JP2003041382A - メガネフレームの製造方法 - Google Patents

メガネフレームの製造方法

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JP2003041382A JP2001234874A JP2001234874A JP2003041382A JP 2003041382 A JP2003041382 A JP 2003041382A JP 2001234874 A JP2001234874 A JP 2001234874A JP 2001234874 A JP2001234874 A JP 2001234874A JP 2003041382 A JP2003041382 A JP 2003041382A
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aqueous solution
alloy
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magnesium alloy
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Takeo Nakamura
武夫 中村
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Murai Co Ltd
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マグネシウム合金製のメガネフレームを製造
するにあたり、塗料の密着性及び耐腐食性に優れ、かつ
品質の安定した製品をより容易に製造することが可能な
メガネフレームの製造方法を提供する。 【解決手段】 マグネシウムを主成分とし、合金全体に
対して2.5〜10.0%のアルミニウムと0.5〜
2.5の亜鉛とを含む合金、又は合金全体に対して1.
5〜11.0%のアルミニウムと0.1〜0.7%のマ
ンガンとを含むマグネシウム合金を押し出し成型によっ
て成型した、マグネシウム合金の部材によるメガネフレ
ーム素体を陽極として、含フッ素電解質を含む水溶液中
で直流電解により陽極酸化し、このメガネフレーム素体
を含クロム酸水溶液中で電極として通電する電解クロメ
ート処理によってクロメート処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はメガネフレームの製
造方法に関し、特にマグネシウム合金製のメガネフレー
ムにおいて、塗料の密着性と耐腐食性とに優れるメガネ
フレームを安定して製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、メガネフレームの材料として
は種々の材料が知られている。その中でもマグネシウム
合金は、重さや強度の観点から好ましい材料と言える
が、腐食しやすいという問題点を有する。またマグネシ
ウム合金のような金属製品は、塗装に際して塗料との密
着性を良くするために塗装前の前処理が一般に行われ
る。
【0003】前記前処理方法としては、例えば特開平6
−116739号公報に記載されているようにクロメー
ト処理を行う方法や、特開平7−109598号公報に
記載されているように陽極酸化処理を行い、次いでクロ
メート処理を行う方法等が知られている。クロメート処
理では処理液に製品を浸漬する化成処理が一般に用いら
れている。
【0004】マグネシウム合金製のメガネフレームの製
造としては、例えばマグネシウム合金としてAZ31の
板材を切削加工し、これに化成処理や陽極酸化処理を施
し、最終仕上げとしてメッキ処理や塗装加工を施す方法
が知られている。従来の化成処理や陽極酸化処理につい
て以下に例示する。
【0005】例1)重クロム酸ナトリウム180g/
L、硝酸260cc/L(室温、化成処理) 例2)リン酸二水素マンガン25g/L、ケイフッ酸ナ
トリウム3g/L、硝酸ナトリウム2g/L、重クロム
酸ナトリウム0.2g/L(80〜90℃、化成処理) 例3)重クロム酸ナトリウム180g/L、重フッ化ナ
トリウム15g/L、硫酸アルミニウム10g/L(室
温、化成処理) 例4)無水クロム酸180g/L、硝酸第二鉄40g/
L、フッ化カリウム4g/L(室温、化成処理) 例5)硫酸アンモニウム30g/L、重クロム酸ナトリ
