JP4865405B2 - 計時機器およびタイム特定方法 - Google Patents
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Description
最近では、各計時ポイントにおける通過タイムも含めた競技タイムを計測可能とするために、非接触にて競技者個々の競技タイムを計測する試みがなされている。例えば、競技者にタグ送信機を保持させ、このタグ送信機により競技タイムを計測する計測システムが開発され、実用化に向けた運用試験等が試みられている。
そして、大人を対象とした競技(大人だけが参加する競技)では、図11(a)に示すように、競技者Ra(大人)の胸の高さ程度で(競技者の胸ゼッケンに無線タグが取り付けられているため)、サイドローブSLを検出することなくメインローブMLだけを検出可能となるように、ループコイルに流す電流等を制御して発生させる電磁場を調整している。
同様に、子供を対象とした競技でも、図11(b)に示すように、競技者Rb(子供)の胸の高さ程度で、メインローブMLだけを検出可能となるように、発生させる電磁場を調整している。
例えば、子供を対象として調整された電磁場では、図11(c)に示すように、競技者Raの無線タグがメインローブMLを検出できないことになる。つまり、大人にとっては、電磁場の高さが低すぎるため、競技者Raのタイム計測が行えないことになる。
一方、大人を対象として調整された電磁場では、図11(d)に示すように、競技者Rbの無線タグがメインローブMLだけでなく、サイドローブSLも検出してしまうことになる。つまり、子供にとっては、電磁場の高さが高すぎるため、メインローブMLより先に、サイドローブSLを検出してしまい、競技者Rbのタイム計測が正確に行えないことになる。
競技者に保持される計時機器であって、
競技における基準時刻を計時する計時手段と、
走路上に配置された所定形状のアンテナにより生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段の検出結果に基づいて前記電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率を算定する時間比率算定手段と、
前記時間比率算定手段が算定した前記時間比率に基づいて、前記メインローブ間における前記非検出期間を判別する判別手段と、
前記判別手段が判別した前記非検出期間中に、前記計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定するタイム特定手段と、
を備えることを特徴とする。
つまり、子供の競技者等に保持された計時機器が、メインローブとなる電磁場の他に、サイドローブとなる電磁場を検出した場合でも、非検出期間と検出期間との時間比率により、メインローブ間における非検出期間を判別可能であるため、適切な競技タイムが特定される。
この結果、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
前記判別手段は、算定された前記各時間比率のうち、規定される比率以下となる時間比率の非検出期間を、前記メインローブ間における前記非検出期間と判別してもよい。
競技者に保持される計時機器におけるタイム特定方法であって、
競技における基準時刻を計時する計時ステップと、
走路上に配置された所定形状のアンテナにより生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記電磁場検出ステップの検出結果に基づいて、前記電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率を算定する時間比率算定ステップと、
前記時間比率算定ステップにて算定された前記時間比率に基づいて、前記メインローブ間における前記非検出期間を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにて判別された前記非検出期間中に、前記計時ステップにて計時された時刻を競技タイムとして特定するタイム特定ステップと、
を備えることを特徴とする。
つまり、子供の競技者等に保持された計時機器が、メインローブとなる電磁場の他に、サイドローブとなる電磁場を検出した場合でも、非検出期間と検出期間との時間比率により、メインローブ間における非検出期間を判別可能であるため、適切な競技タイムが特定される。
この結果、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
図1は、この発明の実施の形態に適用される競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。
