JP6004816B2 - 耐炎化繊維束の製造方法 - Google Patents

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本発明は、各種の複合材料において補強繊維材料として利用される炭素繊維の前駆体である耐炎化繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は、優れた比強度及び比弾性率を有し、軽量性に優れるため、熱硬化性及び熱可塑性樹脂の強化繊維として、従来のスポーツ・一般産業用途だけでなく、航空・宇宙用途、自動車用途など広く利用されている。中でも、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維を前駆体として得られる、いわゆるPAN系炭素繊維は、機械的物性に優れ、また生産性もよいため、広く工業的に生産されている。
通常、炭素繊維は、PAN繊維、再生セルロース繊維、フェノール繊維、ピッチ繊維等の有機重合体からなる前駆体繊維を空気などの酸化性ガス雰囲気中にて、耐炎化または不融化して耐炎化繊維とし、次いでこれを不活性ガス雰囲気中にて800〜2000℃で炭化して製造される。また、さらに2000℃以上の不活性ガス雰囲気中で黒鉛化を行ない、弾性率が一段と高い黒鉛繊維を製造することも行なわれる。
前駆体繊維束を耐炎化する耐炎化反応は、有機重合体の酸化と環化を伴う反応であって、高温で処理する程、反応速度が上がり耐炎化に必要な処理時間を短縮できる。しかし、前駆体繊維表面から繊維内部への熱の伝導具合、酸化性ガスの拡散具合により反応後の生成物の構造が変化しやすく、また、熱の伝わりや酸素の拡散が不充分になりやすい繊維内部では反応が進行しにくかった。従って、得られる耐炎化繊維は、内部まで均一な構造になりにくかった。このような構造となる傾向は、前駆体繊維の直径が大きくなるほど顕著である。
また一方、耐炎化反応は反応発熱を伴うため、処理温度を高温にし過ぎたり、前駆体繊維束を高密度に多数充填したりすると、反応熱が被処理繊維束内に蓄熱して単糸間の融着や発火現象、糸切れを生じる。そのため、耐炎化処理工程において生産効率を上げるためには、前駆体繊維束の反応発熱を効率良く除去しつつ、可能な限り高温で処理できるプロセスとすることが求められてきた。
かかる課題を解決するために、例えば特許文献1には前駆体繊維束を二酸化炭素を主成分とする超臨界流体中で加熱処理する方法が提案されている。しかし、かかる方法は高圧のリアクター中での反応を要し、実際的ではない。
また、特許文献2では加熱空気中での耐炎化反応の途中で、過熱水蒸気を含む雰囲気中で加熱処理を行い、環化反応を促進させる方法も提案されている。しかし、かかる方法では加熱空気中での耐炎化反応において、すでに繊維表面と繊維内部に構造差が生じているため、内部まで均一な構造の耐炎化繊維を得ることは困難である。
特開2011−006681号公報 特開2007−070742号公報
本発明の目的は、得られる耐炎化繊維の構造が均一であり、且つ生産効率の良い耐炎化繊維の製造方法を提供することにある。
本発明の耐炎化繊維の製造方法は、前駆体繊維を、過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室中で、200〜800℃で加熱処理する耐炎化繊維の製造方法である。前記加熱処理は、前駆体繊維を1.5〜4.0倍の延伸倍率で延伸処理しながら行うことが好ましい。
本発明で用いる過熱水蒸気を含む気体は、1〜15vol%の酸化性ガスを含んでいても良い。
前駆体繊維を、過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室中で、200〜400℃で加熱処理した後、さらに過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室中で、500〜800℃で加熱処理することも好ましい。
本発明においては、前駆体繊維を過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した100〜200℃の処理室中で、2.0〜10.0倍の延伸倍率で延伸処理した後、さらに過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室中で、200〜800℃で加熱処理しても良い。
本発明で用いる前駆体繊維は、配向度0.6〜0.95、比重が1.15〜1.25のポリアクリロニトリル繊維であることが好ましい。
本発明の耐炎化繊維の製造方法は、対流伝熱が高く、放射伝熱を有する過熱水蒸気を含む雰囲気中で耐炎化処理を行うため、熱伝導率がよく、前駆体繊維の内部まで均一に熱を伝えることができ、構造が均一な耐炎化繊維を生産効率よく得ることができる。また、前駆体繊維束内に反応熱が蓄熱することを防止でき、単糸間の融着や発火現象、糸切れを防ぐことができる。
本発明は炭素繊維の前駆体繊維を耐炎化処理する耐炎化繊維の製造方法に関するものである。
