JP2012025837A - ポリアクリロニトリル混合溶液および炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 - Google Patents

ポリアクリロニトリル混合溶液および炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 紡糸速度を高め、かつ、紡糸ドラフト率を高めることができる炭素繊維前駆体繊維製造用に好適なポリアクリロニトリル混合溶液の安定な製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の本発明のポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法は、アクリロニトリルを主成分とする単量体と第1の重合開始剤を含む溶液を、下記式(1)〜(3)の条件に保持し、重量平均分子量が100万〜800万であるポリアクリロニトリルと、アクリロニトリルを主成分とする単量体との、混合溶液を得る第1の重合工程と
第1の重合工程の後、第2の重合開始剤を追加し、溶液中の未反応の前記単量体を重合する第2の重合工程を含む、重量平均分子量が10万〜80万、Mz/Mw2.7〜10であるポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法である。
t≧65×exp(−0.13×ΔT) ・・・(1)
0.5≦t≦10 ・・・(2)
20≦ΔT≦50 ・・・(3)
(式中、重合温度と第1の重合開始剤の10時間半減期温度との差:ΔT、重合時間t)
【選択図】 なし

Description

本発明は、高品位な炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維の製造に好適なポリアクリロニトリル混合溶液とその製造方法、およびそのポリアクリロニトリル混合溶液を用いた炭素繊維の製造方法に関するものである。
炭素繊維は、他の繊維に比べて高い比強度および比弾性率を有する。このため、複合材料用補強繊維として、従来からのスポーツ用途や航空・宇宙用途に加え、自動車や土木・建築、圧力容器および風車ブレードなどの一般産業用途にも幅広く展開されつつあり、更なる生産性の向上や生産安定化の要請が高い。
炭素繊維の中で、最も広く利用されているポリアクリロニトリル(以下、PANと略記することがある。)系炭素繊維は、その前駆体となるPAN系重合体からなる紡糸溶液を湿式紡糸、乾式紡糸または乾湿式紡糸して炭素繊維前駆体繊維を得た後、それを200〜400℃の温度の酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維へ転換し、少なくとも1000℃の温度の不活性雰囲気下で加熱して炭素化することによって工業的に製造されている。
PAN系炭素繊維の生産性向上は、炭素繊維前駆体繊維の紡糸、耐炎化あるいは炭素化のいずれの観点からも行われている。中でもPAN系炭素繊維前駆体繊維の生産性向上は、次に示す問題から困難であった。すなわち、PAN系炭素繊維前駆体繊維を得る際の紡糸においては、PAN系重合体溶液の特性にともなう限界紡糸ドラフト率とその凝固構造に伴う限界延伸倍率によって生産性が制限されている。生産性を向上させるために紡糸速度を高めると延伸性低下が起こり、生産が不安定化しやすい。一方、紡糸速度を下げると生産は安定化するものの生産性は低下するため、生産性の向上と安定化の両立が困難であるという問題があった。
そのような背景のなか我々は、超高分子量成分を少量含むPAN系重合体溶液が高い曳糸性を発現し、かかるPAN系重合体溶液を用いると高い紡糸ドラフト率で製糸しても毛羽立ちや糸切れが少なく、品位の良い炭素繊維前駆体繊維が得られ、焼成すると高品質の炭素繊維を得られることを見出している(特許文献1参照)。この提案によると、品質および品位を犠牲にすることなく製糸工程の設備生産性を高めることができることから、炭素繊維の大量生産が可能となる。
該文献においては、超高分子量成分を少量含むPAN系重合体の重合法として、バッチ式の溶液二段重合法を提案している。これは、重合開始剤などの試薬を二回に分けて投入することで、超高分子量成分の重合と通常の分子量成分の重合とを同一の反応溶液中で続けて行うものであり、曳糸性に優れたPAN系重合体溶液を容易に得ることができる。しかしながら、場合によっては中間体である超高分子量成分の溶液の経時安定性が低い、すなわち二回目の試薬投入の前に意図せぬ重合が起こることがあり、生産安定性に課題があった。
一方、適切な重合開始剤を使用して、重合の進行を制御することが試みられている(例えば、特許文献2、3参照)。特許文献2では、塊状重合により溶媒などの不純物を含まないアクリル系重合体を提供することを目的に、低温活性開始剤を少量用いて、低温活性開始剤を重合中に消費しきる技術が開示されている。これにより、本来制御が難しいアクリル系モノマーの塊状重合を反応暴走させることなく、安定に進行させることができる。
この文献では、特定の半減期温度を有する重合開始剤を所定量用いる。このように使用する重合開始剤の半減期温度と使用量を規定することで、重合開始剤を消費しきり、反応暴走を防止する。かかる方法によると重合開始剤を完全に消費し、意図せぬ重合を防止できることが期待される。しかし、記載されている重合反応の最高到達温度では、重合開始剤の分解が急激すぎて低分子量成分が多く生成し、アクリル系接着剤など特定の分野では有用であるものの、炭素繊維前駆体繊維製造に利用できるものではない。
すなわち、得た重合体を製糸する場合には、低分子量成分の存在は単糸間の融着などを引き起こすため好ましくない。
特許文献3には、高活性な重合開始剤(有機パーオキサイド)を適切な配量条件で、連続して注入しながら重合を行う方法が開示されている。これにより、重合熱が一定に保たれるので、重合速度を正確に制御することができる。さらに、残存する重合開始剤の濃度を50ppm以下に制御することで、製品の熱安定性を高めている。
しかし、この文献では、異なる分子量分布を有する重合体溶液を一連の操作で得ることについては、何ら言及されていない。超高分子量成分を少量含むPAN系重合体を二段階の重合反応で得る場合において、中間体である超高分子量成分の溶液の経時安定性を高める方法が必要である。
特開2008−248219号公報 特開2000−313704号公報 特表2002−526574号公報
そこで本発明の目的は、紡糸速度を高め、かつ、紡糸ドラフト率を高めることができる炭素繊維前駆体繊維製造用に好適なポリアクリロニトリル混合溶液の安定な製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討した結果、超高分子量の重合体を重合する際に使用する第1の重合開始剤が残存するために、後重合が起こり、生産安定性に欠けることを見い出した。このため、超高分子量の重合時に第1の重合開始剤を使い切る条件を検討し、本発明を完成した。すなわち、本発明のポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法は、アクリロニトリルを主成分とする単量体と第1の重合開始剤を含む溶液を、下記式(1)〜(3)の条件に保持し、重量平均分子量が100万〜800万であるポリアクリロニトリルと、アクリロニトリルを主成分とする単量体との、混合溶液を得る第1の重合工程と、
第1の重合工程の後、第2の重合開始剤を追加し、溶液中の未反応の前記単量体を重合する第2の重合工程とを含む、重量平均分子量が10万〜80万、Mz/Mw2.7〜10であるポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法である。
t≧65×exp(−0.13×ΔT) ・・・(1)
0.5≦t≦10 ・・・(2)
20≦ΔT≦50 ・・・(3)
(式中、重合温度と第1の重合開始剤の10時間半減期温度との差:ΔT、重合時間t)
あるいは、本発明のポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法は、第1の重合工程の重合率が1〜10%である。
あるいは、本発明のポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法における、第1の重合開始剤は、10時間半減期温度が20〜55℃である。
あるいは、本発明のポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法では、第2の重合工程において、第2の重合開始剤を追加する前にアクリロニトリルを主成分とする単量体を追加することも好ましい。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法では、上記ポリアクリロニトリル混合溶液を乾湿式紡糸する。
本発明の炭素繊維の製造方法では、上記炭素繊維前駆体繊維の製造方法により得られた炭素繊維前駆体繊維を、200〜300℃の温度の空気中において耐炎化処理した後、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、次いで1,000〜3,000℃の温度の不活性雰囲気中において炭化処理する。
