JP6036615B2 - 溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
そこで疲労き裂の発生を抑制するために、付加溶接を施して溶接止端部の形状を改善することによって、応力集中を低減する技術、あるいはショットピーニング等で圧縮の残留応力を導入する技術が検討されている。しかし溶接構造物には多数の溶接止端部が存在するので、付加溶接やショットピーニング等の処理を工業的規模で実施することは不可能に近く、また実施すれば溶接構造物の建造コストの大幅な上昇を招く。
たとえば特許文献1には、フェライト相が70%以上を占め、鋼板表面に平行な測定面で鋼板内部のα(111)面強度比とα(100)面強度比との比を1.25〜2.0として、耐疲労き裂伝ぱ特性を改善した鋼板が開示されている。
特許文献4には、板厚方向の特定の位置における板面に平行な(110)面のX線強度比を2.0以上として、板厚方向の耐疲労き裂伝ぱ特性を改善した厚鋼板が開示されている。
特許文献6には、Z方向(板厚方向)の深さt/4(t=板厚)の位置において、アスペクト比(長径/短径)を2以上とし、かつγ粒内方向に成長した針状フェライトを面積分率で1〜60%含み、長径5〜100μmの範囲内の針状フェライトの個数割合を80%以上として、耐疲労き裂伝ぱ特性を改善した鋼板が開示されている。
特許文献8には、再結晶フェライト相からなる軟質部、およびマルテンサイト相とベイナイト相の1種以上からなる硬質部で構成された複相組織を有し、その複相組織にて、硬質部の面積分率15〜85%、平均円相当径10μm以上、平均硬さHv200〜700、かつ硬質部と軟質部の平均硬さの差Hv100以上、再結晶フェライト粒の平均円相当径20μm以下、マルテンサイトとベイナイトの平均ラス長さ5μm以下とすることによって、母材靭性と耐疲労き裂伝ぱ特性を改善した厚鋼板が開示されている。
特許文献1〜4に開示された技術では、フェライト相とオーステナイト相の2相域、あるいはフェライト相の単相域でフェライト相を強加工して集合組織を発達させる。そのため、圧延機の負荷が大きくなり、トラブルの原因になるばかりでなく、圧延能率が大幅に低下するので、大量生産には適していない。また、加工によってフェライト相が硬化するので、母材靭性の著しい低下を引き起こす。さらに、板厚方向という限られた方向の疲労き裂伝ぱ速度を低減するものであることから、板厚方向以外の板幅方向や板長方向に疲労き裂が加速度的に伝ぱすることによって、溶接構造物が急速に破壊に至る惧れがある。つまり、一方向の疲労き裂伝ぱを極度に抑える代償として、板幅方向や板長方向の疲労き裂が進展しやすくなるという問題を内包している。
特許文献6に開示された技術では、針状フェライトを有効に活用して、疲労き裂の進展を抑制している。しかし溶接構造物で使用する鋼板は強度、延性、靭性、溶接性等のバランスが重要であるにも関らず、耐疲労き裂伝ぱ特性以外の特性については考慮されていない。
本発明は、これら従来技術の問題点を解消するために、伝ぱ方向の制約を受けることなく耐疲労き裂伝ぱ特性を向上し、かつ強度、延性、靭性、溶接性のバランスを図った溶接構造物用鋼板を提供することを目的とする。
ΔK=Δσ(πa)1/2F(a/W)
(ここで、F(a/W)=1.12−0.231(a/W)+10.55(a/W)2−21.72(a/W)3+30.39(a/W)4)
を用いて計算し、ΔK≒15MPa(m)1/2で一定となるように応力範囲を設定した。式中のΔσは応力範囲、aはき裂長さ(機械切欠き2と疲労き裂3との合計長さ)、Wは試験片幅である。また、図1中の寸法を示す数字の単位はmmである。
以上のように、ベイナイト組織においてもブロックやパケットの境界では、伝ぱ速度の低下が見込まれる。そして、先に述べたX線回折強度比のバランスを図り、所定の範囲に制御し集合組織を最適化することで、ベイナイト組織の特定のすべり系を発達させることができ、さらに伝ぱ速度は低下すると考えられる。
そして、所定のX線回折強度比によってもたらされる方位差と、上記した組織との相乗効果で疲労き裂伝ぱ速度を効果的に低下させることができる。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、C:0.02〜0.25質量%、Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、P:0.05質量%以下、S:0.02質量%以下、sol.Al:0.025〜0.045質量%を含有し、さらに、Nb:0.009〜0.1質量%およびV:0.012〜0.1質量%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、次(1)式
