JPH086210B2 - 高強度高弾性率炭素繊維およびその製造方法 - Google Patents

高強度高弾性率炭素繊維およびその製造方法

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JPH086210B2 JP63134032A JP13403288A JPH086210B2 JP H086210 B2 JPH086210 B2 JP H086210B2 JP 63134032 A JP63134032 A JP 63134032A JP 13403288 A JP13403288 A JP 13403288A JP H086210 B2 JPH086210 B2 JP H086210B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は高性能な炭素繊維,特に比強度および比弾性
率の優れた補強用炭素繊維に関する。
[従来の技術] 炭素繊維の性能向上にともなって,複合材料用補強繊
維として炭素繊維の用途展開がますます拡がりつつあ
る。それとともに炭素繊維に対する要求性能も年々高く
なってきており,特に航空宇宙,高性能スポーツ用品な
どの分野では,その要求水準は非常に高いレベルとなっ
ている。
その要求性能の代表的なものが,引張強度および弾性
率,特にそれらを密度で除して得られる比強度および比
弾性率に対する向上要求である。すなわち,密度が小さ
くかつ強度および弾性率が高い炭素繊維が求められてい
る。
特に重量軽減効果の大きい航空機の一次構造材料用途
には,高強伸度だけでなく薄くした場合のフラッタリン
グなどを防ぐ意味からも高弾性率が要求され,しかも重
量をさらに軽減するためにより軽い炭素繊維が求められ
ている。
従来,弾性率を上げるために単に焼成温度を上げてい
くと,強度が大巾に低下してしまい,強度と弾性率のバ
ランスの取れた炭素繊維を得ることは非常に難しかっ
た。
そこで特開昭60−88126号公報などにも記載されてい
るように,炭化温度を1600℃以下とし耐炎化および前炭
化領域での延伸焼成により強度を維持して弾性率を向上
させる技術などが提案されている。
しかし,炭化温度を低く設定し延伸だけで弾性率を向
上させる方法では毛羽が増えるなど品位の面から限界が
あり,得られた炭素繊維の引張特性も強度520Kg/mm2,弾
性率30t/mm2と低いレベルであった。その上に密度が1.7
6g/cm3以上と大きいために比強度および比弾性率として
はさらに低いレベルであった。
一方,本発明者らの提案にかかる強度が600Kg/mm2
超える超高強度糸の製造方法(特開昭61−12916号公
報)においても,弾性率が30t/mm2レベルと低く,また
密度も1.76g/cm3以上と大きかった。即ち,比強度およ
び比弾性率がそれぞれ3.4×107cm以下および1.7×109cm
以下のレベルであった。
かかる従来技術に対して,本発明者らは密度が小さく
かつ強度および弾性率がともに非常に高い炭素繊維の製
造方法を鋭意検討して本発明に至った。
[本発明が解決しようとする課題] 本発明の課題は、上記従来技術では達成し得なかった
密度が小さくかつ強度および弾性率がともに高く,比強
度および比弾性率がこれまでになく高いレベルにある炭
素繊維を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記した目的を達成するために本発明の高強度高弾性
率炭素繊維は次の構成を有する。すなわち、単繊維デニ
ールが1.0d以下であり、広角X線回折による配向度(π
400)が91%以上であるアクリル系繊維を焼成してな
り、単繊維引張破断面の内部ボイドに起因する破断が10
%以下であり表面欠陥に起因する破断が70%以下であ
り、かつ密度が0.75g/cm3以下であり、樹脂含浸ストラ
ンド強度および弾性率がそれぞれ650Kg/mm2以上および3
5t/mm3以上である高強度高弾性率炭素繊維である。
