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Description

本発明は、マトリックス樹脂と炭素繊維とから複合材料を作製する際に用いる、表面特性に優れた高強度炭素繊維に関する。
近年、炭素繊維を強化繊維として用いた複合材料は、その高い比強度、比剛性を利用して、航空機等の構造材として多く用いられてきている。これらの複合材料は、例えば、強化繊維にマトリックス樹脂が含浸された中間製品であるプリプレグから、加熱・加圧といった成形・加工工程を経て成形される。従って、所望の複合材料を得るためには、それぞれに最適の材料あるいは成形・加工手段を採用する必要がある。そして、以下に述べるように、用途によっては、強化繊維である炭素繊維も、更に高い強度等が要求される場合がある。
炭素繊維の製造方法としては、原料繊維にポリアクリロニトリル(PAN)等の前駆体繊維(プリカーサー)を使用し、耐炎化処理及び炭素化処理を経て炭素繊維を得る方法が広く知られている。このようにして得られた炭素繊維は、高い比強度、比弾性率など良好な特性を有している。近年、炭素繊維を利用した複合材料の工業的な用途は、多目的に広がりつつある。特にスポーツ・レジャー分野、航空宇宙分野、自動車分野においては、より高性能化(高強度化、高弾性化)、より軽量化(繊維軽量化及び繊維含有量低減)、複合化した際のより高いコンポジット物性の発現性向上(炭素繊維の表面特性の向上)に向けた要求が強まっている。
炭素繊維とマトリックス樹脂との複合化において、高性能化を追求する為には、マトリックス樹脂が有する特性も重要であるが、炭素繊維そのもの自体の表面特性、強度及び弾性率を向上させることが必要不可欠である。つまり、炭素繊維表面とマトリックス樹脂との接着性が高いもの同士を複合化し、マトリックス樹脂と炭素繊維をより均一に分散することで、複合材料のより高性能なもの(高強度、高弾性)を得ることができると期待される。そして、炭素繊維の表面特性、強度及び弾性率を向上させることについては、従来より検討がなされている(例えば、特許文献1と2参照)。しかしながら、従来の炭素繊維は、上記複合材料の要求を満たすには不充分であった。
炭素繊維の表面状態と複合材料の強度との関係は、一般的に表面が平坦な炭素繊維ではマトリクス樹脂と接着性が低いため複合材料としての強度が十分に発現されず、また表面の凹凸が大きな炭素繊維ではマトリクス樹脂との接着性は高いが、大きすぎる表面の凹凸が繊維欠陥となり複合材料の強度低下につながるといわれている。そのため、主に走査型プローブ顕微鏡を用いて測定された炭素繊維表面の凹凸と、炭素繊維及び複合材料の強度との関係について検討がなされている(例えば、特許文献2〜4参照)。しかしながら、原子間力顕微鏡を用いて得られる炭素繊維表面の凸凹を表す平均面粗さや表面積比などの値は、繊維の一部分を測定して得られた値でしかない。また、測定される凹凸の深さに関しても、探針や測定条件により測定範囲が制限されるため、より微細な凹凸を測定するためには多大な労力と時間を要する点が問題である。
特公平8−6210号公報 特開2003−73932号公報 特開2005−133274号公報 特開2004−277192号公報
従来のものよりもより高性能(高強度、高弾性)な複合材料を得ることができる、表面特性や強度や弾性率が向上した高強度炭素繊維を提供することにある。
本発明者は、炭素繊維の高強度化のための表面処理の最適化および炭素繊維の表面状態について鋭意検討の結果、炭素繊維の表面状態と特定の反射光のもとでの色味が関連すること、そしてそれが炭素繊維の強度等と関連することを知見し、本発明に到達したものである。
本発明のうち請求項1に記載された発明は、L*a*b*表色系における彩度(ΔC*ab)が、1.2以上で、L*a*b*表色系における色度b*が0以上であり、且つ、色度a*が0.91以上である高強度炭素繊維である。
請求項2に記載された発明は、X線光電子分光器により測定される炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)が0.13以上、表面窒素濃度(N/C)が0.05以下である請求項1記載の高強度炭素繊維である。
