JP4892802B2 - 電子カメラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、カメラで夜空などの暗い被写体を撮影する場合、シャッタースピード(露光時間)を緩やか(露光時間が1/15秒〜数十秒)に設定した長時間露光が必要となる。
長時間露光を、フィルムの代わりに撮像素子を使用した電子カメラにより行うと、撮像素子の画素間のばらつきなどに起因して、取得した画像上に白点や輝点と呼ばれる固定パターンノイズ(本明細書では、単に「固定パターンノイズ」と称す。)が生起するという現象が生じる。特に、星空の撮影では、実際の絵柄である星がこの固定パターンノイズに似ているので、画像への影響が大きい。
【0003】
そこで、近年、電子カメラの付加機能の1つとして、ノイズ除去機能が提案された。ノイズ除去機能は、シャッターを閉じた状態で撮像素子を駆動し、そのときに得られる画像データを固定パターンノイズを示すデータ(以下、「ノイズデータ」という。)とみなし、このノイズデータを、被写体を撮像して得られた画像データから減算する補正を行い、固定パターンノイズの除去された質の高い画像を得るものである。
【0004】
なお、この固定パターンノイズは、個々の電子カメラに固有であり、しかも、同じ電子カメラにおいて生起するものであっても撮像時の環境により変化するので、ノイズ除去の処理は、被写体の撮像が行われる毎に実行されるものであった。
【0006】
般の電子カメラでは、ノイズ除去機能は、設定及び解除が可能となっており、また、シャッタースピードが所定の速度よりも緩やかとなったとき(例えば露光時間T≧1/15秒以上のとき)にのみその設定が有効となる。
【0007】
しかし、ノイズ除去機能の設定が有効なときに、ノイズ除去の処理が一旦開始されると、ノイズ除去が完了するまでの間は、操作者にとっては撮像のできない待ち時間となる。
このため、従来は、ノイズ除去機能のために、操作者がシャッターチャンスを逃す可能性があった。
【0008】
発明の目的は、画像データにおける固定パターンノイズを補正するためのノイズデータの生成を中断することができる電子カメラを提供することにある。
【0009】
請求項1に記載の電子カメラは、被写体を撮像する撮像素子と、前記撮像素子を遮光する遮光手段と、前記遮光手段で遮光された状態の前記撮像素子により撮像することで第1ノイズデータを生成する第1ノイズデータ生成処理と、前記遮光手段で遮光されていない状態の前記撮像素子により撮像することで画像データを生成する画像データ生成処理と、前記遮光手段で遮光された状態の前記撮像素子により撮像することで第2ノイズデータを生成する第2ノイズデータ生成処理とを順に実行するよう制御する制御手段と、を備え、前記画像データ生成処理の後に中断指示がなされた場合、前記制御手段は、前記画像データにおける固定パターンノイズが前記第1ノイズデータに基づいて補正された画像データを前記記録媒体に記録させる、または、前記画像データにおける固定パターンノイズが前記第1ノイズデータに基づいて補正されていない画像データを記録媒体に記録させる記録処理を実行するよう制御し、前記中断指示がなされなかった場合、前記制御手段は、前記第1ノイズデータ及び前記第2ノイズデータに基づいて前記画像データにおける固定パターンノイズを補正する補正処理を実行するよう制御することを特徴とする。
請求項11に記載の電子カメラは、被写体を撮像する撮像素子と、前記撮像素子を遮光する遮光手段と、撮影指示がなされたことに応じて、前記遮光手段で遮光されていない状態の前記撮像素子により撮像することで画像データを生成する画像データ生成処理と、前記遮光手段で遮光された状態の前記撮像素子により撮像することでノイズデータを生成するノイズデータ生成処理と、前記ノイズデータに基づいて前記画像データにおける固定パターンノイズを補正する補正処理とを順に実行するよう制御する制御手段と、を備え、前記ノイズデータ生成処理が実行されている間に中断指示がなされた場合、前記制御手段は、前記ノイズデータ生成処理を中断するよう制御し、前記中断指示がなされなかった場合、前記制御手段は、前記ノイズデータ生成処理を中断することなく、前記ノイズデータ生成処理及び前記補正処理を実行するよう制御することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1、図2、図3、図4を参照して本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の電子カメラの外観図である。図1(a)は、電子カメラを上方から見た図、図1(b)は、電子カメラを後方(操作者側)から見た図である。