ウム30g/L、水酸化アンモニウム2.5g/L(5
0〜60℃、陽極酸化処理) 例6)水酸化カリウム160g/L、フッ化カリウム3
5g/L、リン酸ナトリウム35g/L、水酸化アルミ
ニウム35g/L、過マンガン酸カリウム20g/L
(陽極酸化処理) 例7)酸性フッ化アンモニウム240〜360g/L、
重クロム酸ナトリウム100g/L、リン酸90g/L
(70〜80℃、陽極酸化処理)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】マグネシウム合金は前
述したように耐腐食性が一般に低く、毎日顔に掛けて使
用するメガネの用途を考えると、前述した陽極酸化処理
やクロメート処理を駆使しても、十分な耐久性を実現す
ることが困難であり、耐用年数の長いメガネフレームを
製造することは困難であった。
【0007】また前述した処理例では、処理液の組成が
複雑であり、処理液の工程中における管理や処理液を用
いるその他の作業が困難になる等、作業性や生産性の観
点から検討の余地が残されている。
【0008】本発明は、マグネシウム合金製のメガネフ
レームを製造するにあたり、塗料の密着性及び耐腐食性
に優れ、かつ品質の安定した製品をより容易に製造する
ことが可能なメガネフレームの製造方法を提供すること
を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するための手段として、以下に示すメガネフレーム
の製造方法を提供する。すなわち本発明は、マグネシウ
ム合金製のメガネフレーム素体を陽極として陽極酸化す
る工程と、この陽極酸化したメガネフレーム素体をクロ
メート処理する工程とを含むメガネフレームの製造方法
であって、マグネシウム合金はマグネシウムを主成分と
し、合金全体に対して2.5〜10.0%のアルミニウ
ムと0.5〜2.5の亜鉛とを含む合金、又は合金全体
に対して1.5〜11.0%のアルミニウムと0.1〜
0.7%のマンガンとを含む合金であり、メガネフレー
ム素体には押し出し成型によって成型された前記マグネ
シウム合金の部材を用い、陽極酸化は含フッ素電解質を
含む水溶液中に直流を通電する直流電解であり、クロメ
ート処理は含クロム酸水溶液中でメガネフレーム素体を
電極として通電する電解クロメート処理である、メガネ
フレームの製造方法である。
【0010】本発明では、含フッ素電解質はフッ酸、酸
性フッ化アンモニウム、フッ化アンモニウム、フッ化ナ
トリウム、フッ化カリウムから選ばれる少なくとも一種
であり、含フッ素電解質を含む水溶液は含フッ素電解質
を総量で8〜150g/L含む水溶液であり、かつ直流
は30〜200Vであることが好ましく、また、含クロ
ム水溶液は含フッ化電解質を総量で10〜200g/L
含み、かつ重クロム酸ナトリウム又は重クロム酸カリウ
ムを10〜200g/L含む水溶液であることが好まし
い。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のメガネフレームの製造方
法は、マグネシウム合金の中でも耐食性の良い素材を選
択して適切に成型し、単純な組成の処理液を用いて陽極
酸化処理及び電解クロメート処理を行うことにより、塗
料の密着性と耐腐食性とに優れたマグネシウム合金製メ
ガネフレームを製造する方法である。
【0012】前記メガネフレーム素体は、塗装前処理前
のメガネフレームの一部又は全部をいい、メガネフレー
ムのそれぞれの部品であって良いし、ネジ止め等が施さ
れてメガネフレームの形態になっているものであっても
良い。
【0013】前記メガネフレーム素体の材料には、耐腐
食性に優れるマグネシウム合金が用いられる。このよう
なマグネシウム合金にはマグネシウムの他に種々の元素
が含まれるが、本発明に適用されるマグネシウム合金と
しては、マグネシウムを主成分とし、アルミニウム等の
副成分を数%〜数十%程度含む合金が挙げられる。な
お、マグネシウム合金には、マグネシウムや前記副成分
以外の元素を数%程度まで含んでいても良く、前記副成
分や他の元素を除いた成分としてマグネシウムが含まれ
ている。
【0014】前記耐腐食性に優れるマグネシウム合金と
しては、マグネシウムを主成分とし、例えば合金全体に
対して2.5〜10.0%のアルミニウムと0.5〜
2.5の亜鉛とを含む合金、又は合金全体に対して1.
