JPH1181039A - 炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維およびその製造方法 - Google Patents

炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維およびその製造方法

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JPH1181039A
JPH1181039A JP24293597A JP24293597A JPH1181039A JP H1181039 A JPH1181039 A JP H1181039A JP 24293597 A JP24293597 A JP 24293597A JP 24293597 A JP24293597 A JP 24293597A JP H1181039 A JPH1181039 A JP H1181039A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、より短時間の焼成で高品質の炭素
繊維を安価に製造することが可能な、高強度・高弾性率
で緻密性および配向度の高い炭素繊維用アクリロニトリ
ル系前駆体繊維を提供することを目的とする。 【解決手段】 モノマーとしてアクリロニトリル96.
0〜98.5重量%を含むアクリロニトリル系共重合体
を用いて湿式紡糸法により製造された炭素繊維用アクリ
ロニトリル系前駆体繊維であって、引っ張り強度8.0
g/d以上、引っ張り弾性率150g/d以上、ヨウ素
吸着量が繊維重量当たり0.5重量%以下、かつ広角X
線回析による結晶配向度πが90%以上であることを特
徴とする炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維繊維製造
用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維およびその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアクリロニトリル系繊維を前駆体と
する炭素繊維および黒鉛繊維(本出願では、一括して
「炭素繊維」という。)はその優れた力学的性質によ
り、航空宇宙用途を始め、スポーツ・レジャー用途等の
高性能複合材料の補強繊維素材として商業的に生産・販
売されている。また近年では自動車・船舶用途、建材用
途など一般産業分野ヘの用途要求が増加している。そし
て市場においてはこれらの複合材料の高性能化のために
高品質でかつ安価な炭素繊維が要求されている。
【0003】炭素繊維の前駆体としてのアクリロニトリ
ル系繊維は、衣料用アクリル繊維とは異なりあくまでも
最終製品である炭素繊維を製造するための中間製品であ
る。従って、品質、性能の優れた炭素繊維を与えるよう
なものが求められると同時に、前駆体繊維紡糸時の安定
性に優れ、かつ炭素繊維となす焼成工程において生産性
が高く、低コストで提供し得るものであることが極めて
重要である。
【0004】このような観点から、炭素繊維の高強度、
高弾性化を目的としたアクリル繊維について数多くの提
案がなされてきた。その中で、原料重合体の高重合度
化、アクリロニトリル以外の共重合成分含有量を低下さ
せる等の提案がある。また、紡糸方式に関しては、乾−
湿式紡糸法の採用が一般的である。
【0005】しかしながらアクリロニトリル以外の共重
合成分含有量を低下させた場合、一般的に原料共重合体
の溶剤への溶解性が低下し、紡糸原液の安定性が損なわ
れると共に、原液粘度が急激に増大するために、これに
対応して紡糸原液の共重合体濃度を低下する必要があ
る。その結果、共重合体の析出凝固性が著しく高くな
り、得られる繊維を失透させたり、内部に多数のボイド
を発生させやすくなるため、安定した製造方法とは言え
ないものであった。
【0006】乾−湿式紡糸方式はノズルから押し出され
た重合体溶液を一旦空気中に吐出した後、連続的に凝固
浴に導き、繊維形成を行うことから、緻密な凝固糸が得
やすい反面、ノズル孔ピッチを小さくすると隣接する繊
維が接着する問題が生じ、多ホール化に限界がある。
【0007】一般にアクリロニトリル系前駆体繊維の低
コストな製造には、ノズル孔の高密度化が有利で、製造
設備への投資が比較的少なくて済むなどの点により、紡
糸方式として湿式紡糸法が採用されている。しかし、得
られる繊維束は一般に単繊維切れや毛羽が多く、得られ
る前駆体繊維の引っ張り強度・弾性率が低く、前駆体繊
維構造の緻密性や配向度が低い。従ってこれを焼成して
得られる炭素繊維の力学的性能は概して不十分である。
【0008】高品質の炭素繊維を得るための前駆体繊維
の条件としては、炭素繊維に変換された後に、破断の原
因となる微少な欠陥がないことが非常に重要であり、こ
のような欠陥を減少するためには、前駆体繊維の引っ張