【0016】
図1(a)に示すように、電子カメラ1の上面には、電源のオン/オフ操作を行うためのメインスイッチ4と、レリーズ釦5と、記録モードと再生モードとの切り換え操作を行うためのダイヤル6と、カメラ情報を表示する表示パネル7などが設けられている。また、図1において、符号2で示すのが撮影光学系である。
ここで、「記録モード」とは、被写体像を撮影してその画像データを記録することが可能な電子カメラ1のモードを指す。なお、この記録モード時には、撮影光学系2によって現在捉えられている被写体の画像(スルー画像)が、カメラ背面に設けられた表示LCD3(図1(b)参照)に逐次表示される。
【0017】
また、「再生モード」とは、過去に記録された画像を表示LCD3に再生表示する電子カメラ1のモードを指す。
また、図1(b)に示すように、電子カメラ1の背面には、画像表示用の表示LCD3の他に、ファインダー接眼窓8、撮影光学系2をズーム操作するためのズーム切換釦9なども設けられている。
【0018】
図2は、本実施形態の電子カメラ1の構成を説明するブロック図である。
図2に示すように、電子カメラ1には、各種光学系(符号2,214等)、各種マンマシンインタフェース(符号13、5,10,6,11,9,12,4,3,7,462など)、各種の機構(符号408,415など)、各種回路(符号431,432,433,436,430,454,453,434,435,439,443,445,448,440など)が備えられる。
【0019】
電子カメラ1の各部は、CPU439による制御下で動作する。CPU439による電子カメラ1の制御プログラムは、ROM443に予め記憶される。
メインスイッチ4がオンされると、電子カメラ1の電源がオンとなり、この制御プログラムがCPU439によって起動される。
以下、CPU439の制御下で動作する各部について説明する。
【0020】
ダイヤル6により記録モードが設定されているときには、CCD撮像素子(CCD)214の出力する信号に基づくスルー画像の画像データがフレームメモリ435を介して表示LCD3に送出されると共に、レリーズ釦5の操作による撮像(後述)が可能となる。
また、ダイヤル6により再生モードに設定されているときには、メモリカード424に記録されている画像データがディジタルシグナルプロセッサ(DSP)433により読み出され、フレームメモリ435を介して表示LCD3に画像が再生表示される。
【0021】
以下、記録モードにおける撮像、及びノイズデータの取得に関する動作について説明する。
撮影光学系2の焦点調節は、CCD214からの出力信号により検出される焦点調節状態に応じて、レンズ駆動回路430が撮影光学系2内のレンズを移動させることによって行われる。
【0022】
因みにこの焦点調節の動作は、通常は、CPU439の制御下で行われるが、距離環462がマニュアル操作された際に出力される操作信号によっても、行わせることが可能である。
撮影光学系2の開口絞りの設定は、絞り駆動回路453が、ステップモータ415を介して撮影光学系2内の開口絞り215を駆動することにより行われる。
【0023】
シャッタースピード(露光時間)の設定は、シャッタ駆動回路454が、ステップモータ408を介して撮影光学系2内のシャッタ板208を駆動し、光路を閉鎖したり開放したりすることによって行われる。
特に、被写体の撮像の際には、シャッタ板208により光路が開放された状態で、CCD214に蓄積されている不要電荷が排出されると共に、開口絞り215における絞り値が設定される。このときCCD214は露光するので、CCD214には被写体を示す電荷が蓄積される。時間経過の後、シャッタ板208が光路を閉鎖すると共に、CCD214からその電荷が排出される。
【0024】
このとき、CCD214の露光時間Tは、上記不要電荷の排出時から光路が閉鎖されるまでの時間となる。
一方、ノイズデータの取得の際には、シャッタ板208により光路が閉鎖された状態で、CCD214に蓄積されている不要電荷が排出される。このときCCD214は露光しないので、CCD214には固定パターンノイズを示す電荷のみが蓄積される。時間経過の後、CCD214からその電荷が排出される。
【0025】