5〜11.0%のアルミニウムと0.1〜0.7%のマ
ンガンとを含む合金が挙げられる。
【0015】マグネシウム以外の元素は、マグネシウム
合金の加工性と耐腐食性を向上させることを主目的とし
て添加されており、その合金中における含有量は元素の
種類等によっても異なる。これらの元素の含有率は、一
般に小さすぎると前記マグネシウム合金における耐腐食
性の向上が不十分となり、大きすぎると後述する電解に
支障を来す傾向にある。
【0016】前述したマグネシウム合金としては、例え
ばASTM規格におけるAZ31〜AZ92やAM20
〜AM100等が挙げられる。また前述したマグネシウ
ム合金としては、合金全体に対して88〜99%のマグ
ネシウムと3〜10%のアルミニウムとを含むものが好
ましく、このような合金としては、例えばASTM規格
におけるAM60B合金やAZ91D合金等が挙げられ
る。
【0017】前記メガネフレーム素体は、押し出し成型
(押し出し加工)によって成型された前記マグネシウム
合金の部材によって構成される。メガネフレーム素体
は、各部品が押し出し成型によって成型されたものであ
っても良いし、押し出し成型によって成型された板状部
材を切削等の加工を施すことにより形成されたものであ
っても良い。この押し出し成型は、成型しようとする部
材の形状等によって適切な手法を採用することが好まし
く、従来より知られている、種々の押し出し成型用の機
器や部材を利用することができる。
【0018】本発明では、前記メガネフレーム素体を陽
極として陽極酸化を行う。この陽極酸化には、含フッ素
電解質を含む水溶液中に直流を通電する直流電解を本発
明では採用する。直流電解は交流電解に比べて通電によ
る電解液の温度上昇を抑えることが容易に可能であり、
このような直流電解を採用することにより、両電極部材
の破損を抑制することが可能となり、メガネフレームの
製造において作業性をより一層向上させることが可能で
ある。
【0019】前記含フッ素電解質は、直流電解によって
メガネフレーム素体表面にMgF2を主とした被膜を形
成できるものであれば良く、このような含フッ素電解質
としては、例えばフッ酸、酸性フッ化アンモニウム、フ
ッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム
等が好ましくは挙げられ、これらのうちの一種又は二種
以上が用いられる。
【0020】前記含フッ素電解質を含む水溶液は、含フ
ッ素電解質を総量で8〜150g/L含む。含フッ素電
解質水溶液の濃度が上記範囲よりも小さいと陽極酸化被
膜生成反応が不安定となる傾向にあり、上記範囲よりも
大きいと陽極酸化被膜生成による不導体化が早すぎる傾
向にある。
【0021】陽極酸化における直流は、電圧が30〜2
00Vであることが好ましい。印加電圧が上記範囲より
も小さいと、陽極酸化被膜の生成よりも溶出の方が勝
り、生成被膜が不安定となることがあり、上記範囲より
も大きいと不導体化によって陽極酸化被膜の生成が停止
し、生成被膜が不十分となることがある。
【0022】なお含フッ素電解質を含む水溶液には、前
述した含フッ素電解質が含まれていれば足り、この水溶
液の組成が単純であることが、陽極酸化時における温度
上昇を抑え、液温の管理を容易とし、作業性を向上させ
る一因となっているが、水溶液の陽極酸化処理時におけ
る処理条件の管理に支障を来さない範囲で、含フッ素電
解質の他にもリン酸三ナトリウム等、陽極酸化に用いら
れることが従来より知られている種々の物質を適量添加
しても良い。このような物質を添加することにより、陽
極酸化によって形成される被膜の特性を調整することが
できる。
【0023】本発明では、前述した陽極酸化を施したメ
ガネフレーム素体をクロメート処理する。このクロメー
ト処理には、含クロム酸水溶液中でメガネフレーム素体
を電極として通電する電解クロメート処理を本発明では
採用する。クロメート処理は一般に耐腐食性を高めるた
