JP2007018331A - 競技用計時システム、計時機器、および、タイム計時方法 - Google Patents

競技用計時システム、計時機器、および、タイム計時方法 Download PDF

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康俊 三樹
Kazuhiro Fukuda
和宏 福田
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Abstract

【課題】 発生させる電磁場やその受信感度にばらつきがある場合でも、競技者のタイムを適切に計時することのできる競技用計時システム等を提供する。
【解決手段】 ループアンテナ20は、略矩形のアンテナ部と、略8の字形状に形成されたアンテナ部とから構成され、信号発生装置10から供給される信号に基づいて、各アンテナ部上に所定の電磁界強度分布の電磁場を生成する。無線タグ50は、ループアンテナ20にて生成される電磁場を最初に検出すると、電磁界強度を一定時間測定して閾値を設定する。そして、閾値を設定した後、ループアンテナ20上における電磁場の2回目の変極点を検出すると、そのタイミングで計時している時刻を競技タイムとして特定する。無線タグ50は、特定した競技タイム等を受信機30に送信する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、発生させる電磁場やそれの検出感度にばらつきがある場合でも、競技者のタイムを適切に計時することのできる競技用計時システム、計時機器、および、タイム計時方法に関する。
近年、マラソン競技等において、競技者個々のゴールタイムを計測(計時)する試みがなされている。例えば、競技者のゼッケン等にバーコードを印刷しておき、ゴールした競技者のバーコードをリーダにて読み取った時刻に基づいて、競技者個々のゴールタイムを計測する計時システムも実用化されている。
それでも従来の計時システムでは、ゴール後に所定時間かけてバーコードの読み取りを行うため、そもそも実測よりも遅れたゴールタイムが計測されていた。特に、大勢の競技者が同時期にゴールした場合等では、バーコードの読み取り待ちが生じてしまい、実測よりもかなり遅れたゴールタイムが計測されてしまうという問題があった。
また、ゴールタイムだけでなく、各中継地点における通過タイムを含めた競技タイムも計測したいという要望が高まっているが、従来の計時システムでは、これに対応できなかった。
このような問題を解決するため、種々の計時システムが開発され、実用化に向けた運用試験等が試みられている。新たな計時システムは、より実測に近いゴールタイムを計測するために、また、各中継地点における通過タイムも計測可能とするために、非接触にて競技者個々の競技タイムを計測する形態が主流となっている。
例えば、競技者に小型のタイマ装置を保持させ、そのタイマ装置を使用して、競技者が計時地点(各中継地点やゴール地点)に到達した際に、競技タイムを自動的に計測させる、というものである。なお、計時地点への到達の判別は、一例として、計時地点に電磁場(電磁界)を発生させておき、タイマ装置に含まれる電磁誘導コイルを用いてその電磁場を検出させることにより行っている。
より具体的には、走路上のゴールラインを挟むように2つのループコイルを並べて配置し、それぞれに出力周波数の異なる交流電源から電流を供給して電磁場を発生させる。そして、競技者のゴール地点への進入に伴い、電磁誘導コイルは、1つ目(競技者から見て手前側)のループコイル上の電磁場を検出しその周波数を得る。続いて、2つ目のループコイル上の電磁場を捉え、周波数の変化を検出する。そして、この周波数の変化を検出した位置が、ゴールライン上となるため、タイマ装置は、この検出タイミングにて競技タイムを計測する(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−221627号公報 (第4−5頁、第2図)
上述したように、特許文献1には、交流電源からループコイルに電流を供給して電磁場を発生させる技術が開示されている。それでも、その記載において、電磁場を発生させる装置としての十分な構成等が説明されているとは言い難い。