り強度・弾性率が高く、繊維構造の緻密性が高いこと、
および共重合体が繊維軸方向に高度に配向していること
などが要求される。
【0009】例えば、特開昭58−214518号公報
では湿式紡糸法を用いながら繊維構造の緻密性に言及し
た報告がなされており、緻密性を表す尺度として、ヨウ
素吸着量と、ヨウ素の吸着するスキン層の厚さを規定し
ている。しかし、ここで得られた前駆体繊維は、ヨウ素
吸着量が約l〜3重量%と表層の緻密性が低く、また得
られた前駆体繊維の引っ張り強度・弾性率も低いため、
高品質の炭素繊維を得ることは非常に難しかった。
【0010】一方、特開昭63−35821号公報には
乾−湿式紡糸法によって表面構造が高度に緻密化された
前駆体繊維が開示されている。また、特開昭60−21
905号および特開昭62−117814号公報にはや
はり乾−湿式紡糸法によって、引っ張り強度・弾性率が
高く、共重合体が繊維軸方向に高度に配向した前駆体繊
維が開示されている。これらの前駆体繊維を用いること
により、得られる炭素繊維の品質向上が図られている
が、乾−湿式紡糸法を用いていることから、生産性が低
い。また、湿式紡糸により得られる繊維に比べ、乾−湿
式紡糸により得られる繊維は表面形態が平滑であるため
収束性がよい反面、焼成過程での繊維間融着や、シート
状プリプレグ成型時の開繊性不良を生じやすい等の欠点
を抱えている。さらに、これらの発明における重合体の
アクリロニトリル含有量は実質99.0重量%以上であ
り、紡糸原液の安定性や共重合体の析出凝固性の面か
ら、前駆体繊維の安定した製造方法としては不十分なも
のであった。
【0011】また、特開平7−70812号公報には湿
式紡糸法を用いながら、緻密化された表面構造をもつ前
駆体繊維が開示されている。特定の共重合体の組成や特
定の物性の凝固繊維を用い、同時に加圧水蒸気延伸を用
いることにより、前駆体繊維の緻密化を図ったものであ
る。しかしながら、凝固以降の延伸条件の適正範囲につ
いては全く考慮されていないため、緻密性と配向性の高
い前駆体繊維を得るには不十分であった。また、得られ
た前駆体繊維の強度・弾性率、結晶配向度について記載
がなく、品質の優れた炭素繊維を得るために必要な前駆
体繊維の物性および性状については依然として知られて
いなかった。さらに、紡糸速度100m/分以上のよう
な高速で紡糸を行うと、安定した紡糸が困難なものであ
った。
【0012】このように、従来の技術はいずれも高品質
かつ安価な炭素繊維を得るための前駆体繊維およびその
製造方法として不十分であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点に鑑みてなされたものであり、より短時間
の焼成で高品質の炭素繊維を安価に製造することが可能
な、高強度・高弾性率で緻密性および配向度の高い炭素
繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維、およびその炭素
繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の湿式紡糸方法に
よる長時間糸切れすることがなく毛羽の発生が少ない高
速で安定な製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、モノマーとし
てアクリロニトリル96.0〜98.5重量%を含むア
クリロニトリル系共重合体を用いて湿式紡糸法により製
造された炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維であ
って、引っ張り強度8.0g/d以上、引っ張り弾性率
150g/d以上、ヨウ素吸着量が繊維重量当たり0.
5重量%以下、かつ広角X線回析による結晶配向度πが
90%以上であることを特徴とする炭素繊維用アクリロ
ニトリル系前駆体繊維に関する。
【0015】前記アクリロニトリル系共重合体を構成す
るモノマーは、アクリロニトリル96.0〜98.5重
量%、アクリルアミドl.0〜3.5重量%、およびメ
タクリル酸0.5〜1.0重量%からなることが好まし
い。
【0016】また本発明は、アクリロニトリル系共重合
体を湿式紡糸して、凝固繊維とした後、浴中延伸、また
は空中延伸と浴中延伸による一次延伸と、加圧水蒸気延
伸による二次延伸とを、全延伸倍率が13.0以上で、
全延伸倍率に対する加圧水蒸気延伸の割合が0.2より
大きくなるように行うことを特徴とする炭素繊維用アク
リロニトリル系前駆体繊維の製造方法に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の炭素繊維用アクリロニト
リル系前駆体繊維(以下、前駆体繊維という。)の製造
に用いるアクリロニトリル系共重合体(以下、単に共重
合体ともいう。)は、モノマーとしてアクリロニトリル
を96.0〜98.5重量%含有する。共重合体中のア
