JP5598285B2 - ブレーキ操作判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の運転者がブレーキ操作を行ったか否か(ブレーキ操作の有無)を判定するブレーキ操作判定装置に関するものである。
ブレーキ操作の有無を判定する手法としては、運転者がブレーキ操作を行うとアクティブレベルになるブレーキ信号を2系統にし、その2系統のブレーキ信号の何れかがアクティブレベルになると、ブレーキ操作が行われたと判定するものがある(例えば、特許文献1([0029])、特許文献2([0003])参照)。
そして、このようなブレーキ操作判定手法によれば、2系統のブレーキ信号のうちの一方に、アクティブレベルにならないオフ固着異常(例えば、ブレーキ信号を出力するスイッチのオフ故障や、信号線の断線)が生じても、他方のブレーキ信号がアクティブレベルになることに伴ってブレーキ操作を検出でき、延いては、自動車においてブレーキ操作を実施条件とした制御を実施することができる。
また、2系統のブレーキ信号にレベルの不一致があれば異常と判定する、という異常検出方法も知られている(例えば、特許文献1([0026])、特許文献2([0003])参照)。
特開2001−106057号公報 特開2004−142522号公報
上記のブレーキ操作判定手法では、2系統のブレーキ信号のうちの一方に、アクティブレベルのままになるオン固着異常が生じた場合には、そのオン固着異常が解消されない限り、実際にはブレーキ操作が行われていないのにブレーキ操作が行われていると誤判定することとなる。よって、そのブレーキ操作判定手法を自動車の制御装置に適用すると、2系統のブレーキ信号のうちの一方にオン固着異常が生じた場合には、ブレーキ操作を実施条件とした制御を、ブレーキ操作が行われていないのに実施し続けてしまうこととなり、好ましくない。
また、このような不具合を回避するために、例えば、上記の異常検出手法によって異常と判定したならば、以後はブレーキ信号を無視する、という構成を採ることが考えられる(例えば、特許文献1([0030]参照)。
しかし、そのように構成したのでは、結局、2系統のブレーキ信号の両方がアクティブレベルになった場合にだけ、ブレーキ操作が行われたと判定することとなり、前述した2系統化の利点が得られなくなる。つまり、2系統のブレーキ信号のうちの一方にオフ固着異常が生じた場合には、正常な方のブレーキ信号がアクティブレベルになっても、そのブレーキ信号が無視されることとなり、延いては、ブレーキ操作が行われているのに、ブレーキ操作を実施条件とした制御が実施されなくなってしまう。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、2系統のブレーキ信号の何れか一方にオフ固着異常とオン固着異常との何れが生じても、ブレーキ操作の有無を正しく判定できるようにすることを目的としている。
本発明のブレーキ操作判定装置は、自動車の運転者がブレーキ操作を行うとアクティブレベルになる2系統のブレーキ信号に基づいて、運転者がブレーキ操作を行ったか否かを判定するものであり、オン固着異常検出手段を備えている。オン固着異常検出手段は、2系統のブレーキ信号に基づいて、その2系統のブレーキ信号のうちの一方に、アクティブレベルのままになるオン固着異常が生じているか否かを判定する。
そして、このブレーキ操作判定装置は、オン固着異常検出手段によりオン固着異常が生じていると判定されていない場合には、2系統のブレーキ信号のうちの少なくとも一方がアクティブレベルならば、運転者がブレーキ操作を行ったと判定し、オン固着異常検出手段により2系統のブレーキ信号のうちの一方にオン固着異常が生じていると判定されている場合には、2系統のブレーキ信号の両方がアクティブレベルならば、運転者がブレーキ操作を行ったと判定する。
このようなブレーキ操作判定装置によれば、2系統のブレーキ信号のうちの一方にオン固着異常が生じても、その場合には、当該装置の動作モードが、2系統のブレーキ信号の両方がアクティブレベルか否かによりブレーキ操作の有無を判定する(つまり、2系統のブレーキ信号の両方がアクティブレベルならば、運転者がブレーキ操作を行ったと判定し、2系統のブレーキ信号の少なくとも一方が非アクティブレベルならば、運転者がブレーキ操作を行っていないと判定する)第2の動作モードになるため、正常な方のブレーキ信号に応じて、ブレーキ操作の有無を正しく判定することができる。