本発明の高強度炭素繊維は、樹脂含浸ストランド強度、樹脂含浸ストランド弾性率、及び密度が高く、マトリックス樹脂と複合化して複合材料にした場合、マトリックス樹脂との良好な接着性を有する補強材として機能する。しかも、この炭素繊維は、毛羽や糸切れが少ないという特徴も有する。従って、本発明の高強度炭素繊維を用いると、従来のものよりもより高性能(高強度、高弾性)な複合材料を得ることができ、これらは、航空宇宙分野や自動車分野等において安全性が高く、且つ、軽量な複合材料として利用できる。
本発明の請求項1に記載された発明は、L*a*b*表色系における彩度(ΔC*ab)が、1.2以上である高強度炭素繊維であり、L*a*b*表色系における色度b*が、0以上であり、且つ、色度a*が0.91以上である高強度炭素繊維であるが、本発明において、L*a*b*表色系における彩度(ΔC*ab)および色度a*b*とは以下のように定義されるものである。
色相や彩度を表す手段として、色立体(色空間)という概念が用いられ、その中では国際照明委員会(CIE)が定めたL*a*b*系が推奨されている(JISZ8729参照)。L*
a*b*は、色立体において三次元の座標軸を示すものであり、L*は明度を表し、L*=0がもっとも暗く(黒色)、L*=100がもっとも明るい状態(白色)を表現している。a*b*に関しては、tanθ(b*/a*)が色相を表し、それぞれ+と−の領域を持っている。即ち、原点0に垂直方向にL*軸が立っており、あるL*の値で縦軸と横軸にa*とb*が直交しており、a*が+なら赤、−なら補色の緑、b*が+なら黄色、そして−なら補色の青色を示す。そして、色々なa*b*の値の組み合わせで、中間的な色の表現がなされる。
上記L* a*b*表色系において、ある色のa*b*平面状での原点からの距離が彩度と呼ばれ、彩度は、ΔC*ab=[(Δa*)+(Δb*)1/2で表される。これら彩度及び色度は、炭素繊維表面の微細な凹凸の程度などにより変化を受けるため、これらの値を測定することで、炭素繊維の表面状態が複合材料として用いるに好ましいものであるか、簡便に評価できる。なお、測定方法及び装置については後述する。
本発明の炭素繊維としては、請求項1に記載された様に、L*a*b*表色系における彩度(ΔC*ab)が、1.2以上である高強度炭素繊維であり、且つ、L*a*b*表色系における色度b*が、0以上である高強度炭素繊維が好ましい。炭素繊維の彩度は、炭素繊維表面の微細な凹凸による散乱光により、炭素繊維表面からの反射光のスペクトルが変化し、反射光の色度、特にb*が正方向に変化することにより、変化すると考えられる。炭素繊維表面の凹凸差は、表面処理によるエッチング作用により生じ、炭素繊維の彩度が増加するにつれ、炭素繊維の凹凸差が増加するものである。炭素繊維の表面欠陥となる焼成工程で生じる脆弱部が、エッチングにより優先的に取り除かれることで炭素繊維自体の強度が向上し、また、脆弱部の除去に伴い繊維表面に細かな凹凸が生じ、それにより炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が向上し、得られる炭素繊維の物性が向上すると推測される。
本発明の炭素繊維としては、また、請求項2に記載された様に、X線光電子分光器により測定される炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)が0.13以上、表面窒素濃度(N/C)が0.05以下のものが好ましい。更に、表面酸素濃度(O/C)が0.13〜0.25のものがより好ましい。表面酸素濃度(O/C)が0.13未満の場合は、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が劣り、得られる複合材料の物性低下の原因になる。一方、表面酸素濃度(O/C)が0.25を超える場合は、炭素繊維自体の強度が低下する傾向にある。表面窒素濃度(N/C)が0.05を超える場合は、必要とする炭素繊維物性が得られないので好ましくない。
本発明の炭素繊維としては、また、樹脂含浸ストランド強度が6000MPa以上、樹脂含浸ストランド弾性率が340GPa以上、密度が1.76g/cm以上のものが好ましい。樹脂含浸ストランド強度は6100MPa以上、樹脂含浸ストランド弾性率は340〜370GPa、密度は1.76〜1.80g/cmのものがより好ましい。以上の構成にすることにより、本発明の炭素繊維は、マトリックス樹脂と複合化して複合材料にした場合、マトリックス樹脂との良好な接着性を有する補強材として機能する。しかも、この炭素繊維は、毛羽や糸切れも少ない。
