JP6304046B2 - 炭素繊維束およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた引張弾性率・剪断弾性率を満足し、毛羽の少ない高品位な高性能炭素繊維束、ならびにそれを製造する方法に関するものである。
炭素繊維は、環境問題の高まりから複合材料の強化繊維として、その用途が各種方面に益々拡がり、更なる高性能・高品位化が強く求められている。炭素繊維の力学特性を高めることは圧力容器などの部材軽量化に寄与するため、引張強度、引張弾性率、剪断弾性率といった力学特性をバランス良く高めることと、それと同時に最終部材を低コスト化する観点から毛羽などで生産性を低下させることのない炭素繊維の品位の高さが重要な課題となっている。
炭素繊維のような脆性材料においては、グリフィスの式に従って欠陥サイズを小さくするか、破壊靱性値を高めることで、例えば引張強度を高めることができる。特に破壊靱性値の改善は、欠陥サイズの状態に依存せずに高引張強度化が可能である点で有効である(特許文献1)。
引張強度、引張弾性率といった力学特性をバランス良く高めるためには、単繊維断面に存在する内外構造差を解消することが重要となる。これまで単繊維断面の内外構造差を抑制しつつ性能を向上する方法として例えば、耐炎化において液相中で耐炎化行うことにより耐炎化時間を短時間化、炭素繊維の高性能化をする方法や、炭素繊維の引張強度と引張弾性率を向上させる方法として、複数個の炉から構成される耐炎化炉において各炉の滞留時間を炭素繊維前駆体繊維の密度に併せて、耐炎化温度を高温化させる方法、耐炎化雰囲気を調整する方法が提案されている(特許文献2〜4参照。)。また、特許文献3の提案では、耐炎化工程の温度制御領域を2〜3にし、耐炎化時間に対する比重増加率を制御することにより、耐炎化繊維の内外構造差制御を行っている。特許文献4の提案では、耐炎化炉内の酸素雰囲気、および耐炎化温度を耐炎糸比重に合わせて制御をしており、酸素供給不足による内外構造差の抑制を行っている。
また、圧縮強度を向上させるためにねじり弾性率を高める手法が知られている(特許文献5〜7)。
国際公開第97/45576号パンフレット 特開2004−300600号公報 特開2006−283225号公報 特開平10−251923号公報 特開平09−170170号公報 特開平05−214614号公報 特開2013−202803号公報
全般的に高性能化を達成しようとする場合には、平均単繊維繊度を小さくすることで達成することが多いが、平均単繊維繊度を小さくすると毛羽などの問題で品位が低下しやすくなる。一方で、平均単繊維繊度を大きくすると耐炎化工程で内外構造差が生じ、性能が著しく低下していた。平均単繊維繊度を大きくしながら高性能化を達成するため、過去の発明の中でも内外構造差を減らそうとする技術はあったが、内外構造差を減らそうとして他の共重合成分を入れることにより、毛羽が多く発生し、品位のみならず性能の低下も引き起こしていた。引張強度向上を目的とした特許文献1の提案では、シリコーン油剤・単繊維繊度・内外構造差を制御しているが、実施例においては共重合成分を3.5〜5.7mol%と多く入れているため、引張弾性率が235〜270GPaと低い水準のままであり、これを高めようと炭素化温度を上げると引張強度が大きく低下し、剪断弾性率も低い水準であった。
内外構造差抑制を検討した特許文献2の提案では、液相耐炎化技術により、大幅な耐炎化時間の短縮と高い引張強度と引張弾性率を達成しているが、耐炎化繊維断面の内外構造差は改善されておらず、剪断弾性率も改善には至っていない。また、特許文献3の提案では、内外構造差の定量的な制御には及んでおらず、弾性率ポテンシャルの発現は限定的なものであった。特許文献4の提案では、酸素供給による内外構造抑制効果は小さいものであり、引張強度、引張弾性率ともに大きな改善には至らなかった。このように、特許文献2〜4の提案では、内外構造差を制御しようとしているものの、定量的な制御に及んでおらず、引張弾性率を改善できた例はあるものの他の炭素化特性を同時に高い水準で満たすものではなかった。
また、特許文献5〜7の提案においては、剪断弾性率の一種としてねじり弾性率を規定し、これを高めることによって、剪断弾性率向上を試みている。特許文献5または6では、ねじり弾性率を高めるためにイオン注入や電子線照射を用いており、共有結合を切断して再配列をさせているために格子欠陥を含むためか剪断弾性率は満足するものとはならない。その上、実施例においては、比較的直径の小さい炭素繊維を処理しており、表面からのイオン注入距離が短いため、直径が大きいものに対しては効果が限定的となる。特許文献7では、通常よりも単繊維繊度が大きくても通常品同等の炭素繊維物性を発現することを記載しており、剪断弾性率が4GPa以上と規定しているが、全く満足できるレベルにはない。
