JP4887126B2 - ブレーキスイッチ故障診断方法及びブレーキスイッチ故障診断装置 - Google Patents
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Description
ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキスイッチの故障診断方法であって、
ブレーキペダルの操作状態を検出可能に設けられた2つのブレーキスイッチが共にオン状態ではなく、かつ、共にオフ状態でないことが検出された場合、第1判定カウンタ及び第2判定カウンタにおいてそれぞれ所定増分値だけの計数を行う一方、前記2つのブレーキスイッチが、共にオン状態であることが検出された場合には、前記第1判定カウンタのカウント値を零とし、また、前記2つのブレ
ーキスイッチが、共にオフ状態であることが検出された場合には、前記第2判定カウンタのカウント値を零とすることを周期的に繰り返し、
前記第1判定カウンタ又は第2判定カウンタのカウント値がそれぞれ予め定められた所定値以上となった際に、ブレーキスイッチの故障と判定するよう構成されてなるものである。
また、上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るブレーキスイッチ故障診断装置は、
ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキスイッチの故障診断装置であって、
ブレーキペダルの操作状態に応じて所定の信号を出力する2つのブレーキスイッチと、
前記2つのブレーキスイッチの出力信号を入力し、その故障の有無を判定する電子制御ユニットとを有してなり、
前記電子制御ユニットは、
前記2つのブレーキスイッチが共にオン状態ではなく、かつ、共にオフ状態でないことを検出し、その検出がなされた場合には、第1判定カウンタ及び第2判定カウンタにおいてそれぞれ所定増分値だけの計数を行う一方、前記2つのブレーキスイッチが、共にオン状態であることが検出された場合には、前記第1判定カウンタのカウント値を零とし、また、前記2つのブレーキスイッチが、共にオフ状態であることが検出された場合には、前記第2判定カウンタのカウント値を零とすることを周期的に繰り返し、
前記第1判定カウンタ又は第2判定カウンタのカウント値がそれぞれ予め定められた所定値以上となった際に、ブレーキスイッチの故障と判定するよう構成されてなるものである。
また、本発明によれば、2つのブレーキスイッチが共にオン状態ではないこと、及び、共にオフ状態ではないことを検出し、その検出を同時に2つのカウンタにより計数する一方、2つのブレーキスイッチが共にオン状態であることが検出された場合には、一方のカウンタをクリアし、2つのブレーキスイッチが共にオフ状態であることが検出された場合には、他方のカウンタをクリアすることで、2つのブレーキスイッチの一方が、常時オン状態(オン固着)、又は、常時オフ状態(オフ固着)となるような故障の検出を可能としたので、従来に比して、より信頼性の高い故障診断を行うことができ、ひいてはブレーキ装置の信頼性向上に寄与することができるという効果を奏するものである。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態におけるブレーキスイッチ故障診断方法が用いられる車両ブレーキ装置の構成例について、図1を参照しつつ説明する。
図1は、自動四輪車における車両ブレーキ装置の概略構成例を示したもので、ブレーキペダル1の踏み込み量は、ブレーキマスタシリンダ2によって、その踏み込み量に応じた油圧に変換されるようになっている。ブレーキマスタシリンダ2に生じた油圧は、ブースタ3によって増圧され、ブレーキ圧としてホイールシリンダ4へ、油圧ユニット(図1においては「HYP」と表記)102を介して伝達され、ホイールシリンダ4により車輪5へブレーキ力が作用せしめられるようになっている。
また、図1においては、図面を簡潔にして理解を容易とするため、ホイールシリンダ4及び車輪5を1個のみ示したものとなっているが、これらは、実際には、車輪の数に対応して設けられるものとなっている。
このブレーキスイッチ6a,6bの出力信号は、ブレーキ装置の動作制御などを行う電子制御ユニット101に入力されるようになっている。
まず、本発明の実施の形態におけるブレーキスイッチ故障診断処理は、電子制御ユニット101において実行される車両の動作制御のための様々な処理の中の1つとして実行されるものであり、そのためサブルーチン処理として実行されるものとなっている。
また、本発明の実施の形態においては、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bは、ブレーキペダル1が踏み込まれた際、共にオン(ON)状態(閉成状態)となり、電子制御ユニット101においては、BK SW1=BK SW2=ON(又は論理値High)と認識されるものとなっている。なお、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bは、必ずしも上述のようにブレーキペダル1が踏み込まれた際にオンとなるものに限定される必要はなく、逆論理、すなわち、ブレーキペダル1が踏み込まれた際にオフ(OFF)となるものであっても良い。