クリロニトリルが96重量%未満の場合は、炭素繊維に
転換する際の焼成工程(耐炎化工程および炭素化工程)
で繊維の熱融着を招き、炭素繊維の品質および性能を損
ない易い。また、共重合体自体の耐熱性が低くなり、前
駆体繊維を紡糸する際、繊維の乾燥あるいは加熱ローラ
ーや加圧水蒸気による延伸のような工程において、単繊
維間の接着が生じ易くなる。一方、共重合体中のアクリ
ロニトリルの含有量が98.5重量%を越える場合に
は、溶剤への溶解性が低下し、紡糸原液の安定性が損な
われると共に共重合体の析出凝固性が著しく高くなり、
前駆体繊維の安定した製造が困難となりやすい。
【0018】さらに本発明では、共重合体中にモノマー
としてアクリルアミドl.0〜3.5重量%を含むこと
が好ましい。共重合体中のアクリルアミドの含有量を
l.0重量%以上とすることにより、前駆体繊維の構造
が十分緻密になり、優れた性能の炭素繊維が得られる。
また、耐炎化工程での耐炎化反応性は、共重合体組成の
微妙な変動の影響を大きく受けるが、アクリルアミドの
含有量がl.0重量%以上であれば、安定した炭素繊維
の生産ができる。また、アクリルアミドはアクリロニト
リルとランダム共重合性が高く、しかも熱処理によりア
クリロニトリルと極めて似通った形で環構造が形成され
ると考えられ、特に酸化性雰囲気中での熱分解は非常に
少ないので、後述するメタクリル酸と比較すると多量に
含有させることができる。しかし、共重合体中のアクリ
ルアミドの含有量が多くなると、共重合体中のアクリロ
ニトリル含有量が少なくなり、前述したように共重合体
の耐熱性が低下してくるので3.5重量%以下が適当で
ある。
【0019】さらに本発明では、共重合体中にモノマー
としてメタクリル酸を0.5〜1.0重量%含有するこ
とが好ましい。メタクリル酸の含有量が少なすぎる場
合、耐炎化反応が遅いため短時間の焼成では高性能の炭
素繊維を得ることが難しくなる。そして短時間で耐炎化
処理する場合は耐炎化温度を高温にせざるを得ないの
で、暴走反応が起きやすく、工程通過性、安全性の面で
問題が生ずる場合がある。また、共重合体中のメタクリ
ル酸の含有量が多くなると、耐炎化反応性は高くなるの
で、耐炎化処理時に繊維の表層付近が急激に反応する一
方、中心部の反応が遅れるため耐炎化繊維は断面二重構
造を形成する。しかしこのような構造では、次のさらに
高温の炭素化工程において、繊維中心部の耐炎化構造が
未発達な部分の分解が抑制できないため、炭素繊維の性
能、特に引っ張り弾性率が著しく低下する。この傾向は
耐炎化処理時間の短縮にしたがって顕著となる。
【0020】また前駆体繊維紡糸での延伸性や炭素繊維
性能発現性などの点から、共重合体の重合度は極限粘度
〔η〕が0.8以上のものが好ましい。また、重合度が
あまり高すぎると溶媒に対する溶解性が低下するので、
共重合体濃度を下げることによるボイドの発生や延伸性
および紡糸安定性の低下など見られるので、通常は極限
粘度〔η〕が3.5程度以下が好ましい。
【0021】本発明の前駆体繊維は、このような共重合
体を用いて湿式紡糸法により製造されたものであって、
引っ張り強度が8.0g/d以上、引っ張り弾性率が1
50g/d以上、ヨウ素吸着量が繊維重量当たり0.5
重量%以下、かつ広角X線解析による結晶配向度πが9
0%以上である。
【0022】前駆体繊維の引っ張り強度が8.0g/d
未満、または引っ張り弾性率が150g/d未満では、
これを焼成して得られる炭素繊維の力学的性能が不十分
になる。
【0023】また、前駆体繊維のヨウ素吸着量が0.5
重量%を越えると、繊維構造の緻密性または配向性が損
なわれ不均質になり、炭素繊維に転換する焼成時に欠陥
点となるため、得られる炭素繊維の性能が低下する。こ
こでヨウ素吸着量とは、繊維が吸着するヨウ素量であ
り、繊維構造の緻密性の程度を示す尺度である。小さい
ほど繊維が緻密であることを示す。
【0024】また、結晶配向度πが90%未満になる
と、前駆体繊維の引っ張り強度・弾性率が低くなり、こ
れを焼成して得られる炭素繊維の力学的性能が不十分に
なる。また、結晶配向度πの非常に高いものを得ようと
すると、さらに高い延伸倍率が必要になり、安定した紡
糸が困難になるので、工業的に製造が容易な範囲は通常
95%程度以下である。
【0025】ここで、広角X線解析による結晶配向度と
は、繊維を構成する共重合体分子鎖の繊維軸方向におけ
る配向の程度を示す尺度であり、広角X線解析法による
繊維の赤道線上解析点の円周方向強度分布の半価幅Hか
ら、配向度π(%)=((180−H)/180)×1
00 によって算出される値である。
【0026】さらに本発明の前駆体繊維は、表面粗滑係
数が2.0〜4.0の範囲にあることが好ましい。表面
の凹凸度がこの程度であると耐炎化処理時の繊維間の融
着が抑制されるので耐炎化処理時の工程通過性が良好に
なる。また、得られた炭素繊維をプリプレグ等のコンポ