一般的に、電磁場を発生させる磁場発生装置には、上述した交流電源及びループコイルの他に、共振用のコンデンサや、メータ(電流計)等も必要となる。すなわち、走路上のゴールラインを挟むように2つのループコイルを並べて配置し、出力周波数の異なる交流電源から電流を各ループコイルに供給して電磁場を発生させる構成であるので、ループコイル上に生成される電磁場のレベルを合わせ込むために、共振用のコンデンサや、メータ(電流計)等が必要であった。
そして、作業者等は、ループコイルに流れる電流値をメータにて確認しながら、共振用コンデンサを適宜選択し、ループコイル上に適切な電磁場が発生されるように調整していた。
それでも、マラソン競技等のように、複数の磁場発生装置が使用される場合には、各磁場発生装置にて発生させる電磁場にある程度のばらつきが生じてしまうのが現状であった。
また、各磁場発生装置は、ループコイルの設置場所における負荷要件(ループコイルの変形、リード部の延長、環境条件(水、湿度等))が途中で変化してしまう場合が多かった。更に、ループコイルの特性によっては、共振点(共振用コンデンサとループコイルとで構成される直列共振周波数)が、容易に変動してしまうことも知られている。
一方、電磁場を検出する各タイマ装置(電磁誘導コイル)側にも、検出感度(受信感度)にある程度のばらつきが生じてしまっていた。つまり、電磁誘導コイルや検出回路(増幅回路)の個体差等により、電磁界強度の検出感度にばらつきが生じてしまう場合が多かった。
すなわち、従来の計時システムでは、発生させる電磁場やそれの検出感度にばらつきが生じてしまうため、任意のループコイル上や任意のタイマ装置(電磁誘導コイル)にて、電磁場の検出が行えない状態となり、競技者のタイムを適切に計時できないという問題が生じていた。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、発生させる電磁場やそれの検出感度にばらつきがある場合でも、競技者のタイムを適切に計時することのできる競技用計時システム、計時機器、および、タイム計時方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る競技用計時システムは、
競技者に保持される計時機器と、走路上の所定範囲に電磁場を発生させる磁場発生機器と、を含む競技用計時システムであって、
前記磁場発生機器には、
走路上に配置された所定形状のアンテナと、
前記アンテナに所定周波数の信号を供給する信号供給手段と、が設けられ、前記アンテナと前記信号供給手段とにより、前記アンテナ上に所定の電磁場を生成し、
前記計時機器には、
前記アンテナ上に生成された前記電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段が前記電磁場を最初に検出した際に、検出される前記電磁場の電磁界強度を所定時間測定し、閾値を算定する閾値算定手段と、
前記閾値算定手段により前記閾値が算定された後に、前記電磁場検出手段が検出した前記電磁場の電磁界強度と、前記閾値算定手段が算定した前記閾値との関係に基づいて、計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
前記計時ポイント検出手段が前記計時ポイントを検出した時点の競技タイムを計時する計時手段と、が設けられている、
ことを特徴とする。
この発明によれば、磁場発生機器には、走路上に配置された所定形状のアンテナと、アンテナに所定周波数の信号を供給する信号供給手段と、が設けられており、アンテナと信号供給手段とにより、アンテナ上に所定の電磁場を生成する。一方、計時機器において、電磁場検出手段は、アンテナ上に生成された電磁場を検出する。また、閾値算定手段は、電磁場検出手段が電磁場を最初に検出した際に、検出される電磁場の電磁界強度を所定時間測定し、閾値を算定する。計時ポイント検出手段は、閾値算定手段により閾値が算定された後に、電磁場検出手段が検出した電磁場の電磁界強度と、閾値算定手段が算定した閾値との関係に基づいて、計時ポイントを検出する。そして、計時手段は、計時ポイント検出手段が計時ポイントを検出した時点の競技タイムを計時する。
このように、算定された閾値と検出された電磁界強度との関係に基づいて、計時ポイントが検出され、このタイミングにて競技タイムが計時される。
この結果、発生させる電磁場やその受信感度にばらつきがある場合でも、競技者のタイムを適切に計時することができる。
前記閾値算定手段には、測定した前記電磁界強度の最大値から求めた値を前記閾値として算定する手段が設けられ、
前記計時ポイント検出手段には、算定した前記閾値を基準とした前記電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、計時ポイントを検出する手段が設けられていてもよい。