図示するように、この競技用計時システムは、競技が行われる走路及びその周辺に配置される磁場発生装置10、ループアンテナ20、受信機30、処理装置40、及び、競技者Ra(大人)及び競技者Rb(子供)にそれぞれ保持される無線タグ50とを含んで構成される。
ループアンテナ20は、一例として、図2(a)に示すように、幅wの略矩形に2つ形成され、走行方向(A方向)と直交する直線a,b及び、直線b,cに沿って、走路を横切るようにそれぞれ配置される。なお、この直線bが、計時を行うための計時ラインLと重なるように、配置される。
すなわち、図2(a)に示すループアンテナ20と、図2(c)に示すループアンテナ20とは、同等であると言える。以降、図2(a)に示すループアンテナ20について説明するが、図2(c)に示すループアンテナ20についても同様に適用可能である。
つまり、無線タグ50の電磁場検出コイルC(LFアンテナ51)は、メインローブとなる電磁場20b,20c(競技走路に対して垂直方向の磁束)だけをコイル面Dにて捉えることになるため、図3(b)に示すような電磁界強度分布を検出する。
つまり、無線タグ50は、メインローブとなる電磁場20b,20cだけでなく、サイドローブとなる電磁場20a,20dも捉えることになるため、図3(d)に示すような電磁界強度分布を検出する。
そして、受信機30は、受信した競技タイム等を処理装置40に供給する。
つまり、処理装置40は、ループアンテナ20上を通過した各無線タグ50から送信される競技タイム、時間比率、及び、タグIDを受信機30を介して受信すると、時間比率等に基づいて競技タイムの妥当性を検証し、所定の記憶部に記憶する。
そして、LFアンテナ51は、検出した電磁場の電磁界強度を示す検出信号を増幅回路52に供給する。
また、検出回路53は、増幅回路52から供給される検出信号(電磁界強度)に基づいて、電磁場の検出の有無を示す信号を生成し、制御部54に供給する。
すなわち、検出回路53は、増幅回路52から供給される電磁場の電磁界強度から2値(Highレベル/Lowレベル)の信号を生成する。なお、検出回路53は、大人の競技者Raと子供の競技者Rbとで、異なる波形の信号を生成する。
この信号は、まず、電磁場20bを検出している期間(検出期間H1)にHighとなり、次に、電磁場を検出していない期間(無線タグ50が被検出領域である電磁場20b,20cの狭間にある期間(以後、無線タグ50がこのような狭間にある期間を単に電磁場20b、20cの狭間の期間という)、換言すれば、メインローブ間における非検出期間L1)にLowとなり、そして、電磁場20cの検出期間H2にHighとなる。
なお、この場合の計時ポイントは、非検出期間L1の中間(L1/2)である。
この信号は、まず、電磁場20aの検出期間H1にHighとなり、電磁場の非検出期間L1(電磁場20a,20bの狭間の期間)にLowとなり、電磁場20bの検出期間H2にHighとなり、メインローブ間における非検出期間L2(電磁場20b,20cの狭間の期間)にLowとなり、電磁場20cの検出期間H3にHighとなり、電磁場の非検出期間L3(電磁場20c,20dの狭間の期間)にLowとなり、そして、電磁場20dの検出期間H4にHighとなる。
なお、この場合の計時ポイントは、メインローブ間における非検出期間L2の中間(L2/2)である。
例えば、小柄な大人の競技者Raの場合では、サイドローブとなる電磁場20a,20dの両方を検出する、または何れか一方だけを検出することも起こり得る。また、大柄な子供の競技者Rbの場合では、電磁場20a,20dの両方を検出しないか、又は、何れか一方だけを検出することも起こり得る。
つまり、図4(b),(d)の波形以外にも、図4(e),(f)に示すように、サイドローブとなる電磁場20a,20dの一方を検出した波形が生成される場合がある。
このため、後述するように、メインローブ間における非検出期間(電磁場20b,20cの狭間の期間)を適切に判別して、計時ポイントを特定する必要がある。
制御部54は、検出回路53から供給される信号の波形に基づいて、メインローブ間における非検出期間(電磁場20b,20cの狭間の期間)を判別して、計時ポイントを特定する。なお、制御部54は、電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率に基づいて、メインローブ間における非検出期間を判別する。なお、本実施例では、メインローブとなる電磁場20b、20cの地上からの最大高さは200cm、サイドローブとなる電磁場20a、20dの地上からの最大高さは70cmに調整されている。