また、焼成に供するアクリル系繊維が、さらに、ヨウ
素吸着法によるΔLの値が40以下という条件を満たすこ
とが好ましい。
かかる本発明の高強度高弾性率炭素繊維を製造する方
法は、共重合体成分量が5モル%以下、単糸繊度が1.0d
以下であるアクリル系繊維を、密度が1.30g/cm3以上と
なるまで耐炎化し、350〜500℃の温度領域での昇温速度
を500℃/分以下、延伸比を1.03以上とし、700〜1000℃
の温度領域において一旦駆動ローラーを介して0.3g/d以
上の糸張力となし、最高温度が1600℃を超え2100℃を超
えない範囲で炭化した炭素繊維を硝酸イオンを必須成分
とした電解液中で炭素繊維を陽極として、炭素繊維1gあ
たり200〜800C/gの電気量で温度40℃以上で酸化処理
し、600〜1000℃の不活性あるいは還元性雰囲気中で加
熱処理を行うことを特徴とする。
すなわち、本発明繊維は比強度および比弾性率がそれ
ぞれ3.4×107cm以上および2.0×109cm以上と,従来の技
術では一方だけでも困難な物性レベルを同時に満たす高
性能を高強度高弾性率炭素繊維である。
従来の弾性率24t/mm2,強度400Kg/mm2前後のレベルで
あった炭素繊維一次世代から,一段進んで最近では弾性
率30t/mm2領域において強度600Kg/mm2を超える高強度炭
素繊維が開発されている。しかし,弾性率30t/mm2では
弾性率が律速となって,高強度を生かしきれない,すな
わち高強度であっても弾性率が不十分なために構造材料
を高強度に見合っただけ十分薄くできないといった問題
があった。そこでさらに弾性率の高い35t/mm2領域での
高強度炭素繊維に対する要求が高まっている。しかも従
来の高弾性率炭素繊維は2100℃以上といった黒鉛化領域
まで焼成しているので密度が1.80g/cm3以上と大きかっ
た。したがって,できるだけ密度の小さい炭素繊維すな
わち1.75g/cm3以下という従来の高強度炭素繊維よりも
さらに密度が小さい炭素繊維が求められてきた。特に重
量軽減効果の大きい航空機の一次構造材料用途では,密
度は非常に大きなポイントとなる。
本発明における炭素繊維の密度,樹脂含浸ストランド
強度および弾性率は次のように定義(測定)される。
密度; JIS−R−7601に規定する密度測定法に従って測定し
た。
樹脂含浸ストランド強度および弾性率; “ベークライト"ERL−4221/三フッ化ホウ素モノエチ
ルアミン(BF3・MEA)/アセトン=100/3/4部を炭素繊
維に含浸し,得られた樹脂含浸ストランドを130℃で30
分間加熱して硬化させ,JIS−R−7601に規定する樹脂含
浸ストランド試験法に従って測定した。
上記の高強度高弾性率炭素繊維について,アクリル系
炭素繊維に例をとって,この製法例を説明する。
すなわち,アクリル系炭素繊維の原料繊維であるアク
リル繊維(プリカーサー)を構成するアクリル系重合体
としては,少なくとも95モル%以上のアクリロニトリル
と5モル%以下の共重合可能なビニル系モノマ,たとえ
ばアクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸およびそれら
のアルカリ金属塩,アンモニウム塩および低級アルキル
エステル類,アクリルアミドおよびその誘導体,アリル
スルホン酸,メタリルスルホン酸およびそれらの塩類ま
たはアルキルエステル類などとの共重合体を挙げること
ができる。共重合成分が5モル%を超えると本発明のよ
うな高弾性率の炭素繊維が得られない。
重合方法については限定されるものではなく,従来公
知の溶液重合,懸濁重合,乳化重合などを適用すること
ができる。また,紡糸方法には,湿式紡糸法,乾湿式紡
糸法などを採用できるが,なかんずく緻密で高弾性率が
得られる乾湿式紡糸法が好ましい。プリカーサーの単繊
維デニールとしては1.0d以下,好ましくは0.8d以下の細
デニールが必須である。より高弾性率を得るためには0.
