JP2006348462A - 炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度・高弾性率で緻密性および配向度が高く、かつトウ繊度の変動率の小さい炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の、湿式紡糸方法による長時間糸切れすることがなく毛羽の発生の少ない高速で安定な製造方法を提供する。
【解決手段】アクリロニトリル系共重合体を湿式紡糸して、凝固繊維とした後、浴中延伸、または空中延伸と浴中延伸をによる一次延伸を行った後、加圧水蒸気延伸を伴う二次延伸を行う炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法であって、加圧水蒸気延伸装置に糸条を導入する直前の加熱ローラーの温度を120〜190℃に設定し、前記加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率を0.5%以下に制御し、かつ全延伸倍率に対する二次延伸倍率の割合が0.2より大きくなるように延伸することを特徴とする炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維およびその製造方法に関するものである。
ポリアクリロニトリル系繊維を前駆体とする炭素繊維および黒鉛繊維(本出願では、一括して「炭素繊維」という。)はその優れた力学的性質により、航空宇宙用途を始め、スポーツ・レジャー用途等の高性能複合材料の補強繊維素材として商業的に生産・販売されている。また近年では自動車・船舶用途、建材用途など一般産業分野への用途要求が増加している。そして市場においてはこれらの複合材料の高性能化のために高品質でかつ安価な炭素繊維が要求されている。
炭素繊維の前駆体としてのアクリロニトリル系繊維は、衣料用アクリル繊維とは異なりあくまでも最終製品である炭素繊維を製造するための中間製品である。従って、品質、性能の優れた炭素繊維を与えるようなものが求められると同時に、前駆体繊維紡糸時の安定性に優れ、かつ炭素繊維となす焼成工程において生産性が高く、低コストで提供し得るものであることが極めて重要である。
このような観点から、炭素繊維の高強度、高弾性化を目的としたアクリル繊維について数多くの提案がなされてきた。その中で、原料重合体の高重合度化、アクリロニトリル以外の共重合成分含有量を低下させる等の提案がある。また、紡糸方式に関しては、乾−湿式紡糸法の採用が一般的である。
しかしながらアクリロニトリル以外の共重合成分含有量を低下させた場合、一般的に原料共重合体の溶剤への溶解性が低下し、紡糸原液の安定性が損なわれると共に、原液粘度が急激に増大するために、これに対応して紡糸原液の共重合体濃度を低下させる必要がある。その結果、共重合体の析出凝固性が著しく高くなり、得られる繊維を失透させたり、内部に多数のボイドを発生させやすくなるため、安定した製造方法とは言えないものであった。
乾−湿式紡糸方式はノズルから押し出された重合体溶液を一旦空気中に吐出した後、連続的に凝固浴に導き、繊維形成を行うことから、緻密な凝固糸が得やすい反面、ノズル孔ピッチを小さくすると隣接する繊維が接着する問題が生じ、多ホール化に限界がある。
一般にアクリロニトリル系前駆体繊維の低コストな製造には、ノズル孔の高密度化が有利で、製造設備への投資が比較的少なくて済むなどの点により、紡糸方式として湿式紡糸法が採用されている。しかし、得られる繊維トウは一般に単繊維切れや毛羽が多く、得られる前駆体繊維の引っ張り強度・弾性率が低く、前駆体繊維構造の緻密性や配向度が低い。従ってこれを焼成して得られる炭素繊維の力学的性能は概して不十分である。
高品質の炭素繊維を得るための前駆体繊維の条件としては、炭素繊維に変換された後に、破断の原因となる微少な欠陥がないことが非常に重要であり、このような欠陥を減少するためには、前駆体繊維の引っ張り強度・弾性率が高く、繊維構造の緻密性が高いこと、および共重合体が繊維軸方向に高度に配向していること、さらにはトウ繊度の変動率が小さいことなどが要求される。
例えば、特許文献1では湿式紡糸法を用いながら繊維構造の緻密性に言及した報告がなされており、緻密性を表す尺度として、ヨウ素吸着量と、ヨウ素の吸着するスキン層の厚さを規定している。しかし、ここで得られた前駆体繊維は、ヨウ素吸着量が約1〜3重量%と緻密性が低く、また得られた前駆体繊維の引っ張り強度・弾性率も低いため、高品質の炭素繊維を得ることは非常に難しかった。
一方、特許文献2には乾−湿式紡糸法によって表面構造が高度に緻密化された前駆体繊維が開示されている。また、特許文献3および特許文献4にはやはり乾−湿式紡糸法によって、引っ張り強度・弾性率が高く、共重合体が繊維軸方向に高度に配向した前駆体繊維が開示されている。これらの前駆体繊維を用いることにより、得られる炭素繊維の品質向上が図られているが、乾−湿式紡糸法を用いていることから、生産性が低い。また、湿式紡糸により得られる繊維に比べ、乾−湿式紡糸により得られる繊維は表面形態が平滑であるため収束性がよい反面、焼成過程での繊維間融着や、シート状プリプレグ成型時の開繊性不良を生じやすい等の欠点を抱えている。さらに、これらの発明における重合体のアクリロニトリル含有量は実質99.0重量%以上であり、紡糸原液の安定性や共重合体の析出凝固性の面から、前駆体繊維の安定した製造方法としては不十分なものであった。
湿式紡糸法を用いながら、緻密化された表面構造をもつ前駆体繊維を得るために、より高延伸倍率が得られる延伸方法として、加圧水蒸気延伸を用いた検討がなされている。
