JP2010242249A - 高強度炭素繊維用耐炎化繊維及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いコンポジット性能が求められる複合材料に適した、高強度炭素繊維を製造するのに適した耐炎化繊維を提供すること。
【解決手段】ポリアクリル系前駆体繊維を酸化性雰囲気中で耐炎化処理して得られる耐炎化繊維であって、比重が1.34〜1.37で、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定される環化度(I1620/I2240)が190〜230%で、広角X線回折測定から得られる回折角度(2θ)が17度付近のピーク強度の半値幅と、AI値(芳香族化係数)の比(AI値/半値幅)が7.0以下である高強度炭素繊維用耐炎化繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、高強度炭素繊維を製造するのに適した耐炎化繊維と、その製造方法に関する。
炭素繊維の製造方法としては、原料繊維にポリアクリロニトリル(PAN)等の前駆体繊維(プリカーサー)を使用し、耐炎化処理及び炭素化処理を経て炭素繊維を得る方法が広く知られている。このようにして得られた炭素繊維は、高い比強度、比弾性率など良好な特性を有している。そして、炭素繊維とマトリックス樹脂とからなる複合材料の工業的な用途は、近年、多目的に広がりつつある。特にスポーツ・レジャー分野、航空宇宙分野、自動車分野においては、より高性能化(高強度化、高弾性化)、より軽量化(繊維軽量化及び繊維含有量低減)、マトリックス樹脂と複合化した際のより高いコンポジット物性の発現に向けた要求が強まっている。
これらの複合材料は、例えば、強化繊維にマトリックス樹脂が含浸された中間製品であるプリプレグから、加熱・加圧といった成形・加工工程を経て成形される。従って、所望の複合材料を得るためには、それぞれに最適の材料あるいは成形・加工手段を採用する必要がある。そして、用途によっては、強化繊維である炭素繊維も、更に高い強度等が要求される場合がある。例えば、航空機用の複合材料において軽量化を目的とした場合には、炭素繊維の強度を維持したまま弾性を上げることが必要になるが、炭素繊維は一般的に、弾性率が上がるに従って脆性が増し、伸度が低下するので、高いコンポジット性能を有する複合材料を得ることが困難である。
航空機分野では、従来は、強度と弾性率が中程度の炭素繊維、例えば、強度が5680MPa、弾性率が294GPa程度のものがよく用いられていたが、最近では、機体の軽量化を主目的に、より高性能の複合材料が要求されるようになり、それに応えるために、高強度と高弾性を両立させた炭素繊維の開発が試みられてきた。しかし、弾性率と伸度はトレードオフの関係にあるので、弾性率を増加させるのに伴い炭素繊維の伸度が低下し、脆性も増加する。従って、高弾性かつ高強度でしかも脆性等の物性の低下の少ない高性能の炭素繊維を製造することは、非常に困難であった。特にこの傾向は、弾性率が294GPaを超えると顕著になり、安定した物性を確保することも含め、開発は非常に困難であった。
炭素繊維とマトリックス樹脂との複合化において、高性能化を追求するためには、前記のごとく炭素繊維そのもの自体の強度や弾性率等をも向上させることが必要不可欠である。
そして、炭素繊維の強度や弾性率の向上等については、従来から色々と検討がなされているが、特にポリアクリル系前駆体繊維から炭素繊維を製造するための、耐炎化工程及び/又は炭素化(黒鉛化を含む)工程の改善・改良の検討が、比較的最近でも精力的に行われている(例えば、特許文献1〜5参照)。しかしながら、現在の特に高いコンポジット性能が求められる複合材料に適した、高強度の炭素繊維の工業的に有利な製法は、未だ必ずしも確立はしていない。
一般的に、ポリアクリル系前駆体繊維を用いて炭素繊維を製造する方法としては、前駆体繊維を200〜280℃の酸化性雰囲気下で延伸又は収縮を行いながら酸化処理(耐炎化処理)を行った後、300℃以上の不活性ガス雰囲気中で炭素化して製造する方法が知られている。とりわけ耐炎化処理工程における繊維の処理方法は、炭素繊維の強度発現に大きく影響を及ぼし、古くから多くの検討が行われてきた。