ここで、クリア遅延タイマは、公知・周知のいわゆるタイマソフウェアを用いてなるもので、このように、第1判定カウンタをクリアする前に、所定時間Tcの計時を行うのは、ステップS110におけるYESの判定結果が、例えばノイズなどで生じた場合に、安定した動作状態となってから第1判定カウンタのクリアを行うことで、動作の信頼性を確保するためである。
そして、ステップS102において、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bの出力信号は、BK SW1=BK SW2=OFFであると判定された場合(YESの場合)には、基本的に先に説明したステップS130,S132と同様な処理であるステップS134,S136が実行されることとなる。
そして、第2判定カウンタ用クリア遅延タイマによる所定時間Tcの計時完了時に、第2判定カウンタがリセットクリアされ(図2のステップS136参照)、一旦、一連の処理が終了されて図示されないメインルーチンへ戻ることとなる(図3参照)。
一方、ステップS104において、マスクタイマは動作中ではないと判定された場合(NOの場合)には、ステップS106の処理へ進み、判定遅延タイマが始動されることとなる。判定遅延タイマは、先のマスクタイマと同様、いわゆるタイマソフトウェアを用いてなるもので、所定時間Tjの計時を行うものである。
このように本発明の実施の形態においては、先のステップS100,S102において、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bの不一致が検出された際に、直ちに故障であるとするのではなく、判定遅延タイマによる所定時間Tj経過後においても、依然として同様な状態が検出された場合に、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6のいずれかが故障の可能性有りとして、後述するように、その発生回数を第1及び第2判定カウンタによりカウントするようにしている(図2のステップS114,S120参照)。
一方、ステップS110において、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bの出力信号は共にオン状態ではないと判定された場合(NOの場合)には、ステップS112の処理へ進み、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bの出力信号が共にオフ状態であるか否かが判定されることとなる。
一方、ステップS112において、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bの出力信号が共にオフ状態ではないと判定された場合(NOの場合)には、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bのいずれか一方が故障して、出力信号に不一致の状態が生じている可能性ありとして、第1及び第2判定カウンタにおける計数動作が実行されることとなる(図2のステップS114,S120参照)。
マスクタイマは、先に概略を説明したように、ステップS112において、BK SW1=BK SW2=OFFではないと判定された後、所定時間Tmの間、ステップS110以降の処理を回避するために設けられたソフトウェアタイマである。これは、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bの出力信号が共にオン状態ではない、又は、共にオフ状態ではないとの判定が、何らかの原因により偶発的に生じた場合などや、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bの出力信号が実際には共にオン状態ではない、又は、共にオフ状態ではないにも関わらず、ノイズなどにより、電子制御ユニット101にあたかもそのような状態にあると等価な信号が入力された場合などにおけるステップS110以降の処理を回避することで、故障判定の信頼性をより高めるためである。
なお、故障報知は、表示素子や表示装置における故障表示や、点灯素子などの点灯、ブザーなどの鳴動素子の鳴動等、種々の一般に良く知られている手法によるものが好適であり、これらのいずれか、又は、その組み合わせであっても良く、特定の手法に限定される必要は無いものである。
まず、図4において、図4(A)は、第1のブレーキスイッチ6aの出力信号(BK SW1)の変化例を示すタイミング図、図4(B)は、第2のブレーキスイッチ6bの出力信号(BK SW2)の変化例を示すタイミング図、図4(C)は、判定遅延タイマの計時による時間経過を擬似的にランプ(傾斜)波形として表したタイミング図、図4(D)は、第1判定カウンタの計数値の変化を擬似的に階段状の波形で表したタイミング図、図4(E)は、第2判定カウンタの計数値の変化を擬似的に階段状の波形で表したタイミング図、図4(F)は、故障報知(図3のステップS128参照)において、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bのいずれかが故障状態であるとの判定に対応して生成される論理信号を示すタイミング図である。
