JP2002241891A - 塑性変形後の脆性き裂伝播停止特性ならびに疲労き裂伝播特性に優れた構造用鋼材およびその製造方法 - Google Patents
塑性変形後の脆性き裂伝播停止特性ならびに疲労き裂伝播特性に優れた構造用鋼材およびその製造方法Info
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Abstract
裂伝播停止特性と疲労き裂伝播特性とを有する構造用鋼
材を提供する。 【解決手段】 鋼素材を、加熱後、1000〜900℃の温度
域における累積圧下率を15%以上、900〜725℃における
累積圧下率を75%以上、圧延終了温度を850〜725℃とす
る条件で熱間圧延し、その後、5℃/s以上の冷却速度で
400℃まで冷却することにより、圧延面での(211)面のX
線強度比が1.5以上で、かつ(100)面のX線強度比よりも
大きい集合組織とする。
Description
物、低温貯蔵タンク、ラインパイプおよび建築・土木構
造物等の各種構造物に使用される鋼材およびその製造方
法に関するものである。
インパイプおよび建築・土木構造物等の大型構造物に使
用される鋼材は、高い靱性を具えることが必要であり、
靭性の確保、とりわけ脆性き裂伝播停止特性を確保する
ことに多大な努力が払われてきた。しかし、これらの構
造物に使用される鋼材は、一旦、塑性変形を受けた部分
では、脆性き裂伝播停止特性が劣化する場合があった。
例えば、船舶が衝突することによって塑性変形を受けた
部分が、衝撃荷重を再び受けるような場合がそれであ
る。
脆性き裂の進行に伴って吸収し得るエネルギー量に依存
しているため、き裂の進展方向を変化させるか、サブク
ラックの発生などにより、進展き裂前縁での応力集中を
緩和する手法が有効であると考えられていた。
上させる具体的手段としては、古くから、Ni添加量を増
加する方法が知られており、LNG貯槽タンクにおいて
は、9%Ni鋼が商業規模で使用されている。しかし、Ni
量の増加は、鋼材コストの大幅な上昇を招くため、他の
用途への適用の妨げとなっている。
昇させることなく、脆性き裂伝播停止特性を向上させる
新たな技術が提案されている。例えば、特開平9-176731
号公報には、C:0.03mass%未満、Si:0.5mass%以
下、Mn:1.0〜2.0mass%、Ti:0.005〜0.20mass%、
B:0.0003〜0.0050mass%およびN:0.0050mass%未満
を含み、遅い冷却速度でベイナイト単相組織となるよう
に成分設計した鋼に、高温域圧延を行うことにより、微
細なサブクラックを発生可能にする組織を導入して、脆
性き裂伝播停止特性を向上させる方法が開示されてい
る。
受ける前の母材の脆性き裂伝播停止特性は確保できるも
のの、塑性変形を受けた後の脆性き裂伝播停止特性を確
保するには十分ではなかった。すなわち、船舶、海洋構
造物、低温貯蔵タンク、ラインパイプ、建築・土木構造
物等の大型構造物が、衝突等により大規模な塑性変形を
受けた場合には、この程度の脆性き裂伝播停止特性では
なお不十分であった。
等の大型構造物においては、疲労破壊も大きな問題とな
る。特開平5-148541号公報には、疲労強度を向上させる
ために、疲労き裂先端にマイクロクラックを多数発生さ
せて、疲労き裂の伝播を遅延させ、高疲労強度を有する
鋼板が開示されている。しかし、この技術では、板厚方
向の疲労き裂伝播特性の向上は図れるものの、マイクロ
(サブ)クラックが板表面に平行に発生するため、板厚以
外の方向での効果が小さいという問題があった。
な合金元素に頼ることなく、塑性変形を受けた後におい
ても脆性き裂伝播停止特性ならびに疲労き裂伝播特性が
優れた特性を示す構造用鋼材を提供することにある。
解決に向けて鋭意検討したところ、適切な成分設計を行
い、圧延面に(211)面を発達させると、塑性変形を受け
た後の脆性き裂伝播停止特性の劣化を最小限に食い止め
ることができると共に、疲労き裂伝播速度が遅くなるこ
とを見いだし、下記構成に係る本発明を完成するに至っ
た。
が、(100)面X線強度比よりも大きく、かつ1.5以上の集
合組織を有することを特徴とする塑性変形後の脆性き裂
伝播停止特性ならびに疲労き裂伝播特性に優れた構造用
鋼材である。
1)面X線強度比が1.8以上であることが好ましい。
C:0.03mass%以下、Si:0.5mass%以下、Mn:1.0〜2.
