温度域、とくに(Ar3変態点+200℃)超の温度域の圧下量を少なく、(Ar3変態点+200℃)以下Ar3変態点以上の温度範囲で累積圧下率:50%以上となる強圧下を施すことにより、調整できることを見出した。これにより、とくに、板厚方向の疲労き裂伝ぱ速度が、従来の1/2以下であるΔK:15MPa√mで0.5×10−8(m/cycle)以下と、顕著に低下することを知見した。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)質量%で、C:0.02〜0.25%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.02%以下、Al:0.10%以下を、次(1)式
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ……(1)
(ここで、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%))
で定義される炭素当量Ceqが0.45%以下、および次(2)式
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ……(2)
(ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、B:各元素の含有量(質量%))
で定義される溶接割れ感受性組成Pcmが0.28%以下、を満足するように調整して含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、板厚の1/4位置における組織が、面積%で80%超のベイナイト相を含み、残部が合計で面積%で20%未満(0%を含む)のフェライト、パーライト、マルテンサイトのうちから選ばれた1種または2種以上からなり、さらに、板厚の1/4位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qが2.0以下で、板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Mが2.0以下であり、かつ、板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)M、板厚中央位置における板面に平行な(100)面のX線回折強度比(100)M、および板厚中央位置における板面に平行な(111)面のX線回折強度比(111)Mが、次(3)〜(5)式
2.0×(110)M ≦(100)M ≦ 6.0×(110)M ……(3)
2.5×(110)M ≦(111)M ≦ 7.0×(110)M ……(4)
(100)M ≦ (111)M ……(5)
を満足する組織と、を有することを特徴とする溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材。
(2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする高強度鋼材。
(3)(1)または(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする高強度鋼材。
(4)鋼素材に、熱間圧延工程と、加速冷却工程を順次、施し高強度鋼材とするにあたり、前記鋼素材を、質量%で、C:0.02〜0.25%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.02%以下、Al:0.10%以下を、次(1)式
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ……(1)
(ここで、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%))
で定義される炭素当量Ceqが0.45%以下、および次(2)式
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ……(2)
(ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、B:各元素の含有量(質量%))
で定義される溶接割れ感受性組成Pcmが0.28%以下、を満足するように調整して含有し、
残部Fe及び不可避的不純物からなる組成の鋼素材とし、前記熱間圧延工程が、前記鋼素材を加熱温度:900〜1300℃の範囲の温度に加熱したのち、(Ar3変態点+200℃)以下Ar3変態点以上の温度範囲で累積圧下率:50%以上となる熱間圧延を施す工程であり、前記加速冷却工程が、(Ar3変態点−80℃)以上の温度域から平均冷却速度:5℃/s以上で、600℃以下の温度域まで冷却を施す工程であり、前記高強度鋼材が、前記組成と、板厚の1/4位置における組織が、面積%で80%超のベイナイト相を含み、残部が合計で面積%で20%未満(0%を含む)のフェライト、パーライト、マルテンサイトのうちから選ばれた1種または2種以上からなり、さらに、板厚の1/4位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qが2.0以下で、板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Mが2.0以下であり、かつ、板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)M、板厚中央位置における板面に平行な(100)面のX線回折強度比(100)M、および板厚中央位置における板面に平行な(111)面のX線回折強度比(111)Mが、次(3)〜(5)式