Ceq=[C]+([Mn]/6)+(〔[Cr]+[Mo]+[V]〕/5)+(〔[Ni]+[Cu]〕/15)‥‥(1)
(ここで、[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Ni]、[Cu]:各元素の含有量(質量%)、含有しない場合は0とする。)
で算出される炭素当量Ceqが0.407質量%以下、次(2)式
Pcm=[C]+([Si]/30)+([Mn]/20)+([Cu]/20)+([Ni]/60)+([Cr]/20)
+([Mo]/15)+([V]/10)+5[B] ‥‥(2)
(ここで、[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Ni]、[Cu]、[Si]、[B]:各元素の含有量(質量%)、含有しない場合は0とする。)
で算出される溶接割れ感受性組成Pcmが0.28質量%以下である組成を有し、かつ板厚の1/4位置と板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qと(110)Mが2.0以下であり、板厚中央位置における板面に平行な(100)面と(111)面のX線回折強度比(100)Mと(111)Mが次(3)〜(5)式
2.0×(110)M ≦ (100)M ≦ 6.0×(110)M ‥‥(3)
2.5×(110)M ≦ (111)M ≦ 7.0×(110)M ‥‥(4)
(100)M ≦ (111)M ‥‥(5)
を満足し、さらに前記板厚の1/4位置にて、ベイナイト組織を有し、該ベイナイト組織とフェライト組織の合計面積分率が80%を超え、残部がパーライト組織および/またはマルテンサイト組織からなる組織を有する溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板である。
CR ≧ 6673×t-1.65−200×β/t ‥‥(7)
を満足する冷却速度CR(℃/s)で539℃以下の温度域まで加速冷却を行い、板厚の1/4位置と板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110) Q と(110) M が2.0以下であり、前記板厚中央位置における板面に平行な(100)面と(111)面のX線回折強度比(100) M と(111) M が次(3)〜(5)式
2.0×(110) M ≦ (100) M ≦ 6.0×(110) M ‥‥(3)
2.5×(110) M ≦ (111) M ≦ 7.0×(110) M ‥‥(4)
(100) M ≦ (111) M ‥‥(5)
を満足し、さらに前記板厚の1/4位置にて、ベイナイト組織を有し、該ベイナイト組織とフェライト組織の合計面積分率が80%を超え、残部がパーライト組織および/またはマルテンサイト組織からなる組織を有する鋼板とする溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板の製造方法である。
C:0.02〜0.25質量%
Cは、溶接構造物用鋼板の強度を確保するために、0.02質量%以上の添加が必要である。しかし、0.25質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性が阻害される。したがって、Cの含有量は0.02〜0.25質量%とする。好ましくは0.05〜0.20質量%である。
Siは、素材の溶製工程で脱酸剤として有効であり、溶接構造物用鋼板の強度を確保するために、0.01質量%以上が必要である。しかし、0.50質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性と靭性が劣化する。したがって、Siの含有量は0.01〜0.50質量%とする。好ましくは0.05〜0.40質量%である。
Mnは、安価に入手することができ、溶接構造物用鋼板の焼入れ性を高めて強度を向上し、かつ靭性を向上する観点から、0.5質量%以上が必要である。しかし、2.0質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性が劣化する。したがって、Mnの含有量は0.5〜2.0質量%とする。好ましくは0.5〜1.8質量%である。
Pは、溶接構造物用鋼板の靭性を劣化させる作用を有するので、その含有量はできるだけ低くする必要がある。したがって、Pの含有量は0.05質量%以下とする。好ましくは0.0001〜0.03質量%である。
S:0.02質量%以下