本発明の高強度炭素繊維は、例えば、以下の方法により製造することができる。
[前駆体繊維]
本発明において、炭素繊維の製造方法に用いる前駆体繊維としては、従来公知のものが何ら制限なく使用できる。その中でもアクリル系繊維が好ましく、広角X線回折(回折角17°)による配向度が90.5%以下のアクリル系繊維がより好ましい。具体的にはアクリロニトリルを90質量%以上、好ましくは95質量%以上含有する単量体を重合した紡糸溶液を紡糸して、炭素繊維原料とする。紡糸方法としては、湿式又は乾湿式紡糸方法いずれの方法も用いることができるが、樹脂との接着性を考慮すると、湿式紡糸方法がより好ましい。また、凝固した後は、水洗・乾燥・延伸して炭素繊維原料とすることが好ましい。
[耐炎化処理]
得られた前駆体繊維は、引き続き加熱空気中200〜280℃の温度範囲内で耐炎化処理される。この時の処理は、一般的に、延伸倍率0.85〜1.30の範囲で処理されるが、高強度・高弾性率の炭素繊維を得るためには、0.95以上がより好ましい。この耐炎化処理は、繊維密度1.3〜1.5g/cmの耐炎化繊維とするものであり、耐炎化時の糸にかかる張力は特に限定されるものでは無い。
[第一炭素化処理]
上記耐炎化繊維を、不活性雰囲気中で、第一炭素化工程において、300〜900℃の温度範囲内で、1.03〜1.06の延伸倍率で一次延伸処理し、次いで0.9〜1.01の延伸倍率で二次延伸処理して、繊維密度1.50〜1.70g/cmの第一炭素化処理繊維を得る。第一炭素化工程において、一次延伸処理では、耐炎化繊維の弾性率が極小値まで低下した時点から9.8GPaに増加するまでの範囲、同繊維の密度が1.5g/cmに達するまでの範囲で、1.03〜1.06の延伸倍率で延伸処理を行うのが好ましい。二次延伸処理においては、一次延伸処理後の繊維の密度が二次延伸処理中に上昇し続ける範囲で、0.9〜1.01倍の延伸倍率で延伸処理を行うのが好ましい。かかる条件を採用すると、結晶が成長することなく、緻密化され、ボイドの生成も抑制でき、最終的に高い緻密性を有した高強度炭素繊維を得ることができる。上記第一炭素化工程は、一つの炉若しくは二つ以上の炉で、連続的若しくは別々に処理することができる。
[第二炭素化処理]
上記第一炭素化処理繊維を、不活性雰囲気中で、第二炭素化工程において800〜2100℃の温度範囲内で、同工程を一次処理と二次処理とに分けて延伸処理して、第二炭素化処理繊維を得る。一次処理では、第一炭素化処理繊維の密度が一次処理中上昇し続ける範囲、同繊維の窒素含有量が10質量%以上の範囲で、同繊維を延伸処理するのが好ましい。二次処理においては、一次処理繊維の密度が変化しない又は低下する範囲で、同繊維を延伸処理するのが好ましい。第二炭素化処理繊維の伸度は2.10%以上、より好ましくは2.20%以上である。また、第二炭素化処理繊維の直径は、5〜6.5μmであるのが好ましい。また、これら焼成工程は、単一設備で連続して処理することも、数個の設備で連続して処理することも可能であり、特に限定されるものではない。
[表面処理]
上記第二炭素化処理繊維は、引き続いて表面処理を施す。表面処理には気相、液相処理も用いることができるが、工程管理の簡便さと生産性を高める点から、電解処理による表面処理が好ましい。表面処理において用いる電解液としては、無機酸、無機酸塩等を用いることができるが、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸がより好ましい。これらの電解液の濃度が1〜25質量%、温度が10〜80℃、より好ましくは20〜50℃の範囲内で、繊維1gあたり10〜2000クーロン、より好ましくは200〜500クーロンの電気量で化学的・電気的酸化処理を行うのが良い。電気量を大きくすることで、エッチング量が増え、彩度は増加するが、電気量が大きすぎると表面の凹凸が表面欠陥となり、繊維強度が低下するため好ましくない。また、電気量が小さすぎると、エッチングが起こりにくくいため好ましくない。
[サイジング処理]
上記第二炭素化処理繊維は、引き続いてサイジング処理を施す。サイジング方法は、従来の公知の方法で行うことができ、サイジング剤は、用途に即して適宜組成を変更して使用し、均一付着させた後に、乾燥することが好ましい。