例えば、耐炎化伸長率を−10〜+10%(延伸倍率0.9〜1.1)の範囲とし、繊維密度が1.30〜1.42g/cm3である耐炎化処理糸を炭素化することにより高強度炭素繊維が得られること(特許文献6参照)、繊維密度が1.22g/cm3に達するまで3%以上の伸長率(1.03以上の延伸倍率)を与え、以後の収縮を実質的に抑制して耐炎化処理を行い、続いて炭素化することにより高強度の炭素繊維が得られること(特許文献7参照)、あるいはまた、繊維密度が1.22g/cm3に達するまで3%以上の伸長率(1.03以上の延伸倍率)で耐炎化処理を行った後、更に1%以上の伸長率(1.01以上の延伸倍率)で延伸処理を行うことによりストランド強度460kgf/mm2以上の炭素繊維が得られること(特許文献8参照)等が古くから報告されている。
特開平5−214614号公報 特開平10−25627号公報 特開2001−131833号公報 特開2003−138434号公報 特開2003−138435号公報 特公昭63−28132号公報 特公平3−23649号公報 特公平3−23650号公報
本発明の課題は、高いコンポジット性能が求められる複合材料に適した、高強度炭素繊維を製造するのに適した耐炎化繊維を提供することにある。
本発明者らは、特に高いコンポジット性能が求められる複合材料に適した、高強度の炭素繊維を製造するために、前記のごとく従来から知られているポリアクリル系前駆体繊維を用いて炭素繊維を製造する方法において、耐炎化繊維の内部欠陥に着目し、内部欠陥を生じることの少ない耐炎化工程を確立することによって本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、ポリアクリル系前駆体繊維を酸化性雰囲気中で耐炎化処理して得られる耐炎化繊維であって、比重が1.34〜1.37で、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定される環化度(I1620/I2240)が190〜230%で、広角X線回折測定から得られる回折角度(2θ)が17度付近のピーク強度の半値幅と、AI値(芳香族化係数)の比(AI値/半値幅)が7.0以下であることを特徴とする高強度炭素繊維用耐炎化繊維である。
本発明において、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定される耐炎化繊維の環化度(I1620/I2240)とは、耐炎化反応の指標として用いられる値であり、耐炎化が進むにつれI2240に現れるニトリル基が開環し、I1620に現れるナフチリジン環へと反応して行く反応度合いを示したものである。環化度(I1620/I2240)は、I1620付近に頂点を持つピークの強度を、I2240付近に頂点を持つピークの強度で除した値をパーセントで表したものである。
本発明において、AI値とは、広角X線回折にて得られる17度付近と26度付近のピークを分離し、各ピークの面積を用いて、以下の式で計算される値であり、17度のピークはアクリル構造の残存割合、26度のピークは環化構造の形成割合を意味する。
AI値=(X/(X+Y))×100、ここでXは26度付近のピーク面積、Yは17度付近のピーク面積を表している。
本発明における(AI値/半値幅)は、耐炎化時のアクリル由来構造の残存度を表し、(AI値/半値幅)が7.0以上では繊維中の耐炎化反応が不十分であることを意味し、炭素化時に耐炎化不十分部分が欠陥となり、結晶の成長が十分に行われず、最終的な炭素繊維の強度が低下する。
本発明の他の態様は、前記耐炎化繊維の製造方法であって、ポリアクリル系前駆体繊維を酸化性雰囲気中で耐炎化処理して耐炎化繊維を製造するに際し、該耐炎化繊維の比重が1.2に至るまでに、前記前駆体繊維の断面積(P)と該耐炎化繊維の断面積(F)の比が0.90<P/F≦0.94になるように耐炎化処理することを特徴とする耐炎化繊維の製造方法である。
そして、本発明のもう一つの態様は、前記耐炎化繊維を公知の方法で炭素化して得られる高強度炭素繊維である。
炭素繊維の表面欠陥は後処理によりある程度の修復が可能であるが、内部欠陥は前工程から炭素化まで引き継がれるため、前工程からの改善が必要になってくる。そして、特に耐炎化時に炭素繊維としての基本構造が出来上がるため、この部分で発生する内部欠点の改善を行う必要がある。本発明では、かかる問題点の解決のため、耐炎化工程で繊維内部までの焼成斑が低減されるので、構造斑の少ない耐炎化繊維が得られる。そして、これを中間原料として、従来公知の方法で炭素化処理を行うと、高強度の炭素繊維が得られる。
