JP2004007048A - 撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄積電荷を複数のフィールドごとに読出せる撮像素子を有する場合に、撮像素子の出力信号に含まれる暗ノイズの除去を迅速に精度良く行える撮像装置を提供する。
【解決手段】シャッターボタンが押下され露光時間Te1が経過すると、CCD(撮像素子)の各画素で蓄積された電荷信号が読出される。この電荷読出し時Tr1には、第1〜第3フィールドの蓄積電荷が順に読出され、露光データが取得される。次に、シャッターの閉状態を維持したまま遮光撮影を行う。そして、遮光撮影時間Te2が経過すると、第3フィールドの蓄積電荷が読出され、暗ノイズのデータ(遮光データ)が取得できる。この遮光データに基づき算出された暗ノイズ補正値を露光データから減算することで、撮像素子の出力信号に含まれる暗ノイズの除去を迅速に精度良く行える。
【選択図】 図5
【解決手段】シャッターボタンが押下され露光時間Te1が経過すると、CCD(撮像素子)の各画素で蓄積された電荷信号が読出される。この電荷読出し時Tr1には、第1〜第3フィールドの蓄積電荷が順に読出され、露光データが取得される。次に、シャッターの閉状態を維持したまま遮光撮影を行う。そして、遮光撮影時間Te2が経過すると、第3フィールドの蓄積電荷が読出され、暗ノイズのデータ(遮光データ)が取得できる。この遮光データに基づき算出された暗ノイズ補正値を露光データから減算することで、撮像素子の出力信号に含まれる暗ノイズの除去を迅速に精度良く行える。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受光部の全画素の画像信号を複数のフィールドに分けてフィールドごとに読出す全画素読出しタイプの撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルカメラの受光部における画素数が飛躍的に高くなっている。その一方で、受光部全体のサイズは画素数に応じて増大させないために、受光部における画素密度の増大によって各単位受光素子(単位CCDセル)の受光面積が小さくなってしまい、その結果として撮像感度が低下することになる。そこで、このような感度の低下を防ぐために、光電変換機能に寄与しない領域としての受光部の電荷転送路の面積を縮小させる技術が知られている。しなしながら、電荷転送路の面積を縮小させると受光部の全ラインの電荷信号を並列的に一度に読出すことが困難になるという問題が新たに生じるため、この問題を解決するために、全画素の電荷信号を複数のフィールドに分けてフィールドごとに順次に読出す方式が採用される。
【0003】
また、特開2000−308075や特開平10−327354では、撮像素子の機能細分化に伴い、TV走査と画素数との関係から複数フィールドを読出す手法が開示されている。
【0004】
このように、デジタルカメラに代表されるデジタル撮像装置においては、種々の目的から、複数のフィールドに分けて全画素の画像信号をフィールドごとに読出す方式(以下「フィールド順次の全画素読出し方式」と呼ぶ)が採用されるが、1フレームに対応するフィールド数として、2フィールドや3フィールドだけでなく、もっと多くのフィールド数(Nを2以上の任意の整数としたとき、Nフィールド)にフレームを分けて全画素を読出す方式が拡大していくと推測される。
【0005】
ところで、一般的に撮像素子から出力される画像信号には、図10(a)に示すように、被写体の画像内容を反映した成分(以下「被写体成分」)とともに暗ノイズ(より一般的には、単位受光素子の暗電流に起因して生じるノイズ)を含んでいる。そして、このような暗ノイズを含む画像信号をPGA(Programable Gain Amp.)で増幅するにあたってISO感度を上げると、図10(b)に示すように、暗ノイズも増幅されて撮影画像を劣化させる要因となる。なお、この暗ノイズは、温度の上昇に伴い増加する特性を有している。
【0006】
したがって、図11(a)のような暗ノイズのレベルを画素ごとに求め、この暗ノイズの影響を画像信号から除去できれば、図11(b)に示すような被写体成分が得られるため、画像品質を向上させることが可能となる。
【0007】
そして、フィールド順次の全画素読出し方式においてこのような暗ノイズの影響を除去する方法としては、図12(a)に示すように、設定されたシャッタースピード(露光時間Te1)と同等の時間Te2だけ受光部を遮光した状態でCCDに蓄積される暗ノイズをすべてのフィールド(Nフィールド)について読出し、暗ノイズの値を露光データから減算する方法がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フィールド順次の全画素読出し方式において暗ノイズの影響を除去する上記の従来方法では、遮光データ(暗データ)として全フィールドの画素について電荷信号を取得するため、図12(b)に示すように、画像メモリに保存するデータ量は2Nフィールド分のサイズとなってしまう。したがって、処理に使用するデータ量が大きくなるため、画像処理時間が長くなってユーザにストレスを与え、シャッターチャンスを逃す原因となる。特に、連写モードなどでは、画像処理時間が長くなると連写スピードに影響が出ることになって、シャッターチャンスを逃すことが多くなる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フィールド順次の全画素読出し方式において、暗ノイズの影響を除去しつつ迅速に高品質な画像をユーザに提供可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、撮像装置であって、(a)受光部の画素配列の信号を複数のフィールドに分けてフィールドごとに読出し可能な撮像手段と、(b)前記受光部に対する露光状態と遮光状態とを切替える切替手段と、(c)前記受光部が前記露光状態のときに前記受光部の各画素で蓄積される電荷信号をフィールドごとに順次に読出して、前記複数のフィールドのすべてについて露光データを取得する露光データ取得手段と、(d)前記複数のフィールドのうち一部のフィールドに相当する画素について、前記受光部が前記遮光状態のときに前記受光部で蓄積される電荷信号を読出して遮光データを取得する遮光データ取得手段と、(e)前記一部のフィールドについての前記遮光データに基づいて、前記露光データの補正内容を決定する補正内容決定手段とを備える。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る撮像装置において、前記一部のフィールドの画素における前記遮光状態での電荷信号蓄積時間は、前記露光データを得る際の露光時間に応じて決定される。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る撮像装置において、前記一部のフィールドは、前記露光データの取得の際に前記受光部から最初に読出されるフィールドである。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る撮像装置において、前記補正内容決定手段での補正対象となるフィールドは、前記露光データの取得の際に前記受光部から最後に読出されるフィールドを含む。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る撮像装置において、前記遮光データ取得手段は、(d−2)前記露光データを得る際の露光時間に応じて、前記複数のフィールドから前記一部のフィールドを選択する選択手段、を有するとともに、前記補正内容決定手段は、(e−1)前記露光時間に応じて、前記複数のフィールドから補正対象のフィールドを決定する補正対象決定手段を有する。
【0015】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
<撮像装置の要部構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置1Aを示す斜視図である。また、図2は、撮像装置1Aの背面図である。なお、図1および図2には方位関係を明確にするためにお互いに直交するX,Y,Zの三軸を示している。
【0016】
撮像装置1Aの前面側には、撮影レンズ11とファインダ窓13とが設けられている。撮影レンズ11の内側には撮影レンズ11を介して入射する被写体像を光電変換して画像信号を生成する撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)2が設けられている。
【0017】
撮影レンズ11には光軸方向に沿って駆動可能なレンズ系が含まれており、当該レンズ系を光軸方向に駆動することにより、CCD2に結像される被写体像の合焦状態を実現することができるように構成されている。
【0018】
撮像装置1Aの上面側には、シャッターボタン14と、モード切替ボタン15とが配置されている。シャッターボタン14は被写体の撮影を行うときにユーザが押下操作を行って撮像装置1Aに撮影指示を与えるボタンである。
【0019】
