JP2595674B2 - 炭素繊維の製造方法 - Google Patents

炭素繊維の製造方法

Info

Publication number
JP2595674B2
JP2595674B2 JP19424288A JP19424288A JP2595674B2 JP 2595674 B2 JP2595674 B2 JP 2595674B2 JP 19424288 A JP19424288 A JP 19424288A JP 19424288 A JP19424288 A JP 19424288A JP 2595674 B2 JP2595674 B2 JP 2595674B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pitch
carbon fiber
fiber
strength
mixing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP19424288A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0247311A (ja
Inventor
正芳 鷲山
要治 松久
徹 平松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP19424288A priority Critical patent/JP2595674B2/ja
Publication of JPH0247311A publication Critical patent/JPH0247311A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2595674B2 publication Critical patent/JP2595674B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は炭素繊維の製造に関し、特に強度,弾性率に
優れた炭素繊維を、低コストで製造する方法に関する。
[従来の技術] 従来炭素繊維はその優れた機械的特性、特に比強度、
比弾性率を利用した複合材料の補強用繊維として、航空
機、ロケット、テニスラケット、ゴルフシャフト、釣竿
などに広く使用され、さらに船舶、自動車などの運輸機
械用途分野などにも使用されようとしている。
現在、炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN)及び
ピッチを原料とするものが工業的規模で製造されている
が、従来の炭素繊維には強度,弾性率の両者を同時に発
現させることはいずれの原料を用いても困難であるとい
う問題点があった。
すなわち、PAN系炭素繊維は高強度を発現し易いが難
黒鉛化性原料であるために弾性率が向上しにくいという
問題点がある。一方、ピッチ系炭素繊維は、特開昭49−
19127号公報に述べられているように光学異方性が大き
い、すなわち易黒鉛化性原料であることを活かして高弾
性率化が進んでいるか高強度化が困難であるという問題
点があった。
さらに該炭素繊維の強度,弾性率の向上させるために
は、原料の精製,製糸,焼成,後処理にそれぞれ特別の
工夫が必要であり、このため炭素繊維の製造コストが上
がってしまう問題点があった。
このような問題点を解決するために、ピッチ系炭素繊
維については原料の改質が検討され、ピッチに他の高分
子物質を混合する方法(例えば、特開昭63−59814号公
報)などが種々提案されているが、PAN系炭素繊維にお
いては未だ混合による改質が十分になされていない。
そこで本発明者らは、PAN系炭素繊維において強度を
下げることなく弾性率を低コストで向上させる技術を鋭
意検討した結果本発明に至った。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の課題は上記従来技術の問題点を解決し、強
度,弾性率が共に優れたPAN系炭素繊維を低コストで製
造する方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 上記課題はアクリル系重合体にピッチを0.1〜20重量
%混合し、製糸,焼成することによって解決することが
できる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられるアクリル系重合体として
は、少なくとも90モル%異常のアクリロニトリルと10モ
ル%以下の共重合可能なビニル系モノマ、たとえばアク
リル酸,メタクリル酸,イタコン酸およびそれらのアル
カリ金属塩,アンモニウム塩および低級アルキルエステ
ル類,アクリルアミドおよびその誘導体,アリルスルホ
ン酸,メタクリルスルホン酸およびそれらの塩類または
アルキルエステル類などの共重合体を挙げることができ
る。
重合法については限定されるものではなく、従来公知
の溶液重合,懸濁重合,乳化重合などを適用することが
できる。
一方、ピッチの原料としては、石炭系,石油系のピッ
チ、あるいは耐熱熱硬化性樹脂、耐熱熱可塑性樹脂など
か誘導されたピッチなどを使用することができる。
このようなピッチは原料を蒸留,溶媒分別,水素添
加,熱処理等の分別あるいは改質工程により等方性ピッ
チ,異方性ピッチ,またはメソフェーズピッチとしたも
のを適用できるが、特に上記重合体との相溶性を良くす
るために、ハロゲン,アミノ基,カルボニル基などの置
換基が導入されたピッチ,または分子内に−CO−,−NH
−,−O−などの結合を有するピッチが好ましい。この
とき沸点500℃以下の成分を10%以下、好ましくは実質
上ほとんど含まないことがよい。すなわち、ピッチ中、
沸点500℃以下の成分が10%を越えると初期の焼成工程
において低揮発成分が繊維から飛散してボイドを生成す
ることによって、繊維そのものが脆弱となる傾向があ
る。
また軟化点は80〜300℃、好ましくは80〜200℃に調整
したピッチがよい。すなわち、軟化点が高いピッチでは
耐炎化過程で焼成むらが生じやすく、そのために構造欠
陥が生成し、物性低下あるいは糸切れが生じ易い傾向が
ある。
アクリル系重合体とピッチを混合する方法について
は、該重合体とピッチの共通溶媒、例えばジメチルスル
ホキシド,ジメチルホルムアミド,硝酸などを用いて溶
媒により混合する方法、単に両者を混ぜ攪拌する機械的