0mass%、B:0.0003〜0.0050mass%およびN:0.0050m
ass%以下を含み、かつTi:0.005〜0.20mass%およびN
b:0.005〜0.20mass%のうちから選んだ少なくとも1種
を含み、残部:Feおよび不可避的不純物からなり、金属
組織がベイナイト単相からなるものであることが好まし
い。
に加えてさらに、鋼組成が、上記成分に加えてさらに、
Cu:0.7〜2.0mass%、V:0.005〜0.2mass%、Ni:2.0m
ass%以下、Cr:0.5mass%以下、Mo:0.5mass%以下、
W:0.5mass%以下およびZr:0.5mass%以下のうちから
選んだ少なくとも1種を含有すること、さらには、RE
M(希土類元素):0.02mass%以下およびCa:0.0040mass
%以下のうちから選んだ少なくとも1種を含有すること
が好ましい。
素材を、950〜1350℃の温度に加熱し、次いで、1000〜9
00℃の温度域における累積圧下率15%以上、900〜725℃
における累積圧下率75%以上、圧延終了温度850〜725℃
の条件にて熱間圧延することを特徴とする構造用鋼材の
製造方法を提案する。
し、その後、5℃/s以上の冷却速度で400℃まで冷却す
ることが好ましい。
板厚内部の集合組織と塑性変形後の脆性き裂伝播停止特
性および疲労き裂伝播特性との関係について詳細に調査
した。その結果、鋼材は、その圧延面に(211)面を発達
させた場合には、塑性変形後の脆性き裂伝播停止特性を
向上させ、疲労き裂伝播速度を低下させうることがわか
った。この調査において、板厚内部の集合組織の発達程
度を示す圧延面での(211)面のX線強度比が(100)面のX
線強度比よりも大きく、かつ1.5以上である場合に、引
張予歪(〜10%)の塑性変形を付与した種々の鋼材におけ
る脆性き裂伝播停止特性が大幅に向上し、さらに、(21
1)面のX線強度比が(100)面のX線強度比よりも大き
く、かつ1.8以上である場合にとくに、疲労き裂伝播速
度を低下し得ることを知見したのである。なお、ここで
いうX線強度比とは、X線的に無方向性試料(鋼材)に対
する比を意味する。
ノッチシャルピー衝撃試験で測定した破面遷移温度で評
価した。この温度が低いほど良好な特性を有していると
言える。一般に、破面遷移温度は、引張予歪の付与によ
り高温側へ移行することが知られているが、本発明は、
(211)面のX線強度比が1.5以上で、しかも(100)面のX
線強度比よりも大きくなると、破面遷移温度の高温側へ
の移行量は小さくなるという新しい知見に基づくもので
ある。なお、プレスノッチシャルピー試験は、脆性き裂
伝播停止特性を評価するためのESSO試験や二重引張
試験と同等に用いられる簡便な試験であり、DWTT試
験とも呼ばれて広く知られている。本発明でいう集合組
織の測定個所は、基本的には板厚方向位置のいずれであ
っても良いが、最表面での測定値は鋼材全体の値を代表
しない場合があるので、最表面を除く位置で測定するの
が好ましい。さらに好ましくは、板厚の中央で測定する
のがよい。
が、良好な脆性き裂伝播停止特性および疲労き裂伝播特
性を示す理由は必ずしも明確ではないが、発明者らの実
施した試験片の破面観察の結果から、次のことが考えら
れる。すなわち、(211)面のX線強度比が1.5以上で、か
つ(100)面のX線強度比よりも大きい鋼材では、引張予
歪により微細なサブクラックが発生しやすくなり、サブ
クラックによるき裂先端の応力緩和が起こる。その結果
として、引張予歪によるマトリックス(生地金属)の靱性
低下が補われ、破面遷移温度の上昇が抑制できたものと
考えられる。また、(211)面のX線強度比が1.8以上で、
かつ(100)面のX線強度比よりも大きい鋼材では、引張
予歪を付与しなくとも、疲労き裂先端に微細なサブクラ
ックが板表面に平行な面およびそれ以外の面にも発生し
易くなり、これらサブクラックが疲労き裂進展の障害に
なり、疲労き裂伝播速度が遅くなるものと考えられる。
特性を得るためには、適正な集合組織とすることが必要
である。また、鋼材の組織は、ベイナイト単相が好まし
く、そのためには、鋼材の化学成分と製造条件を適切な
範囲にするとよい。