また、ブレーキ信号にオン固着異常が生じていない場合には、当該装置の動作モードが、2系統のブレーキ信号のうちの少なくとも一方がアクティブレベルか否かによりブレーキ操作の有無を判定する(即ち、2系統のブレーキ信号のうちの少なくとも一方がアクティブレベルならば、運転者がブレーキ操作を行ったと判定し、2系統のブレーキ信号の両方が非アクティブレベルならば、運転者がブレーキ操作を行っていないと判定する)第1の動作モード(つまり、通常の判定動作モードになるため、ブレーキ信号2系統化の本来の利点が確保される。つまり、もし2系統のブレーキ信号のうちの一方にオフ固着異常が生じても、その場合には、正常な方のブレーキ信号に応じて、ブレーキ操作の有無を正しく判定することができる。
よって、このようなブレーキ操作判定装置を自動車の制御装置(車載制御装置)に適用すれば、2系統のブレーキ信号の何れか一方にオフ固着異常とオン固着異常との何れが生じても、ブレーキ操作の有無を正しく判定して、ブレーキ操作を実施条件とした制御を正しく実施することができるようになる。
更に、オン固着異常検出手段は2系統のブレーキ信号のうち、一方がアクティブレベルから非アクティブレベルに変化したときに、他方がアクティブレベルのままであると判定したならば、その他方のブレーキ信号にオン固着異常が生じていると判定するように構成されている。
そして、この構成によれば、各ブレーキ信号のオン固着異常を確実に検出することができる。尚、前述した異常検出方法では、ブレーキ信号のオフ固着異常とオン固着異常とを区別できず、結局のところ、オン固着異常を検出することはできない。
しかも、本発明のブレーキ操作判定装置は、運転者がブレーキ操作を行っていない期間中に2系統のブレーキ信号のうちの一方にオン固着異常が生じても、運転者がブレーキ操作を1回行って、2系統のブレーキ信号のうち、正常な方がアクティブレベルから非アクティブレベルに変化すれば、オン固着異常検出手段によりオン固着異常が生じていると判定されて、当該ブレーキ操作判定装置の動作モードが第1の動作モードから第2の動作モードに変化することにより、ブレーキ操作の有無を正しく判定する状態になる。
また、オン固着異常検出手段は、請求項に記載のように、2系統のブレーキ信号のうち、オン固着異常が生じていると判定した方のブレーキ信号が、非アクティブレベルになったと判定すると、オン固着異常が生じているとの判定を解除するように構成することができる。
そして、この構成によれば、オン固着異常を起こしたブレーキ信号が正常に戻ったならば、上記通常の判定動作モードに復帰することができる。
実施形態の車載制御装置(ECU)の構成を表すブロック図である。 オン固着異常検出処理を表すフローチャートである。 操作判定部のブレーキ操作判定ロジックを表す論理回路図である。 実施形態の作用を説明するタイムチャートである。
以下に、本発明が適用された実施形態の車載制御装置について説明する。尚、本実施形態の車載制御装置は、自動車の運転者がブレーキ操作を行ったことを条件にしてエンジンの出力を制限するエンジン出力制限制御を行うものであり、以下、ECUという。
図1に示すように、本実施形態のECU11が搭載される自動車には、運転者がブレーキ操作(本実施形態では、ブレーキペダルを踏む操作)を行うとオンする2つのブレーキスイッチSW1,SW2が備えられている。
そして、各ブレーキスイッチSW1,SW2の一方の接点は、電源電圧としてのバッテリ電圧に接続されており、他方の接点は、信号線(いわゆるワイヤハーネス)L1,L2を介してECU11に接続されている。また、図示を省略しているが、ECU11の内部において、各信号線L1,L2は、抵抗器等の抵抗成分を介してグランド電位にプルダウンされている。