めに採用されるが、通電クロメート処理は、浸漬による
化成処理であるクロメート処理に比べて、耐腐食性の向
上に加えて密着性を高めることが可能である。これは電
解時に発生する気泡による表面洗浄効果と、細部へのク
ロメート被膜の付き回りが良くなる効果とによるものと
思われる。
【0024】本発明におけるクロメート処理は、電源及
び電解槽を少なくとも有する通常の設備を利用すること
で行うことができる。電解クロメートでは前記メガネフ
レームが電極の一方であれば良く、他方の電極の材料や
形態は電流の種類等の通電条件によって選択することが
好ましい。
【0025】前記含クロム酸水溶液に含まれるクロム酸
化合物は、クロメート処理に使用されることが知られて
いるものを用いることができ、このようなクロム酸化合
物としては例えば重クロム酸ナトリウムや重クロム酸カ
リウム等が挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上
が用いられる。
【0026】本発明では、クロメート処理による被膜と
前記陽極酸化による被膜との密着性を高めることを目的
として、含クロム酸水溶液に前記含フッ素電解質を添加
することが好ましい。添加される含フッ素電解質は、陽
極酸化で用いられた化合物と同じ化合物であっても良い
し異なる化合物であっても良いが、密着性の向上という
観点から、同じ化合物を添加することがより好ましい。
また含クロム酸水溶液には、従来より知られているよう
に硫酸や硝酸等、他の物質を添加しても良い。
【0027】含クロム酸水溶液中における前記クロム酸
化合物の濃度は総量で10〜200g/Lであることが
好ましい。クロム酸化合物の濃度が上記範囲よりも小さ
いとクロメートが不十分となる傾向にあり、上記範囲よ
りも大きいとクロメート後において塗装を行う場合に塗
膜の密着性が不十分となることがある。
【0028】また前記含フッ素電解質を添加する場合で
は、含クロム酸水溶液中における含フッ素電解質の濃度
は総量で10〜200g/Lであることが好ましい。含
フッ素電解質の濃度が上記範囲よりも小さいとクロメー
トが不十分となり、その後に塗装する場合に塗膜の密着
性が不十分となることがあり、上記範囲よりも大きい場
合においても、上記塗膜の密着性が不十分となることが
ある。
【0029】前記電解クロメート処理では、直流及び交
流のいずれの電流を用いても良く、また直流の通電及び
遮断を規則的に繰り返すことによるパルス電流を用いて
も良い。電解クロメート処理では、概ね電流密度が0.
5〜数A/dm2程度であり、通電時間が30秒〜1分
程度であることが好ましく、処理時における水溶液温度
は常温程度であることが好ましい。
【0030】電解クロメート処理を施したメガネフレー
ム素体は、プライマ及び塗料を塗布する通常の塗装工程
を経て製品化される。この塗装工程については特に限定
されることはなく、プライマや塗料等の材料、スプレー
塗装等の塗装方法、加熱乾燥等の後処理方法等、従来よ
り知られている種々の技術を利用することが可能であ
る。
【0031】本発明では、前述した工程の他にも、メガ
ネフレームを製造する上で適切な種々の工程を適宜採用
することが可能である。このような他の工程としては、
例えば切削加工により形成されたメガネフレーム素体の
表面加工工程や、陽極酸化前におけるメガネフレーム素
体の脱脂工程等を挙げることができ、これらの工程は、
陽極酸化工程及び電解クロメート処理工程に使用される
物質やメガネフレーム素体の材質等に応じて、従来より
知られている技術を適宜利用することで行うことが可能
である。
【0032】なお本発明で製造されたメガネフレーム
は、陽極酸化工程及びクロメート処理工程において電解
法を利用しており、交流電解による陽極酸化や通常のク
ロメート処理等のように浸漬による化成処理による製品
に比べて、各工程で形成される被膜の厚さを自在に調整
することが可能であり、かつより厚く被膜を形成するこ
