以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、現像剤の流動性が低下すると現像容器から現像剤が強制排出される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、現像剤を用いる現像装置を備えていれば、タンデム型でも1ドラム型でも実施でき、中間転写方式、記録材搬送方式、枚葉式に記録材へ転写する直接転写方式の区別無く実施できる。本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
なお、特許文献1〜3に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト5に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
画像形成部Paでは、感光ドラム1aにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト5に一次転写される。画像形成部Pbでは、感光ドラム1bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト5のイエロートナー像に重ねて一次転写される。画像形成部Pc、Pdでは、それぞれ感光ドラム1c、1dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて同様に中間転写ベルト5に順次重ねて一次転写される。
中間転写ベルト5に一次転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置16で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、積載トレイ17へ排出される。
中間転写ベルト5は、テンションローラ53、駆動ローラ51、及び対向ローラ52に掛け渡して支持され、駆動ローラ51に駆動されて300mm/secのプロセススピードで矢印R2方向に回転する。
記録材カセット14から引き出された記録材Pは、分離ローラ13で1枚ずつに分離してレジストローラ15へ送り出される。レジストローラ15は、停止状態で記録材Pを受け入れて待機させ、中間転写ベルト5のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを二次転写部T2へ送り込む。
二次転写ローラ10は、対向ローラ52に内側面を支持された中間転写ベルト5に当接して二次転写部T2を形成する。二次転写ローラ10に正極性の直流電圧が印加されることによって、負極性に帯電して中間転写ベルト5に担持されたトナー像が記録材Pへ二次転写される。
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、現像装置4a、4b、4c、4dで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、実質的にほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部Paについて説明し、画像形成部Pb、Pc、Pdについては、画像形成部Paの構成部材に付した符号末尾のaをb、c、dに読み替えて説明されるものとする。
画像形成部Paは、像担持体の一例である感光ドラム1aの周囲に、コロナ帯電器2a、露光装置3a、現像装置4a、一次転写ローラ6a、クリーニング装置7aを配置している。感光ドラム1aは、アルミニウムシリンダの外周面に負極性の帯電極性の感光層が形成され、300mm/secのプロセススピードで矢印方向に回転する。
コロナ帯電器2aは、コロナ放電に伴う荷電粒子を感光ドラム1aに照射して、感光ドラム1aの表面を一様な負極性の暗部電位VDに帯電させる。露光装置3aは、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1aの表面に画像の潜像を書き込む。現像装置4aは、後述するように、現像剤を用いて、感光ドラム1aの潜像(露光部)にトナーを付着させて、トナー像を反転現像する。
一次転写ローラ6aは、中間転写ベルト5の内側面を押圧して、感光ドラム1aと中間転写ベルト5との間に一次転写部Taを形成する。一次転写ローラ6aに正極性の直流電圧が印加されることにより、感光ドラム1aに担持された負極性のトナー像が、一次転写部Taを通過する中間転写ベルト5へ一次転写される。
クリーニング装置7aは、感光ドラム1aにクリーニングブレードを摺擦させて、中間転写ベルト5への転写を逃れて感光ドラム1aに残った転写残トナーを回収する。ベルトクリーニング装置18は、中間転写ベルト5にクリーニングブレードを摺擦させて、記録材Pへの転写を逃れて二次転写部T2を通過して中間転写ベルト5に残った転写残トナーを回収する。
<現像装置>
図2は現像装置の構成の説明図である。図3は現像容器に形成される現像剤の循環経路の説明図である。
図2に示すように、現像装置4aは、いわゆる縦攪拌型であって、第1の搬送スクリュー部材(25)と第2の搬送スクリュー部材(26)とが現像容器内(22)で現像剤(二成分現像剤)を循環させる。第1の搬送スクリュー部材(25)は、現像剤担持体(28)に現像剤を供給しつつ長手方向に搬送する。第2の搬送スクリュー部材(26)は、現像剤担持体(28)から回収された現像剤を第1の搬送スクリュー部材(25)とは逆方向に搬送する。図3に示すように、排出部(40)は、第1の搬送スクリュー部材(25)に沿って現像剤の搬送方向に現像剤担持体(28)を通過した位置に配置される。
現像装置4aは、現像容器22内で現像剤を攪拌して帯電させ、穂立ち状態で現像スリーブ28に担持させて、感光ドラム1aを摺擦する。直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を現像スリーブ28に印加することで、現像スリーブ28に対して相対的に正極性になった感光ドラム1aの露光部に、負極性に帯電したトナーが移転して、潜像が反転現像される。
現像容器22には、イエローのトナー(非磁性)と磁性キャリアを主成分とする現像剤(二成分現像剤)が所定量充填されている。供給装置の一例であるホッパ31には、イエローのトナーに磁性キャリアを混合した補給用現像剤が充填され、画像形成に使用された分量のトナーを現像装置4aに補給する。これにより、現像装置4a内の現像剤に占めるトナーの重量比であるトナー濃度(T/D比)が所定範囲に維持される。
感光ドラム1aに対向する位置に形成された現像容器22の開口部に、現像スリーブ28が、感光ドラム1a側へ一部露出して回転可能に配設されている。現像スリーブ28は、アルミニウムやステンレスのような非磁性材料で構成され、直径はφ20mm、感光ドラム1aの直径はφ30mmである。感光ドラム1aに対向する現像位置では、現像スリーブ28と感光ドラム1aとの対向距離が約300μmに設定されている。
現像容器22は、内部が隔壁27によって上下に区画されて、現像スリーブ28を設けた現像室23と、現像室23に両端部を連通させた攪拌室24とを構成する。現像剤の攪拌・搬送手段として、現像室23には搬送スクリュー25が、攪拌室24には搬送スクリュー26がそれぞれ配置される。
搬送部材の一例である搬送スクリュー25は、現像室23の底部に、現像スリーブ28の軸方向に沿ってほぼ平行に配置され、現像室23内の現像剤を、長手方向に沿って一方向に搬送する。一方、搬送部材の一例である搬送スクリュー26は、攪拌室24内の底部に搬送スクリュー25とほぼ平行に配置され、攪拌室24内の現像剤を搬送スクリュー25と反対方向に搬送する。
現像スリーブ28の内部には、磁界発生手段であるマグネットローラ28mが非回転に固定設置されている。マグネットローラ28mは、現像位置で感光ドラム1aに対向するように配置された現像極S2と、規制ブレード29に対向するように配置された磁極S1と、磁極S1、S2の間に配置された磁極N2を有する。また、現像室23及び撹拌室24にそれぞれ対向するように配置された磁極N1及びN3を有している。