2.0×(110)M ≦(100)M ≦ 6.0×(110)M ……(3)
2.5×(110)M ≦(111)M ≦ 7.0×(110)M ……(4)
(100)M ≦ (111)M ……(5)
を満足する組織と、を有する高強度鋼材であることを特徴とする溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材の製造方法。
(5)(4)において、前記加速冷却工程の後に、さらに400℃以上550℃以下の温度で焼戻処理を施す焼戻工程を行うことを特徴とする高強度鋼材の製造方法。
(6)(4)または(5)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする高強度鋼材の製造方法。
(7)(4)ないし(6)のいずれかにおいて、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする高強度鋼材の製造方法。
本発明によれば、多量の合金元素の含有や、特殊な工程を必要とすることなく、き裂伝ぱ方向によらず耐疲労き裂伝ぱ特性に優れることに加えて、強度、延性、靭性、さらには溶接性がバランスよく向上した高強度鋼材を容易に、しかも安定して、安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、溶接構造物の疲労破壊の安全裕度を拡大することが可能となるという効果もある。
SENT試験片の形状を模式的に示す説明図である。
まず、本発明高強度鋼材の組成限定理由について説明する。なお、以下、とくに断わらない限り、質量%は単に%で記す。
C:0.02〜0.25%
Cは、固溶強化さらには焼入れ性向上を介して、強度増加に寄与する元素である。このような効果により所望の高強度を確保するためには、0.02%以上の含有を必要とする。一方、0.25%を超えて含有すると、溶接性を阻害する。このため、Cは0.02〜0.25%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.05〜0.20%である。
Si:0.01〜0.50%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、固溶強化を介して強度増加に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.50%を超えて含有すると、溶接性、靭性を低下させる。このため、Siは0.01〜0.50%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.05〜0.40%である。
Mn:0.5〜2.0%
Mnは、焼入れ性の向上を介して、安価に鋼材の強度増加に寄与するとともに、靭性をも向上させる元素である。このような効果を得るためには、0.5%以上の含有を必要とする。一方、2.0%を超えて含有すると、溶接性が低下する。このため、Mnは0.5〜2.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.5〜1.8%である。
P:0.05%以下
Pは、鋼の靭性を劣化させる元素であり、できるだけ低減することが望ましいが、0.05%までは許容できる。このようなことから、Pは0.05%以下に限定した。なお、好ましくは0.03%以下である。
S:0.02%以下
Sは、鋼中では硫化物系介在物として存在し、鋼の延性、靭性を低下させる。このため、Sはできるだけ低減することが望ましいが、0.02%までは許容できる。このようなことから、Sは0.02%以下に限定した。なお、好ましくは0.01%以下である。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸剤として作用するとともに、結晶粒の微細化にも寄与する元素である。このような効果を得るためには0.01%以上含有することが望ましいが、0.10%を超えて多量に含有すると、酸化物系介在物が増加し靭性、延性が低下する。このため、Alは0.10%以下の範囲に限定した。なお、好ましくは0.06%以下である。
上記した成分が基本の成分であるが、本発明では、上記した基本の組成に加えて選択元素として、強度、靭性や溶接性等の調整、耐候性の付与などを目的として、さらに、Cu:1.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種、を必要に応じて選択して含有できる。