モード切替ボタン15は、撮影モード、再生モードなどのモード切替えを行うためのボタンである。この撮影モードには、後述する暗ノイズ補正モードも含まれ、モード切替ボタン15をユーザが操作することで暗ノイズ補正モードに設定できる。
【0020】
撮像装置1Aの側面部には、ユーザによるシャッターボタン14の押下操作に伴う本撮影動作で得られる画像データを記録するためのメモリカード9を着装する着装部16が形成されている。さらに、着装部16からメモリカード9を取り出す際に押下するカード取り出しボタン17が配置されており、着装部16からメモリカード9を取り出すことができる。
【0021】
撮像装置1Aの背面には、本撮影前に被写体を動画的態様で表示するライブビュー表示や、撮影した画像等の表示を行うための液晶ディスプレイ(LCD)18と、シャッタースピードなど撮像装置1Aの各種設定状態を変更するための操作ボタン19と、ファインダ窓13とが設けられている。
【0022】
図3は、撮像装置1Aの機能ブロックを示す図である。
【0023】
撮像装置1Aは、CCD2にデータ伝送可能に接続するAFE(アナログフロントエンド)3と、AEF3と伝送可能に接続する画像処理ブロック4と、これら各部を統括制御するカメラマイコン5とを備えている。
【0024】
CCD2は、撮影レンズ11に対向する面に受光部2aが設けられており、この受光部2aには複数の画素が配列されている。また、受光部2aを構成する画素配列は、3つのフィールドに分けられており、各画素で蓄積される電荷信号(画像信号)をフィールドごとに順次に読出し可能な構成となっている。
【0025】
図4は、CCD2の電荷読出し方法を説明するための図であり、実際には数百万以上の画素が配列されているが、図示の便宜上、その一部のみが示されている。
【0026】
受光部2aの各画素には、赤(R)、緑(Gr、Gb)、青(B)のカラーフィルターが周期的な分布で配設されている。
【0027】
CCD2の各セルに蓄積された電荷信号を読出す場合には、まず図4(a)に示すように、受光部2aにおいて1、4、7、・・の各ライン、すなわち3n+1ライン目(nは整数)の電荷信号が読出されて、第1フィールド画像21が構成される。次に、図4(b)に示すように、受光部2aにおいて2、5、8、・・の各ライン、すなわち3n+2ライン目の電荷信号が読出されて、第2フィールド画像22が構成される。最後に、図4(c)に示すように、受光部2aにおいて3、6、9、・・の各ライン、すなわち3nライン目の電荷信号が読出されて、第3フィールド画像23が構成される。
【0028】
図3に戻って説明を続ける。
【0029】
AFE3は、信号処理部31と、信号処理部31にタイミング信号を送るTG(タイミング発生器)32とを備えるLSI(大規模集積回路)として構成されている。このTG32は、CCD2にCCD駆動信号を送り、この駆動信号に同期してCCD2から電荷信号が出力されることとなる。
【0030】
信号処理部31は、CDS(相関2重サンプリング器)、アンプ部として働くPGA(Programmable−Gain−Amplifier)、およびADC(A/D変換器)を有している。CCD2から出力された各フィールドの出力信号は、TG32からのサンプリング信号に基づきCDSでサンプリングされ、PGAで所望の増幅が行われる。このPGAは、カメラマイコン5からのシリアル交信を介して数値データにて増幅率の変更が可能な構成となっている。そして、PGAで増幅されたアナログ信号はADCでデジタル信号に変換された後、画像処理ブロック4に送られる。
【0031】
画像処理ブロック4は、画像メモリ41と、画像メモリ41に伝送可能に接続する画像処理部42と、圧縮/伸張部44とを有している。
【0032】
画像メモリ41は、AFE3でデジタル変換された各フィールド21〜23のデータを一時的に格納する部位である。全てのフィールド画像が、画像メモリ41に格納された後、一枚の全画素画像を生成するために、画像処理部42に送られる。
【0033】
画像処理部42では、画像メモリ41から送られる画像信号をCCD2のカラーフィルター特性に基づいた補間処理を行ってカラー化するとともに、各フィールド21〜23の画像を合成して1つのフレーム画像を生成する。また、画像処理部42は、所望の画像の明るさや色バランスを得るためのAE・WB調整、自然な階調を得るためのγ補正、輪郭強調や彩度調整を行うためのフィルター処理など各種の画像処理を行う。さらに、画像処理部42は、暗ノイズ補正モードの場合に有効となる黒補正部45とWB(ホワイトバランス)補正部46とを有している(後で詳述)。
【0034】
表示部43は、LCD18を有しており、CCD2で取得され画像処理部42で画像処理された撮影画像を表示する。
【0035】
圧縮/伸張部44は、画像処理部42で画像処理された画像を、例えばJPEG方式で圧縮し、記録媒体であるメモリカード9に保存する。また、圧縮/伸張部44は、表示部43に再生表示させるために、メモリカード9に保存される画像データの伸張を行う。
【0036】
また、撮像装置1Aは、カメラマイコン5に接続するレンズ駆動部61およびシャッター制御部62を備えるとともに、測光部63と操作部64と電源部65とを備えている。
【0037】
レンズ駆動部61は、撮影レンズ11の各レンズ位置を変更させるためのものであり、このレンズ駆動部61によってAFやズームが行える。
【0038】
シャッター制御部62は、メカニカルシャッター(以下では単に「シャッター」という)12を開閉させるための部位である。このシャッター制御部62とシャッター12とで、CCD2の受光部2aに対する露光状態と遮光状態とを切替える切替手段として機能することとなる。
【0039】
測光部63は、測光センサを有しており、被写体に関する測光を行う。
【0040】
操作部64は、シャッターボタン14、モード切替ボタン15や操作ボタン19などの各種の操作部材で構成されている。
【0041】
電源部65は、バッテリーを有しており、撮像装置1Aの各部に給電する。
【0042】
カメラマイコン5は、CPUおよびメモリを有しており、撮像装置1Aの各部を統括制御する部位である。
【0043】
<黒補正部45およびWB補正部46での処理について>
黒補正部45およびWB補正部46での補正処理を説明する前に、この補正に必要な暗ノイズに関するデータ(遮光データ)を取得する方法を説明する。
【0044】
図5は、遮光データを取得する方法を説明するための図である。図5(a)は、垂直同期信号VD、CCD2の出力およびシャッター12の開閉に関するタイミングチャートを示しており、図5(b)は、画像メモリ41の保存状況を説明する図を示している。
【0045】
図5(a)に示すように、ライブビュー時Tv、およびシャッターボタン14が押下されCCD2で電荷信号が蓄積される露光撮影時Te1には、シャッター12が開状態となっている。そして、露光状態を維持しつつ露光時間Te1が経過すると、シャッター12を閉状態にして受光部2aの各画素で蓄積された電荷信号が画像信号として読出される。この電荷読出し時Tr1には、図4に示すように第1フィールド21、第2フィールド22および第3フィールド23のそれぞれの画素が順に読出され、露光データが取得されることとなる。
【0046】
次に、シャッター12における遮光状態を維持したまま、CCD2で電荷蓄積を行う。この期間における暗ノイズに起因した電荷蓄積を、露光状態における「被写体の撮影」に対応させて「遮光撮影」と呼び、この遮光撮影を行う時間を「遮光撮影時間Te2」と呼ぶことにする。この遮光撮影時間Te2は、露光データと同じ条件で暗ノイズに関するデータを取得できるように、露光時間Te1に相当する時間とするのが好ましい。そして、遮光撮影時間Te2が経過すると、3つのフィールドのうちの一部のフィールドである第3フィールド23の画素に対応する受光部2aの蓄積電荷が読出される。この電荷読出しTr2により、後述する補正処理に必要な遮光データが取得できることとなる。
【0047】
このように取得された露光データと遮光データとは、図5(b)に示すように、順に画像メモリ41に保存される。この場合、遮光データは、露光データの1/3のサイズとなるため、従来技術に比べてデータサイズを削減できることとなる。
【0048】
黒補正部45は、画像メモリ41に保存された遮光データに基づき、露光データの暗ノイズ補正値(黒レベル補正値)を算出する。そして、黒補正部45は、この暗ノイズ補正値を露光データから減算する補正処理を行う。これにより、精度良く黒補正が行え、高品質な画像が生成できることとなる。
【0049】
WB補正部46は、黒補正部45で算出された暗ノイズ補正値を露光データのRGBの各画素値から減算することで実際の被写体にマッチしたRGBの各信号成分を算出し、これに基づきWB補正を行う。その結果、WB補正を精度良く行えることとなる。
【0050】
<撮像装置1Aの動作>
図6は、撮像装置1Aの基本的な動作を説明するためのフローチャートである。本動作は、カメラマイコン5で実行される。
【0051】
ステップS1では、ユーザが操作ボタン19を操作することにより、シャッタースピードを設定する。このシャッタースピードは、図5の露光時間Te1に対応するものである。