本発明では、第1の重合工程の終了時に残存する第1の重合開始剤の量を第1の重合開始時の量の1%以下とすることにより、ラジカルの発生が抑制され、重合を止める。第1の重合工程を適切に停止させることで、第2の重合工程を行うまでの間に意図せぬ重合が進行するのを制御することができる。これにより、意図せぬ重合による超高分子量のポリアクリロニトリルの増加を伴うことなしに、曳糸性向上効果のあるPAN系重合体を安定に得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[ポリアクリロニトリル混合溶液の分子量分布]
本発明のポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法で得られるポリアクリロニトリル混合溶液(以下、このポリアクリロニトリル混合溶液中のポリアクリロニトリルを「ポリアクリロニトリル系重合体」、「PAN系重合体」ということもある)は、アクリロニトリル(以下、ANと略記することがある)を主成分とする重合体を含み、次の要件を満たしている。
本発明では、二段階の重合工程により超高分子量成分を少量含むPAN系重合体溶液を得る。第1の重合工程では超高分子量成分であるA成分を、第2の重合工程ではより低分子量であるB成分を重合する。A成分の重量平均分子量(以下、Mwと略記する)は100万〜800万であることが好ましく、100万〜500万であることがより好ましい。B成分は、本発明で得られるポリアクリロニトリル混合溶液中の全ポリアクリロニトリル系重合体からA成分を差し引いた残り全ての成分のことを指し、B成分のMwは10万〜70万であることが好ましい。A成分のMwが100万より小さいと曳糸性向上効果が小さくなり、800万より大きいと曳糸性向上効果は既に飽和している。また、B成分のMwが10万より小さいと、製糸工程において口金からの吐出が安定しないことや、単糸間の接着が発生することがあり、70万より大きいと、A成分と混合した際に粘度が高くなりすぎ、口金からの吐出が困難となることがある。
本発明で得られるポリアクリロニトリル混合溶液は、Mwが10万〜80万である。また、z平均分子量(以下、Mzと略記する)とMwの比であり、高分子量側への分子量分布の広がり具合を表す多分散度Mz/Mwが2.7〜10である。Mwが10万より小さいと、製糸工程において口金からの吐出が安定しなかったり、単糸間の接着が発生することがあり、80万より大きいと口金圧が高くなったり、延伸性が低下することがある。また、Mz/Mwが2.7より小さいと後述する超高分子量体による曳糸性向上効果が小さくなり、10より大きいと配管圧や口金圧が高くなりすぎることがある。
A成分のMwとB成分のMwの比Mw(A)/Mw(B)は2〜45であることが好ましく、4〜45であることがより好ましく、4〜30であることが更に好ましい。また、A成分とB成分の重量比W(A)/W(B)は0.001〜0.3であることが好ましく、0.005〜0.2であることがより好ましく、0.01〜0.1であることが更に好ましい。Mw比および重量比を前記の範囲とすることによって、ポリアクリロニトリル混合溶液のMwを10万〜80万、Mz/Mwを2.7〜10とすることができ、曳糸性向上効果の高いポリアクリロニトリル混合溶液を得ることができる。
本発明のポリアクリロニトリル系重合体を用いることにより、生産性の向上と安定化の両立を図りつつ、毛羽立ちの少ない高品位な炭素繊維前駆体繊維を製造することができるメカニズムは、必ずしも明確になった訳ではないが、次のように考えられる。口金孔直後でポリアクリロニトリル系重合体が伸長変形する際に、超高分子量成分のポリアクリロニトリル系重合体と他のポリアクリロニトリル系重合体が絡み合い、超高分子量成分のポリアクリロニトリル系重合体を中心に絡み合い間の分子鎖が緊張することにより伸長粘度の急激な増大、すなわち、歪み硬化がおこる。PAN系重合体組成物溶液の細化に伴い細化部分の伸長粘度が高くなり、流動安定化するため紡糸速度を高め、かつ、紡糸ドラフト率を高めることができる。
[ポリアクリロニトリル混合溶液の組成]
本発明のポリアクリロニトリル混合溶液に含まれるA成分としては、PANと相溶性を有することが望ましく、相溶性の観点からPAN系重合体であることが好ましい。組成としては、ANが好ましくは98〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を2モル%以下なら共重合させてもよいが、共重合成分の連鎖移動定数がANより小さく、必要とするMwを得にくい場合は、共重合成分の混合量をなるべく減らすことが好ましい。
本発明のポリアクリロニトリル混合溶液に含まれるB成分としては、ANが好ましくは98〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を2モル%以下なら共重合させてもよいが、共重合成分量が多くなるほど共重合部分での熱分解による分子断裂が顕著となり、得られる炭素繊維の引張強度が低下する。
ANと共重合可能な単量体としては、耐炎化を促進する観点から、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。
[ポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法]
本発明のポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法においては、重合操作はバッチ式とするのがよい。重合法としては、A成分およびB成分ともに溶液重合法、懸濁重合法あるいは乳化重合法など公知のラジカル重合法のいずれの方法を用いることもできるが、後処理や再溶解を必要とせず、また、本願の開始剤消費の効果を最大限に発揮し、かつANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、ジメチルスルホキシド、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒を好適に用いることができる。具体的には、アクリロニトリルを主成分とする単量体と第1の重合開始剤とを含む溶液を加熱して、溶液重合により超高分子量成分であるA成分と未反応単量体とを含む混合溶液を得た後に、第2の重合開始剤を投入して溶液重合によりB成分を重合する「多段重合」の方法を用いることが好ましい。多段重合を構成する各重合は、同一の反応容器で続けて行うこと(以下、一槽式と記載する)もできるし、A成分を重合した後、反応溶液を別の反応容器に送液してB成分を重合すること(以下、二槽式と記載する)もできる。B成分の重合においては、必要に応じて第3以降の重合開始剤を投入することもできる。多段重合法を用いると、均一性の高いポリアクリロニトリル混合溶液を、比較的単純な操作で得ることができる。
一方、多段重合法の課題として、「後重合」が挙げられる。本明細書中で「後重合」とは、第1の重合工程終了後に起こる意図せぬ重合のことを指す。後重合の原因は、第1の重合工程終了時において重合開始剤が完全に消費しておらず、残存した重合開始剤が徐々に分解して生じた一次ラジカルが残存する単量体と反応することである。多段重合において後重合がおこると、A成分の重合率が狙いよりも高くなるため、得られるポリアクリロニトリル混合溶液の曳糸性向上効果が狙い通りとならないことがある。後重合によるポリマー特性の変動を抑制する方法としては、第1の重合工程が終了してから第2の重合工程を開始するまでの間の保持温度および保持時間を実質的になくす、即ち第2の重合開始剤を投入して第2の重合工程を開始することで第1の重合工程を実質的に終了させる、あるいは、第1の重合工程が終了してから第2の重合工程を開始するまで間の保持温度および保持時間で進行する後重合の分を考慮して仕込み試薬量を調整する、などが考えられるが、プロセス設計の自由度を失うため、一概には採用できない場合が多い。
したがって、曳糸性向上効果を有するポリアクリロニトリル混合溶液を溶液多段重合の方法で生産性よく、かつ狙い通りの曳糸性を有するポリアクリロニトリル混合溶液を品質安定的に得るためには、後重合速度を効果的に低減することが必要である。
[A成分の重合方法]
A成分の重合において、後重合速度を効果的に低減するために、本発明では第1の重合開始剤を使い切る。本明細書中で、「第1の重合開始剤を使い切る」とは、第1の重合終了時に残存する第1の重合開始剤の量が、第1の重合開始時の1%以下であることをいう。第1の重合開始剤を使い切ることによりラジカルの発生が抑制され、後重合速度を低減することができる。
「第1の重合開始剤を使い切る」ためには、第1の重合工程における重合温度、重合時間、使用する重合開始剤を適宜選択すればよい。すなわち、重合温度と10時間半減期温度との差ΔTと重合時間tとが以下の式(1)〜(3)を満たすように条件を設定することで、第1の重合終了時に残存する第1の重合開始剤の量を第1の重合開始時の1%以下にすることができる。
