JP4899816B2 - 銅被覆ポリイミド基板とその製造方法 - Google Patents

銅被覆ポリイミド基板とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、銅被覆ポリイミド基板とその製造方法に関し、さらに詳しくは、チップオンフィルム(COF)の折り曲げ実装時に求められる耐屈曲性において、MIT耐折性試験(JIS C 5016)により200回以上の折曲げ性が得られ、折曲げに対する耐久性に優れる半導体実装用の銅被覆ポリイミド基板とその製造方法に関する。
近年、銅被覆ポリイミド基板は、液晶画面に画像を表示するための駆動用半導体を実装するための半導体実装用の基板として汎用されている。ポリイミドフィルムは、優れた耐熱性を有し、しかも機械的、電気的及び化学的特性においても他のプラスティック材料に比べ遜色のないことから、例えば、プリント配線板(PWB)、フレキシブルプリント配線板(FPC)、テープ自動ボンディング用テープ(TAB)、チップオンフィルム(COF)等の電子部品用の絶縁基板材料として多用されている。
この中で、液晶画面表示用のドライバICチップを実装する手法として、COF(Chip on Film)が注目されている。COFは、従来の実装法であったTCP(Tape Carrier Package)に比べて、ファインピッチ実装が可能であり、かつドライバICチップの小型化及びコストダウンを図ることが容易な実装法である。
一般的に、COFには、ポリイミドフィルムと導電体である金属層を接合させることによって得られる金属被覆ポリイミド基板が使用されている。ここで、実装においては、金属被覆ポリイミド基板の金属層に、フォトリソグラフィー法によって微細な配線パターンを形成し、さらに所望の箇所にスズめっき及びソルダーレジストを被覆した後に用いられる。
上記金属被覆ポリイミド基板の製造方法としては、一般に、ポリイミドフィルムの表面に、まずスパッタリング法によってニッケル−クロム系合金等の金属層を形成し、引き続き良好な導電性を付与するために同様の方法によって銅等の金属層を形成する。さらに、電気めっき法、或いは電気めっき法と無電解めっき法を併用する方法で金属層の厚膜化を行い、所望の金属層を形成する。このような方法により製造される金属被覆ポリイミド基板は、接着剤を用いないためその影響を受けないため、高温安定性をはじめとするポリイミド本来の特徴を利用することができるという利点を有している。
上記金属層として銅を選択する場合、通常、電気めっき法における陽極としては溶解性の含リン銅ボールが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。この手法では、陽極である含リン銅ボールが溶解することにより、めっき液中に銅イオンを供給している。その際、含リン銅ボール中の不純物元素が、陽極スライムと呼ばれる残渣としてめっき液中に分散し、めっき液を汚染する。このため、これらの汚染物質がめっき基板に付着し、めっき皮膜の表面に凹凸、すなわち陽極スライムに起因するめっきノジュールの発生を引き起こすという問題があった。
この解決策として、前記陽極スライムが発生しない手法として、不溶解性陽極を用いる手法が考えられる。この不溶解性陽極を用いる手法は、従来、金属製錬などにおいて余剰の金属や不純物元素を電解採取する工程で用いられている(例えば、特許文献2参照。)ものであるが、近年、電気めっき工程における陽極スライムに起因する問題を解決するため、溶解性の金属陽極の代わりに、イオン交換膜でめっき液から隔てた陽極室内に不溶解性陽極を設けるとともに、酸化銅を充填した銅イオンの供給源専用の槽を設置し、この槽のめっき液をめっき処理を行う槽と循環させ、めっき液中の銅イオン濃度を制御するめっき法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、この方法では、一般的には、電気めっき処理中に陽極上で水の電気分解反応が起こり、それに伴って酸素ガスが発生する。ここで、酸素ガスが発生することによって、めっき液中の添加剤が異常に消耗し、同時にガスが激しく発生することによって陽極そのものが劣化するという問題が発生する。