Sは、溶接構造物用鋼板の靭性を劣化させる作用を有するので、その含有量はできるだけ低くする必要がある。したがって、Sの含有量は0.02質量%以下とする。好ましくは0.0001〜0.01質量%である。
Cu:1.0質量%以下
Cuは、固溶によって溶接構造物用鋼板の強度を向上させ、耐候性も向上させる作用を有する。しかし、その含有量が1.0質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性を損なうばかりでなく、鋼板の製造工程にて疵が発生しやすくなる。したがって、Cuの含有量は1.0質量%以下が好ましい。より好ましくは0.01〜0.5質量%である。
Niは、溶接構造物用鋼板の低温靭性を向上させ、耐候性も向上させる作用を有する。さらに、Cuを添加した場合に生じる熱間脆性を抑える効果を有する。しかし、その含有量が2.0質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性を損なうばかりでなく、製造コストの上昇を招くことがある。したがって、Niの含有量は2.0質量%以下が好ましい。
Crは、溶接構造物用鋼板の強度を向上させ、耐候性も向上させる作用を有する。しかし、その含有量が1.0質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性と靭性を損なうことがある。したがって、Crの含有量は1.0質量%以下が好ましい。
Mo:1.0質量%以下
Moは、溶接構造物用鋼板の強度を向上させる作用を有する。しかし、その含有量が1.0質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性と靭性を損なうことがある。したがって、Moの含有量は1.0質量%以下が好ましい。より好ましくは0.01〜0.5質量%である。
Nbは、溶接構造物用鋼板を得るための圧延工程におけるオーステナイト再結晶を抑制して、結晶粒を細粒化させるとともに、析出によって強度を向上させる作用を有する。しかし、その含有量が0.1質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の靭性を損なうことがある。したがって、Nbの含有量は0.1質量%以下が好ましい。より好ましくは0.001〜0.07質量%である。
Vは、析出によって溶接構造物用鋼板の強度を向上させる作用を有する。しかし、その含有量が0.1質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性と靭性を損なうことがある。したがって、Vの含有量は0.1質量%以下が好ましい。より好ましくは0.001〜0.07質量%である。
Tiは、溶接構造物用鋼板の強度を向上させ、かつ溶接部の靭性を改善する作用を有する。しかし、その含有量が0.1質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の製造コストの上昇を招くことがある。したがって、Tiの含有量は0.1質量%以下が好ましい。より好ましくは0.001〜0.05質量%である。
Bは、溶接構造物用鋼板の焼入れ性を高めて強度を向上する作用を有する。しかし、その含有量が0.005質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の溶接性を損なうことがある。したがって、Bの含有量は0.005質量%以下が好ましい。より好ましくは0.0001〜0.003質量%である。
Caは、介在物の形態制御を通じて、溶接構造物用鋼板の強度と靭性を向上させる作用を有する。しかし、その含有量が0.010質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の靭性が劣化することがある。したがって、Caの含有量は0.010質量%以下が好ましい。より好ましくは0.0001〜0.005質量%である。
REMは、介在物の形態制御を通じて、溶接構造物用鋼板の延性と靭性を向上させる作用を有する。しかし、その含有量が0.010質量%を超えると、溶接構造物用鋼板の靭性が劣化することがある。したがって、REMの含有量は0.010質量%以下が好ましい。より好ましくは0.0001〜0.005質量%である。
本発明の溶接構造物用鋼板では、上記した通り、溶接性も考慮して成分を設計しているが、溶接性を一層向上するために、次(1)式
Ceq=[C]+([Mn]/6)+(〔[Cr]+[Mo]+[V]〕/5)+(〔[Ni]+[Cu]〕/15)
・・・(1)
(ここで、[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Ni]、[Cu]:各元素の含有量(質量%)、含有しない場合は0とする。)