このとき、CCD214の電荷蓄積時間T’は、先行する不要電荷排出時から後続する電荷排出時までの時間となる。
なお、上記説明では、露光時間Tの設定が、シャッタ板208の開閉のタイミングと、CCD214の駆動のタイミングとの組み合わせによって行われるとしたが、何れか一方のみによって行うことも可能である。
【0026】
また、CCD214にはディジタルシグナルプロセッサ(DSP)433から水平駆動信号が供給されると共に、DSP433により制御されるCCD駆動回路434から垂直駆動信号が供給される。つまり、CCD214は、DSP433及びCCD駆動回路434によりタイミング制御される。
CCD214からの信号、すなわち被写体の画像データや、ノイズデータなどの画像データは、画像処理部431に入力される。画像処理部431は、直流生成回路などを有しており、CCD214から出力された画像信号に対してゲインコントロールなどのアナログ処理を施す。
【0027】
画像処理部431から出力されたアナログの画像データは、アナログ/ディジタル変換回路(A/D変換回路)432においてディジタル信号に変換される。変換後のディジタル画像データは、DSP433に入力される。
DSP433では、ディジタル画像データに対して輪郭補償やγ補正、ホワイトバランス調整などの所定の画像処理が施される。
【0028】
また、DSP433は、バッファメモリ436及びメモリカード424に接続されているデータバスを制御して、各種画像処理が施された画像データをバッファメモリ436に一旦格納する。
バッファメモリ436上に格納された画像データに対しては、CPU439による補正処理(後述)などが施され、記録すべき画像データが生成される。
【0029】
DSP433は、バッファメモリ436から記録すべき画像データを読み出し、所定の圧縮形式(例えば、JPEG方式)でデータ圧縮して圧縮ファイルを形成し、それをメモリカード424に記憶させる。
因みに、DSP433は、CCD214で撮像され上記画像処理が行われた後の画像データを、フレームメモリ435を介して表示LCD3に表示させることもできる。
【0030】
また、DSP433は、上述したメモリカード424への記録や、バッファメモリ436への記録などにおける、データ入出力のタイミング管理も行う。
なお、バッファメモリ436は、メモリカード424に対する画像データの入出力の速度の相違や、CPU439やDSP433などにおける処理速度の相違を緩和するために利用されている。
【0031】
ここで、本実施形態のバッファメモリ436は、少なくとも、後述する第1ノイズデータ、被写体の画像データ、及び第2ノイズデータという3つの画像データに基づく補正処理(後述)をCPU439が行うのに十分なだけの容量を有しているとする。
なお、上記したDSP433による動作の一部又は全部は、CPU439に行わせることもできる。DSP433とCPU439とに処理を分担させたのは、処理の効率化のためである。
【0032】
また、図2において、符号445は、時計回路を内蔵し、現在の時刻に対するタイムデータをCPU439に出力するタイマであり、符号448は、所定の外部装置(不図示)を接続して、CPU439とその外部装置との間でデータの送受を行うインタフェースであり、符号440は、電子カメラ1内の設定内容を表示パネル7に表示する表示回路である。
【0033】
図3は、本実施形態におけるCPU439の動作フローチャートである。なお、この動作フローチャートは、電子カメラ1に記録モードが設定されているときに開始される。記録モードと再生モードとの間の移行時、及び再生モードが設定されているときにおけるCPU439の動作は従来と同じであるので、その説明を省略する。
【0034】
レリーズ釦5が半押しされると(ステップS1YES)、測光とその測光に基づく露光時間Tの算出とが行われる(ステップS2)。
測光は、レリーズ釦5が半押しされた時点におけるCCD214の出力信号に基づいて、被写体の明るさを測定するものである。露光時間Tは、被写体の明るさに応じて算出される。また、ステップS2では、露光時間Tと共に、開口絞り215の絞り値もこの明るさに応じて算出される。
【0035】
その後、レリーズ釦5が全押しされると(ステップS3YES)、算出された露光時間Tが所定値T0と比較される(ステップS4)。