ところで、実装技術の発展、及び銅被覆ポリイミド基板の用途拡大に伴い、銅被覆ポリイミド基板の特性として、耐屈曲性などにおいて、従来技術で得られる以上に向上させることが求められている。すなわち、これらの特性を向上させることは、COFの折り曲げ実装時にリードが断線しにくくなるため、銅被覆ポリイミド基板の信頼性を高めることに繋がる。
特開2000−256891号公報(第1頁、第2頁) 特開平10−60678号公報(第1頁、第2頁) 特開2004−269955号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、チップオンフィルム(COF)の折り曲げ実装時に求められる耐屈曲性において、MIT耐折性試験(JIS C 5016)により200回以上の折曲げ性が得られ、折曲げに対する耐久性に優れる半導体実装用の銅被覆ポリイミド基板とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、スパッタリング法によってニッケル−クロム系合金層及び銅層を形成し、さらにその上に電気めっき法、或いは電気めっき法と無電解めっき法を併用する方法で銅皮膜を形成してなる銅被覆ポリイミド基板について、鋭意研究を重ねた結果、前記銅皮膜中に形成された結晶の平均結晶粒径(以下、銅皮膜の平均結晶粒径と呼称する場合がある。)を特定の条件に制御したところ、折曲げに対する耐久性が向上し、MIT耐折性試験(JIS C 5016)により200回以上の折曲げ性が得られること、また、その製造方法として、前記銅皮膜を形成する工程で用いる電気めっき法において、不溶解性陽極を用い、かつ鉄イオンを特定の濃度で含有する銅めっき液を用いたところ、前記銅皮膜の平均結晶粒径を制御することができ、それにより前記折曲げ性を有する半導体実装用の銅被覆ポリイミド基板が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、スパッタリング法によってニッケル−クロム系合金層及び銅層を形成する工程、及びさらにその上に電気めっき法、或いは電気めっき法と無電解めっき法を併用する方法で銅皮膜を形成する工程を含む銅被覆ポリイミド基板の製造方法であって、前記電気めっき法において、不溶解性陽極を用い、かつ鉄イオンを全量に対し0.1〜10g/Lの濃度で含有する銅めっき液を用いることで、酸素ガスの発生の抑制を図るとともに、銅皮膜の平均結晶粒径を355〜700nmとすることを特徴とする銅被覆ポリイミド基板の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、前記不溶解性陽極は、金属陽極又はセラミックス系陽極であることを特徴とする銅被覆ポリイミド基板の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、前記銅めっき液は、銅イオンと鉄イオンを含有する硫酸酸性めっき液であることを特徴とする銅被覆ポリイミド基板の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、前記銅めっき液の銅イオンは、銅めっき液の排液に無酸素銅を溶解することにより供給することを特徴とする銅被覆ポリイミド基板の製造方法が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、前記銅めっき液の鉄イオンは、銅めっき液の排液に硫酸鉄を添加することにより供給することを特徴とする銅被覆ポリイミド基板の製造方法が提供される。
本発明に係る銅被覆ポリイミド基板は、MIT耐折性試験(JIS C 5016)において200回以上の折曲げ性を有する銅被覆ポリイミド基板であり、チップオンフィルム(COF)の折り曲げ実装時に求められる耐屈曲性を達成することができ、その製造方法は、該銅被覆ポリイミド基板を安定して製造することができるので、その工業的価値は極めて大きい。これにより、30μmピッチ以下のファインピッチのCOFを折り曲げて実装する際にも、リードが断線しにくい、折曲げに対する耐久性に優れた半導体実装用の銅被覆ポリイミド基板を得ることができる。
