JP4888948B2 - アルミニウム材の高速陽極酸化皮膜形成方法 - Google Patents
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Description
尚、本明細書において、「アルミニウム」という文言は、アルミニウム及びアルミニウム合金の両方を含む意味で用いる。
しかしながら、アルミニウムは、上記のような優れた特性を有する反面、表面硬度及び耐食性が充分ではないという欠点を有している。
中でも、硫酸浴を用いた方法は最も多用されている方法であり、硫酸浴により作製した皮膜は、高い耐食性及び耐摩耗性を示すだけでなく、低コストで作製することが可能であるという利点も有する。また、シュウ酸浴により作製した皮膜は、硫酸浴により作製した皮膜に比べて、高硬度で孔径も大きな陽極酸化皮膜となる。
そのため、従来の方法では、短時間での厚い膜の生成が困難である上に、作製できる膜厚に限界があり、過酷な腐食環境下で使用されるアルミニウム製品に対する耐食処理としては不十分なものであった。
i=0.33t−0.32(0<t≦t1)
i=−0.16t+16.2(t1<t≦t2)
i=5.6(t2<t)
(但し、i:電流密度(A/dm2)、t:電解時間(分)、前記交流電流の周波数:1kHz一定)
i=0.21t−0.20(0<t≦t1)
i=−0.10t+10.6(t1<t≦t2)
i=3.7(t2<t)
(但し、i:電流密度(A/dm2)、t:電解時間(分)、前記交流電流の周波数:1kHz一定)
硫酸浴を用いる場合、硫酸濃度が0.001〜1.0モル/リットル、硫酸アルミニウム濃度が1.0〜10.0グラム/リットルの混合浴とし、この混合浴の温度を−5〜45℃とすることが好ましい。
シュウ酸浴を用いる場合、シュウ酸濃度を1〜10%、浴の温度を−5〜45℃とすることが好ましい。
そして、このような前処理を行ったアルミニウム材を酸性浴に浸漬し、白金板あるいはチタン板を対向配置した電極を用いて電解処理を行う。
本発明においては、電解時において、このように直流電流に交流電流を重畳させて印加した上で電流密度の制御を行う。
電流密度を一定とする場合の例としては、図1に示した例が挙げられる。
電流密度を変化させる場合の例としては、基底電流密度を0.5〜20A/dm2の範囲、振幅を0.5〜15A/dm2の範囲で夫々変化させる例を挙げることができる。
尚、いずれの場合でも、周波数は1〜100kHzの範囲、好ましくは500〜2000Hzの範囲で設定することができる。また、波形については、正弦波、三角波、矩形波等の任意の波形とすることができる。
この制御は、電流密度を電解開始から終了まで大きく三段階で印加する。すなわち、電解開始後から一定時間は増加させ、その後一定時間は減少させ、その後は一定に維持するという制御である。
i=0.33t−0.32(0<t≦t1)
i=−0.16t+16.2(t1<t≦t2)
i=5.6(t2<t)
(但し、i:電流密度(A/dm2)、t:時間(分)、前記交流電流の周波数:1kHz一定)
i=0.21t−0.20(0<t≦t1)
i=−0.10t+10.6(t1<t≦t2)
i=3.7(t2<t)
(但し、i:電流密度(A/dm2)、t:時間(分)、前記交流電流の周波数:1kHz一定)
但し、本発明においては、上述したように、t1は35分以上、t2は65分以上の範囲で任意に設定することができ、この場合において、電解開始時からt1分は12500C、t1〜t2分は11500C、t2〜180分は34000Cに制御して電解を行うことができる。
但し、本発明においては、上述したように、t1は35分以上、t2は65分以上の範囲で任意に設定することができ、この場合において、電解開始時からt1分は15000C、t1〜t2分は4800C、t2〜80分は3200Cに制御して電解を行うことができる。
従って、酸性浴に用いる酸として、硫酸及びシュウ酸以外の他の酸を用いる場合には、硫酸の皮膜生成定数を1としたときの他の酸の皮膜生成定数の値を式1に乗じることによって、当該他の酸について印加電流密度を制御するための式(時間関数)を求めることが可能となり、求められた式に従って電解時に印加電流密度を制御すればよいことになる。
図2は、本発明に係る方法と従来の方法について、硫酸浴中における電解時間と陽極酸化皮膜の膜厚の関係を示す図であり、(1)は従来の方法の場合、(2)は本発明に係る方法の場合である。
本発明に係る方法では、図1に示すような電流密度を一定にする制御を行い、基底電流密度を1A/dm2、振幅を2A/dm2、周波数を1kHz、波形を正弦波とした。