ここで、算出された露光時間Tが所定値T0(例えば1/15秒)よりも短いとき(ステップS4NO)には、固定パターンノイズの除去が不要とみなされて通常の撮像(露光時間Tの下での被写体の撮像及び画像データの記録。)が行われる(ステップS5)。
【0036】
しかし、算出された露光時間Tが所定値T0よりも長く、被写体の撮像が長時間露光になるとみなされたとき(ステップS4YES)には、固定パターンノイズの除去が必要とみなされて、以下の処理が実行される。
この長時間露光においても、前記算出された露光時間Tの下で撮像が行われて被写体の画像データが取得される(ステップS7)。
【0037】
但し、本実施形態では、被写体の撮像の前に、電荷蓄積時間T’の下で、第1ノイズデータが取得される(ステップS6)。
ここで、電荷蓄積時間T’は、露光時間Tと同じ長さに設定される。ノイズデータの取得時における条件が撮像時における条件と近いほど、ノイズデータを高精度に得ることができるからである。
【0038】
第1ノイズデータの取得(ステップS6)と被写体の撮像(ステップS7)とが実行されると、本実施形態では、続いて第2ノイズデータが取得される(ステップS9〜S11)。
ここで、第2ノイズデータを取得する際の電荷蓄積時間T’についても、第1ノイズデータ取得時と同様の値とされる。
【0039】
なお、被写体の撮像のための露光開始は、第1ノイズデータが取得された直後、すなわち、第1ノイズデータがバッファメモリ436に格納された直後である。また、第2ノイズデータの取得のための電荷蓄積開始は、被写体の画像データが取得された直後、すなわち、被写体の画像データがバッファメモリ436に格納された直後である。
【0040】
このようにして第1ノイズデータ、被写体の画像データ、及び第2ノイズデータが取得されると(ステップS11YES)、補正処理が実行される(ステップS12)。
図4は、本実施形態における補正処理を説明する図である。なお、図では、分かりやすくするために、画素数を実際よりも少なく表した。
【0041】
図4(a)に示す第1ノイズデータでは、殆どの画素値が0を示しているが、点pの箇所における画素値が127、点qの箇所における画素値が255となっている。これが、第1ノイズデータ取得時に発生した固定パターンノイズである。
図4(b)に示す画像データは、被写体を示す画像データであるが、これには固定パターンノイズが重畳されている。
【0042】
図4(c)に示す第2ノイズデータは、殆どの画素値が0を示しているが、点pの箇所における画素値が255、点qの箇所における画素値が255、点rにおける画素値が56となっている。これが、第2ノイズデータ取得時に発生した固定パターンノイズである。
図4(a)(c)を比較すると明かなように、固定パターンノイズが、被写体の撮像の前後で変化していることが分かる。点pの箇所における輝点はその輝度が高まっており、点rの箇所には、撮像前には無かったような輝点が、撮像後に発生している。
【0043】
従来の電子カメラにおいて、固定パターンノイズの除去精度が低くなるのは、ノイズデータを取得した時刻における環境が、被写体の撮像時における環境から著しく変化してしまっために、そのノイズデータが、撮像時に実際に生起していた固定パターンノイズを正確に示さなくなった場合と考えられる。
本実施形態では、撮像の前後のそれぞれにノイズデータ(第1ノイズデータと第2ノイズデータ)を取得したので、ここでの補正処理では、撮像時に生起していたはずの固定パターンノイズを、それら2つのノイズデータ(第1ノイズデータと第2ノイズデータ)に基づいて推測する。
【0044】
推測は、第1ノイズデータの取得時と第2ノイズデータの取得時とが、撮像時から互いに同じ時間だけ隔離しており、かつ、固定パターンノイズは時間に応じて線形的に変動する、という前提で、これら2つのノイズデータの平均をとることにより行われる。
すなわち、第1ノイズデータDn1、第2ノイズデータDn2に対し、撮像時における固定パターンノイズDnは、Dn=(Dn1+Dn2)/2の式によって推測される。
【0045】
図4(d)は、推測された固定パターンノイズを示している。
推測された固定パターンノイズは、点pにおける画素値191と、点qにおける画素値255と、点rにおける画素値28とからなる。
そして、補正は、推測されたこの固定パターンノイズを、被写体の画像データから減算することにより行われる。
【0046】
すなわち、補正前の画像データD、固定パターンノイズDnに対し、補正後の画像データD’は、D’=D−Dnの式によって求められる。