【0052】
ステップS2では、暗ノイズ補正モードであるか否かを判定する。ここでは、ユーザがモード切替ボタン15を操作して、暗ノイズ補正モードに設定されているかを判断する。ここで、暗ノイズ補正モードに設定されている場合には、ステップS3に進み、暗ノイズ補正モードに設定されていない場合には、ステップS7に進む。
【0053】
ステップS3では、全フィールドの露光撮影を行う。具体的には、図5(a)の露光撮影Te1および電荷読出しTr1の動作により、第1〜第3フィールド21〜23の蓄積電荷が順に読出される。
【0054】
ステップS4では、ステップS3で読出された全フィールドのCCD出力信号を、AFE3で信号処理して画像メモリ41に保存する。
【0055】
ステップS5では、最終フィールドのみについて遮光撮影を行う。具体的には、図5(a)の遮光撮影Te2および電荷読出しTr2の動作により、第3フィールドの蓄積電荷が読出される。
【0056】
ステップS6では、ステップS5で読出された第3フィールド23のCCD出力信号を、AFE3で信号処理して暗データとして画像メモリ41に保存する。
【0057】
ステップS7およびステップS8では、ステップS3およびステップS4と同様の動作を行う。
【0058】
ステップS9では、画像処理部42において、露光データに対する各種の画像処理が施される。
【0059】
特に、暗ノイズ補正モードに設定されている場合には、画像メモリ41に第3フィールド23の遮光データが保存されているため、この遮光データに基づき黒補正部45およびWB補正部46で上述した黒補正およびWB補正が行われる。この場合、遮光データを取得したフィールドと同じ第3フィールド23の露光データが補正される。これにより、暗ノイズの影響を受けやすい最終フィールド、すなわち露光撮影時に最後に電荷信号が読出されるフィールドの補正処理を確実に行える。すなわち、撮影された画像のSN比が向上し、高品質な画像が迅速に生成できることとなる。
【0060】
以上の撮像装置1Aの動作により、最終フィールドの遮光データに基づき露光データの補正処理を行うため、CCDの出力信号に含まれる暗ノイズの除去を迅速に精度良く行える。特に、暗ノイズが大きくなる場合、具体的には撮影条件が高温などの悪条件となる場合や、シャッタースピードが低速となる場合などには有効である。
【0061】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る撮像装置1Bは、図1〜図3に示す第1実施形態の撮像装置1Aと類似の構成を有しているが、カメラマイコン5の構成が異なっている。
【0062】
すなわち、撮像装置1Bのカメラマイコン5には、メモリに以下で説明する動作を実行するためのプログラムが格納されている。
【0063】
<撮像装置1Bの動作>
撮像装置1Bの動作は、図6のフローチャートに示す撮像装置1Aの動作と類似しているが、ステップS5に示す遮光撮影の動作と、ステップS9に示す画像処理の動作とが異なっている。以下では、これらの動作を順に説明する。
【0064】
図7は、撮像装置1Bの遮光撮影の動作を説明するための図である。本図は、シャッター12の開閉およびCCD2の出力に関するタイミングチャートを示している。
【0065】
上記の図5(a)と同様に、露光撮影終了後にシャッター2を閉状態にし、露光データである第1〜第3フィールド21〜23の電荷信号を読出す。その後、図5(a)に示す遮光撮影Te2のための時間をとることなく、遮光状態を維持して、露光撮影時に最初に電荷信号が読出されるフィールドである第1フィールド21の蓄積電荷を読出す。
【0066】
これにより、露光データの読出し開始から第3フィールド23の露光データの読出し開始までの時間Tpと、第1フィールドの露光データの読出し完了から遮光データの読出し開始までの時間Tqとが、ほぼ等しくなる。すなわち、暗ノイズの量は時間に比例して増加するため、第3フィールドの露光データが読出されるまでの時間Tpの間に蓄積される暗ノイズの量と、遮光データの取得までに第1フィールド21で蓄積される暗ノイズの量とがほぼ等しくなる。これにより、第3フィールドの露光データについて、電荷読出し動作中に生じる暗ノイズのレベルを正確に把握できることとなる。
【0067】
図8は、撮像装置1Bの画像処理の動作を説明するための図である。
【0068】
暗ノイズ補正モードに設定される場合の黒補正部45およびWB補正部46における補正処理を以下で説明する。
【0069】
図7のように取得された遮光データ、すなわち暗ノイズのレベルをDaとすると、第3フィールド23の露光データに含まれる暗ノイズのレベルD3は、上述したようにレベルDaに等しい大きさと推定できる。また、暗ノイズのレベルは時間とともに増加する特性を有しているため、第2フィールド22の露光データに含まれる暗ノイズのレベルD2及び第1フィールド21の露光データに含まれる暗ノイズのレベルD1は、所定の計算値もしくは設定値により特定される。レベルD1〜D3に基づき、黒補正部45およびWB補正部46において第1〜第3フィールド21〜23のそれぞれの画素についての露光データに対する補正処理を行うことで、撮影画像全体に対して適切な補正を行えることとなる。
【0070】
以上の撮像装置1Bの動作により、第1フィールドの遮光データに基づき全フィールドの露光データに対する補正処理を行うため、CCDの出力信号に含まれる暗ノイズの除去を迅速に精度良く行える。
【0071】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る撮像装置1Cは、図1〜図3に示す第1実施形態の撮像装置1Aと類似の構成を有しているが、カメラマイコン5の構成が異なっている。
【0072】
すなわち、撮像装置1Cのカメラマイコン5には、以下で説明する動作を実行するためのプログラムが格納されている。
【0073】
<撮像装置1Cの動作>
第1実施形態の撮像装置1Aについては、露光時間が電荷読出し時間に対して比較的長い場合に効果が大きくなるのに対して、第2実施形態の撮像装置1Bについては、電荷読出し時間が露光時間に対して比較的長い場合に効果が大きくなる。それは、以下の理由による。
【0074】
すなわち、電荷読出し時間よりも露光時間Te1の方が長い場合には、第1フィールド21の電荷読出しが完了してから第3フィールド23の電荷読出しが完了するまでの時間T13が露光時間Te1よりも短い。このため、第3フィールド23の電荷読出しが完了してすぐに第1フィールド21の暗ノイズを読出し始めた場合には、それまでに第1フィールド21の画素に蓄積している暗ノイズは、露光時間Te1に相当する暗ノイズよりも小さくなる。そこで、このような場合には第1の実施形態のように、露光時間Te1に相当する遮光期間Te2を別途に追加して第3フィールド23又は第1フィールド21の遮光データを取得する。なお、遮光期間Te2は露光時間Te1+T13としてもよい。
【0075】
これに対して、露光時間Te1よりも電荷読出し時間の方が長い場合には、第1フィールド21の電荷読出しが完了してから第3フィールド23の電荷読出しが完了するまでの時間T13内に露光時間Te1に相当する時間が経過している。したがって、第3フィールド23の電荷読出しが完了してすぐに第1フィールド21の暗ノイズを読出し始めると、それまでに第1フィールド21の画素に蓄積している暗ノイズは、露光時間Te1に相当する暗ノイズより大きくなっている。そこで、このような場合には第2の実施形態のように遮光データを取得し、遮光データの取得プロセスを高速化している。
【0076】
以上のような観点から、撮像装置1Cの動作については、これらの撮像装置1Aおよび撮像装置1Bの利点を適切に引出せるように、シャッタースピード、すなわち露光時間に応じて遮光データの取得と遮光データに基づく補正処理と自動的に切替えることとしている。以下で、撮像装置1Cの動作を詳述する。
【0077】
図9は、撮像装置1Cの基本的な動作を説明するためのフローチャートである。本動作は、カメラマイコン5で実行される。
【0078】
ステップS11では、ユーザが操作ボタン19を操作することにより、シャッタースピード(SS)を設定する。このシャッタースピードは、図5の露光時間Te1に対応するものである。
【0079】
ステップS12では、全フィールドの露光撮影を行う。具体的には、図5(a)の露光撮影Te1および電荷読出しTr1の動作により、第1〜第3フィールド21〜23の蓄積電荷が順に読出される。
【0080】
ステップS13では、ステップS12で読出された全フィールドのCCD出力信号を、AFE3で信号処理して画像メモリ41に保存する。
【0081】
ステップS14では、ステップS11で設定されたシャッタースピードが1/1000秒より大きいか否かを判定する。ここで、1/1000秒より大きい場合には、ステップS15に進み、1/1000秒以下の場合には、ステップS18に進む。
【0082】
ステップS15では、ステップS11で設定されたシャッタースピードが1/2秒より大きいか否かを判定する。ここで、1/2秒より大きい場合には、ステップS16に進み、1/2秒以下の場合には、ステップS17に進む。