例えば、特許文献5には湿式紡糸法を用いながら、緻密化された表面構造をもつ前駆体繊維が開示されている。特定の共重合体の組成や特定の物性の凝固繊維を用い、同時に加圧水蒸気延伸を用いることにより、前駆体繊維の緻密化を図ったものである。しかしながら、凝固以降の延伸条件の適正範囲については全く考慮されていないため、緻密性と配同性の高い前駆体繊維を得るには不十分であった。また、得られた前駆体繊維の強度・弾性率、結晶配向度、トウ繊度の変動率について記載がなく、品質の優れた炭素繊維を得るために必要な前駆体繊維の物性および性状については依然として知られていなかった。さらに、紡糸速度100m/分以上のような高速で紡糸を行うと、安定した紡糸が困難なものであった。
このように、従来の技術はいずれも高品質かつ安価な炭素繊維を得るための前駆体繊維およびその製造方法として不十分であった。
特開昭58−214518号公報 特開昭63−35821号公報 特開昭60−21905号公報 特開昭62−117814号公報 特開平7−70812号公報
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、より短時間の焼成で高品質の炭素繊維を安価に製造することが可能な、高強度・高弾性率で緻密性および配向度が高く、かつトウ繊度の変動率の小さい炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の、湿式紡糸方法による長時間糸切れすることがなく毛羽の発生の少ない高速で安定な製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、アクリロニトリル系共重合体を湿式紡糸して、凝固繊維とした後、浴中延伸、または空中延伸と浴中延伸による一次延伸を行い、油剤付与、加熱ローラーによる乾燥緻密化後、連続して加圧水蒸気延伸を伴う二次延伸を行う炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法であって、加圧水蒸気延伸装置に糸条を導入する直前の加熱ローラーの温度を120〜190℃に設定し、前記加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率を0.5%以下に制御し、かつ全延伸倍率に対する二次延伸倍率の割合が0.2より大きくなるように延伸することを特徴とする炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法に関する。
このとき本発明の1態様においては、全延伸倍率として13以上とすることが好ましい。
本発明によれば、より短時間の焼成で高品質の炭素繊維を安価に製造することが可能な、高強度・高弾性率で緻密性および配向度が高く、かつトウ繊度変動率の小さい炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維を提供することができる。
また、そのような性質の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維を、湿式紡糸方法によって長時間糸切れすることがなく毛羽の発生が少なく、高速で安定に製造することができる。
本発明の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維は、長手方向の繊度むらが少なく、これを焼成して得られる炭素繊維も長手方向の繊度むらが少ない。これにより長手方向の開繊性のむらが少なくなるため、従来の炭素繊維より30%ほど高い生産性でプリプレグ化が可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書は、以下の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の発明も開示している。
(1)アクリロニトリル単位96.0〜98.5重量%を含むアクリロニトリル系共重合体より製造された炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維であって、引っ張り強度7.0cN/dtex以上、引っ張り弾性率130cN/dtex以上、ヨウ素吸着量が繊維重量当たり0.5重量%以下、広角X線回析による結晶配向度πが90%以上であり、かつトウ繊度の変動率が1.0%以下である炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維。
(2)前記アクリロニトリル系共重合体がアクリロニトリル単位96.0〜98.5重量%、アクリルアミド単位1.0〜3.5重量%、およびカルボキシル基含有ビニル系モノマー単位0.5〜1.0重量%からなる前記(1)記載の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維。
(3)湿式紡糸法により製造された前記(1)又は(2)記載の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維。
さらに、本明細書は、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維を、耐炎化し、炭素化して得られる炭素繊維の発明も開示している。