t≧65×exp(−0.13×ΔT) ・・・(1)
0.5≦t≦10 ・・・(2)
20≦ΔT≦50 ・・・(3)
A成分の重合に用いる重合開始剤としては、油溶性アゾ系化合物、水溶性アゾ系化合物および過酸化物などが好ましい。安全面からの取り扱い性および工業的に効率よく重合を行うという観点から、ラジカル発生温度(より一般的には10時間半減期温度と称する。)が20〜150℃であることが好ましく、20〜100℃であることがより好ましく、20〜55℃であることがさらに好ましい。中でも、分解時に重合を阻害する酸素発生の懸念がないアゾ系化合物が好ましく用いられ、溶液重合で重合する場合には、溶解性の観点から油溶性アゾ化合物が好ましく用いられる。重合開始剤の具体例としては、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度30℃)、2,2'−アゾビス(2,4'−ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度51℃)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(10時間半減期温度65℃)、および1,1’−アゾビス(シクロヘキサン―1―カルボニトリル)(10時間半減期温度88℃)などが挙げられる。より好ましくは、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度30℃)である。第1の重合開始剤と第2の重合開始剤は同一であってもかまわないし、異なっていても構わない。また、複数の重合開始剤と重合温度を組み合わせることで重合開始剤が発生させるラジカル量を調整することもできる。また、過酸化物を用いる場合、還元剤を共存させラジカル発生を促進させてもよい。
第1の重合工程における重合時間は、0.5時間以上10時間以下であることが好ましく、1.0時間以上4.0時間以下がより好ましく、1.0時間以上2.0時間以下が最も好ましい。一般に、重合時間が短いと設備生産性が向上する。よって重合時間は10時間以下であることが設備生産性を高める観点から好ましい。一方、重合時間が短すぎると単位時間当りの発熱量が増大し温度制御が困難となったり、重合開始および終了操作を行う時間が変動したときに、重合反応に与える影響が相対的に大きくなるため、制御が難しくなることがある。よって、重合時間は0.5時間以上であることが重合反応制御の観点から好ましい。
第1の重合工程の重合温度は、150℃を超えない範囲で重合開始剤の10時間半減期温度より20〜50℃高い、すなわちΔTが20℃以上50℃以下であることが好ましい。重合開始剤の種類によるが、例えば2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度30℃)を用いた場合には、重合温度は好ましくは50℃以上80℃以下であり、より好ましくは60℃以上80℃以下である。重合温度が50℃未満では重合開始剤を使い切るのに時間を必要とし、生産性が低下することがある。一方、重合温度が高いほど重合開始剤を短時間で使い切ることができるが、高すぎると単位時間当りの発熱量が増し温度制御が困難となることがあるため80℃以下とするのがよい。重合開始剤の種類によらずΔTが20以上50以下となるように重合温度を制御するのがよい。また、高温ではPAN系重合体が環化を生じやすくなるため、150℃以下とするのがよい。第1の重合と第2の重合は同一の重合温度で行ってもよいし、異なる重合温度で行ってもよい。
第1の重合工程の重合温度と10時間半減期温度との差ΔTと重合時間tとは式(1)の関係を満たすことが好ましい。10時間半減期温度とは、重合開始剤が10時間で半減する温度のことを指し、重合温度と10時間半減期温度との関係により重合開始剤の消費速度が決まる。式(1)の右辺は、ΔTで重合開始剤が初期の量の1%となるのに必要な時間を意味し、左辺、すなわち重合時間tがこの時間未満であるときには、重合開始剤は初期の量の1%より多く残存しており、後重合が進行する。一方、重合時間tが右辺の値以上であるときには重合開始剤は初期量の1%以下となり、後重合を効果的に抑制することができる。
[B成分の重合方法]
B成分の重合は、第1の重合工程で得たA成分とアクリロニトリルを主成分とする未反応単量体とを含む反応溶液に、第2の重合開始剤を添加することにより開始する。第2の重合開始剤を追加する前に、アクリロニトリルを主成分とする単量体や溶媒、連鎖移動剤などを必要に応じて追加することができる。また、重合率を高める目的で、第2の重合開始剤を添加した後、さらに重合開始剤を追添加することもできる。
本発明のポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法において、一槽式で重合を行う場合、第1の重合工程終了後から第2の重合開始剤を追加するまでの間に時間をおいてもよいし、直ちに追加してもよい。時間をおく場合、かかる時間は設備生産性を損なわない範囲で10時間を超えない範囲で長くすることもでき、このことは、特に中間体であるA成分の物性を評価するのに時間を要する場合には好ましい。また、時間をおく場合、第1の重合温度のまま保存してもよく、温度を変化させてもよい。
本発明のポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法において、二槽式で重合を行う場合、第1の重合工程で得たA成分とアクリロニトリルを主成分とする未反応単量体とを含む反応溶液を別の反応容器に送液する方法としては、反応容器の間に高低差を設けておき自重で送液する方法や、ギヤポンプやプランジャーポンプなど、溶液を定量的に送液する方法など、公知の方法を用いることができる。また、二槽式で重合を行う場合、第1の重合工程の重合率を高く設定することで、第1の重合工程で用いる反応容器を小さくする、または第1の重合工程で得たA成分と未反応単量体の混合溶液を複数の第2の重合工程に供給する、ことにより、設備生産性を増すことができる。かかる観点から第1の重合工程の重合率は1〜10%とするのがよい。A成分の重合体濃度が低すぎると、曳糸性向上の効果の低いPAN重合体溶液しか得ることができないため、重合率は1%以上にするのがよい。一方、A成分の重合体濃度が高すぎると、反応溶液の粘度が高くなりすぎたり、析出したりする結果、重合反応の除熱や制御が困難になることがあるため、重合率は10%以下にするのがよい。
B成分の重合に用いる重合開始剤としては、油溶性アゾ系化合物、水溶性アゾ系化合物および過酸化物などが好ましい。安全面からの取り扱い性および工業的に効率よく重合を行うという観点から、ラジカル発生温度(より一般的には10時間半減期温度と称する。)が30〜150℃、より好ましくは30〜100℃の範囲の重合開始剤が好ましく用いられる。中でも、分解時に重合を阻害する酸素発生の懸念がないアゾ系化合物が好ましく用いられ、溶液重合で重合する場合には、溶解性の観点から油溶性アゾ化合物が好ましく用いられる。重合開始剤の具体例としては、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(ラジカル発生温度30℃)、2,2'−アゾビス(2,4'−ジメチルバレロニトリル)(ラジカル発生温度51℃)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(ラジカル発生温度65℃)、および1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(ラジカル発生温度88℃)などが挙げられる。また、複数の重合開始剤と重合温度を組み合わせることで重合開始剤が発生させるラジカル量を調整することもできる。また、過酸化物を用いる場合、還元剤を共存させラジカル発生を促進させてもよい。
B成分の重合における重合温度は、通常ラジカル重合が行われる温度であれば特に指定しないが、A成分の重合における重合温度と同等以上の温度で、かつ50〜150℃であることが好ましい。重合温度は50〜90℃であることがより好ましい。重合温度が50℃よりも低いと、反応に時間がかかり、溶液粘度が高くなって撹拌が不均一になることがある。また、重合温度が150℃よりも高いと、環化反応や架橋反応が起こることがある。重合温度が単量体や溶媒の沸点を大きく超えると、重合を制御するために加圧が必要となることがあるが、90℃以下であれば概ね加圧の必要はない。重合温度はB成分の重合を通じて一定でもよいし、変化させてもよい。
B成分の重合における重合時間は、6時間以上20時間以下であることが好ましく、6時間以上15時間以下がより好ましい。一般に、重合時間が短いと設備生産性が向上する。よって重合時間は20時間以下であることが設備生産性を高める観点から好ましい。一方、短時間で重合を完結させようとすると、単位時間当りの発熱量が増大し温度制御が困難となることが多い。よって、重合時間は6時間以上であることが重合反応制御の観点から好ましい。