現像室23の開口部に近接した位置で現像スリーブ28に対向させて、規制ブレード29が配置される。規制ブレード29は、現像スリーブ28の長手方向に沿って配置されたアルミニウム板材で形成された非磁性部材29aに鉄材の磁性部材29bを貼り合わせて構成される。規制ブレード29は、感光ドラム1aよりも現像スリーブ28の回転方向上流側に配設され、規制ブレード29の先端部と現像スリーブ28との間を現像剤が通過して現像位置へ送られる。
規制ブレード29と現像スリーブ28の対向間隔を調整することによって、現像スリーブ28上に担持した現像剤の磁気ブラシの穂切り量が規制されて、現像位置へ搬送される現像剤量が調整される。規制ブレード29と現像スリーブ28の間隙は、200〜800μm、好ましくは300〜500μmに設定される。ここでは、400μmに設定して、現像スリーブ28上の単位面積当りの現像剤のコート量を25mg/cm2に規制している。
現像スリーブ28は、現像時に、規制ブレード29によって層厚を規制された現像剤を穂立ち状態で担持搬送して、矢印R4方向に回転する。現像スリーブ28は、感光ドラム1aの回転方向と順方向で回転し、感光ドラム1aに対する周速比は、1.75である。周速比に関しては、0.5〜3.0の間、好ましくは、1.0〜2.0の間に設定されることが好ましい。現像スリーブ28の周速は、大きくなればなるほど現像効率がアップするが、大きすぎると、トナー飛散、規制ブレード29による現像剤の劣化等の問題点が発生するからである。
現像スリーブ28には、電源D4から−500Vの直流電圧に、ピーク電圧Vpp=1800V、周波数f=12kHzの方形波の交流電圧を重畳した振動電圧が印加される。一般に、二成分磁気ブラシ現像法においては、交流電圧を印加すると、現像効率が増して、画像は高品位になるが、逆にかぶりが発生し易くなる。このため、現像スリーブ28に印加する直流電圧Vdcと感光ドラム1aの帯電電位(暗部電位VD)との間に電位差(かぶり取りコントラストVcont)を設けて、かぶりを防止している。しかし、現像スリーブ28に印加する電圧の直流電圧値、交流電圧、波形は、これに限られるものではない。
<二成分現像剤>
現像剤(二成分現像剤)は、トナーと磁性キャリアとを主成分としている。トナーは、負帯電性のポリエステル系樹脂であり、体積平均粒径はφ4μm以上10μm以下が好ましい。画像上のドット再現性を良化させるためには、φ8μm以下であることが好ましいため、本実施例ではφ5.5μmを用いた。トナーは、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤を含む着色樹脂粒子に、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されている。
トナーは、さらに、定着装置(16)でのオフセット(付着)抑制のためにパラフィン系ワックスを添加している。ワックスの添加部数は、質量部数で5部とした。尚、ワックスの種類としては、精製ノルマルパラフィン、エステルワックス、パラフィン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを用いることができ、これらを任意にブレンドしたものも用いることができる。
トナーの体積平均粒径の測定には、コールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いた。そして、測定結果から個数平均分布、体積平均分布を出力するためのインターフェース(日科機製)及びCX−Iパーソナルコンピュータ(キヤノン製)を使用した。
測定試料の電解水溶液として、一級塩化ナトリウムを用いて調製した1%NaCl水溶液を使用した。電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1ml加え、測定試料を0.5〜50mg加えた。測定試料を懸濁した電解水溶液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行なった後にコールターカウンターTA−II型にセットした。コールターカウンターTA−II型では、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して体積平均分布を求めた。こうして求めた体積平均分布より、体積平均粒径を得た。
磁性キャリアは、表面酸化或は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属、及びそれらの合金、或は酸化物フェライトなどの磁性粒子が使用可能であり、磁性粒子の製造法は特に制限されない。磁性キャリアは、体積平均粒径が20〜60μm、好ましくは30〜50μmであり、抵抗率が107Ωcm以上、好ましくは108Ωcm以上である。本実施例では、磁性キャリアの体積平均粒径はφ40μm、抵抗率が5×108Ωcmである。
磁性キャリアの抵抗率は、測定電極面積4cm、電極間間隔0.4cmのサンドイッチタイプのセルを用いた。1kgの重量の加圧下で、セルの両電極間に印加電圧E(V/cm)を印加して、回路に流れた電流からキャリアの抵抗率を測定した。
磁性キャリアの体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置HEROS(日本電子製)を用いて、体積基準で粒径0.5〜350μmの範囲を32対数分割して測定した。そして、それぞれのチャンネルにおける粒子数をカウントした結果から体積50%のメジアン径をもって体積平均粒径とした。
ところで、電子写真方式によってフルカラー画像を形成する画像形成装置では、発色性や混色性といった観点から、現像装置がトナーと磁性キャリアを混合した現像剤を使用している。二成分現像剤を用いる場合、磁性キャリアとトナーの摩擦帯電によってトナーに電荷を付与し、電荷が付与されたトナーを潜像に対して静電的に付着させることによってトナー像を形成する。そのため、磁性キャリアの帯電付与能力の低下を低減することが必要である。
現像装置4aは、磁性キャリアを10%含んだ補給用現像剤を補給することにより磁性キャリアの帯電付与能力低下を抑制する。そして、磁性キャリアを含んだ補給用現像剤の供給を受ける一方で、補給によって過剰になった現像容器22内の余剰現像剤が、現像容器22の壁面に設けた排出部40から排出されて回収される。
しかし、印字率の低い原稿の画像形成処理が行なわれる割合が多いと、現像剤の帯電性能や流動性が大きく低下する場合がある。攪拌スクリュー25、26による攪拌・摺擦や規制部材(29)との摺擦によって、トナーに含まれる電荷制御や流動性制御のための外添剤が剥れたり、トナー表面に埋め込まれたりするからである。その結果、排出部40を通じた排出不良によって現像容器22内で余剰現像剤が増えて現像装置4aから溢れ出し、出力画像を汚してしまうことがある。
逆に、何らかの理由で流動性が高まると、現像剤の排出過多になって、現像容器22内で現像剤量が減り、現像スリーブ28に対し十分な現像剤を供給できないことでコート不良が発生し、画像濃度ムラが発生することがある。
このような問題に対して、従来は、専ら現像剤の排出部や搬送スクリューの設計の最適化が行われていた。例えば、特許文献1においては、現像容器の壁面にシャッタ部材を備えた排出部が記載されている。また、特許文献2においては、排出部近傍における搬送スクリューの搬送能力を、現像剤搬送方向における排出部の下流側及び上流側の領域よりも大きくする構成が提案されている。
しかし、特許文献1の構成では、シャッタ開閉のために稼動モータが必要となるため現像器構成が煩雑となり、全体がどうしても大型化してしまう。また、シャッタ等を用いて極微量の現像剤を精度良く排出させることは難しいため、現像容器22内の現像剤量を安定して維持できない。
また、特許文献2の構成では、排出部近傍で搬送スクリュー部材の搬送能力を搬送方向で差をつける構成であるため、排出部近傍で現像剤の滞留部が発生する。この滞留部では剤面が安定しないため、排出部では、不安定な排出が繰り返されてしまう。