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る計時機器は、
走路上に生成された電磁場を検出する電磁場検出手段と、
前記電磁場検出手段が前記電磁場を最初に検出した際に、検出される前記電磁場の電磁界強度を所定時間測定し、閾値を算定する閾値算定手段と、
前記閾値算定手段により前記閾値が算定された後に、前記電磁場検出手段が検出した前記電磁場の電磁界強度と、前記閾値算定手段が算定した前記閾値との関係に基づいて、計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
前記計時ポイント検出手段が前記計時ポイントを検出した時点の競技タイムを計時する計時手段と、
を備えることを特徴とする。
この発明によれば、電磁場検出手段は、走路上に生成された電磁場を検出する。また、閾値算定手段は、電磁場検出手段が電磁場を最初に検出した際に、検出される電磁場の電磁界強度を所定時間測定し、閾値を算定する。計時ポイント検出手段は、閾値算定手段により閾値が算定された後に、電磁場検出手段が検出した電磁場の電磁界強度と、閾値算定手段が算定した閾値との関係に基づいて、計時ポイントを検出する。そして、計時手段は、計時ポイント検出手段が計時ポイントを検出した時点の競技タイムを計時する。
このように、算定された閾値と検出された電磁界強度との関係に基づいて、計時ポイントが検出され、このタイミングにて競技タイムが計時される。
この結果、発生させる電磁場やその受信感度にばらつきがある場合でも、競技者のタイムを適切に計時することができる。
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るタイム計時方法は、
競技者に保持される計時機器がタイムを計時するタイム計時方法であって、
走路上に生成された電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
前記電磁場検出ステップにて前記電磁場を最初に検出した際に、検出される前記電磁場の電磁界強度を所定時間測定し、閾値を算定する閾値算定ステップと、
前記閾値算定ステップにて前記閾値が算定された後に、前記電磁場検出ステップにて検出した前記電磁場の電磁界強度と、前記閾値算定ステップにて算定した前記閾値との関係に基づいて、計時ポイントを検出する計時ポイント検出ステップと、
前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントを検出した時点の競技タイムを計時する計時ステップと、
を備えることを特徴とする。
この発明によれば、電磁場検出ステップは、走路上に生成された電磁場を検出する。また、閾値算定ステップは、電磁場検出ステップにて電磁場を最初に検出した際に、検出される電磁場の電磁界強度を所定時間測定し、閾値を算定する。計時ポイント検出ステップは、閾値算定ステップにて閾値が算定された後に、電磁場検出ステップにて検出した電磁場の電磁界強度と、閾値算定ステップにて算定した閾値との関係に基づいて、計時ポイントを検出する。そして、計時ステップは、計時ポイント検出ステップにて計時ポイントを検出した時点の競技タイムを計時する。
このように、算定された閾値と検出された電磁界強度との関係に基づいて、計時ポイントが検出され、このタイミングにて競技タイムが計時される。
この結果、発生させる電磁場やその受信感度にばらつきがある場合でも、競技者のタイムを適切に計時することができる。
本発明によれば、発生させる電磁場やそれの検出感度にばらつきがある場合でも、競技者のタイムを適切に計時することができる。
本発明の実施の形態にかかる競技用計時システムについて、以下、図面を参照して説明する。なお、一例として、競技用計時システムがマラソン競技に適用された場合について説明する。
(実施形態1)
図1は、この発明の実施の形態に適用される競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。
図示するように、この競技用計時システムは、競技が行われる走路及びその周辺に配置される信号供給手段としての信号発生装置10、アンテナとしてのループアンテナ20、受信機30、処理装置40、及び、競技者RNに保持される無線タグ50とを含んで構成される。