このように、引張弾性率、剪断弾性率とそれぞれのみを向上させる技術は見られるものの、これらの炭素化特性を高い水準で満足し、かつ低コスト化を達成している技術は見られない。
本発明は、このような状況を鑑み、平均単繊維繊度が大きくても引張弾性率の高い炭素繊維束とその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の炭素繊維束は、次のいずれかの構成を有するものである。
[1]複数本の単繊維から構成されている炭素繊維束において、単繊維の平均単繊維径をd(μm)とし、炭素繊維束の樹脂含浸ストランド引張弾性率をE(GPa)としたとき、
E/GPa≧465−25d/μm ・・・(1)
を満足し、dが6.8〜9.0μmで、剪断弾性率が20〜35GPaである炭素繊維束。
[2]窒素含有率が2〜4質量%である[1]に記載の炭素繊維束。
[3]炭素繊維単繊維の繊維軸方向に垂直な断面の外周部の黒化厚みが3.2μm以上である[1]または[2]に記載の炭素繊維束。
また、本発明の炭素繊維束の製造方法は、次のいずれかの構成を有するものである。
[4]ポリアクリロニトリルを99.1〜99.99質量%、共重合成分を0.01質量%以上含むポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を耐炎化処理して、次いで炭素化処理する炭素繊維束の製造方法であって、共重合成分はそのホモポリマーのTgが50〜250℃であり、耐炎化処理においては、耐炎化処理時間が30分の時点でのニトリル消費率が10〜20%、耐炎化処理終了時点でのニトリル消費率が60〜80%、炭素化処理温度が1200〜2000℃である炭素繊維束の製造方法。
[5]ニトリル消費率が20%から60%に至る間の耐炎化処理時間を6〜25分とする[4]に記載の炭素繊維束の製造方法。
本発明によれば、単繊維断面における内外構造差を効果的に抑制し、優れた引張弾性率を発現する炭素繊維束が得られる。このため、平均単繊維繊度を高めることが容易であり、高品位で、高性能な炭素繊維束の製造方法を提供することができる。
本発明の炭素繊維束は、ポリアクリロニトリル系共重合体中に含まれる共重合成分量を特定範囲に制御することにより、耐炎化反応進行を制御し、単繊維断面内の内外構造差抑制に至ったものである。この発明の炭素繊維束の構成と、発明を実施するのに好適な形態に関して以下に詳述する。
本発明の炭素繊維束は、平均単繊維径dが6.8〜9.0μmであり、好ましくは7.1〜9.0μmであり、さらに好ましくは7.5〜9.0μmである。かかる平均単繊維径が小さいほどストランド引張弾性率(以下、単に「引張弾性率」と称する場合がある。)・剪断弾性率が向上傾向となる一方で、平均単繊維径が6.8μm以上の場合、毛羽なく高品位となり、9.0μm以下の場合、炭素繊維束のしなやかさを維持できて複合材料とする際の毛羽発生が少なくて良い。平均単繊維径は、炭素繊維束の単位長さ当たりの質量と比重と単繊維本数から計算できる。また、平均単繊維径は、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の単繊維繊度を調整することによって制御できる。
本発明の炭素繊維束は、ストランド引張弾性率をE(GPa)としたとき、下式(1)を満足する。
E/GPa≧465−25d/μm ・・・(1)。
炭素繊維束の引張弾性率においては、簡単な複合則が成り立つため、低物性の内層の割合が大きいほど線形に引張弾性率は低下する。そのため、平均単繊維径が大きいほど、引張弾性率の発現は限定的になりがちである。本発明の炭素繊維束においては、内外構造差が大きく抑制されているため、引張弾性率の低下が少なく、高い水準で引張弾性率を発現する。本発明の式(1)においては、「E/GPa≧465−20d/μm」が好ましく、より好ましくは「E/GPa≧465−15d/μm」である。本発明の炭素繊維束の引張弾性率は、内外構造差が抑制されているため、平均単繊維繊度が大きい領域でも発現しやすい。測定方法は、後述するJISで規定される樹脂含浸ストランド引張試験法により測定を行う。かかる炭素繊維束の製造方法について詳細は後述する。