【0083】
ステップS16では、最終フィールドのみについて遮光撮影を行う。具体的には、図5(a)に示すように、第3フィールド23の蓄積電荷が読出される。
【0084】
ステップS17では、第1フィールド21の画素のみについて遮光撮影を行う。具体的には、図7(a)に示すように、第1フィールド21の蓄積電荷が読出される。
【0085】
ステップS18では、ステップS16で読出された第3フィールド23、またはステップS17で読出された第1フィールド23のCCD出力信号を、AFE3で信号処理して画像メモリ41に保存する。
【0086】
ステップS19では、ステップS11で設定されたシャッタースピードが1/1000秒より大きいか否かを判定する。ここで、1/1000秒より大きい場合には、ステップS20に進む。
【0087】
ステップS20では、ステップS11で設定されたシャッタースピードが1/100秒より大きいか否かを判定する。ここで、1/100秒より大きい場合には、ステップS21に進み、1/100秒以下の場合には、ステップS22に進む。
【0088】
ステップS21では、ステップS11で設定されたシャッタースピードが1/2秒より大きいか否かを判定する。ここで、1/2秒より大きい場合には、ステップS23に進み、1/2秒以下の場合には、ステップS24に進む。
【0089】
ステップS22では、ステップS17で取得した第1フィールド21の遮光データに基づき、最終(第3)フィールド23の露光データについて、黒補正部45およびWB補正部46で補正処理を行う。
【0090】
ステップS23では、ステップS16で取得した最終(第3)フィールド23の遮光データに基づき、図8に示すように各フィールドの暗ノイズを推定した後、全フィールド21〜23の露光データについて、黒補正部45およびWB補正部46で補正処理を行う。
【0091】
ステップS24では、ステップS17で取得した第1フィールド21の遮光データに基づき、図8に示すように各フィールドの暗ノイズを推定した後、全フィールド21〜23の露光データについて、黒補正部45およびWB補正部46で補正処理を行う。
【0092】
これらの補正処理のバリエーションをまとめると、以下のようになる。
【0093】
▲1▼シャッター時間SSが短い(SS≦1/1000)ときには暗ノイズの影響が全体的に少なく、遮光データに基づく補正を行わなくても高品質の画像が得られる場合が多いために、遮光データに基づく画像補正を省略することによって、撮影の高速化を優先する。
【0094】
▲2▼シャッター時間SSが中間範囲内でかつ比較的短めな場合(1/1000<SS≦1/100)には、暗ノイズの影響が出やすい最終フィールドの画像データについてのみ遮光データに基づく補正を実行して、撮影の高速化を無用に低下させずに画像品質を維持する。ここで使用する遮光データは第1フィールド21についての遮光データであるが、それは第2実施形態の好ましい適用条件に関連して既述したように、遮光データの取得のために別途に遮光期間を設ける必要がないためである。
【0095】
▲3▼シャッター時間SSが中間範囲内でかつ比較的長めな場合(1/100<SS≦1/2)には、暗ノイズの影響が全体的に増えてくるために、遮光データに基づく補正を全フィールドの画像データに対して実行することによって、画像品質の維持を優先する。この場合も、遮光データとしては第1フィールド21についての遮光データを使用する。
【0096】
▲4▼シャッター時間SSが長い場合(1/2>SS)には、同様に遮光データに基づく補正を全フィールドの画像データに対して実行するが、そこで使用する遮光データは最終フィールドについての遮光データである。それは、第1実施形態の好ましい適用条件に関連して既述したように、遮光データの取得のために別途に遮光期間を設けて露光時間に相当する時間にわたって暗ノイズを蓄積させることが好ましいためである。
【0097】
以上のような撮像装置1Cの動作により、一部のフィールドの遮光データに基づき露光データの補正処理を行うため、CCDの出力信号に含まれる暗ノイズの除去を迅速に精度良く行える。さらに、シャッタースピード(露光時間)に応じて、遮光データを取得するフィールドを選択(ステップS14〜S17)し、また補正処理を行うフィールドを決定(ステップS19〜S24)するため、遮光データの取得と遮光データに基づく補正処理とを適切に行えることとなる。
【0098】
<変形例>
◎上記の各実施形態のCCD(撮像素子)については、3つのフィールドを有するタイプであるのは必須ではなく、2つのフィールドでも、4以上のフィールドを有するタイプでも良い。
【0099】
◎上記の各実施形態のシャッターについては、メカニカルシャッターであることは必須ではなく、液晶を利用したシャッターなどでも良い。
【0100】
◎上記の第1および第2実施形態については、撮像装置内に温度センサを設けてCCDが所定の温度以上の高温となる場合に、暗ノイズ補正モードに自動的に切替えるようにしても良い。この場合、温度上昇に伴い増加する暗ノイズを適切に除去できることなる。
【0101】
◎第2実施形態については、図8に示すように第3フィールドの暗ノイズを基準とした演算で第1および第2フィールドの暗ノイズを推定するのは必須でなく、あらかじめ実験的に求めた統計データから導出される関数に基づいて、第1および第2フィールドの暗ノイズを推定しても良い。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項5の発明によれば、露光データを構成する複数のフィールドのうちの一部のフィールドについて遮光データを取得し、その一部のフィールドについての遮光データに基づいて露光データの補正内容を決定する。したがって、遮光データのデータ量は比較的少なくて済む一方で、露光データの補正に必要な情報は取得されるため、暗ノイズの影響を除去しつつ迅速に高品質な画像をユーザに提供可能である。
【0103】
その結果、シャッターチャンスを十分に生かすことが可能であり、連写モードなどにおいては連写速度を向上させることもできる。
【0104】
特に、請求項2の発明においては、受光部を遮光状態とした際の電荷信号蓄積時間が、露光データを得る際の露光時間に応じて決定されるため、露光データに含まれる暗電流成分の大きさを精度良く知ることができる。
【0105】
また、請求項3の発明においては、最初に画像信号が読出されるフィールドに相当する画素から遮光データを取得するため、最後に画像データが読出されるフィールドとほぼ同じ時間だけ暗ノイズを蓄積した遮光データを取得できることになり、遮光データに基づく補正が特に適切となる。
【0106】
また、請求項4の発明においては、最後に画像データが読出されるフィールドを補正対象に含むため、暗ノイズの影響が大きくなる最後のフィールドについて補正処理を確実に行える。
【0107】
また、請求項5の発明においては、複数のフィールドから露光時間に応じて一部のフィールドを選択するとともに、露光時間に応じて補正対象のフィールドを決定するため、補正による画像品質の維持と撮影の迅速性とのバランスを、露光時間に応じて適切に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る撮像装置1A,1B,1Cを示す斜視図である。
【図2】撮像装置1A,1B,1Cの背面図である。
【図3】撮像装置1A,1B,1Cの機能ブロックを示す図である。
【図4】CCD2の電荷読出し方法を説明するための図である。
【図5】遮光データを取得する方法を説明するための図である。
【図6】撮像装置1Aの基本的な動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る撮像装置1Bの遮光撮影の動作を説明するための図である。
【図8】撮像装置1Bの画像処理の動作を説明するための図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る撮像装置1Cの基本的な動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】暗ノイズを説明するための図である。
【図11】暗ノイズの除去について説明するための図である。
【図12】従来例に係る遮光データの取得方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C 撮像装置
2 CCD
2a 受光部
5 カメラマイコン
12 メカニカルシャッター
21 第1フィールド
22 第2フィールド
23 第3フィールド
41 画像メモリ
45 黒補正部
46 WB補正部
【発明の属する技術分野】