信号発生装置10は、競技走路の沿道に配置され、ループアンテナ20に信号を供給してループアンテナ20上に電磁場を発生させる。具体的に信号発生装置10は、所定周波数のLF(Low Frequency)信号を生成し、適宜増幅してループアンテナ20に供給する。
ループアンテナ20は、所定形状に形成されたアンテナ(コイル)であり、競技者RNが走行する走路(具体的には、計時ラインLにより規定される計時ポイント)に適宜配置される。
ループアンテナ20は、一例として、図2(a)に示すように、略矩形(方形)のアンテナ部21と、略「8の字」形状に形成されたアンテナ部22とから構成される。つまり、ループアンテナ20は、矩形フレームを競技者RNの走行方向(矢印A方向)に3つ連ねたような形状に形成されている。
より詳細には、アンテナ部21は、閾値設定用となるループアンテナであり、略平行に所定距離だけ隔てた直線a,bに沿って、走路を横切るように配置される。そして、1辺に給電点s1を有するように形成され、この給電点s1から矢印方向に電流が流れるようになっている。
一方、アンテナ部22は、計時用となるループアンテナであり、8の字の中心(中点)、すなわち交差部に給電点s2を有するように形成され、この給電点s2を通って競技者RNの走行方向に対して直交する方向に延びる直線cを中心線として、略平行に所定距離だけ隔てた直線b,dに沿って、8の字の上下部が形成されている。なお、ループアンテナ20は、この直線cが計時を行うための計時ラインLに重なるように配置される。
そして、ループアンテナ20は、図2(a)の給電点s1,s2から矢印方向に電流が流れるようになっており、信号発生装置10からLF信号が供給されると、各アンテナ部上に電磁場を生成する。具体的には、図2(b)に示すように、アンテナ部21上に電磁場20aを、また、アンテナ部22上に電磁場20b,20cをそれぞれ生成する。なお、各電磁場20a〜20cは、競技者RNの走行方向(矢印A方向)に隣接し且つ隣の電磁場の電磁力を打ち消し合っている。
つまり、直線b上の電磁場の電磁界強度は、電磁場20aと電磁場20bとの電磁場の磁力の打ち消しにより、その両側の電磁界強度よりも極めて小さくなっている。同様に、直線c上の電磁場の電磁界強度も、電磁場20bと電磁場20cとの電磁場の磁力の打ち消しにより、その両側の電磁界強度よりも極めて小さくなっている。
なお、上述の信号発生装置10は、電磁場20aと電磁場20b,20cとが相対的に同じレベルの電磁界強度となるように、ループアンテナ20にLF信号を供給する。
図2(b)に示すような電磁場中を、電磁場の検出方向(検出コイル面Dに対して直角な方向)が競技走路と垂直(つまり、検出コイル面Dが走路に対して平行方向)に配置された電磁場検出コイルC(後述する無線タグ50のLFアンテナ51)が矢印B方向に移動すると、図2(c)に示すような電磁界強度分布が得られる。つまり、電磁場検出コイルCは、競技走路に対して垂直方向の磁束をコイル面Dにて捉えることになるため、直線b,c上にて、電磁界強度が極めて小さくなり、図2(c)に示すような電磁界強度分布を検出する。
このような電磁界強度分布は、ループアンテナ20(信号発生装置10)毎にある程度のばらつきが生じてしまう。また、電磁場検出コイルC(後述する無線タグ50のLFアンテナ51や増幅回路52等)側にも、検出感度(受信感度)にある程度のばらつきが生じてしまう。
そのため、アンテナ部21上に生成される電磁場20aが閾値設定用として使用される。具体的には、図3(a)に示すように、競技者RNがループアンテナ20上を、矢印B方向に沿って通過する場合に、無線タグ50にて電磁場20aの電磁界強度を一定時間Tだけ測定し(サンプリング)し、閾値を設定(算定)する。
つまり、無線タグ50は、最初に電磁場20aを検出すると一定時間Tにおいて、電磁界強度を測定し、その最大値の50%の値(最大値の半分)を求め、閾値として設定する。なお、この50%の値は、一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
そして、各無線タグ50は、設定(算定)したこの閾値を基準とした電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、計時ポイントを検出する。