ジットに成形する際に、マトリックス樹脂の炭素繊維間
ヘの含浸性が向上する。表面粗滑係数がこの範囲にある
ものは湿式紡糸法により得ることができる。ここで、表
面粗滑係数とは、走査型電子顕微鏡を用いて、繊維軸に
直角の方向(繊維直径方向)に一次電子を走査し、繊維
表面から反射される二次(反射)電子曲線を観察したと
きに、繊維直径の中心部60%の直径方向長さd’と、
d’の範囲における二次電子曲線の全長(直線換算長
さ)lから、l/d’で求められる値である。
【0027】次に本発明の前駆体繊維の製造方法につい
て説明する。
【0028】本発明で使用されるアクリロニトリル系共
重合体の重合方法は溶液重合、スラリー重合等公知の重
合法の何れでも用いることができるが、未反応モノマー
や重合触媒残査、その他の不純物を極力除くことが好ま
しい。
【0029】本発明では、前記共重合体を湿式紡糸し
て、凝固繊維とした後、浴中延伸、または空中延伸と浴
中延伸による一次延伸と、加圧水蒸気延伸による二次延
伸とを行う。
【0030】まず湿式紡糸の際には、前述のアクリロニ
トリル系共重合体を、溶剤に溶解し紡糸原液とする。こ
のときの溶剤は、ジメチルアセトアミド、ジメチルスル
ホキシドおよびジメチルフォルムアミド等の有機溶剤や
塩化亜鉛、チオシアン酸ナトリウム等の無機化合物の水
溶液等の公知のものから適宜選択して使用することがで
きる。
【0031】紡糸賦形は、上記紡糸原液を円形断面を有
するノズル孔より凝固浴中に紡出することで行う。凝固
浴としては、紡糸原液に用いられる溶剤を含む水溶液を
通常用いる。
【0032】このとき得られた延伸前の凝固繊維は、引
っ張り弾性率が1.3〜2.5g/d(d=デニールは
凝固繊維中の共重合体の重量に基づいたもの)の範囲に
あることが好ましい。凝固繊維の引っ張り弾性率が約
1.3g/d未満の場合、凝固浴中など紡糸工程の初期
段階において不均一な伸張を招き易く、得られる繊維束
の繊度も極めて不均一なものとなる場合がある。さらに
紡糸各工程での延伸負荷の増加や延伸性の変動が顕著に
なることから、安定した連続紡糸が困難となる場合があ
る。
【0033】一方、引っ張り弾性率が約2.5g/dを
越えると、凝固浴中での単繊維切れが発生し易くなり、
後工程での延伸性低下や安定性低下を招き、繊維に高度
な配向を持たせることが困難になる。
【0034】このような凝固繊維は、共重合体の組成、
溶剤、紡糸ノズル、ノズルからの吐出量を調節し、原液
濃度、凝固浴温度、紡糸ドラフトを適正な範囲に制御す
ることにより得られる。
【0035】次に、凝固繊維を一次延伸する。浴中延伸
は、凝固糸を凝固浴中または延伸浴中で延伸する。ある
いは、一部空中延伸した後に、浴中延伸してもよい。浴
中延伸は通常50〜98℃の延伸浴中で1回あるいは2
回以上の多段に分割するなどして行われ、その前後ある
いは同時に洗浄を行ってもよい。
【0036】浴中延伸、洗浄後の繊維は公知の方法によ
って油剤処理を行った後、乾燥緻密化する。乾燥緻密化
の温度は、繊維のガラス転移温度を越えた温度で行う必
要があるが、実質的には含水状態から乾燥状態によって
異なることもあり、温度は100〜200℃程度の加熱
ローラーによる方法が好ましい。
【0037】このようにして、一次延伸後に繊維の水分
率を2重量%以下、特に1重量%以下に乾燥してから加
圧水蒸気延伸を行うことが好ましい。加圧水蒸気中での
糸条の加熱効率が向上し、よりコンパクトな装置で延伸
を行うことができると同時に、単繊維間の接着など品質
を損なう現象の発生を極めて少なくでき、得られる繊維
の緻密性や配向度をさらに高めることができるからであ
る。
【0038】次に、繊維の二次延伸を加圧水蒸気延伸法
を用いて行う。加圧水蒸気延伸法は、加圧水蒸気雰囲気
中で延伸を行う方法であって、高倍率の延伸が可能であ
ることから、より高速で安定な紡糸が行えると同時に、
得られる繊維の緻密性や配向度向上にも寄与する。
【0039】加圧水蒸気延伸における水蒸気圧は、この
延伸法の特徴が明確に現れるためには2.0kg/cm
2・G(ゲージ圧、以下同じ。)以上が好ましい。ま
た、この水蒸気圧は、処理時間との兼ね合いで適宜調節
することが好ましいが、高圧にするとスチームの漏れが
増大したりする場合があるので工業的には6kg/cm
2・G程度以下で十分である。また、加圧水蒸気延伸に
おける温度は、当該圧力の飽和水蒸気温度より約3℃を
越えて高くならないよう、かつ加圧水蒸気延伸室に供給
される水蒸気に液滴状の水が含まれないように蒸気性状
を調節することが好ましい。これにより、水の可塑化効
果を十分に発揮し、かつ局所的な加熱ムラを減少させる
ことができ、毛羽の発生を抑制し安定した紡糸が可能と
なる。
【0040】このような加圧水蒸気延伸の条件を設定す
ることにより、初めて加圧水蒸気延伸を高倍率で安定に
達成することが可能になり、加圧水蒸気延伸比率を0.