が、まず、成分組成について説明する。 C:0.03mass%以下 Cは、ベイナイト単相組織を得るために、0.03mass%以
下に制限することが好ましい。0.03mass%以下のC含有
量では、炭化物を含むパーライトが出現しなくなり、ま
た、(211)面が(100)面よりも優先的に成長し、脆性き裂
伝播停止特性等の向上に有利な集合組織が形成される。
0.03mass%を超えたC量では、マルテンサイトを局部的
に生成しすくなり、硬さが上昇して溶接性および靱性の
劣化を招く傾向がある。このため、C量は0.03mass%以
下とするのがよい。なお、C含有量を低くし過ぎても、
前記効果が減少することはないが、製鋼上のコスト、ま
た後述するNb,V等の析出による材質向上効果を利用す
ることを勘案して、その含有量を0.005mass%以上とす
ることが好ましい。
生成を抑制するとともに靱性を劣化させる傾向があるの
で、上限を0.5mass%とするのがよい。なお、脱酸およ
び強度確保の点から、0.02mass%以上含有することが好
ましい。
が(100)面よりも優勢な集合組織を形成して、脆性き裂
伝播停止特性を向上させるのに有効な元素である。この
ような効果を得るには1.0mass%以上の含有量とするの
がよい。しかし、2.0mass%を超えて含有すると、焼入
れ性が増して、マトリックスが硬化し、靱性が劣化する
傾向がある。
ェライトの生成を抑制し、ベイナイト組織を安定して得
るのに好適な元素である。こうした効果を得るには0.00
03mass%以上の添加が好ましいが、0.0050mass%を超え
て含有してもその効果が飽和して経済的に不利となる。
するため、ベイナイト組織の安定形成には有害な元素で
ある。また、溶接熱影響部(HAZ:Heat Affected Zon
e)では、固定されていたNが再固溶することにより、靱
性が劣化する。このため、N含有量は0.0050mass%以下
に制限するのが好ましい。
加熱工程におけるオーステナイト粒の成長を抑制して細
粒化に寄与するとともに、HAZの結晶粒粗大化を抑制
し、HAZの靱性を向上させる元素である。また、Ti
は、Nを固定して、上記Bの添加効果を助長する。さら
に、Tiは、固溶状態で、ベイナイト変態を促進する。こ
れらの効果を発揮させるには、少なくとも0.005mass%
の含有が好ましいが、過度の含有は靱性を劣化させる傾
向があるので、0.20mass%を上限とするのがよい。
性を高めるとともに、析出強化および靱性向上に有効な
元素である。また、オーステナイトの再結晶を抑制し、
後述する圧延による効果を促進する。これらの効果を得
るためには、0.005mass%以上の含有が好ましい。しか
し、0.20mass%を超えて含有すると、焼入れ組織が針状
となり、靱性が劣化する傾向にあるため、0.20mass%を
上限とする。
じて、以下に説明する元素を含有することができる。 Cu:0.7〜2.0mass% Cuは、析出強化作用を有する元素であり、かかる効果を
発現させるためには0.7mass%以上の含有が好ましい。
しかし、2.0mass%を超えて含有すると、析出強化が過
多となり靱性が劣化する。
が、このような効果を得るためには、0.005mass%以上
の含有が好ましい。一方、0.2mass%を超える含有は、
ベイナイト変態を阻害するため、0.2mass%を上限とす
る。
圧延時における割れを防止するのに有効な元素であり、
添加する場合は0.05mass%以上とするのが好ましい。し
かし、過剰に添加してもその効果が飽和するほか、高価
な元素でもあるので、2.0mass%以下の範囲で含有させ
ることが好ましい。
以上含有させることが好ましい。しかし、0.5mass%を
超えて含有すると溶接部の靱性が劣化するため、Cr含有
量は0.5mass%以下の範囲とすることが好ましい。
るため、0.05mass%以上含有させることが好ましい。し
かし、0.5mass%を超えて含有すると、溶接性が劣化す
るため、含有量は0.5mass%以下の範囲とするのが好ま
しい。
05mass%以上含有させることが好ましい。しかし、0.5m
ass%を超えると靱性を劣化させるだけでなく、高価で
もあるので、0.5mass%以下の範囲で含有するのが好ま