このため、運転者がブレーキ操作を行っていなければ、ブレーキスイッチSW1,SW2がオフして、信号線L1,L2の電圧は、ブレーキ操作無しを示す非アクティブレベルとしてのローレベル(本実施形態ではグランド電位=0V)となる。また、運転者がブレーキ操作を行うと、ブレーキスイッチSW1,SW2がオンして、信号線L1,L2の電圧は、ブレーキ操作有りを示すアクティブレベルとしてのハイレベル(本実施形態ではバッテリ電圧)となる。
本実施形態では、ブレーキスイッチSW1,SW2の各々から各信号線L1,L2を介してECU1に入力されるハイ又はローの各電圧信号が、2系統のブレーキ信号になっている。尚、以下では、ブレーキスイッチSW1から信号線L1を介してECU11に入力される方のブレーキ信号を、ブレーキ信号B1と言い、ブレーキスイッチSW2から信号線L2を介してECU11に入力される方のブレーキ信号を、ブレーキ信号B2と言う。
そして、ECU11は、オン固着異常検出部13と、操作判定部15と、出力制限制御部17とを備えている。
オン固着異常検出部13は、2系統のブレーキ信号B1,B2に基づいて、その2系統のブレーキ信号B1,B2のうちの一方に、ハイレベルのままになるオン固着異常が生じているか否かを判定する。
操作判定部15は、2系統のブレーキ信号B1,B2と、オン固着異常検出部13による各ブレーキ信号B1,B2についての異常検出結果(オン固着検出結果R1,R2)とから、運転者によるブレーキ操作の有無(運転者がブレーキ操作を行ったか否か)を判定する。尚、図1及び以下の説明において、オン固着検出結果R1とは、オン固着異常検出部13によるブレーキ信号B1についてのオン固着異常の検出結果を示すフラグであり、そのオン固着検出結果R1の“オン”は、ブレーキ信号B1にオン固着異常が生じていることを示す。同様に、オン固着検出結果R2とは、オン固着異常検出部13によるブレーキ信号B2についてのオン固着異常の検出結果を示すフラグであり、そのオン固着検出結果R2の“オン”は、ブレーキ信号2にオン固着異常が生じていることを示す。
出力制限制御部17は、車速(自動車の走行速度)を示す車速信号と、運転者がアクセルペダルを踏んでいるか否かを示すアクセル信号と、操作判定部15による判定結果であるブレーキ操作判定結果とに基づいて、エンジンの出力を強制的に制限する処理(エンジン出力制限制御の処理)を行う。
例えば、車速が規定値Vth以上で、且つ、アクセルペダルが踏まれており、且つ、ブレーキ操作が行われている(ブレーキペダルが踏まれている)と判定したならば、エンジンのスロットル開度を制御しているスロットル制御装置に与えるアクセル開度情報の値を、所定値に制限することにより、運転者によるアクセルペダルの操作量に拘わらずエンジン出力が所定値に制限されるようにする。
次に、オン固着異常検出部13が各ブレーキ信号B1,B2のオン固着異常を検出するために行うオン固着異常検出処理について、図2のフローチャートを用い説明する。
尚、図2のオン固着異常検出処理は、一定時間毎に繰り返し実行される。また、オン固着異常検出処理としては、ブレーキ信号B1のオン固着異常を検出するものと、ブレーキ信号B2のオン固着異常を検出するものとの、2つがあり、その各々が一定時間毎に実行されるが、図2では、ブレーキ信号B2のオン固着異常を検出する方を表している。そして、ここでは、その図2に沿って説明する。
図2に示すように、オン固着異常検出部13がオン固着異常検出処理の実行を開始すると、まずS110にて、ブレーキ信号B2についての異常確定判定時間(即ち、オン固着異常が発生していると確定判定する時間)を後述のS140,S150によって計測している最中であるか否かを判定する。そして、異常確定判定時間の計測中でなければ(S110:NO)、S120に進む。
S120では、ブレーキ信号B1が、ハイレベルからローレベルに変化したか否かを判定し、ブレーキ信号B1がハイレベルからローレベルに変化したと判定した場合には、S130に進む。また、上記S110にて、異常確定判定時間の計測中であると判定した場合には(S110:YES)、S120をスキップしてS130に進む。
S130では、ブレーキ信号B2がハイレベルであるか否かを判定する。そして、ブレーキ信号B2がハイレベルであれば、一方のブレーキ信号B1がハイレベルからローレベルへ変換したにも拘わらず他方のブレーキ信号B2はハイレベルのままであることから、ブレーキ信号B2にオン固着異常が生じていると仮判定して、S140に進む。尚、S110からS120をスキップしてS130に進んだ場合には、ブレーキ信号B2にオン固着異常が生じていると既に仮判定している。