本発明の炭素繊維束は剪断弾性率が20〜35GPaであり、好ましくは25〜35GPa、より好ましくは30〜35GPaである。かかる高い剪断弾性率を達成するには、内外構造差が抑制されていることが必要である。炭素繊維束の剪断弾性率の評価手法は種々あるが、本発明では樹脂含浸ストランドを引張試験して得た応力−歪み曲線から計算する手法を用いる。すなわち、かかる応力σ(GPa)−歪みε(−) 曲線を応力0〜3GPaの範囲で式(2)にフィッティングするように係数を求め、そして、配向関数<cosψ>を用いて剪断弾性率gと初期引張弾性率Eを算出する。
Figure 0006304046
この式は、Carbon, 1991, 29, 1267-79の式(5)とCarbon, 1994, 32, 615-619の式(9)から本発明者らが導出したものである。この式からも分かるように、引張応力がかかるほど引張歪みの変化が鈍く(引張弾性率が増加し)、圧縮応力がかかるほど圧縮歪みの変化が大きくなる(圧縮弾性率が減少する)傾向にあり、剪断弾性率との関係で言えば、剪断弾性率が大きいほど引張応力に対する引張弾性率増加が弱くなる。言い換えれば、剪断弾性率を高めながら、引張弾性率を同時に高めることは難しいということがいえる。剪断弾性率を制御するためには、内外構造差を解消するとともにポリアクリロニトリル系共重合体と耐炎化工程の条件設定による耐炎化構造制御が重要となる。炭素繊維の剪断弾性率および引張弾性率を制御する炭素繊維束の具体的な製造方法については後述する。
本発明の炭素繊維束は、窒素含有率が好ましくは2〜4質量%である。2質量%未満である場合は、炭素化進行と同時に空隙成長が促進されているため、剪断弾性率が著しく低下する場合があり、4質量%を超えた場合は、引張弾性率を満足しない場合がある。剪断弾性率が20〜35GPaと高い領域では、かかる窒素含有率が2〜4質量%の範囲で高いほどよく、高い剪断弾性率を発現する。窒素含有率は元素分析試験により測定することができ、炭素化温度、炭素化時間により制御することが可能である。
本発明の炭素繊維束は、炭素繊維単繊維の繊維軸方向に垂直な断面の外周部の黒化厚みが好ましくは3.2μm以上であり、より好ましくは3.3μm以上である。炭素繊維単繊維の繊維軸方向に垂直な断面の外周部の黒化厚みは結晶部分の配向度が高く、引張弾性率が高い領域である。この黒化厚みを厚くできるほど、平均単繊維繊度を大きくした場合に内外構造差を抑制しやすく、引張弾性率・剪断弾性率ともに発現しやすい。
引張弾性率に関しては、炭素繊維単繊維の繊維軸方向に垂直な断面の外周部の黒化厚み部分の断面全体に対する面積比率(%)で定義される外層比率に比例して引張弾性率が発現する。外層比率を制御することにより、繊度の異なる炭素繊維束であっても引張弾性率を制御することが可能であり、本発明の炭素繊維束においては、外層比率が90面積%以上であることにより、内外構造差が大きく抑制できることから引張弾性率を効率的に発現できるほか、引張強度低減を防ぐことができるため、好ましい。また、外層比率は黒化厚みの厚さと、単繊維の直径とによって制御可能であり、外層比率が100面積%となる場合には内外構造差が存在しない。
剪断弾性率に関しては、あるところまでは黒化厚みに比例して剪断弾性率が増大する傾向にあり、3.2μmもあれば20GPa以上の十分高い剪断弾性率を満足し、直径d(μm)が8〜9μmの繊度の大きい炭素繊維であっても、引張弾性率を損なうことなく、高剪断弾性率を達成することが可能である。かかる炭素繊維単繊維の黒化厚みは、耐炎化反応の進行度を反応時間に対して制御することにより達成可能であり、また黒化厚みは炭素繊維束を樹脂中に包埋し、繊維軸方向と垂直な横断面を研磨し、該断面を光学顕微鏡により観察することにより、測定可能である(詳細は後述する)。
次に、本発明の炭素繊維束の製造方法について説明する。
本発明の炭素繊維束を製造する方法において、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を耐炎化、予備炭素化、炭素化して、炭素繊維束を得る。本発明において、耐炎化とは空気中の酸素雰囲気濃度±5質量%の酸素雰囲気濃度で200〜400℃で熱処理することをいい、その好ましい実施態様は後述するニトリル消費率と耐炎化処理時間に依存する。