本発明の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維(以下、前駆体繊維という。)の製造に用いるアクリロニトリル系共重合体(以下、単に共重合体ともいう。)は、モノマー単位としてアクリロニトリルを96.0〜98.5重量%含有する。共重合体中のアクリロニトリル単位が96重量%未満の場合は、炭素繊維に転換する際の焼成工程(耐炎化工程および炭素化工程)で繊維の熱融着を招き、炭素繊維の品質および性能を損ない易い。また、共重合体自体の耐熱性が低くなり、前駆体繊維を紡糸する際、繊維の乾燥あるいは加熱ローラーや加圧水蒸気による延伸のような工程において、単繊維間の接着が生じ易くなる。一方、共重合体中のアクリロニトリル単位の含有量が98.5重量%を越える場合には、溶剤への溶解性が低下し、紡糸原液の安定性が損なわれると共に共重合体の析出凝固性が著しく高くなり、前駆体繊維の安定した製造が困難となりやすい。
また本発明では、共重合体中にモノマー単位としてアクリルアミド単位1.0〜3.5重量%を含むことが好ましい。共重合体中のアクリルアミド単位の含有量を1.0重量%以上とすることにより、前駆体繊維の構造が十分緻密になり、優れた性能の炭素繊維が得られる。また、耐炎化工程での耐炎化反応性は、共重合体組成の微妙な変動の影響を大きく受けるが、アクリルアミド単位の含有量が1.0重量%以上であれば、安定した炭素繊維の生産ができる。また、アクリルアミドはアクリロニトリルとランダム共重合性が高く、しかも熱処理によりアクリロニトリルと極めて似通った形で環構造が形成されると考えられ、特に酸化性雰囲気中での熱分解は非常に少ないので、後述するカルボキシル基含有ビニル系モノマーと比較すると多量に含有させることができる。しかし、共重合体中のアクリルアミド単位の含有量が多くなると、共重合体中のアクリロニトリル単位含有量が少なくなり、前述したように共重合体の耐熱性が低下してくるので3.5重量%以下が適当である。
さらに本発明では、共重合体中にモノマー単位としてカルボキシル基含有ビニル系モノマー単位を0.5〜1.0重量%含有することが好ましい。カルボキシル基含有ビニル系モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等を挙げることができる。カルボキシル基含有ビニル系モノマー単位の含有量が少なすぎる場合、耐炎化反応が遅いため短時間の焼成では高性能の炭素繊維を得ることが難しくなる。そして短時間で耐炎化処理する場合は耐炎化温度を高温にせざるを得ないので、暴走反応が起きやすく、工程通過性、安全性の面で問題が生じる場合がある。また、共重合体中のカルボキシル基含有ビニル系モノマー単位の含有量が多くなると、耐炎化反応性は高くなるので、耐炎化処理時に繊維の表層付近が急激に反応する一方、中心部の反応が遅れるため耐炎化繊維は断面二重構造を形成する。しかしこのような構造では、次のさらに高温の炭素化工程において、繊維中心部の耐炎化構造が未発達な部分の分解が抑制できないため、炭素繊維の性能、特に引っ張り弾性率が著しく低下する。この傾向は耐炎化処理時間の短縮にしたがって顕著となる。
また前駆体繊維紡糸での延伸性や炭素繊維性能発現性などの点から、共重合体の重合度は極限粘度〔η〕が0.8以上のものが好ましい。重合度があまり高すぎると溶媒に対する溶解性が低下するので、共重合体濃度を下げることによるボイドの発生や延伸性および紡糸安定性の低下などが見られるので、通常は極限粘度〔η〕が3.5以下が好ましい。
本発明の前駆体繊維は、このような共重合体を用いて湿式紡糸法により製造されたものであって、引っ張り強度が7.0cN/dtex以上、引っ張り弾性率が130cN/dtex以上、ヨウ素吸着量が繊維重量当たり0.5重量%以下、広角X線回析による結晶配向度πが90%以上であり、かつトウ繊度の変動率が1.0%以下である。
前駆体繊維の引っ張り強度が7.0cN/dtex未満、または引っ張り弾性率が130cN/dtex未満では、これを焼成して得られる炭素繊維の力学的性能が不十分になる。
前駆体繊維のヨウ素吸着量が0.5重量%を越えると、繊維構造の緻密性または配同性が損なわれ不均質になり、炭素繊維に転換する焼成時に欠陥点となるため、得られる炭素繊維の性能が低下する。ここで、ヨウ素吸着量とは、繊維が吸着するヨウ素量であり、繊維構造の緻密性の程度を示す尺度である。小さいほど繊維が緻密であることを示す。
前駆体繊維の結晶配向度πが90%未満になると、前駆体繊維の引っ張り強度・弾性率が低くなり、これを焼成して得られる炭素繊維の力学的性能が不十分になる。また、結晶配向度πの非常に高いものを得ようとすると、さらに高い延伸倍率が必要になり、安定した紡糸が困難になるので、工業的に製造が容易な範囲は通常95%以下である。
ここで、広角X線解析による結晶配向度とは、繊維を構成する共重合体分子鎖の繊維軸方向における配向の程度を示す尺度であり、広角X線解析法による繊維の赤道線上回折点の円周方向強度分布の半価幅Hから、配向度π(%)=((180−H)/180)×100によって算出される値である。
また、前駆体繊維のトウ繊度の変動率が1.0%より大きくなると、炭素繊維に変換された後の単位長さ当たりのトウ重量のばらつきが大きくなるだけでなく、破断の原因となる欠陥が増加し、引っ張り強度が低下したり、シート状プリプレグ成型時にトウとトウの間に隙間が発生するなどの問題を引き起こす可能性がある。ここで、トウ繊度の変動率とは、トウの長手方向にトウ繊度を連続して測定した場合の変動率である。
さらに本発明の前駆体繊維は、表面粗滑係数が2.0〜4.0の範囲にあることが好ましい。表面の凹凸度がこの程度であると耐炎化処理時の繊維間の融着が抑制されるので耐炎化処理時の工程通過性が良好になる。また、得られた炭素繊維をプリプレグ等のコンポジットに成形する際に、マトリックス樹脂の炭素繊維間への含浸性が向上する。表面粗滑係数がこの範囲にあるものは湿式紡糸法により得ることができる。ここで、表面粗滑係数とは、走査型電子顕微鏡を用いて、繊維軸に直角の方向(繊維直径方向)に一次電子を走査し、繊維表面から反射される二次(反射)電子曲線を観察したときに、繊維直径の中心部60%の直径方向長さd’と、d’の範囲における二次電子曲線の全長(直線換算長さ)lから、l/d’で求められる値である。