2より大きくすることができる。特に高い延伸倍率が必
要となる例えば巻き取り速度が100m/分以上の高速
紡糸においても、安定に品質の高い前駆体繊維を製造す
ることができる。
【0041】さらに本発明では、全延伸倍率(一次延伸
と二次延伸の相乗)を13以上、かつ全延伸倍率に対す
る加圧水蒸気延伸倍率の割合(加圧水蒸気延伸倍率/全
延伸倍率)を0.2より大きくすることにより、紡糸安
定性に優れ、湿式紡糸法を用いたものであっても、引っ
張り特性および緻密性や配向性が極めて優れた前駆体繊
維が得られる。
【0042】全延伸倍率がl3未満の場合、繊維に十分
な配向を与えることができないので、緻密性や配向度が
十分でない。また、生産性を上げるために延伸倍率を下
げた分凝固浴中でのドラフトを上げると、凝固浴中での
ドラフトが高いため単繊維切れが発生しやすく、後工程
での延伸性低下や安定性低下を招きやすい。また、全延
伸倍率が大きすぎると、一次延伸や二次延伸において延
伸負荷の増大により安定した連続紡糸が困難になるの
で、通常の条件では全延伸倍率25以下が好ましい。
【0043】また、加圧水蒸気延伸法の高い延伸性や、
繊維の緻密性や配向度を向上する特性を十分に発揮させ
るためには、全延伸倍率に対する加圧水蒸気延伸倍率の
割合を0.2より大きくすることが必要である。そうす
ることで一次延伸での延伸負荷を下げることができるの
で単繊維切れの発生がなく、また、加圧水蒸気延伸での
延伸性低下や安定性の低下がない。従って、緻密性や配
向性、機械的特性、品質および生産安定性のすべてにお
いて満足できる前駆体繊維を得ることができる。これら
の現象は紡糸速度が速い場合に、より顕著になる。尚、
全延伸倍率に対する加圧水蒸気延伸倍率の割合は、大き
すぎても加圧水蒸気延伸の負荷の増大により連続紡糸の
安定性が低下しやすくなるので、全延伸倍率に対する加
圧水蒸気延伸倍率の割合は通常0.35以下にすること
が好ましい。
【0044】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。実施例および比較例における共重合体組
成、共重合体の極限粘度〔η〕、凝固繊維の引っ張り弾
性率、前駆体繊維の引っ張り強度・弾性率、および炭素
繊維(表中ではCFと略す)のストランド強度・弾性率
は以下の方法で測定した。
【0045】(イ)「共重合体組成」1 H−NMR法(日本電子GSX−400型超伝導FT
−NMR)により測定した。
【0046】(ロ)「共重合体の極限粘度〔η〕」 25℃のジメチルホルムアミド溶液で測定した。
【0047】(ハ)「凝固繊維の引っ張り弾性率」 凝固繊維束を採取後、速やかに温度23℃、湿度50%
の雰囲気中、試料長(掴み間隔)10cm、引っ張り速
度10cm/分にてテンシロンによる引っ張り試験を行
った。
【0048】弾性率表示は、下式により凝固繊維束のデ
ニール(d;凝固繊維束9000mあたりの共重合体の
しめる重量)を求め、g/dにて示した。 d:9000×f×Qp/V f:フィラメント数、Qp:ノズル1ホールあたりの共
重合体吐出量(g/分)、V:凝固繊維引き取り速度
(m/分)
【0049】(ニ)「前駆体繊維の引っ張り強度・弾性
率」 単繊維を採取し、温度23℃、湿度50%の雰囲気中、
試料長(掴み間隔)2cm、引っ張り速度2cm/分に
てテンシロンによる引っ張り試験を行った。
【0050】強度・弾性率表示は、単繊維のデニール