Cu:1.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、Bはいずれも、鋼材の強度上昇に寄与する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。
Cuは、固溶して強度増加に寄与するとともに、耐候性向上にも寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.1%以上含有することが望ましい。一方、1.0%を超える多量の含有は、溶接性を低下させるとともに、熱間加工性を低下させ、鋼材製造時に疵が発生しやすくなる。このため、含有する場合には、Cuは1.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.5%以下である。
Niは、固溶して、強度増加に寄与するとともに、低温靭性を向上させる元素である。また、Niは、耐候性向上や、Cuを添加した場合に生ずる熱間脆性の改善に有効に寄与する。このような効果を得るためには、0.2%以上含有することが望ましい。一方、2.0%を超えて含有すると、溶接性が低下するとともに、材料コストの高騰を招く。このようなことから、含有する場合には、Niは2.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは1.5%以下である。
Crは、強度増加に寄与するとともに、耐候性の向上にも寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましい。一方、1.0%を超えて多量に含有すると、溶接性、靭性が低下する。このため、含有する場合には、Crは1.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.5%以下である。
Moは、強度増加に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上含有することが望ましい。一方、1.0%を超えて含有すると、溶接性、靭性の低下を招く。このため、含有する場合には、Moは1.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.5%以下である。
Nbは、固溶強化および析出強化を介して、また、熱間圧延時のオーステナイト粒再結晶を抑制し組織の細粒化を介して、鋼材の強度増加に寄与する。このような効果を得るためには、0.008%以上含有することが望ましい。一方、0.1%を超えて含有すると、靭性の低下を招く。このため、含有する場合には、Nbは0.1%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.05%以下である。
Vは、Nbと同様に、析出強化により強度増加に寄与する元素である。このような効果を得るためには0.003%以上含有することが望ましい。一方、0.1%を超えて多量に含有すると、靭性、溶接性の低下を招く。このため、含有する場合には、Vは0.1%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.07%以下である。
Tiは、析出強化を介して強度増加に寄与するとともに、溶接部靭性の改善にも寄与する。このような効果を得るためには、0.008%以上含有することが望ましい。一方、0.1%を超えて多量に含有すると、材料コストの高騰を招く。このようなことから、含有する場合には、Tiは0.1%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.05%以下である。
Bは、微量の含有で焼入れ性を向上させ、鋼材の強度上昇に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.0005%以上の含有を必要とするが、0.005%を超えて含有すると、溶接性が低下する。このため、含有する場合には、Bは0.005%以下に限定することが好ましい。なお、好ましくは0.003%以下である。
Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種
Ca、REMはいずれも、介在物の形態制御を介して、鋼材の延性、靱性の向上に寄与する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。このような効果を得るためには、Ca:0.0005%以上、REM:0.0005%以上それぞれ含有することが望ましい。一方、Ca:0.010%、REM:0.010%をそれぞれ超えて含有すると、酸化物系介在物量の増加を招き、靱性が低下する。このため、含有する場合には、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下にそれぞれ限定することが好ましい。なお、好ましくはCa:0.005%以下、REM:0.005%以下である。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物としては、O:0.01%以下、N:0.01%以下が許容できる。
本発明の鋼材は、上記した組成を有し、さらに、溶接性の指標として、次(1)式