本発明は、受光部の全画素の画像信号を複数のフィールドに分けてフィールドごとに読出す全画素読出しタイプの撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルカメラの受光部における画素数が飛躍的に高くなっている。その一方で、受光部全体のサイズは画素数に応じて増大させないために、受光部における画素密度の増大によって各単位受光素子(単位CCDセル)の受光面積が小さくなってしまい、その結果として撮像感度が低下することになる。そこで、このような感度の低下を防ぐために、光電変換機能に寄与しない領域としての受光部の電荷転送路の面積を縮小させる技術が知られている。しなしながら、電荷転送路の面積を縮小させると受光部の全ラインの電荷信号を並列的に一度に読出すことが困難になるという問題が新たに生じるため、この問題を解決するために、全画素の電荷信号を複数のフィールドに分けてフィールドごとに順次に読出す方式が採用される。
【0003】
また、特開2000−308075や特開平10−327354では、撮像素子の機能細分化に伴い、TV走査と画素数との関係から複数フィールドを読出す手法が開示されている。
【0004】
このように、デジタルカメラに代表されるデジタル撮像装置においては、種々の目的から、複数のフィールドに分けて全画素の画像信号をフィールドごとに読出す方式(以下「フィールド順次の全画素読出し方式」と呼ぶ)が採用されるが、1フレームに対応するフィールド数として、2フィールドや3フィールドだけでなく、もっと多くのフィールド数(Nを2以上の任意の整数としたとき、Nフィールド)にフレームを分けて全画素を読出す方式が拡大していくと推測される。
【0005】
ところで、一般的に撮像素子から出力される画像信号には、図10(a)に示すように、被写体の画像内容を反映した成分(以下「被写体成分」)とともに暗ノイズ(より一般的には、単位受光素子の暗電流に起因して生じるノイズ)を含んでいる。そして、このような暗ノイズを含む画像信号をPGA(Programable Gain Amp.)で増幅するにあたってISO感度を上げると、図10(b)に示すように、暗ノイズも増幅されて撮影画像を劣化させる要因となる。なお、この暗ノイズは、温度の上昇に伴い増加する特性を有している。
【0006】
したがって、図11(a)のような暗ノイズのレベルを画素ごとに求め、この暗ノイズの影響を画像信号から除去できれば、図11(b)に示すような被写体成分が得られるため、画像品質を向上させることが可能となる。
【0007】
そして、フィールド順次の全画素読出し方式においてこのような暗ノイズの影響を除去する方法としては、図12(a)に示すように、設定されたシャッタースピード(露光時間Te1)と同等の時間Te2だけ受光部を遮光した状態でCCDに蓄積される暗ノイズをすべてのフィールド(Nフィールド)について読出し、暗ノイズの値を露光データから減算する方法がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フィールド順次の全画素読出し方式において暗ノイズの影響を除去する上記の従来方法では、遮光データ(暗データ)として全フィールドの画素について電荷信号を取得するため、図12(b)に示すように、画像メモリに保存するデータ量は2Nフィールド分のサイズとなってしまう。したがって、処理に使用するデータ量が大きくなるため、画像処理時間が長くなってユーザにストレスを与え、シャッターチャンスを逃す原因となる。特に、連写モードなどでは、画像処理時間が長くなると連写スピードに影響が出ることになって、シャッターチャンスを逃すことが多くなる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フィールド順次の全画素読出し方式において、暗ノイズの影響を除去しつつ迅速に高品質な画像をユーザに提供可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、撮像装置であって、(a)受光部の画素配列の信号を複数のフィールドに分けてフィールドごとに読出し可能な撮像手段と、(b)前記受光部に対する露光状態と遮光状態とを切替える切替手段と、(c)前記受光部が前記露光状態のときに前記受光部の各画素で蓄積される電荷信号をフィールドごとに順次に読出して、前記複数のフィールドのすべてについて露光データを取得する露光データ取得手段と、(d)前記複数のフィールドのうち一部のフィールドに相当する画素について、前記受光部が前記遮光状態のときに前記受光部で蓄積される電荷信号を読出して遮光データを取得する遮光データ取得手段と、(e)前記一部のフィールドについての前記遮光データに基づいて、前記露光データの補正内容を決定する補正内容決定手段とを備える。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る撮像装置において、前記一部のフィールドの画素における前記遮光状態での電荷信号蓄積時間は、前記露光データを得る際の露光時間に応じて決定される。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る撮像装置において、前記一部のフィールドは、前記露光データの取得の際に前記受光部から最初に読出されるフィールドである。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る撮像装置において、前記補正内容決定手段での補正対象となるフィールドは、前記露光データの取得の際に前記受光部から最後に読出されるフィールドを含む。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る撮像装置において、前記遮光データ取得手段は、(d−2)前記露光データを得る際の露光時間に応じて、前記複数のフィールドから前記一部のフィールドを選択する選択手段、を有するとともに、前記補正内容決定手段は、(e−1)前記露光時間に応じて、前記複数のフィールドから補正対象のフィールドを決定する補正対象決定手段を有する。
【0015】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
<撮像装置の要部構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る撮像装置1Aを示す斜視図である。また、図2は、撮像装置1Aの背面図である。なお、図1および図2には方位関係を明確にするためにお互いに直交するX,Y,Zの三軸を示している。
【0016】
撮像装置1Aの前面側には、撮影レンズ11とファインダ窓13とが設けられている。撮影レンズ11の内側には撮影レンズ11を介して入射する被写体像を光電変換して画像信号を生成する撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)2が設けられている。
【0017】
撮影レンズ11には光軸方向に沿って駆動可能なレンズ系が含まれており、当該レンズ系を光軸方向に駆動することにより、CCD2に結像される被写体像の合焦状態を実現することができるように構成されている。
【0018】
撮像装置1Aの上面側には、シャッターボタン14と、モード切替ボタン15とが配置されている。シャッターボタン14は被写体の撮影を行うときにユーザが押下操作を行って撮像装置1Aに撮影指示を与えるボタンである。
【0019】
モード切替ボタン15は、撮影モード、再生モードなどのモード切替えを行うためのボタンである。この撮影モードには、後述する暗ノイズ補正モードも含まれ、モード切替ボタン15をユーザが操作することで暗ノイズ補正モードに設定できる。
【0020】
撮像装置1Aの側面部には、ユーザによるシャッターボタン14の押下操作に伴う本撮影動作で得られる画像データを記録するためのメモリカード9を着装する着装部16が形成されている。さらに、着装部16からメモリカード9を取り出す際に押下するカード取り出しボタン17が配置されており、着装部16からメモリカード9を取り出すことができる。
【0021】
撮像装置1Aの背面には、本撮影前に被写体を動画的態様で表示するライブビュー表示や、撮影した画像等の表示を行うための液晶ディスプレイ(LCD)18と、シャッタースピードなど撮像装置1Aの各種設定状態を変更するための操作ボタン19と、ファインダ窓13とが設けられている。
【0022】
図3は、撮像装置1Aの機能ブロックを示す図である。
【0023】
撮像装置1Aは、CCD2にデータ伝送可能に接続するAFE(アナログフロントエンド)3と、AEF3と伝送可能に接続する画像処理ブロック4と、これら各部を統括制御するカメラマイコン5とを備えている。
【0024】
CCD2は、撮影レンズ11に対向する面に受光部2aが設けられており、この受光部2aには複数の画素が配列されている。また、受光部2aを構成する画素配列は、3つのフィールドに分けられており、各画素で蓄積される電荷信号(画像信号)をフィールドごとに順次に読出し可能な構成となっている。
【0025】
図4は、CCD2の電荷読出し方法を説明するための図であり、実際には数百万以上の画素が配列されているが、図示の便宜上、その一部のみが示されている。
【0026】
受光部2aの各画素には、赤(R)、緑(Gr、Gb)、青(B)のカラーフィルターが周期的な分布で配設されている。
【0027】