例えば、図3(b)に示すように、設定(算定)した閾値以上の範囲(図中の50%以上)を電磁界強度の検出範囲とし、電磁場の電磁界強度が閾値以下となり、次に、電磁場の電磁界強度が閾値以上となる変極点を捉え、2回目の変極点、すなわち計時用としてのアンテナ部22上での電磁場20b、20cの変極点を計時ポイントとして検出する。つまり、電磁場20bの電磁界強度が閾値以下となり、次に、電磁場20cの電磁界強度が閾値以上となる2回目の立ち上がりポイントを、計時ポイントとする。なお、図3(b)中、一点鎖線にてハッチングで示した部分は、無線タグ50が計時用としてのアンテナ部22上を通過する高さ位置(検出位置)に応じて変動する検出波形の変動範囲を示している。
図1に戻って、受信機30は、上述したループアンテナ20の近傍に配置され、ループアンテナ20上を通過した無線タグ50から送られる競技タイム及びタグIDを受信する。そして、受信した競技タイム等を処理装置40に供給する。
処理装置40は、パーソナルコンピュータ等からなり、各無線タグ50にてそれぞれ計時された競技タイムを集計する。
つまり、処理装置40は、ループアンテナ20上を通過した各無線タグ50から送信される競技タイム及びタグIDを、受信機30を介して受信すると、所定の記憶部に記憶する。
一方、競技者RNに保持される無線タグ50は、競技者RNと共に走路上を移動する。無線タグ50は、ループアンテナ20(アンテナ部21)にて生成される電磁場を最初に検出すると、閾値を算定して記憶する(設定する)。そして、閾値を設定した後、ループアンテナ20上における電磁場の2回目の変極点(計時用としてのアンテナ部22にて生成される電磁場の変極点)を検出すると、そのタイミングで計時している時刻を競技タイムとして特定する。
一例として、無線タグ50は、電磁場検出手段としてのLFアンテナ51と、増幅回路52と、計時ポイント検出手段としての検出回路53と、閾値算定手段としての制御部54と、計時手段としての計時部55と、記憶部56と、通信回路57と、を含んで構成される。
LFアンテナ51は、電磁場の検出方向が競技走路と垂直(つまり、検出面が走路に対して平行方向)となるように設定されており、上述したループアンテナ20にて発生される電磁場を検出する。つまり、信号発生装置10によりアンテナ部21及びアンテナ部22上に生成された電磁場を検出する。
そして、LFアンテナ51は、検出した電磁場の電磁界強度を示す検出信号を増幅回路52に供給する。
増幅回路52は、LFアンテナ51から供給される検出信号を適宜増幅して、検出回路53に供給する。
また、増幅回路52は、制御部54が閾値を設定するために、検出信号を制御部54にも供給する。
検出回路53は、増幅回路52から供給される検出信号(電磁界強度)と、設定された閾値との関係に基づいて、ループアンテナ20(計時用としてのアンテナ部22)上における電磁場の変極点(計時ポイント)を検出する。
すなわち、制御部54により設定された閾値が記憶部56に記憶されると、検出回路53は、この閾値を基準とした電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、計時ポイントを検出する。例えば、図4(a)に示すようなループアンテナ20上における電磁場20a〜20cに対して、図4(b)に示すような波形の信号を生成し、図4(b)に示す波形の2回目の立ち上がり、すなわち計時用としてのアンテナ部22上での電磁場20b、20cの変極点を、アンテナ部22上における計時ポイント(計時ラインL)として特定する。
図1に戻って、制御部54は、無線タグ50全体を制御する。
例えば、走行してきた競技者RNがループアンテナ20上に到達すると、制御部54は、アンテナ部21にて生成される電磁場の検出信号(電磁界強度)を一定時間だけサンプリングし、閾値を算定する。
より詳細には、制御部54は、記憶部56に閾値が記憶されていない状態(クリアされた状態)で、増幅回路52から供給される電磁界強度を一定時間だけサンプリングする。そして、電磁界強度の最大値の50%の値(最大値の半分)を閾値として算定する。このようにして、閾値を算定すると、制御部54は、閾値を記憶部56に記憶する(設定する)。
なお、一定時間が経過する途中で、電磁界強度の値が極めて小さくなった場合に、制御部54は、アンテナ部21にて生成された電磁場を検出していない(自然界のノイズ等による誤検出である)として、閾値の算定を中止する。
また、制御部54は、閾値を設定した後に、検出回路53がループアンテナ20上における電磁場の2回目の変極点、すなわち計時用としてのアンテナ部22上での電磁場20b、20cの変極点を検出したタイミングで、計時部55が計時する時刻を競技タイムとして特定する。そして、特定した競技タイムを記憶部56に記憶する。