一方、従来の方法は、定電流(直流)電解法により行い、定電流密度を1A/dm2とした。
本発明に係る方法では、電圧の経時的変化が少なく略一定である。これにより、時間の経過に伴う膜抵抗の増加が殆ど起こらず、その結果、図2に示した如く皮膜成長が停止せず、厚膜化が可能となったものと考えられる。
これに対して、従来の方法では、電解開始直後に電圧が上昇している。これにより、時間とともに膜抵抗が大きくなり、図2に示した如く皮膜成長が停止してしまったものと考えられる。
本発明に係る方法は、図1に示すような電流密度を一定とする制御を行い、基底電流密度を3A/dm2、振幅を2A/dm2、周波数を1kHz、波形を正弦波とした。
一方、従来の方法は、定電流(直流)電解法により行い、定電流密度を3A/dm2とした。
これに対して、従来の方法では、電解開始約6時間後に膜厚が約140μmとなったが、それ以降、皮膜の成長は停止した。
本発明に係る方法は、図5中のt1にピークをもつ曲線に示すように電流密度を経時的に変化させた制御を行った。この制御は、印加電流密度を式1に従って制御したものであって、t1=35分、t2=65分、最大電流密度=11A/dm2、周波数1000Hzに設定した。電解時におけるアルミニウム材1dm2当たりの電気量の積分値は、電解開始時から35分は12500C、35〜65分は11500C、65〜180分は34000Cであった。
一方、従来の方法は、定電流(直流)電解法において、電流密度を式1に従って制御したものであって、t1=35分、t2=65分、最大電流密度=11A/dm2、周波数1000Hzに設定した。
これに対して、従来の方法では、電解開始約80分後に膜厚が約140μmとなったが、それ以降、皮膜の成長は停止した。
本発明に係る方法は、図6中の山形の曲線に示すように電流密度を経時的に変化させた制御を行った。この制御は、印加電流密度を式2に従って制御したものであって、t1=35分、t2=65分、最大電流密度=7A/dm2、周波数1000Hzに設定した。電解時におけるアルミニウム材1dm2当たりの電気量の積分値は、電解開始時から35分は15000C、35〜65分は4800C、65〜180分は3200Cであった。
また、図8の断面観察写真に示すように、本発明に係る方法の硫酸浴処理では、膜厚300μm程度の酸化アルミニウムの層が確認でき、中心にはバリアー層及び金属アルミニウム層(133μm厚)が残存していることが確認できた。また、シュウ酸浴処理による方法では、膜厚140μm程度の酸化アルミニウムの層が確認でき、中心にはバリアー層及び金属アルミニウム層(311μm厚)が残存していることが確認できた。
Claims (4)
- アルミニウム材を酸性浴中で電解することにより、該アルミニウム材の表面に陽極酸化皮膜を形成するアルミニウム材の陽極酸化皮膜形成方法であって、前記電解を、直流電流に交流電流を重畳させて印加し、経時的に電流密度を制御することにより行い、前記アルミニウム材の表面に膜厚150μm以上の陽極酸化皮膜を形成し、
前記電流密度の制御は、前記直流電流からなる基底電流の密度を、電解開始後から一定時間は増加させ、その後一定時間は減少させ、その後は一定に維持するという制御であることを特徴とするアルミニウム材の陽極酸化皮膜形成方法。 - 前記電解時において、基底電流密度を0.5〜20A/dm2の範囲、振幅を0.5〜15A/dm2の範囲で夫々変化させることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム材の陽極酸化皮膜形成方法。
- 前記酸性浴が硫酸浴であって、前記電解時において、印加電流密度を以下の一般式に従って制御することを特徴とする請求項1又は2記載のアルミニウム材の陽極酸化皮膜形成方法。
i=0.33t−0.32(0<t≦t1)
i=−0.16t+16.2(t1<t≦t2)
i=5.6(t2<t)
(但し、i:電流密度(A/dm2)、t:電解時間(分)、前記交流電流の周波数:1kHz一定) - 前記酸性浴がシュウ酸浴であって、前記電解時において、印加電流密度を以下の一般式に従って制御することを特徴とする請求項1又は2記載のアルミニウム材の陽極酸化皮膜形成方法。
i=0.21t−0.20(0<t≦t1)
i=−0.10t+10.6(t1<t≦t2)
i=3.7(t2<t)
(但し、i:電流密度(A/dm2)、t:電解時間(分)、前記交流電流の周波数:1kHz一定)
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