(d;単繊維9000mあたりの重量)を求め、g/d
にて示した。
【0051】(ホ)「炭素繊維のストランド強度・弾性
率」 JIS−7601に準じて測定した。
【0052】(ヘ)「ヨウ素吸着量の測定法」 前駆体繊維2gを精秤採取し、100mlの三角フラス
コに入れた。これにヨウ素溶液(ヨウ化カリウム100
g、酢酸90g、2,4−ジクロロフェノールl0g、
ヨウ素50gを蒸留水に溶解しl000mlの溶液とす
る)l00mlを入れ60℃で50分間振とうしヨウ素
吸着処埋を行った。この後吸着処理糸を30分間イオン
交換水にて洗浄し、さらに蒸留水にて洗い流した後、遠
心脱水する。脱水糸を300mlビーカーに入れ、ジメ
チルスルホキシド200mlを加え60℃にて溶解し
た。この溶液をN/100硝酸銀水溶液で電位差滴定し
ヨウ素吸着量を求めた。
【0053】(ト)「広角X線解析による結晶配向度の
測定法」 広角X線解析法によるポリアクリロニトリル系繊維の赤
道線上解析点の円周方向強度分布の半価幅Hから次式に
よって算出される値である。 配向度π(%)=((180−H)/180)×100 広角X線解析(カウンター法) (1)X線発生装置 理学電気(株)製 RU−200 X線源:CuKα(Niフィルター使用) 出力:40KV 190mA (2)ゴニオメーター 理学電気(株)製 2155D1 スリット系:2MM 0.5゜×1゜ 検出器:シンチレーションカウンター
【0054】(チ)「表面粗滑係数の測定法」 まず、走査型電子顕微鏡装置のコントラスト条件を磁気
テープを標準試料として調整した。すなわち、標準試料
として高性能磁気テープを使用し、加速電圧:13k
V、倍率:1000倍、スキャンニング速度:3.6c
m/秒の条件下に二次電子曲線を観察し、その平均振幅
が約40mmとなるようコントラスト条件を調整した。
ついで、かかる調整後、試料の前駆体繊維軸に直角の方
向(繊維直径方向)に一次電子を走査し、繊維表面から
反射される二次(反射)電子曲線をラインプロファイル
装置を用いてブラウン管上に像映させ、これを1000
0倍の撮影倍率でフィルムに撮影した。なお、この際の
加速電圧は13kV、スキャンニング速度は0.18c
m/秒である。
【0055】このようにして得られた二次電子曲線写真
をさらに焼き付け時に2倍に引き延ばして、すなわち倍
率は合計20000倍として、二次電子曲線図(写真)
とする。その典型的な例を図1に示す。同図においてd
は繊維直径、d’は繊維直径の左右両端部をそれぞれ2
0%除いた領域、すなわち繊維直径の中心部60%の直
径方向長さであり、d’=0.6dである。また、lは
d’の範囲における二次電子曲線の全長(直線換算長
さ)である。
【0056】lとd’から、表面粗滑係数はl/d’で
求められる。
【0057】(リ)「水分率の測定」 繊維を85℃の乾燥機で12時間乾燥し、乾燥前後の重
量W1、W2を測定し、 水分率(%)=((W1−W2)/W2)×100 から求めた。
【0058】[実施例1]アクリロニトリル97.1重
量%、アクリルアミド2.0重量%、メタクリル酸0.
9重量%からなり極限粘度〔η〕が1.7の共重合体
を、共重合体濃度23重量%となるようにジメチルホル
ムアミドに溶解して紡糸原液とした。この紡糸原液を1
2000ホールのノズルを用いて、濃度70重量%、温
度35℃のジメチルホルムアミド水溶液中に吐出して湿
式紡糸した。得られた凝固繊維の引っ張り弾性率は1.