このように、特許文献1、2の構成では、現像剤溢れや画像濃度ムラを防止することは難しかった。さらに、特許文献1〜3に記載されていない現像剤の流動性変化要因として、現像剤の温度特性があることが判明した。また、厚紙に画像形成を行うためにプロセススピードが低速モードに切り替えられた場合、現像剤の排出特性が大幅に変化することが判明した。
したがって、現像剤の流動性変化やプロセススピードの切り替えにより、現像剤の排出特性が変化した場合でも、現像剤の必要な排出特性を確保して現像剤溢れや画像濃度ムラを抑制することが望まれている。
<補給用現像剤の補給と現像剤の排出>
図4は現像容器内の現像剤の循環状態の説明図である。図4に示すように、搬送スクリュー25、26が回転すると、現像剤が搬送されて隔壁27の両端部の開口部11、12を通じて受け渡され、現像室23と攪拌室24とを循環する。搬送スクリュー25、26は、いずれも直径がφ18mm、ピッチが20mmになっており、通常の画像形成時には、それぞれ750rpmの回転数で回転している。
現像装置4aの上部には、トナーに重量比10%の割合で磁性キャリアを混合した補給用現像剤を収容するホッパ31が配置される。補給装置の一例であるホッパ31は、下部に補給スクリュー32を備え、補給スクリュー32の一端が現像装置4aの前端部に設けられた補給口30の位置まで延びている。
ホッパ31から補給口30を通過して現像容器22に補給用現像剤が補給されると、現像装置4aに、前回の画像形成で消費した分量のトナーが補充されると同時に新しい磁性キャリアが供給される。
補給用現像剤の補給量は、補給スクリュー32の外径、ピッチ、回転角度により変化する。ここでは、補給量安定化のために、補給スクリュー32にロータリエンコーダを取り付け、補給スクリュー32の1回転(1ブロック)を補給用現像剤の1補給単位としている。
すなわち、画像形成と同時進行で、各色ごとに露光信号を積算して各色のトナー消費量を求め、トナー消費量が補給用現像剤の1補給単位のトナー量に達するごとに、補給スクリュー32を1回転させている。
なお、補給用現像剤の補給量の制御には、現像容器22内の現像剤におけるトナー濃度(トナー比率:T/D比)を光学的又は磁気的に検知して、トナー濃度を一定に保つように補給量を調整する制御を組み合わせてもよい。
また、感光ドラム1aに所定の露光条件でパッチ画像を形成し、パッチ画像の光学的な反射光を検出してトナー載り量を測定し、パッチ画像のトナー載り量を基準値に近付けるように補給量を調整する制御を組み合わせてもよい。
現像室23の内壁面には、現像容器22内の余剰になった現像剤を排出するための排出部40が設けられている。搬送スクリュー25の回転に伴って、現像室23を搬送される現像剤の一部が排出部40から溢れ出して現像容器22から排出される。補給口30を通じて供給された補給用現像剤が排出部40を通じてすぐに排出されないようにするため、排出部40は、補給口30よりも搬送スクリュー25の搬送方向の上流側に配置されている。
ホッパ31から補給用現像剤が供給されて、現像容器22内の現像剤量が増加すると、増加量に応じた量の現像剤が排出部40を通じて排出される。図2に示すように、排出部40を通じて排出された現像剤は、回収スクリュー41によって画像形成装置の奥側へ搬送され、図示しない廃トナーボトルへ搬送されて回収される。
図4に示すように、現像装置4aの現像室23では、搬送スクリュー25が長手方向に現像剤を搬送しながら、現像剤の一部を現像スリーブ28に供給する。一方、現像スリーブ28にコートされた現像剤は、感光ドラム(1a)に対向する現像位置を通過後、搬送スクリュー26によって回収されながら、搬送スクリュー25の搬送方向と逆方向に搬送される。
現像装置4aでは、通常の画像形成時、実線で示すように、長手方向で剤面が傾斜した状態で、現像剤が現像容器22内を循環する。攪拌室24では、搬送スクリュー26の搬送方向の下流側へ向かって現像剤量が増えて、剤面が高くなる傾向があり、現像室23では、逆に搬送スクリュー25の下流側へ向かって現像剤量が減って剤面が低くなる傾向がある。そして、現像剤の剤面の傾きは、現像剤の流動性(凝集性)に応じて変化し、現像剤の流動性が低下すると破線で示すように、剤面の傾きが大きくなる。
現像剤の流動性が低下すると、開口部11を通じて攪拌室24から現像室23へ現像剤を持ち上げる効率が低下するため、攪拌室24に停滞する現像剤量が増えて現像室23を循環する現像剤量が減ってしまう。同時に、搬送スクリュー25による現像室23での現像剤の搬送効率が低下するため、現像スリーブ28の下流部Aで現像剤のコート不良が発生し易くなる。
現像剤の流動性が低下すると、現像室23を循環する現像剤量が減って排出部40の位置での剤面高さが低くなって、排出部40を通じて現像剤が溢れ出しにくくなる。一方で、画像形成が続く限り、消費したトナーを補給するために、ホッパ31からは補給用現像剤が供給され続けるため、現像容器22内の現像剤量が過剰になる。ただし、搬送スクリュー25の回転に伴って剤面が上下するため、破線の傾斜状態でも排出部40からの排出は継続している。しかし、その排出レベルが低下して、供給による現像剤量の増加分を排出できなくなる。
このとき、開口部11に近い攪拌室24内で現像剤が停滞して加圧されるため、搬送スクリュー26の回転抵抗が高まり、加圧攪拌による現像剤の劣化が促進される。
また、攪拌室24の下流側に停滞する現像剤が増え過ぎると、攪拌室24の下流側では、現像スリーブ28に担持されて現像に関与した現像剤を現像容器22内へ正常に回収できなくなる。そうなると、現像スリーブ28に担持された現像剤がそのまま現像容器22の外側へ落下して中間転写ベルト(5)上に撒き散らされる現像剤溢れが発生する場合もある。
そこで、実施例1では、現像剤の流動性が低下する条件に合致すると、排出部40を通じた現像剤の自然な溢れ出しには頼らない。その代わりに、画像形成を停止して、搬送スクリュー25、26を通常よりも高速で回転させることにより、排出部40から過剰な現像剤をいち早く強制的に排出する強制排出モードを実行する。搬送スクリュー25、26を高速回転させることで、開口部11を通じた攪拌室24から現像室23への持ち上げ効率が上昇して、開口部11に近い攪拌室24での現像剤の停滞が解消される。搬送スクリュー25を通常よりも高速で回転させることで、排出部40の前を通過する現像剤の剤面が高くなり、排出部40を通じた現像剤の排出が促進される。
<実施例1>
図5は現像剤の安息角の測定の説明図である。図6は現像装置における現像剤の排出特性の説明図である。
実施例1では、条件の異なる現像剤の流動性(凝集性)を、円錐状に堆積した山の麓の安息角Φを測定して評価した。安息角Φは、測定装置としてホソカワミクロン株式会社のパウダーテスターPT−N型を用いて、パウダーテスターPT−N型に付属する取り扱い説明書における安息角の測定に準拠して測定した。図5に示すように、篩301の目開き710μm、振動時間180s、振幅2mm以下に設定し、現像剤をロート303から円盤302上に落下させ、円盤302上に円錐状に堆積したトナーの母線と円盤302表面と現像剤500のなす角を安息角Φとして求めた。
実施例1では、絶対水分量一定で温度を20℃、30℃、40℃、50℃の五段階に異ならせた恒温層内で、イエローの現像装置4aの空回転を1時間実施した。その後、現像装置4aから、現像剤を取り出して安息角を測定した。現像装置4aにおける空回転の条件は、前述した画像形成装置条件と同一でおこなった。安息角の測定結果を表1に示す。
表1に示すように、新品の現像剤(初期)の流動性は、温度に依存しており、高温環境下では安息角が大きく流動性が低下している。これは、現像剤の温度が高くなるほど、トナー表面近傍に分散されたワックスがトナー表面へ染み出し易くなって、現像剤の粒子間の凝集性が上昇したためと考えられる。この傾向は、ワックスの添加部数、ワックス種類、トナーの融点によって大きな差を有することが、別の実験によって確認されている。
次に、上記実験で得られた安息角の現像剤を用いて現像装置4aにおける現像剤の排出特性を図6のように評価した。図6の横軸は現像装置4a内の現像剤の重量、縦軸は排出部40を通じた単位時間あたりの現像剤排出量である。