まず、耐炎化処理の際にポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を、耐炎化処理時間が30分の時点でニトリル消費率が10〜20%となるように耐炎化処理を行った後に、ニトリル消費率を60〜80%となるところまで耐炎化処理する。本発明でニトリル消費率とは、後述するように耐炎化処理をした際、反応により消費されるポリアクリロニトリル系前駆体繊維中のニトリル基量の割合のことであり、耐炎化反応の進行率と考えることができる。ニトリル基の初期の消費を抑制しつつ、酸素拡散速度を高めることで、酸素を単繊維断面中心部まで通して耐炎化反応を起こすことが可能である。耐炎化温度領域は十分高温であるため、酸素拡散量は耐炎化時間によって制御することが可能であり、30分あれば断面内に内外構造差のない耐炎化繊維束がえられる。30分未満である場合には耐炎化処理中の酸素透過が不十分となりやすく、断面に内外構造差が観測されやすい。かかる時間、ニトリル消費を抑制しつつ、耐炎化反応を進行させる必要がある。そのため、耐炎化処理時間が30分時点でのニトリル消費率が10〜20%であれば、未反応のニトリル基が80〜90%と多く残存しているため、十分な酸素透過を保ちながらニトリル消費を促すことが可能である。ニトリル消費率が20%を超える場合にはニトリル基の消費挙動に対して酸素透過が間に合わず、耐炎化繊維断面に内外構造差が観測されやすくなる。ニトリル消費率が10%未満である場合には、この後の耐炎化構造変化に伴う繊維長手方向の収縮に耐え切れず、毛羽が発生しやすい。かかるニトリル消費率は、赤外スペクトル測定によるニトリル基由来のピーク強度の相対値により評価することが可能であり、詳細な測定方法については後述する。
そして、30分の時点でニトリル消費率が10〜20%となるように耐炎化処理を行った後、ニトリル消費率を60〜80%となるように耐炎化処理する。好ましくは65〜80%である。炭素化前の耐炎化繊維束のニトリル消費率をかかる範囲とすることにより、炭素化収率を高めることが可能となる。60%以上であれば、炭素化収率として55%以上が得られるが、80%を超えると、耐炎化が進行しすぎており、脆く剪断弾性率の低い炭素繊維となる。
本発明の炭素繊維束の製造する方法において、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を耐炎化処理する工程において、ニトリル消費率が20%から60%に至る間の耐炎化処理時間を6〜25分として、耐炎化処理を行うことが好ましい。耐炎化処理の誘導期間後の耐炎化処理時間をかかる範囲にすることによって、耐炎化反応中の分解反応量を抑止できるため、高剪断弾性率である炭素繊維を得やすい。かかる耐炎化処理時間は25分以内であれば、通常の耐炎化条件に対して剪断弾性率が高まりやすく、6分未満である場合は、耐炎化進行度を制御することが困難であり、内外構造差につながりやすい。ニトリル消費率は耐炎化繊維束の赤外スペクトル測定により測定される。耐炎化処理量、耐炎化処理時間については、後述する共重合成分の種類と量に応じて耐炎化処理温度を調整して制御することが可能である。
本発明において、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の製造に供する原料としてはポリアクリロニトリル系重合体を用いる。なお、本発明においてポリアクリロニトリル系重合体としては、重合体末端の重合開始剤や連鎖移動剤成分を除いたアクリロニトリル共重合体のうちの99.1〜99.99質量%はアクリロニトリルを重合してなることが好ましい。かかる割合は、より好ましくは99.5〜99.99質量%、さらに好ましくは99.9〜99.99質量%である。アクリロニトリル共重合体に占めるアクリロニトリルモノマーの割合が100質量%に近いほど内外構造差がなくなり物性を高めることができるが、99.99質量%を超えると、共重合成分による耐炎化促進効果を得られず、剪断弾性率が低下する。また、99.1質量%未満であると、満足できる内外構造差と剪断弾性率の両立ができない。
また、本発明の炭素繊維束を製造する方法において、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の製造に供するポリアクリロニトリル共重合体中の0.01質量%以上含まれる共重合成分において、その共重合成分を単独でポリマーとしたときのガラス転移温度(ポリマーTg)を50〜250℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜160℃とする。かかるポリマーTgをかかる範囲とすることにより、製糸性とポリアクリロニトリル系前駆体繊維束への酸素拡散性を損なわずに耐炎化処理を行うことが可能である。このため、250℃を超える場合には、ポリアクリロニトリルとの融点の差が大きくなるため、スチーム延伸時に毛羽を発生しやすくなり、引張強度が低下する。一方、かかるポリマーTgが50℃を下回る場合には、ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の結晶性が高くなるため、炭素化した際に剪断弾性率が低下する。