次に本発明の前駆体繊維の製造方法について説明する。
本発明で使用されるアクリロニトリル系共重合体の重合方法は溶液重合、スラリー重合等公知の重合法の何れでも用いることができるが、未反応モノマーや重合触媒残査、その他の不純物を極力除くことが好ましい。
本発明では、前記共重合体を湿式紡糸して、凝固繊維とした後、浴中延伸、または空中延伸と浴中延伸による一次延伸と、加圧水蒸気延伸による二次延伸とを行う。
まず湿式紡糸の際には、前述のアクリロニトリル系共重合体を、溶剤に溶解し紡糸原液とする。このときの溶剤は、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミド等の有機溶剤や塩化亜鉛、チオシアン酸ナトリウム等の無機化合物の水溶液等の公知のものから適宜選択して使用することができる。
紡糸賦形は、上記紡糸原液を円形断面を有するノズル孔より凝固浴中に紡出することで行う。凝固浴としては、紡糸原液に用いられる溶剤を含む水溶液を通常用いる。
このとき得られた延伸前の凝固繊維は、引っ張り弾性率が1.1〜2.2cN/dtex(dtex=デシテックスは凝固繊維中の共重合体の重量に基づいたもの)の範囲にあることが好ましい。凝固繊維の引っ張り弾性率が約1.1cN/dtex未満の場合、凝固浴中など紡糸工程の初期段階において不均一な伸張を招き易く、トウ繊度やトウ内部の単繊維繊度の変動を招く場合がある。さらに紡糸各工程での延伸負荷の増加や延伸性の変動が顕著になることから、安定した連続紡糸が困難となる場合がある。
一方、引っ張り弾性率が約2.2cN/dtexを越えると、凝固浴中での単繊維切れが発生し易くなり、後工程での延伸性低下や安定性低下を招き、繊維に高度な配向を持たせることが困難になる。
このような凝固繊維は、共重合体の組成、溶剤、紡糸ノズル、ノズルからの吐出量を調節し、原液濃度、凝固浴濃度、凝固浴温度、紡糸ドラフトなどを適正な範囲に制御することにより得られる。
次に、凝固繊維を一次延伸する。浴中延伸は、凝固糸を凝固浴中または延伸浴中で延伸する。あるいは、一部空中延伸した後に、浴中延伸してもよい。浴中延伸は通常50〜98℃の延伸浴中で1回あるいは2回以上の多段に分割するなどして行われ、その前後あるいは同時に洗浄を行ってもよい。
浴中延伸、洗浄後の繊維は公知の方法によって油剤処理を行った後、乾燥緻密化する。乾燥緻密化の温度は、繊維のガラス転移温度を超えた温度で行う必要があるが、実質的には含水状態から乾燥状態によって異なることもあり、温度は100〜200℃程度の加熱ローラーによる方法が好ましい。このとき加熱ローラーの個数は、1個でも複数個でもよい。
このようにして、一次延伸後に油剤付与および加熱ローラーにより繊維の水分含有率を2重量%以下、特に1重量%以下に乾燥してから、連続して加圧水蒸気延伸を伴う二次延伸を行うことが好ましい。加圧水蒸気中での糸条の加熱効率が向上し、よりコンパクトな装置で延伸を行うことができると同時に、単繊維間の接着など品質を損なう現象の発生を極めて少なくでき、得られる繊維の緻密性や配向度をさらに高めることができるからである。
次に、加圧水蒸気延伸を伴う二次延伸について説明する。加圧水蒸気延伸法は、加圧水蒸気雰囲気中で延伸を行う方法であって、高倍率の延伸が可能であることから、より高速で安定な紡糸が行えると同時に、得られる繊維の緻密性や配向度向上にも寄与する。
本発明では、この加圧水蒸気延伸を伴う二次延伸において、加圧水蒸気延伸装置直前の加熱ローラーの温度を120〜190℃、加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率を0.5%以下に制御することが重要である。このようにすることにより、糸条になされる延伸倍率の変動およびそれによって発生するトウ繊度の変動を抑制することができる。120℃未満では炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の温度が十分に上がらず延伸性が低下する。
二次延伸倍率は、加圧水蒸気延伸装置の入口側および出口側にある双方のローラーの速度差により決定される。本発明では、通常、蒸気延伸装置直前のローラーは加熱ローラーであり、これは乾燥緻密化の最終段の加熱ローラーを兼ねることができる。本発明では、二次延伸は加圧水蒸気延伸装置の入口側・出口側の双方のローラーの速度差により行われる加熱ローラーによる延伸と加圧水蒸気による延伸の二段延伸となる。
この加熱ローラーにより延伸される倍率は、加熱ローラーの温度と、二次延伸における糸条の延伸張力によって決定されるため、二次延伸の延伸張力が変動すれば、加熱ローラーにより延伸される倍率は変動する。同一時間における二次延伸倍率は、加圧水蒸気延伸装置の入口側・出口側にある双方のローラーの速度差により常に一定に保たれているので、加圧水蒸気による延伸倍率は、加熱ローラーによる延伸倍率の変動に伴って変動する。つまり、加熱ローラーによる延伸と加圧水蒸気による延伸の配分が変動するのである。