現像装置4aは、現像剤量の中心値が330gであって、補給用現像剤に含まれる磁性キャリアの重量比(CD比)は10%に調整されている。そして、A3サイズの全面最大濃度(ベタ)画像の画像形成で必要な補給用現像剤の補給量は700mgである。
図4を参照して図6に示すように、排出部40を通じた現像剤の排出量は、上述したように、現像室23の現像剤の剤面が低下し過ぎて、下流部Aで現像スリーブ28のコート不良が発生しない範囲に制御される必要がある。現像装置4aは、左側の縦線で示すように、コート不良が発生する現像剤量の下限値が250gである。このため、画像比率の低い画像(白地画像)が続いて補給用現像剤の補給が停止した状態でも、現像容器22内には、250g以上の現像剤量が確保される必要がある。つまり、白地画像が続いた時は、排出量が0mgで現像剤量が250g以下にならないことが求められる。
また、現像装置内の余剰現像剤を排出するための排出部40を通じた現像剤の排出量は、同時に、攪拌室24の現像剤量が増加し過ぎて現像剤溢れが発生しない範囲に制御される必要がある。現像装置4aは、右側の縦線で示すように、現像剤溢れが発生する現像剤量の上限値が450gである。このため、A3サイズの全面最大濃度画像が続いて、図中のベタ黒供給量として示すように、補給用現像剤の補給が最大の状態でも、現像容器22内の現像剤量が450gを超えない必要がある。つまり、A3サイズの全面最大濃度画像が続いた場合、排出部40を通じて98mg/枚の排出を行って、現像剤量を450g以下に保つことが求められる。
ところで、現像装置4aの現像剤排出特性は、現像装置内の余剰現像剤を排出するための排出部40の高さを調整することでも調整可能である。具体的には、排出部40の高さを下げることで、現像剤を溢れ出し易くして、現像装置4a内の現像剤量を減らす方向へ誘導して現像剤溢れを抑制することができる。また、排出部40の高さを上げることで、現像剤を溢れにくくして、現像装置4a内の現像剤量を増やす方向へ誘導してコート不良側を抑制することができる。
しかし、現像装置4aでは、流動性が高い安息角40°の現像剤は、排出部40を通じて排出され易いため、現像室23の現像剤量が不足してコート不良が発生する。一方、流動性が低下した安息角60°の現像剤は、排出部40を通じて排出されにくいため、攪拌室24の現像剤量が過剰になって現像剤溢れが発生する。このため、安息角40°〜60°の範囲で流動性が変化する現像剤を前提とすると、コート不良の防止と現像剤溢れの防止とを両立できる排出部40の高さが存在せず、排出部40の高さでは解決できない。
そこで、実施例1では、流動性が高い安息角40°の現像剤に対してもコート不良が発生しないように、図6中の破線で示す排出特性を持つように排出部40の高さを設定した。このとき、実線の排出特性を持たせた場合よりも現像装置4a内の現像剤が増える方向となるため、流動性が低下した安息角60°の現像剤に対しては、図6中の一点鎖線で示すように現像剤溢れが発生し易くなる。
そこで、放置していたのでは450gを超えて現像剤溢れが発生してしまう現像剤量を、連続画像形成を中断して強制排出モードを実行することにより、現像容器22から強制的に排出して、450gから遠ざけている。現像スリーブ28を停止させた状態で、搬送スクリュー25、26を高速回転させることにより、現像室23内の現像剤の剤面を一時的に高くして、図6中にハッチングで示した部分の現像剤を排出部40から溢れ出させている。
すなわち、現像スリーブ28のコート不良は、現像容器22内の現像剤量が少ない場合に発生する。これを阻止するために、循環している現像剤よりも高濃度のトナーを含む補給用現像剤を補給すると、現像装置4a内のトナー濃度が変化してしまう。具体的には、1ブロックの補給用現像剤を補給すると、補給量の90%のトナーが現像装置4a内に補給されて、現像剤のトナー比率(TD比)が上昇する。そして、印字比率が低くてトナー消費が行われない状況で、補給用現像剤を補給すると、現像剤のトナー比率が上昇して、トナー帯電量が低下する傾向となり、トナーの飛散や白地カブリ画像と言った画像品質の低下が発生し易くなる。
従って、まず、流動性の高い安息角40°の現像剤を想定して、コート不良が発生しない排出部40の高さ及び長さを設計した。この高さは、図6に実線で示した従来の現像装置4aに比較して10mm高い位置に見つけた(図6中の破線)。しかし、上述したように、排出部40を10mm高くすると、流動性が低下した安息角60°の現像剤での排出特性が更に低下する(図6中の一点鎖線)。
そこで、実施例1では、現像剤の流動性が低下して排出部40を通じた現像剤の排出が正常に機能しなくなると予測された場合、現像剤の強制排出モードにて余剰の現像剤を排出させる。意図的に準備した非画像形成時において、通常用いる搬送スクリュー25、26の搬送速度を高めることにより、通常の排出に係る排出部40を通じて、現像剤を強制排出する。
<温度検出>
図7は循環する現像剤の温度上昇を検出する構成の説明図である。図8は画像形成の累積に伴う現像剤の温度上昇の説明図である。実施例1では、温度検出手段(T)を設けて現像剤の流動性に相関する情報の一例である現像剤の温度を直接測定して、現像剤の流動性(表1参照)を見積もっている。
図3に示すように、現像容器22内に露出させて、現像剤の流動性変化の寄与因子である温度を測定するため、検出手段として、温度湿度センサTが配置されている。温度湿度センサTの配置場所は、検出精度向上のため、温度湿度センサTの検出部が現像剤に埋まる位置が望ましく、攪拌室24の下流側の開口部11近傍に配置した。実施例1では、温度湿度センサTは、現像剤の流動性変化の推定精度を上げて、現像剤の強制排出モードを最適化し、生産性と画像品質の最大限の両立を図るために、現像容器22内の現像剤の温度を直接検出する。しかし、画像形成装置の装置本体内に取り付けられている環境センサから現像剤の温度を予測することで代用することも可能である。
図7に示すように、温度湿度センサTは、センシリオン(SENSIRION)社製、温湿度センサSHT1Xシリーズを用いた。温度湿度センサTは、湿度検知デバイスとして静電容量ポリマーのセンシング素子1001、温度検知デバイスとしてバンドギャップ温度センサ1002を実装している。温度湿度センサTは、センシング素子1001とバンドギャップ温度センサ1002の出力をA/Dコンバータ1003でカップリングし、デジタルインターフェース1004を通じてシリアル出力を行うCMOSデバイスである。バンドギャップ温度センサ1002は、温度に対して線形に抵抗値が変化するサーミスタで構成され、抵抗値から温度が算出される。
温度湿度センサTは、誘電体としてポリマーを挿入したコンデンサのセンシング素子1001を備え、湿度に応じてポリマーに吸着する水分量が線形に変化する特性を用いて静電容量を湿度に変換する湿度検知機能を併せ持つ。しかし、実施例1では、温度の検知結果のみしか利用しないので、温度のみ検知できるサーミスタ素子等で置き換えてもよい。
図8に示すように、搬送スクリュー25、26が回転して現像容器22内で現像剤を循環させると、現像剤の温度が50℃近くまで上昇する。ここでは、画像形成装置100を室温25℃/相対湿度50%固定環境下に設置し、A4サイズ普通紙を横送りして連続画像形成している。そして、イエローの現像装置4a内に設置された温度湿度センサTとブラックの現像装置4d内に設置された温度湿度センサTによる温度測定結果の推移を示した。横軸は出力枚数で、縦軸は測定された温度である。
画像形成装置100内の各モータの自己昇温や感光ドラム1a内に備えられたドラムヒータ(図示しない)や定着装置16等の熱源による筐体内の昇温特性や画像形成部Pa、Pyの位置の違いによって昇温特性差がある。画像形成装置100の設置環境が一定(室温25℃/相対湿度50%)に保たれていても、現像剤の温度上昇の様子が違ってくる。このため、現像装置4a、4b、4c、4dごとに現像剤の流動性が変化していくので、それぞれについて強制排出モードを最適化する必要がある。
実施例1では、現像剤の流動性低下時に現像剤溢れを発生させないため、制御部(コントローラ)50は、現像剤の流動性変化予測テーブルを用いて、強制排出モードを制御する。