図4(e)に示すように、補正後の画像データからは、固定パターンノイズが除去されている。
図3に戻り、以上の補正処理が終了すると(ステップS14YES)、補正後の画像データが、記録すべき画像データとして記録される(ステップS15)。
【0047】
ここで、画像データの記録はメモリカード424(図2参照)になされるので、記録に際しては、画像データに対し圧縮処理などが施されて記録用のファイルが作成される。
後続する撮像は、この記録用のファイルがバッファメモリ436上に作成された時点で可能となる。
【0048】
したがって、ステップS1における判断が再び実行されるのは、このファイルが作成された時点である。
以上のように、本実施形態では、撮像の前後の双方にノイズデータを取得すると共に、固定パターンノイズの補正処理はその2つのノイズデータに基づいて行われるので、撮像時の環境の変動が大きくとも、高い精度で固定パターンノイズを除去することができる。
【0049】
ところで、本実施形態の電子カメラ1では、以上説明した固定パターンノイズの除去に関する各処理を、操作者が、レリーズ釦5を操作することによって適宜中断させることができる。
すなわち、図3に示すように、電子カメラ1では、被写体の撮像が行われた(ステップS7)後に、もし、レリーズ釦5が半押しされた場合には(ステップS8YES)、上記した第2ノイズデータの取得の処理(ステップS9)は実行されることなく、前記撮像により得られた補正前の画像データが記録される(ステップS16)。
【0050】
そして、この画像データに基づく記録用のファイルがバッファメモリ436上に作成された時点で、次の撮像が可能となる。
したがって、操作者は、レリーズ釦5を全押しして1回目の撮像を行ったときなどに、固定パターンノイズを除去することよりも、即座に次の撮像を開始したいと所望したきには、レリーズ釦5を半押しすればよい。
【0051】
また、電子カメラ1では、第2ノイズデータが取得されている最中(ステップS9の実行後からステップS11でYESとなるまで)に、もし、レリーズ釦5が半押しされた場合には(ステップS10YES)、第2ノイズデータの取得を中断して、即座に補正前の画像データが記録される(ステップS16)。
そして、この画像データに基づく記録用のファイルがバッファメモリ436上に作成された時点で、次の撮像が可能となる。
【0052】
また、電子カメラ1では、補正処理が実行されている最中(ステップS12の実行後からステップS14でYESとなるまで)に、もし、レリーズ釦5が半押しされた場合には(ステップS13YES)、補正処理を中断して、即座に補正前の画像データが記録される(ステップS16)。
そして、この画像データに基づく記録用のファイルがバッファメモリ436上に作成された時点で、次の撮像が可能となる。
【0053】
したがって、操作者は、レリーズ釦5を全押しして1回目の撮像を行った後に、固定パターンノイズを除去することよりも、即座に次の撮像を開始したいと所望したきには、レリーズ釦5を半押しすればよい。
以上のとおり、本実施形態では、固定パターンノイズの除去の処理と撮像の処理との優先度を、操作者の要求に応じて即座に切り換えることができる。
【0054】
しかも、その切り換えが、被写体の撮像を行うレリーズ釦5の操作によって行われるので、操作者は、この切り換えに当たり、レリーズ釦5から手を離さなくてもよい。すなわち、固定パターンノイズの除去の処理と撮像の処理との優先度の切り換えが、操作性良く行われる。
なお、本実施形態では、固定パターンノイズの除去の処理が中断されたとき(図3ステップS8,S10,S13YES)に記録されるのが、補正していない画像データDとなっているが、第1ノイズデータDn1のみに基づく補正が施された画像データとしてもよい(この場合、補正後の画像データD’は、D’=D−Dn1の式により得られる。)。
【0055】
なお、この補正を行う場合、次の撮像が可能になるまでの待ち時間が上述したものよりもその補正の分だけ長くなる。因みに、この場合における固定パターンノイズの除去精度は従来と同じである。
また、本実施形態では、ノイズデータを取得する際の電荷蓄積時間T’が、被写体の撮像時の露光時間Tと同じに設定されているが、固定パターンノイズの除去精度を多少犠牲にしてでも、固定パターンノイズの除去の時間短縮を図りたい場合には、電荷蓄積時間T’をT/α(但し、α>1)に設定してもよい。なお、この場合、補正処理において固定パターンノイズDnを推測する式は、Dn=α×(Dn1+Dn2)/2となる。