本発明においてPAN系重合体の重合率は、75〜95%であることが好ましく、80〜93%であることがより好ましい。重合率が75%より小さいと、生産性が低下するだけでなく、大量に残存する未反応単量体を除去するのに必要なエネルギーが増大する。重合率は高いことが望ましいが、重合率が高まるにつれ重合速度が低下していくため、95%程度が上限である。
以上のように重合を行うことで、後重合を効果的に抑制することができる。その結果、曳糸性向上効果を有するポリアクリロニトリル混合溶液を高い品質安定性かつ設備生産性で得ることができる。
[炭素繊維前駆体繊維の製造方法]
次に、本発明の製造方法で得られたPAN系重合体を用いた炭素繊維前駆体繊維の製造方法について説明する。
本発明により得られたポリアクリロニトリル混合溶液は、ポリマー濃度を調整するための余分な操作を経ずに紡糸溶液として用いることもでき、ポリマー濃度を紡糸に適した範囲に調整して紡糸溶液とすることもできる。
本発明においてポリマー濃度とは、PAN系重合体の溶液中に含まれるPAN系重合体の重量%である。具体的には、PAN系重合体の溶液を計量した後、PAN系重合体を溶解せずかつPAN系重合体溶液に用いる溶媒と相溶性のあるものに、計量したPAN系重合体溶液を脱溶媒させた後、PAN系重合体を計量する。ポリマー濃度は、脱溶媒後のPAN系重合体の重量を、脱溶媒する前のPAN系重合体の溶液の重量で割ることにより算出する。
紡糸溶液におけるポリマー濃度は、15〜40重量%の範囲であることが好ましく、15〜30重量%であることがより好ましく、18〜25重量%であることが最も好ましい。ポリマー濃度が15重量%未満では溶媒使用量が多くなり、口金単孔からの紡糸溶液の吐出量が増加し、紡糸条件設定上、紡糸ドラフトを高めにくいことがある。一方、ポリマー濃度が30重量%を超えると絡み合いが多くなることで絡み合い点間分子量が低下し、可紡性が低下することがある。紡糸溶液のポリマー濃度は、使用する溶媒量により調製することができる。また、PAN系重合体溶液には、水、メタノール、エタノールなどPAN系重合体が凝固する溶媒(いわゆる、凝固剤)をPAN系重合体が凝固しない範囲で含んでも構わないし、酸化防止剤、重合禁止剤などの成分をPAN系重合体に対して5重量%までは含んでも構わない。
ポリマー濃度の調整手段としては、後処理工程のバッチ式/連続式を問わず、例えば減圧下において溶媒を揮発除去する方法や、溶媒をサイドラインから合流させミキサーを通過させて混合する方法、あるいは、溶媒蒸気を通過させて混合する方法など、公知の方法を好ましく用いることができる。
また、45℃の温度における紡糸溶液の粘度は、15〜200Pa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜150Pa・sの範囲であることがより好ましく、30〜100Pa・sの範囲であることが最も好ましい。溶液粘度が15Pa・s未満では、紡糸糸条の賦形性が低下するため、口金から出た糸条を引き取る速度、すなわち可紡性が低下する傾向を示す。また、溶液粘度は200Pa・sを超えると絡み合いが多くなり、分子量低下しやすくなる傾向を示す。紡糸溶液の粘度は、重量平均分子量とポリマー濃度、溶媒の種類により制御することができる。
本発明の製造方法で得られたPAN系重合体溶液は、乾湿式紡糸法により紡糸することにより炭素繊維前駆体繊維を製造することが紡糸速度を高め、かつ、紡糸ドラフトを高めるために好ましい。乾湿式紡糸法は、紡糸溶液を口金から一旦空気中に吐出した後、凝固浴中に導入して凝固させる紡糸方法である。
紡糸溶液の紡糸ドラフトは5〜50の範囲とすることが好ましい。ここで紡糸ドラフトとは、紡糸糸条が口金を離れて最初に接触する駆動源を持ったローラーの表面速度(凝固糸の巻き取り速度)を、口金からの吐出線速度で割った値をいう。紡糸ドラフトが5未満では、望む前駆体繊維の繊度を得るために口金孔径を小さくせざるを得ないことがあり、剪断速度を低下させる観点からは紡糸ドラフトが50以下で十分である。吐出量を変更し、吐出線速度を変更することで容易に紡糸ドラフトを変更することができるため、吐出線速度を変更して吐出角度を確認しながら本発明の吐出角度になるように調整すればよい。吐出量は、生産量に関係するので必要な生産量になるように、最終的には吐出量を固定して紡糸口金孔径を変更することで設定の紡糸ドラフトを得ればよい。
本発明において用いられる凝固浴には、PAN系重合体溶液で溶媒として用いたジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、塩化亜鉛水溶液、およびチオ硫酸ナトリウム水溶液などのPAN系重合体の溶媒と、いわゆる凝固促進成分の混合物が用いられる。凝固促進成分としては、前記のPAN系重合体を溶解せず、かつPAN系重合体溶液に用いた溶媒と相溶性があるものが好ましい。凝固促進成分としては、具体的には、水、メタノール、エタノールおよびアセトンなどが挙げられる。回収する必要がないことと安全性の面、凝固に必要な凝固促進成分の量が少ないことから水を使用することが最も好ましい。凝固浴の溶媒濃度、温度などの条件は公知の条件に従って設定すればよい。
本発明において、PAN系重合体溶液を凝固浴中に導入して凝固させ凝固糸を形成した後、水洗工程、浴中延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を経て、炭素繊維前駆体繊維が得られる。また、上記の工程に乾熱延伸工程や蒸気延伸工程を加えてもよい。凝固後の糸条は、水洗工程を省略して直接浴中延伸を行っても良いし、溶媒を水洗工程により除去した後に浴中延伸を行っても良い。浴中延伸は、通常、30〜98℃の温度に温調された単一または複数の延伸浴中で行うことが好ましい。そのときの延伸倍率は、1〜5倍であることが好ましく、1〜3倍であることがより好ましい。
浴中延伸工程の後、単繊維同士の接着を防止する目的から、延伸された繊維糸条にシリコーン等からなる油剤を付与することが好ましい。シリコーン油剤は、耐熱性の高いアミノ変性シリコーン等の変性されたシリコーンを含有するものを用いることが好ましい。
乾燥工程としては、例えば、乾燥温度が70〜200℃で乾燥時間が10秒から200秒の乾燥条件が好ましい結果を与える。生産性の向上や結晶配向度の向上として、乾燥工程後に加熱熱媒中で延伸することが好ましい。加熱熱媒としては、例えば、加圧水蒸気あるいは過熱水蒸気が操業安定性やコストの面で好適に用いられ、延伸倍率は通常1.5〜10倍である。
このようにして得られた炭素繊維前駆体繊維の単繊維繊度は、0.01〜1.5dtexであることが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0dtexであり、さらに好ましくは0.1〜0.8dtexである。単繊維繊度が小さすぎると、ローラーやガイドとの接触による糸切れ発生などにより、製糸工程および炭素繊維の焼成工程のプロセス安定性が低下することがある。一方、単繊維繊度が大きすぎると、耐炎化後の各単繊維における内外構造差が大きくなり、続く炭化工程でのプロセス性低下や、得られる炭素繊維の引張強度および引張弾性率が低下することがある。本発明における単繊維繊度(dtex)とは、単繊維10,000mあたりの重量(g)である。
本発明の前駆体繊維束の結晶配向度は、88〜95%であり、好ましくは91〜93%である。結晶配向度が88%未満であると炭素繊維のストランド引張伸度が不足し、一方、結晶配向度が95%を超えると毛羽を発生しやすくなる。
本発明の前駆体繊維束は、単繊維が3000本以上集束して構成されることが好ましい。3000本より少ない前駆体繊維束を合糸して炭素繊維束を形成しても構わないが、経済性の面で好ましくない。前駆体繊維束を構成する単繊維数は、より好ましくは12000本以上であり、更に好ましくは24000本以上である。
[炭素繊維の製造方法]
次に、本発明の炭素繊維の製造方法について説明する。
本発明では、前記のようにして得た炭素繊維前駆体繊維を、200〜300℃の温度の空気中において耐炎化する耐炎化工程と、耐炎化工程で得られた繊維を、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において予備炭化する予備炭化工程と、予備炭化工程で得られた繊維を1,000〜3,000℃の温度の不活性雰囲気中において炭化する炭化工程を順次経て炭素繊維を得ることができる。
本発明において、耐炎化とは、空気を4〜25mol%以上含む雰囲気中における熱処理をいう。通常、紡糸工程と耐炎化工程以降は非連続であるが、紡糸工程と耐炎化工程の一部もしくは全てを連続的に行っても構わない。
耐炎化する際の延伸比は、0.8〜1.2、好ましくは0.9〜1.1とする。耐炎化する際の延伸比が0.8を下回ると、耐炎化工程の張力が低下し、耐炎化炉スリットなどで擦過を起こすことがあり、得られる炭素繊維の単繊維強度分布が広がる。また、耐炎化する際の延伸比が1.2を超えると、延伸張力が高すぎてローラー等に圧迫されて圧痕が残ることや欠陥が拡大することがある。