S140では、ブレーキ信号B2についての異常確定判定時間を計測するための時間計測カウンタをインクリメント(+1)し、続くS150にて、上記S120とS130との両方で「YES」と判定した時点から異常確定判定時間が経過したか否かを、その時間計測カウンタの値に基づいて判定する。
そして、異常確定判定時間が経過していないと判定した場合には、そのまま当該オン固着異常検出処理を終了するが、異常確定判定時間が経過したと判定した場合には、ブレーキ信号B2にオン固着異常が生じていると確定判定して、S160に進み、オン固着検出結果R2をオンした後、当該オン固着異常検出処理を終了する。
また、上記S130にて、ブレーキ信号B2がハイレベルではないと判定した場合には、S170に移行して、オン固着検出結果R2をオフし(即ち、ブレーキ信号B2にオン固着異常が生じているとの判定を解除し)、その後、S180に進む。
また、上記S120にて、ブレーキ信号B1がハイレベルからローレベルに変化していないと判定した場合には、そのままS180に移行する。
そして、S180では、ブレーキ信号B2についての時間計測カウンタを0にクリアし、その後、当該オン固着異常検出処理を終了する。
尚、ブレーキ信号B1のオン固着異常を検出する方のオン固着異常検出処理では、上記図2の処理が、以下のように変形される。
即ち、S120では、ブレーキ信号B2がハイレベルからローレベルに変化したか否かを判定し、S130では、ブレーキ信号B1がハイレベルであるか否かを判定する。そして、S160では、オン固着検出結果R1をオンし、S170では、オン固着検出結果R1をオフする。また、S110では、ブレーキ信号B1についての異常確定判定時間を計測中か否かを判定し、S140では、ブレーキ信号B1についての時間計測カウンタをインクリメントし、S150では、異常確定判定時間が経過したか否かを、ブレーキ信号B1についての時間計測カウンタの値に基づいて判定し、S180では、ブレーキ信号B1についての時間計測カウンタを0にクリアする。
以上のようなオン固着異常検出処理では、2系統のブレーキ信号B1,B2のうち、一方がハイレベルからローレベルに変化したときに(S120:YES)、他方がハイレベルのままであると判定したならば(S130:YES)、その他方のブレーキ信号にオン固着異常が生じていると判定するようになっている(S160)。但し、本実施形態では、ノイズの影響で誤判定するのを防止するため、ブレーキ信号B1,B2の一方がハイレベルからローレベルに変化した時点で確定判定するのではなく、その時点から、他方のブレーキ信号がハイレベルのままである継続時間が異常確定判定時間に達したなら(SS150:YES)、その他方のブレーキ信号が本当にハイレベルのままであると判定し、その時点でオン固着異常が生じていると確定判定するようにしている(S160)。よって、ノイズの影響を考慮しないのであれば、S110,S140,S150,S180の処理は削除可能である。
次に、操作判定部15について説明する。
まず、前述したオン固着異常検出部13によりオン・オフされるオン固着検出結果R1,R2の各々は、それがオンのときにはハイレベルの信号で、それがオフのときにはローレベルの信号で、操作判定部15に入力される。
そして、図3に示すように、操作判定部15は、ブレーキ信号B1,B2の論理和をとる論理和回路(オアゲート)21と、オン固着検出結果R1が入力される反転回路(インバータ)22と、オン固着検出結果R2が入力される反転回路23と、論理和回路21の出力と、上記2つの反転回路22,23の各出力との論理積をとる論理積回路(アンドゲート)24と、オン固着検出結果R1,R2の論理和をとる論理和回路25と、論理和回路25の出力と、2つのブレーキ信号B1,B2との論理積をとる論理積回路26と、上記2つの論理積回路24,26の各出力の論理和をとり、その論理和信号を、ブレーキ操作判定結果を示すハイアクティブの信号(即ち、ハイレベルがブレーキ操作有りを示し、ローレベルがブレーキ操作無しを示す信号)として出力する論理和回路27と、を備えている。