L*a*b*表色系における三次元座標の、測定方法及び装置について説明する。測定装置としては、光ファイバー式分光測色装置MCPD-3000(大塚電子製)を用いた。測定対象物としては、サイジング処理を行う以前の炭素繊維の糸が好ましいが、記述の方法によりサイジング剤を除去した炭素繊維の糸を用いることもできる。測定対象物の炭素繊維の糸を、平板に密に巻きつけてサンプルを作成し、平面上で糸の長手方向に入射角をつけて照射投光し、その反射光を受光評価した。評価は、可視領域(380〜780nm)での反射率スペクトル及びL*a*b*表色系における色相座標(a*b*)で実施した。入射角度は、20±3度で行った。
本発明の高強度炭素繊維は、やや赤みを帯びた色相を呈しているが、これは大きくは炭素繊維の表面状態に起因する微細な凹凸差で生じる散乱光によるものと推定される。またその色相には炭素繊維の表面状態に起因する光干渉も影響し、X線光電子分光器により測定される炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)や表面窒素濃度(N/C)とも相関し、結果的に、これら表面の微細形状、表層付近の内部構造等を表す値全てが、炭素繊維の機械的性能、例えば、強度と関連するものと推定される。
以下、実施例により本発明を詳述する。炭素繊維の樹脂含浸ストランド強度は、JIS R
7601に規定された方法により測定した。密度は、アルキメデス法により測定し、試料繊維はアセトン中にて脱気処理し測定した。炭素繊維のサイジング剤の除去は、アセトンを用い3時間のソックスレー処理によって行い、そののち繊維を風乾した。
炭素繊維の表面酸素濃度O/C及び表面窒素濃度N/Cは、次の手順に従ってXPS(ESCA)によって求めることができる。記述の方法によりサイズ剤を除去した炭素繊維の糸をカットしてステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電子脱出角度を90度に設定し、X線源としてMgKαを用い、試料チャンバー内を1×10−6Paの真空度に保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正として、まずC1sの主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6eVに合わせる。N1sピーク面積は、394〜406eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、O1sピーク面積は、528〜540eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、C1sピーク面積は、282〜292eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。炭素繊維表面の表面酸素濃度O/Cは、上記O1sピーク面積とC1sピーク面積の比で計算して求められる。炭素繊維表面の表面窒素濃度N/Cは、上記N1sピーク面積とC1sピーク面積の比で計算して求められる。
[実施例1]
アクリロニトリル95質量%/アクリル酸メチル4質量%/イタコン酸1質量%よりなる共重合体紡糸原液を、常法により湿式紡糸し、水洗・乾燥後、トタール延伸倍率が14倍になるようにスチーム延伸を行い、0.65デニールの繊度を有するフィラメント数12,000の前駆体繊維を得た。
得られた前駆体繊維を加熱空気中で延伸しながら、240〜250℃の温度範囲内で耐炎化処理を行い、次いで窒素雰囲気中、350〜2000℃の温度範囲内で第一及び第二炭素化処理を行い、未電解処理炭素繊維を得た。
前記未電解処理炭素繊維を、電解質溶液として6.3質量%の硝酸水溶液を用い、電気量が250クーロン/gの条件で電解処理し、常法によりサイジング処理を行い、乾燥して密度1.77g/cm、繊維直径5.1μmの炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の彩度、色度、樹脂含浸ストランド強度と弾性率、表面酸素濃度O/Cと表面窒素濃度N/Cの測定値は表1に示したとおりであった。なお、表1の彩度の測定値はn=2の平均値である。
[実施例2]
