JP5223481B2 - 金属被覆ポリイミド基板とその製造方法 - Google Patents
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COFは、従来の実装法の主流であったTCP(Tape Carrier Package)に比べて、ファインピッチ実装が可能であるとともに、ドライバーICの小型化及びコストダウンを図ることが容易であるという特徴がある。
厚さが3〜9μmのポリイミドフィルムと、該ポリイミドフィルム上に形成されたニッケル、クロム又は銅から選ばれる少なくとも一種の金属からなるシード層と、さらに該シード層上に形成された銅層とからなる積層構造を有し、かつ前記シード層の厚さは、0.001〜0.05μmであることを特徴とする金属被覆ポリイミドフィルム基板が提供される。
下記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする金属被覆ポリイミドフィルム基板の製造方法が提供される。
(1)厚さが3〜9μmのポリイミドフィルムの一方の面と、厚さが50〜100μmのラミネート材からなる支持材とを、接着材層を用いて熱圧着により貼り合わせる。
(2)前記ポリイミドフィルムの他方の面上に、蒸着法又はスパッタ法で、ニッケル、クロム又は銅から選ばれる少なくとも一種の金属からなる厚さが0.001〜0.05μmのシード層を形成する。
(3)前記シード層の面上に、電気めっき法、無電解めっき法もしくは両者を組み合わせた方法で銅層を形成し、積層構造体を得る。
(4)最後に、前記支持材と前記ポリイミドフィルムとの間に存在する接着材層を冷却し、次いで該支持材を、前記積層構造体から剥離する。
厚さが3〜9μmのポリイミドフィルムと、該ポリイミドフィルム上に形成されたニッケル、クロム又は銅から選ばれる少なくとも一種の金属からなるシード層と、さらに該シード層上に形成された銅層とからなる積層構造を有し、かつ前記シード層の厚さは、0.001〜0.05μmであることを特徴とする。
なお、上記のようなMIT耐折性と外観表面のピンホール特性の向上に係る作用機構として、極薄厚のポリイミドフィルムの使用による、ポリイミドフィルムとシード層との密着性の上昇が関与しているものとみられる。
これに対し、従来から液晶表示用ドライバーICの実装法であるCOF用の金属被覆ポリイミドフィルム基板の場合、一般的には25〜50μmのポリイミドフィルムが使用されているが、ポリイミドフィルムの厚さを、従来のフィルムの約1/2以下の厚さとすることで、MIT耐折性で250〜3000回という飛躍的な向上と、同時に形成される銅層の外観表面のピンホール発生個数の低減が達成される。
(1)厚さが3〜13μmのポリイミドフィルムの一方の面と、厚さが50〜100μmのラミネート材からなる支持材とを、接着材層を用いて熱圧着により貼り合わせる。
(2)前記ポリイミドフィルムの他方の面上に、蒸着法又はスパッタ法で、ニッケル、クロム又は銅から選ばれる少なくとも一種の金属からなる厚さが0.001〜0.05μmのシード層を形成する。
(3)前記シード層の面上に、電気めっき法、無電解めっき法もしくは両者を組み合わせた方法で銅層を形成し、積層構造体を得る。
(4)最後に、前記支持材と前記ポリイミドフィルムとの間に存在する接着材層を冷却し、次いで該支持材を、前記積層構造体から剥離する。
すなわち、前述したように、従来、金属被覆ポリイミドフィルム基板の基材となる一般的なポリイミドフィルムとしては、その厚さが25〜38μmであるものが使用されていた。ところが、従来の工業生産規模での製造方法にしたがって、ポリイミドフィルムの厚さが従来の工業生産上使用されている一般的な厚さより薄い、例えば、3〜13μmの厚さのポリイミドフィルムを用い、スパッタ法又は蒸着法で、その上に直接金属層を形成する際、ポリイミドフィルムの搬送時におけるシワ発生、ポリイミドフィルムの蛇行等の問題が発生する。そのため、金属被覆ポリイミドフィルムの工業生産において、3〜13μmの厚さのポリイミドフィルムを用いると、製造時の製品歩留まりが低く、事実上その使用は不可能であった。