表2の各欄の値は、各色における現像剤の温度に依存する値であり、各色における20℃環境の初期剤(具体的にはイエロー剤では安息角40°)と60分空回転剤における現像剤安息角に対する変化比率で示した。表2からも明らかな通り、流動性変化予測テーブルは、現像剤の色や材料組成、現像装置の構成等に応じて異なるので適宜算出して設定する必要があることがわかる。
<現像スリーブの停止>
図9は強制排出モードで現像スリーブを停止させる効果の説明図である。図3に示すように、実施例1では、従来のように、現像スリーブ28と搬送スクリュー25、26とを現像容器22の外側でギア連結して同一の駆動モータで駆動していない。現像剤担持体(28)は、搬送スクリュー部材(25、26)を駆動するモータ(M2)とは独立して作動と停止を制御される別のモータ(M1)によって駆動される。このため、搬送スクリュー部材(28)の搬送速度を高めることにより排出部(40)を通じて現像剤を強制排出させる強制排出モードを、現像剤担持体(28)の回転を停止した状態で実行可能である。現像スリーブ28を駆動する駆動モータM1とは別の駆動モータM2を設けて、搬送スクリュー25、26を駆動するので、現像スリーブ28と搬送スクリュー25、26の回転速度及び回転速度比率を任意に設定可能である。強制排出モードでは、現像スリーブ28を停止させて現像剤の逃げ場を無くした状態で搬送スクリュー25を回転させることで、排出部40での現像剤の剤面高さを効率的に高めて、排出部40を通じた溢れ出しを促進する。こうすることで、排出部40からトナーとキャリアの両方を強制的に排出することができる。
実施例1の強制排出モードでは、搬送スクリュー25、26の回転速度を、通常画像形成時の750rpmよりも高く1.2倍の900rpmに設定した。これにより、固定された排出部40に対して現像剤の剤面を高めて、排出部40を通じた現像剤の排出量を通常画像形成時よりも増やした。
実施例1では、現像スリーブ28と、搬送スクリュー25、26をそれぞれ独立に駆動できる独立駆動構成を備えるため、強制排出モードでは、現像スリーブ28の駆動モータM1を止めてM2のみ駆動させた。
ここで、この効果を確認するために、流動性が低下した安息角60°の現像剤を用いて、搬送スクリュー25、26の回転速度と排出部40を通じた排出特性の関係を調べた。駆動モータM1、M2を同時に1.2倍に増速させた場合と、駆動モータM2のみ1.2倍に増速させた場合とを比較した。
図9に示すように、駆動モータM1、M2を同時に駆動するよりも、駆動モータM2のみを駆動させたほうが、排出部40を通じた排出量を増大させる効果が大きい。そして、駆動モータM2のみを駆動させた場合でも、搬送スクリュー25、26の回転速度が画像形成時よりも遅い600rpmでは、排出部40を通じた排出量を増大させる効果が少ない(図9中の二点鎖線)。
排出部40を通じた現像剤の排出量を増加させるためには、排出部40近傍の剤面を高くする必要があり、そのためには現像室23側の現像剤量を増やすことが望ましい。そのためには、より多くの現像剤を現像室23へ汲み上げる必要があり、搬送スクリュー26の回転数を速く回すことが有効である。このとき、現像スリーブ28が停止していれば、搬送スクリュー25から現像スリーブ28へ供給する現像剤量を抑えることができる。このため、現像スリーブ28が回転している場合よりも剤面が高まり、排出部40まで届く現像剤量が増えて排出量が多くなる。
<実施例1の制御>
図10は実施例1の制御のフローチャートである。図11は強制排出モードの制御のフローチャートである。図3を参照して図10に示すように、制御部(コントローラ)50は、画像形成がスタートすると、現像装置4a内に配置した温度湿度センサTにより、現像剤の温度を測定する(S1)。
次に、制御部50は、温度湿度センサTの測定結果で表2の流動性変化予測テーブルを参照して、現在の温度における現像剤の流動性変化量を算出する(S2)。
次に、制御部50は、画像形成中に補給用現像剤を補給した場合、総補給回数(ΣX)をカウントUPさせて記憶する(S3)。
上述したように、ホッパ31は、補給用現像剤をブロック補給するため、実施例1では、総補給回数と総補給ブロック数は等しい。そして、1ブロックの補給当たり補給量が280mgとなるように補給スクリュー32のピッチが設定されているので、1ブロックの補給当たり28mgの磁性キャリアが現像装置4に補給される。従って、制御部50は、補給ブロック数をカウントすることで現像剤の増加量を推定できる。
実施例1では、強制排出モードへの移行条件として、表2の現像剤の流動性変化量と総補給回数(ΣX)とをパラメータとした強制排出モード移行必要ブロック数テーブルを新たに定義した。
つまり、温度上昇に伴い現像剤の流動性が変化しても、補給用現像剤が補給されて現像容器22内の現像剤量が増加しなければ、現像剤溢れの発生には至らない。そこで、本実施例では、ある現像剤温度での補給ブロック数(つまり補給量)から現像剤量の増加量と排出特性を鑑み、制御にフィードバックすることをおこなったのである。
本実施例で採用した強制排出モード移行必要ブロック数テーブルを表3に示した。ここで本テーブル算出方法を説明する。まず、現像剤安息角毎を用意し、330gの中心剤量から20g程度増えるために必要な現像剤補給量を見積もった。具体的には例えば、イエロー50℃現像剤では、図6からもわかるとおり、330gでは排出できないため200ブロック補給されると、単純に補給キャリア分20gが単純に増加することになる。
そこで、現像剤温度が50℃の状態で200ブロック補給された時点で強制排出モードを実施すれば、350g以下の現像剤量を満足することができる。このようにして中心剤量330gから20g現像剤増加するための補給ブロック数をそれぞれ算出しテーブルを作成したのである。
そして、表3に示すように、測定温度に応じた所定値の総補給回数(ΣX)に達すると、強制排出モードへ移行する。このように、強制排出モードの実行頻度は、強制排出モードの実行間隔における供給装置の作動回数で規定されている。こうして、前回の強制排出動作を実行した後に、現像容器22に補給された現像剤量の総和が所定量に達した場合に強制排出動作を実行している。こうすることで、現像容器内22の現像剤量を許容範囲内、本実施例では330g〜350gの許容範囲内に収めることができる。
制御部(コントローラ)50は、現在の現像剤の温度で表3を参照して強制排出モードに移行するための必要ブロック数(B)を求める(S4)。そして、現在の総補給回数(ΣX)と比較して必要ブロック数以上補給されているかを判断する(S5)。
ここで、総補給回数(ΣX)が、必要ブロック数に満たしていない場合(B>ΣX:S5のNO)、続けて画像形成を実行する(S6)。しかし、総補給回数(ΣX)が必要ブロック数以上補給されていた場合(ΣX≧B:S5のYES)、連続画像形成を中断して、強制排出モードを実行する(S7)。
図3を参照して図11に示すように、制御部50は、強制排出モードが開始されると、駆動モータM1を停止して現像スリーブを停止させる(T1)。次に、駆動モータM2の回転速度を1.2倍にして搬送スクリュー25、26の回転速度を750rpmから900rpmに変更する(T2)。そして、所定時間(1.5sec)に渡って搬送スクリュー25、26を回転させて、排出部40から強制的に余剰の現像剤を排出させる(T3)。
ここで、搬送スクリュー25、26の回転時間は、強制排出モードによるダウンタイムを最小限に抑えるために極力短いことが望ましく、実施例1では一律1.5secとした。
強制排出モードの終了後、制御部50は、駆動モータM2の回転数を元の画像形成時の値に戻し(T4)、駆動モータM1を作動させて現像スリーブ28を回転させる(T5)。
最後に、総補給回数(ΣX)を0にリセット(T6)し、強制排出モードを完了して(S8)、通常の画像形成に復帰する。
以上の説明では、イエローの現像装置4aで実行される強制排出モードについて説明したが、マゼンタ、シアン、ブラックの現像装置4b、4c、4dでも個別に強制排出モードが制御されている。各色の現像装置4b、4c、4dには、それざれ独立して温度湿度センサTが設けられ、制御部(コントローラ)50には、各色で独立した制御用テーブルが準備され、それぞれ独立したタイミングで強制排出モードが割り込み実行される。