条件を適切に設定すれば、引張り強度が5880MPa以上で、弾性率が308GPa以上の、高強度を維持しつつ弾性率を向上させた炭素繊維が得られる。そして、かかる炭素繊維とマトリックス樹脂とから得られた複合材料は、優れたコンポジット特性を有するので、従来のものよりもより高性能な複合材料を得ることができ、これらは、航空宇宙分野や自動車分野等において、軽量で且つ構造材に適した複合材料として利用できる。
本発明の耐炎化繊維は、ポリアクリル系前駆体繊維を酸化性雰囲気中で耐炎化処理して得られるものであって、比重が1.34〜1.37で、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定される環化度(I1620/I2240)が190〜230%で、広角X線回折測定から得られる回折角度(2θ)が17度付近のピーク強度の半値幅と、AI値(芳香族化係数)の比(AI値/半値幅)が7.0以下のものである。AI値が35%以下、半値幅が4以上で、かつ、半値幅とAI値の比(AI値/半値幅)が7.0以下のものが好ましい。
本発明において、耐炎化繊維の製造のために用いられるポリアクリル系前駆体繊維としては、従来公知のポリアクリル系繊維が何ら制限なく使用できる。その中でも広角X線回折(回折角17度)による配向度が90.5%以下のポリアクリル系繊維が好ましい。具体的にはアクリロニトリルを90重量%以上、好ましくは95重量%以上含有する単量体を単独又は共重合した紡糸溶液を紡糸して、炭素繊維原料(前駆体繊維)とする。紡糸方法としては、湿式又は乾湿式紡糸方法いずれの方法も用いることができるが、樹脂とのアンカー効果による接着性を考慮すると、表面にひだを有する湿式紡糸方法がより好ましい。また、凝固した後は、水洗・乾燥・延伸して炭素繊維原料とすることが好ましい。共重合する単量体としては、アクリル酸メチル、イタコン酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸等が好ましい。
このようにして得られるポリアクリル系前駆体繊維を、酸化性雰囲気中で耐炎化処理して、
本発明の耐炎化繊維を製造するには、該耐炎化処理において耐炎化初期の繊維の比重が1.2に至るまでに、前記前駆体繊維の断面積(P)と該耐炎化繊維の断面積(F)の比が0.90<P/F≦0.94になるように処理する必要がある。断面積比が0.90<P/F≦0.94の範囲にあるように処理すると、酸素の透過が十分に行われるので内部構造が均一なものが得られる。比重が1.2のときの耐炎化繊維の面積は、60μm以下が好ましい。このように処理した耐炎化初期繊維を、引き続き酸化性雰囲気中で耐炎化処理を行い、耐炎化繊維が得られる。
かかる条件下で耐炎化すると、本発明の、比重が1.34〜1.37で、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定される環化度(I1620/I2240)が190〜230%で、広角X線回折測定から得られる回折角度(2θ)が17度付近のピーク強度の半値幅と、AI値(芳香族化係数)の比(AI値/半値幅)が7.0以下の耐炎化繊維が得られる。
本発明において、耐炎化処理のためのその他の条件は通常の範囲でよく、例えば、加熱空気等の酸化性雰囲気中200〜280℃、好ましくは、240〜250℃の温度範囲内で行われる。この際、前駆体繊維は、一般的に延伸倍率0.85〜1.3倍の範囲で延伸又は収縮処理されるが、高強度・高弾性の炭素繊維を得るためには、0.95倍以上とするのがより好ましい。この耐炎化処理は、繊維密度1.3〜1.5g/cmの耐炎化繊維とするものであり、耐炎化時の糸にかかる張力は特に限定されるものではない。
ポリアクリル系前駆体繊維の耐炎化処理は、通常、雰囲気ガス循環式の加熱炉で、前駆体繊維を、供給ローラーと引き取りローラー間に複数回、所定の荷重をかけて延伸又は収縮させながら通過させることによって行われる。そして、通常、ポリアクリル系前駆体繊維は前駆体繊維束(ストランド)状態で処理されるので、ストランドはできるだけ収束された状態にあるのが、工程の安定性のために好ましい。特に、フィラメント数が20,000本以上の太いストランドの場合には、適当な油剤を付与してストランドの収束性を維持することが好ましいが、特に制限されるものではない。