【0056】
なお、特に、α=2とすれば、固定パターンノイズを推測する式が、Dn=Dn1+Dn2となり演算が簡略化される。
因みに、電荷蓄積時間をT/α(但し、α>1)に設定した場合に、固定パターンノイズの除去の処理が中断されたとき(図3ステップS8,S10,S13YES)に、第1ノイズデータDn1のみに基づく補正を行うならば、補正後の画像データD’は、D’=D−α×Dn1の式により得られる。
【0057】
また、言うまでもないが、本実施形態においては、固定パターンノイズの除去に関する各処理を中断するための手順(ステップS8,S10,S11,S13,S14,S16)を省略することも可能である。
また、言うまでもないが、この中断のための処理(ステップS8,S10,S11,S13,S14,S16)を、従来の電子カメラ(すなわち補正処理が単一のノイズデータのみに基づいて行われるもの)において行わせることもできる。
【0058】
<第2実施形態>
図1、図2、図5を参照して本発明の第2実施形態について説明する。
ここでは、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
本実施形態の電子カメラの外観、構成については、図1、図2に示す第1実施形態の電子カメラ1と同じである。また補正処理の内容についても、第1実施形態と同じである。但し、CPU439による動作の内容が一部異なる(すなわち、ROM443に予め記憶されたプログラムの内容が一部異なる)。
【0059】
図5は、本実施形態におけるCPU439の動作フローチャートである。
図5において図3に示すものと同一のステップについては同一の符号を付して示した。
図5と図3とを比較すると明かなように、本実施形態では、第1ノイズデータの取得の処理(ステップS6)が、レリーズ釦5が全押しされるよりも前となっている。
【0060】
すなわち、本実施形態では、レリーズ釦5が半押しされ(ステップS1YES)、露光時間Tが算出された(ステップS2)後、その露光時間Tが所定値T0よりも短いとき(ステップS4NO)には、レリーズ釦5が全押しされるのに応じて(ステップS3YES)通常の撮像(ステップS5)が実行されるが、露光時間Tが所定値T0よりも長いとき(ステップS4YES)には、レリーズ釦5が全押しされなくとも、第1ノイズデータが取得される(ステップS6)。
【0061】
そして、本実施形態において、第1ノイズデータの取得(ステップS6)は、レリーズ釦5が半押しされており、かつ全押しされていない期間(ステップS3NO)であり、かつ、算出された露光時間Tが所定値T0よりも長くなる期間(ステップS4YES)には、繰り返し行われる。
なお、繰り返し取得するのは、どのタイミングで被写体の撮像が行われるか(レリーズ釦5が全押しされるか)は、電子カメラ1にとって不明であるので、常に最新の第1ノイズデータをバッファメモリ436上に有している必要があるからである。
【0062】
よって、第1ノイズデータが繰り返し取得されたとしても、バッファメモリ436上に格納されているのは、最新のもののみでよい(取得された第1ノイズデータは、バッファメモリ436上に逐次上書きされる)。
このようにすれば、第1実施形態の電子カメラ1と比較して、レリーズ釦5を半押ししてからレリーズ釦5を全押しして撮像が可能となるまでの時間は長くなるが、レリーズ釦5が全押しされてから固定パターンノイズが除去された画像データを得るまでの時間については短くすることができるので、操作者が次のシャッターチャンスを逃す可能性は抑えられる。
【0063】
<その他>
なお、上記各実施形態においては、補正処理を実行するのがCPU439となっているが、補正処理の一部又は全部をDSP433に実行させることもできる。
また、上記第1実施形態において説明した動作と、第2実施形態において説明した動作との双方を行うことの可能な電子カメラを構成することもできる。
【0064】
また、上記各実施形態における電子カメラ1にノイズ除去モードの設定及び解除が可能であるときには、前述した固定パターンノイズの除去に関する処理(図3、図5におけるステップS4、S6〜S16)は、ノイズ除去モードが設定されているときにのみ実行される。