ただし、強制排出モードの実行に伴う画像形成装置100のダウンタイムを最小限に抑えるには、各色の強制排出モードを同時に行うことが望ましい。そのために、例えばイエローの現像装置4aが強制排出モードへの移行条件を満たした場合、移行条件を満たしていないマゼンタ、シアン、ブラックの現像装置4b、4c、4dでも同時に強制排出モードを実行してもよい。その際には、各色で積算した総補給回数(ΣX)が少ないほど強制排出モードの実行時間を短くする。これにより、総補給回数(ΣX)が少ない現像色での過剰な排出を有効に避けることができる。
以下の条件で、強制排出モードを実行する実施例1の制御と実行しない従来の制御とで、コート不良と現像剤溢れの評価を行って実施例1の制御の効果を確認した。
(1)現像剤溢れの発生確率が高くなる高温高湿環境下(30℃80%)。
(2)Duty変動過酷評価を連続20万枚行う。
(3)Duty変動過酷評価では、連続2万枚の「フルカラー低印字率(0%比率)チャート」の出力と連続2万枚の「フルカラー高印字率(100%比率)チャート」の出力とを交互に実行する。
(4)連続2万枚の出力毎に現像装置を取り外して全重量を測定し、現像剤未充填の初期重量を差し引いて現像剤量を測定する。
その結果、強制排出モードを実行しない従来の制御では、Duty変動過酷評価を通じて現像剤量が300〜470gまでの範囲で大きく振れた。そして、累計10万枚で現像剤量が470gに達して現像剤溢れが発生し、出力画像に現像剤汚れが発生した。
これに対して、実施例1の制御では、Duty変動過酷評価を通じて現像剤量が300〜380g内で推移して現像剤溢れが発生しなかった。
そして、現像剤が増える環境条件でDuty変動過酷評価を行ったので、循環する現像剤が不足して発生するコート不良は、実施例1の制御と従来の制御とのどちらでも発生しなかった。
なお、実施例1では、強制排出モードを実行する必要があると判断した場合には、画像形成を中断して、強制的に割り込み制御として実行した。しかし、画像形成終了後の後回転シーケンスで強制排出モードを実行することもできる。この構成にすれば、割り込み制御のように画像形成装置100の生産性を落とすことなく、現像剤量を制御可能である。
以上説明したように、実施例1の制御によれば、現像剤の温度が上昇して流動性が低下した場合でも、排出部40を通じた必要な現像剤の排出量を確保して、現像剤溢れを防止できる。
ところで、特許文献1、3に示すように、強制排出のための特別な排出機構を設けると、現像装置の部品点数が増して製造コストが高くなり、現像装置の小型化が難しくなる。そして、現像装置の小型化を前提とすると、特別な排出機構に付与できる単位時間当たりの排出量は小さくなる。単位時間当たりの排出量が小さい排出機構の場合、循環する現像剤量が上限値に近付いたときに排出機構を作動させたのでは、現像剤量が上限値を突破して手遅れになる場合がある。
また、現像容器内の現像剤量に上限値と下限値を設定して排出機構を制御したのでは、循環する現像剤量の変動幅が大きくなる。現像剤の流動性が低下して、排出部を通じた現像剤の排出性能が低下して、実際に現像剤量が上限値に達するまで、強制排出モードが実行されないからである。そして、現像剤量の変動幅が大きくなると、トナー帯電量の精密な制御が困難になって、画像濃度の変動を引き起す可能性もある。
また、循環する現像剤量が増加すると、滞在時間の長い劣化したトナーの割合が増えて、画像濃度が変動したり白地かぶり等の画像不良が発生したりする。搬送スクリュー部材の回転抵抗が高まって電力消費も増えてしまう。
実施例1では、現像剤の温度が高まると、排出部40を通じた正常な現像剤の排出が抑制されて現像剤が増える前に予測的に強制排出モードの実行頻度が高めることができる。これにより、現像容器内の流動性が低下した現像剤の割合が減って排出部40を通じた正常な現像剤の排出が回復する。このため、現像容器内の現像剤量がごく狭い範囲に安定的に維持され、現像剤が過剰になって現像剤溢れを引き起すことをより確実に回避できる。
そして、排出は、既存の排出部40と搬送スクリュー25、26を用いて実行されるため、強制排出モードのための部品追加が不要で、既存の制御プログラムのわずかな変更で実施できる。現像装置4aの既存の部品構成を利用して、現像装置4aの大型化等を招くことなく、現像容器22内の現像剤量の管理精度を高めることができる。
また、現像装置4aでは、循環する現像剤の温度が所定値を超えるような場合、循環する現像剤の流動性が低下して排出部を通じた現像剤の排出性能が低下し、現像容器内を循環する現像剤量が増加する。しかし、実施例1では、現像剤の流動性が低下した際に、現像剤量が実際に増えたり減ったりするのを待たないで、予測的に現像剤量の排出量を制御できる。このため、現像剤量の増加を検知して強制排出制御を行う場合よりも現像剤量をより狭い範囲で安定的に維持できる。そして、現像剤量をより狭い範囲で制御することで、現像容器内の流動性が低下した現像剤の割合が下がるため、排出部を通じた現像剤の排出性能が改善される等、現像剤の流動性の低下に起因する不都合が軽くなる。現像剤の流動性に応じて間欠的に現像剤の過剰を解消させることで、現像剤の流動性の変化に伴う不都合をより直接的に解消できる。また、循環する現像剤の流動性に相関する情報として温度を検出するので、現像容器内を循環する現像剤量それ自体を検出したり制御したりする必要がない。
<実施例2>
本実施例と実施例1と異なる点は、強制排出モードの実行頻度を、プロセススピードに応じて変更可能な点が異なる点である。例えば、画像形成装置100では、厚紙が選択されてプロセススピードが低下した場合、図3に示す搬送スクリュー25、26に低い運転速度が設定(減速)される。このとき、排出部40を通じた現像剤の排出量が減少するため、実施例2では、強制排出モードの実行頻度を高める。
実施例2では、像担持体の回転速度が第一速度にて画像形成する第一モードと、像担持体の回転速度が第一速度よりも遅い第二速度にて画像形成する第二モードがそれぞれ実行可能である。コントローラは、第一モードよりも第二モードの方が、強制排出動作の頻度を多くする、もしくは強制排出動作の実行時間を長くする。
画像形成装置100は、普通紙などに画像形成を行う通常モード(プロセススピード300mm/sec)の他に、厚紙やOHPシートに画像形成を行う減速モードの1/2速モード(プロセススピード150mm/sec)を有する。1/2速モードでは、感光ドラム1、中間転写ベルト5、定着装置16の周速度が通常モードの1/2に減速されるので、普通紙に比べて転写性や定着性が劣る厚紙やOHPシートに対しても、十分な転写と定着を行うことができる。
通常モードでは、実施例1で説明したように、現像スリーブ28は、プロセススピードの1.75倍の周速度で回転し、搬送スクリュー25、26の回転速度は750rpmである。これに対して、減速モードでは、現像スリーブ28は、プロセススピードと同比率で減速されて通常モードの1/2となるが、搬送スクリュー25、26の回転速度は、750rpmの1/2よりも速い600rpmである。これは、750rpmの1/2の375rpmでは、図3に示す開口部11を通じた攪拌室24から現像室23への現像剤の受け渡しに支障があるからである。また、通常モードと同じ750rpmとすると、トナー消費量当たりの攪拌回数が過剰になって現像剤の劣化が早まるからである。
詳しく説明すると、現像剤の搬送効率が回転速度により変わらなければ、搬送スクリュー25、26をプロセススピードの減速比率で回転速度を減速しても、排出部40での剤面高さは変わらない。しかし、現像装置4aでは、攪拌室24から現像室23への現像剤の受け渡しを、搬送スクリュー26による開口部11への現像剤の押し込み力で行う。このため、搬送スクリュー26を減速すると押し込み力が低下して、開口部11を通じて現像室23へ現像剤が汲み上がりにくくなる。そのため、減速モードが続くと、排出部40での剤面が次第に低下して余剰な現像剤を排出できなくなり、現像容器22内の現像剤量が過剰になって現像剤溢れが発生し易くなる。