かかるポリマーTgは、DSC測定によるポリマーの比容量−温度曲線の変曲点として観測可能であり、商品のカタログに記載されている場合も多いのでその値を使っても良い。ポリマーTgを制御するためには、分子の主鎖および側鎖骨格を調整すれば良いが、(メタ)アクリレートにおいてアルキル鎖を含むものはTgが低くなる傾向がある。
ポリマーTgが50℃未満であり、共重合成分として適さないモノマーの例としてはメタクリル酸イソブチル(ポリマーTg:48℃)、アクリル酸nブチル(ポリマーTg:−54℃)、ジエチルアクリルアミド(ポリマーTg:45℃)アクリル酸エチル(ポリマーTg:−22℃)、メタクリル酸ラウリル(ポリマーTg:−65℃)、メタクリル酸イソデシル(ポリマーTg:−41℃)、アクリル酸イソブチル(ポリマーTg:−24℃)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(ポリマーTg:−15℃)、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル(ポリマーTg:−7℃)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(ポリマーTg:−62℃、)アクリル酸ラウリル(ポリマーTg:−3℃)、メタクリル酸nブチル(ポリマーTg:20℃)などが挙げられる。
一方で、ポリマーTgが50〜250℃であり、共重合成分として適するモノマーの例としては、イタコン酸(ポリマーTg:130℃)、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル(ポリマーTg:60℃)、メタクリル酸t−ブチル(ポリマーTg:107℃)、4−ビニルピリジン(ポリマーTg:142℃)、2−ビニルピリジン(ポリマーTg:112℃)、アクリロイルモルホリン(ポリマーTg:145℃)、メタクリル酸イソボルニル(ポリマーTg:180℃)、メタクリル酸(ポリマーTg:228℃)、アクリルアミド(ポリマーTg:165℃)などが挙げられるが、これにより本発明の共重合成分における規定を何ら限定するものではない。特に、ポリアクリロニトリル系重合体に含まれる共重合成分としては、耐炎化促進成分として不飽和カルボン酸を含むことが好ましく、不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などが好ましく挙げられる。
炭素繊維前駆体繊維束の製造において、ポリアクリロニトリル系重合体の製造方法としては、公知の重合方法の中から選択することができる。本発明の炭素繊維束を得るのに好適なポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の製造において、紡糸原液は、前記したポリアクリロニトリル系重合体を、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどのポリアクリロニトリルが可溶な溶媒に溶解したものである。
本発明の炭素繊維束を得るのに好適なポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の製造方法について述べる。
ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を製造するに当たり、製糸方法は乾湿式紡糸法および湿式紡糸法のいずれを用いてもよいが、得られる炭素繊維束の剪断弾性率に有利な乾湿式紡糸法を用いるのが好ましい。製糸工程は、乾湿式紡糸法により紡糸口金から紡糸原液を吐出させ紡糸する紡糸工程と、該紡糸工程で得られた繊維を水浴中で洗浄する水洗工程と、該水洗工程で得られた繊維を水浴中で延伸する水浴延伸工程と、該水浴延伸工程で得られた繊維を乾燥熱処理する乾燥熱処理工程からなり、必要に応じて、該乾燥熱処理工程で得られた繊維をスチーム延伸するスチーム延伸工程を含んでもよい。
ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の製造において、前記凝固浴には、紡糸原液の溶媒として用いたジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどの溶媒と、いわゆる凝固促進成分を含ませることが好ましい。凝固促進成分としては、前記ポリアクリロニトリル系重合体を溶解せず、かつ紡糸溶液に用いる溶媒と相溶性があるものを使用することができる。具体的には、凝固促進成分として水を使用することが好ましい。
ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の製造において、水洗工程における水浴温度は30〜98℃の複数段からなる水洗浴を用い水洗することが好ましい。
また、水浴延伸工程における延伸倍率は、2〜6倍であることが好ましく、より好ましくは2〜4倍である。
水浴延伸工程の後、単繊維同士の接着を防止する目的から、糸条にシリコーン等からなる油剤を付与することが好ましい。かかるシリコーン油剤は、変性されたシリコーンを用いることが好ましく、耐熱性の高いアミノ変性シリコーンを含有するものを用いることが好ましい。
乾燥熱処理工程は、公知の方法を利用することができる。例えば、乾燥温度は100〜200℃が例示される。
前記した水洗工程、水浴延伸工程、油剤付与工程、公知の方法で行われた乾燥熱処理工程の後、必要に応じ、スチーム延伸を行うことにより、本発明の炭素繊維束を得るのに好適なポリアクリロニトリル系前駆体繊維束が得られる。本発明において、スチーム延伸は、加圧スチーム中において、少なくとも2倍以上、より好ましくは4倍以上、さらに好ましくは5倍以上延伸するのがよい。
炭素繊維束の製造において、前記耐炎化に引き続いて、予備炭素化を行うことが好ましい。予備炭素化工程においては、得られた耐炎化繊維を、不活性雰囲気中、最高温度500〜1200℃において、比重が1.5〜1.8になるまで熱処理することが好ましい。
本発明では、炭素繊維束の製造において、得られた耐炎化繊維束を不活性雰囲気中、最高温度1200〜2000℃において炭素化する。炭素繊維束の製造において、炭素化工程の温度は、得られる炭素繊維の引張弾性率を高める観点からは、高い方が好ましいが、高すぎると高強度領域の強度が低下する場合があり、両者を勘案して設定するのが良い。より好ましい温度範囲は1200〜1800℃であり、さらに好ましい温度範囲は、1600〜1800℃である。
以上のようにして得られた炭素繊維束は、マトリックス樹脂との接着性を向上させるために、酸化処理が施され、酸素含有官能基が導入される。酸化処理方法としては、気相酸化、液相酸化および液相電解酸化が用いられるが、生産性が高く、均一処理ができるという観点から、液相電解酸化が好ましく用いられる。液相電解酸化の方法については特に指定はなく、公知の方法で行えばよい。
かかる電解処理の後、得られた炭素繊維束に集束性を付与するため、サイジング処理をすることもできる。サイジング剤には、複合材料に使用されるマトリックス樹脂の種類に応じて、マトリックス樹脂との相溶性の良いサイジング剤を適宜選択することができる。
本発明において用いられる各種物性値の測定方法は、次のとおりである。
<炭素繊維束の引張強度と引張弾性率、剪断弾性率>
炭素繊維束の引張強度と引張弾性率は、JIS−R−7608(2004)の樹脂含浸ストランド試験法に準拠し、次の手順に従い求める。樹脂処方としては、“セロキサイド(登録商標)”2021P(ダイセル化学工業社製)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(東京化成工業(株)製)/アセトン=100/3/4(質量部)を用い、硬化条件としては、常圧、温度125℃、時間30分を用いる。炭素繊維束の樹脂含浸ストランド10本を測定し、その平均値を引張強度とする。歪みは伸び計を用いて評価する。得られた応力σ(GPa)−歪みε(−) 曲線を応力0〜3GPaの範囲で式(1)にフィッティングするように係数を求め、そして、配向関数<cos ψ>を用いて剪断弾性率gと初期引張弾性率Eを算出する。引張弾性率Eは歪み範囲0.5〜0.8%の値を用いる。
Figure 0006304046
<炭素繊維束の配向関数>
測定に供する炭素繊維束を引き揃え、コロジオン・アルコール溶液を用いて固めることにより、長さ4cm、1辺の長さが1mmの四角柱の測定試料を用意する。用意された測定試料について、広角X線回折装置を用いて、次の条件により測定を行う。
・X線源:CuKα線(管電圧40kV、管電流30mA)
・検出器:ゴニオメーター+モノクロメーター+シンチレーションカウンター
・走査範囲:2θ=10〜40°
・走査モード:ステップスキャン、ステップ単位0.02°、計数時間2秒。
配向関数<cosψ>の測定については以下のとおり行った。得られた回折パターンにおける2θ=25〜26°付近に現れるピークを円周方向にスキャンして得られる回折強度分布をガウス分布でフィッティングし、フィッティング後の回折強度分布σ(ψ)から次式を用いて計算して求める。
Figure 0006304046
<比重測定>