CCD2の各セルに蓄積された電荷信号を読出す場合には、まず図4(a)に示すように、受光部2aにおいて1、4、7、・・の各ライン、すなわち3n+1ライン目(nは整数)の電荷信号が読出されて、第1フィールド画像21が構成される。次に、図4(b)に示すように、受光部2aにおいて2、5、8、・・の各ライン、すなわち3n+2ライン目の電荷信号が読出されて、第2フィールド画像22が構成される。最後に、図4(c)に示すように、受光部2aにおいて3、6、9、・・の各ライン、すなわち3nライン目の電荷信号が読出されて、第3フィールド画像23が構成される。
【0028】
図3に戻って説明を続ける。
【0029】
AFE3は、信号処理部31と、信号処理部31にタイミング信号を送るTG(タイミング発生器)32とを備えるLSI(大規模集積回路)として構成されている。このTG32は、CCD2にCCD駆動信号を送り、この駆動信号に同期してCCD2から電荷信号が出力されることとなる。
【0030】
信号処理部31は、CDS(相関2重サンプリング器)、アンプ部として働くPGA(Programmable−Gain−Amplifier)、およびADC(A/D変換器)を有している。CCD2から出力された各フィールドの出力信号は、TG32からのサンプリング信号に基づきCDSでサンプリングされ、PGAで所望の増幅が行われる。このPGAは、カメラマイコン5からのシリアル交信を介して数値データにて増幅率の変更が可能な構成となっている。そして、PGAで増幅されたアナログ信号はADCでデジタル信号に変換された後、画像処理ブロック4に送られる。
【0031】
画像処理ブロック4は、画像メモリ41と、画像メモリ41に伝送可能に接続する画像処理部42と、圧縮/伸張部44とを有している。
【0032】
画像メモリ41は、AFE3でデジタル変換された各フィールド21〜23のデータを一時的に格納する部位である。全てのフィールド画像が、画像メモリ41に格納された後、一枚の全画素画像を生成するために、画像処理部42に送られる。
【0033】
画像処理部42では、画像メモリ41から送られる画像信号をCCD2のカラーフィルター特性に基づいた補間処理を行ってカラー化するとともに、各フィールド21〜23の画像を合成して1つのフレーム画像を生成する。また、画像処理部42は、所望の画像の明るさや色バランスを得るためのAE・WB調整、自然な階調を得るためのγ補正、輪郭強調や彩度調整を行うためのフィルター処理など各種の画像処理を行う。さらに、画像処理部42は、暗ノイズ補正モードの場合に有効となる黒補正部45とWB(ホワイトバランス)補正部46とを有している(後で詳述)。
【0034】
表示部43は、LCD18を有しており、CCD2で取得され画像処理部42で画像処理された撮影画像を表示する。
【0035】
圧縮/伸張部44は、画像処理部42で画像処理された画像を、例えばJPEG方式で圧縮し、記録媒体であるメモリカード9に保存する。また、圧縮/伸張部44は、表示部43に再生表示させるために、メモリカード9に保存される画像データの伸張を行う。
【0036】
また、撮像装置1Aは、カメラマイコン5に接続するレンズ駆動部61およびシャッター制御部62を備えるとともに、測光部63と操作部64と電源部65とを備えている。
【0037】
レンズ駆動部61は、撮影レンズ11の各レンズ位置を変更させるためのものであり、このレンズ駆動部61によってAFやズームが行える。
【0038】
シャッター制御部62は、メカニカルシャッター(以下では単に「シャッター」という)12を開閉させるための部位である。このシャッター制御部62とシャッター12とで、CCD2の受光部2aに対する露光状態と遮光状態とを切替える切替手段として機能することとなる。
【0039】
測光部63は、測光センサを有しており、被写体に関する測光を行う。
【0040】
操作部64は、シャッターボタン14、モード切替ボタン15や操作ボタン19などの各種の操作部材で構成されている。
【0041】
電源部65は、バッテリーを有しており、撮像装置1Aの各部に給電する。
【0042】
カメラマイコン5は、CPUおよびメモリを有しており、撮像装置1Aの各部を統括制御する部位である。
【0043】
<黒補正部45およびWB補正部46での処理について>
黒補正部45およびWB補正部46での補正処理を説明する前に、この補正に必要な暗ノイズに関するデータ(遮光データ)を取得する方法を説明する。
【0044】
図5は、遮光データを取得する方法を説明するための図である。図5(a)は、垂直同期信号VD、CCD2の出力およびシャッター12の開閉に関するタイミングチャートを示しており、図5(b)は、画像メモリ41の保存状況を説明する図を示している。
【0045】
図5(a)に示すように、ライブビュー時Tv、およびシャッターボタン14が押下されCCD2で電荷信号が蓄積される露光撮影時Te1には、シャッター12が開状態となっている。そして、露光状態を維持しつつ露光時間Te1が経過すると、シャッター12を閉状態にして受光部2aの各画素で蓄積された電荷信号が画像信号として読出される。この電荷読出し時Tr1には、図4に示すように第1フィールド21、第2フィールド22および第3フィールド23のそれぞれの画素が順に読出され、露光データが取得されることとなる。
【0046】
次に、シャッター12における遮光状態を維持したまま、CCD2で電荷蓄積を行う。この期間における暗ノイズに起因した電荷蓄積を、露光状態における「被写体の撮影」に対応させて「遮光撮影」と呼び、この遮光撮影を行う時間を「遮光撮影時間Te2」と呼ぶことにする。この遮光撮影時間Te2は、露光データと同じ条件で暗ノイズに関するデータを取得できるように、露光時間Te1に相当する時間とするのが好ましい。そして、遮光撮影時間Te2が経過すると、3つのフィールドのうちの一部のフィールドである第3フィールド23の画素に対応する受光部2aの蓄積電荷が読出される。この電荷読出しTr2により、後述する補正処理に必要な遮光データが取得できることとなる。
【0047】
このように取得された露光データと遮光データとは、図5(b)に示すように、順に画像メモリ41に保存される。この場合、遮光データは、露光データの1/3のサイズとなるため、従来技術に比べてデータサイズを削減できることとなる。
【0048】
黒補正部45は、画像メモリ41に保存された遮光データに基づき、露光データの暗ノイズ補正値(黒レベル補正値)を算出する。そして、黒補正部45は、この暗ノイズ補正値を露光データから減算する補正処理を行う。これにより、精度良く黒補正が行え、高品質な画像が生成できることとなる。
【0049】
WB補正部46は、黒補正部45で算出された暗ノイズ補正値を露光データのRGBの各画素値から減算することで実際の被写体にマッチしたRGBの各信号成分を算出し、これに基づきWB補正を行う。その結果、WB補正を精度良く行えることとなる。
【0050】
<撮像装置1Aの動作>
図6は、撮像装置1Aの基本的な動作を説明するためのフローチャートである。本動作は、カメラマイコン5で実行される。
【0051】
ステップS1では、ユーザが操作ボタン19を操作することにより、シャッタースピードを設定する。このシャッタースピードは、図5の露光時間Te1に対応するものである。
【0052】
ステップS2では、暗ノイズ補正モードであるか否かを判定する。ここでは、ユーザがモード切替ボタン15を操作して、暗ノイズ補正モードに設定されているかを判断する。ここで、暗ノイズ補正モードに設定されている場合には、ステップS3に進み、暗ノイズ補正モードに設定されていない場合には、ステップS7に進む。
【0053】
ステップS3では、全フィールドの露光撮影を行う。具体的には、図5(a)の露光撮影Te1および電荷読出しTr1の動作により、第1〜第3フィールド21〜23の蓄積電荷が順に読出される。
【0054】
ステップS4では、ステップS3で読出された全フィールドのCCD出力信号を、AFE3で信号処理して画像メモリ41に保存する。
【0055】
ステップS5では、最終フィールドのみについて遮光撮影を行う。具体的には、図5(a)の遮光撮影Te2および電荷読出しTr2の動作により、第3フィールドの蓄積電荷が読出される。
【0056】
ステップS6では、ステップS5で読出された第3フィールド23のCCD出力信号を、AFE3で信号処理して暗データとして画像メモリ41に保存する。
【0057】
ステップS7およびステップS8では、ステップS3およびステップS4と同様の動作を行う。
【0058】
ステップS9では、画像処理部42において、露光データに対する各種の画像処理が施される。
【0059】
特に、暗ノイズ補正モードに設定されている場合には、画像メモリ41に第3フィールド23の遮光データが保存されているため、この遮光データに基づき黒補正部45およびWB補正部46で上述した黒補正およびWB補正が行われる。この場合、遮光データを取得したフィールドと同じ第3フィールド23の露光データが補正される。これにより、暗ノイズの影響を受けやすい最終フィールド、すなわち露光撮影時に最後に電荷信号が読出されるフィールドの補正処理を確実に行える。すなわち、撮影された画像のSN比が向上し、高品質な画像が迅速に生成できることとなる。
【0060】