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ……(1)
(ここで、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%))
で定義される炭素当量Ceqを0.45以下、および次(2)式
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ……(2)
(ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、B:各元素の含有量(質量%))
で定義される溶接割れ感受性組成Pcmを0.28以下に調整して、優れた溶接性を担保している。炭素当量Ceqおよび溶接割れ感受性組成Pcmが、上記した(1)式および(2)式を満足しない場合には、溶接性が低下する。
なお、(1)式、(2)式の計算に際しては、式中に表示された元素を含まない場合には、当該元素の含有量を零として計算するものとする。
本発明鋼材は、上記した組成を有し、板厚の1/4位置における組織が、面積%で80%超えのベイナイト相を含み、残部が合計で面積%で20%未満(0%を含む)のフェライト、パーライト、マルテンサイトのうちから選ばれた1種または2種以上からなる組織を有する。
組成や製造履歴に依存して鋼材組織は、板厚方向に変化するが、本発明では、標準的な組織を呈する板厚の1/4位置の組織を限定する。本発明鋼材は、この標準的な組織を呈する板厚の1/4位置で、ベイナイト相を含む組織を有する。組織中にベイナイト相を含むことにより、合金元素の含有量が低い組成である低合金成分系としても、所望の高強度化を図ることができる。フェライトとパーライトの混合組織では、所望の強度を確保することができない。
含まれるベイナイト相が面積%で80%以下では、所望の高強度を確保することができない。なお、ベイナイト相以外の残部は、フェライト、パーライト、マルテンサイトのいずれか、あるいはそれらの混合相とする。なお、ベイナイト相以外の残部は0%としてもよい。すなわち、本発明鋼材では、ベイナイト相単相としても、ベイナイト相に、フェライト、パーライト、マルテンサイトのいずれか、あるいはベイナイト相に、フェライト、パーライト、マルテンサイト相のうちの2種以上からなる組織としてもよい。これにより、低合金成分系としても、所望の高強度、高靭性、高延性化を図ることができる。
このようなことから、本発明鋼材では、板厚の1/4位置で、面積%で80%超のベイナイト相を含み、残部が合計で面積%で20%未満(0%を含む)のフェライト、パーライト、マルテンサイトのうちから選ばれた1種または2種以上からなる組織に限定した。
また、本発明鋼材では、上記した組に加え、さらに、板厚の1/4位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qおよび板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Mが2.0以下となる集合組織を有する。
板面に平行な(110)面のX線回折強度比が高くなると、疲労き裂伝ぱ速度は板厚方向のみが低下し、その他の方向においてはき裂伝ぱ速度の低下が認められないばかりか、逆にき裂伝ぱ速度が加速する場合もある。溶接構造物においては、疲労き裂の発生箇所が特定できない場合が多く、疲労き裂伝ぱ速度を板厚方向のみ低下しても、構造物全体の疲労寿命を延長することに必ずしも繋がらない可能性が高い。本発明では、このような弊害を避けるべく、(110)Qおよび(110)Mを2.0以下に限定した。
また、本発明鋼材は、上記した集合組織における限定に加えてさらに、板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)M、板厚中央位置における板面に平行な(100)面のX線回折強度比(100)M、および板厚中央位置における板面に平行な(111)面のX線回折強度比(111)Mが、次(3)〜(5)式
2.0×(110)M≦(100)M≦6.0×(110)M ……(3)
2.5×(110)M≦(111)M≦7.0×(110)M ……(4)
(100)M≦(111)M ……(5)
をすべて満足するように調整された集合組織を有する。
(110)M、(100)M、(111)Mが、上記した(3)〜(5)式をすべて満足することにより、疲労き裂伝ぱ速度が進展方向によらず、低減する。上記した(3)〜(5)式の一つでも満足されない場合があると、板厚方向、板幅方向、板長方向の一つ以上の方向で疲労き裂伝ぱ速度の低減が認められなくなる。このため、本発明では、(110)M、(100)M、(111)Mが、上記した(3)〜(5)式をすべて満足するように調整することとした。
上記した組成、組織を有する本発明鋼材は、き裂伝ぱ方向によらず耐疲労き裂伝ぱ特性に優れることに加えて、強度、延性、靭性、さらには溶接性がバランスよく向上した高強度鋼材となる。なお、本発明鋼材は、板厚方向の疲労き裂伝ぱ速度がΔK:15MPa√mで0.5×10−8(m/cycle)以下と、板厚方向の耐疲労き裂伝ぱ特性が顕著に向上した鋼材である。