前記のような本発明の方法が、生産コストや品質的に特に有利に適用されるのは、フィラメント数が20,000本以上で、広角X線回折で測定される配向度が90%以下であり、且つ、単位重量当たり20〜50重量%の水分を含むポリアクリル系炭素繊維前駆体繊維束の場合である。前記条件で耐炎化処理して得られる耐炎化繊維は、工程の通過性が良いため生産性が高くなると共に、延伸により構造的に配向度が向上するため、この耐炎化繊維を炭素化して得られる炭素繊維の強度は高くなるという特徴がある。
本発明においては、前記耐炎化繊維を通常の方法で炭素化処理(必要に応じて、いわゆる
黒鉛化処理することも含む)することによって、本発明の他の態様である高強度炭素繊維
を得ることができる。
耐炎化繊維を炭素化して炭素繊維を得る場合、通常、以下に説明するような炭素化処理が行われるが、本発明における炭素化処理もかかる処理を意味するものである。
[第一炭素化処理]
耐炎化繊維を、不活性雰囲気中で、第一炭素化工程において、300〜900℃、好ましくは、300〜550℃の温度範囲内で、1.03〜1.07の延伸倍率で一次延伸処理し、次いで0.9〜1.01の延伸倍率で二次延伸処理して、繊維密度1.4〜1.7g/cmの第一炭素化処理繊維を得る。第一炭素化工程において、一次延伸処理では、耐炎化繊維の弾性率が極小値まで低下した時点から9.8GPaに増加するまでの範囲、同繊維の密度が1.5g/cmに達するまでの範囲で、1.03〜1.06の延伸倍率で延伸処理を行うのが好ましい。二次延伸処理においては、一次延伸処理後の繊維の密度が二次延伸処理中に上昇し続ける範囲で、0.9〜1.01倍の延伸倍率で延伸処理を行うのが好ましい。かかる条件を採用すると、結晶が成長することなく、緻密化され、ボイドの生成も抑制でき、最終的に高い緻密性を有した高強度炭素繊維を得ることができる。上記第一炭素化工程は、一つの炉若しくは二つ以上の炉で、連続的若しくは別々に処理することができる。
[第二炭素化処理]
上記第一炭素化処理繊維を、不活性雰囲気中で、第二炭素化工程において800〜2100℃、好ましくは、1000〜1450℃の温度範囲内で、同工程を一次処理と二次処理とに分けて延伸処理して、第二炭素化処理繊維を得る。一次処理では、第一炭素化処理繊維の密度が一次処理中上昇し続ける範囲、同繊維の窒素含有量が10質量%以上の範囲で、同繊維を延伸処理するのが好ましい。二次処理においては、一次処理繊維の密度が変化しない又は低下する範囲で、同繊維を延伸処理するのが好ましい。第二炭素化処理繊維の伸度は2.0%以上、より好ましくは2.2%以上である。また、第二炭素化処理繊維の直径は、5〜6.5μmであるのが好ましい。また、これら焼成工程は、単一設備で連続して処理することも、数個の設備で連続して処理することも可能であり、特に限定されるものではない。
[第三炭素化処理]
第三炭素化処理においては、上記第二炭素化処理繊維を1500〜2100℃、好ましくは、1550〜1900℃で更に炭素化又は黒鉛化処理する。
[表面処理]
上記第三炭素化処理繊維は、引き続いて表面処理を施こされる。表面処理には気相、液相処理も用いることができるが、工程管理の簡便さと生産性を高める点から、電解処理による表面処理が好ましい。また電解処理に使用される電解液は従来の公知のものを使用することができ、硝酸、硝酸アンモニウム、硫酸、硫酸アンモニウム、水酸化ナトリウム等を用いることができ、無機酸、有機酸及びアルカリ問わず、特に限定されるものではない。
[サイジング処理]
上記表面処理繊維は、引き続いてサイジング処理を施こされる。サイジング方法は、従来の公知の方法で行うことができ、サイジング剤は、用途に即して適宜組成を変更して使用し、均一付着させた後に、乾燥することが好ましい。
上記のごとき方法で炭素繊維を製造すると、引張り強度が5880MPa以上で、弾性率が308GPa以上の本発明の炭素繊維が得られる。
本発明を以下の実施例及び比較例により具体的に説明する。実施例及び比較例において得られた耐炎化繊維及び炭素繊維の諸物性値は、以下の方法により測定した。