で算出される炭素等量Ceqを0.42質量%以下、次(2)式
Pcm=[C]+([Si]/30)+([Mn]/20)+([Cu]/20)+([Ni]/60)+([Cr]/20)
+([Mo]/15)+([V]/10)+5[B] ・・・(2)
(ここで、[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Ni]、[Cu]、[Si]、[B]:各元素の含有量(質量%)、含有しない場合は0とする。)
で算出される溶接割れ感受性組成Pcmを0.28質量%以下とする。
本発明の溶接構造物用鋼板は、板厚の1/4位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qと板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Mがいずれも2.0以下であり、かつ板厚中央位置における板面に平行な(100)面のX線回折強度比(100)Mと(111)面のX線回折強度比(111)Mが次(3)〜(5)式
2.0×(110)M ≦ (100)M ≦ 6.0×(110)M ・・・(3)
2.5×(110)M ≦ (111)M ≦ 7.0×(110)M ・・・(4)
(100)M ≦ (111)M ・・・(5)
を満足することを特徴とする。
そこで本発明では、過度に板厚方向のみの疲労き裂伝ぱ速度が低下しないように、板厚の1/4位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qと板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Mを、いずれも2.0以下に限定する。(110)Qと(110)Mが2.0を超えると、板幅方向や板長方向の疲労き裂伝ぱ速度が上昇し、疲労き裂伝ぱ速度の方向依存性が大きくなるからである。
2.0×(110)M ≦ (100)M ≦ 6.0×(110)M ・・・(3)
2.5×(110)M ≦ (111)M ≦ 7.0×(110)M ・・・(4)
(100)M ≦ (111)M ・・・(5)
を満足するように限定する。
所定の成分を有する鋼材(たとえばスラブ等)を、900〜1300℃に加熱し、Ar3変態点以上で累積圧下率を50%以上となる圧延を行なった後、Ar3−80℃以上の温度域から、板厚t(mm)と次(6)式
CR ≧ 6673×t-1.65−200×β/t ‥‥(7)
を満足する冷却速度CR(℃/s)で600℃以下の温度域まで加速冷却を行う。なお、加速冷却が終了した後に、400℃以上Ac1変態点未満の温度域に加熱する焼戻しを行なうことができる。
鋼材の加熱温度が900℃未満では、その後の圧延における温度の規定を満足できない。一方、1300℃を超えると、結晶粒が粗大化するので、溶接構造物用鋼板の靭性を確保できない。したがって、鋼材の加熱温度は900〜1300℃とする。
Ar3(℃)=910−310[C]−80[Mn]−20[Cu]−15[Cr]−55[Ni]−80[Mo]
(ここで、[C]、[Mn]、[Cu]、[Cr]、[Ni]、[Mo]:各元素の含有量(質量%))
圧延の温度がAr3変態点未満では、フェライト組織が生成して、溶接構造物用鋼板の強度が低下する。また圧延によって、フェライトの集合組織が発達するので、疲労き裂伝ぱ速度の方向依存性が顕著に発現する。
圧延後、Ar3−80℃以上の温度域から、(7)式を満足する冷却速度CR(℃/s)で600℃以下の温度域まで加速冷却する。
加速冷却の開始温度がAr3−80℃未満、あるいは加速冷却の停止温度が600℃を上回る場合、フェライト組織とパーライト組織の混合組織が形成されるので、溶接構造物用鋼板の強度の向上は得られない。
RK=6673×t-1.65 ‥‥(8)
の累乗則で概ね近似できることを見出した。(8)式は、同一冷却形式で冷却した場合に、板厚tにより決まる板厚1/4位置における冷却速度の上限を表わしている。
鋼板の組織は、化学成分と、オーステナイト域からの冷却速度と、の組合せにより、決まることはすでに広く知られており、このことから、上記した所望の組織を得るためには、化学成分と冷却速度との関係を考慮する必要がある。
そこで、本発明者らは、板厚が厚い場合を想定し、板厚:100mmの鋼板について、所望の組織を得るための下限の冷却速度を調査した。
CR ≧ 6673×t-1.65−200×β/t ‥‥(7)
を得た。
なお、(7)式では、板厚が薄い場合には、計算される下限の冷却速度CRは、実際に目標組織が得られる下限の冷却速度より大きくなるが、生産性の向上という観点から、(7)式を用いることとした。