つぎに、本発明鋼材の好ましい製造方法について説明する。
まず、上記した組成を有する溶鋼を、転炉等の常用の溶製方法で溶製し、連続鋳造法等の常用の鋳造方法を用いてスラブ等の鋼素材とすることが好ましい。なお、鋼素材の製造方法は、上記した方法に限定されないことはいうまでもない。
得られた鋼素材に、熱間圧延工程と加速冷却工程とを施し、熱延鋼材とする。
熱間圧延工程は、上記した組成の鋼素材を900〜1300℃の温度範囲の温度に加熱した後、(Ar3変態点+200℃)以下Ar3変態点以上の温度範囲で累積圧下率:50%以上となる熱間圧延を施す工程とすることが好ましい。なお、温度は、鋼材の表面温度とする。
加熱温度:900℃以上1300℃以下
鋼素材の加熱温度が900℃未満では、変形抵抗が高くなり圧延機への負荷が増大し、生産性が低下する。一方、1300℃を超えと、結晶粒が粗大化し、所望の靭性を確保できにくくなる。このため、加熱温度は900℃〜1300℃の範囲の温度に限定することが好ましい。
(Ar3変態点+200℃)以下Ar3変態点以上の温度範囲で累積圧下率:50%以上
(Ar3変態点+200℃)〜Ar3変態点の温度範囲での累積圧下率を50%以上とし、未再結晶オーステナイト温度域での強圧下を指向する。これにより、オーステナイト粒(γ粒)が圧延方向に伸展するため、そのようなγ粒から変態により得られる組織が微細化する。これにより、板厚方向の耐疲労き裂伝ぱ性が飛躍的に向上するとともに、鋼材強度の増加が図れる。一方、強圧下を行う温度域が、Ar3変態点未満では、フェライト相が混入し、強度が低下するとともに、フェライトの加工集合組織が発達しすぎて耐疲労き裂伝ぱ特性に異方性が生じる。また,(Ar3変態点+200℃)を超える温度域で、圧下を強化しても、γ粒の圧延方向への伸展が不十分となり、その後に変態により得られる組織の微細化も不十分となり、板厚方向の耐疲労き裂伝ぱ特性の向上が小さくなる。そのため、(Ar3変態点+200℃)を超える温度域での累積圧下率は20%以下とすることが好ましい。
また、(Ar3変態点+200℃)〜Ar3変態点の温度範囲での累積圧下率が50%未満では、γ粒の微細化が図れず、所望の高強度、高靱性等を確保できなくなる。なお、Ar3変態点は、
例えば、Ar3変態点(℃)=910−310C−80Mn−20Cu−15Cr−55Ni−80Mo
(但し、C、Mn、Cu、Cr、Ni、Mo:各元素の含有量(質量%))
で表される関係式により、各成分の含有量から、算出することができる。
また、熱間圧延の圧延終了温度は、Ar3変態点以上とすることが好ましい。圧延終了温度が、Ar3変態点未満では、フェライト相が大量に混入し、強度が低下する。
また、加速冷却工程は、上記した熱間圧延工程で得られ熱延鋼材に、(Ar3変態点−80℃)以上の温度域から平均冷却速度:5℃/s以上で、600℃以下の温度域まで冷却を施す工程とする。
加速冷却開始温度が、(Ar3変態点−80℃)未満では、組織がフェライト+パーライト主体の組織となり、所望の高強度を確保できなくなる。なお、加速冷却開始温度は好ましくは700〜800℃である。また、冷却速度が平均で、5℃/s未満では、組織がフェライト+パーライト主体の組織となり、所望の高強度を確保できなくなる。なお、好ましくは1℃/s以上である。また、加速冷却の停止温度が600℃を超える温度域では、組織がフェライト+パーライト主体の組織となり、所望の高強度を確保できなくなる。なお、加速冷却の停止温度は、好ましくは400〜600℃の温度域である。このようなことから、加速冷却工程は、熱延鋼材に、(Ar3変態点−80℃)以上の温度域から平均冷却速度:5℃/s以上で、600℃以下の温度域まで冷却を施す工程とすることが好ましい。
なお、本発明では、上記した加速冷却工程を終了したのち、焼戻工程を行っても良い。焼戻工程では、400℃以上Ac1変態点未満の温度で焼戻処理を施す工程とすることが好ましい。これにより、延性や靱性の調整を行うことができる。焼戻温度が400℃未満では、焼戻処理を施しても延性や靱性には、ほとんど変化が生じない。一方、Ac1変態点以上では、一部がオーステナイトへ変態し、その後の冷却で、島状マルテンサイトが生成するなど、靭性の低下が生じる。このため、焼戻処理の加熱温度は400℃以上Ac1変態点未満の温度に限定することが好ましい。なお、より好ましくは400〜700℃である。
Ac1変態点は、各合金元素の含有量に基き、例えば、
Ac1変態点(℃)=723−14Mn+22Si−14.4Ni+23.3Cr
(但し、Mn、Si、Ni、Cr:各元素の含有量(質量%))
を用いて、算出することができる。
以下、さらに実施例に基づき、本発明について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を、転炉で溶製し、連続鋳造法で鋳片(鋼素材)とした。得られた鋼素材に、表2に示す条件で熱間圧延工程、加速冷却工程を施し、板厚12〜65mmの鋼板を製造した。なお、一部の鋼板には熱処理(焼戻処理)を施した。
得られた鋼板から、X線回折試験用試験片および組織観察用試験片を採取した。
