JP6304046B2 - 炭素繊維束およびその製造方法 - Google Patents
炭素繊維束およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6304046B2 JP6304046B2 JP2015001279A JP2015001279A JP6304046B2 JP 6304046 B2 JP6304046 B2 JP 6304046B2 JP 2015001279 A JP2015001279 A JP 2015001279A JP 2015001279 A JP2015001279 A JP 2015001279A JP 6304046 B2 JP6304046 B2 JP 6304046B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon fiber
- fiber bundle
- flameproofing
- modulus
- polyacrylonitrile
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Artificial Filaments (AREA)
- Inorganic Fibers (AREA)
Description
[1]複数本の単繊維から構成されている炭素繊維束において、単繊維の平均単繊維径をd(μm)とし、炭素繊維束の樹脂含浸ストランド引張弾性率をE(GPa)としたとき、
E/GPa≧465−25d/μm ・・・(1)
を満足し、dが6.8〜9.0μmで、剪断弾性率が20〜35GPaである炭素繊維束。
[2]窒素含有率が2〜4質量%である[1]に記載の炭素繊維束。
[3]炭素繊維単繊維の繊維軸方向に垂直な断面の外周部の黒化厚みが3.2μm以上である[1]または[2]に記載の炭素繊維束。
[4]ポリアクリロニトリルを99.1〜99.99質量%、共重合成分を0.01質量%以上含むポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を耐炎化処理して、次いで炭素化処理する炭素繊維束の製造方法であって、共重合成分はそのホモポリマーのTgが50〜250℃であり、耐炎化処理においては、耐炎化処理時間が30分の時点でのニトリル消費率が10〜20%、耐炎化処理終了時点でのニトリル消費率が60〜80%、炭素化処理温度が1200〜2000℃である炭素繊維束の製造方法。
[5]ニトリル消費率が20%から60%に至る間の耐炎化処理時間を6〜25分とする[4]に記載の炭素繊維束の製造方法。
E/GPa≧465−25d/μm ・・・(1)。
炭素繊維束の引張強度と引張弾性率は、JIS−R−7608(2004)の樹脂含浸ストランド試験法に準拠し、次の手順に従い求める。樹脂処方としては、“セロキサイド(登録商標)”2021P(ダイセル化学工業社製)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(東京化成工業(株)製)/アセトン=100/3/4(質量部)を用い、硬化条件としては、常圧、温度125℃、時間30分を用いる。炭素繊維束の樹脂含浸ストランド10本を測定し、その平均値を引張強度とする。歪みは伸び計を用いて評価する。得られた応力σ(GPa)−歪みε(−) 曲線を応力0〜3GPaの範囲で式(1)にフィッティングするように係数を求め、そして、配向関数<cos2 ψ>を用いて剪断弾性率gと初期引張弾性率E0を算出する。引張弾性率Eは歪み範囲0.5〜0.8%の値を用いる。
測定に供する炭素繊維束を引き揃え、コロジオン・アルコール溶液を用いて固めることにより、長さ4cm、1辺の長さが1mmの四角柱の測定試料を用意する。用意された測定試料について、広角X線回折装置を用いて、次の条件により測定を行う。
・検出器:ゴニオメーター+モノクロメーター+シンチレーションカウンター
・走査範囲:2θ=10〜40°
・走査モード:ステップスキャン、ステップ単位0.02°、計数時間2秒。
1.0〜3.0gの繊維を採取し、120℃で2時間絶乾する。次に絶乾質量A(g)を測定した後、エタノールに含浸させ十分脱泡してから、溶媒浴中の繊維質量B(g)を測定し、繊維比重=(A×ρ)/(A−B)により繊維比重を求める。
測定試料は細かくカットした炭素繊維(2mg)とした。CHN分析装置(DKSH社 vario EL cube)を用いて炭素繊維のCHN量を評価し窒素量を算出する。
測定を行う炭素繊維束を樹脂中に包埋し、繊維軸方向と垂直な横断面を研磨し、該断面を光学顕微鏡の100倍の対物レンズを用いて観察する。研磨面の断面顕微鏡画像から二重構造の黒化厚みを測定した。解析は画像解析ソフトウェアImage Jを用いて行う。まず、単繊維断面像において、黒と白の領域分割を二値化によって行う。単繊維断面内の輝度分布に対し、分布の平均値を閾値として設定し、二値化を行う。得られた二値化像を、繊維直径dの方向に対し、表層の一点から、黒から白への線入り領域までの最短距離として測定する。これを同一単繊維の周内5点に対して測定し、平均値をその水準における黒化厚みとして算出する。また、炭素繊維単繊維の繊維軸方向に垂直な断面全体に対する黒化厚み部分の面積比率(%)から外層比率を算出する。
測定する多数本の炭素フィラメントからなる炭素繊維束について、単位長さ当たりの質量Af(g/m)および密度Bf(g/cm3)を求める。測定する炭素繊維束のフィラメント数をCfとし、炭素繊維の平均単繊維径(μm)を、下記式で算出を行う。
=((Af/Bf/Cf)/π)(1/2)×2×103。