本発明の耐炎化繊維の製造方法は、前駆体繊維を過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室中で、200〜800℃で加熱処理することを特徴とする。
本発明で用いる前駆体繊維は、炭素繊維の前駆体繊維として用いられる有機重合体繊維であればよく、例えば、PAN繊維、再生セルロース繊維、フェノール繊維、ピッチ繊維等が挙げられる。中でもPAN繊維が強度の高い炭素繊維を得られるため好ましい。
PAN繊維としては、アクリロニトリルを単独重合させた重合体またはアクリロニトリルと共重合可能なモノマーとの共重合体を紡糸したPAN系繊維を用いることができる。アクリロニトリル重合体が共重合体の場合、アクリロニトリル重合体中のアクリロニトリル単位の含有量は90質量%以上であることが好ましい。特に、アクリロニトリル単位の含有量は95質量%以上であると、炭素繊維にしたときのアクリロニトリル重合体に起因する欠陥点を軽減し、炭素繊維の品位ならびに性能を向上させることができるため、より好ましい。共重合可能なモノマーとしてはイタコン酸、(メタ)アクリル酸エステル等が例示される。
PAN繊維の紡糸方法としては、例えば湿式紡糸、乾湿式紡糸が挙げられる。紡糸後の原料繊維を、公知の方法で、水洗、乾燥、延伸、オイリング処理することにより、前駆体繊維として用いられるPAN繊維を得ることができる。
本発明で前駆体繊維としてPAN繊維を用いる場合、配向度0.6〜0.95、比重が1.15〜1.25のPAN繊維であることが好ましい。PAN繊維の配向度が0.6以上であれば高強度の炭素繊維を得やすい傾向がある。PAN繊維の配向度は、0.8〜0.95であることがより好ましい。
本発明で用いる前駆体繊維束の繊度は、特に制限されるものではないが、単繊維繊度が好ましくは0.1〜50dtex、より好ましくは0.5〜2.0dtexであり、前駆体繊維束の総繊度が10〜500000texであることが好ましく、より好ましくは150〜10000texである。本発明で用いる前駆体繊維束のフィラメント数は、好ましくは1000〜100000本、さらに好ましくは3000〜50000本である。また、製造効率の面からは、12000本以上がより好ましく、24000本以上がさらに好ましい。
本発明の耐炎化繊維の製造方法は、かかる前駆体繊維を、過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室中で、200〜800℃で加熱処理する。過熱水蒸気とは、任意の圧力において、その圧力における水の沸点より高い温度に過熱された水蒸気である。
過熱水蒸気は、熱伝導率がよく、前駆体繊維の内部まで均一に素早く熱を伝えることができる。そのため、過熱水蒸気を含む気体を導入した処理室で、耐炎化を行うと構造が均一な耐炎化繊維を生産効率よく得ることができる。また、前駆体繊維束内に反応熱が蓄熱することを防止でき、単糸間の融着や発火現象、糸切れを防ぐことができる。本発明で用いる過熱水蒸気は、乾き度1.0以上の過熱水蒸気であることが好ましい。水蒸気の乾き度が1.0以上であれば、処理室に導入する気体中に、液体状の蒸気が含まれないため、液体状の水が繊維表面に付着しにくく、熱伝導が阻害されにくいため、処理効率がより向上しやすい。
処理室に導入する気体に含まれる過熱水蒸気の量は、導入する気体全体に対する過熱水蒸気の割合が60vol%以上であれば、前駆体繊維が糸切れを起こしにくい。処理室に導入する気体に含まれる過熱水蒸気の量は好ましくは80〜99vol%、より好ましくは、90〜95vol%である。
本発明で用いる処理室内の圧力は常圧でも正圧でも負圧でも良い。好ましくは常圧または正圧雰囲気である。より好ましい圧力は0.1〜0.3MPaである。常圧より高い圧力であると、過熱水蒸気の熱伝導性がより高くなり処理時間を短縮することができる。
処理室に導入される気体は、1〜15vol%の酸化性ガスを含んでいても良い。好ましくは前駆体繊維を少なくとも60〜99vol%の過熱水蒸気と1〜15vol%の酸化性ガスを含む気体を導入した処理室中で200〜400℃で1〜10分加熱処理した後、さらに、前駆体繊維を過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室中200〜800℃で加熱処理する。酸化性ガスを含む気体を導入した処理室中で加熱処理した後、次いで行われる加熱処理においては、導入される気体は酸化性ガスの含有量が先の処理よりも少ないことが好ましく、酸化性ガスの含有量が0〜0.5vol%であることがより好ましい。
酸化性ガスとしては、例えば、酸素、オゾン、一酸化窒素、二酸化窒素、亜酸化窒素、酸酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素、一酸化硫黄、二酸化硫黄、三酸化硫黄などが挙げられる。