加圧水蒸気延伸においては、糸条の走行速度や水蒸気圧力などに応じて、優れた延伸性能を発揮するための適正な処理時間が異なり、糸条の走行速度が速いほど、また水蒸気圧力が低いほど、長い処理時間が必要となる。工業的な前駆体繊維の製造では、通常数十cmから数mの処理長が必要であり、また、スチームの漏れを抑制する部分も必要であるため、加熱ローラーによる延伸から加圧水蒸気による延伸までに時間差が生じる。同一時間において、加熱ローラーによる延伸倍率と加圧水蒸気による延伸倍率の相乗は一定であるが、糸条になされる延伸倍率は、装置上、双方の延伸が全く同時間に行われていないため、加熱ローラーによる延伸と加圧水蒸気による延伸の配分が変動することにより変動し、結果としてトウ繊度の変動をもたらすことになる。
このため、加熱ローラーによる延伸と加圧水蒸気による延伸の遅延時間をできるだけ小さくすることが、糸条になされる延伸倍率の変動抑制に効果的であり、加圧水蒸気延伸装置の長さをできるだけ短くすることが有効である。しかし、糸条の加熱を十分に行い、工業的に安定な延伸性を確保するためには、ある程度の長さの加圧水蒸気延伸装置が必要となり、これまでの技術では糸条になされる延伸倍率の変動を避けられなかった。本発明者らは、この問題を解決すべく検討を行い、糸条になされる延伸倍率の変動抑制、つまり加熱ローラーによる延伸と加圧水蒸気による延伸の配分変動の抑制するためには、加熱ローラーによる延伸倍率を抑えることと、二次延伸における糸条の延伸張力の変動を少なくすることが重要であることを明らかにした。
加熱ローラーによる延伸は、前述したように、加熱ローラーの温度と二次延伸における糸条の発生張力によって決定されるため、加熱ローラーの温度の低下や、加圧水蒸気延伸における水蒸気の圧力を高くすることにより抑えることができる。加熱ロール温度を低下しすぎると加圧水蒸気中での糸条の加熱効率が低下するため、130〜190℃の範囲で適正な温度に制御する。また、加圧水蒸気延伸における水蒸気の圧力は、加熱ローラーによる延伸の抑制や加圧水蒸気延伸法の特徴が明確に現れるようにするため、200kPa・g(ゲージ圧、以下同じ。)以上が好ましい。この水蒸気圧は、処理時間との兼ね合いで適宜調節することが好ましいが、高圧にすると水蒸気の漏れが増大したりする場合があるので、工業的には600kPa・g程度以下で十分である。
一方、二次延伸における糸条の延伸張力変動は、加圧水蒸気延伸における水蒸気の圧力を一定に保つことにより抑えることができる。加圧水蒸気の圧力の変動は0.5%以下に制御することが好ましい。また加圧水蒸気の性状は、当該圧力の飽和水蒸気温度より約3℃を越えて高くならないよう、かつ液適状の水が含まれないように制御することが好ましい。
このように二次延伸の条件を設定することにより、初めて糸条へなされる延伸倍率の変動を抑制し、かつ高倍率で安定に延伸することが可能になり、全延伸倍率に対する二次延伸の割合を大きくすることができる。特に高い延伸倍率が必要となる例えば巻き取り速度が100m/分以上の高速紡糸においても、安定に品質の高い前駆体繊維を製造することができる。
さらに本発明では、全延伸倍率に対する二次延伸倍率の割合(二次延伸倍率/全延伸倍率)を0.2より大きくすることにより、より好ましい態様においてはさらに全延伸倍率を13以上とすることにより、紡糸安定性に優れ、湿式紡糸法を用いたものであっても、引っ張り特性および緻密性や配向性が極めて優れた前駆体繊維が得られる。
全延伸倍率が13未満の場合、繊維に十分な配向を与えることができないので、緻密性や配向度が十分でない。また、生産性を上げるために延伸倍率を下げた分凝固浴中でのドラフトを上げると、凝固浴中でのドラフトが高いため単繊維切れが発生しやすく、後工程での延伸性低下や安定性低下を招きやすい。また、全延伸倍率が大きすぎると、一次延伸や二次延伸において延伸負荷の増大により安定した連続紡糸が困難であるので、通常の条件では全延伸倍率25以下が好ましい。
また、加圧水蒸気延伸法の高い延伸性や、繊維の緻密性や配向度を向上する特性を十分に発揮させるためには、全延伸倍率に対する二次延伸倍率の割合を0.2より大きくすることが必要である。そうすることで一次延伸での延伸負荷を下げることができるので単繊維切れの発生がなく、また、加圧水蒸気延伸での延伸性低下や安定性の低下がない。従って、緻密性や配同性、機械的特性、品質および生産安定性のすべてにおいて満足できる前駆体繊維を得ることができる。これらの現象は紡糸速度が速い場合に、より顕著になる。尚、全延伸倍率に対する二次延伸倍率の割合は、大きすぎても二次延伸の負荷の増大により連続紡糸の安定性が低下しやすくなるので、全延伸倍率に対する二次延伸倍率の割合は通常0.35以下にすることが好ましい。
本発明の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維を焼成した炭素繊維は、一方向に引き揃えてプリプレグとする際、従来の炭素繊維より30%ほど高い生産性でプリプレグ化が可能である。これは炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の、ひいては炭素繊維の長手方向の繊度むらが少なく、これにより長手方向の開繊性のむらが少なくなっているためである。
以下に実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。実施例および比較例における共重合体組成、共重合体の極限粘度〔η〕、凝固繊維の引っ張り弾性率、前駆体繊維の引っ張り強度・弾性率、および炭素繊維(表中ではCFと略す)のストランド強度・弾性率、ヨウ素吸着量、広角X線解析による結晶配向度、トウ繊度の変動率、表面粗滑係数、繊維の水分含有率、加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率は以下の方法で測定した。
(イ)「共重合体組成」
1H−NMR法(日本電子GSX−400型超伝導FT−NMR)により測定した。
(ロ)「共重合体の極限粘度〔η〕」