耐炎化の処理時間は、10〜100分の範囲で適宜選択することができるが、続く予備炭化の生産安定性、および、得られる炭素繊維の力学物性向上の目的から、得られる耐炎化繊維の比重が1.3〜1.38の範囲となるように設定することが好ましい。
予備炭化、および、炭化は、不活性雰囲気中で行なわれるが、用いられる不活性ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン、および、キセノンなどが用いられる。経済的な観点からは、窒素が好ましく用いられる。
なお、予備炭化における昇温速度は、500℃/分以下に設定されることが好ましい。
予備炭化を行う際の延伸比は、0.95〜1.2、好ましくは1.0〜1.1とする。予備炭化を行う際の延伸比が0.95を下回ると、得られる予備炭化繊維の配向度が不十分となり、炭素繊維のストランド引張弾性率が低下する。また、予備炭化を行う際の延伸比が1.2を超えると、延伸張力が高すぎてローラー等に圧迫されて圧痕が残ることや欠陥が拡大することがある。
炭化の温度は、好ましくは1,000〜2,000℃、より好ましくは1,200〜1,800℃、さらに好ましくは1,300〜1,600℃とする。一般に炭化の最高温度が高いほど、ストランド引張弾性率は高まるものの、引張強度は1,500℃付近で極大となるため、両者のバランスを勘案して、炭化の温度を設定する。
炭化を行う際の延伸比は、0.96〜1.05、好ましくは0.97〜1.05、より好ましくは0.98〜1.03とする。炭化を行う際の延伸比が0.96を下回ると、得られる炭素繊維の配向度や緻密性が不十分となり、ストランド引張弾性率が低下する。また、炭化を行う際の延伸比が1.05を超えると、延伸張力が高すぎてローラー等に圧迫されて圧痕が残ることや欠陥が拡大することがある。
より弾性率が高い炭素繊維を所望する場合には、炭化工程に続き黒鉛化を行うこともできる。黒鉛化工程の温度は2,000〜2,800℃であるのがよい。また、その最高温度は、所望する炭素繊維の要求特性に応じて適宜選択して使用される。黒鉛化工程における延伸比は、所望する炭素繊維の要求特性に応じて、毛羽発生など品位低下の生じない範囲で適宜選択するのがよい。
得られた炭素繊維はその表面改質のため、電解処理をすることができる。電解処理に用いられる電解液には、硫酸、硝酸および塩酸等の酸性溶液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウムのようなアルカリまたはそれらの塩の水溶液を使用することができる。ここで、電解処理に要する電気量は、適用する炭素繊維の炭化度に応じて適宜選択することができる。
電解処理により、得られる繊維強化複合材料において炭素繊維マトリックスとの接着性を適正化することができる。接着が強すぎることによる複合材料の脆性的な破壊や、繊維方向の引張強度が低下するという問題や、繊維方向における引張強度は高いものの樹脂との接着性に劣り、非繊維方向における強度特性が発現しないという問題が解消される。この結果、得られる繊維強化複合材料において、繊維方向と非繊維方向の両方向にバランスのとれた強度特性が発現される。
電解処理の後、炭素繊維に集束性を付与するため、サイジング処理を施すこともできる。サイジング剤には、使用する樹脂の種類に応じて、マトリックス樹脂等との相溶性の良いサイジング剤を適宜選択することができる。
本発明により得られる炭素繊維は、プリプレグとしてオートクレーブ成形、織物などのプリフォームとしてレジントランスファーモールディングで成形するなど種々の成形法により、衝撃後圧縮強度など様々な機械特性に優れた炭素繊維強化複合材料を与える。したがって、航空機用構造材料、自動車用途、船舶用途、スポーツ用途およびその他一般産業用途に衝撃後圧縮強度に優れる炭素繊維強化複合材料として好適に用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
<Z平均分子量(Mz)、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn);GPC法>
測定しようとする重合体をその濃度が0.1重量%となるように、ジメチルホルムアミド(0.01N−臭化リチウム添加)に溶解し、検体溶液を得る。得られた検体溶液について、GPC装置を用いて、次の条件で測定したGPC曲線から分子量の分布曲線を求め、Mz、MwおよびMnを算出した。測定は3回行い、Mz、Mw、Mnの値を平均して用いた。
・カラム :極性有機溶媒系GPC用カラム
・流速 :0.5ml/min
・温度 :70℃
・試料濾過 :メンブレンフィルター(0.45μmカット)
・注入量 :200μl
・検出器 :示差屈折率検出器
分子量は、分子量が異なる分子量既知の単分散ポリスチレンを少なくとも6種類用いて、溶出時間−分子量の検量線を作成し、その検量線上において、該当する溶出時間に対応するポリスチレン換算の分子量を読み取ることにより求めた。
本実施例では、GPC装置として(株)島津製作所製CLASS−LC2010を、カラムとして東ソー(株)製TSK−GEL−α−M(×2)を、ジメチルホルムアミドおよび臭化リチウムとして和光純薬工業(株)製を、メンブレンフィルターとしてミリポアコーポレーション製0.45μ−FHLP FILTERを、示差屈折率検出器として(株)島津製作所製RID−10AVを、検量線作成用の単分散ポリスチレンとして、分子量184000、427000、791000、1300000、1810000および4240000のものを、それぞれ用いた。
<PAN系重合体濃度>
PAN系重合体濃度は次のようにして求めた。まずPAN系重合体溶液を約100g秤量し、水に滴下することによって凝固させた。凝固させた重合体を95℃の温水で2時間洗浄した後、70℃の温度で4時間乾燥して、得られた乾燥ポリマーを秤量した。PAN系重合体溶液の重量w0と乾燥ポリマーの重量w1とを用いて以下の式により算出した。
重合体濃度(wt%)=w1/w0×100(%)
<重合率>
重合率は、重合率を測定する時点でのPAN系重合体濃度c1と、重合率を測定する時点までに系内に導入したANとその他の試薬との重量比から一意に算出できるAN濃度c0とを用いて、次のように求めた。
重合率(%)=c1/c0×100(%)
<重合開始剤残存率>
重合開始剤残存率は実測値と以下に示す計算値とが良い一致をみせたため、本発明においては計算値を用いた。重合開始剤残存率の計算式は以下の通りである。
時間t(hr)後の重合開始剤の残存量は式(1)に示す通りであり、分解速度係数は式(2)のようにアレニウス型の温度依存性を有することが知られている。
[I]=[I]0×exp(−kd×t) ・・・(1)
kd=A×exp(−Ea/R/T) ・・・(2)
ただし、[I](mol/L)は重合開始剤濃度
[I]0(mol/L)は重合開始剤初濃度
kd(hr−1)は分解速度係数
A(hr−1)は定数
Ea(J/mol)は活性化エネルギー
R(J/K/mol)は気体定数
T(K)は絶対温度
したがって、重合開始剤残存率は式(3)のように計算できる。
重合開始剤残存率(%)=[I]/[I]0×100(%)
=100(%)×exp{−A×exp(−Ea/R/T)×t} ・・・(3)
なお、AならびにEaはメーカー公称値を用いた。
<後重合率>
後重合率は次のように求めた。第2の重合開始剤を導入する前に単量体を追加しない場合は、第1の重合終了直後の重合率(f1)と第2の重合開始剤を導入する直前の重合率(f2)との差を第1の重合終了直後の重合率(f1)で割って算出した。
後重合率(%)=(f2−f1)/f1×100(%)
第2の重合開始剤を導入する前に単量体を追加する場合も、追加しない場合と同様に計算したが、第2の重合開始剤を導入する直前の重合率(f2)から、添加した単量体の寄与を消去した値f2’をf2の代わりに用いた。
f2’(%)=f2×第2の重合開始剤を導入するまでに添加した全単量体の重量/第1の重合工程で用いた単量体の重量
<後重合速度>
後重合速度は次のように求めた。すなわち、後重合率を第1の重合終了直後から第2の重合開始剤の導入までの経過時間(t)で割って算出した。
後重合速度(%/hr)=後重合率(%)/t(hr)×100
<炭素繊維前駆体繊維の品位等級の基準>
検査項目は、6000フィラメントの繊維束を1m/分の速度で1ライン走行させながら毛玉・毛羽の個数を数え、三段階評価した。評価基準は、下記のとおりである。
・等級1:繊維300m中、1個以内
・等級2:繊維300m中、2〜15個
・等級3:繊維300m中、16個以上。
<炭素繊維の品位等級の基準>
検査項目は、焼成後、表面処理・サイジング処理前に24000フィラメントの繊維束を1m/分の速度で1ライン走行させながら、毛玉・毛羽の個数を数え、三段階評価した。評価基準は、下記のとおりである。
・等級1:繊維30m中、1個以内
・等級2:繊維30m中、2〜15個
・等級3:繊維30m中、16個以上。
<炭素繊維束の引張強度および弾性率>