実施例1で得られた前記未電解処理炭素繊維を、6.3質量%の硝酸水溶液を用い、電気量が500クーロン/gの条件で電解処理し、常法によりサイジング処理を行い、乾燥して密度1.77g/cm、繊維直径5.1μmの炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の彩度、色度、樹脂含浸ストランド強度と弾性率、表面酸素濃度O/Cと表面窒素濃度N/Cの測定値は表1に示した。
[実施例3]
実施例1で得られた前記未電解処理炭素繊維を、6.3質量%の硝酸水溶液を用い、電気量が1000クーロン/gの条件で電解処理し、常法によりサイジング処理を行い、乾燥して密度1.77g/cm、繊維直径5.1μmの炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の彩度、色度、樹脂含浸ストランド強度と弾性率、表面酸素濃度O/Cと表面窒素濃度N/Cの測定値は表1に示した。
[比較例1]
実施例1で得られた前記未電解処理炭素繊維を、電解質溶液として8.0質量%の硫酸アンモニウム水溶液を用い、電気量が50クーロン/gの条件で電解処理し、常法によりサイジング処理を行い、比較用の炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の彩度、色度、樹脂含浸ストランド強度と弾性率、表面酸素濃度O/Cと表面窒素濃度N/Cの測定値は表1に示した。
Figure 0004870511
[実施例4]
アクリロニトリル95質量%/アクリル酸メチル4質量%/イタコン酸1質量%よりなる共重合体紡糸原液を湿式又は乾湿式紡糸し、水洗・乾燥・延伸・オイリングして繊維直径9.1μmのアクリル系前駆体繊維を得た。この繊維を加熱空気中、200〜260℃の温度域で耐炎化処理し、繊維密度1.34g/cmのアクリル系耐炎化繊維を得た。
次いで、この耐炎化繊維を不活性雰囲気中、300〜800℃の温度域の第一炭素化炉において、1.05倍で一次延伸、1.00倍で二次延伸処理を実施した。一次延伸処理後の繊維の密度は1.40g/cmであった。二次延伸処理後の繊維の密度は1.70g/cmであった。
次いで、この第一炭素化処理繊維を不活性雰囲気中、800〜1900℃の温度域の第二炭素化炉において延伸処理し、第二炭素化処理繊維を得た。
ついで、電解質溶液として6.3質量%の硝酸水溶液を用い、電気量が200クーロン/gの条件で電解処理し、常法によりサイジング処理を行い、乾燥して密度1.77g/cm、繊維直径5.1μmの炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の彩度、色度、樹脂含浸ストランド強度と弾性率、表面酸素濃度O/Cと表面窒素濃度N/Cは表1に示したとおりであった。
[比較例2]
アクリロニトリル97.5質量%/アクリル酸メチル2.5質量%よりなる共重合体紡糸原液を、常法により湿式紡糸し、水洗・乾燥・スチーム延伸を行い、0.9デニールの繊度を有するフィラメント数12,000の前駆体繊維を得た。
得られた前駆体繊維を加熱空気中で延伸しながら、200〜260℃の温度範囲内で耐炎化処理を行い、次いで窒素雰囲気中、350〜2000℃の温度範囲内で第一及び第二炭素化処理を行い、未電解処理炭素繊維を得た。
前記未電解処理炭素繊維を、電解質溶液として8.0質量%の硫酸アンモニウム水溶液を用い、電気量が12クーロン/gの条件で電解処理し、常法によりサイジング処理を行い、乾燥して密度1.79g/cm、繊維直径6.9μmの炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の彩度、樹脂含浸ストランド強度と弾性率、表面酸素濃度O/Cと表面窒素濃度N/Cの測定値は表1に示したとおりであった。

Claims (2)

  1. L*a*b*表色系における彩度(ΔC*ab)が1.2以上で、L*a*b*表色系における色度b*が0以上であり、且つ、色度a*が0.91以上である高強度炭素繊維。
  2. X線光電子分光器により測定される炭素繊維の表面酸素濃度(O/C)が0.13以上、表面窒素濃度(N/C)が0.05以下である請求項1記載の高強度炭素繊維。
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