1.銅被覆ポリイミド基板
本発明に係る銅被覆ポリイミド基板は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、スパッタリング法によってニッケル−クロム系合金層及び銅層を形成し、さらにその上に電気めっき法、或いは電気めっき法と無電解めっき法を併用する方法で銅皮膜を形成してなる銅被覆ポリイミド基板において、前記銅皮膜の平均結晶粒径が355〜700nmである。
本発明において、電気めっき法、或いは電気めっき法と無電解めっき法を併用する方法で形成される銅皮膜の平均結晶粒径を、160〜700nmの大きさに制御することが重要である。これによって、チップオンフィルム(COF)の折り曲げ実装時に求められる耐屈曲性において、MIT耐折性試験(JIS C 5016)により200回以上の折曲げ性が得られ、折曲げに対する耐久性に優れる半導体実装用の銅被覆ポリイミド基板が達成される。
上記銅被覆ポリイミド基板の構造を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の銅被覆ポリイミド基板の概略断面図の一例を表す。図1において、銅被覆ポリイミド基板の断面は、ポリイミドフィルム1の表面上に、スパッタリング法により形成された金属シード層2と銅層3、及びめっき法による銅層4が順次積層された構造になっている。
上記銅被覆ポリイミド基板を構成する銅皮膜の平均結晶粒径としては、160nm以上であり、より大きなほど望ましい。すなわち、銅皮膜の平均結晶粒径が大きいほど、銅被覆ポリイミド基板の耐屈曲性が向上する。しかしながら、平均結晶粒径の上限としては、銅皮膜の形成方法により制限され、また、十分な耐屈曲性が得られる700nmで十分である。
なお、折り曲げ時のリードの破断は、銅めっき皮膜中の結晶粒界を起点として起こる場合が多く、結晶粒径を大きくすることで結晶粒界の面積を小さくすることができれば、破断が起こる可能性を低くすることができる。したがって、銅皮膜の平均結晶粒径が160nm以上である銅被覆ポリイミド基板では、MIT耐折性試験(JIS C 5016)において200回以上の特性を得ることができる。
2.銅被覆ポリイミド基板の製造方法
本発明の製造方法は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、スパッタリング法によってニッケル−クロム系合金層及び銅層を形成する工程、及びさらにその上に電気めっき法、或いは電気めっき法と無電解めっき法を併用する方法で銅皮膜を形成する工程を含む銅被覆ポリイミド基板の製造方法であって、前記電気めっき法において、不溶解性陽極を用い、かつ鉄イオンを全量に対し0.1〜10g/Lの濃度で含有する銅めっき液を用いることで、酸素ガスの発生の抑制を図るとともに、銅皮膜の平均結晶粒径を355〜700nmとすることを特徴とする。
まず、本発明の製造方法を図面を用いて説明する。図2は、上記銅被覆ポリイミド基板の製造工程を示す。図2において、銅被覆ポリイミド基板8は、原料であるポリイミドフィルム5上に、スパッタリング工程6及び電気メッキ工程7により、スパッタリング処理及び電気めっき処理を施し、所望の金属皮膜を形成することによって製造される。この方法によって製造された銅被覆ポリイミド基板は、接着剤を必要としないため、高耐熱性、高絶縁性などのポリイミド本来の特性を利用することができる。以下に、各工程の詳細な条件を説明する。
上記スパッタリング工程において、ポリイミドフィルムの少なくとも片面の表面上に所望の銅導体層を形成する。