X線回折試験用試験片(大きさ:厚さ1.5mm×幅25mm×長さ30mm)は、各鋼板の板厚1/4位置および板厚中央位置から板面に平行に採取した。測定面(25×30mm面)を機械研磨、化学研磨して、加工層を除去したのち、X線回折法で(110)面、(100)面、(111)面のX線回折強度を求めた。なお、ランダム試験片を用意し、同様にX線回折強度を求めた。
得られたX線回折強度とランダム試験片のX線回折強度との比をそれぞれ求め、板厚1/4位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Q、板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)M、板厚中央位置における板面に平行な(100)面のX線回折強度比(100)M、板厚中央位置における板面に平行な(111)面のX線回折強度比(111)Mとした。
得られた結果を表3に示す。
また、得られた鋼板から、観察面が板厚1/4位置となるように、組織観察用試験片を採取した。得られた試験片を研磨し、3%ナイタール腐食液により腐食し、組織を現出させた。光学顕微鏡(倍率:500倍)を用いて、組織を観察し、撮像した。得られた組織写真について組織を同定するとともに、市販の画像解析ソフトを用いて、各相の組織分率(面積%)の測定を行った。なお、組織の観察は5視野以上とし、各視野における組織分率を求め、算術平均して当該鋼板の組織分率とした。
得られた結果を同様に、表3に併記する。
Figure 0006400516
Figure 0006400516
Figure 0006400516
また、得られた鋼板から、試験片を採取し、疲労き裂伝ぱ試験、引張試験、衝撃試験、溶接性試験を実施した。試験方法は、次の通りとした。
(1)耐疲労き裂伝ぱ試験
耐疲労き裂伝ぱ特性は、CT試験片を用いてASTM E647に準拠して調査した。CT試験片は、板厚25mm以下の鋼板では全厚、板厚25mm超50mm以下の鋼板では板厚の1/2位置を中心に両面減厚して25mm厚、板厚50mm超の鋼板では板厚の1/4位置を中心として両面減厚して25mm厚、とした。また、CT試験片は、各鋼板から、疲労き裂が進展する方向が圧延方向と直交する方向(板幅方向)、疲労き裂が進展する方向が圧延方向(板長方向)の2種の試験片を採取した。なお、CT試験片を用いた試験は、室温大気中で、応力比R:0.1、周波数:20Hzの条件で、ASTM E647に準拠して行った。
また、疲労き裂が板厚方向に進展する疲労き裂伝ぱ試験も行った。各鋼板から、図1に示すSENT(Single edge notch tension)型試験片を採取した。SENT型試験片では、機械切欠2先端に、疲労予き裂3を導入し、両面にはクラックゲージ4を貼付した。
SENT型試験片を用いた疲労き裂伝ぱ試験は、室温大気中で、応力比R:0.1、周波数:20Hzの条件で行った。そして、機械切欠2先端から疲労予き裂3が1mm以上導入された時点からの応力拡大係数範囲と疲労き裂伝ぱ速度の関係を求めた。
試験中は、両面に貼付されたクラックゲージにより、それぞれのき裂長さを検出し、両面の平均長さをき裂長さaとした。
なお、応力拡大係数範囲ΔKは、次式に示すBrownの式により計算した。
ΔK=Δσ(πa)1/2F(a/w)
(ここで、F(a/w)=1.12−0.231(a/w)+10.55(a/w)2−21.72(a/w)3+30.39(a/w)4、a:き裂長さmm、w:試験片幅mm(板厚))
疲労き裂が、進展する時の応力拡大係数範囲ΔK=15MPa√mのき裂伝ぱ速度が1.75×10-8m/cycle以下、ΔK=25MPa√mのき裂伝ぱ速度が8.5×10-8m/cycle以下であるときを「○」として評価した。それ以外の場合を「×」とした。
(2)引張試験
得られた鋼板から、日本海事協会 鋼船規則を参考に、引張方向が圧延方向に直交する方向Tとなるように、板厚が40mm以下の鋼板については全厚引張試験片(U1号引張試験片)を、板厚40mm超の鋼板については引張試験片(U14号引張試験片)を、採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施し、引張特性(降伏強さ(0.2%耐力)YS、引張強さTS、伸びEl)を求めた。なお、引張強さTSが490MPa以上、伸びElが20%以上である場合を○と評価し、それ以外を×とした。
(3)衝撃試験
得られた鋼板から、日本海事協会 鋼船規則に準拠して、試験片長さ方向が圧延方向Lと平行するように、板厚が40mm以下の鋼板については試験片端面が鋼板表面下2mmとなるように、また板厚が40mm超の鋼板については板厚の1/4位置から、衝撃試験片(U4号2mmVノッチ)を採取し、試験温度:−40℃で衝撃試験を実施し、吸収エネルギー(J)を求めた。各鋼板につき、各3本を試験した。3本すべてが、53J以上を示した場合を○、それ以外を×として評価した。
(4)溶接性試験