酸化性ガスは、過熱水蒸気を含む気体とは別に、処理室に導入しても良い。酸化性ガスを過熱水蒸気を含む気体とは別に処理室に導入する場合は、処理室内の酸化性ガスの存在量が1〜15vol%になるようにすると良い。処理室内の雰囲気を均一にするためには、酸化性ガスは、処理室内に導入する前に過熱水蒸気を含む気体に混合することが好ましい。
処理室内の温度は200〜800℃であれば、前駆体繊維に耐炎化反応を起こさせることができる。処理室内の温度は200〜400℃が好ましく、より好ましくは250〜350℃である。
過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室中での加熱処理時間は、用いる前駆体繊維の種類や、処理室の温度に応じて、適時調整すればよい。好ましくは3分以上である。処理時間の上限は特に限定されないが、60分の処理で反応はほぼ完了する。
本発明で用いる処理室は、密閉型の過熱水蒸気処理装置を用いても、開放型の過熱水蒸気処理装置を用いても良い。好ましくは連続生産が容易な開放型である。開放型の処理装置を用いる場合、処理装置の開放部は外部からの気体の侵入を防ぐために、例えば水シールやラビリンス構造などの公知の手段によりシールされていることが好ましい。また、処理装置の開放部の開口面積または、処理装置内へ導入する過熱水蒸気を含む気体の導入量を調節することで、処理装置内への過熱水蒸気を含む気体の導入量と処理装置の開放部から噴出す気体の流出量をバランスさせることが好ましい。
処理装置内への過熱水蒸気を含む気体の導入量は、処理装置の処理室内容積に対して、毎分0.0001〜100倍量であることが好ましい。より好ましくは毎分0.001〜10倍量である。水蒸気を含む気体の導入量が処理室内容積に対して、毎分0.0001倍量であれば、処理室内に十分な過熱水蒸気を存在させることができ、前駆体繊維の内部まで均一に素早く熱を伝えることができる。一方、毎分100倍量以下であれば、導入された気体の風圧により繊維が受けるダメージを抑えることができる。
また、処理室内の雰囲気気体が過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体となるよう、過熱水蒸気を含む気体の処理室への導入量を調節し、導入気体で処理室内の雰囲気気体を十分に置換することが好ましい。処理室内に導入する気体及び処理室内の雰囲気気体に含まれる水蒸気の量は、例えば湿度図表を用いて湿球温度から絶対湿度を求める方法によって測定できる。(例えば、伊與田ら、球状湿潤材料の温度測定による過熱水蒸気と空気混合比の簡易測定、日本機械学会論文集(B編)78巻790号1267〜1278、2012年)
本発明においては、過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した200〜800℃の処理室で、1.5〜5.0倍の延伸倍率で、前駆体繊維を延伸処理することが好ましい。延伸処理を行うことで繊維中の重合体の分子鎖が引き揃えられ、繊維長方向への分子鎖の配向度が向上するため、耐炎化反応において環化反応が起こりやすい。
過熱水蒸気を含む気体を導入した処理室での延伸倍率が1.5倍以上であれば、前駆体繊維内の分子配向を高めることができ、強度と弾性率を向上させやすい傾向がある。また延伸倍率が5倍以下であると加熱処理中の糸切れを抑制でき、工程トラブルが生じにくくなる傾向がある。耐炎化時の張力は特に限定されるものでは無いが、耐炎化時の前駆体繊維の延伸倍率を上記範囲内に制御するには、1dtexの前駆体繊維に対して9〜60Nにすることが好ましい。
本発明においては、過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室で、200〜800℃で加熱処理を行う前に、前駆体繊維を、過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した100〜200℃の処理室中で、2.0〜10.0倍の延伸倍率で延伸処理を行っても良い。過熱水蒸気を含む気体を導入した処理室で200〜800℃で加熱処理する前に、前駆体繊維を過熱水蒸気を含む気体を導入した処理室で、100〜200℃で延伸処理を行うと、繊維中の重合体の分子鎖が引き揃えられ、繊維長方向への分子鎖の配向度が向上するため、耐炎化反応において環化反応が起こりやすい。前駆体繊維を過熱水蒸気を含む気体を導入した処理室で、100〜200℃、2.0〜10.0倍の延伸倍率で延伸処理を行う場合、延伸処理前の前駆体繊維の配向度は0.6〜0.8であることが好ましい。
また、本発明においては、前駆体繊維を過熱水蒸気を含む気体を導入した処理室で200〜400℃で加熱処理した後、さらに過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室中で、500〜800℃で加熱処理することが好ましい。より好ましくは、前駆体繊維を過熱水蒸気を気体を導入した200〜400℃の処理室中で、1.5〜3.0倍の延伸倍率で延伸処理した後、過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した500〜800℃の処理室中で、1.0〜1.5倍の延伸倍率で延伸処理する。500〜800℃での加熱処理においては、前駆体繊維の分子構造が剛直となるが、延伸倍率を1.5倍以下であれば糸切れが発生しにくく、工程トラブルを起こしにくくなる。延伸倍率が1.0倍以上であれば、前駆体繊維分子の配向性が高くなり得られる炭素繊維の強度、弾性率を高くしやすい。