8g/dであった。
【0059】次に凝固繊維を沸水中で4.75倍延伸し
ながら洗浄・脱溶剤した後、シリコン系油剤浴液中に浸
漬し、140℃の加熱ローラーにて乾燥緻密化した。こ
のときの水分率は、0.1重量%であった。引き続いて
3.0kg/cm2・Gの加圧水蒸気中にて2.8倍延
伸した後、再乾燥して前駆体繊維を得た。このときの巻
き取り速度は100m/分であった。また、加圧水蒸気
延伸に際して、加圧水蒸気延伸室に供給される水蒸気
は、ドレントラップにより液滴状の水を除去し、加圧水
蒸気延伸室の温度は142℃に温度調節した。
【0060】全延伸倍率は13.3、全延伸倍率に対す
る加圧水蒸気延伸倍率の割合は0.21であった。
【0061】紡糸工程中、単繊維切れ・毛羽の発生はほ
とんど認められず、紡糸安定性は良好であった。この前
駆体繊維の引っ張り強度は8.5g/d、引っ張り弾性
率は167g/d、ヨウ素吸着量は0.2重量%、広角
X線解析による結晶配向度πは93%、表面粗滑係数は
3.0であった。
【0062】この繊維を空気中230〜260℃の熱風
循環式耐炎化炉にて5%の伸張を付与しながら30分熱
処理し、繊維密度が1.368g/cm3の耐炎化繊維
とし、引き続きこの繊維を窒素雰囲気下最高温度600
℃、伸張率5%にて1.5分間低温熱処理し、さらに同
雰囲気下で最高温度が1400℃の高温熱処理炉にて−
4%の伸張の下、約1.5分処理した。得られた炭素繊
維のストランド強度は490kg/mm2、ストランド
弾性率は29.0ton/mm2であった。
【0063】[比較例1〜3]凝固浴条件をそれぞれ濃
度60重量%、温度35℃のジメチルホルムアミド水溶
液(比較例1)、濃度73重量%、温度35℃のジメチ
ルホルムアミド水溶液(比較例2)、濃度70重量%、
温度50℃のジメチルホルムアミド水溶液(比較例3)
とし、それ以外は実施例1と同様にして紡糸を行った。
【0064】比較例1においては毛羽の発生が多く、連
続的に前駆体繊維を得ることが困難であった。比較例2
および3では前駆体繊維を得た後、実施例1と同様な条
件で焼成した。このときの凝固繊維の引っ張り弾性率、
前駆体繊維の毛羽の程度・引っ張り強度と弾性率・ヨウ
素吸着量・広角X線配向度、および炭素繊維のストラン
ド特性を表1に示した。
【0065】[実施例2〜4]実施例1と同様のアクリ
ロニトリル系共重合体を用い、共重合体濃度21重量%
のジメチルアセトアミド溶液を紡糸原液とし、1200
0ホールのノズルを用いて濃度70重量%、温度35℃
のジメチルアセトアミド水溶液中に吐出して湿式紡糸し
た。
【0066】引き続きこの繊維を空中にて1.5倍の延
伸を施し、沸水中で延伸しながら洗浄・脱溶剤した後、
シリコン系油剤浴液中に浸漬し、140℃の加熱ローラ
ーにて乾燥緻密化した。引き続いて、3.0kg/cm
2・Gの加圧水蒸気中にて延伸した後、再乾燥して前駆
体繊維を得た。このときの巻き取り速度100m/分で
あった。また、加圧水蒸気延伸に際して、加圧水蒸気延
伸室に供給される水蒸気は、ドレントラップにより液滴
状の水を除去し、加圧水蒸気延伸室の温度は142℃に
温度調節した。
【0067】さらにこの繊維を実施例1と同様の条件に
て焼成して炭素繊維を得た。それぞれの全延伸倍率およ
び全延伸倍率に対する加圧水蒸気延伸倍率、凝固繊維の
引っ張り弾性率、前駆体繊維の毛羽の程度・引っ張り強
度と弾性率・ヨウ素吸着量・広角X線配向度、および炭
素繊維のストランド特性を表1に示した。
【0068】[比較例4]全延伸倍率に対する加圧水蒸
気延伸倍率の割合を表1の値とし、それ以外の条件は実
施例2と同様とした。さらに、この繊維を実施例2と同
様の条件にて焼成して炭素繊維を得た。凝固繊維の引っ
張り弾性率、前駆体繊維の毛羽の程度・引っ張り強度と
弾性率・ヨウ素吸着量・広角X線配向度、および炭素繊
維のストランド特性を表1に示した。
【0069】[比較例5〜9]アクリロニトリル系共重
合体の組成を表2の値とし、それ以外の条件は全て実施
例2と同様にして前駆体繊維を得た後、さらに焼成し
た。それぞれの凝固繊維の引っ張り弾性率、前駆体繊維
の毛羽の程度・引っ張り強度と弾性率・ヨウ素吸着量・
広角X線配向度、および炭素繊維のストランド特性を表
2に示した。なお、比較例5の場合は耐炎化工程で燃焼
・発煙が生じた。
【0070】[実施例5]実施例1と同様のアクリロニ
トリル系共重合体を用い、共重合体濃度21重量%のジ
メチルアセトアミド溶液を紡糸原液とし、12000ホ
ールのノズルを用いて濃度70重量%、温度35℃のジ
メチルアセトアミド水溶液中に湿式紡糸した。
【0071】引き続きこの繊維を空中にて1.5倍の延
伸を施し、沸水中で延伸しながら洗浄・脱溶剤した後、
シリコン系油剤浴液中に浸漬し、140℃の加熱ローラ
ーにて乾燥緻密化した。引き続いて、3.0kg/cm
2・Gの加圧水蒸気中にて延伸した後、再乾燥して前駆
体繊維を得た。このときの巻き取り速度は、140m/
分であった。また、加圧水蒸気延伸に際し、加圧水蒸気
延伸室に供給される水蒸気はドレントラップにより液滴
状の水を除去し、加圧水蒸気延伸室の温度は142℃に
温度調節した。
【0072】さらにこの繊維を実施例1と同様の条件に
て焼成して炭素繊維を得た。全延伸倍率および全延伸倍
率に対する加圧水蒸気延伸倍率、凝固繊維の引っ張り弾
性率、前駆体繊維の毛羽の程度・引っ張り強度と弾性率
・ヨウ素吸着量・広角X線配向度、および炭素繊維のス
トランド特性を表2に示した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、より短時間の焼成で高