このような電磁場では、図5(b)に示すように競技者Rb(例えば身長110cm)の胸の高さ程度(例えば地上から60cm;矢印Bb)における非検出幅Nwは、5cmよりも狭まり3cmとなり、同時に、電磁場20bの検出幅Kwは、70cmよりも広がり72cmとなる。つまり、非検出幅Nwと検出幅Kwとの比率は、3:72=1:24(非検出幅Nw/検出幅Kw=約0.0417)となり、1:14よりも小さくなる(検出幅Kwに対する非検出幅Nwの比が小さくなる)。
更に、このような電磁場では、図5(c)に示すように大柄な競技者Ra(例えば身長195cm)の胸の高さ程度(例えば145cm;矢印Bc)における非検出幅Nwは、5cmよりも広がり10cmとなり、同時に、電磁場20bの検出幅Kwは、70cmよりも狭まり60cmとなる。つまり、非検出幅Nwと検出幅Kwとの比率は、10:65=2:13(非検出幅Nw/検出幅Kw=約0.1538)となり、1:14よりも大きくなる(検出幅Kwに対する非検出幅Nwの比が大きくなる)。
すなわち、メインローブ間における非検出幅Nwと、電磁場20bの検出幅Kwとの比率が最大で、2:13であることが予想される。
そのため、制御部54は、上述した図4(b),(d),(e),(f)に示すような信号における非検出期間と検出期間との時間比率(L1:H1、L2:H2、又はL3:H3)が、2:13以下である場合、すなわち(非検出期間)/(検出期間)が2/13以下である場合に、その非検出期間がメインローブ間における非検出期間と判別することができる。
例えば、図6(a)に示すような信号が検出回路53から供給された場合(メインローブだけが検出された場合)、制御部54は、T1〜T4の各タイミングで、計時部55により計時される時刻を、それぞれ取得する。なお、T4の時刻を取得後、信号の立ち上がりがないまま所定時間αが経過すると、タイムアウトとなり、制御部54は、非検出期間L1と検出期間H1との時間比率を算定する。つまり、タイムアウト直前のT4を除いたT1〜T3の時刻から、非検出期間L1(T3−T2)及び検出期間H1(T2−T1)を求め、L1:H1の時間比率を算定する。
制御部54は、このようにして算定した競技タイムと時間比率とを組にして、記憶部56に記憶する。
なお、計時部55は、高安定水晶発振器を備えており、基準時刻の計時を安定して維持することが可能となっている。
この記憶部56には、例えば、競技の計時ポイント分の記憶エリアがそれぞれ設けられており、各計時ポイントにて特定した競技タイム等をそれぞれの別の記憶エリアに格納可能となっている。
なお、記憶部56は、例えば、別エリアに、無線タグ50毎(競技者R毎)に異なる固有の識別情報(タグID)等を予め記憶している。
なお、通信回路57は、受信機30によるポーリング受信に対応可能としてもよい。例えば、受信機30からポーリングによる送信要求を受信すると、通信回路57は、競技タイム等を受信機30に返信する。
そして、所定時間αが経過してタイムアウトになったか否かを判別する(ステップS16)。
制御部54は、信号の立ち上がりを検出していないと判別すると、上述のステップS16に処理を戻す。
例えば、上述した図6(a),(d)の場合では、T2の時刻に非検出期間L1の半分の値であるL1/2を加算して競技タイムを算定し、また、図6(b),(c)の場合では、T4の時刻に非検出期間L2の半分の値であるL2/2を加算して競技タイムを算定する。
そして、処理装置40は、受信機30を介して競技タイム等を受信すると、時間比率等に基づいて競技タイムの妥当性を検証し、所定の記憶部に記憶する。
この結果、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
上記の実施の形態では、無線タグ50側で非検出期間と検出期間との時間比率に基づいて、適切な競技タイムを特定する場合について説明したが、処理装置40側で、時間比率に基づいて適切な競技タイムを特定するようにしてもよい。
例えば、無線タグ50は、求めた競技タイム及び時間比率の組を全て、受信機30に向けて送信するようにし、処理装置40は、時間比率が2/13以下のものを判別し、適切な競技タイムを特定する。
この結果、背丈が大きく異なる競技者が混在する場合でも、各競技者のタイムを適切に計時することができる。
そこでまず、図5(a)を一般形に直すと、図8(a)のように表される。つまり、ループコイル20の幅がWcmであり、競技者Raの胸の高さ程度(矢印Ba)における非検出幅NwがScmと調整されている。そのため、電磁場20bの検出幅Kwは、W−(S/2)×2=W−Scmとなっている。