このような操作判定部15では、オン固着異常検出部13によってブレーキ信号B1,B2にオン固着異常が生じていると判定されていない場合(即ち、オン固着検出結果R1,R2が両方ともにローレベル(オフ)の場合)には、論理積回路24,26のうち、論理積回路26の出力は、ブレーキ信号B1,B2に拘わらずローレベルのままとなり、論理積回路24は、論理和回路21の出力を論理和回路27へと通過させるため、論理和回路27からは、ブレーキ信号B1,B2の論理和信号がブレーキ操作判定結果の信号として出力される。
よって、この場合、操作判定部15は、2系統のブレーキ信号B1,B2のうちの少なくとも一方がハイレベルならば(換言すれば、ブレーキ信号B1,B2の論理和がハイレベルならば)、運転者がブレーキ操作を行ったと判定することとなり、論理和回路27から出力制限制御部17へ出力するブレーキ操作判定結果の信号が、ブレーキ操作有りを示すハイレベルとなる。尚、出力制限制御部17は、操作判定部15からのブレーキ操作判定結果の信号がハイレベルならば、ブレーキ操作が行われていると判定する。
また、オン固着異常検出部13によってブレーキ信号B1,B2のうちの一方にオン固着異常が生じていると判定されている場合(即ち、オン固着検出結果R1,R2の何れか一方がハイレベル(オン)の場合)には、論理積回路24,26のうち、論理積回路24の出力は、ブレーキ信号B1,B2に拘わらずローレベルのままとなり、論理積回路26は、ブレーキ信号B1,B2の論理積信号を論理和回路27へ出力するため、論理和回路27からは、ブレーキ信号B1,B2の論理積信号がブレーキ操作判定結果の信号として出力される。
よって、この場合、操作判定部15は、2系統のブレーキ信号B1,B2の両方がハイレベルならば(換言すれば、ブレーキ信号B1,B2の論理積がハイレベルならば)、運転者がブレーキ操作を行ったと判定することとなり、論理和回路27から出力制限制御部17へ出力するブレーキ操作判定結果の信号が、ブレーキ操作有りを示すハイレベルとなる。
次に、以上のように構成されたECU11の作用について、図4を用い説明する。
図4における時刻t2以前に示すように、オン固着異常検出部13によってブレーキ信号B1,B2にオン固着異常が生じていると判定されておらず、オン固着検出結果R1,R2が両方ともにローレベル(オフ)の場合には、操作判定部15の動作モードが、論理和回路21の出力であって、ブレーキ信号B1,B2の論理和信号を、ブレーキ操作判定結果の信号とする、通常の動作モードになる。
よって、ブレーキ信号B1,B2にオン固着異常が生じていない場合には、ブレーキ信号2系統化の利点が確保される。つまり、もしブレーキ信号B1,B2のうちの一方にオフ固着異常(本実施形態では、ローレベルのままになる異常)が生じても、その場合には、操作判定部15にて、正常な方のブレーキ信号に応じて、ブレーキ操作の有無が正しく判定されて、ブレーキ操作判定結果の信号が、ブレーキ操作に応じて正しくレベル変化することとなる。このため、そのブレーキ操作判定結果の信号を参照する出力制限制御部17も、ブレーキ操作の有無を正しく判定して、エンジン出力の制限制御を正しく実施することができる。
一方、図4において、時刻t1でブレーキ操作が開始されてから、時刻t2でブレーキ操作が止められるまでの間に、ブレーキ信号B2の方にオン固着異常が発生したとする。尚、ブレーキ信号B2のオン固着異常の原因としては、ブレーキスイッチSW2のオン故障か、信号線L2のバッテリ電圧へのショート故障が考えられる。
すると、時刻t2でブレーキ信号B1がハイレベルからローレベルに変化するにも拘わらず、ブレーキ信号B2はハイレベルのままであるため、オン固着異常検出部13により、ブレーキ信号B2にオン固着異常が生じたと判定されて、オン固着検出結果R2がハイレベル(オン)に設定される。そして、オン固着検出結果R2がハイレベルになると、操作判定部15の動作モードが、論理積回路26の出力であって、ブレーキ信号B1,B2の論理積信号を、ブレーキ操作判定結果の信号とする、オン固着異常時の動作モードになる。このため、図4において、オン固着検出結果R2がハイレベルである期間に示されているように、例えばブレーキ信号B2にオン固着異常が生じても、正常な方のブレーキ信号B1のレベル変化に応じて、ブレーキ操作判定結果の信号をレベル変化させることができる。