6d以下の細デニールがさらに好ましい。
また高弾性率の炭素繊維を得るためには,配向度の高
いプリカーサーが好ましく,特に広角X線回折による配
向度(π400)が91%以上であるアクリル繊維が好まし
い。配向度が91%未満のアクリル繊維では,高弾性率を
得るためには炭化のみでなく耐炎化工程においても延伸
焼成する必要がある。そのために耐炎化において糸切れ
が起りやすく好ましくない。広角X線回折による配向度
が91%以上であるアクリル繊維を得る手段としては,乾
湿式紡糸法あるいは湿式紡糸法により得られた凝固糸に
熱水延伸,スチーム延伸あるいはグリセリンなどの溶媒
中延伸などの延伸手段を適用することができる。
高強度の炭素繊維を得るためには,内部ボイドおよび
表面欠陥が少ないプリカーサーが必須である。すなわ
ち,焼成した炭素繊維の単繊維引張破断面を走査型電子
顕微鏡(SEM)により解析した時の,内部ボイドに起因
する破断が10%以下,好ましくは5%以下であり,かつ
付着物および欠け傷などの表面欠陥に起因する破断が70
%以下,好ましくは40%以下であることが必要である。
そのためには紡糸原液,凝固浴液,延伸浴液などの過
強化,シリコーン油剤の適用,ローラーガイド類の表面
管理などが重要である。またそれにともなって焼成工程
における糸道管理も重要なことは勿論である。
また,プリカーサーの緻密性も重要な要素であり,ヨ
ウ素吸着法による△Lの値が40以下,好ましくは30以
下,さらに好ましくは20以下の緻密なプリカーサーがよ
い。ヨウ素吸着法による△Lの値が40以下の緻密なプリ
カーサーを得るための手段としては,紡糸原液ポリマー
の高濃度化,紡糸原液および凝固浴液の低温化および凝
固時の低張力化などにより凝固糸の膨潤度を低く抑え,
かつ浴延伸時の延伸段数,延伸倍率および延伸温度の最
適化により浴延伸糸の膨潤度を低く抑えることが重要で
ある。
かかるプリカーサーを焼成する際の耐炎化条件として
は酸化性雰囲気中で密度が1.30g/cm3以上,好ましくは
1.35g/cm3以上となるまで加熱することが必須である。
密度が1.30g/cm3未満では強度,弾性率が低下し好まし
くない。
耐炎化での延伸条件については,密度が1.25g/cm3
での領域で3%以上の延伸を行い,それ以降耐炎化終了
までの領域で実質的に収縮させ,トータル延伸比0.95〜
1.00の定長ないし収縮条件とするのが好ましい。耐炎化
でのトータル延伸比が定長を超えると毛羽が増えるなど
品位が低下するとともに,糸切れによる耐炎化暴走反応
などが起り易くなるばかりでなく,続く炭化領域での延
伸性が低下するため好ましくない。雰囲気については,
公知の空気,酸素,二酸化窒素,炭化水素など酸化性雰
囲気を採用できるが,経済性の面から空気が好ましい。
得られた耐炎化繊維を不活性雰囲気中で炭化する温度
条件としては,最高温度が1600℃を超え,かつ2100℃を
超えない、好ましくは1700〜2000℃であることが必須で
ある。最高温度が1600℃より低い,あるいは2100℃を超
えると低密度は得られない。
昇温速度については、350〜500℃の温度領域での昇温
速度を500℃/分以下,好ましくは300℃/分以下,さら
に好ましくは150℃/分以下とすることが重要である。3
50〜500℃の温度領域における昇温速度が500℃/分を超
えると炭素繊維の引張強度が低下するとともに,この温
度領域での延伸性が低下するので好ましくない。
また350℃〜1600℃の温度領域で高温になるほど昇温
速度が大きくなるようにすることは,密度を低下させる
上で重要である。1500〜1600℃の温度領域における昇温
速度は500〜2500℃/分,好ましくは500〜1500℃/分,
さらに好ましくは500〜1000℃/分がよい。
炭化での延伸条件としては、350〜500℃の温度領域で
3%以上,好ましくは5%以上の延伸を施した後,700℃
ないし1000℃の領域において一旦駆動ローラーを介し,
さらに1000℃以上の温度で定長以下の緊張下,0.3g/d以
上、好ましくは0.5g/d以上、さらに好ましくは1g/d以上
の高張力下で炭化することである。
350〜500℃の温度領域における延伸が3%未満では高
強度および高弾性率を得ることができない。また700℃
ないし1000℃の領域で駆動ローラーを介さないと,1000
℃以上の温度領域での焼成張力を上げることができず高
強度および高弾性率を得ることができない。
得られた炭素繊維を、さらに少なくとも40℃に保たれ
た硝酸イオンを必須成分とする電解質水溶液中で炭素繊
維を陽極として炭素繊維1g当り200〜800C(クーロ