また、上記各実施形態における電子カメラ1に連写モードが設定及び解除が可能である場合には、前述した固定パターンノイズの除去に関する処理(図3、図5におけるステップS4、S6〜S16)は、前記連写モードが解除されているときにのみ実行される。これは、連写モード設定時における単位時間当たりの撮像コマ数を高く保つためである。
【0065】
また、上記各実施形態における電子カメラ1にストロボ発光機能が付加されている場合には、前述した固定パターンノイズの除去に関する処理(図3、図5におけるステップS4、S6〜S16)は、ストロボ非発光時にのみ実行される。これは、ストロボ発光時に生じるノイズは、前述した固定パターンノイズとは異なり、この処理によって正しく除去できないからである。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、画像データにおける固定パターンノイズを補正するためのノイズデータの生成を中断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態及び第2実施形態の電子カメラの外観図である。図1(a)は、電子カメラを上方から見た図、図1(b)は、電子カメラを後方(操作者側)から見た図である。
【図2】第1実施形態及び第2実施形態の電子カメラ1の構成を説明するブロック図である。
【図3】第1実施形態におけるCPU439の動作フローチャートである。
【図4】第1実施形態及び第2実施形態における補正処理を説明する図である。
【図5】第2実施形態におけるCPU439の動作フローチャートである。
【符号の説明】
1 電子カメラ
2 撮影光学系
3 表示LCD
4 メインスイッチ
5 レリーズ釦(撮像用マンマシンインタフェース手段、中止用マンマシンインタフェース手段に対応)
6 ダイヤル
7 表示パネル
8 ファインダー接眼窓
9 ズーム切換釦
10 メニュー釦
11 選択釦
12 モード切り換え釦
13 フォーカスモード釦
201,202,203,204 レンズ
208 シャッタ板(シャッター手段に対応)
215 開口絞り
214 CCD撮像素子(CCD)(撮像素子に対応)
408,415 ステップモータ
431 画像処理部
432 アナログ/ディジタル変換回路(A/D変換回路)
433 DSP
435 フレームメモリ
436 バッファメモリ
424 メモリカード
430 レンズ駆動回路
434 CCD駆動回路
439 CPU(制御部に対応)
440 表示回路
443 ROM
445 タイマ
448 インタフェース
453 絞り駆動回路
454 シャッタ駆動回路
462 距離環

Claims (12)

  1. 被写体を撮像する撮像素子と、
    前記撮像素子を遮光する遮光手段と、
    前記遮光手段で遮光された状態の前記撮像素子により撮像することで第1ノイズデータを生成する第1ノイズデータ生成処理と、前記遮光手段で遮光されていない状態の前記撮像素子により撮像することで画像データを生成する画像データ生成処理と、前記遮光手段で遮光された状態の前記撮像素子により撮像することで第2ノイズデータを生成する第2ノイズデータ生成処理とを順に実行するよう制御する制御手段と、を備え、
    前記画像データ生成処理の後に中断指示がなされた場合、前記制御手段は、前記画像データにおける固定パターンノイズが前記第1ノイズデータに基づいて補正された画像データを前記記録媒体に記録させる、または、前記画像データにおける固定パターンノイズが前記第1ノイズデータに基づいて補正されていない画像データを記録媒体に記録させる記録処理を実行するよう制御し、
    前記中断指示がなされなかった場合、前記制御手段は、前記第1ノイズデータ及び前記第2ノイズデータに基づいて前記画像データにおける固定パターンノイズを補正する補正処理を実行するよう制御すること
    を特徴とする電子カメラ。
  2. 請求項1に記載の電子カメラにおいて、
    前記第2ノイズデータ生成処理が実行される前に前記中断指示がなされると、前記制御手段は、前記第2ノイズデータ生成処理を実行せず、前記記録処理を実行するよう制御すること
    を特徴とする電子カメラ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電子カメラにおいて、
    前記第2ノイズデータ生成処理が実行されている間に前記中断指示がなされると、前記制御手段は、前記第2ノイズデータ生成処理の実行を中断し、前記記録処理を実行するよう制御すること
    を特徴とする電子カメラ。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