環化度(I1620/I2240)は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製Magna−IR・550を使用し、KBr法にて測定を行い、I2240に現れるニトリル基のピーク強度とI1620に現れるナフチリジン環のピーク強度の比から次式を用いて求めた。
環化度(I1620/I2240)=(I1620付近に頂点を持つピークの強度)÷(I2240付近に頂点を持つピークの強度)×100
炭素繊維及び耐炎化繊維の比重は、液置換法(JIS・R・7601)により、アセトン中にて脱気処理し測定した。
広角X線回折測定から得られる回折角度(2θ)が17度付近のピーク強度の半値幅と、AI値(芳香族化係数)はリガク株式会社製RINT2000を使用し、耐炎化繊維の10〜40°の回折強度を測定した後、Material Data, Inc.製ソフトウェアJADE6を用いて17度と26度のピーク分離を行い、各ピークの面積値、半価幅を得た。AI値は次式により求めた。
AI値=(X/(X+Y))×100
Xは26度付近のピーク面積
Yは17度付近のピーク面積
炭素繊維の樹脂含浸ストランド強度と弾性率は、JIS R 7601に規定された方法により測定した。
[実施例1〜2、比較例1〜5]
アクリロニトリル95重量%/アクリル酸メチル4重量%/イタコン酸1重量%よりなる共重合体紡糸原液を、常法により湿式紡糸し、水洗・オイリング・乾燥後、トータル延伸倍率が14倍になるようにスチーム延伸を行い、1733texの繊度を有するフィラメント数24,000の前駆体繊維を得た。かくして得られた前駆体繊維を後述する製造工程で処理し、本発明の耐炎化繊維を得た。
工程(1):前記前駆体繊維を、温度が230〜245℃の範囲で、延伸中の荷重を変化させて、繊維の断面積が表1の値になるような条件の下で耐炎化を行った。前駆体繊維の断面積(P)と、耐炎化繊維の比重が1.2の時の断面積(F)の比(P/F)等の各種の測定値は表1に示したとおりであった。
前記で得られた各種の耐炎化繊維を、窒素雰囲気中、炉内温度分布300〜580℃、延伸倍率1.01倍で第一炭素化を行った後、1000〜1450℃の温度範囲内で第二炭素化を行った。更に得られた第二炭素化繊維を、1400〜1850℃の温度範囲内で第三炭素化を行い、表面処理、サイジング処理を経た後、表1に示した物性値を有する炭素繊維を得た。
表1より、本発明において規定された製造条件の範囲内で得られた炭素繊維である実施例1と2のものは、条件の全ては満足していない比較例1〜5のものに比較して、より優れた強度を有していることが分かる。
Figure 2010242249

Claims (3)

  1. ポリアクリル系前駆体繊維を酸化性雰囲気中で耐炎化処理して得られる耐炎化繊維であって、比重が1.34〜1.37で、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定される環化度(I1620/I2240)が190〜230%で、広角X線回折測定から得られる回折角度(2θ)が17度付近のピーク強度の半値幅と、AI値(芳香族化係数)の比(AI値/半値幅)が7.0以下であることを特徴とする高強度炭素繊維用耐炎化繊維。
  2. ポリアクリル系前駆体繊維を酸化性雰囲気中で耐炎化処理して耐炎化繊維を製造するに際し、該耐炎化繊維の比重が1.2に至るまでに、前記前駆体繊維の断面積(P)と該耐炎化繊維の断面積(F)の比が0.90<P/F≦0.94になるように耐炎化処理することを特徴とする耐炎化繊維の製造方法。
  3. ポリアクリル系前駆体繊維を酸化性雰囲気中で耐炎化処理して得られる耐炎化繊維であって、比重が1.34〜1.37で、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)で測定される環化度(I1620/I2240)が190〜230%で、広角X線回折測定から得られる回折角度(2θ)が17度付近のピーク強度の半値幅と、AI値(芳香族化係数)の比(AI値/半値幅)が7.0以下である耐炎化繊維を炭素化して得られる高強度炭素繊維。

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