以上の撮像装置1Aの動作により、最終フィールドの遮光データに基づき露光データの補正処理を行うため、CCDの出力信号に含まれる暗ノイズの除去を迅速に精度良く行える。特に、暗ノイズが大きくなる場合、具体的には撮影条件が高温などの悪条件となる場合や、シャッタースピードが低速となる場合などには有効である。
【0061】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る撮像装置1Bは、図1〜図3に示す第1実施形態の撮像装置1Aと類似の構成を有しているが、カメラマイコン5の構成が異なっている。
【0062】
すなわち、撮像装置1Bのカメラマイコン5には、メモリに以下で説明する動作を実行するためのプログラムが格納されている。
【0063】
<撮像装置1Bの動作>
撮像装置1Bの動作は、図6のフローチャートに示す撮像装置1Aの動作と類似しているが、ステップS5に示す遮光撮影の動作と、ステップS9に示す画像処理の動作とが異なっている。以下では、これらの動作を順に説明する。
【0064】
図7は、撮像装置1Bの遮光撮影の動作を説明するための図である。本図は、シャッター12の開閉およびCCD2の出力に関するタイミングチャートを示している。
【0065】
上記の図5(a)と同様に、露光撮影終了後にシャッター2を閉状態にし、露光データである第1〜第3フィールド21〜23の電荷信号を読出す。その後、図5(a)に示す遮光撮影Te2のための時間をとることなく、遮光状態を維持して、露光撮影時に最初に電荷信号が読出されるフィールドである第1フィールド21の蓄積電荷を読出す。
【0066】
これにより、露光データの読出し開始から第3フィールド23の露光データの読出し開始までの時間Tpと、第1フィールドの露光データの読出し完了から遮光データの読出し開始までの時間Tqとが、ほぼ等しくなる。すなわち、暗ノイズの量は時間に比例して増加するため、第3フィールドの露光データが読出されるまでの時間Tpの間に蓄積される暗ノイズの量と、遮光データの取得までに第1フィールド21で蓄積される暗ノイズの量とがほぼ等しくなる。これにより、第3フィールドの露光データについて、電荷読出し動作中に生じる暗ノイズのレベルを正確に把握できることとなる。
【0067】
図8は、撮像装置1Bの画像処理の動作を説明するための図である。
【0068】
暗ノイズ補正モードに設定される場合の黒補正部45およびWB補正部46における補正処理を以下で説明する。
【0069】
図7のように取得された遮光データ、すなわち暗ノイズのレベルをDaとすると、第3フィールド23の露光データに含まれる暗ノイズのレベルD3は、上述したようにレベルDaに等しい大きさと推定できる。また、暗ノイズのレベルは時間とともに増加する特性を有しているため、第2フィールド22の露光データに含まれる暗ノイズのレベルD2及び第1フィールド21の露光データに含まれる暗ノイズのレベルD1は、所定の計算値もしくは設定値により特定される。レベルD1〜D3に基づき、黒補正部45およびWB補正部46において第1〜第3フィールド21〜23のそれぞれの画素についての露光データに対する補正処理を行うことで、撮影画像全体に対して適切な補正を行えることとなる。
【0070】
以上の撮像装置1Bの動作により、第1フィールドの遮光データに基づき全フィールドの露光データに対する補正処理を行うため、CCDの出力信号に含まれる暗ノイズの除去を迅速に精度良く行える。
【0071】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る撮像装置1Cは、図1〜図3に示す第1実施形態の撮像装置1Aと類似の構成を有しているが、カメラマイコン5の構成が異なっている。
【0072】
すなわち、撮像装置1Cのカメラマイコン5には、以下で説明する動作を実行するためのプログラムが格納されている。
【0073】
<撮像装置1Cの動作>
第1実施形態の撮像装置1Aについては、露光時間が電荷読出し時間に対して比較的長い場合に効果が大きくなるのに対して、第2実施形態の撮像装置1Bについては、電荷読出し時間が露光時間に対して比較的長い場合に効果が大きくなる。それは、以下の理由による。
【0074】
すなわち、電荷読出し時間よりも露光時間Te1の方が長い場合には、第1フィールド21の電荷読出しが完了してから第3フィールド23の電荷読出しが完了するまでの時間T13が露光時間Te1よりも短い。このため、第3フィールド23の電荷読出しが完了してすぐに第1フィールド21の暗ノイズを読出し始めた場合には、それまでに第1フィールド21の画素に蓄積している暗ノイズは、露光時間Te1に相当する暗ノイズよりも小さくなる。そこで、このような場合には第1の実施形態のように、露光時間Te1に相当する遮光期間Te2を別途に追加して第3フィールド23又は第1フィールド21の遮光データを取得する。なお、遮光期間Te2は露光時間Te1+T13としてもよい。
【0075】
これに対して、露光時間Te1よりも電荷読出し時間の方が長い場合には、第1フィールド21の電荷読出しが完了してから第3フィールド23の電荷読出しが完了するまでの時間T13内に露光時間Te1に相当する時間が経過している。したがって、第3フィールド23の電荷読出しが完了してすぐに第1フィールド21の暗ノイズを読出し始めると、それまでに第1フィールド21の画素に蓄積している暗ノイズは、露光時間Te1に相当する暗ノイズより大きくなっている。そこで、このような場合には第2の実施形態のように遮光データを取得し、遮光データの取得プロセスを高速化している。
【0076】
以上のような観点から、撮像装置1Cの動作については、これらの撮像装置1Aおよび撮像装置1Bの利点を適切に引出せるように、シャッタースピード、すなわち露光時間に応じて遮光データの取得と遮光データに基づく補正処理と自動的に切替えることとしている。以下で、撮像装置1Cの動作を詳述する。
【0077】
図9は、撮像装置1Cの基本的な動作を説明するためのフローチャートである。本動作は、カメラマイコン5で実行される。
【0078】
ステップS11では、ユーザが操作ボタン19を操作することにより、シャッタースピード(SS)を設定する。このシャッタースピードは、図5の露光時間Te1に対応するものである。
【0079】
ステップS12では、全フィールドの露光撮影を行う。具体的には、図5(a)の露光撮影Te1および電荷読出しTr1の動作により、第1〜第3フィールド21〜23の蓄積電荷が順に読出される。
【0080】
ステップS13では、ステップS12で読出された全フィールドのCCD出力信号を、AFE3で信号処理して画像メモリ41に保存する。
【0081】
ステップS14では、ステップS11で設定されたシャッタースピードが1/1000秒より大きいか否かを判定する。ここで、1/1000秒より大きい場合には、ステップS15に進み、1/1000秒以下の場合には、ステップS18に進む。
【0082】
ステップS15では、ステップS11で設定されたシャッタースピードが1/2秒より大きいか否かを判定する。ここで、1/2秒より大きい場合には、ステップS16に進み、1/2秒以下の場合には、ステップS17に進む。
【0083】
ステップS16では、最終フィールドのみについて遮光撮影を行う。具体的には、図5(a)に示すように、第3フィールド23の蓄積電荷が読出される。
【0084】
ステップS17では、第1フィールド21の画素のみについて遮光撮影を行う。具体的には、図7(a)に示すように、第1フィールド21の蓄積電荷が読出される。
【0085】
ステップS18では、ステップS16で読出された第3フィールド23、またはステップS17で読出された第1フィールド23のCCD出力信号を、AFE3で信号処理して画像メモリ41に保存する。
【0086】
ステップS19では、ステップS11で設定されたシャッタースピードが1/1000秒より大きいか否かを判定する。ここで、1/1000秒より大きい場合には、ステップS20に進む。
【0087】
ステップS20では、ステップS11で設定されたシャッタースピードが1/100秒より大きいか否かを判定する。ここで、1/100秒より大きい場合には、ステップS21に進み、1/100秒以下の場合には、ステップS22に進む。
【0088】
ステップS21では、ステップS11で設定されたシャッタースピードが1/2秒より大きいか否かを判定する。ここで、1/2秒より大きい場合には、ステップS23に進み、1/2秒以下の場合には、ステップS24に進む。
【0089】
ステップS22では、ステップS17で取得した第1フィールド21の遮光データに基づき、最終(第3)フィールド23の露光データについて、黒補正部45およびWB補正部46で補正処理を行う。
【0090】
ステップS23では、ステップS16で取得した最終(第3)フィールド23の遮光データに基づき、図8に示すように各フィールドの暗ノイズを推定した後、全フィールド21〜23の露光データについて、黒補正部45およびWB補正部46で補正処理を行う。
【0091】