JIS R7601(1986)「樹脂含浸ストランド試験法」に従って求めた。測定する炭素繊維の樹脂含浸ストランドは、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−シクロヘキシル−カルボキシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部)を、炭素繊維または黒鉛化繊維に含浸させ、130℃の温度で30分で硬化させて作製した。また、炭素繊維のストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値を引張強度とした。本実施例では、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシ−シクロヘキシル−カルボキシレートとして、ユニオンカーバイド(株)製“ベークライト”(登録商標)ERL4221を用いた。
(実施例1)
AN100重量部、イタコン酸1重量部、第1の重合開始剤として2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製、V−70、10時間半減期温度=30℃)0.003重量部、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.003重量部をジメチルスルホキシド370重量部に均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器(重合槽1)に入れた。反応容器内の空間部を窒素置換した後、撹拌しながら下記の条件(以下、「重合条件A」という)の熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液Aを得た。
(1)60℃の温度で2時間保持
得られたPAN系重合体溶液A1を約100g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥ポリマーA1’を得た。得られた乾燥ポリマーA1’のMwは、330万であった。また、この重合反応の重合率は、7.14%、重合開始剤残存率は、0.08%であった。
次に、得られたPAN系重合体溶液A1を重合槽1から重合槽2(重合槽1と同様に環流管と撹拌翼とを備える)に、55℃に温調された配管を通して30分かけて送液した。かかる溶液中に、AN200重量部、イタコン酸2重量部、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.3重量部、ジメチルスルホキシド740重量部を添加した後に、55℃で2時間かけて均一に溶解した。第2の重合開始剤を添加する直前の重合率は2.47%であり、後重合率および後重合速度はそれぞれ3.8%、1.5%/hrであった。第1の重合開始剤を完全に消費したため、後重合を効果的に抑制することができ、重合プロセスの安定性が高まった。反応容器内の空間部を窒素置換した後、第2の重合開始剤としてAIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)1.2重量部を添加し、撹拌しながら下記の条件(重合条件Bと呼ぶ。)の熱処理を行い、溶液重合法により重合してPAN系重合体溶液Bを得た。
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
得られたPAN系重合体溶液B1を約10g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して乾燥ポリマーB1’を得た。得られた乾燥ポリマーB1’のMwおよびMz/Mwはそれぞれ39.7万、4.02であった。
重合体濃度が20重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことにより、イタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を作製した。
得られた紡糸溶液を、40℃の温度で、孔数3000、紡糸口金孔径0.3mmの紡糸口金を用い、一旦空気中に吐出し、約5mmの空間を通過させた後、3℃の温度にコントロールした20重量%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により紡糸した。このときの吐出線速度は7m/分で一定とし、紡糸ドラフト率4の条件で凝固糸条を得、水洗した後、90℃の温水中で3倍の浴中延伸倍率で延伸し、さらにアミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与し、190℃の温度のホットドラムを用いて乾燥し、その後0.4MPaの加圧水蒸気中で6倍の後延伸を行って単繊維繊度1.1dtexの炭素繊維前駆体繊維を得た。得られた炭素繊維前駆体繊維の品位は優れており、前駆体繊維巻き取り手前で観察した製糸工程通過性も安定していた。
得られた炭素繊維前駆体繊維を、240〜260℃の温度の温度分布を有する空気中において延伸比1.0で延伸しながらで90分間耐炎化処理し、耐炎化繊維を得た。続いて、得られた耐炎化繊維を300〜700℃の温度の温度分布を有する窒素雰囲気中において、延伸比1.0で延伸しながら予備炭化処理を行い、さらに最高温度1500℃の窒素雰囲気中において、延伸比を0.97に設定して炭化処理を行い、連続した炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の品位は良好であった。
(実施例2)
第1の重合開始剤量を0.001重量部とした以外は実施例1と同様に、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液A2を得た。
得られたPAN系重合体溶液A2を約100g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥ポリマーA2’を得た。得られた乾燥ポリマーA2’のMwは、340万であった。また、この重合反応の重合率は、2.37%、重合開始剤残存率は、0.08%であった。
次に、得られたPAN系重合体溶液A2を重合槽1から重合槽2(重合槽1と同様に環流管と撹拌翼とを備える)に、55℃に温調された配管を通して30分かけて送液した。第2の重合開始剤を添加する直前の重合率は2.41%であり、後重合率および後重合速度はそれぞれ1.7%、3.4%/hrであった。第1の重合開始剤を完全に消費したため、後重合を効果的に抑制することができ、重合プロセスの安定性が高まった。反応容器内の空間部を窒素置換した後、かかる溶液中に、重合開始剤としてAIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)0.4重量部、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部を添加し、撹拌しながら重合条件Bの熱処理を行い、溶液重合法により重合してPAN系重合体溶液B2を得た。
得られたPAN系重合体溶液B2を約10g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して乾燥ポリマーB2’を得た。得られた乾燥ポリマーB2’のMwおよびMz/Mwはそれぞれ39.5万、4.00であった。
実施例1と同様にして、製糸、焼成を行い炭素繊維束を得た。前駆体繊維巻き取り手前で観察した製糸工程通過性も安定しており、得られた炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の品位は優れていた。
(実施例3)
AN100重量部、イタコン酸1重量部、第1の重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、10時間半減期温度=65℃)0.002重量部、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.001重量部をジメチルスルホキシド370重量部に均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器(重合槽1)に入れた。反応容器内の空間部を窒素置換した後、撹拌しながら下記の条件(以下、「重合条件C」という)の熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液A3を得た。
(1)85℃の温度で8時間保持
得られたPAN系重合体溶液A3を約100g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥ポリマーA3’を得た。得られた乾燥ポリマーA3’のMwは、250万であった。また、この重合反応の重合率は、7.39%、重合開始剤残存率は、0.12%であった。