すなわち、時刻t0までは、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bのいずれもが正常な動作状態となっているが、それ以後、第1のブレーキスイッチ6aは、常時オフ状態となっている(図4(A)参照)。
そして、時刻t1において、第1のブレーキスイッチ6aの出力信号はオフ状態、第2のブレーキスイッチ6bの出力信号はオン状態であるため、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bの出力信号は、共にオン状態ではなく、また、共にオフ状態でもないと判定されることとなる(図2のステップS100,S102参照)。
そして、所定時間Tj経過後、ステップS110,S112においていずれもNOとの判定となるため、第1及び第2判定カウンタがカウントアップされることとなる(図4(D)及び図4(E)参照)。
以下、同様にして上述したような動作が繰り返され、時刻tnにおいて、第1判定カウンタのカウンタ値Nc1が所定値αとなると(図4(D)参照)、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bのいずれかが故障であるとする論理値Highの論理信号が電子制御ユニット101内において生成され(図4(F)参照)、故障報知などのトリガ信号とされることとなる。
その一方で、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bの出力信号が共にオン状態とはならないために、第1判定カウンタはクリアされることなく計数を繰り返すことができ、所定値αに達して故障判定がなし得るものとなっている。
まず、図5(A)〜図5(F)の各々が示す対象は、上述の図4(A)〜図4(F)と同一である。
図5において、時刻t0までは、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bのいずれもが正常な動作状態となっているが、それ以後、第1のブレーキスイッチ6aは、常時オン状態となっている(図5(A)参照)。
この後、マスクタイマ動作中の時刻t3において、第2のブレーキスイッチ6bがオン状態となると、マスクタイマ動作中であっても、図2のステップS100は実行されるので、ステップS100において、BK SW1=BK SW2=ONであると判定されることとなり、第1判定カウンタは、第1判定カウンタ用のクリア遅延タイマによる所定時間Tcの計時後にクリアされることとなる(図5(D)参照)。
そして、所定時間Tj経過後、ステップS110,S112においていずれもNOとの判定となるため、第1及び第2判定カウンタがカウントアップされることとなる(図5(D)及び図5(E)参照)。
以下、同様にして上述したような動作が繰り返され、時刻tnにおいて、第2判定カウンタのカウンタ値Nc2が所定値βとなると(図5(E)参照)、第1及び第2のブレーキスイッチ6a,6bのいずれかが故障であるとする論理値Highの論理信号が電子制御ユニット101内において生成され(図5(F)参照)、故障報知などのトリガ信号とされることとなる。
6a…第1のブレーキスイッチ
6b…第2のブレーキスイッチ
101…電子制御ユニット
102…油圧ユニット
Claims (7)
- ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキスイッチの故障診断方法であって、
ブレーキペダルの操作状態を検出可能に設けられた2つのブレーキスイッチが共にオン状態ではなく、かつ、共にオフ状態でないことが検出された場合、第1判定カウンタ及び第2判定カウンタにおいてそれぞれ所定増分値だけの計数を行う一方、前記2つのブレーキスイッチが、共にオン状態であることが検出された場合には、前記第1判定カウンタのカウント値を零とし、また、前記2つのブレ
ーキスイッチが、共にオフ状態であることが検出された場合には、前記第2判定カウンタのカウント値を零とすることを周期的に繰り返し、
前記第1判定カウンタ又は第2判定カウンタのカウント値がそれぞれ予め定められた所定値以上となった際に、ブレーキスイッチの故障と判定することを特徴とするブレーキスイッチの故障診断方法。 - ブレーキペダルの操作状態を検出可能に設けられた2つのブレーキスイッチが共にオン状態ではなく、かつ、共にオフ状態でないことが検出された場合、判定遅延タイマによる所定時間の計時を行い、しかる後、再度、前記2つのブレーキスイッチが共にオン状態ではなく、かつ、共にオフ状態でないことが検出された場合に、第1判定カウンタ及び第2判定カウンタにおいてそれぞれ所定増分値だけの計数を行うことを特徴とする請求項1記載のブレーキスイッチの故障診断方法。