しい。
割れ性を向上させる元素であり、0.05mass%以上含有す
ることが好ましい。しかし、0.5mass%を超えて含有す
ると溶接部靱性が劣化するので、Zr含有量は0.5mass%
を上限とするのが好ましい。
とよい。 REM:0.02mass%以下 REM(希土類金属)は、オーステナイト粒の粒成長を抑
制して靱性を向上させる元素であり、好ましい含有量は
0.001mass%以上である。しかし、0.02mass%を超える
含有量では、鋼の清浄度を損ない、かえって靱性を劣化
させる。したがって、REMの含有量は0.02mass%以下
とするのが好ましい。このREMとしては、Sc,Yおよ
び原子番号57のLaから原子番号71のLuまでを用いること
ができるが、とくにLa,Ceが入手のし易さから好適であ
る。
とが可能である。とくに、このCaは、鋼中硫化物の形態
制御を通じて、板厚方向の靱性改善に有効な元素であ
る。しかし、Ca含有が0.004mass%を超えると、かえっ
て靱性低下や溶接性劣化を招くので、0.004mass%を上
限とするのが好ましい。なお、REMとCaとを同時添加
する場合には、両成分の合計含有量を0.005mass%未満
とすることがより好ましい。
優れた脆性き裂伝播停止特性と疲労き裂伝播特性を有す
るが、より一層優れた靱性、とりわけ塑性変形後の脆性
き裂伝播停止特性と疲労き裂伝播特性を確保するには、
次に示す製造工程が有利に適合する。
素材(スラブ)を、まず950〜1350℃の温度に加熱する。
加熱温度を950℃以上とするのは、材質の均質化と後述
する制御圧延を行うために必要な加熱であり、また1350
℃以下とするのは、余りに高温になると表面酸化ロスが
顕著になり、また低Cに由来する急激な結晶粒の粗大化
が避けられなくなるからである。なお、靱性の向上のた
めには、上限を1150℃とすることが好ましい。
度域における累積圧下率が15%以上となる、熱間圧延を
施す。この温度域で圧延することによって、オーステナ
イト粒が部分的に再結晶するため、組織が微細かつ均一
になり、靭性が向上する。このような作用は、従来鋼に
おいては、1000℃以上の温度域で圧延しないと発現しな
いのが通常であるが、この発明に適合する組成の鋼で
は、900〜1000℃においてもその効果が現れ、比較的低
温で十分な圧延を行うことにより、再結晶粒の成長を効
果的に抑制できる。なお、1000℃を超える温度での圧延
は、オーステナイト粒の成長を助長するので、細粒化の
ためには好ましくない。一方、900℃未満では、未再結
晶域に入るので結晶粒の均一化のためには好ましくな
い。
を75%以上とし、圧延終了温度を850〜725℃として熱間
圧延する。この温度域での圧延の目的は、再結晶してい
ない残りのオーステナイト粒を、圧延により加工して一
層の細粒化を図るとともに、微細オーステナイト粒内に
歪を導入しながら集合組織を形成し、ベイナイト変態に
よるマトリックスの強化と集合組織の受け継ぎを達成す
ることにある。725℃未満で圧延を行うと、二相域の圧
下量の比率が大きくなり、(100)面が過度に発達し、特
に板厚方向の強度・靱性に悪影響を与える。一方、900
℃を超える温度で圧延を行うと、未再結晶オーステナイ
ト粒を圧延加工することにならなくなる。また、前記温
度域における累積圧下率が75%未満となるか、圧延終了
温度が850℃を超える高い温度になると、十分な細粒化
と(211)面の多い集合組織が得られず、塑性変形による
脆性き裂伝播停止特性の劣化程度が大きくなる。さら
に、疲労き裂伝播特性の向上を図るためには、900〜725
℃における累積圧下率を80%以上とするのが好ましい。
0℃まで冷却するのが望ましい。その理由は、400℃まで
を5℃/s以上で冷却することにより、(211)面が優勢な
集合組織の受け継ぎが促進され、塑性変形後の脆性き裂
伝播停止特性が劣化しにくくなり、疲労き裂伝播特性が
向上する。さらに、かかる条件で冷却すると、(211)面
のX線強度比がより強くなり、サブクラックの発生がよ
り一層促進され、き裂がし易くなるからである。なお、
上記冷却において、好ましい冷却開始温度は700℃以上
である。
ラブを用いて、表2に示す条件に従って、厚鋼板を製造