とが可能である。形成された被膜は断面観察によって確
認することが可能である。
【0033】
【実施例】<実施例1>マグネシウム合金部材として、
押し出し成型された幅150mm、厚み4mmのAZ9
1板材(ASTM規格)をメガネフレームの形状に切削
加工し、ガラ研磨で表面を調整し、試料(以下「ワー
ク」ともいう)を作製した。
【0034】このワークを水酸化ナトリウム60g/
L、リン酸三ナトリウム10g/Lの脱脂液で70℃、
5A/dm2(0.05A/m2)、4分の条件で陰極電
解処理した後、酸性フッ化アンモニウム40g/Lの水
溶液中で30℃、150V、4分の条件で直流電解処理
を行った。この後、さらに酸性フッ化アンモニウム10
0g/L、重クロム酸ナトリウム40g/Lの水溶液で
1A/dm2、1分の条件で陰極電解し、塗装の前処理
とした。
【0035】前述した処理を施したワークに市販のポリ
エステル系プライマ(商品名:MHプライマ、製造元:
早川塗料)を塗布し、アクリル系の塗料を用いて30μ
m仕上げのカラー塗装を行った。なお、アクリル系仕上
げ塗装では160℃、30分の熱処理を施した。
【0036】このワークに1mm角のクロスカットを入
れ、セロハンテープでの一般的な密着試験を行い、次い
で沸騰水試験によるクロスカット部のテーピング試験を
10回繰り返したが、塗膜は全く剥がれず、密着性が良
いことが実証された。
【0037】また同じ仕上げを行った別のワークでキャ
ス試験と人工汗(塩化ナトリウム20g/L、塩化アン
モニウム17.5g/L、尿素5g/L、乳酸(85
%)15cc/L、酢酸(99%)2.5cc/Lをp
H4.7に調整)試験48時間とを槽温度50℃で行っ
たが、腐食はなく、試験後のワークの1mm角クロスカ
ットによるテーピング密着試験においても剥がれがな
く、品質の良いことが実証された。
【0038】陽極酸化処理液は、酸性フッ化アンモニウ
ム40g/Lの単純な組成によるものであり、この陽極
酸化処理によってワーク表面にはMgF2を主とする被
膜が形成され、電解クロメートとの組み合わせにより密
着性に優れた塗装仕上げを可能とし、また素材をAZ9
1にすることとにより、目的とする耐腐食性も確保され
た。
【0039】<実施例2>実施例1と同じ工程で塗装前
処理を行い、プライマをエポキシ系(商品名:ラスルー
フ、製造元:カシュー塗料)に替え、後は同じ塗装仕上
げとしたワークを用意して、実施例1と同様の品質試験
を行った。その結果、密着性及び耐食性共に異常のない
優れた結果が得られた。
【0040】<実施例3>マグネシウム合金部材とし
て、押し出し成型された幅150mm、厚み4mmのA
M60B板材(ASTM規格)をメガネフレーム形態に
加工したワークを用意し、これを実施例1と同じ工程で
塗装仕上げまで行い、実施例1と同様の品質試験を行っ
た。その結果、密着性及び耐食性はAZ91と同じ良好
な結果が得られた。
【0041】<比較例1>マグネシウム合金であるAZ
31板材(ASTM規格)をメガネフレーム形態に加工
したワークを用い、実施例1と同じ処理工程で塗装仕上
げまで行い、品質試験を行った。その結果、人工汗試験
とキャス試験との耐腐食性試験では、ワーク欠陥部から
の腐食によりマグネシウム合金母材が激しく浸食され、
塗装被膜だけが残る蝉殻状態となり、材質の差が確認さ
れた。
【0042】前述した実施例及び比較例から、マグネシ
ウム合金中におけるアルミニウム金属の含有割合が耐腐
食性の確保に大きく係わっていること、及びアルミニウ
ムとマンガンとを含むマグネシウム合金であるAM60
Bの耐腐食性が優れていることが伺える。またメガネフ
レームの構造上、表面処理が不十分になりやすい合口部
やネジ止め部等、表面処理加工時における治具接点部か
らの腐食が激しい。したがって、塗装の密着性及び耐腐
食性を実現するためには、材料(Mg合金)の選択と表
面処理加工技術の二つがかみ合っていなければ、耐久年