そこで、駆動モータM1、M2による駆動構成を利用して、搬送スクリュー25、26の回転速度を400〜1000rpmの間で段階的に高めて、現像剤の循環状態、出力画像の品質、及び現像剤溢れの有無を確認した。
表4に示されるように、搬送スクリュー25、26の回転速度を600rpm以上にすると、現像剤の循環バランスを通常モードと同等に得られる。しかし、搬送スクリュー25、26の回転速度を700rpm以上にすると、出力画像にバンディング(ピッチムラ)が発生してしまった。そして、バンディングの発生要因を詳細に検討したところ、回転速度を700rpm以上にすると、搬送スクリュー25、26の振動が露光装置3aのレーザー光路上のミラーを振動させて、ピッチムラが発生することがわかった。
ここで、通常モードでの搬送スクリュー25、26の回転数(750rpm)を単純に1/2速で駆動すると、ミラー振動量は通常モードと変わらない。しかし、プロセススピードが1/2速に減速しているため、レーザーの書き込みピッチが2倍に伸びて、ピッチムラに対する視覚感度を高めてしまう。
しかし、表4に示すように、搬送スクリュー25、26の回転速度を700rpm以上にしないと、排出部40を通じた現像剤の排出性能を十分に確保できない。600rpmでは、排出部40での剤面が低くなって排出特性を満足できず、現像剤溢れが発生し易くなる。通常モードと同じように実施例1の排出モードの実行頻度を設定したのでは、現像剤溢れを十分に阻止できない。
そこで、実施例2では、1/2速モードが選択されると、実施例1の制御よりも強制排出モードの実行頻度を高めている。具体的には、実施例1で用いた表3の各欄の数値を0.8倍にし、それぞれの条件で20%速めに強制排出モードを実行させている。前回の強制排出モード以降に選択された画像形成モードが減速モードである場合には、現像剤溢れに対する冗長度が低下するので、通常モードより早い時点で強制排出モードを実行する。
表5に示すように、例えば、画像形成モードが減速モード、イエローの現像剤の温度が50℃の場合、通常モード(表3)での必要ブロック数30に対して0.80を掛けた24を減速モードでの必要ブロック数としている。
実施例2では、画像形成開始時に画像形成モードが通常モードか減速モードを確認し、減速モードであると判断された場合には、必要ブロック数を低速モード用の必要ブロック数(B’)と置き換えて制御を行う。図3を参照して図10に示すように、画像形成動作がスタートしたときに、現像剤の温度を測定して(S1)、現像剤の流動性変化量を予測する(S2)。そして、現像剤の温度に応じた必要ブロック数(補給回数、補給量)を表5のように算出する(S4)。そして、補給ごとにカウントアップした補給回数(S3)が必要ブロック数に達すると(S5のYES)、図11のフローチャートの制御に従って強制排出モードを実行する(S7)。
実施例1で述べた(1)〜(4)の条件で実施例1の通常モードと同様に、強制排出モードを実行する実施例2の減速モードと実行しない従来の減速モードとでDuty変動過酷評価を行って実施例2の制御の効果を確認した。
その結果、強制排出モードを実行しない減速モードでは、Duty変動過酷評価を通じて、現像剤量が290〜450gまでの範囲で大きく振れた。そして、累計5万枚で現像剤量が450gに達して現像剤溢れが発生し、出力画像に現像剤汚れが発生した。
これに対して、実施例2の減速モードでは、Duty変動過酷評価を通じて現像剤量が290〜370g内で推移して現像剤溢れが発生しなかった。
実施例2では、現像剤溢れに至ったときの現像剤量やDuty変動過酷評価を通じた現像剤量の変動幅が実施例1と異なった結果になっている。これは、通常モードと減速モードにおける現像剤面の傾きが違うため、現像装置4a内の現像剤量の中心値が変わったためと考えられる。
実施例2では、減速モードが設定されて現像剤の排出特性が低下した場合でも、強制排出モードを実行することで、現像容器22内を循環する現像剤を適正範囲に維持して、現像剤溢れを抑制できる。
実施例2の制御によれば、通常モードよりも減速して作像動作を行う減速モードを有する画像形成装置において、減速モードにおいて現像剤の排出特性が低下しないように、通常モードとは別の閾値で強制排出モードを実行させる。これにより、プロセススピード差による現像剤の排出特性の低下に起因する現像剤溢れの発生を防止できる。
なお、実施例2では、減速モードとして1/2速モードを持つ場合を説明したが、1/3、1/4、1.5倍速等、プロセススピードの異なるモードを複数持つ画像形成装置でも実施できる。その場合、必要ブロック数(B)の補正係数を、その速度モードのプロセススピードに応じてそれぞれ適切な数値を設定すればよい。
また、実施例2では、必要ブロック数(B)に補正をかけたが、強制排出モードにおける搬送スクリュー25、26の回転数(回転時間)に対して補正を行うことも可能である。
<実施例3>
本実施例と実施例1と異なる点は、強制排出モードを実行する判断を、現像器の温度ではなく、駆動モータの駆動トルクにて行う点である。図12は実施例3における搬送スクリューの駆動負荷の検出の説明図である。図13は駆動モータの出力トルクと現像剤の流動性の関係の説明図である。図14は実施例3の制御のフローチャートである。実施例3においては、画像形成装置100及び現像装置4aの構成は実施例1、2と同様である。
図3に示すように、実施例3では、駆動モータM2の駆動トルクが所定値を越えて高まるような場合、現像剤の流動性が低下して排出部40を通じた現像剤の排出量が減少していると判断されるため、強制排出モードの実行頻度を高める。
現像剤の流動性は、画像形成の累積に伴って次第に低下する等、現像剤の温度以外の要因でも変化するので、温度だけに頼っていると現像容器内を循環する現像剤量を正確に推定できない場合がある。この点、駆動モータM2の駆動トルクは、現像容器22内の現像剤量と現像剤の流動性との両方に相関性があるため、現像剤の温度に頼らなくても、強制排出モードの適正な実行タイミングを正確に判断できる。
図12に示すように、現像剤を攪拌する搬送スクリュー25、26の駆動負荷は、駆動モータM2の出力トルクの大部分を占めるため、検出手段として、駆動モータM2にトルク検出センサを備えている。トルク検出センサは、現像剤の流動性に相関する情報の一例である「搬送スクリュー25、26による現像剤の搬送抵抗」の増加を検出可能である。
DCブラシレスモータである駆動モータM2では、供給される電流と駆動モータM2の出力トルクに比例関係がある。駆動モータM2内には、トルク検出センサKとして負荷電流を検出する電流検出用抵抗が備えられている。制御部(コントローラ)50は、電流検出用抵抗の両端に形成される電位差を電流値検出部(A/Dコンバータ)51を通じて取り込んで、搬送スクリュー25、26の駆動トルクを算出する。
現像装置4aでは、現像剤の流動性が低下すると(=安息角が大きくなると)、現像剤の剤面の傾きが大きくなる。現像剤の剤面の傾きが大きくなると、排出部40を通じた溢れ出しが阻害されて現像容器22内の現像剤量が増えるので、搬送スクリュー25、26の駆動トルクが大きくなる。そして、増えた現像剤が攪拌室24の下流側に停滞して局所的に圧縮された状態になると、搬送スクリュー25、26の駆動トルクがさらに大きくなる。
このため、図13に示すように、現像剤の流動性が低下して安息角が大きくなるほど、また、現像容器22内の現像剤量が増えるほど、搬送スクリュー25、26の駆動トルクが大きくなる。
従って、駆動モータM2の出力トルクを検出することで、現像剤量ならびに現像剤の剤面の傾きを予測可能である。駆動モータM2の出力トルクが上昇時は現像剤量が増加している、もしくは現像剤の剤面の傾きが大きくなっていると判断できる。そして、いずれにせよ排出部40を通じた現像剤の排出量が低下して、現像剤溢れの可能性が高まっていると判断されるため、実施例3では、出力トルクの検出結果に応じて強制排出モードの実行頻度を変更する。