測定に供する耐炎化繊維は、凍結粉砕後に2mgを精秤して採取し、それをKBr300mgと良く混合して、成形用治具に入れてプレス機を用いて40MPaで2分間加圧することで測定用錠剤を作製する。この錠剤をフーリエ変換赤外分光光度計にセットし、1500〜2500cm−1の範囲でスペクトルを測定する。なお、バックグラウンド補正は、1700〜2000cm−1の範囲における最小値が0になるようにその最小値を各強度から差し引くことで行う。なお、上記フーリエ変換赤外分光光度計として、パーキンエルマー製Paragon1000を用いた。ポリアクリロニトリル系前駆体繊維は2240cm−1にニトリル基由来のピークが観察される。かかるピークの積分強度の減少率は耐炎化進行度の指標に適用できる。かかる減少率は、かかる2240cm−1に現れるスペクトルの積分強度を用いる。ポリアクリロニトリル系前駆体繊維を耐炎化処理していない状態を基準値として、耐炎化繊維から得られたスペクトルの2240cm−1ピークの積分強度との比をニトリル残存量と定義し、100%から差し引くことにより、ある耐炎化処理時間におけるニトリル消費率と定義する。耐炎化処理量の違う耐炎化繊維の、ニトリル消費率の差を耐炎化時間の差によって割った値を平均ニトリル消費速度として概算を行った。耐炎化が進むとピークの横にショルダーができるが含まないこととする。
表1に示す共重合組成(アクリロニトリルを99.7質量%、イタコン酸(ポリマーTg:130℃)を0.3質量%)からなるポリアクリロニトリル系共重合体を、ジメチルスルホキシドを溶媒として溶液重合法により重合させ、ポリアクリロニトリル系共重合体を製造した。さらに重合体濃度が20質量%になるように調製して、紡糸溶液を得た。得られた紡糸溶液を、紡糸口金から一旦空気中に吐出し、3℃にコントロールした35%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により凝固糸条とした。この凝固糸条を、常法により水洗した後、2槽の温水浴中で、3.5倍の延伸を行った。続いて、この水浴延伸後の繊維束に対して、アミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与し、160℃の加熱ローラーを用いて、乾燥緻密化処理を行い、単繊維本数12000本としてから、加圧スチーム中で3.7倍延伸することにより、製糸全延伸倍率を13倍とし、結晶配向度93%、単繊維本数12000本のポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を得た。ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の単繊維繊度が1.2dtexとなるように、紡糸溶液の口金からの吐出量を調整した。次に、表1に示す第1耐炎化炉(1耐)、第2耐炎化炉(2耐)の耐炎化温度・耐炎化時間の条件を用いて、空気雰囲気のオーブン中でポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を延伸比1で延伸しながらで耐炎化処理し、耐炎化繊維束を得た。
Claims (5)
- 複数本の単繊維から構成されている炭素繊維束において、単繊維の平均単繊維径をd(μm)とし、炭素繊維束の樹脂含浸ストランド引張弾性率をE(GPa)としたとき、
E/GPa≧465−25d/μm ・・・(1)
を満足し、d=6.8〜9.0μmで、剪断弾性率が20〜35GPaである炭素繊維束。 - 窒素含有率が2〜4質量%である請求項1に記載の炭素繊維束。
- 炭素繊維単繊維の繊維軸方向に垂直な断面の外周部の黒化厚みが3.2μm以上である請求項1または2に記載の炭素繊維束。
- ポリアクリロニトリルを99.1〜99.99質量%、共重合成分を0.01質量%以上含むポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を耐炎化処理して、次いで炭素化処理する炭素繊維束の製造方法であって、共重合成分はそのホモポリマーのTgが50〜250℃であり、耐炎化処理においては、耐炎化処理時間が30分の時点でのニトリル消費率が10〜20%、耐炎化処理終了時点でのニトリル消費率が60〜80%、炭素化処理温度が1200〜2000℃である炭素繊維束の製造方法。
- ニトリル消費率が20%から60%に至る間の耐炎化処理時間を6〜25分とする請求項4に記載の炭素繊維束の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015001279A JP6304046B2 (ja) | 2015-01-07 | 2015-01-07 | 炭素繊維束およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015001279A JP6304046B2 (ja) | 2015-01-07 | 2015-01-07 | 炭素繊維束およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016125172A JP2016125172A (ja) | 2016-07-11 |
JP6304046B2 true JP6304046B2 (ja) | 2018-04-04 |
Family
ID=56358971