次に、得られたPAN系重合体溶液A3を重合槽1から重合槽2(重合槽1と同様に環流間と撹拌翼とを備える)に、55℃に温調された配管を通して30分かけて送液した。かかる溶液中に、AN200重量部、イタコン酸2重量部、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.3重量部、ジメチルスルホキシド740重量部を添加した後に、55℃で2時間かけて均一に溶解した。第2の重合開始剤を添加する直前の重合率は2.48%であり、後重合率および後重合速度はそれぞれ0.6%、0.3%/hrであった。第1の重合開始剤を完全に消費したため、後重合を効果的に抑制することができ、重合プロセスの安定性が高まった。反応容器内の空間部を窒素置換した後、第2の重合開始剤としてAIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)1.2重量部を添加し、撹拌しながら重合条件Bの熱処理を行い、溶液重合法により重合してPAN系重合体溶液B3を得た。
得られたPAN系重合体溶液B3を約10g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して乾燥ポリマーB3’を得た。得られた乾燥ポリマーB3’のMwおよびMz/Mwはそれぞれ39.5万、3.99であった。
実施例1と同様にして、製糸、焼成を行い炭素繊維束を得た。前駆体繊維巻き取り手前で観察した製糸工程通過性も安定しており、得られた炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の品位は優れていた。
(実施例4)
AN100重量部、イタコン酸1重量部、重合開始剤として2,2'−アゾビス(2,4'−ジメチルバレロニトリル)(ADVN、10時間半減期温度=51℃)0.002重量部、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.001重量部をジメチルスルホキシド370重量部に均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器(重合槽1)に入れた。反応容器内の空間部を窒素置換した後、撹拌しながら下記の条件(以下、「重合条件D」という)の熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液A4を得た。
(1)75℃の温度で5時間保持
得られたPAN系重合体溶液A4を約100g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥ポリマーA4’を得た。得られた乾燥ポリマーA4’のMwは、280万であった。また、この重合反応の重合率は、7.16%、重合開始剤残存率は、0.09%であった。
次に、実施例1と同様に第2の重合反応を行い、PAN系重合体溶液B4を得た。第2の重合開始剤を添加する直前の重合率は2.43%であり、後重合率および後重合速度はそれぞれ1.8%、0.7%/hrであった。第1の重合開始剤を完全に消費したため、後重合を効果的に抑制することができ、重合プロセスの安定性が高まった。
得られたPAN系重合体溶液B4を約10g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して乾燥ポリマーB4’を得た。得られた乾燥ポリマーB4’のMwおよびMz/Mwはそれぞれ39.5万、4.00であった。
実施例1と同様にして、製糸、焼成を行い炭素繊維束を得た。前駆体繊維巻き取り手前で観察した製糸工程通過性も安定しており、得られた炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の品位は優れていた。
(比較例1)
実施例1の第1の重合開始剤の代わりに、AIBN(2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、10時間半減期温度=65℃)を0.012重量部用いたことと、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.01重量部を用いたことと、熱処理を下記の条件(以下、「重合条件E」という)とした以外は、実施例1と同様にして溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液A5を得た。
(1)65℃の温度で2時間保持
得られたPAN系重合体溶液A5を約100g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥ポリマーA5’を得た。得られた乾燥ポリマーA5’のMwは、250万であった。また、この重合反応の重合率は、7.03%、重合開始剤残存率は、87%であった。
送液を30℃で0.5時間、希釈を30℃で4時間かけて行った以外は実施例1と同様に、溶液重合法により重合してPAN系重合体溶液B5を得た。
第2の重合開始剤を導入する直前の重合率は2.74%であり、後重合率および後重合速度はそれぞれ17%、3.8%/hrであった。第1の重合開始剤を完全に消費していないため、後重合が進行し、A成分の重合率が狙いよりも高くなった。
得られたPAN系重合体溶液B5を約10g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して乾燥ポリマーB5’を得た。得られた乾燥ポリマーB5’のMwおよびMz/Mwはそれぞれ40.4万、4.15であった。
実施例1と同様にして、製糸、焼成を行い炭素繊維束を得た。前駆体繊維巻き取り手前で観察した製糸工程通過性も安定しており、得られた炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の品位は優れていた。
(比較例2)
比較例1と同様にして、PAN系重合体溶液A6を得た。
PAN系重合体溶液A6を実施例1と同様にして送液、希釈して、さらに実施例1と同様にして第2の重合を行いPAN系重合体溶液B6を得た。
第2の重合開始剤を導入する直前の重合率は3.75%であり、後重合率および後重合速度はそれぞれ59.9%、23.9%/hrであった。第1の重合開始剤を完全に消費していないため、後重合が進行し、A成分の重合率が狙いよりも大幅に高くなった。
得られたPAN系重合体溶液B6を約10g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して乾燥ポリマーB6’を得た。得られた乾燥ポリマーB6’のMwおよびMz/Mwはそれぞれ43.0万、4.48であった。
実施例1と同様にして、製糸、焼成を行い炭素繊維束を得た。前駆体繊維巻き取り手前で観察した製糸工程通過性も安定しており、得られた炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の品位は優れていた。
(比較例3)
重合開始剤をAIBN(10時間半減期温度=65℃)0.004重量部としたことと、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.001重量部を用いたこと以外は実施例2と同様にして、PAN系重合体溶液A7を得た。
得られたPAN系重合体溶液A7を約100g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥ポリマーA7’を得た。得られた乾燥ポリマーA7’のMwは、310万であった。また、この重合反応の重合率は、2.13%、重合開始剤残存率は、87%であった。
PAN系重合体溶液A7を実施例2と同様にして送液、希釈して、第2の重合を行いPAN系重合体溶液B7を得た。第2の重合を開始する直前の重合率は2.39%であり、後重合率および後重合速度はそれぞれ12.2%、24.4%/hrであった。第1の重合開始剤を完全に消費していないため、後重合が進行し、A成分の重合率が狙いよりも高くなった。
得られたPAN系重合体溶液B7を約10g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して乾燥ポリマーB7’を得た。得られた乾燥ポリマーB7’のMwおよびMz/Mwはそれぞれ40.2万、4.11であった。
実施例1と同様にして、製糸、焼成を行い炭素繊維束を得た。前駆体繊維巻き取り手前で観察した製糸工程通過性も安定しており、得られた炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の品位は優れていた。
(比較例4)
重合開始剤をADVN(10時間半減期温度=51℃)0.008重量部としたことと、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.001重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、PAN系重合体溶液A8を得た。
得られたPAN系重合体溶液A8を約100g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥ポリマーA8’を得た。得られた乾燥ポリマーA8’のMwは、240万であった。また、この重合反応の重合率は、7.13%、重合開始剤残存率は、68%であった。
PAN系重合体溶液A8を比較例1と同様にして送液、希釈して、第2の重合を行いPAN系重合体溶液B8を得た。第2の重合を開始する直前の重合率は2.90%であり、後重合率および後重合速度はそれぞれ21.9%、4.9%/hrであった。第1の重合開始剤を完全に消費していないため、後重合が進行し、A成分の重合率が狙いよりも高くなった。