ステップS24では、ステップS17で取得した第1フィールド21の遮光データに基づき、図8に示すように各フィールドの暗ノイズを推定した後、全フィールド21〜23の露光データについて、黒補正部45およびWB補正部46で補正処理を行う。
【0092】
これらの補正処理のバリエーションをまとめると、以下のようになる。
【0093】
▲1▼シャッター時間SSが短い(SS≦1/1000)ときには暗ノイズの影響が全体的に少なく、遮光データに基づく補正を行わなくても高品質の画像が得られる場合が多いために、遮光データに基づく画像補正を省略することによって、撮影の高速化を優先する。
【0094】
▲2▼シャッター時間SSが中間範囲内でかつ比較的短めな場合(1/1000<SS≦1/100)には、暗ノイズの影響が出やすい最終フィールドの画像データについてのみ遮光データに基づく補正を実行して、撮影の高速化を無用に低下させずに画像品質を維持する。ここで使用する遮光データは第1フィールド21についての遮光データであるが、それは第2実施形態の好ましい適用条件に関連して既述したように、遮光データの取得のために別途に遮光期間を設ける必要がないためである。
【0095】
▲3▼シャッター時間SSが中間範囲内でかつ比較的長めな場合(1/100<SS≦1/2)には、暗ノイズの影響が全体的に増えてくるために、遮光データに基づく補正を全フィールドの画像データに対して実行することによって、画像品質の維持を優先する。この場合も、遮光データとしては第1フィールド21についての遮光データを使用する。
【0096】
▲4▼シャッター時間SSが長い場合(1/2>SS)には、同様に遮光データに基づく補正を全フィールドの画像データに対して実行するが、そこで使用する遮光データは最終フィールドについての遮光データである。それは、第1実施形態の好ましい適用条件に関連して既述したように、遮光データの取得のために別途に遮光期間を設けて露光時間に相当する時間にわたって暗ノイズを蓄積させることが好ましいためである。
【0097】
以上のような撮像装置1Cの動作により、一部のフィールドの遮光データに基づき露光データの補正処理を行うため、CCDの出力信号に含まれる暗ノイズの除去を迅速に精度良く行える。さらに、シャッタースピード(露光時間)に応じて、遮光データを取得するフィールドを選択(ステップS14〜S17)し、また補正処理を行うフィールドを決定(ステップS19〜S24)するため、遮光データの取得と遮光データに基づく補正処理とを適切に行えることとなる。
【0098】
<変形例>
◎上記の各実施形態のCCD(撮像素子)については、3つのフィールドを有するタイプであるのは必須ではなく、2つのフィールドでも、4以上のフィールドを有するタイプでも良い。
【0099】
◎上記の各実施形態のシャッターについては、メカニカルシャッターであることは必須ではなく、液晶を利用したシャッターなどでも良い。
【0100】
◎上記の第1および第2実施形態については、撮像装置内に温度センサを設けてCCDが所定の温度以上の高温となる場合に、暗ノイズ補正モードに自動的に切替えるようにしても良い。この場合、温度上昇に伴い増加する暗ノイズを適切に除去できることなる。
【0101】
◎第2実施形態については、図8に示すように第3フィールドの暗ノイズを基準とした演算で第1および第2フィールドの暗ノイズを推定するのは必須でなく、あらかじめ実験的に求めた統計データから導出される関数に基づいて、第1および第2フィールドの暗ノイズを推定しても良い。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項5の発明によれば、露光データを構成する複数のフィールドのうちの一部のフィールドについて遮光データを取得し、その一部のフィールドについての遮光データに基づいて露光データの補正内容を決定する。したがって、遮光データのデータ量は比較的少なくて済む一方で、露光データの補正に必要な情報は取得されるため、暗ノイズの影響を除去しつつ迅速に高品質な画像をユーザに提供可能である。
【0103】
その結果、シャッターチャンスを十分に生かすことが可能であり、連写モードなどにおいては連写速度を向上させることもできる。
【0104】
特に、請求項2の発明においては、受光部を遮光状態とした際の電荷信号蓄積時間が、露光データを得る際の露光時間に応じて決定されるため、露光データに含まれる暗電流成分の大きさを精度良く知ることができる。
【0105】
また、請求項3の発明においては、最初に画像信号が読出されるフィールドに相当する画素から遮光データを取得するため、最後に画像データが読出されるフィールドとほぼ同じ時間だけ暗ノイズを蓄積した遮光データを取得できることになり、遮光データに基づく補正が特に適切となる。
【0106】
また、請求項4の発明においては、最後に画像データが読出されるフィールドを補正対象に含むため、暗ノイズの影響が大きくなる最後のフィールドについて補正処理を確実に行える。
【0107】
また、請求項5の発明においては、複数のフィールドから露光時間に応じて一部のフィールドを選択するとともに、露光時間に応じて補正対象のフィールドを決定するため、補正による画像品質の維持と撮影の迅速性とのバランスを、露光時間に応じて適切に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る撮像装置1A,1B,1Cを示す斜視図である。
【図2】撮像装置1A,1B,1Cの背面図である。
【図3】撮像装置1A,1B,1Cの機能ブロックを示す図である。
【図4】CCD2の電荷読出し方法を説明するための図である。
【図5】遮光データを取得する方法を説明するための図である。
【図6】撮像装置1Aの基本的な動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る撮像装置1Bの遮光撮影の動作を説明するための図である。
【図8】撮像装置1Bの画像処理の動作を説明するための図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る撮像装置1Cの基本的な動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】暗ノイズを説明するための図である。
【図11】暗ノイズの除去について説明するための図である。
【図12】従来例に係る遮光データの取得方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C 撮像装置
2 CCD
2a 受光部
5 カメラマイコン
12 メカニカルシャッター
21 第1フィールド
22 第2フィールド
23 第3フィールド
41 画像メモリ
45 黒補正部
46 WB補正部
Claims (5)
- 撮像装置であって、
(a)受光部の画素配列の信号を複数のフィールドに分けてフィールドごとに読出し可能な撮像手段と、
(b)前記受光部に対する露光状態と遮光状態とを切替える切替手段と、
(c)前記受光部が前記露光状態のときに前記受光部の各画素で蓄積される電荷信号をフィールドごとに順次に読出して、前記複数のフィールドのすべてについて露光データを取得する露光データ取得手段と、
(d)前記複数のフィールドのうち一部のフィールドに相当する画素について、
前記受光部が前記遮光状態のときに前記受光部で蓄積される電荷信号を読出して遮光データを取得する遮光データ取得手段と、
(e)前記一部のフィールドについての前記遮光データに基づいて、前記露光データの補正内容を決定する補正内容決定手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。 - 請求項1に記載の撮像装置において、
前記一部のフィールドの画素における前記遮光状態での電荷信号蓄積時間は、前記露光データを得る際の露光時間に応じて決定されることを特徴とする撮像装置。 - 請求項1または請求項2に記載の撮像装置において、
前記一部のフィールドは、前記露光データの取得の際に前記受光部から最初に読出されるフィールドであることを特徴とする撮像装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の撮像装置において、
前記補正内容決定手段での補正対象となるフィールドは、前記露光データの取得の際に前記受光部から最後に読出されるフィールドを含むことを特徴とする撮像装置。 - 請求項1または請求項2に記載の撮像装置において、
前記遮光データ取得手段は、
(d−2)前記露光データを得る際の露光時間に応じて、前記複数のフィールドから前記一部のフィールドを選択する選択手段、
を有するとともに、
前記補正内容決定手段は、
(e−1)前記露光時間に応じて、前記複数のフィールドから補正対象のフィールドを決定する補正対象決定手段、
を有することを特徴とする撮像装置。
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- 2002-05-30 JP JP2002157542A patent/JP2004007048A/ja active Pending
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