1.0〜3.0gの繊維を採取し、120℃で2時間絶乾する。次に絶乾質量A(g)を測定した後、エタノールに含浸させ十分脱泡してから、溶媒浴中の繊維質量B(g)を測定し、繊維比重=(A×ρ)/(A−B)により繊維比重を求める。
<窒素含有率測定>
測定試料は細かくカットした炭素繊維(2mg)とした。CHN分析装置(DKSH社 vario EL cube)を用いて炭素繊維のCHN量を評価し窒素量を算出する。
<炭素繊維単繊維の繊維軸方向に垂直な断面の外周部の黒化厚みおよび外層比率>
測定を行う炭素繊維束を樹脂中に包埋し、繊維軸方向と垂直な横断面を研磨し、該断面を光学顕微鏡の100倍の対物レンズを用いて観察する。研磨面の断面顕微鏡画像から二重構造の黒化厚みを測定した。解析は画像解析ソフトウェアImage Jを用いて行う。まず、単繊維断面像において、黒と白の領域分割を二値化によって行う。単繊維断面内の輝度分布に対し、分布の平均値を閾値として設定し、二値化を行う。得られた二値化像を、繊維直径dの方向に対し、表層の一点から、黒から白への線入り領域までの最短距離として測定する。これを同一単繊維の周内5点に対して測定し、平均値をその水準における黒化厚みとして算出する。また、炭素繊維単繊維の繊維軸方向に垂直な断面全体に対する黒化厚み部分の面積比率(%)から外層比率を算出する。
<炭素繊維の平均単繊維径>
測定する多数本の炭素フィラメントからなる炭素繊維束について、単位長さ当たりの質量A(g/m)および密度B(g/cm)を求める。測定する炭素繊維束のフィラメント数をCとし、炭素繊維の平均単繊維径(μm)を、下記式で算出を行う。
炭素繊維の平均単繊維径(μm)
=((A/B/C)/π)(1/2)×2×10
<ニトリル消費率>
測定に供する耐炎化繊維は、凍結粉砕後に2mgを精秤して採取し、それをKBr300mgと良く混合して、成形用治具に入れてプレス機を用いて40MPaで2分間加圧することで測定用錠剤を作製する。この錠剤をフーリエ変換赤外分光光度計にセットし、1500〜2500cm−1の範囲でスペクトルを測定する。なお、バックグラウンド補正は、1700〜2000cm−1の範囲における最小値が0になるようにその最小値を各強度から差し引くことで行う。なお、上記フーリエ変換赤外分光光度計として、パーキンエルマー製Paragon1000を用いた。ポリアクリロニトリル系前駆体繊維は2240cm−1にニトリル基由来のピークが観察される。かかるピークの積分強度の減少率は耐炎化進行度の指標に適用できる。かかる減少率は、かかる2240cm−1に現れるスペクトルの積分強度を用いる。ポリアクリロニトリル系前駆体繊維を耐炎化処理していない状態を基準値として、耐炎化繊維から得られたスペクトルの2240cm−1ピークの積分強度との比をニトリル残存量と定義し、100%から差し引くことにより、ある耐炎化処理時間におけるニトリル消費率と定義する。耐炎化処理量の違う耐炎化繊維の、ニトリル消費率の差を耐炎化時間の差によって割った値を平均ニトリル消費速度として概算を行った。耐炎化が進むとピークの横にショルダーができるが含まないこととする。
(実施例1〜5、比較例1〜7)
表1に示す共重合組成(アクリロニトリルを99.7質量%、イタコン酸(ポリマーTg:130℃)を0.3質量%)からなるポリアクリロニトリル系共重合体を、ジメチルスルホキシドを溶媒として溶液重合法により重合させ、ポリアクリロニトリル系共重合体を製造した。さらに重合体濃度が20質量%になるように調製して、紡糸溶液を得た。得られた紡糸溶液を、紡糸口金から一旦空気中に吐出し、3℃にコントロールした35%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により凝固糸条とした。この凝固糸条を、常法により水洗した後、2槽の温水浴中で、3.5倍の延伸を行った。続いて、この水浴延伸後の繊維束に対して、アミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与し、160℃の加熱ローラーを用いて、乾燥緻密化処理を行い、単繊維本数12000本としてから、加圧スチーム中で3.7倍延伸することにより、製糸全延伸倍率を13倍とし、結晶配向度93%、単繊維本数12000本のポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を得た。ポリアクリロニトリル系前駆体繊維束の単繊維繊度が1.2dtexとなるように、紡糸溶液の口金からの吐出量を調整した。次に、表1に示す第1耐炎化炉(1耐)、第2耐炎化炉(2耐)の耐炎化温度・耐炎化時間の条件を用いて、空気雰囲気のオーブン中でポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を延伸比1で延伸しながらで耐炎化処理し、耐炎化繊維束を得た。