ン),好ましくは300〜600Cの電気量で酸化処理した後,
600〜1000℃,好ましくは650〜850℃の不活性あるいは
還元性雰囲気で加熱処理することが必須である。上記電
解処理なしでは高強度が得られない。硝酸イオンを必須
成分とする電解質としては硝酸および硝酸塩の一種ある
いは二種以上の混合水溶液を用いることができる。その
濃度については特に限定されるものではないが,温度を
40℃以上に保つことが必須であり,これより低温では十
分な強度向上効果は得られない。
電解処理電気量については、特に高温で炭化した炭素
繊維では200C未満の低電気量では強度向上効果が得られ
ず、また800Cを超える高電気量では強度が低下してしま
い,いずれも高強度を得ることができない。電解処理後
の不活性あるいは還元性雰囲気での加熱処理については
600℃未満では官能基の除去が不十分であり,また1000
℃を超える温度では表面欠陥が増加し,いずれも強度が
低下してしまう。
以上述べたように,本発明繊維の製法例としてはプリ
カーサー,製糸,耐炎化,炭化条件を特定化し,かつさ
らに特殊な後処理を施すことを挙げることができる。な
お,本発明繊維は上記アクリル系炭素繊維の他,レーヨ
ン系,ヒッチ系繊維などを包含することは勿論である。
なお、上記の炭素繊維の単繊維引張破断面観察,ヨウ
素吸着法による△Lおよび配向度の測定は以下の方法に
より行なったものである。
炭素繊維の単繊維引張破断面観察 予め溶剤等で洗浄した炭素繊維束試料からランダムに
抜き取った単繊維を、5cmの長さに打ち抜いた台紙に貼
り付け固定し、テストピースを作製する。次に、水中で
の引張破壊試験ができるように改造した定速緊張型引張
試験機を用いて、前記テストピースを該試験機に取りつ
け,引張歪速度1%/分で引張破壊試験を行う。
この引張破壊試験を繊維束を構成する総単繊維本数当
り少なくとも1%の単繊維について行い,引張破壊され
た該単繊維の一次破断面に金コーティングを施し,走査
型電子顕微鏡を用いて,加速電圧25KV,倍率10,000倍で
破断面を観察することによって破断開始欠陥を分類し
た。
プリカーサの△L 繊維長が5〜7cmの乾燥試料を約0.5g精秤し,200mlの
共栓付三角フラスコに採り,これにヨウ素溶液(I2:51
g,2,4−ジクロロフェノール10g,酢酸90gおよびヨウ化カ
リウム100gを秤量し,1のメスフラスコに移して,水で
溶かして定容とする)100mlを加えて,60±0.5℃で50分
間振盪しながら吸着処理を行う。ヨウ素を吸着した試料
を流水中で30分間水洗した後,遠心脱水(2000rpm×1
分)を行い,すばやく風乾する。この試料を開繊した
後,ハンター型色差計[カラーマシン(株)製,CM−25
型]で明度(L値)を測定する(L1)。
一方,ヨウ素の吸着処理を行わない対応の試料を開繊
し,同様に前記ハンター型色差計で明度(L0)を測定
し、L0−L1により明度差△Lを求めた。
プリカーサの配向度 X線源としてNiフィルターで単色化したCuのKα線を
使用し、2θ=17.0゜付近に観察される面指数(400)
のピークを円周方向にスキャンして得られたピークの半
値幅H(゜)より なる式から求めた。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例1,比較例1〜6 アクリロニトリル(AN)99.5モル%とイタコン酸0.5
モル%からなる共重合体をアンモニアで変性し,この変
形ポリマーの濃度が20重量%のジメチルスルホキシド
(DMSO)溶液を作製した。この溶液をステンレス繊維フ
ィルター(繊維径;4μm)およびガラス繊維フィルター
(繊維径;0.1〜3μm)を用いて2段過した後,温度
35℃に調整し,孔径0.15mmφ,ホール数3000の紡糸口金
を通して一旦空気中に吐出して約3mmの空間を走らせた
後,温度5℃,濃度30%のDMSO水溶液中で凝固させた。
凝固糸条を水洗後,5段の延伸浴で4倍に延伸しシリコ
ーン系油剤を付与した後,130〜160℃に加熱されたロー
ラー表面に接触させて乾燥緻密化し,さらに4.0Kg/cm2
の加圧スチーム中で3倍に延伸して単糸繊度0.8d,トー
タルデニール2400Dの繊維束を得た。
得られたアクリル繊維の△Lおよび配向度を測定した
ところ,それぞれ25および92%であった。
得られた繊維束を240〜260℃の空気中で,密度1.25g/
cm3までに4%の延伸を行いそれ以降の領域で収縮させ
てトータル延伸比1.0で加熱し,密度が1.36g/cm3の耐炎
化繊維に転換した。ついで350〜450℃の温度領域での昇
温速度を300℃/分とし,かつこの温度領域で5%の延