また、目標板厚、加速冷却装置の冷却能が決定されれば、(7)式によりβをベースとした成分設計も可能となり、省成分(成分含有量の削減)の観点から、製造コスト削減にも繋がる。
Ac1(℃)=723−14[Mn]+22[Si]−14.4[Ni]+23.3[Cr]
で算出される。式中の[Mn]、[Si]、[Ni]、[Cr]は、それぞれの元素の含有量(質量%)である。
また、板厚の1/4位置から採取した試験片を研磨した後に、2%ナイタール腐食液でエッチングし、さらにその面を光学顕微鏡(倍率:×100〜×400)で観察してベイナイト組織とフェライト組織の合計面積分率、パーライト組織の面積分率を求めた。その結果を表3に示す。なお面積分率は、1試験片について5視野ずつ測定し、その平均値を表3に示す。
引張特性は、日本海事協会鋼船規則に準じて、試験片長さ方向を圧延直角方向とし、板厚40mm以下の鋼板では全厚で採取したU1号試験片、板厚40mm超えの鋼板では板厚の1/4位置から採取したU14A号試験片で引張試験を行ない、降伏点または0.2%耐力が390MPa以上、引張強さが510MPa以上、伸びが20%以上を合格とした。
耐疲労き裂伝ぱ特性は、CT試験片を用いて、ASTM規格E647に準拠して調査した。CT試験片は、板厚25mm以下の鋼板では全厚、板厚25mm超え50mm以下の鋼板では板厚/2中心−25mm両面減厚、板厚50mmの鋼板では板厚/4中心−25mm両面減厚とし、圧延直角方向(すなわち板幅方向)に疲労き裂が進展する試験片、圧延方向(すなわち板長方向)に疲労き裂が進展する試験片を作製して、応力比0.1、周波数20Hz、室温大気中にて試験した。
ΔK=Δσ(πa)1/2F(a/W)
(ここで、F(a/W)=1.12−0.231(a/W)+10.55(a/W)2−21.72(a/W)3+30.39(a/W)4)
を用いて計算した。式中のΔσは応力範囲、aはき裂長さ(機械切欠き2と疲労き裂3との合計長さ)、Wは試験片幅(板厚)である。また、図3中の寸法を示す数字の単位はmmである。
得られた結果は表4に示す通りである。
これに対して、CとSiの含有量が本発明の範囲を超える鋼板No.14、MnとPとSの含有量が本発明の範囲を超える鋼板No.15は、炭素当量Ceqが0.42質量%を超え、溶接割れ感受性組成Pcmが0.28質量%を超えており、延性、靭性、溶接性が劣る。
加熱温度が本発明の範囲を下回り、結果としてAr3変態点以上の累積圧下率が50%に満たず、フェライトの生成温度域で圧延し、冷却開始温度が本発明の範囲を下回る鋼板No.17は、(110)Qと(110)Mが2.0を超え、(110)Mと(100)Mと(111)Mが(3)〜(5)式を満足しない。また、パーライト組織が多く生成したため、ベイナイト組織とフェライト組織の合計面積率が80%を下回る。それ故、鋼板No.17は、強度が低くなり、板厚方向の疲労き裂伝ぱ速度は低いが、その他の方向の疲労き裂伝ぱ速度は高い。
焼戻し温度が本発明の範囲を上回る鋼板No.22は、靭性が劣る。
2 機械切欠き
3 疲労き裂
4 SENT試験片
5 クラックゲージ
Claims (5)
- C:0.02〜0.25質量%、Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、P:0.05質量%以下、S:0.02質量%以下、sol.Al:0.025〜0.045質量%を含有し、さらに、Nb:0.009〜0.1質量%およびV:0.012〜0.1質量%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記(1)式で算出される炭素当量Ceqが0.407質量%以下、下記(2)式で算出される溶接割れ感受性組成Pcmが0.28質量%以下である組成を有し、かつ板厚の1/4位置と板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110)Qと(110)Mが2.0以下であり、前記板厚中央位置における板面に平行な(100)面と(111)面のX線回折強度比(100)Mと(111)Mが下記(3)〜(5)式を満足し、さらに前記板厚の1/4位置にて、ベイナイト組織を有し、該ベイナイト組織とフェライト組織の合計面積分率が80%を超え、残部がパーライト組織および/またはマルテンサイト組織からなる組織を有することを特徴とする溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板。
記