上記製造方法の(1)の工程は、厚さが3〜13μmのポリイミドフィルムの一方の面と、厚さが50〜100μmのラミネート材からなる支持材とを、接着材層を用いて熱圧着により貼り合わせる工程である。
ここで、熱圧着法としては、常温(20±15℃)の範囲、好ましくは25〜35℃の温度で行なう。その方法としては、特に限定されるものではなく、合成樹脂フィルムを用いる方法、或いは接着剤を用いる方法が用いられるが、合成樹脂フィルムを用いる方法が好ましい。なお、接着剤を用いる方法としては、常温又は季節等によっては加熱状態で、透明基板に加圧密着させたときに、転写可能なレベルの粘着性を有する、一般的なアクリレート系粘着剤、熱可塑性ポリマーを主成分とするホットメルト接着剤、加熱により流動性を発現しその後硬化して接着性を示す熱硬化型の接着剤等を使用し、再剥離可能なレベルの接着剤を塗布する。
上記ラミネート材としては、特に限定されるものではないが、例えば、東洋インキ製のラミネート材が使用でき、特にリオエルムLE951、LE952のタイプがより好ましく使用できる。なお、感圧性接着剤として、紫外線又は電子線硬化型接着剤等の活性エネルギー硬化型接着剤を使用する場合は、紫外線又は電子線等の活性エネルギーを透過可能なラミネート材を用いることが必要であり、特に東洋インキ製のリオエルムLE951、LE952のタイプがより好ましく使用することができる。
ここで、硫酸と硫酸銅を主成分とする酸性めっき液を用いることによって実施される。
ここで、剥離する際に、特に限定されるものではないが、接着材層は20〜25℃に冷却される。
これにより、MIT耐折性試験方法に定める折曲げ性が250〜3000回であり、かつ外観表面のピンホール特性に優れた、厚さが3〜13μmのポリイミドフィルムと、該ポリイミドフィルム上に形成されたニッケル、クロム又は銅から選ばれる少なくとも一種の金属からなるシード層と、さらに該シード層上に形成された銅層とからなる積層構造を有する金属被覆ポリイミド基板が得られる。
(1)MIT耐折性の評価:R=0.38、荷重500g、線幅1mm:JPCA BM01−11.6、及びJIS C5016−8.7に準ずるMIT耐折性試験方法に定める折れ曲げに至るまでの折曲げ回数を求めた。
(2)外観ピンホールの評価:暗室内に設置したライトテーブル上で、目視観察して、524mm×600mmの面積における10μm以上のピンホールの平均発生個数を求めた。
ポリイミドフィルムとして、市販の商品名アラミカ(帝人アドバンストフィルム製)フィルム(厚み4μm)を用いた。ここで、接着材層として、市販品の厚さ約10μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用いて、熱圧着により、前記ポリイミドフィルムの下面に、市販品の厚さ50μmの東洋インキ製のリオエルムLE951からなるラミネート材を貼り合わせた。なお、熱圧着法としては、25〜35℃の温度で貼り付け加工を実施した。
次いで、前記ポリイミドフィルムの上面に、スパッタ法で、Ni層を0.001μmの厚さで、続いて、Cu層を0.001μmの厚さで積層して、シード層を形成した。
さらに、シード層の上に、電気めっき法で、8μmの厚さに銅層を厚付けして、積層構造体を得た。
最後に、前記ラミネート材と前記ポリイミドフィルムとの間に存在する接着材層を20〜25℃に冷却し、前記積層構造体から前記ラミネート材を剥離して、極薄厚の金属被覆ポリイミドフィルム基板を得た。その後、得られた基板のMIT耐折性及び外観ピンホールを評価した。結果を表1に示す。
ポリイミドフィルムとして、市販の商品名アラミカ(帝人アドバンストフィルム製)フィルム(厚み6μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、極薄厚の金属被覆ポリイミドフィルム基板を得て、得られた基板のMIT耐折性及び外観ピンホールを評価した。結果を表1に示す。
ポリイミドフィルムとして、市販の商品名アラミカ(帝人アドバンストフィルム製)フィルム(厚み9μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、極薄厚の金属被覆ポリイミドフィルム基板を得て、得られた基板のMIT耐折性及び外観ピンホールを評価した。結果を表1に示す。