得られたPAN系重合体溶液B8を約10g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して乾燥ポリマーB8’を得た。得られた乾燥ポリマーB8’のMwおよびMz/Mwはそれぞれ40.7万、4.19であった。
実施例1と同様にして、製糸、焼成を行い炭素繊維束を得た。前駆体繊維巻き取り手前で観察した製糸工程通過性も安定しており、得られた炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の品位は優れていた。
(比較例5)
比較例4と同様にして、PAN系重合体溶液A9を得た。
PAN系重合体溶液A9を実施例1と同様にして送液、希釈して、第2の重合を行いPAN系重合体溶液B9を得た。第2の重合を開始する直前の重合率は4.09%であり、後重合率および後重合速度はそれぞれ71.9%、28.8%/hrであった。第1の重合開始剤を完全に消費していないため、後重合が進行し、A成分の重合率が狙いよりも大幅に高くなった。
得られたPAN系重合体溶液B9を約10g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して乾燥ポリマーB9’を得た。得られた乾燥ポリマーB9’のMwおよびMz/Mwはそれぞれ43.7万、4.55であった。
実施例1と同様にして、製糸、焼成を行い炭素繊維束を得た。前駆体繊維巻き取り手前で観察した製糸工程通過性も安定しており、得られた炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の品位は優れていた。
(比較例6)
重合開始剤を1,1’−アゾビス(シクロヘキサン―1―カルボニトリル(ACCN、10時間半減期温度=88℃)0.04重量部としたことと、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.001重量部を用いたこと以外は、比較例1と同様にして溶液重合し、PAN系重合体溶液A10を得た。
得られたPAN系重合体溶液A10を約100g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥ポリマーA10’を得た。得られた乾燥ポリマーA10’のMwは、235万であった。また、この重合反応の重合率は、7.25%、重合開始剤残存率は、94%であった。
PAN系重合体溶液A10を実施例1と同様にして送液、希釈して、第2の重合を行いPAN系重合体溶液B10を得た。第2の重合を開始する直前の重合率は3.97%であり、後重合率および後重合速度はそれぞれ64.2%、25.7%/hrであった。第1の重合開始剤を完全に消費していないため、後重合が進行し、A成分の重合率が狙いよりも大幅に高くなった。
得られたPAN系重合体溶液B10を約10g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して乾燥ポリマーB10’を得た。得られた乾燥ポリマーB10’のMwおよびMz/Mwはそれぞれ43.2万、4.51であった。
実施例1と同様にして、製糸、焼成を行い炭素繊維束を得た。前駆体繊維巻き取り手前で観察した製糸工程通過性も安定しており、得られた炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の品位は優れていた。
(比較例7)
第1の重合開始剤として2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製、V−70、10時間半減期温度=30℃)0.004重量部、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.003重量部とし、重合時間を0.5時間とした重合条件Fとした以外は、実施例2と同様にしてPAN系重合体溶液A11を得た。
(1)60℃の温度で0.5時間保持
得られたPAN系重合体溶液A11を約100g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して、乾燥ポリマーA11’を得た。得られた乾燥ポリマーA11’のMwは、320万であった。また、この重合反応の重合率は、2.32%、重合開始剤残存率は、20%であった。
PAN系重合体溶液A11を実施例2と同様にして送液して、第2の重合を行いPAN系重合体溶液B11を得た。第2の重合を開始する直前の重合率は3.17%であり、後重合率および後重合速度はそれぞれ36.6%、73.1%/hrであった。第1の重合開始剤を完全に消費していないため、後重合が進行し、A成分の重合率が狙いよりも高くなった。
得られたPAN系重合体溶液B11を約10g取り、水に注いでポリマーを沈殿させ、それを95℃の温水で2時間洗浄後、70℃の温度で4時間乾燥して乾燥ポリマーB11’を得た。得られた乾燥ポリマーB11’のMwおよびMz/Mwはそれぞれ41.6万、4.31であった。
実施例1と同様にして、製糸、焼成を行い炭素繊維束を得た。前駆体繊維巻き取り手前で観察した製糸工程通過性も安定しており、得られた炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の品位は優れていた。
以上の実施例1〜4、比較例1〜8の重合条件、重合後の結果を表1、2に示す。表1は、実施例、比較例の第1の重合工程の重合条件と後重合率、後重合速度を示し、表2は第1の重合終了直後の各分子量、第2の重合終了後のMw、Mz/Mw、超高分子量重合体の分率を示す。
表1から、第1の重合時の温度保持条件(1)t≧65×exp(−0.13×ΔT)、(2)0.5≦t≦10、(3)20≦ΔT≦50を全て満たす実施例1〜4のポリアクリロニトリル混合溶液は、表1からわかるように、第1の重合開始剤の残存率が小さく、後重合率が小さい。一方、(1)〜(3)式のいずれかを満たさない比較例1〜7のポリアクリロニトリル混合溶液は、第1の重合開始剤の残存率が大きく、後重合率が大きい。すなわち、(1)〜(3)式を全て満たせば、第1の重合工程で、第1の重合開始剤が使い切られるため、後重合を起こしにくいことが判る。
また、実施例3のように、第1の重合開始剤の10時間半減期温度が20〜55℃の範囲にないものであっても、上記(1)〜(3)式を全て満たせば、第1の重合工程で、第1の重合開始剤が使い切られるため、後重合を起こしにくいことが判る。
Figure 2012025837

Figure 2012025837

Claims (6)

  1. アクリロニトリルを主成分とする単量体と第1の重合開始剤を含む溶液を、下記式(1)〜(3)の条件に保持し、重量平均分子量が100万〜800万であるポリアクリロニトリルと、アクリロニトリルを主成分とする単量体との、混合溶液を得る第1の重合工程と、
    第1の重合工程の後、第2の重合開始剤を追加し、溶液中の未反応の前記単量体を重合する第2の重合工程とを含む、重量平均分子量が10万〜80万、Mz/Mw2.7〜10であるポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法。
    t≧65×exp(−0.13×ΔT) ・・・(1)
    0.5≦t≦10 ・・・(2)
    20≦ΔT≦50 ・・・(3)
    (式中、重合温度と第1の重合開始剤の10時間半減期温度との差:ΔT、重合時間:t)
  2. 第1の重合工程の重合率が1〜10%である、請求項1に記載のポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法。
  3. 第1の重合開始剤は、10時間半減期温度が20〜55℃である、請求項1または2に記載のポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法。
  4. 第2の重合工程において、第2の重合開始剤を追加する前にアクリロニトリルを主成分とする単量体を追加する請求項1〜3のいずれかに記載のポリアクリロニトリル混合溶液の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリアクリロニトリル混合溶液を乾湿式紡糸することを特徴とする炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  6. 請求項5に記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法により得られた炭素繊維前駆体繊維を、200〜300℃の温度の空気中において耐炎化処理した後、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において予備炭化処理し、次いで1,000〜3,000℃の温度の不活性雰囲気中において炭化処理することを特徴とする炭素繊維の製造方法。
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