混合による方法などを適用することができる。このと
き、ピッチはボールミル粉砕器などによりあらかじめ粒
径0.05μm以下の微粉末としておくことが好ましい。
混合割合としては、該重合体に対して0.1〜20重量
%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは2〜
5重量%にすることが必須である。すなわち0.1重量%
未満ではピッチの混合による物性向上効果が殆ど現れ
ず、また20重量%を越えると紡糸工程で単糸糸切れが多
発し、炭素繊維の物性を低下させてしまうためである。
紡糸方法には、湿式紡糸法,乾式紡糸法,乾湿式紡糸
法などを採用することができる。得られた凝固糸は従来
公知の浴延伸,スチーム延伸,工程油剤付与,乾燥緻密
化などを行うことによって所定のデニール、配向度を有
するプリカーサーとすることができる。
かかるプリカーサーの焼成、すなわち耐炎化、炭化あ
るいは黒鉛化条件としては、繊維の内部にボイドなどの
構造欠陥が発生しにくい条件を設定することが好まし
い。すなわち、酸化性雰囲気中で加熱する耐炎化は、耐
炎化繊維の水分率を3.0〜6.5%、好ましくは4.0%〜5.5
%になるようにするのがよい。また、得られた耐炎化繊
維の炭化条件としては緊張下、300〜700℃の温度領域に
おいて、昇温速度を1000℃/分以下、好ましくは500℃
/以下、さらに好ましくは300℃/分以下とするのがよ
い。
さらに得られた炭素繊維は、2000℃以上の温度で熱処
理することによって黒鉛化繊維とすることができる。最
高温度の上限については、炉材の寿命などを考慮すると
2400〜2900℃の範囲に設定することが好ましい。
また得られた炭素繊維および黒鉛化繊維は、必要に応
じて従来公知の気相あるいは液相による表面処理等を行
うことができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明す
る。
なお、本実施例における耐炎化繊維の水分率は、耐炎
化繊維を恒温恒湿(20℃,65%RH)の雰囲気中に24時間
放置し、平衡到達後の試料の重量をm,120℃、2時間乾
燥後の重量をm0として{(m−m0)/m0}×100で求め
た値である。
また樹脂含浸ストランド強度および弾性率は、“ベー
クライト"ERL−4221/三フッ化ホウ素モノエチルアミン
(BF3・MEA)/アセトン=100/3/4部を炭素繊維に含浸
し、得られた樹脂含浸ストランドを130℃で30分加熱し
て硬化させ、JIS−R−7601に規定する樹脂含浸ストラ
ンド試験法に従って測定した値である。
実施例1. アクリロニトリル99.5モル%、イタコン酸0.5モル%
からなるアクリロニトリル共重合体のジメチルスルホキ
シド(DMSO)溶液にアンモニアガスを吹き込み、該共重
合体のカルボキシル末端基の水素をアンモニウム基で置
換してポリマを変性した。
一方、アシュランドA240の市販ピッチをベンゼンに溶
解し、攪拌後濾過した。そして可溶分からベンゼン溶媒
を除去した後十分に乾燥した。これを400℃、1時間加
熱処理した後、粒径0.04μm以下となるようにボールミ
ルを用いてピッチを調整した。
次に上記重合体溶液に対してピッチを5重量%入れ、
30分間攪拌機を用いて混合し紡糸原液とした。
得られた紡糸原液を40℃に調整し、孔径0.15mm、ホー
ル数3000の紡糸口金を通して一旦空気中に吐出して約3m
mの空間を走らせた後、温度30℃,濃度30%のDMSO水溶
液中で凝固させた。凝固糸条を水洗後、3段の延伸浴で
3倍に延伸しシリコーン系油剤を付与した。その後、約
130℃に加熱されたローラーに表面に接触させて乾燥緻
密化し、さらに3.5kg/cm2の加圧スチーム中で3倍に延
伸して単糸繊度1.0d,トータルデニール3000Dの繊維束を
得た。
このようにして得られた繊維束は230〜260℃の空気中
で加熱し、水分率4.0%の耐炎化繊維とした。次いで常
圧窒素雰囲気中下、最高温度1500℃まで緊張下で炭化し
て炭素繊維を得た。
樹脂含浸ストランドテストの結果、引張強度が520kg/
mm2,引張弾性率が32t/mm2であった。
比較例1. 実施例1において、ピッチを混合しないで同様に製
糸、焼成をおこなった。得られた炭素繊維の樹脂含浸ス
トランドテストの結果、引張強度が510kg/mm2,引張弾
性率が28t/mm2であった。
比較例2. 実施例1において、ピッチを混合割合を25重量%とし
て同様に製糸、焼成したが耐炎化過程で糸切れした。
実施例2. 実施例1において、フェノール樹脂を窒素気流中で45
0℃,2時間処理した後の残渣(ピッチ)を調整し、粉砕
後同様に該重合耐に5重量%の割合で混合し、製糸,焼
成した。耐炎化繊維の水分率は4.5%であり、得られた
炭素繊維の樹脂含浸ストランドテストの結果、引張強度
が520kg/mm2,引張弾性率が33t/mm2であった。
[発明の効果] 以上述べたように、本発明の製造方法によりPAN系炭
素繊維の強度を下げることなく、弾性率を向上させるこ
とができた。したがって強度,弾性率ともに優れたPAN
系炭素繊維を低コストで製造することができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリル系重合体にピッチを0.1〜20重量
    %混合し、次いで製糸,焼成することを特徴とする炭素
    繊維の製造方法。
JP19424288A 1988-08-03 1988-08-03 炭素繊維の製造方法 Expired - Lifetime JP2595674B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19424288A JP2595674B2 (ja) 1988-08-03 1988-08-03 炭素繊維の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19424288A JP2595674B2 (ja) 1988-08-03 1988-08-03 炭素繊維の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0247311A JPH0247311A (ja) 1990-02-16
JP2595674B2 true JP2595674B2 (ja) 1997-04-02