このように、ブレーキ信号B1,B2の一方にオン固着異常が生じても、その場合には、操作判定部15にて、正常な方のブレーキ信号に応じて、ブレーキ操作の有無が正しく判定されて、ブレーキ操作判定結果の信号が、ブレーキ操作に応じて正しくレベル変化することとなり、出力制限制御部17も、ブレーキ操作の有無を正しく判定して、エンジン出力の制限制御を正しく実施することができる。
また、図4の時刻t3に示すように、オン固着異常が生じていると判定されているブレーキ信号B2が、ハイレベルからローレベルになると、オン固着異常が生じているとの判定が解除されて、オン固着検出結果R2がローレベル(オフ)に戻される。すると、操作判定部15の動作モードが、ブレーキ信号B1,B2の論理和信号をブレーキ操作判定結果の信号とする通常の動作モードに戻ることとなる。
尚、図4の時刻t4に示すように、ブレーキ操作が行われていない期間中に、例えばブレーキ信号B2にオン固着異常が生じたとすると、その時点では、操作判定部15が通常の動作モードであるため、ブレーキ信号B2がオン固着異常でハイレベルになったときから、ブレーキ操作判定結果の信号がハイレベルになる。
しかし、運転者がブレーキ操作を行い、時刻t5に示すように、そのブレーキ操作が止められれば、ブレーキ信号B1がハイレベルからローレベルに変化したにも拘わらずブレーキ信号B2がハイレベルのままである、という状態が発生するため、オン固着異常検出部13によりブレーキ信号B2のオン固着異常が検出されて、オン固着検出結果R2がハイレベル(オン)に設定され、操作判定部15がオン固着異常時の動作モードになって、ブレーキ操作を正確に判定することができる。
よって、ブレーキ操作が行われていない期間中に、ブレーキ信号B1,B2の一方にオン固着異常が生じて、ブレーキ操作があったと誤判定してしまい、エンジン出力が不要に制限されたとしても、運転者がブレーキ操作を1回行えば、ブレーキ信号のオン固着異常が検出されて、ブレーキ操作の有無を正しく判定できる状態となり、エンジン出力が不要に制限されてしまうことを回避することができる。
以上のように、本実施形態のECU11によれば、各ブレーキ信号B1,B2のオン固着異常を検出して、操作判定部15の動作モードを切り替えるため、ブレーキ信号B1,B2の何れか一方にオフ固着異常とオン固着異常との何れが生じても、ブレーキ操作の有無を正しく判定して、ブレーキ操作を実施条件としたエンジン出力制限制御を正しく実施することができるようになる。
一方、例えば、運転者のアクセル操作と車速等の、ブレーキ信号以外の運転情報から、ブレーキの操作状態を推定し、その推定した操作状態とブレーキ信号の状態とから、ブレーキ信号の異常を判定することも考えられるが、本実施形態のオン固着異常検出部13は、ブレーキ信号B1,B2の状態だけからブレーキ信号B1,B2のオン固着異常を検出しているため、そのオン固着異常の正しい検出結果を早く出すことができ、延いては、ブレーキ操作の正しい判定結果を早く出せるという利点がある。
尚、上記実施形態のECU11では、オン固着異常検出部13が、オン固着異常検出手段に相当し、オン固着検出結果R1,R2が、オン固着異常検出手段の判定結果に相当している。そして、オン固着異常検出部13と操作判定部15とからなる部分が、ブレーキ操作判定装置に相当し、操作判定部15から出力されるブレーキ操作判定結果の信号レベルが、ブレーキ操作の判定結果に相当している。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、オン固着異常検出部13は、マイコンと論理回路との何れによって構成しても良い。つまり、前述したオン固着異常検出処理は、マイコンがプログラムを実行することによって実現しても良いし、論理回路によって実現しても良い。
また、操作判定部15も、論理回路に限らず、マイコンが図3の論理回路と同様のロジックのプログラムを実行することによって実現しても良い。