得られた鋼板から、JIS Z 3158の規定に準拠して、y形溶接割れ試験片を採取し、予熱温度を25℃とし、気温:20℃、湿度:60%の溶接雰囲気中で、MAG溶接(入熱14kJ/cm)するy形溶接割れ試験を実施し、割れの発生の有無を調査した。割れが生じなかった場合を○、それ以外の場合を×として評価した。
得られた結果を表4に示す。
Figure 0006400516
本発明例はいずれも、所望の強度(TS:490MPa以上)を満足する高強度と、所望の延性(El:20%以上)を満足する高延性と、所望の低温靭性(vE−40:53J以上)を満足する高靭性と、溶接割れの発生がない優れた溶接性と、を兼備し、さらにき裂の進展方向によらず疲労き裂伝ぱ速度が低減し、優れた耐疲労き裂伝ぱ特性を有する鋼板となっている。本発明例では、とくに、板厚方向の疲労き裂伝ぱ速度がΔK:15MPa√mで、0.50×10-8m/cycle以下と顕著に低減している。一方、本発明範囲を外れる比較例は、強度、延性、靭性、溶接性、さらには耐疲労き裂伝ぱ特性のいずれかが、所望の特性を満足していない。
Cが高く、Siが本発明範囲を超える比較例(鋼板No.6)は、Ceqが0.45を超え、Pcmが0.28を超えて、延性、靭性、溶接性が低下している。また、Mn、P、Sが本発明範囲を超える比較例(鋼板No.7)は、Ceqが0.45を超えて、延性、溶接性が低下している。また、比較例(鋼板No.7)は、集合組織が(5)式を満足しておらず、板厚方向のき裂伝ぱ速度は低く抑制されているが、板幅方向のき裂伝ぱ速度は高くなって、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。
また、加熱温度が本発明範囲を低く外れ、(Ar3変態点+200℃)〜(Ar3変態点)の温度域での累積圧下率が本発明範囲を低く外れ、冷却開始温度が本発明範囲を低く外れる比較例(鋼板No.8)は、(110)Qと(110)Mが2.0を超え、(110)Mと(100)Mと(111)Mとの関係で、(3)、(4)式を満足しないため、板厚方向の疲労き裂伝ぱ速度は低減しているが、板幅方向では逆に大きくなっており、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。なお、組織は、フェライト、パーライトが多量に生成したため、ベイナイト相が面積率で80%未満であった。
また、(Ar3変態点+200℃)〜(Ar3変態点)の温度域での累積圧下率が本発明範囲を低く外れる比較例(鋼板No.9)は、(110)Qと(110)Mが2.0を超え、(110)Mと(100)Mと(111)Mとの関係で、(3)、(4)式を満足しないため、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。また、焼戻温度が本発明範囲を高く外れる比較例(鋼板No.11)は、焼戻時に一部、逆変態によりオーステナイトが生成し、ベイナイト相が80面積%未満の組織となり、(110)Qと(110)Mが2.0を超え、(110)Mと(100)Mと(111)Mとの関係で、(3)、(4)式を満足しないため、耐疲労き裂伝ぱ特性が低下している。
1 SENT型試験片
2 機械切欠
3 疲労予き裂
4 クラックゲージ

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C :0.02〜0.25%、 Si:0.01〜0.50%、
    Mn:0.5〜2.0%、 P :0.05%以下、
    S :0.02%以下、 Al:0.10%以下
    を、下記(1)式で定義される炭素当量Ceqが0.45%以下、および下記(2)式で定義される溶接割れ感受性組成Pcmが0.28%以下、を満足するように調整して含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成と、
    板厚の1/4位置における組織が、面積%で80%超のベイナイト相を含み、残部が合計で面積%で20%未満(0%を含む)のフェライト、パーライト、マルテンサイトのうちから選ばれた1種または2種以上からなり、さらに、板厚の1/4位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qが2.0以下で、板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Mが2.0以下であり、かつ、板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)M、板厚中央位置における板面に平行な(100)面のX線回折強度比(100)M、および板厚中央位置における板面に平行な(111)面のX線回折強度比(111)Mが、下記(3)〜(5)式を満足する組織と、
    を有することを特徴とする溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材。

    Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ……(1)
    ここで、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%)
    Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ……(2)
    ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、B:各元素の含有量(質量%)
    2.0×(110)M ≦(100)M ≦ 6.0×(110)M ……(3)
    2.5×(110)M ≦(111)M ≦ 7.0×(110)M ……(4)
    (100)M ≦ (111)M ……(5)
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項1に記載の高強度鋼材。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする請求項1または2に記載の高強度鋼材。
  4. 鋼素材に、熱間圧延工程と加速冷却工程とを施し高強度鋼材とするにあたり、
    前記鋼素材を、質量%で、
    C :0.02〜0.25%、 Si:0.01〜0.50%、
    Mn:0.5〜2.0%、 P :0.05%以下、
    S :0.02%以下、 Al:0.10%以下
    を、下記(1)式で定義される炭素当量Ceqが0.45%以下、および下記(2)式で定義される溶接割れ感受性組成Pcmが0.28%以下、を満足するように調整して含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成の鋼素材とし、
    前記熱間圧延工程が、前記鋼素材を加熱温度:900〜1300℃の範囲の温度に加熱したのち、(Ar3変態点+200℃)以下Ar3変態点以上の温度範囲で累積圧下率:50%以上となる熱間圧延を施す工程であり、
    前記加速冷却工程が、(Ar3変態点−80℃)以上の温度域から平均冷却速度:5℃/s以上で、600℃以下の温度域まで冷却を施す工程であり、
    前記高強度鋼材が、前記組成と、板厚の1/4位置における組織が、面積%で80%超のベイナイト相を含み、残部が合計で面積%で20%未満(0%を含む)のフェライト、パーライト、マルテンサイトのうちから選ばれた1種または2種以上からなり、さらに、板厚の1/4位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qが2.0以下で、板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Mが2.0以下であり、かつ、板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)M、板厚中央位置における板面に平行な(100)面のX線回折強度比(100)M、および板厚中央位置における板面に平行な(111)面のX線回折強度比(111)Mが、下記(3)〜(5)式を満足する組織と、を有する高強度鋼材である
    ことを特徴とする溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた高強度鋼材の製造方法。

    Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ……(1)
    ここで、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、Cu:各元素の含有量(質量%)
    Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B ……(2)
    ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、B:各元素の含有量(質量%)
    2.0×(110)M ≦(100)M ≦ 6.0×(110)M ……(3)
    2.5×(110)M ≦(111)M ≦ 7.0×(110)M ……(4)
    (100)M ≦ (111)M ……(5)
  5. 前記加速冷却工程の後に、さらに400℃以上550℃以下の温度で焼戻処理を施す焼戻工程を行うことを特徴とする請求項4に記載の高強度鋼材の製造方法。
  6. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Nb:0.1%以下、V:0.1%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項4または5に記載の高強度鋼材の製造方法。
  7. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.010%以下、REM:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成とすることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の高強度鋼材の製造方法。
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