25℃のジメチルホルムアミド溶液で測定した。
(ハ)「凝固繊維の引っ張り弾性率」
凝固繊維束を採取後、速やかに温度23℃、湿度50%の雰囲気中、試料長(掴み間隔)10cm、引っ張り速度100m/分にてテンシロンによる引っ張り試験を行った。
弾性率表示は、下式により凝固繊維束の繊度(dtex:凝固繊維束10000mあたりの共重合体のしめる重量)を求め、cN/dtexにて示した。
dtex=10000×f×Qp/V
f:フィラメント数、Qp:ノズル1ホールあたりの共重合体吐出量(g/分)、V:凝固繊維引き取り速度(m/分)
(ニ)「前駆体繊維の引っ張り強度・弾性率」
単繊維を採取し、温度23℃、湿度50%の雰囲気中、試料長(掴み間隔)2cm、引っ張り速度2cm/分にてテンシロンによる引っ張り試験を行った。
強度・弾性率表示は、単繊維の繊度(dtex;単繊維10000mあたりの重量)を求め、cN/dtexにて示した。
(ホ)「炭素繊維のストランド強度・弾性率」
JIS−7601に準じて測定した。
(ヘ)「ヨウ素吸着量の測定法」
前駆体繊維2gを精秤採取し、100mlの三角フラスコに入れる。これにヨウ素溶液(ヨウ化カリウム100g、酢酸90g、2,4−ジクロロフェノール10g、ヨウ素50gを蒸留水に溶解し1000mlの溶液とする)100mlを入れ60℃で50分間振とうしヨウ素吸着処理を行った。この後吸着処理糸を30分間イオン交換水にて洗浄し、さらに蒸留水にて洗い流した後、遠心脱水する。脱水糸を300mlビーカーに入れ、ジメチルスルホキシド200mlを加え60℃にて溶解した。この溶液を0.01mol/l硝酸銀水溶液で電位差滴定しヨウ素吸着量を求めた。
(ト)「広角X線解析による結晶配向度の測定法]
広角X線解析法によるポリアクリロニトリル系繊維の赤道線上解析点の円周方向強度分布の半価幅Hから次式によって算出される値である。
配向度π(%)=((180−H)/180)×100
広角X線解析(カウンター法)
(1)X線発生装置
理学電気(株)製 RU−200
X線源:CuKα(Niフィルター使用)
出力:40KV 190mA
(2)ゴニオメーター
理学電気(株)製 2155D1
スリット系:2MM 0.5°×1°
検出器:シンチレーションカウンター
(チ)「トウ繊度の変動率」
前駆体繊維トウの長手方向に、1mの長さのトウを連続して100回正確に切断して、それぞれ85℃の乾燥機で12時間乾燥したのち、乾燥後の重量を測定して、次式によりその変動率を求めた。
変動率(%)=(σ/E)×100
σ:測定データの標準偏差、E:測定データの平均値
(リ)「表面粗滑係数の測定法」
まず、走査型電子顕微鏡装置のコントラスト条件を磁気テープを標準試料として調整した。すなわち、標準試料として高性能磁気テープを使用し、加速電圧:13kV、倍率:1000倍、スキャンニング速度:3.60m/秒の条件下に二次電子曲線を観察し、その平均振幅が約40mmとなるようコントラスト条件を調整した。ついで、かかる調整後、試料の前駆体繊維軸に直角の方向(繊維直径方向)に一時電子を走査し、繊維表面から反射される二次(反射)電子曲線をラインプロファイル装置を用いてブラウン管上に像映させ、これを10000倍の撮影倍率でフィルムに撮影した。なお、この際の加速電圧は13kV、スキャンニング速度は0.18cm/秒である。
このようにして得られた二次電子曲線写真をさらに焼き付け時に2倍に引き延ばして、すなわち倍率は合計20000倍として、二次電子曲線図(写真)とする。その典型的な例を図1に示す。同図においてdは繊維直径、d’は繊維直径の左右両端部をそれぞれ20%除いた領域、すなわち繊維直径の中心部60%の直径方向長さであり、d’=0.6dである。また、lはd’の範囲における二次電子曲線の全長(直線換算長さ)である。
lとd’から、表面粗滑係数はl/d’で求められる。
(ヌ)「繊維の水分含有率の測定」
繊維を85℃の乾燥機で12時間乾燥し、乾燥前後の重量W1、W2を測定し、次式により算出した。
水分率(%)=((W1−W2)/W2)×100
(ル)「加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率」
加圧水蒸気延伸において、延伸装置内部の圧力を40秒間モニターし、0.04秒ごとの圧力データを採取して、次式によりその変動率を求めた。
変動率(%)=(σ/E)×100
σ:測定データの標準偏差、E:測定データの平均値
[実施例1]
アクリロニトリル97.1重量%、アクリルアミド2.0重量%、メタクリル酸0.9重量%からなり極限粘度〔η〕が1.7の共重合体を、共重合体濃度23重量%となるようにジメチルホルムアミドに溶解して紡糸原液とした。この紡糸原液を12000ホールのノズルを用いて、濃度70重量%、温度35℃のジメチルホルムアミド水溶液中に吐出して湿式紡糸した。得られた凝固繊維の引っ張り弾性率は1.59cN/dtexであった。
次に凝固繊維を沸水中で4.75倍延伸しながら洗浄・脱溶剤した後、シリコン系油剤浴液中に浸漬し、140℃の加熱ローラーにて乾燥緻密化した。このときの水分含有率は、0.1重量%以下であった。引き続いて294kPa・gの加圧水蒸気中にて2.8倍延伸した後、再乾燥して前駆体繊維を得た。このときの巻き取り速度は100m/分であった。また、加圧水蒸気延伸に際して、加圧水蒸気延伸装置直前の加熱ローラーの温度は140℃、加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率は0.2%以下になるよう制御し、加圧水蒸気延伸室に供給される水蒸気は、ドレントラップにより液適状の水を除去し、加圧水蒸気延伸室の温度は142℃に温度調節した。