Ceq=[C]+([Mn]/6)+(〔[Cr]+[Mo]+[V]〕/5)+(〔[Ni]+[Cu]〕/15) ‥‥(1)
Pcm=[C]+([Si]/30)+([Mn]/20)+([Cu]/20)+([Ni]/60)+([Cr]/20)
+([Mo]/15)+([V]/10)+5[B] ‥‥(2)
ここで、[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Ni]、[Cu]、[Si]、[B]:各元素の含有量(質量%)、含有しない場合には0とする。
2.0×(110)M ≦ (100)M ≦ 6.0×(110)M ‥‥(3)
2.5×(110)M ≦ (111)M ≦ 7.0×(110)M ‥‥(4)
(100)M ≦ (111)M ‥‥(5) - 前記溶接構造物用鋼板が、前記組成に加えて、Cu:1.0質量%以下、Ni:2.0質量%以下、Cr:1.0質量%以下、Mo:0.47質量%以下、Ti:0.1質量%以下、B:0.005質量%以下、Ca:0.010質量%以下、REM:0.010質量%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板。
- C:0.02〜0.25質量%、Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.5〜2.0質量%、P:0.05質量%以下、S:0.02質量%以下、sol.Al:0.025〜0.045質量%を含有し、さらに、Nb:0.009〜0.1質量%およびV:0.012〜0.1質量%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、下記(1)式で算出される炭素当量Ceqが0.407質量%以下、下記(2)式で算出される溶接割れ感受性組成Pcmが0.28質量%以下である組成を有する鋼材を、900〜1300℃に加熱し、Ar3変態点以上で累積圧下率を50%以上となる圧延を行なった後、Ar3−80℃以上の温度域から、板厚t(mm)と下記(6)式で定義する成分指標βから算出される下記(7)式を満足する冷却速度CR(℃/s)で539℃以下の温度域まで加速冷却を行い、板厚の1/4位置と板厚中央位置における板面に平行な(110)面のX線回折強度比(110) Q と(110) M が2.0以下であり、前記板厚中央位置における板面に平行な(100)面と(111)面のX線回折強度比(100) M と(111) M が下記(3)〜(5)式を満足し、さらに前記板厚の1/4位置にて、ベイナイト組織を有し、該ベイナイト組織とフェライト組織の合計面積分率が80%を超え、残部がパーライト組織および/またはマルテンサイト組織からなる組織を有する鋼板とすることを特徴とする溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板の製造方法。
記
Ceq=[C]+([Mn]/6)+(〔[Cr]+[Mo]+[V]〕/5)+(〔[Ni]+[Cu]〕/15) ‥‥(1)
Pcm=[C]+([Si]/30)+([Mn]/20)+([Cu]/20)+([Ni]/60)+([Cr]/20)
+([Mo]/15)+([V]/10)+5[B] ‥‥(2)
ここで、[C]、[Mn]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Ni]、[Cu]、[Si]、[B]:各元素の含有量(質量%)、含有しない場合には0とする。
2.0×(110) M ≦ (100) M ≦ 6.0×(110) M ‥‥(3)
2.5×(110) M ≦ (111) M ≦ 7.0×(110) M ‥‥(4)
(100) M ≦ (111) M ‥‥(5)
CR ≧ 6673×t-1.65−200×β/t ‥‥(7) - 前記鋼材が、前記組成に加えて、Cu:1.0質量%以下、Ni:2.0質量%以下、Cr:1.0質量%以下、Mo:0.47質量%以下、Ti:0.1質量%以下、B:0.005質量%以下、Ca:0.010質量%以下、REM:0.010質量%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載の溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板の製造方法。
- 前記加速冷却が終了した後、さらに400℃以上Ac1変態点未満の温度域に加熱する焼戻しを行なうことを特徴とする請求項3または4に記載の溶接性および耐疲労き裂伝ぱ特性に優れた溶接構造物用鋼板の製造方法。
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