この工程においては、まず、スパッタリング法によって、ニッケル−クロム系合金等の金属シード層を形成する。前記金属シード層としては、特に限定されるものではなく、ポリイミドフィルムと金属層の密着力、及び基板の耐熱、耐湿度環境下での安定性等の特性を確保する役割を果たすことができるものが用いられるが、この中で、スパッタリング法により形成されたニッケル層、クロム層、又はニッケル、クロム及び銅のいずれか2種以上を含む合金層から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に、ニッケル層、クロム層、又はニッケル−クロム合金層がより好ましく、ニッケルクロム合金層がさらに好ましい。この金属シード層の厚さは、特に限定されるものではないが、5〜50nmが好ましい。また、ニッケル−クロム合金層の合金組成としては、特に限定されるものではないが、前記合金層中のクロム品位は5〜30重量%が好ましい。
続いて、良好な導電性を付与するためにスパッタリング法によって銅層を形成する。この工程によって形成される銅層の厚さは50〜500nmが好ましい。なお、この工程においては、スパッタリング法の代わりに蒸着法を用いることもできる。
次いで、その上に、電気めっき法、或いは電気めっき法と無電解めっき法を併用する方法によって銅層の厚膜化を行い、所望の厚さの銅層を形成する。
この工程によって形成される銅層の厚さは、例えば、サブトラクティブ法によって回路パターンを形成する場合は5〜18μmが好ましい。
上記電気めっき法において、不溶解性陽極を用い、かつ鉄イオンを全量に対し0.1〜10g/L含有する銅めっき液を用いることが重要である。これによって、所望の大きさの平均結晶粒径を有する結晶からなる銅皮膜が形成される。
すなわち、不溶解性陽極は、溶解性の陽極に比べて、硫酸銅めっき液中でも比較的安定であり、劣化した場合も再度焼成することによって再生可能であるという利点を有している。その一方で、前述の通り、不溶解性陽極を用いる場合には、一般的には、電気めっき処理中に酸素ガスが発生し、これに伴う問題が発生するとともに、形成される銅皮膜の平均結晶粒径は細かいため、銅被覆ポリイミド基板の耐屈曲性が十分でないという課題があった。
これに対して、本発明の方法では、不溶解性陽極を用いた場合においても、さらに銅めっき液中に所定量の鉄イオンを添加することによって酸素ガスの発生の抑制を図るとともに、銅皮膜の平均結晶粒径を大きくすることができる。これにより、耐屈曲性において、溶解性の含リン銅の陽極を用いた場合、及び不溶解性陽極を用いた場合においても、銅めっき液中に鉄イオンを添加しない場合に得られる銅被覆ポリイミド基板と比較して優れた銅被覆ポリイミド基板を得ることができた。これは不溶解性陽極を用い、めっき液中の濃度が0.1〜10g/Lとなるように鉄イオンを添加したことによって、銅めっき皮膜の結晶成長モードが変化し、溶解性陽極を用いた場合、及び所定量の鉄イオンを添加しない場合より銅めっき皮膜中の結晶粒径が大きくなったためであると考えられる。
この理由としては、次のように説明される。銅めっき液中に鉄イオンを添加する場合、銅めっき液中には2価の鉄イオンと3価の鉄イオンが共存する。電気化学的に、陽極上では鉄イオンの酸化反応が水の電気分解反応に優先して起こるため、酸素ガスの発生を抑制することとなる。また、このうち3価の鉄イオンは、陰極上では、銅を溶解し、銅めっき液中に銅イオンを供給する。このとき、3価の鉄イオン自身は還元されて2価の鉄イオンとなる。銅めっき皮膜が成長する場合にも同様の作用が起こり、成長初期の微細な結晶粒の一部は、3価の鉄イオンに溶解される。このため、結晶の核の数が鉄イオンを添加しない場合と比較して減少するので、それぞれの結晶粒が大きく成長することによって結晶粒の粗大化が起こると考えられる。
また、溶解性陽極を用いた場合には、陽極が銅イオンの供給源となっているため、陰極であるめっき基板と銅イオンの供給源までの距離が十分近く、陰極の近傍では銅イオンが常に過飽和状態にあると考えられる。これに対して、不溶解性陽極を用いた場合には、陽極と銅イオンの供給源はそれぞれ独立しており、陰極と銅イオンの供給源との距離が溶解性の陽極を用いた場合より離れているため、銅の過飽和度は溶解性の陽極の場合より低くなっていると考えられる。したがって、銅めっき皮膜中の結晶成長のモードは、核成長モードが支配的になっており、結晶粒が大きく成長すると考えられる。