数の長い製品を得ることが困難であることがわかる。
【0043】<比較例2>マグネシウム合金としてAZ
91板材をメガネフレーム形態に加工したワークを用
い、陽極酸化処理条件において50Vの交流電解に変え
た以外は実施例1と同じ処理工程で塗装仕上げまで行
い、品質試験を行った。その結果、耐腐食性は得られる
が、耐腐食性試験前後でのテーピング試験で密着性が悪
かった。
【0044】これは陽極電解処理において、直流電解と
交流電解とによって形成される被膜の状態が異なること
に起因する。直流電解では酸化被膜の生成が早く、被膜
を厚くするためには、陰極とワークとの間に電流が流れ
る電圧領域まで電圧を上げる必要があり(本実施例等で
は150V)、ワーク表面に形成される酸化被膜は砂打
ちしたような粗な状態を呈す。
【0045】一方で交流電解では正逆の電流が流れるた
め、酸化被膜の生成と同時に電解研磨作用が起こってお
り、被膜が薄く光沢面を表面に形成する。このため塗装
下地処理としては直流電解のそれに比べて劣ることがわ
かる。また交流電解では、ワークに合った通電用ピンと
してマグネシウムの細い線材を用いるが、通電による液
温上昇が激しく、前記ピンの損傷も激しく、処理条件に
制約を受けやすいことがわかる。
【0046】<比較例3>陽極酸化処理を行わない以外
は、実施例1と同じ処理工程でワークの作製及び塗装仕
上げをし、品質試験を行った。さらに本比較例では品質
試験として、フレーム素地まで達するクロスカットを入
れた人工汗試験とキャス試験を追加し、品質を確認し
た。その結果、密着性及び耐腐食性において、陽極酸化
処理を行った他の実施例品に比べて劣るものであること
がわかった。このことから、直流電解による陽極酸化処
理と電解クロメートの組み合わせが、塗装の密着性と耐
腐食性に効果的であることがわかる。
【0047】<比較例4>実施例1と同じワークを用
い、水酸化カリウム160g/L、フッ化カリウム35
g/L、リン酸ナトリウム35g/L、水酸化アルミニ
ウム35g/L、過マンガン酸カリウム20g/Lの組
成の処理液で、40V、5分の条件で交流電解により陽
極酸化処理を行い、酸性フッ化アンモニウム30g/L
と重クロム酸ナトリウム100g/Lのクロメート液で
1分の浸漬処理を行い、実施例1と同じ品質試験を行っ
た。
【0048】上記処理液による陽極酸化処理では、放電
に伴う発熱で液温が激しく上昇し、メガネフレームに合
わせた通電用の直径1.5mmの線材(1.4Mネジを
切ったもの)が脆くなって切れる場合が多く発生し、量
産には問題点の多いことがわかった。陽極酸化処理によ
る被膜にはスマット状の付着物が多く、塗装の安定した
密着性は得られなかった。また陽極酸化処理による被膜
は、処理時における液温等の処理条件が適正に管理され
ている状態では良好な耐腐食性を示すが、処理時におけ
る液管理に難点があり、安定した品質を得ることは困難
であった。
【0049】<実施例4>実施例1と同じワークを用意
し、酸性フッ化アンモニウムの濃度を8g/L、15g
/L、40g/L、100g/L、150g/Lの組成
で、150〜180V、5分の条件で直流電解により陽
極酸化処理を行い、電解クロメートを0.5A/d
2、30秒の条件で行い、実施例1と同じ塗装仕上げ
をし、品質試験を行った。その結果、密着性及び耐腐食
性に優れており、他の実施例と同等の優れた品質が得ら
れることがわかった。
【0050】<実施例5>陽極酸化処理液の組成を酸性
フッ化アンモニウム30g/Lとリン酸三ナトリウム2
0g/Lとした以外は、実施例1と同じ工程で塗装仕上
げまでをし、品質試験を行った。その結果、陽極酸化処
理による被膜は、リン酸三ナトリウムを加えない場合よ
りも硬く、脆さが抑えられた特性であることがわかり、
リン酸三ナトリウムの添加は陽極酸化被膜の特性向上に
効果的であることがわかった。また塗装の密着性や耐腐
食性については実施例1と同じレベルであり、優れてい
ることがわかった。