ポリイミドフィルムとして、市販の商品名Kapton50EN(東レ・デュポン製)フィルム(厚み12.5μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、極薄厚の金属被覆ポリイミドフィルム基板を得て、得られた基板のMIT耐折性及び外観ピンホールを評価した。結果を表1に示す。なお、実施例4は参考例である。
ポリイミドフィルムとラミネート材との貼り合わせと剥離を行なわなかったこと、及びポリイミドフィルムとして、市販の商品名Kapton100EN(東レ・デュポン製、ビフェニルテトラカルボン酸を主成分とする。)フィルム(厚み25μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、金属被覆ポリイミドフィルム基板を得て、得られた基板のMIT耐折性及び外観ピンホールを評価した。結果を表1に示す。
ポリイミドフィルムとラミネート材との貼り合わせと剥離を行なわなかったこと、及びポリイミドフィルムとして、市販の商品名Upilex35SGA(宇部興産製、ビフェニルテトラカルボン酸を主成分とする。)フィルム(厚み35μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、金属被覆ポリイミドフィルム基板を得て、得られた基板のMIT耐折性及び外観ピンホールを評価した。結果を表1に示す。
ポリイミドフィルムとラミネート材との貼り合わせと剥離を行なわなかったこと、及びポリイミドフィルムとして、市販の商品名Kapton150EN(東レ・デュポン製、ビフェニルテトラカルボン酸を主成分とする。)フィルム(厚み38μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、金属被覆ポリイミドフィルム基板を得て、得られた基板のMIT耐折性及び外観ピンホールを評価した。結果を表1に示す。
これに対して、比較例1〜3では、ポリイミドフィルムの厚さでこれらの条件を満たしていないので、ピンホール特性とMIT耐折性において満足すべき結果が得られないことが分かる。
2 シード層
3 スパッタ法又は蒸着法による銅層
4 めっき法による銅層
5 接着材層
6 支持材(ラミネート材)
Claims (4)
- MIT耐折性試験方法に定める折曲げ性が250〜1000回であり、かつ10μm以上のピンホールの平均発生個数が524mm×600mmの面積において5個以下の金属被覆ポリイミド基板であって、
厚さが3〜9μmのポリイミドフィルムと、該ポリイミドフィルム上に形成されたニッケル、クロム又は銅から選ばれる少なくとも一種の金属からなるシード層と、さらに該シード層上に形成された銅層とからなる積層構造を有し、かつ前記シード層の厚さは、0.001〜0.05μmであることを特徴とする金属被覆ポリイミドフィルム基板。 - 前記銅層の厚さは、1〜12μmであることを特徴とする請求項1に記載の金属被覆ポリイミドフィルム基板。
- 請求項1又は2に記載の金属被覆ポリイミドフィルム基板を製造する方法であって、下記の(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする金属被覆ポリイミドフィルム基板の製造方法。
(1)厚さが3〜9μmのポリイミドフィルムの一方の面と、厚さが50〜100μmのラミネート材からなる支持材とを、接着材層を用いて熱圧着により貼り合わせる。
(2)前記ポリイミドフィルムの他方の面上に、蒸着法又はスパッタ法で、ニッケル、クロム又は銅から選ばれる少なくとも一種の金属からなる厚さが0.001〜0.05μmのシード層を形成する。
(3)前記シード層の面上に、電気めっき法、無電解めっき法もしくは両者を組み合わせた方法で銅層を形成し、積層構造体を得る。
(4)最後に、前記支持材と前記ポリイミドフィルムとの間に存在する接着材層を冷却し、次いで該支持材を、前記積層構造体から剥離する。 - 前記接着材層は、合成樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項3に記載の金属被覆ポリイミドフィルム基板の製造方法。
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