Family

ID=16321347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19424288A Expired - Lifetime JP2595674B2 (ja) 1988-08-03 1988-08-03 炭素繊維の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2595674B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012507638A (ja) * 2008-11-06 2012-03-29 インダストリー ファウンデーション オブ チョンナム ナショナル ユニバーシティ スキン−コア構造を有する炭素ナノ繊維、その製造方法、および前記炭素ナノ繊維を含む製品

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998002681A1 (fr) * 1996-07-17 1998-01-22 Kabushiki Kaisha Toyoda Jidoshokki Seisakusho Structure d'etancheite pour arbre de compresseur
JP2000110947A (ja) * 1998-10-02 2000-04-18 Toyota Autom Loom Works Ltd 圧縮機の軸封装置
JP2002005302A (ja) 2000-06-16 2002-01-09 Toyota Industries Corp リップ型シール

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012507638A (ja) * 2008-11-06 2012-03-29 インダストリー ファウンデーション オブ チョンナム ナショナル ユニバーシティ スキン−コア構造を有する炭素ナノ繊維、その製造方法、および前記炭素ナノ繊維を含む製品

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0247311A (ja) 1990-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5691366B2 (ja) 炭素繊維の製造方法
CN111945251A (zh) 超高强度中等模量聚丙烯腈基碳纤维及其制备方法
JP2595674B2 (ja) 炭素繊維の製造方法
JP2011213773A (ja) ポリアクリロニトリル系重合体、および炭素繊維
JPH05195324A (ja) 炭素繊維製造用プリカーサーおよびその製造法
JPH086210B2 (ja) 高強度高弾性率炭素繊維およびその製造方法
JP4887219B2 (ja) 炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造方法
JP2004060069A (ja) ポリアクリロニトリル系炭素繊維、及びその製造方法
JP2004232155A (ja) 軽量化ポリアクリロニトリル系炭素繊維及びその製造方法
JP2015183166A (ja) アクリロニトリル系共重合体およびポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維、炭素繊維の製造方法
JP2849156B2 (ja) 中空炭素繊維の製造方法
KR102531748B1 (ko) 폴리이미드계 탄소섬유와 흑연섬유 및 그 제조방법
JP3406696B2 (ja) 高熱伝導率炭素繊維の製造方法
JP7319955B2 (ja) 炭素繊維前駆体繊維束、耐炎化繊維束、それらの製造方法、及び炭素繊維束の製造方法
JP6048395B2 (ja) ポリアクリロニトリル系重合体、および炭素繊維前駆体繊維ならびに炭素繊維の製造方法
JPH02264011A (ja) 黒鉛繊維製造用アクリル系繊維
JP2011213774A (ja) 炭素繊維製造用ポリアクリロニトリルおよびポリアクリロニトリル系前駆体繊維および炭素繊維の製造方法。
CN111088535B (zh) 低含硅聚丙烯腈原丝的上油方法
KR870000534B1 (ko) 고강도 고탄성 탄소섬유 및 그 제조방법
JPH11124742A (ja) 炭素繊維の製造法
CN112030270A (zh) 一种制备耐火碳纤维的工艺
JP2007332498A (ja) 炭素繊維束の製造方法
JP2014167038A (ja) ポリアクリロニトリル系重合体、および炭素繊維前駆体繊維ならびに炭素繊維の製造方法
JPS6156328B2 (ja)
JPS63175122A (ja) 炭素繊維トウの製造法