【0051】
【発明の効果】本発明のメガネフレームの製造方法は、
マグネシウム合金製のメガネフレーム素体を陽極として
陽極酸化する工程と、この陽極酸化したメガネフレーム
素体をクロメート処理する工程とを含むメガネフレーム
の製造方法であって、マグネシウム合金はマグネシウム
を主成分とし、合金全体に対して2.5〜10.0%の
アルミニウムと0.5〜2.5の亜鉛とを含む合金、又
は合金全体に対して1.5〜11.0%のアルミニウム
と0.1〜0.7%のマンガンとを含む合金であり、メ
ガネフレーム素体には押し出し成型によって成型された
マグネシウム合金の部材を用い、陽極酸化は含フッ素電
解質を含む水溶液中に直流を通電する直流電解であり、
クロメート処理は含クロム酸水溶液中でメガネフレーム
素体を電極として通電する電解クロメート処理であるこ
とから、ダイキャスト成型品に見られるようなエアー入
りやクラック、層状の欠陥等の発生が少なく、塗料の密
着性及び耐腐食性等の品質が高くかつ安定したメガネフ
レームをより容易に製造することができる。
【0052】また本発明では、含フッ素電解質はフッ
酸、酸性フッ化アンモニウム、フッ化アンモニウム、フ
ッ化ナトリウム、フッ化カリウムから選ばれる少なくと
も一種であり、含フッ素電解質を含む水溶液は含フッ素
電解質を総量で8〜150g/L含む水溶液であり、か
つ直流は30〜200Vであると、作業性の良い製造方
法を提供する上でより一層効果的である。
【0053】また本発明では、含クロム水溶液は含フッ
化電解質を総量で10〜200g/L含み、かつ重クロ
ム酸ナトリウム又は重クロム酸カリウムを10〜200
g/L含む水溶液であると、塗料の密着性及び耐腐食性
を向上させる上でより一層効果的である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マグネシウム合金製のメガネフレーム素
    体を陽極として陽極酸化する工程と、この陽極酸化した
    メガネフレーム素体をクロメート処理する工程とを含む
    メガネフレームの製造方法であって、 前記マグネシウム合金はマグネシウムを主成分とし、合
    金全体に対して2.5〜10.0%のアルミニウムと
    0.5〜2.5の亜鉛とを含む合金、又は合金全体に対
    して1.5〜11.0%のアルミニウムと0.1〜0.
    7%のマンガンとを含む合金であり、 前記メガネフレーム素体には押し出し成型によって成型
    された前記マグネシウム合金の部材を用い、 前記陽極酸化は含フッ素電解質を含む水溶液中に直流を
    通電する直流電解であり、 前記クロメート処理は含クロム酸水溶液中で前記メガネ
    フレーム素体を電極として通電する電解クロメート処理
    である、メガネフレームの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記含フッ素電解質はフッ酸、酸性フッ
    化アンモニウム、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウ
    ム、フッ化カリウムから選ばれる少なくとも一種であ
    り、前記含フッ素電解質を含む水溶液は前記含フッ素電
    解質を総量で8〜150g/L含む水溶液であり、かつ
    前記直流は30〜200Vであることを特徴とする請求
    項1に記載のメガネフレームの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記含クロム水溶液は前記含フッ化電解
    質を総量で10〜200g/L含み、かつ重クロム酸ナ
    トリウム又は重クロム酸カリウムを10〜200g/L
    含む水溶液であることを特徴とする請求項1又は2に記
    載のメガネフレームの製造方法。
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