全延伸倍率は13.3、全延伸倍率に対する二次延伸倍率の割合は0.21であった。
尚、加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の調整は、延伸機中に設けたヤマタケハネウェル社製JPG940A、BSTJ300圧力伝送機で得たデータを横河電機社製PIDデジタル指示調整機に送り、この指示調整機の指示で自動圧力調整弁の開度を変化させることによって行なった。
紡糸工程中、単繊維切れ・毛羽の発生はほとんど認められず、紡糸安定性は良好であった。この前駆体繊維の引っ張り強度は7.5cN/dtex、引っ張り弾性率は147cN/dtex、ヨウ素吸着量は0.2重量%、広角X線解析による結晶配向度πは93%、トウ繊度の変動率は0.6%、表面祖滑係数は3.0であった。
この繊維を空気中230〜260℃の熱風循環式耐炎化炉にて5%の伸張を付与しながら30分熱処理し、繊維密度が1.368g/cm3の耐炎化繊維とし、引き続きこの繊維を窒素雰囲気下最高温度600℃、伸張率5%にて1.5分間低温熱処理し、さらに同雰囲気下で最高温度が1400℃の高温熱処理炉にて−4%の伸張の下、約1.5分処理した。得られた炭素繊維のストランド強度は4800MPa、ストランド弾性率は284GPaであった。
[比較例1〜3]
凝固浴条件をそれぞれ濃度60重量%、温度35℃のジメチルホルムアミド水溶液(比較例1)、濃度73重量%、温度35℃のジメチルホルムアミド水溶液(比較例2)、濃度70重量%、温度50℃のジメチルホルムアミド水溶液(比較例3)とし、それ以外は実施例1と同様にして紡糸を行った。
比較例1においては毛羽の発生が多く、連続的に前駆体繊維を得ることが困難であった。比較例2および3では前駆体繊維を得た後、実施例1と同様な条件で焼成した。このときの凝固繊維の引っ張り弾性率、前駆体繊維の毛羽の程度・引っ張り強度と弾性率・ヨウ素吸着量・広角X線配向度、および炭素繊維のストランド特性を表1に示した。
[比較例4、5]
加圧水蒸気延伸の条件をそれぞれ、加圧水蒸気延伸装置直前の加熱ローラーの温度を195℃、加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率は0.7%程度(比較例4)、加圧水蒸気延伸装置直前の加熱ローラーの温度は140℃、加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率は0.7%程度(比較例5)とし、それ以外は実施例1と同様にして紡糸を行った。
比較例4においては前駆体繊維のトウ繊度の変動率は1.7%、比較例5ではは前駆体繊維のトウ繊度の変動率は1.2%であった。
[実施例2〜4]
実施例1と同様のアクリロニトリル系共重合体を用い、共重合体濃度21重量%のジメチルアセトアミド溶液を紡糸原液とし、12000ホールのノズルを用いて濃度70重量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液中に吐出して湿式紡糸した。
引き続きこの繊維を空中にて1.5倍の延伸を施し、沸水中で延伸しながら洗浄・脱溶剤した後、シリコン系油剤浴液中に浸漬し、140℃の加熱ローラーにて乾燥緻密化した。引き続いて、294kPa・gの加圧水蒸気中にて延伸した後、再乾燥して前駆体繊維を得た。このときの巻き取り速度は100m/分であった。また、加圧水蒸気延伸に際して、加圧水蒸気延伸装置直前の加熱ローラーの温度は140℃、加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率は0.2%以下になるよう制御し、加圧水蒸気延伸室に供給される水蒸気は、ドレントラップにより液適状の水を除去し、加圧水蒸気延伸室の温度は142℃に温度調節した。
さらにこの繊維を実施例1と同様の条件にて焼成して炭素繊維を得た。それぞれの全延伸倍率および全延伸倍率に対する二次延伸倍率の割合、凝固繊維の引っ張り弾性率、前駆体繊維の毛羽の程度・引っ張り強度と弾性率・ヨウ素吸着量・広角X線配向度・トウ繊度変動率、および炭素繊維のストランド特性を表1に示した。
[比較例6]
全延伸倍率に対する二次延伸倍率の割合を表1の値とし、それ以外の条件は実施例2と同様とした。さらに、この繊維を実施例2と同様の条件にて焼成して炭素繊維を得た。凝固繊維の引っ張り弾性率、前駆体繊維の毛羽の程度・引っ張り強度と弾性率・ヨウ素吸着量・広角X線配向度、および炭素繊維のストランド特性を表1に示した。
[比較例7〜11]
アクリロニトリル系共重合体の組成を表2の値とし、それ以外の条件は全て実施例2と同様にして前駆体繊維を得た後、さらに焼成した。それぞれの凝固繊維の引っ張り弾性率、前駆体繊維の毛羽の程度・引っ張り強度と弾性率・ヨウ素吸着量・広角X線配向度、および炭素繊維のストランド特性を表2に示した。なお、比較例7の場合は耐炎化工程で燃焼・発煙が生じた。
[実施例5]
実施例1と同様のアクリロニトリル系共重合体を用い、共重合体濃度21重量%のジメチルアセトアミド溶液を紡糸原液とし、12000ホールのノズルを用いて濃度70重量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液中に湿式紡糸した。
引き続きこの繊維を空中にて1.5倍の延伸を施し、沸水中で延伸しながら洗浄・脱溶剤した後、シリコン系油剤浴液中に浸漬し、160℃の加熱ローラーにて乾燥緻密化した。引き続いて、294kPa・gの加圧水蒸気中にて延伸した後、再乾燥して前駆体繊維を得た。このときの巻き取り速度は140m/分であった。また、加圧水蒸気延伸に際して、加圧水蒸気延伸装置直前の加熱ローラーの温度は140℃、加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率は0.2%以下になるよう制御し、加圧水蒸気延伸室に供給される水蒸気は、ドレントラップにより液適状の水を除去し、加圧水蒸気延伸室の温度は142℃に温度調節した。
さらにこの繊維を実施例1と同様の条件にて焼成して炭素繊維を得た。全延伸倍率および全延伸倍率に対する二次延伸倍率の割合、凝固繊維の引っ張り弾性率、前駆体繊維の毛羽の程度・引っ張り強度と弾性率・ヨウ素吸着量・広角X線配向度・トウ繊度変動率、および炭素繊維のストランド特性を表2に示した。
[実施例6]
比較例4で得られた得られた炭素繊維をそれぞれ炭素繊維目付が125g/m2となるように引き揃えシート状とした。その上下面に離型紙上に三菱レイヨン株式会社製エポキシ樹脂#340を塗布した樹脂フィルム(樹脂目付27g/m2)をエポキシ樹脂が炭素繊維に接するように重ね、プリプレグ製造機に通し、125g/m2のプリプレグを製造した。製造速度を徐々に上げていくと、炭素繊維の開繊性が低下していき、炭素繊維のない約1mm幅スプリットが4〜5m毎に2〜3ヶ所発生するようになった。尚、このとき用いたプリプレグ製造機は、加熱した7対のフラットな金属製プレスロール、1対の冷却ロール、1対のゴム製の引き取りロールからなるもので、離型紙上にエポキシ樹脂を塗布した樹脂フィルムの間に、炭素繊維を挟んだ状態で供給し、プレスロール表面で加熱して樹脂を流動化すると共にプレスし、炭素繊維層に樹脂を含浸させる。その後冷却したのちゴム製ロール対により引き取ってプリプレグを得る。
次に炭素繊維を実施例1で得られた炭素繊維にかえたところ、比較例4の炭素繊維でスプリットが発生した製造速度より30%増しの製造速度においてもスプリットのないプリプレグが安定して製造できた。
[比較例12]
実施例1加熱水蒸気延伸装置前のローラー温度を115℃とした他は実施例1と同様に操作して、炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維を得た。毛羽の程度が多く、巻き取りが困難であった。
Figure 2006348462
Figure 2006348462
本発明によれば、より短時間の焼成で高品質の炭素繊維を安価に製造することが可能な、高強度・高弾性率で緻密性および配向度が高く、かつトウ繊度変動率の小さい炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維を提供することができる。
また、そのような性質の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維を、湿式紡糸方法によって長時間糸切れすることがなく毛羽の発生が少なく、高速で安定に製造することができる。
本発明の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維は、長手方向の繊度むらが少なく、これを焼成して得られる炭素繊維も長手方向の繊度むらが少ない。これにより長手方向の開繊性のむらが少なくなるため、従来の炭素繊維より30%ほど高い生産性でプリプレグ化が可能である。
表面粗滑係数を測定するための二次電子曲線図である。
符号の説明
d 繊維直径
d’ 繊維直径の中心部60%の直径方向の長さ
l d’の範囲における二次電子曲線の全長(直線換算長さ)

Claims (6)

  1. アクリロニトリル系共重合体を湿式紡糸して、凝固繊維とした後、浴中延伸、または空中延伸と浴中延伸をによる一次延伸を行った後、加圧水蒸気延伸を伴う二次延伸を行う炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法であって、加圧水蒸気延伸装置に糸条を導入する直前の加熱ローラーの温度を120〜190℃に設定し、前記加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率を0.5%以下に制御し、かつ全延伸倍率に対する二次延伸倍率の割合が0.2より大きくなるように延伸することを特徴とする炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法。
  2. 全延伸倍率が13以上である請求項1記載の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法。
  3. 前記アクリロニトリル系共重合体がアクリロニトリル単位96.0〜98.5重量%、アクリルアミド単位1.0〜3.5重量%、およびカルボキシル基含有ビニル系モノマー単位0.5〜1.0重量%からなる請求項1または2記載の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法。
  4. 延伸前の前記凝固繊維の引っ張り弾性率が1.1〜2.2cN/dtexである請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法。
  5. 前記加圧水蒸気延伸時の水蒸気圧が200kPa(ゲージ圧)以上である請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法。
  6. 前記加圧水蒸気延伸を行うときの繊維の水分率が2重量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法。
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