- 第1判定カウンタ及び第2判定カウンタによる計数が行われた際には、判定遅延タイマによる計時を所定時間の間禁止し、判定遅延タイマによる計時完了後における2つのブレーキスイッチが共にオン状態ではなく、かつ、共にオフ状態でないことの検出を回避することを特徴とする請求項2記載のブレーキスイッチの故障診断方法。
- ブレーキペダルの操作状態を検出する2つのブレーキスイッチの出力信号が入力されて、前記ブレーキスイッチの故障診断を行うよう構成されてなるブレーキスイッチ故障診断装置において実行されるブレーキスイッチ故障診断プログラムであって、
前記2つのブレーキスイッチの出力信号が、共にオン状態か否かを判定する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて、前記2つのブレーキスイッチの出力信号が、共にオン状態であると判定された場合に、第1判定カウンタをクリアする第2のステップと、
前記第1のステップにおいて、前記2つのブレーキスイッチの出力信号が、共にオン状態ではないと判定された場合に、前記2つのブレーキスイッチの出力信号が、共にオフ状態か否かを判定する第3のステップと、
前記第3のステップにおいて、前記2つのブレーキスイッチの出力信号が、共にオフ状態であると判定された場合に、第2判定カウンタをクリアする第4のステップと、
前記第3のステップにおいて、前記2つのブレーキスイッチの出力信号が、共にオフ状態ではないと判定された場合に、判定遅延タイマによる所定時間の計時を行う第5のステップと、
前記第5のステップにおける判定遅延タイマによる所定時間の計時が完了した際に、前記2つのブレーキスイッチの出力信号が、共にオン状態か否かを判定する第6のステップと、
前記第6のステップにおいて、前記2つのブレーキスイッチの出力信号が、共にオン状態であると判定された場合に、前記第1判定カウンタをクリアする第7のステップと、
前記第6のステップにおいて、前記2つのブレーキスイッチの出力信号が、共にオン状態ではないと判定された場合に、前記2つのブレーキスイッチの出力信号が、共にオフ状態か否かを判定する第8のステップと、
前記第8のステップにおいて、前記2つのブレーキスイッチの出力信号が、共にオフ状態であると判定された場合に、前記第2判定カウンタをクリアする第9のステップと、
前記第8のステップにおいて、前記2つのブレーキスイッチの出力信号が、共にオフ状態ではないと判定された場合に、第1及び第2判定カウンタにより、それぞれ定められた所定増分値のカウントを行う第10のステップと、
前記第10のステップにおける第1及び第2判定カウンタによるカウント後に、それぞれのカウント値がそれぞれ設定された所定値以上となったか否かを判定する第11のステップと、
前記第11のステップにおいて、いずれか一方のカウント値が所定値以上であると判定された際に前記2つのブレーキスイッチのいずれか一方が故障であるとする第12のステップと、を有し、これらが周期的に繰り返されるよう構成されてなるこをと特徴とするブレーキスイッチ故障診断プログラム。 - ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキスイッチの故障診断装置であって、
ブレーキペダルの操作状態に応じて所定の信号を出力する2つのブレーキスイッチと、
前記2つのブレーキスイッチの出力信号を入力し、その故障の有無を判定する電子制御ユニットとを有してなり、
前記電子制御ユニットは、
前記2つのブレーキスイッチが共にオン状態ではなく、かつ、共にオフ状態でないことを検出し、その検出がなされた場合には、第1判定カウンタ及び第2判定カウンタにおいてそれぞれ所定増分値だけの計数を行う一方、前記2つのブレーキスイッチが、共にオン状態であることが検出された場合には、前記第1判定カウンタのカウント値を零とし、また、前記2つのブレーキスイッチが、共にオフ状態であることが検出された場合には、前記第2判定カウンタのカウント値を零とすることを周期的に繰り返し、
前記第1判定カウンタ又は第2判定カウンタのカウント値がそれぞれ予め定められた所定値以上となった際に、ブレーキスイッチの故障と判定するよう構成されてなることを特徴とするブレーキスイッチの故障診断装置。 - 電子制御ユニットは、
ブレーキペダルの操作状態を検出可能に設けられた2つのブレーキスイッチが共にオン状態ではなく、かつ、共にオフ状態でないことが検出された場合、判定遅延タイマによる所定時間の計時を行い、しかる後、再度、前記2つのブレーキスイッチが共にオン状態ではなく、かつ、共にオフ状態でないことの検出を行い、その検出がなされた場合に、第1判定カウンタ及び第2判定カウンタにおいてそれぞれ所定増分値だけの計数を行うよう構成されてなることを特徴とする請求項5記載のブレーキスイッチの故障診断装置。 - 電子制御ユニットは、
第1判定カウンタ及び第2判定カウンタによる計数が行われた際には、判定遅延タイマによる計時を所定時間の間禁止し、判定遅延タイマによる計時完了後における2つのブレーキスイッチが共にオン状態ではなく、かつ、共にオフ状態でないことの検出が回避されるよう構成されてなることを特徴とする請求項6記載のブレーキスイッチの故障診断装置。
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