した。かくして得られた各厚鋼板について、(211)面と
(100)面のX線強度比の測定と金属組織の観察を行うと
ともに、圧延のままと、これに10%の引張塑性歪を付与
した後における脆性き裂伝播停止特性および引張予歪前
後での疲労き裂伝播特性を調査した。上記X線強度比
は、鋼板の板厚中心部における圧延面において、反転極
点図法を用いて測定した。脆性き裂伝播停止特性は、日
本溶接協会の鋼種認定試験方法に規定される方法に従っ
て、500mmの正方形試片に29mm深さのノッチを加工した
試験(ESSO試験)により、脆性き裂伝播停止特性(Kc
a値)が6000N/mm2を示す温度(Tk)を求めることにより
評価した。疲労き裂伝播特性は、ASTM E647-95aに準拠
して試験を実施し、応力拡大係数範囲(ΔK値)が50MPa・
m1/2における疲労き裂伝播速度(da/dN値)を求めて評
価した。da/dNの a は疲労き裂の長さ、N は負荷を与
えた回数である。その結果、本発明に従う発明例では、
引張予歪による遷移温度(Tk)の高温側への移行量が15℃
未満と小さく、かつ、塑性歪付与後にも2.5×10-7(m/
回)を下回る、優れた脆性き裂伝播停止特性が得られて
おり、特に、(211)面のX線強度比が1.8より大きい発明
例においては、疲労き裂伝播速度が1.0×10-7(m/回)以
下と小さく、さらに優れた疲労き裂伝播特性が得られて
いることがわかる。
ば、脆性き裂伝播停止特性に優れた、とりわけ塑性歪付
与後の脆性き裂伝播停止特性に優れた鋼材および疲労き
裂伝播特性に優れた鋼材を提供することができる。本発
明鋼材は、船舶などが万一の衝突事故により大きな塑性
歪を受けた場合でも、脆性破壊の危険性を回避できると
共に寿命の延長が図れ、鋼構造物の安全性を確保するう
えで大きく寄与する。
Claims (7)
- 【請求項1】圧延面での(211)面X線強度比が、(100)面
X線強度比よりも大きく、かつ1.5以上の集合組織を有
することを特徴とする塑性変形後の脆性き裂伝播停止特
性ならびに疲労き裂伝播特性に優れた構造用鋼材。 - 【請求項2】前記圧延面での(211)面X線強度比が1.8以
上であることを特徴とする請求項1に記載の構造用鋼
材。 - 【請求項3】鋼組成が、C:0.03mass%以下、Si:0.5m
ass%以下、Mn:1.0〜2.0mass%、B:0.0003〜0.0050m
ass%およびN:0.0050mass%以下を含み、かつTi:0.0
05〜0.20mass%およびNb:0.005〜0.20mass%のうちか
ら選んだ少なくとも1種を含み、残部:Feおよび不可避
的不純物からなり、金属組織がベイナイト単相からなる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の構造用鋼
材。 - 【請求項4】鋼組成が、上記成分に加えてさらに、Cu:
0.7〜2.0mass%、V:0.005〜0.2mass%、Ni:2.0mass
%以下、Cr:0.5mass%以下、Mo:0.5mass%以下、W:
0.5mass%以下およびZr:0.5mass%以下のうちから選ん
だ少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項3
に記載の構造用鋼材。 - 【請求項5】鋼組成が、上記成分に加えてさらに、RE
M(希土類元素):0.02mass%以下およびCa:0.004mass
%以下のうちから選んだ少なくとも1種を含有すること
を特徴とする請求項3または4に記載の構造用鋼材。 - 【請求項6】請求項3〜5のいずれか1項に記載の成分
組成を有する鋼素材を、950〜1350℃の温度に加熱し、
次いで、1000〜900℃の温度域における累積圧下率15%
以上、900〜725℃における累積圧下率75%以上、圧延終
了温度850〜725℃の条件にて熱間圧延することを特徴と
する構造用鋼材の製造方法。 - 【請求項7】熱間圧延を終了した後、5℃/s以上の冷却
速度で400℃まで冷却することを特徴とする請求項6に
記載の製造方法。
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