品質の炭素繊維を安価に製造することが可能な、高強度
・高弾性率で緻密性および配向度の高い炭素繊維用アク
リロニトリル系前駆体繊維を提供することができる。
【0076】また、そのような性質の炭素繊維用アクリ
ロニトリル系前駆体繊維を、湿式紡糸方法によって長時
間糸切れすることがなく毛羽の発生が少なく、高速で安
定に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面粗滑係数を測定するための二次電子曲線図
である。
【符号の説明】
d 繊維直径 d´ 繊維直径の中心部60%の直径方向の長さ l d´の範囲における二次電子曲線の全長(直線換
算長さ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長嶺 定利 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モノマーとしてアクリロニトリル96.
    0〜98.5重量%を含むアクリロニトリル系共重合体
    を用いて湿式紡糸法により製造された炭素繊維用アクリ
    ロニトリル系前駆体繊維であって、引っ張り強度8.0
    g/d以上、引っ張り弾性率150g/d以上、ヨウ素
    吸着量が繊維重量当たり0.5重量%以下、かつ広角X
    線回析による結晶配向度πが90%以上であることを特
    徴とする炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維。
  2. 【請求項2】 前記アクリロニトリル系共重合体を構成
    するモノマーがアクリロニトリル96.0〜98.5重
    量%、アクリルアミドl.0〜3.5重量%、およびメ
    タクリル酸0.5〜1.0重量%からなることを特徴と
    する請求項1記載の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆
    体繊維。
  3. 【請求項3】 アクリロニトリル系共重合体を湿式紡糸
    して、凝固繊維とした後、浴中延伸、または空中延伸と
    浴中延伸による一次延伸と、加圧水蒸気延伸による二次
    延伸とを、全延伸倍率が13以上で、全延伸倍率に対す
    る加圧水蒸気延伸の割合が0.2より大きくなるように
    行うことを特徴とする炭素繊維用アクリロニトリル系前
    駆体繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アクリロニトリル系共重合体を構成
    するモノマーがアクリロニトリル96.0〜98.5重
    量%、アクリルアミドl.0〜3.5重量%、およびメ
    タクリル酸0.5〜1.0重量%からなることを特徴と
    する請求項3記載の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆
    体繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 延伸前の前記凝固繊維の引っ張り弾性率
    が1.3〜2.5g/dであることを特徴とする請求項
    3または4記載の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体
    繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記加圧水蒸気延伸時の水蒸気圧が2k
    g/cm2(ゲージ圧)以上であることを特徴とする請
    求項3〜5のいずれかに記載の炭素繊維用アクリロニト
    リル系前駆体繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記加圧水蒸気延伸を行うときの繊維の
    水分率が2重量%以下であることを特徴とする請求項3
    〜6のいずれかに記載の炭素繊維用アクリロニトリル系
    前駆体繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または2に記載の炭素繊維用ア
    クリロニトリル系前駆体繊維を、耐炎化し、炭素化して
    得られる炭素繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009001921A (ja) * 2007-06-19 2009-01-08 Mitsubishi Rayon Co Ltd アクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束およびこれを用いた炭素繊維束、ならびにその製造方法
KR101148428B1 (ko) 2009-12-31 2012-05-23 주식회사 효성 탄소섬유용 폴리아크릴로니트릴계 전구체 섬유의 제조방법
JP2015071722A (ja) * 2013-10-04 2015-04-16 三菱レイヨン株式会社 アクリロニトリル系共重合体、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維、炭素繊維及び炭素繊維の製造方法
CN116024680A (zh) * 2021-10-26 2023-04-28 中国石油化工股份有限公司 一种碳纤维原丝及其制备方法和应用

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