上記のような本発明の耐炎化繊維の製造方法を用いることで、構造が均一な耐炎化繊維を生産効率よく得ることができる。また、前駆体繊維束内に反応熱が蓄熱することを防止でき、単糸間の融着や発火現象、糸切れを防ぐことができる。
本発明の耐炎化繊維の製造方法により得られた耐炎化繊維を、引き続いて1000℃〜3000℃の不活性雰囲気下で熱処理し、炭素化することにより炭素繊維を得ることができる。
得られた炭素繊維は、電解液中で電解酸化処理を施したり、気相または液相での酸化処
理を施すことによって、複合材料における炭素繊維とマトリックス樹脂との親和性や接着
性を向上させることが好ましい。さらに、必要に応じてサイジング剤を付与することがで
きる。
このようにして得られる炭素繊維は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などの強化繊維として、スポーツ用途、レジャー用途、一般産業用途、航空・宇宙用途、自動車用途などに広く利用できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。また、各実施例及び比較例における各繊維の物性の評価方法は以下の方法によった。
<前駆体繊維の比重>
前駆体繊維の比重はアルキメデス法により測定した。試料繊維はアセトン中で脱気処理し測定した。
<前駆体繊維の配向度>
試料繊維軸が正確に平行になるようにそろえた後、試料調整用治具を用いて幅1mmの厚さが均一な資料繊維束に整えた。X線源がCu,Kα線の広角X線解析装置(理学電気製RINT2050)を用いて、2θ=17°付近に観察される回折の最高強度を含むピークの半値幅H1/2、H’1/2(°)を求めた。この値を次式に代入し配向度を求めた。
配向度(%)={360−(H1/2+H’1/2)}/360
[実施例1]
アクリロニトリル95質量%/アクリル酸メチル4質量%/イタコン酸1質量%よりなる共重合体紡糸原液を湿式紡糸し、温水浴中で90℃で3倍に熱延伸した後、アミノ変性シリコーン系油剤を付与し、110℃の乾熱ローラーで乾燥緻密化して、フィラメント数24000の前駆体繊維(総繊度60000dtex、比重1.16、配向度0.7)を得た。
得られた前駆体繊維を、炉内温度を150℃に保ち、炉内雰囲気を過熱水蒸気でみたした乾燥機を用いて4倍の延伸倍率で延伸処理をいった。延伸処理後の繊維の比重は1.18であり、配向度は0.9であった。
引き続き、延伸処理を行った前駆体繊維を、炉内温度を260℃に保った、炉内容積3mの加熱処理炉を用いて繊維束の炉内滞留時間4分間、2倍の延伸倍率で加熱処理を行った。
加熱処理炉内の雰囲気制御は加熱処理炉に事前に260℃に加熱した過熱水蒸気及び酸素を、高温流量計を用いて流量を制御し、流量は過熱水蒸気9m/min、酸素1m/minで導入した。処理室内の雰囲気は導入気体で十分に置換されていた。
上述のようにして得られた繊維束をさらに、600℃の高温加熱炉に導入し繊維の炉内滞留時間5分間、延伸倍率1.2倍で熱処理を行い耐炎化繊維束を得た。加熱処理炉へは事前に600℃に加熱した過熱水蒸気を高温流量計を用いて制御し、流量10m/minで導入した。処理室内の雰囲気を導入気体で十分に置換されていた。処理炉圧力は処理炉の糸出口を水によりシールすることにより加圧状態とした、加熱炉内の圧力は高温圧力計を用いて測定し0.11MPaとし、減圧バルブにより調整を行った。
得られた耐炎化繊維を引き続いて、窒素雰囲気下、1300℃で炭素化処理を行い炭素繊維を得た。

Claims (3)

  1. 前駆体繊維を、過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室中で、200〜400℃で加熱処理した後、さらに過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室中で、500〜800℃で加熱処理することを特徴とする耐炎化繊維の製造方法。
  2. 前駆体繊維を、過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した100〜200℃の処理室中で、2.0〜10.0倍の延伸倍率で延伸処理した後、さらに過熱水蒸気を60〜100vol%含む気体を導入した処理室中で200〜800℃で加熱処理することを特徴とする耐炎化繊維の製造方法。
  3. 前駆体繊維が配向度0.6〜0.95、比重が1.15〜1.25のポリアクリロニト
    リル繊維である請求項1または2に記載の耐炎化繊維の製造方法。
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