また、上記実施形態では、ブレーキ信号B1,B2のアクティブレベルがハイレベルであったが、ブレーキ信号B1,B2のアクティブレベルはローレベルであっても良い。また、ブレーキ信号B1,B2のうち、一方のアクティブレベルがハイレベルで、他方のアクティブレベルがローレベルであっても良い。
そして、何れにしても、ブレーキ信号B1,B2のアクティブレベルがハイレベルかローレベルかに応じて、図3のロジックを変更すれば良い。例えば、ブレーキ信号B1のアクティブレベルがハイレベルで、ブレーキ信号B2のアクティブレベルがローレベルであるならば、図3において、ブレーキ信号B2を反転回路でレベル反転させた信号が、論理和回路21と論理積回路26とに入力されるように構成すれば良い。
また、ブレーキ信号B1,B2のうちの少なくとも一方が、ブレーキスイッチ以外の信号出力手段によって出力されるようになっていても良い。例えば、ブレーキ信号B1がブレーキスイッチSW1から出力されるのに対し、ストップランプにリレーから供給されるバッテリ電圧がブレーキ信号B2になる構成でも良い。この場合、ブレーキスイッチSW1がブレーキ信号B1を出力する信号出力手段となり、上記リレーがブレーキ信号B2を出力する信号出力手段となる。
11…ECU(車載制御装置)、13…オン固着異常検出部、15…操作判定部、17…出力制限制御部、21,25,27…論理和回路、22,23…反転回路、24,26…論理積回路、B1,B2…ブレーキ信号、L1,L2…信号線、SW1,SW2…ブレーキスイッチ

Claims (2)

  1. 自動車の運転者がブレーキ操作を行うとアクティブレベルになる2系統のブレーキ信号に基づいて、前記運転者がブレーキ操作を行ったか否かを判定するブレーキ操作判定装置であって、
    前記2系統のブレーキ信号に基づいて、その2系統のブレーキ信号のうちの一方に、アクティブレベルのままになるオン固着異常が生じているか否かを判定するオン固着異常検出手段を備えており、
    前記オン固着異常検出手段により前記オン固着異常が生じていると判定されていない場合には、当該ブレーキ操作判定装置の動作モードが、前記2系統のブレーキ信号のうちの少なくとも一方がアクティブレベルならば、前記運転者がブレーキ操作を行ったと判定する第1の動作モードになり、
    前記オン固着異常検出手段により前記2系統のブレーキ信号のうちの一方に前記オン固着異常が生じていると判定されている場合には、当該ブレーキ操作判定装置の動作モードが、前記2系統のブレーキ信号の両方がアクティブレベルならば、前記運転者がブレーキ操作を行ったと判定する第2の動作モードになり、
    前記オン固着異常検出手段は、前記2系統のブレーキ信号のうち、一方がアクティブレベルから非アクティブレベルに変化したときに、他方がアクティブレベルのままであると判定したならば、その他方のブレーキ信号に前記オン固着異常が生じていると判定するように構成されており、
    前記運転者がブレーキ操作を行っていない期間中に前記2系統のブレーキ信号のうちの一方に前記オン固着異常が生じても、前記運転者がブレーキ操作を1回行って、前記2系統のブレーキ信号のうち、正常な方がアクティブレベルから非アクティブレベルに変化すれば、前記オン固着異常検出手段により前記オン固着異常が生じていると判定されて、当該ブレーキ操作判定装置の動作モードが前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに変化することにより、前記ブレーキ操作の有無を正しく判定する状態になること、
    を特徴とするブレーキ操作判定装置。
  2. 請求項に記載のブレーキ操作判定装置において、
    前記オン固着異常検出手段は、
    前記2系統のブレーキ信号のうち、前記オン固着異常が生じていると判定した方のブレーキ信号が、非アクティブレベルになったと判定すると、前記オン固着異常が生じているとの判定を解除すること、
    を特徴とするブレーキ操作判定装置。
JP2010261390A 2010-11-24 2010-11-24 ブレーキ操作判定装置 Active JP5598285B2 (ja)

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