図12を参照して図14に示すように、制御部(コントローラ)50は、画像形成がスタートすると、トルク検出センサKにより、搬送スクリュー25、26にかかる駆動トルクを測定する(U1)。
次に、制御部50は、トルク検出センサKの検出結果より、駆動トルクが所定レベル以上であるか(具体的には3×10−2Nm(300gF・cm)否かを判断する(U2)。
駆動トルクが所定レベル以上の場合(U2のYES)、強制排出モードを実行する必要があると判断して、画像形成を中断し、図11のフローチャートの制御に従って強制排出モードを実行する(U3)。そして、強制排出モードを完了して(U4)、通常の画像形成動作に復帰する(U5)。
実施例3では、トルク検出センサKを用いた駆動モータM2の出力トルクの検出結果のみに基づいて、強制排出モードの起動タイミングを判断する。
しかし、実施例1で備えた現像剤の温度検知センサ(T)との併用構成や、実施例2で設けた減速モードとの併用構成を行えば、更に安定した現像剤量の制御を行える。
例えば、通常時は、搬送スクリュー25、26の駆動トルクを検出しながら、実施例1又は実施例2の制御を行ってもよい。この場合、検出したトルク量に応じて、表3又は表5に示される必要ブロック数(B)に補正値を乗じて、強制排出モード実行への閾値を小さくすることで、実行頻度を最適化することが可能である。また、搬送スクリュー25、26の回転時間に補正値を乗じて排出時間を長くすることで、強制排出モードにおける現像剤の排出量を調整することも可能である。
実施例3の制御によれば、常時、現像剤量もしくは剤面の傾きを検知して制御できるため、現像剤量が変化した場合でも、現像剤の剤面の傾きが変化した場合でも、現像剤溢れやコート不良を防止できる。
<実施例4>
本実施例と実施例1と異なる点は、強制排出モードを実行する判断を、現像器の温度ではなく、駆動モータの回転速度にて行う点である。図15は実施例4における搬送スクリューの回転速度の検出の説明図である。図16は実施例4の制御のフローチャートである。図17は駆動モータの起動時の回転速度制御の説明図である。実施例4においては、画像形成装置100及び現像装置4aの構成は実施例1、2と同様である。
DCブラシレスモータである駆動モータM2では、その加速、減速の駆動条件や、その際に駆動させる負荷等によって、一定の回転数に収束するまでの時間が異なり、一定以上の負荷がかかると所定回転数まで到達できないことがある。その対応として、従来から、最終目標回転数までに予め決められたステップで、段階的に回転数を変更させる段階加速動作制御が行われている。あるいは、回転数を常時監視し、一定時間経過しても所定回転数(実仕様としては所定回転数に対し90%程度)に未達と判断した場合、モータ回転不良と判断する制御が行われている。
すなわち、現像剤を攪拌する搬送スクリュー25、26の駆動負荷に応じて駆動モータM2を起動した際の回転速度の立ち上がりが変化する。そして、駆動モータM2の起動時の回転数の立ち上がり時間は、現像容器22内の現像剤量と現像剤の流動性との両方に相関性があるため、現像剤の温度に頼らなくても、強制排出モードの適正な実行タイミングを正確に判断できる。
実施例4では、現像剤の流動性に相関する情報の一例である搬送スクリュー25、26の回転速度を監視するための検出手段として回転速度センサZを備えている。搬送スクリュー25、26の駆動モータM2であるDCブラシレスモータ内には、回転速度センサZとして、ロータ外周上に磁気センサが設けられて回転速度検出が可能となっている。そして、制御部50は、回転数検出部51Bを通じて搬送スクリュー25、26の回転速度を回転速度センサZによって常時監視している。制御部50は、回転速度の異常低下が検出されると、現像剤の流動性低下(又は現像剤量の増加)と判断して、制御回路52を通じて駆動モータM2の回転数を高めることにより強制排出モードを実行する。
図15を参照して図16に示すように、制御部(コントローラ)50は、画像形成がスタートすると、回転速度センサZにより、搬送スクリュー25、26の回転開始から所定時間後(本実施例では500msec後)の回転速度を検出する(W1)。
ここで、駆動モータM2の立上げ制御は、図17の(a)に示すように100msec毎に回転数を徐々に上げる段階加速動作制御を用いており、500msec後に所定回転速度(750rpm)へ立ち上がる。図中では、細線が回転速度制御信号、太線が測定された実回転速度を示している。
制御部50は、検出した回転速度が所定回転速度(750rpm)であるか否かを判断する(W2)。所定値の一例である所定回転速度の95%以下(713rpm以下)であった場合(W2のYES)、過剰負荷と判断して強制排出モードを実行する(W3)。画像形成を中断して、図11のフローチャートの制御に従って強制排出モードを実行する。
そして、強制排出モードを完了して(W4)、通常の画像形成動作に復帰する(W5)。
なお、実施例4では、回転速度検出を画像形成の開始時に行ったが、例えば負荷チェックモードとして画像形成終了後の後回転時に行うことも可能である。更に画像形成とは別に実施する場合には、モータ立上げ制御として、図17の(a)に示す五段階加速動作制御ではなく、図17の(b)に示す1段階で最終目的の750rpmに加速する制御を実施してもよい。これにより、過剰負荷による起動の立ち上がりの遅れが現れ易くなって、検知精度を上げることができる。
実施例4では、回転速度センサZを用いた駆動モータM2の起動の立ち上がりの検出結果のみに基づいて、強制排出モードの起動タイミングを判断する。
しかし、実施例1で備えた現像剤の温度検知センサ(T)との併用構成や、実施例2で設けた減速モードとの併用構成を行えば、更に安定した現像剤量の制御を行える。現像剤の流動性変化やプロセススピードの切り替えにより、現像剤の排出特性が変化した場合にも、余剰の現像剤を排出するための強制排出モードを実行できる。
例えば、通常時は、駆動モータM2の起動の立ち上がりを検出しながら、実施例1又は実施例2の制御を行ってもよい。この場合、駆動モータM2の起動の立ち上がり状態に応じて、表3又は表5に示される必要ブロック数(B)に補正値を乗じて、強制排出モード実行への閾値を小さくすることで、実行頻度を最適化することが可能である。また、搬送スクリュー25、26の回転時間に補正値を乗じて排出時間を長くすることで、強制排出モードにおける現像剤の排出量を調整することも可能である。
実施例4の制御によれば、駆動モータM2の起動時に現像剤量もしくは剤面の傾きを検出して制御できるため、現像剤量が変化した場合でも、現像剤の剤面の傾きが変化した場合でも、現像剤溢れやコート不良を防止できる。
<実施例5>
図18は実施例5の現像装置の斜視図である。
実施例1〜4では、縦攪拌型の現像装置における本発明の利用例を説明したが、本発明は横攪拌型の現像装置でも利用できる。
図18に示すように、現像装置4aは、現像容器22が隔壁27によって、水平方向に現像室23と攪拌室24とに分割されている。現像室23には搬送スクリュー25が配置されて、矢印B方向に現像剤を搬送しつつ現像スリーブ28に供給する。攪拌室24には搬送スクリュー26が配置されて、矢印C方向に現像剤を搬送する。
隔壁27の長手方向の両端部に開口部11、12が形成され、開口部11、12を通じて現像室23と攪拌室24との間で現像剤が受け渡されることで、現像剤が現像容器22内を循環する。
攪拌室24の矢印C方向の突き当たり面に排出部40が形成され、搬送スクリュー26の矢印C方向の末端部には現像剤を逆方向に押し戻す逆スパイラル部26aが形成されている。
現像装置4aでは、攪拌室24における開口部12の近傍で磁性キャリアを含む補給用現像剤が補給され、補給用現像剤の補給によって過剰になった現像剤が排出部40から溢れ出して、循環する現像剤量が一定に維持される。
実施例5の現像装置4aにおいても、現像剤の流動性が低下すると、開口部40を通じた正常な排出性能を発揮できなくなるため、強制排出モードを実行する。画像形成を中止して、現像スリーブ28の回転を停止させ、搬送スクリュー25、26を画像形成時よりも高速で回転させることにより、逆スパイラル部26aを乗り越えて通常よりも多くの現像剤が排出部40を通じて排出される。