    前記第1ノイズデータを生成する際の電荷蓄積時間が前記画像データを生成する際の露光時間よりも短い場合、前記記録処理として前記画像データにおける固定パターンノイズが前記第1ノイズデータに基づいて補正された画像データを前記記録媒体に記録させるときは、前記制御手段は、前記電荷蓄積時間と前記露光時間との時間差に対応する固定パターンノイズを補うように前記第1ノイズデータに基づいて前記画像データにおける固定パターンノイズを推測し、推測した固定パターンノイズを用いて前記画像データにおける固定パターンノイズを補正すること
    を特徴とする電子カメラ。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
    連写モードが設定されていないとき、前記制御手段は、前記第1ノイズデータ生成処理と前記画像データ生成処理と前記第2ノイズデータ生成処理とを実行するよう制御可能であること
    を特徴とする電子カメラ。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
    ストロボ発光しないとき、前記制御手段は、前記第1ノイズデータ生成処理と前記画像データ生成処理と前記第2ノイズデータ生成処理とを実行するよう制御可能であること
    を特徴とする電子カメラ。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
    前記画像データを生成する際の露光時間が所定時間よりも長いとき、前記制御手段は、前記第1ノイズデータ生成処理と前記画像データ生成処理と前記第2ノイズデータ生成処理とを実行するよう制御すること
    を特徴とする電子カメラ。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
    撮影指示がなされる前に、前記制御手段は、前記第1ノイズデータ生成処理を実行するよう制御し、
    前記撮影指示がなされたことに応じて、前記制御手段は、前記画像データ生成処理と前記第2ノイズデータ生成処理とを実行するよう制御すること
    を特徴とする電子カメラ。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の電子カメラにおいて、
    撮影指示がなされたことに応じて、前記制御手段は、前記第1ノイズデータ生成処理と前記画像データ生成処理と前記第2ノイズデータ生成処理とを実行するよう制御すること
    を特徴とする電子カメラ。
  10. 請求項8又は請求項9に記載の電子カメラにおいて、
    前記中断指示を行なうときにユーザーの操作を受け付ける第1操作受付手段と、
    前記撮影指示を行なうときにユーザーの操作を受け付ける第2操作受付手段と、をさらに備え、
    前記第1操作受付手段と前記第2操作受付手段とは同一の部材であること
    を特徴とする電子カメラ。
  11. 被写体を撮像する撮像素子と、
    前記撮像素子を遮光する遮光手段と、
    撮影指示がなされたことに応じて、前記遮光手段で遮光されていない状態の前記撮像素子により撮像することで画像データを生成する画像データ生成処理と、前記遮光手段で遮光された状態の前記撮像素子により撮像することでノイズデータを生成するノイズデータ生成処理と、前記ノイズデータに基づいて前記画像データにおける固定パターンノイズを補正する補正処理とを順に実行するよう制御する制御手段と、を備え、
    前記ノイズデータ生成処理が実行されている間に中断指示がなされた場合、前記制御手段は、前記ノイズデータ生成処理を中断するよう制御し、
    前記中断指示がなされなかった場合、前記制御手段は、前記ノイズデータ生成処理を中断することなく、前記ノイズデータ生成処理及び前記補正処理を実行するよう制御すること
    を特徴とする電子カメラ。
  12. 請求項12に記載の電子カメラにおいて、
    前記中断指示を行なうときにユーザーの操作を受け付ける第1操作受付手段と、
    前記撮影指示を行なうときにユーザーの操作を受け付ける第2操作受付手段と、をさらに備え、
    前記第1操作受付手段と前記第2操作受付手段とは同一の部材であること
    を特徴とする電子カメラ。
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