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015001279A Active JP6304046B2 (ja) | 2015-01-07 | 2015-01-07 | 炭素繊維束およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6304046B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7286987B2 (ja) * | 2019-02-12 | 2023-06-06 | 東レ株式会社 | 炭素繊維束およびその製造方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62257424A (ja) * | 1986-04-25 | 1987-11-10 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 高強度高弾性炭素繊維の製法 |
JPH11124743A (ja) * | 1997-10-20 | 1999-05-11 | Toray Ind Inc | 炭素繊維および炭素繊維強化複合材料 |
JP2001248025A (ja) * | 1999-12-22 | 2001-09-14 | Toray Ind Inc | 炭素繊維の製造方法 |
JP2006307407A (ja) * | 2005-03-29 | 2006-11-09 | Toray Ind Inc | 炭素繊維および、炭素繊維の製造方法 |
KR101335140B1 (ko) * | 2005-12-13 | 2013-12-03 | 도레이 카부시키가이샤 | 탄소 섬유, 탄소 섬유 제조용 폴리아크릴로니트릴계 전구체섬유의 제조 방법, 및 탄소 섬유의 제조 방법 |
JP2008308777A (ja) * | 2007-06-13 | 2008-12-25 | Toray Ind Inc | 炭素繊維、炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法 |
-
2015
- 2015-01-07 JP JP2015001279A patent/JP6304046B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016125172A (ja) | 2016-07-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101841407B1 (ko) | 탄소 섬유 다발 및 그 제조 방법 | |
JP5324472B2 (ja) | 耐炎化繊維と炭素繊維の製造方法 | |
JP6950526B2 (ja) | 炭素繊維束およびその製造方法 | |
EP2905364A1 (en) | Flame-proofed fiber bundle, carbon fiber bundle, and processes for producing these | |
JP5907321B1 (ja) | 炭素繊維束およびその製造方法 | |
JP2005133274A (ja) | 炭素繊維と同炭素繊維を含む複合材料 | |
US10260172B2 (en) | Carbon fibers, and production method therefor | |
JP2010242249A (ja) | 高強度炭素繊維用耐炎化繊維及びその製造方法 | |
JP6304046B2 (ja) | 炭素繊維束およびその製造方法 | |
JP6020202B2 (ja) | 炭素繊維束およびその製造方法 | |
JP2018178344A (ja) | ポリアクリロニトリル系耐炎化繊維束およびその製造方法、ならびに炭素繊維束の製造方法 | |
JP4953410B2 (ja) | 炭素繊維およびその製造方法 | |
TW202003653A (zh) | 碳纖維束及其製造方法、預浸體及碳纖維強化複合材料 | |
JP2017137614A (ja) | 炭素繊維束およびその製造方法 | |
JP2016125173A (ja) | 炭素繊維束およびその製造方法 | |
JP7447788B2 (ja) | 炭素繊維束およびその製造方法 | |
JP5667380B2 (ja) | 耐炎化繊維束、炭素繊維束およびそれらの製造方法 | |
JP2007186802A (ja) | 耐炎化繊維および炭素繊維の製造方法 | |
JP2020143226A (ja) | 炭素繊維強化ビニルエステル樹脂組成物およびその製造方法 | |
JP4454364B2 (ja) | 炭素繊維の製造方法 | |
KR101626223B1 (ko) | 탄소 섬유 전구체 섬유용 중합물 및 이를 이용한 탄소 섬유 | |
WO2024090012A1 (ja) | 炭素繊維束、トウプレグ、炭素繊維強化複合材料および圧力容器、および炭素繊維束の製造方法 | |
JP6004816B2 (ja) | 耐炎化繊維束の製造方法 | |
JP2018131709A (ja) | 炭素繊維前駆体繊維の製造方法および炭素繊維の製造方法 | |
JP2006274518A (ja) | 耐炎化繊維及び炭素繊維の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170403 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180124 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180206 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180219 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6304046 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |