JP2009256831A - 炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
高い張力あるいは延伸倍率の焼成条件下においても毛羽立ちや糸切れを抑制し、生産性を損なうことなく高品位・高品質な炭素繊維を製造することができる炭素繊維前駆体繊維を提供する。
【解決手段】
92〜95%の配向度を有する炭素繊維前駆体繊維であって、130℃において1.25g/dtexの荷重を加えたときの単繊維のクリープ速度が0.01〜0.1%/分である炭素繊維前駆体繊維と、その炭素繊維前駆体繊維を用いる炭素繊維の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、炭素繊維の製造工程における通過安定性に優れる高品位な炭素繊維前駆体繊維、およびその炭素繊維前駆体繊維を用いた炭素繊維の製造方法に関するものである。
炭素繊維は、他の繊維に比べて高い比強度および比弾性率を有するため、複合材料用補強繊維として、従来からのスポーツ用途や航空・宇宙用途に加え、自動車や土木・建築、圧力容器および風車ブレードなどの一般産業用途にも幅広く展開されつつあり、更なる生産性の向上と高性能化両立の要請が高い。
炭素繊維の中で、最も広く利用されているポリアクリロニトリル(以下、PANと略記することがある)系炭素繊維は、その前駆体となるPAN系重合体からなる紡糸溶液を湿式紡糸、乾式紡糸または乾湿式紡糸して炭素繊維前駆体繊維(以下、前駆体繊維と略記することがある)を得た後、それを200〜400℃の温度の酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維へ転換し、少なくとも1000℃の温度の不活性雰囲気下で加熱して炭素化することによって工業的に製造されている。
高性能な炭素繊維を得るためには、先述の各製造工程において、繊維束の張力を高くする、あるいは延伸倍率を高く設定することがよく行われるが、その結果毛羽立ちや糸切れを起こすことが多い。工業的に製造する場合には、毛羽立ちや糸切れによって品位ならびに品質が低下するだけでなく、更には脱落した毛羽や切れた糸がローラーに巻き付き、後続の繊維束を損傷させる原因となることや、あるいは炉内に堆積すると蓄熱による火災および爆発の原因となることがあり、安定的に生産するためには妥協的な延伸倍率で操業せざるを得ないという問題がある。特に、耐炎化工程においては、耐炎化反応の進行に合わせて、延伸プロフィールを割り振り、延伸の安定化を図る技術も提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。しかしながら、これら特許文献では、妥協的な延伸倍率を提示したのみであり、抜本的に耐炎化工程で高い延伸倍率を設定できる技術ではなく、かつ、妥協的な延伸倍率でさえ、糸切れを0にすることもできなかった。
前駆体繊維および炭素繊維の配向度を高く制御することは、高強度・高弾性率の炭素繊維を達成するために広く採用されている。高い配向度を有する前駆体繊維であるほど、それ以降の工程で毛羽が発生しやすい。耐炎化工程での延伸比を、前駆体繊維の収縮率に応じて調節し、毛羽立ちや糸切れを抑え工程安定化を図る例が報告されている(特許文献3参照)が、収縮率の小さな前駆体繊維とするためには、紡糸工程における延伸比を妥協的な値とせざるを得ないため、前駆体繊維の延伸比と耐炎化工程での延伸比とのトレードオフの関係からは抜け出せておらず、これらを両立させる技術が求められている。
特開昭62−257422号公報 特開昭58−186614号公報 特開2005−171403号公報
本発明は、上記問題点を解決し、高い張力あるいは延伸倍率の焼成条件下においても毛羽立ちや糸切れを抑制し、生産性を損なうことなく高品位・高品質な炭素繊維を製造することを目的とし、かかる炭素繊維を製造できる炭素繊維前駆体繊維を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の炭素繊維前駆体繊維は、次の構成を有する。すなわち、92〜95%の配向度を有し、130℃において1.25g/dtexの荷重を加えたときの単繊維のクリープ速度が0.01〜0.1%/分である炭素繊維前駆体繊維である。
また、上記の目的を達成するため、本発明の炭素繊維の製造方法は、次の構成を有する。すなわち、前記した炭素繊維前駆体繊維を、200〜300℃の温度の空気中において延伸比0.8〜3で延伸しながら耐炎化する耐炎化工程と、耐炎化工程で得られた繊維を、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において延伸比1〜1.3で延伸しながら予備炭化する予備炭化工程と、予備炭化工程で得られた繊維を1,000〜3,000℃の温度の不活性雰囲気中において延伸比0.96〜1.05で延伸しながら炭化する炭化工程を順次経て炭素繊維を得る炭素繊維の製造方法である。
本発明によれば、高い張力あるいは延伸倍率の焼成条件下においても毛羽立ちや糸切れを抑制し、生産性を損なうことなく高品位・高品質な炭素繊維を製造でき、かかる炭素繊維を製造するに好適な炭素繊維前駆体繊維を提供することができる。
本発明者らは、紡糸工程において既に十分に延伸され高度に配向しているにも関わらず、耐炎化工程で高い延伸比で延伸しても、毛羽立ちや糸切れを抑制することができ、工程安定化を図ることができる高強度な炭素繊維を製造する技術について鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
本発明の前駆体繊維は、結晶配向度が、92〜95%、好ましくは92〜93%である。結晶配向度が92%を下回ると、得られる炭素繊維のストランド引張弾性率が低下する。一方、紡糸工程における延伸によって結晶配向度を95%を越えるようにすることは実際上難しく、過度な延伸は繊維束の破断に繋がる。よって結晶配向度は高いほど好ましいが、現実的に設定できる値としては95%が上限と考えられる。かかる結晶配向度とするには、詳細は後述するが、PAN系重合体溶液を繊維状に凝固した後の延伸倍率を10〜15倍とすることで達成できる。
また、本発明の前駆体繊維は、130℃において1.25g/dtexの荷重を加えたときの単繊維のクリープ速度が0.01〜0.1%/分、好ましくは0.04〜0.1%/分、より好ましくは0.04〜0.06%/分である。クリープ速度とは、一定荷重を負荷し続けた際の変形速度のことで、最終製品とする場合には通常変形しない、すなわち、低クリープ速度であることが求められることが多い。しかしながら、炭素繊維の中間繊維である前駆体繊維においては、これまで着目されてこなかったものである。本発明者らは、最終製品としては通常低い方が好ましいと考えられてきたクリープ速度が、炭素繊維前駆体繊維にあっては低い必要はなく、むしろ高い方が望ましいことを見出した。すなわち、高い結晶配向度の割に大きなクリープ速度を有することが、一定荷重が負荷され続ける耐炎化以降の工程で無理に変形を妨げず、単繊維レベルの糸切れを抑制できるものと考えている。そのため、クリープ速度が0.01%/分より小さいと、延伸性が低下し、耐炎化工程での毛羽発生が増加する。また、クリープ速度が0.1%/分より大きいと、毛羽立ちや糸切れを抑制する効果は得られるが、その効果は飽和しているため、更に前駆体繊維製造時の延伸倍率を高めるべきである。
かかるクリープ速度が上記範囲内である前駆体繊維を得るには、繊維の絡み合い点数を減らすことが必要であり、延伸を多段で行い、絡み合い点を拘束させずに絡み合いを解きながら延伸する方法や、PAN系重合体溶液を準希薄溶液状態として凝固、延伸する方法が考えられるが、工業的には、紡糸に用いるPAN系重合体のZ+1平均分子量Mz+1と重量平均分子量Mwとの比Mz+1/Mwを適切に制御することで最も好適に実現される。具体的にはMz+1/Mwは6以上であることが好ましく、6〜25であることがより好ましく、6〜15であることがさらに好ましい。なお、かかるPAN系重合体は溶媒に溶解した紡糸溶液として紡糸に供給されるのが通例である。
Mz+1/Mwを上記のように制御することで、高度な延伸を経て高い配向としても、高いクリープ速度を有する前駆体繊維が得られる原因は明らかではないが、次のように推定している。すなわち、分子量の高い成分が通常分子量の成分と共存する重合体溶液を紡糸する際、各部でかかる伸長・剪断によって分子鎖は伸びきり鎖を形成するように変形をうける。分子量の高い成分は、変形してから元に戻るのに要する時間、すなわち緩和時間が長く、糸条のなかで伸びきり鎖に近い状態を長い間保持する。糸条の中では、通常分子量成分間の絡み合いによるネットワークが伸びきり鎖に近い形状をとった分子量の高い成分によって分断され、延伸される際には、分子量の高い成分に沿うようにして通常分子量成分が変形する、あるいは分子量の高い成分が絡み合いネットワークに働く応力を逃がす、あるいは分子量の高い成分に応力集中し優先的に切れることで歪みを吸収する、など種々の原因が推定される。
また、本発明の前駆体繊維は強度が700〜1500MPaであることが好ましい。強度が700MPaを下回ると耐炎化工程での高張力に耐えられないことがあり、強度は高いほど好ましいが、1500MPaが工業的には限界である。
また、前駆体繊維の単繊維引張強度のワイブル形状係数は9以上であることが好ましい。ワイブル形状係数は単繊維引張強度のばらつきを示すものであり、9以上であり、高いほど炭素繊維製造工程での毛羽抑制の観点から好ましく、20以下が工業的な限界である。
また、本発明の前駆体繊維は、単繊維繊度が、0.7〜1.5dtexであることが好ましく、0.7〜1.0dtexであることがより好ましく、0.7〜0.8dtexであることがさらに好ましい。単繊維繊度が小さすぎると、ローラーやガイドとの接触による糸切れ発生などにより、製糸工程および炭素繊維の焼成工程のプロセス安定性が低下することがある。単繊維繊度が0.7dtex以上であると弱糸の少ない高引張強度な炭素繊維が得られやすい。一方、単繊維繊度が大きすぎると、耐炎化後の各単繊維における内外構造差が大きくなり、続く炭化工程でのプロセス性低下や、得られる炭素繊維の引張強度および引張弾性率が低下することがある。単繊維繊度が0.8dtex以下であると特に引張強度向上効果が大きい。また、従来、単繊維繊度の小さい前駆体繊維を得る場合には、口金孔径を小さくする方法や限界近くまで紡糸ドラフト率を上げる方法が採用されていたため、小さな口金孔から紡糸溶液を均一に吐出するのが困難であったり、引き取りが安定しなかったりという問題があったが、Mz+1/Mwを適切に制御した前記PAN系重合体を用いれば単繊維繊度のバラツキの小さな前駆体繊維束が得られる。
本発明の前駆体繊維は、通常、連続繊維(フィラメント)の形状である。また、その1糸条(マルチフィラメント)当たりのフィラメント数は、好ましくは12000〜170,000本であり、より好ましくは42,000〜170,000本である。本発明の前駆体繊維は、延伸性が高いことから、単繊維繊度を従来よりも小さくすることができる一方、1糸条あたりのフィラメント数は、生産性の向上の目的からは多い方が好ましいが、あまりに多すぎると、束内部まで均一に耐炎化処理できないことがある。特に、単繊維繊度が小さいときにローラーやガイドとの接触による擦れや圧迫による表面欠陥生成の影響を受けやすく、1糸条当たりのフィラメント数を多くして焼成することが好ましい。
なお、本発明では、重量平均分子量Mw、Z+1平均分子量Mz+1ならびにZ平均分子量Mz、および数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(以下、GPC法と略記することがある)で測定され、ポリスチレン換算値として示される。なお、多分散度Mz+1/Mwは次の意味を有する。すなわち、数平均分子量Mnは、高分子化合物に含まれる低分子量物の寄与を敏感に受ける。これに対して、Mwは、高分子量物の寄与を敏感に受け、Mzは高分子量物の寄与をさらに敏感に受け、MZ+1は、高分子量物の寄与をMzより敏感に受ける。そのため、多分散度Mw/Mn、Mz/MwあるいはMZ+1/Mwを用いることにより分子量分布の広がりを評価することができる。Mw/Mnが1であるとき単分散であり、大きくなるにつれて分子量分布が低分子量側を中心にブロードになることを示すのに対して、Mz/Mwは大きくなるにつれて、分子量分布が高分子量側を中心にブロードになることを示す。特に、MZ+1/Mwは、Mwの大きく異なる2種のポリマーを混合しているような場合には、顕著に大きくなる。
また、Mw/Mnは、小さいほど炭素繊維の構造欠陥となりやすい低分子量成分の含有量が少ないため、小さいほど好ましく、Mz/MwよりもMw/Mnが小さいことが好ましい。すなわち、高分子量側にも、低分子量側にもブロードであっても、吐出安定性低下は少ないが、低分子量側はなるべくシャープであることが好ましく、Mz/MwがMw/Mnに対して、1.5倍以上であることが好ましく、更には1.8倍以上であることがより好ましい。本発明者らの検討によると、通常、アクリロニトリル(以下、ANと略記する)の重合でよく行われている、水系懸濁、溶液法などのラジカル重合においては、分子量分布が低分子量側に裾を引いているため、Mw/MnがMz/Mwよりも大きくなる。そのため、重合開始剤の種類と割合や逐次添加など、特殊な条件で重合を行うか、一般的なラジカル重合を用いる場合、2種以上のPAN系重合体を混合する方法があり、重合体を混合する方法が簡便である。混合する種類は、少ないほど簡便であり、吐出安定性の観点からも2種で十分なことが多い。
混合する重合体のMwは、Mwの大きいPAN系重合体をA成分とし、Mwの小さいPAN系重合体をB成分とすると、A成分のMwは好ましくは100万〜1500万であり、より好ましくは100万〜500万であり、B成分のMwは5万〜90万であることが好ましい。A成分とB成分のMwの差が大きいほど、混合された重合体のMz/Mwが大きくなる傾向があるため好ましい態様であるが、A成分のMwが1500万より大きいときはA成分の生産性は低下する場合があり、B成分のMwが15万未満のときは前駆体繊維の強度が不足する場合があり、Mz/Mwは10以下とすることが現実的である。
具体的には、A成分とB成分の重量平均分子量の比は、4〜45であることが好ましく、20〜45であることがより好ましい。
また、A成分とB成分の重量比は、0.003〜0.3であることが好ましく、0.005〜0.2であることがより好ましく、0.01〜0.1であることが更に好ましい。A成分とB成分の重量比が0.003未満では、歪み硬化が不足することがあり、また0.3より大きいときは重合体溶液の吐出粘度が上がりすぎて吐出困難となることがある。
A成分とB成分の重合体を混合する場合、両重合体を混合してから溶媒で希釈する方法、重合体それぞれを溶媒に希釈したもの同士を混合する方法、溶解しにくい高分子量物であるA成分を溶媒に希釈した後にB成分を混合溶解する方法、および高分子量物であるA成分を溶媒に希釈したものとB成分を構成する単量体を混合して単量体を溶液重合することにより混合する方法などを採用することができる。混合には、混合槽で攪拌する方法やギヤポンプなどで定量してスタティックミキサーで混合する方法、二軸押出機を用いる方法などが好ましく採用できる。高分子量物を均一に溶解させる観点から、高分子量物であるA成分を初めに溶解する方法が好ましい。特に、炭素繊維前駆体製造用とする場合には、高分子量物であるA成分の溶解状態が極めて重要であり、わずかであっても未溶解物が存在していた場合には異物として認識され、フィルター濾材に濾過されるか、濾過させないほど小さいときには炭素繊維内部にボイドを形成することがある。
具体的には、A成分の溶媒に対する重合体濃度、すなわちA成分と溶媒のみからなる溶液を仮想したときの、その溶液中におけるA成分の重合体濃度を好ましくは0.1〜5重量%になるようにした後、B成分を混合する、あるいは、B成分を構成する単量体を混合して重合する。上記のA成分の重合体濃度は、より好ましくは0.3〜3重量%であり、さらに好ましくは0.5〜2重量%である。上記のA成分の重合体濃度は、より具体的には、重合体の集合状態として、重合体がわずかに重なり合った準希薄溶液とすることが好ましく、B成分を混合する、あるいは、B成分を構成する単量体を混合して重合する際に、混合状態が均一となりやすいため、孤立鎖の状態となる希薄溶液とすることが更に好ましい態様である。希薄溶液となる濃度は、重合体の分子量と溶媒に対する重合体の溶解性によって決まる分子内排除体積によって決まるとみられるため、一概には決められないが、本発明においては概ね前記範囲にすることにより凝集してフィルター濾材内に堆積することが少ない。上記の重合体濃度が5重量%を超える場合は、A成分の未溶解物が存在することがあり、0.1重量%未満の場合は、分子量にもよるが希薄溶液となっているため効果が飽和していることが多い。
上記のように、A成分の溶媒に対する重合体濃度を好ましくは0.1〜5重量%になるようにした後、それにB成分を混合溶解する方法でもかまわないが、工程省略の観点から高分子量物を溶媒に希釈したものとB成分を構成する単量体を混合して単量体を溶液重合することにより混合する方法を採用する方が好ましい。
A成分の溶媒に対する重合体濃度を0.1〜5重量%になるようにする方法としては、希釈による方法でも重合による方法でも構わない。希釈する場合は、均一に希釈できるまで撹拌することが重要であり、希釈温度としては50〜120℃が好ましく、希釈時間は希釈温度や希釈前濃度によって異なるため、適宜設定すればよい。希釈温度が50℃未満の場合は、希釈に時間がかかることがあり、120℃を超える場合は、A成分が変質する恐れがある。また、重合体の重なり合いを希釈する工程を減らし、均一に混合する観点から、前記のA成分の製造から前記のB成分の混合開始、あるいは、B成分を構成する単量体の重合開始までの間、A成分の溶媒に対する重合体濃度を0.1〜5重量%の範囲に制御することが好ましい。具体的には、A成分を溶液重合により製造する際に、重合体濃度が5重量%以下で重合を停止させ、それにB成分を混合する、あるいは、B成分を構成する単量体を混合しその単量体を重合する方法である。通常、溶媒に対する仕込み単量体の割合が少ないと、溶液重合により高分子量物を製造することは困難なことが多いため仕込み単量体の割合を多くするが、上記のA成分の重合体濃度が5重量%以下の段階では、重合率が低く、未反応単量体が多く残存していることになる。未反応単量体を揮発除去してから、B成分を混合してもかまわないが、工程省略の観点からその未反応単量体を用いてB成分を溶液重合することが好ましい。
本発明で好適に用いられるA成分としては、PANと相溶性を有することが望ましく、相溶性の観点からPAN系重合体であることが好ましい。組成としては、ANが好ましくは93〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を7モル%以下なら共重合させてもよいが、共重合成分の連鎖移動定数がANより小さく、必要とするMwを得にくい場合は、共重合成分の量をなるべく減らすことが好ましい。
ANと共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。
A成分であるPAN系重合体を製造するための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法などから選択することができるが、ANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒が好適に用いられる。必要とするMwを得にくい場合は、連鎖移動定数の大きい溶媒、すなわち、塩化亜鉛水溶液による溶液重合法、あるいは水による懸濁重合法も好適に用いられる。
本発明で好適に用いられるB成分であるPAN系重合体の組成としては、ANが好ましくは93〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を7モル%以下なら共重合させてもよいが、共重合成分量が多くなるほど耐炎化工程で共重合部分での熱分解による分子断裂が顕著となり、得られる炭素繊維の引張強度が低下する。
ANと共重合可能な単量体としては、耐炎化を促進する観点から、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。
B成分であるPAN系重合体を製造するための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法などから選択することができるが、ANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒が好適に用いられる。中でも、PANの溶解性の観点から、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましい。これらの重合に用いる原料は、全て濾過精度1μm以下のフィルター濾材を通した後に用いることが好ましい。
前記したPAN系重合体を、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPAN系重合体が可溶な溶媒に溶解し、紡糸溶液とする。溶液重合を用いる場合、重合に用いられる溶媒と紡糸溶媒を同じものにしておくと、得られたPAN系重合体を分離し紡糸溶媒に再溶解する工程が不要となる。
45℃の温度におけるPAN系重合体溶液の粘度は、15〜200Pa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜100Pa・sの範囲であることがより好ましく、25〜60Pa・sの範囲であることが最も好ましい。溶液粘度が15Pa・s未満では、紡糸糸条で毛管破断しやすくなるため、口金から出た糸条を引き取る速度、すなわち可紡性が低下する傾向を示す。また、溶液粘度は200Pa・sを超えるとゲル化し易くなり、フィルター濾材が閉塞しやすくなる傾向を示す。紡糸溶液の粘度は、Mwと重合体濃度、溶媒種類などにより制御することができる。
紡糸溶液のPAN系重合体濃度は、15〜30重量%の範囲であることが好ましく、17〜25重量%であることがより好ましく、19〜23重量%であることが最も好ましい。重合体濃度が15重量%未満では溶剤使用量が多くなり経済的でなく、凝固浴内での凝固速度を低下させ内部にボイドが生じて緻密な構造が得られないことがある。一方、PAN系重合体濃度が30重量%を超えると粘度が上昇し、紡糸が困難となる場合がある。紡糸溶液のPAN系重合体濃度は、使用する溶媒量により調製することができる。
本発明においてPAN系重合体濃度とは、PAN系重合体溶液に含まれるPAN系重合体の重量%である。具体的には、PAN系重合体溶液を計量した後、PAN系重合体を溶解せずかつPAN系重合体溶液に用いる溶媒と相溶性のある溶媒中に、計量したPAN系重合体溶液を混合して、PAN系重合体溶液から脱溶媒させた後、PAN系重合体を計量する。PAN系重合体濃度は、脱溶媒後のPAN系重合体の重量を、脱溶媒する前のPAN系重合体溶液の重量で割ることにより算出する。
紡糸溶液には、水、メタノール、エタノールなどPAN系重合体が凝固する溶媒(いわゆる、凝固剤)をPAN系重合体が凝固しない範囲で含んでも構わないし、酸化防止剤、重合禁止剤などの成分をPAN系重合体に対して5重量%までは含んでも構わない。
紡糸溶液を紡糸するに先立ち、高強度な炭素繊維を得る観点から、その溶液をフィルターに通し、重合体原料および各工程において混入した不純物を除去することが好ましい。
本発明では、上述のようにして濾過した紡糸溶液を、乾式、湿式、あるいは乾湿式紡糸法により紡糸することにより、炭素繊維前駆体繊維を製造する。なかでも特に、乾湿式紡糸法は、本発明のPAN系重合体の特性を発揮させるため、好ましく用いられる。
紡糸に用いる口金孔径は、0.05mm〜0.3mmであることが好ましく、0.1〜0.15mmであることがより好ましい。口金孔径が0.05mmより小さい場合、紡糸溶液に剪断応力がかかり、口金を閉塞させることがある。一方、口金孔径が0.3mmを超えると1.5dtex以下の単繊維繊度の繊維を得ることが困難となることがある。
本発明において、凝固浴には、紡糸溶液の溶媒として用いたジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどの溶剤と、いわゆる凝固促進成分を含ませることが好ましい。凝固促進成分としては、前記のPAN系重合体を溶解せず、かつ紡糸溶液に用いた溶媒と相溶性があるものが好ましく、具体的には、水を使用することが好ましい。凝固浴としての条件は、凝固糸における単繊維の断面ができるだけ真円に近くなるように制御することが好ましく、溶媒の濃度は、臨界浴濃度といわれる濃度以下であることが好ましい。溶媒の濃度が高いとその後の溶媒洗浄工程が長くなり、生産性が低下する。例えば、溶剤にジメチルスルホキシドを用いた場合は、ジメチルスルホキシド水溶液の濃度を5〜55重量%とするのが好ましく、5〜30重量%とすることがより好ましい。凝固浴の温度は、繊維側面ができるだけ平滑となるように制御することが好ましく、具体的には、−10〜30℃とすることが好ましく、−5〜5℃とすることがより好ましい。
紡糸溶液を凝固浴中に導入して凝固させ糸条を形成して凝固糸とした後、駆動源を持ったローラーで引き取るが、その凝固糸の引き取り速度は、50〜500m/分であることが、前記した特定の分子量分布を有するPAN系重合体溶液の特性を発揮させる観点から好ましい。その引き取り速度が50m/分未満では生産性が落ち、また引き取り速度が500m/分を超えると凝固浴の液面揺れが顕著になり、得られる繊度にムラが生じる傾向がある。
引き取られた凝固糸は、その後、通常、水洗工程、浴中延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を経て、炭素繊維前駆体繊維が得られる。また、上記の工程に乾熱延伸工程や蒸気延伸工程を加えてもよい。凝固後の糸条は、水洗工程を省略して直接浴中延伸を行っても良いし、溶媒を水洗工程により除去した後に浴中延伸を行っても良い。浴中延伸は、通常、30〜98℃の温度に温調された単一または複数の延伸浴中で行うことが好ましい。そのときの延伸倍率は、1〜5倍であることが好ましく、1〜3倍であることがより好ましい。
浴中延伸工程の後、単繊維同士の接着を防止する目的から、延伸された繊維糸条にシリコーン等からなる油剤を付与することが好ましい。シリコーン油剤は、耐熱性の高いアミノ変性シリコーン等の変性されたシリコーンを含有するものを用いることが好ましい。
乾燥工程としては、例えば、乾燥温度が70〜200℃で乾燥時間が10秒から200秒の乾燥条件が好ましい結果を与える。生産性の向上や結晶配向度の向上として、乾燥工程後に加熱熱媒中で延伸することが好ましい。加熱熱媒としては、例えば、加圧水蒸気あるいは過熱水蒸気が操業安定性やコストの面で好適に用いられ、延伸倍率は通常1.5〜10倍である。
次に、本発明の炭素繊維の製造方法について説明する。
本発明では、前記のような炭素繊維前駆体繊維を、200〜300℃の温度の空気中において延伸比0.8〜3で延伸しながら耐炎化する耐炎化工程と、耐炎化工程で得られた繊維を、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において延伸比0.95〜1.2で延伸しながら予備炭化する予備炭化工程と、予備炭化工程で得られた繊維を1,000〜3,000℃の温度の不活性雰囲気中において延伸比0.96〜1.05で延伸しながら炭化する炭化工程を順次経て炭素繊維を得ることができる。
本発明において、耐炎化とは、空気を4〜25mol%以上含む雰囲気中において、200〜300℃で熱処理する工程をいう。通常、紡糸工程と耐炎化工程以降は非連続であるが、紡糸工程と耐炎化工程の一部もしくは全てを連続的に行っても構わない。
耐炎化工程における延伸比は0.8〜3であることが好ましい。耐炎化する際の延伸比が0.8を下回ると、得られる耐炎化繊維の配向度が不十分となり、また、得られる炭素繊維のストランド引張弾性率が低下する。また、耐炎化する際の延伸比が3を超えると、毛羽発生、糸切れ発生により、生産安定性が低下する。本発明の前駆体繊維を用いることで大幅に耐炎化工程の延伸比を向上できるため、生産性が向上する。また、耐炎化延伸張力が0.1〜0.25g/dtexとすることが好ましい。延伸張力が0.1g/dtex未満のときは、耐炎化繊維の配向度を向上させることが困難であり、0.25g/dtexを越えるときは、耐炎化工程で毛羽が発生しやすくなる。本発明においては、耐炎化工程での延伸張力を上げずに延伸倍率を高められる前駆体繊維構造となっており、生産性向上に適している。
また、上述の条件を設定することにより、本発明において、得られる耐炎化繊維の結晶配向度は、78〜85%とすることが好ましく、より好ましくは80〜85%である。かかる結晶配向度が78%を下回ると、得られる炭素繊維のストランド引張弾性率が低下することがある。一方、結晶配向度が85%を越えると、耐炎化工程において毛羽を発生させることなく延伸倍率を高く設定できず、生産性を高く保つことができないことがある。
耐炎化の処理時間は、10〜100分の範囲で適宜選択することができるが、続く予備炭化の生産安定性、および、得られる炭素繊維の力学物性向上の目的から、得られる耐炎化繊維の比重が1.3〜1.38の範囲となるように設定することが好ましい。
耐炎化工程において、加熱する形態は、電気ヒーターやスチーム等で加熱した空気の中に前駆体繊維を通過させるテンターや赤外線加熱装置のような非接触式と、プレート式ヒーターやドラム式ヒーター等のような接触式のいずれもが用いられるが、熱伝達効率の点で、加熱の少なくとも一部を接触式加熱方式とすることが好ましく、加熱の全部を接触式加熱方式とすることがより好ましい。 予備炭化、および、炭化は、不活性雰囲気中で行なわれるが、用いられる不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、および、キセノンなどが用いられる。経済的な観点からは、窒素が好ましく用いられる。
予備炭化の温度は、300〜800℃とする。なお、予備炭化における昇温速度は、500℃/分以下に設定されることが好ましい。
予備炭化を行う際の延伸比は、1〜1.3、好ましくは1.0〜1.1とする。予備炭化を行う際の延伸比が1を下回ると、得られる予備炭化繊維の配向度が不十分となり、炭素繊維のストランド引張弾性率が低下する。また、予備炭化を行う際の延伸比が1.3を超えると、延伸張力が高すぎてローラー等に圧迫されて圧痕が残ることや欠陥が拡大することがある。
炭化の温度は、1,000〜3,000℃、好ましくは1,200〜1800℃、より好ましくは1,300〜1,600℃とする。一般に炭化の最高温度が高いほど、ストランド引張弾性率は高まるものの、引張強度は1,500℃付近で極大となるため、両者のバランスを勘案して、炭化の温度を設定する。
炭化を行う際の延伸比は、0.96〜1.05、好ましくは0.97〜1.05、より好ましくは0.98〜1.03とする。炭化を行う際の延伸比が0.96を下回ると、得られる炭素繊維の配向度や緻密性が不十分となり、ストランド引張弾性率が低下する。また、炭化を行う際の延伸比が1.05を超えると、延伸張力が高すぎてローラー等に圧迫されて圧痕が残ることや欠陥が拡大することがある。
より弾性率が高い炭素繊維を所望する場合には、炭化工程に続き黒鉛化を行うこともできる。黒鉛化工程の温度は2000〜2800℃であるのがよい。また、その最高温度は、所望する炭素繊維の要求特性に応じて適宜選択して使用される。黒鉛化工程における延伸比は、所望する炭素繊維の要求特性に応じて、毛羽発生など品位低下の生じない範囲で適宜選択するのがよい。
得られた炭素繊維はその表面改質のため、電解処理することができる。電解処理に用いられる電解液には、硫酸、硝酸および塩酸等の酸性溶液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウムのようなアルカリまたはそれらの塩を水溶液として使用することができる。ここで、電解処理に要する電気量は、適用する炭素繊維の炭化度に応じて適宜選択することができる。
電解処理により、得られる繊維強化複合材料において炭素繊維マトリックスとの接着性が適正化することができ、接着が強すぎることによる複合材料のブリトルな破壊や、繊維方向の引張強度が低下する問題や、繊維方向における引張強度は高いものの樹脂との接着性に劣り、非繊維方向における強度特性が発現しないという問題が解消され、得られる繊維強化複合材料において、繊維方向と非繊維方向の両方向にバランスのとれた強度特性が発現されるようになる。
電解処理の後、炭素繊維に集束性を付与するため、サイジング処理を施すこともできる。サイジング剤には、使用する樹脂の種類に応じて、マトリックス樹脂等との相溶性の良いサイジング剤を適宜選択することができる。
本発明により得られる炭素繊維は、プリプレグとしてオートクレーブ成形、織物などのプリフォームとしてレジントランスファーモールディングで成形、およびフィラメントワインディングで成形するなど種々の成形法により、航空機部材、圧力容器部材、自動車部材、釣り竿およびゴルフシャフトなどのスポーツ部材として好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。本実施例で用いた各種特性の測定方法を次に説明する。
<各種分子量:Mz+1、Mz、Mw、Mn>
測定しようとする重合体が0.1重量%でジメチルホルムアミド(0.01N−臭化リチウム添加)に溶解した検体溶液を作製する。作製した検体溶液について、GPC装置を用いて、次の条件で測定したGPC曲線から分子量の分布曲線を求め、Mz+1、Mz、MwおよびMnを算出する。測定は3回行い、Mz+1、Mz、Mw、Mnの値を平均して用いた。
・カラム :極性有機溶媒系GPC用カラム
・流速 :0.5ml/分
・温度 :75℃
・試料濾過 :メンブレンフィルター(0.45μmカット)
・注入量 :200μl
・検出器 :示差屈折率検出器
Mwは、分子量が異なる分子量既知の単分散ポリスチレンを少なくとも6種類用いて、溶出時間―分子量の検量線を作成し、その検量線上において、該当する溶出時間に対応するポリスチレン換算の分子量を読み取ることにより求める。
本実施例では、GPC装置として(株)島津製作所製CLASS−LC2010を、カラムとして東ソー(株)製TSK−GEL−α―M(×2)+東ソー(株)製TSK−guard Column αを、ジメチルホルムアミドおよび臭化リチウムとして和光純薬工業(株)製を、メンブレンフィルターとしてミリポアコーポレーション製0.45μm−FHLP FILTERを、示差屈折率検出器として(株)島津製作所製RID−10AVを、検量線作成用の単分散ポリスチレンとして、分子量184000、427000、791000、1300000、1810000および4240000のものを、それぞれ用いた。
<紡糸溶液の粘度>
ビーカーに入れたPAN系重合体溶液を、45℃の温度に温度調節された温水浴に浸して調温した後、B型粘度計として(株)東京計器製B8L型粘度計を用い、ローターNo.4を使用し、紡糸溶液粘度が0〜100Pa・sの範囲は、ローター回転数6r.p.m.で、また粘度が100〜1000Pa・sの範囲は、ローター回転数0.6r.p.m.で、いずれも45℃の温度における紡糸溶液の粘度を測定した。
<前駆体繊維および耐炎化繊維の結晶配向度>
繊維軸方向の配向度は、次のように測定した。繊維束を40mm長に切断して、20mgを精秤して採取し、試料繊維軸が正確に平行になるようにそろえた後、試料調整用治具を用いて幅1mmの厚さが均一な試料繊維束に整えた。薄いコロジオン液を含浸させて形態が崩れないように固定した後、広角X線回折測定試料台に固定した。X線源として、Niフィルターで単色化されたCuのKα線を用い、2θ=17°付近に観察される回折の最高強度を含む子午線方向のプロフィールの広がりの半価幅(H゜)から、次式を用いて結晶配向度(%)を求めた。
結晶配向度(%)=[(180−H)/180]×100
<クリープ速度>
前駆体繊維の単繊維のクリープ速度は以下のように測定した。前駆体繊維の単繊維を熱機械分析装置にセットし、単繊維のたるみをとるために0.1g/dtexの荷重を負荷する。その後、荷重を1.25g/dtexとし、昇温速度10℃/分で室温から130℃に昇温を開始すると同時に伸長歪みの測定を開始する。温度が130℃で安定し、伸長歪み−時間曲線の傾きがほぼ一定である定常歪みの状態をとる測定開始30分から50分までの20分間の伸長歪みの変位を測定時間である20分で割った値をクリープ速度とし用いる。なお、本実施例では、熱機械分析装置として、BRUKERaxs社製TMA4000SAを用いた。
<前駆体繊維の単繊維繊度>
フィラメント数6,000の繊維を1巻き1m金枠に10回巻いた後、その重量を測定し、10,000m当たりの重量を算出することにより求めた。
<限界耐炎化延伸倍率>
得られた前駆体繊維を、雰囲気温度を240℃一定に保たれ、炉長7.5mである横型熱風循環炉に導入した。炉の前後には前駆体繊維を送り出し、引き取るローラーが配置されており、引き取るローラー速度を2.5m/分に保持したまま、送り出しローラー速度を変えて延伸倍率を測定した。ローラー速度は延伸比0.1ずつ変化させ、各速度で速度変更9分後から3分間毛羽の個数を数えた。毛羽が10個/m以上となるか、10本以上の繊維が部分的に糸切れするか、繊維束全体が糸切れするかのいずれかを限界耐炎化倍率を超えたとし、その0.1延伸比手前を限界耐炎化延伸倍率とした。
<予備炭化工程糸の品位等級の基準>
検査項目は、6000フィラメントの繊維束を1m/分の速度で1ライン走行させながら毛玉・毛羽の個数を数え、四段階評価した。評価基準は、下記のとおりである。
・等級◎:繊維1m中、5個以内
・等級○:繊維1m中、6〜10個
・等級△:繊維1m中、11〜20個
・等級×:繊維1m中、21個以上
<炭素繊維束の引張強度および弾性率>
JIS R7601(1986)「樹脂含浸ストランド試験法」に従って求める。測定する炭素繊維の樹脂含浸ストランドは、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部)を、炭素繊維または黒鉛化繊維に含浸させ、130℃の温度で30分硬化させて作製する。また、炭素繊維のストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値を引張強度とする。本実施例では、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレートとして、ユニオンカーバイド(株)製“ベークライト”(登録商標)ERL4221を用いた。
[実施例1]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、およびジメチルスルホキシド130重量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmまで窒素置換した後、重合開始剤としてAIBN0.002重量部を投入し、撹拌しながら下記の条件の熱処理を行った。
・ 70℃の温度で2時間保持
(2)70℃から30℃へ降温(降温速度120℃/時間)
次に、その反応容器中に、ジメチルスルホキシド240重量部、重合開始剤としてAIBN 0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部を計量導入した後、さらに撹拌しながら下記の条件の熱処理を行った。
(3)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)60℃の温度で4時間保持
(5)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(6)80℃の温度で6時間保持
次に、残存する未反応単量体を溶液重合法により重合してPAN系重合体溶液を得た。得られたPAN系重合体溶液の溶媒に対する重合体濃度は、20重量%弱であった。
得られたPAN系重合体溶液を、重合体濃度が20重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことにより、イタコン酸を中和しつつアンモニウム基をPAN系重合体に導入し、紡糸溶液を作製した。
炭素繊維前駆体繊維の製造は、次の条件で行った。得られた紡糸溶液をPAN系重合体溶液を、目開き0.5μmのフィルター通過後、40℃の温度で、孔数6,000、口金孔径0.15mmの紡糸口金を用い、一旦空気中に吐出し、約2mmの空間を通過させた後、3℃の温度にコントロールした20重量%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により紡糸し凝固糸条とした。このとき、吐出線速度7m/分、紡糸ドラフト率5の条件で凝固糸条を得た。このようにして得られた凝固糸条を、水洗した後、90℃の温水中で3倍の浴中延伸倍率で延伸し、さらにアミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与して浴中延伸糸を得た。このようにして得られた浴中延伸糸を165℃の温度に加熱したローラーを用いて30秒間乾燥を行い、5倍の水蒸気延伸倍率条件で加圧水蒸気延伸を行い、単繊維繊度0.8dtex、フィラメント数6000の炭素繊維前駆体繊維を得た。得られた炭素繊維前駆体繊維の品位は優れており、製糸工程通過性も安定していた。得られた炭素繊維前駆体繊維を、240〜260℃の温度の温度分布を有する空気中において延伸比1.0で延伸しながら90分間耐炎化処理し、耐炎化繊維を得た。続いて、得られた耐炎化繊維を300〜700℃の温度の温度分布を有する窒素雰囲気中において、延伸比1.2で延伸しながら予備炭化処理を行い、さらに最高温度1500℃の窒素雰囲気中において、延伸比を0.97に設定して炭化処理を行い、連続した炭素繊維を得た。このときの焼成工程通過性はいずれも良好であった。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.0GPaであり、弾性率は310GPaであった。
さらに、耐炎化工程までに発生した毛羽の量を評価するために、予備炭化処理において糸条を延伸するために負荷する荷重を試験的に15Kg/6000フィラメントと大きくしても、目視確認できた毛羽の数は非常に少なかったことから、耐炎化繊維の段階で内在する毛羽が少なく操業性が非常に高いと同時に、高品位であることが分かった。
[実施例2]
窒素置換による反応容器内の空間部の酸素濃度を100ppmに変更するともに条件(1)における保持温度を65℃に変更した以外は、実施例1と同様にして連続した炭素繊維を得た。このときの焼成工程通過性はいずれも良好であった。
得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.0GPaであり、弾性率は310GPaであった。
さらに、耐炎化工程までに発生した毛羽の量を評価するために、予備炭化処理において糸条を延伸するために負荷する荷重を試験的に15Kg/6000フィラメントと大きくしても、目視確認できた毛羽の数は非常に少なかったことから、耐炎化繊維の段階で内在する毛羽が少なく操業性が非常に高いと同時に、高品位であることが分かった。
[実施例3]
条件(4)における保持時間を4.5時間に変更した以外は、実施例1と同様にして連続した炭素繊維を得た。このときの焼成工程通過性はいずれも良好であった。
得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.0GPaであり、弾性率は310GPaであった。
さらに、耐炎化工程までに発生した毛羽の量を評価するために、予備炭化処理において糸条を延伸するために負荷する荷重を試験的に15Kg/6000フィラメントと大きくしても、目視確認できた毛羽の数は少なかったことから、耐炎化繊維の段階で内在する毛羽が少なく操業性が非常に高いと同時に、高品位であることが分かった。
[比較例1]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、AIBN0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部をジメチルスルホキシド370重量部に均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmとなるまで窒素置換した後、撹拌しながら次の(1)〜(4)の熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液を得た。
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
得られたPAN系重合体溶液の溶媒に対する重合体濃度は、20重量%弱であった。
得られたPAN系重合体溶液を、重合体濃度が20重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことにより、イタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を得た。
紡糸溶液を上記のようにして得た紡糸溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして連続した炭素繊維を得た。このとき焼成工程では毛羽が多く発生し、得られた炭素繊維の品位は悪かった。
得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.0GPaであり、弾性率は310GPaであった。
さらに、耐炎化工程までに発生した毛羽の量を評価するために、予備炭化処理において糸条を延伸するために負荷する荷重を試験的に15Kg/6000フィラメントと大きくすると、毛羽が多く見られ、耐炎化繊維の段階で多くの毛羽が内在し巻付が発生し、糸切れに至ることがあった。また得られる炭素繊維の品位も低いことが分かった。
[比較例2]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、AIBN0.2重量部をジメチルスルホキシド440重量部に均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmとなるまで窒素置換した後、撹拌しながら次の(1)〜(4)の熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液を得た。
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で8時間保持
得られたPAN系重合体溶液の溶媒に対する重合体濃度は、15重量%弱であった。
得られたPAN系重合体溶液を、重合体濃度が15重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことにより、イタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を得た。
紡糸溶液を上記のようにして得た紡糸溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして連続した炭素繊維を得た。このとき焼成工程では毛羽が多く発生し、得られた炭素繊維の品位は悪かった。
得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は6.0GPaであり、弾性率は310GPaであった。
さらに、耐炎化工程までに発生した毛羽の量を評価するために、予備炭化処理において糸条を延伸するために負荷する荷重を試験的に15Kg/6000フィラメントと大きくすると、毛羽が多く見られ、耐炎化繊維の段階で多くの毛羽が内在し巻付が発生し、糸切れに至ることがあった。また得られる炭素繊維の品位も低いことが分かった。
上記実施例および比較例での実験条件や結果を表1にまとめて示す。
Figure 2009256831

Claims (6)

  1. 92〜95%の配向度を有し、130℃において1.25g/dtexの荷重を加えたときの単繊維のクリープ速度が0.01〜0.1%/分である炭素繊維前駆体繊維。
  2. Z+1平均分子量Mz+1と重量平均分子量Mwとの比Mz+1/Mwが6以上であるポリアクリロニトリル系重合体を紡糸してなる請求項1に記載の炭素繊維前駆体繊維。
  3. Mwが30万〜60万であり、Mz+1/Mwが6〜25であるポリアクリロニトリル系重合体を紡糸してなる請求項2に記載の炭素繊維前駆体繊維。
  4. 単繊維繊度が、0.7〜1.5dtexである請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維。
  5. 単繊維引張強度のワイブル形状係数mが9以上である請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維を、200〜300℃の温度の空気中において延伸比0.8〜3で延伸しながら耐炎化する耐炎化工程と、耐炎化工程で得られた繊維を、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において延伸比1〜1.3で延伸しながら予備炭化する予備炭化工程と、予備炭化工程で得られた繊維を1,000〜3,000℃の温度の不活性雰囲気中において延伸比0.96〜1.05で延伸しながら炭化する炭化工程を順次経て炭素繊維を得る炭素繊維の製造方法。
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