伸を施した後,徐々に昇温速度を上げながら900℃で一
旦駆動ローラーを介してさらに最高温度が1850℃の窒素
雰囲気中で延伸率0.99で炭化して炭素繊維を得た。1500
〜1600℃の温度範囲の昇温速度は1100℃/分であった。
得られた炭素繊維を用いて表1に示すような表面処理
を行った。得られた炭素繊維の特性を表1に示す。
なお、実施例1で得られた炭素繊維の単繊維引張破断
面を観察した結果、内部ボイドおよび表面欠陥に起因す
る破断の割合はそれぞれ3%および35%であった。
実施例2〜4,比較例7〜9 実施例1で得られたアクリル繊維を最高温度および35
0〜500℃における延伸率を表2のように変える以外は実
施例1と同一条件で焼成および表面処理を行なった。結
果を表2に示す。
実施例5〜6,比較例10〜11 実施例1で得られたアクリル繊維を240〜270℃の空気
中で,密度1.25g/cm3までの領域で2%の延伸を行い,
それ以降の領域で収縮させてトータル延伸比0.98で加熱
して,耐炎化時間により密度が表3のように異なる耐炎
化繊維を得た。ついで350〜450℃の領域での昇温速度を
表3のように変え,かつこの温度領域で10%の延伸を施
した後徐々に昇温速度を上げながら,800℃で一旦駆動ロ
ーラーを介してさらに最高温度が1650℃の窒素雰囲気中
で延伸率0.99で炭化して炭素繊維を得た。
1500〜1600℃の温度範囲の昇温速度は800℃/分であ
った。
さらに炭素繊維を陽極として80℃の硝酸水溶液中で50
0C/gの電気量で表面酸化処理した後,750℃の窒素雰囲気
中で加熱処理した。
得られた炭素繊維の特性を表3に示す。
比較例12 実施例6において、800℃で駆動ローラを介さない以
外は、実施例6と同一条件で焼成した。
得られた炭素繊維は密度は1.74g/cm3であったが,強
度および弾性率がそれぞれ640Kg/mm2および33t/mm2であ
った。
[発明の効果] 本発明により、密度が1.75g/cm3以下であり,かつ樹
脂含浸ストランド強度および弾性率がそれぞれ650Kg/mm
2以上および35t/mm2以上の炭素繊維、すなわち,比強度
および比弾性率がそれぞれ3.7×107cm以上および2.0×1
09cm以上と,従来の技術では一方だけでも困難な物性レ
ベルを同時に満たす高性能な高強度高弾性率炭素繊維が
得られ,低密度および高強度,高弾性率が要求される航
空機の一次構造材料用途への炭素繊維の用途展開を拡大
することができ,炭素繊維の世界を一回り大きくするこ
とができたと言える。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−225330(JP,A) 特開 昭61−296123(JP,A) 特開 昭61−12916(JP,A) 特開 昭59−137512(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単繊維デニールが1.0d以下であり、広角X
    線回折による配向度(π400)が91%以上であるアクリ
    ル系繊維を焼成してなり、単繊維引張破断面の内部ボイ
    ドに起因する破断が10%以下であり表面欠陥に起因する
    破断が70%以下であり、かつ密度が1.75g/cm3以下であ
    り、樹脂含浸ストランド強度および弾性率がそれぞれ65
    0Kg/mm2以上および35t/mm3以上であることを特徴とする
    高強度高弾性率炭素繊維。
  2. 【請求項2】焼成に供するアクリル系繊維が、さらに、
    ヨウ素吸着法によるΔLの値が40以下という条件を満た
    すことを特徴とする請求項1に記載の高強度高弾性率炭
    素繊維。
  3. 【請求項3】共重合体成分量が5モル%以下、単糸繊度
    が1.0d以下であるアクリル系繊維を、密度が1.30g/cm3
    以上となるまで耐炎化し、350〜500℃の温度領域での昇
    温速度を500℃/分以下、延伸比を1.03以上とし、700〜
    1000℃の温度領域において一旦駆動ローラーを介して0.
    3g/d以上の糸張力となし、最高温度が1600℃を超え2100
    ℃を超えない範囲で炭化した炭素繊維を硝酸イオンを必
    須成分とした電解液中で炭素繊維を陽極として、炭素繊
    維1gあたり200〜800C/gの電気量で温度40℃以上で酸化
    処理し、600〜1000℃の不活性あるいは還元性雰囲気中
    で加熱処理を行うことを特徴とする高強度高弾性率炭素
    繊維の製造方法。
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