なお、ニトリル消費量が20%から60%に至る間の耐炎化処理時間は、30分耐炎化処理時点、および最終時点でのニトリル消費率を用いて計算を行った。すなわち、0分耐炎化処理時点(ニトリル消費量0%)〜30分耐炎化処理時点、30分耐炎化処理時点〜最終時点に対して、それぞれ耐炎化処理時間とニトリル消費量に関して直線近似を行い、ニトリル消費量が20%から60%に至る間の耐炎化処理時間を計算した。
得られた耐炎化繊維束を、温度300〜800℃の窒素雰囲気中において、予備炭素化処理を行い、予備炭素化繊維束を得た。得られた予備炭素化繊維束を、窒素雰囲気中において、最高温度1600℃で炭素化処理を行った。得た炭素繊維束に、表面処理およびサイジング剤塗布処理を行って最終的な炭素繊維束とした。表2に得られた炭素繊維束の窒素含有率、炭素繊維単繊維の繊維軸方向に垂直な断面の外周部の黒化厚みおよび外層比率、引張弾性率E、剪断弾性率G、式(1)の右辺である465−25d/μmについて示す。
比較例1では、第1耐炎化炉での耐炎化温度を255℃と高くしたため、耐炎化処理時間30分の時点でのニトリル消費量が34%となった結果、黒化厚みが小さくなり、炭素繊維の内外構造差が大きくなり、剪断弾性率が低下した。
比較例2では、第1耐炎化炉での耐炎化温度を255℃と高くし、さらにイタコン酸量を1.0質量%と多くしたため、耐炎化処理時間30分の時点でのニトリル消費量が50%となった結果、黒化厚みおよび外層比率が小さくなり、炭素繊維の内外構造差が大きくなり、引張弾性率および剪断弾性率が低下した。
比較例3、4では、第1耐炎化炉での耐炎化温度を215℃と低くしたため、耐炎化処理時間30分の時点でのニトリル消費量が20%であったが、イタコン酸量を1.0質量%と多くしたため、剪断弾性率が低下した。
比較例5では、比較例3と同じ条件でイタコン酸をメタクリル酸(ポリマーTg:228℃)に変更したが、イタコン酸量を1.0質量%と多くしたため、剪断弾性率が低下した。
比較例6では、実施例1と同じ条件で第2耐炎化炉での耐炎化処理時間を5分と短くし、耐炎化処理終了時点でのニトリル消費量を36%まで減らしたところ、引張弾性率および剪断弾性率が低下した。
比較例7では、比較例3と同じ条件で第2耐炎化炉での耐炎化処理温度を215℃と低くした代わりに耐炎化処理時間を420分と長くして、耐炎化処理終了時点でのニトリル消費量を62%としたがイタコン酸量を1.0質量%と多くしたため、剪断弾性率が低下した。
Figure 0006304046
Figure 0006304046
本発明における炭素繊維束は航空機部材、宇宙機部材、自動車部材および船舶部材をはじめとして、ゴルフシャフトや釣竿等のスポーツ用途およびその他一般産業用途に好適に用いられる炭素繊維に関する。より詳しくは、本発明は内外構造差が抑制されているため、平均単繊維繊度が大きい炭素繊維であっても高い引張弾性率と剪断弾性率を有し、かつ外観品位の高い炭素繊維に関する。

Claims (5)

  1. 複数本の単繊維から構成されている炭素繊維束において、単繊維の平均単繊維径をd(μm)とし、炭素繊維束の樹脂含浸ストランド引張弾性率をE(GPa)としたとき、
    E/GPa≧465−25d/μm ・・・(1)
    を満足し、d=6.8〜9.0μmで、剪断弾性率が20〜35GPaである炭素繊維束。
  2. 窒素含有率が2〜4質量%である請求項1に記載の炭素繊維束。
  3. 炭素繊維単繊維の繊維軸方向に垂直な断面の外周部の黒化厚みが3.2μm以上である請求項1または2に記載の炭素繊維束。
  4. ポリアクリロニトリルを99.1〜99.99質量%、共重合成分を0.01質量%以上含むポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を耐炎化処理して、次いで炭素化処理する炭素繊維束の製造方法であって、共重合成分はそのホモポリマーのTgが50〜250℃であり、耐炎化処理においては、耐炎化処理時間が30分の時点でのニトリル消費率が10〜20%、耐炎化処理終了時点でのニトリル消費率が60〜80%、炭素化処理温度が1200〜2000℃である炭素繊維束の製造方法。
  5. ニトリル消費率が20%から60%に至る間の耐炎化処理時間を6〜25分とする請求項4に記載の炭素繊維束の製造方法。
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