そして、図5(c)に対応して、大柄な競技者Raの場合は、図8(b)のように表される。つまり、矢印Bcにおける非検出幅Nwは、Scmの2倍まで広がり、2×Scmとなり、同時に、電磁場20bの検出幅Kwは、W−(2×S/2)×2=W−2×Scmとなっている。
すなわち、メインローブ間における非検出幅Nwと、電磁場20bの検出幅Kwとの比率が最大で「2×S:W−2×S」、換言すれば「2×S/(W−2×S)」となる。そして、この比率がそのまま、非検出期間と検出期間との時間比率となり、この「2×S:W−2×S」以下の時間比率となる非検出期間がメインローブ間における非検出期間と判別することができる。
例えば、図9(a)に示すような略矩形状のループアンテナ20上に、図9(b)に示すような1つのメインローブ(電磁場20b)を含む電磁場の場合では、子供の競技者Rbが走行すると、図9(c)に示すような信号が検出回路53から制御部54に供給されることになる。
この場合では、検出期間に対する非検出期間の時間比率が最も小さいものが、メインローブの検出期間を示していることになる。すなわち、時間比率である非検出期間L2:検出期間H2(非検出期間L2/検出期間H2)が最も小さいため、検出期間H2がメインローブとなる電磁場20bの検出期間を示している。なお、非検出期間L1:検出期間H2(非検出期間L1/検出期間H2)により、検出期間に対する非検出期間の時間比率を求めてもよい。
そして、この場合の計時ポイントは、メインローブの検出期間H2の中間(H2/2)である。
例えば、駅伝、競歩、身障者車椅子ロードレース、自転車ロードレース、トライアスロン、及び、ランニングやオリエンテーション等の山岳競技等にも適宜適用可能である。
20 ループアンテナ
30 受信機
40 処理装置
50 無線タグ
Claims (5)
- 競技者に保持される計時機器であって、
競技における基準時刻を計時する計時手段と、
走路上に配置された所定形状のアンテナにより生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段の検出結果に基づいて、前記電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率を算定する時間比率算定手段と、
前記時間比率算定手段が算定した前記時間比率に基づいて、前記メインローブ間における前記非検出期間を判別する判別手段と、
前記判別手段が判別した前記非検出期間中に、前記計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定するタイム特定手段と、
を備えることを特徴とする計時機器。 - 前記時間比率算定手段は、前記電磁場検出手段が前記各メインローブに加えて、少なくとも1つのサイドローブを含む電磁場を検出した際に、前記時間比率を複数算定し、
前記判別手段は、算定された前記各時間比率のうち、規定される比率以下となる時間比率の非検出期間を、前記メインローブ間における前記非検出期間と判別する、
ことを特徴とする請求項1に記載の計時機器。 - 前記タイム特定手段は、前記判別手段が判別した前記非検出期間の中間にて、前記計時手段により計時された時刻を競技タイムとして特定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計時機器。 - 前記タイム特定手段が特定した前記競技タイム及び対応する前記時間比率を含む情報を、所定の処理装置に向けて送信する情報送信手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の計時機器。 - 競技者に保持される計時機器におけるタイム特定方法であって、
競技における基準時刻を計時する計時ステップと、
走路上に配置された所定形状のアンテナにより生成される少なくとも2つのメインローブを含む電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記電磁場検出ステップの検出結果に基づいて、前記電磁場の検出期間に対する非検出期間の時間比率を算定する時間比率算定ステップと、
前記時間比率算定ステップにて算定された前記時間比率に基づいて、前記メインローブ間における前記非検出期間を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにて判別された前記非検出期間中に、前記計時ステップにて計時された時刻を競技タイムとして特定するタイム特定ステップと、
を備えることを特徴とするタイム特定方法。
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