以上の説明のように、めっき液中に鉄イオンを添加したこと、及び不溶性陽極を用いたことによって陰極への銅イオンの供給方法が変化したことが複合して、相乗効果を生み出し、銅めっき皮膜中の結晶の粒径が大きくなっているものと考えられる。
上記製造方法で用いる銅めっき液中の鉄イオンの濃度としては、0.1〜10g/Lであり、好ましくは0.5〜10g/Lである。すなわち、鉄イオンの濃度が0.1g/L未満では、酸素ガスの発生低減の効果が十分でなく、かつ、結晶の粗大化と耐屈曲性の向上が不十分である。一方、10g/Lを超えると、電気めっきの際の電流効率が著しく低下するので、経済的でない。
上記製造方法で用いる電気めっき装置としては、特に限定されるものでなく、例えば、イオン交換膜で銅めっき液から隔てた陽極室内に不溶解性陽極を設ける。また、銅イオンの供給源専用の槽を設置し、めっき処理を行う槽からの銅めっき液の排液を循環して、銅源を溶解する。
上記不溶解性陽極としては、特に限定されるものではなく、例えば、白金、鉛等の金属陽極、又は,チタン製のフレームに酸化イリジウム、酸化ロジウム、酸化ルテニウム等の導電性を有するセラミックスを焼成してコーティングしたセラミックス系の陽極が好適に使用できるが、この中で、特にチタン製のフレームに酸化イリジウム及び酸化ロジウムをコーティングしたセラミックス系の陽極が好ましい。
上記銅めっき液としては、銅イオンと鉄イオンを含有する硫酸酸性めっき液を用いられ、必要に応じて、平滑性等を確保するため通常のめっき液で用いられる添加物等が添加される。
上記銅源としては、特に限定されるものではなく、例えば、酸化銅、炭酸銅、無酸素銅等が好適に用いられるが、この中で、銅めっき液中に添加した3価の鉄イオンによって容易に溶解される無酸素銅が好ましい。
上記銅めっき液へ鉄イオンを添加する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、硫酸系のめっき液であるので硫酸鉄を所定の濃度になるように溶解し、銅めっき液に添加するのが好ましい。なお、銅めっき液中の鉄イオンが全量に対し0.1〜10g/L含有するように調整する。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた評価方法としては、以下の通りである。
(1)平均結晶粒径:X線回折装置X´Pert PRO MPD(PANalytical社製)を用いて、サンプルの半価幅をScherrerの式に代入して結晶子の大きさを算出した。
(2)耐屈曲性の評価方法:JIS C 5016 MIT耐折性試験方法によって、折れ曲げに至るまでの折曲げ回数を求めた
(実施例1)
ポリイミドフィルムとして東レ・デュポン製のKapton 150EN(厚さ38μm)を用いた。
まず、このフィルムに、真空度を0.01〜0.1Paに保持したチャンバー内で150℃で1分間の熱処理を施した。引き続き、このフィルム上にスパッタリング法によってクロムを7重量%含有するニッケル−クロム合金層を7nmの厚さで形成し、さらに銅層を100nmの厚さで形成した。その後、電気めっき工程で電気めっき法によって銅層を8μmの厚さで形成した。
ここで用いた銅めっき液の基本的な組成は、硫酸濃度180g/L、硫酸銅濃度80g/L、及び塩素濃度50mg/Lであり、これに銅めっき皮膜の平滑性等を確保する目的で有機系の添加剤を所定量添加した。電気めっき工程における陽極としては、酸化イリジウム系の不溶解性陽極である日本カーリット製のエクセロード・Fタイプ(チタン製のフレームに酸化イリジウムを焼成してコーティングしたセラミックス系の陽極)を採用した。また、銅イオンの供給源としては、無酸素銅ボールを採用した。また、銅めっき液中の鉄イオン濃度は、0.1g/Lとなるように硫酸鉄溶液を添加した。
その後、得られた銅被覆ポリイミド基板の銅皮膜中の平均結晶粒径と耐折性を、上記評価方法にしたがって評価した。結果を表1に示す。なお、この実施例1は参考例である。
(実施例2〜6)
電気めっき工程において、銅めっき液中の鉄イオン濃度を0.5g/L(実施例2)、1g/L(実施例3)、2g/L(実施例4)、5g/L(実施例5)、10g/L(実施例6)としたこと以外は実施例1と同様に行い、得られた銅被覆ポリイミド基板の銅皮膜中の平均結晶粒径と耐折性を、上記評価方法にしたがって評価した。結果を表1に示す。なお、このうち実施例2は参考例である。
(比較例1)
電気めっき工程において、陽極として溶解性の含リン銅の陽極を用いたこと、及び銅めっき液中に鉄イオンを添加しないこと以外は実施例1と同様に行い、得られた銅被覆ポリイミド基板の銅皮膜中の平均結晶粒径と耐折性を、上記評価方法にしたがって評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
電気めっき工程において、めっき液中の鉄イオン濃度を0.05g/Lとしたこと以外は実施例1と同様に行い、得られた銅被覆ポリイミド基板の銅皮膜中の平均結晶粒径と耐折性を、上記評価方法にしたがって評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004899816
表1より、実施例1〜6(実施例1、2は参考例)では、不溶解性陽極を用い、かつ銅めっき液中の鉄イオン濃度は、0.1〜10g/Lに調整して、本発明の方法に従って行われたので、銅皮膜中の結晶の平均結晶粒径が160〜700nmの銅被覆ポリイミド基板が得られ、そのMIT耐折性は200回以上であることが分かる。
これに対して、比較例1又は2では、陽極の種類又は銅めっき液中の鉄イオン濃度がこれらの条件に合わないので、銅皮膜中の結晶の平均結晶粒径が小さく、かつMIT耐折性で満足すべき結果が得られないことが分かる。
以上より明らかなように、本発明の銅被覆ポリイミド基板の製造法方法によって得られる銅被覆ポリイミド基板は、折曲げに対する耐久性に優れ、耐折曲げ性を要求される携帯電話等のフレキシブル基板の素材として十分な特性を有しているので、携帯電子機器用のTAB及びCOFの小型化、薄膜化に対応する基板として有用である。
本発明の銅被覆ポリイミド基板の概略断面図の一例を表す図である。 本発明の銅被覆ポリイミド基板の製造工程を示す図である。
符号の説明
1 ポリイミドフィルム
2 スパッタリング法による金属シード層
3 スパッタリング法による銅層
4 めっき法による銅層
5 原料(ポリイミドフィルム)
6 スパッタリング工程
7 電気メッキ工程
8 銅被覆ポリイミド基板

Claims (5)

  1. ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、スパッタリング法によってニッケル−クロム系合金層及び銅層を形成する工程、及びさらにその上に電気めっき法、或いは電気めっき法と無電解めっき法を併用する方法で銅皮膜を形成する工程を含む銅被覆ポリイミド基板の製造方法であって、
    前記電気めっき法において、不溶解性陽極を用い、かつ鉄イオンを全量に対し0.1〜10g/Lの濃度で含有する銅めっき液を用いることで、酸素ガスの発生の抑制を図るとともに、銅皮膜の平均結晶粒径を355〜700nmとすることを特徴とする銅被覆ポリイミド基板の製造方法。
  2. 前記不溶解性陽極は、金属陽極又はセラミックス系陽極であることを特徴とする請求項1記載の銅被覆ポリイミド基板の製造方法。
  3. 前記銅めっき液は、銅イオンと鉄イオンを含有する硫酸酸性めっき液であることを特徴とする請求項1記載の銅被覆ポリイミド基板の製造方法。
  4. 前記銅めっき液の銅イオンは、銅めっき液の排液に無酸素銅を溶解することにより供給することを特徴とする請求項3記載の銅被覆ポリイミド基板の製造方法。
  5. 前記銅めっき液の鉄イオンは、銅めっき液の排液に硫酸鉄を添加することにより供給することを特徴とする請求項3記載の銅被覆ポリイミド基板の製造方法。
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