なお、制御部54は、競技タイムを特定した後、記憶部56の閾値をクリアする。つまり、制御部54は、異なるループアンテナ20毎に、閾値を設定するため、競技タイムの計時後に、閾値をクリアする。
計時部55は、制御部54により適宜補正(設定)され、競技において基準となる基準時刻を計時する。
なお、計時部55は、高安定水晶発振器を備えており、基準時刻の計時を安定して維持することが可能となっている。
記憶部56は、例えば、不揮発性メモリからなり、制御部54により算定された閾値や特定された競技タイム等を記憶する。
この記憶部56には、例えば、競技の計時ポイント分の記憶エリアがそれぞれ設けられており、各計時ポイントにて計時した競技タイムをそれぞれの別の記憶エリアに格納可能となっている。
なお、記憶部56は、例えば、別エリアに、無線タグ50毎(競技者RN毎)に異なる固有の識別情報(タグID)等を予め記憶している。
通信回路57は、制御部54が競技タイムを特定すると、この競技タイムを自己のタグIDと共に、上述した受信機30に向けて送信する。
なお、通信回路57は、受信機30によるポーリング受信に対応可能としてもよい。例えば、受信機30からポーリングによる送信要求を受信すると、通信回路57は、競技タイム等を受信機30に返信する。
以下、上述した構成の計時システムの動作について、図5等を参照して説明する。図5は、無線タグ50が実行する計時処理を説明するためのフローチャートである。なお、競技が開始される際には、記憶部56の閾値がクリアされているものとする。
まず、無線タグ50は、閾値が設定済であるか否かを判別する(ステップS11)。つまり、競技者RNと共に無線タグ50がループアンテナ20上に到達しており、閾値を記憶部56に記憶済である状態かどうかを判別する。
無線タグ50は、閾値が設定済であると判別すると、後述するステップS17に処理を進める。
一方、閾値が設定済でないと判別すると、無線タグ50は、電磁場を検出するまで待機する(ステップS12)。つまり、閾値設定用としてのアンテナ部21上に生成される電磁場等を、LFアンテナ51が検出するまで、後続処理の実行を待機する。
電磁場を検出すると、無線タグ50は、電磁界強度を測定する(ステップS13)。つまり、制御部54は、増幅回路52から供給される検出信号(電磁界強度)をサンプリングする。
無線タグ50は、電磁界強度の値が極端に低下したか否かを判別する(ステップS14)。すなわち、後述する一定時間が経過する前に、電磁界強度の値が極めて小さくなったかどうかを判別する。
なお、一定時間が経過する前に、電磁界強度の値が極めて小さくなった場合は、無線タグ50は、自然界のノイズ等による誤検出と考えられる。
無線タグ50は、電磁界強度が小さくなったと判別すると、上述のステップS11に処理を戻す。つまり、後述する閾値の設定を行うことなく、ステップS11に処理を戻す。
一方、電磁界強度が小さくなっていないと判別した場合に、無線タグ50は、一定時間が経過したか否かを判別する(ステップS15)。つまり、電磁界強度の測定を維持するために予め定められた時間だけ、電磁界強度を測定したかどうかを判別する。
無線タグ50は、一定時間が経過していないと判別すると、ステップS13に処理を戻し、上述したステップS13〜S15の処理を繰り返し実行する。
一方、一定時間が経過したと判別すると、アンテナ部21上に生成される電磁場の電磁界強度の測定が行えたことになり、測定した電磁界強度の値から閾値を算定し、設定する(ステップS16)。
例えば、制御部54は、電磁界強度の最大値の50%の値を閾値として算定する。そして、この閾値を記憶部56に記憶する。
この際、図6(a)〜(c)に示すように、ループアンテナ20上に生成される電磁場の電磁界強度にばらつきがあったとしても(若しくは、無線タグ50毎に検出感度のばらつきがあったとしても)、制御部54は、それぞれのアンテナ部21にて生成される電磁場の電磁界強度を一定時間Tだけ測定し、電磁界強度に対応した閾値を設定する。
図5に戻って、閾値の設定を終えると、無線タグ50は、上述のステップS11に処理を戻す。
そして、今度は、閾値が設定されているため、無線タグ50は、電磁場における2回目の変極点、すなわち計時用のアンテナ部22上での電磁場の変極点を検出するまで待機する(ステップS17)。
すなわち、検出回路53において、設定した閾値を基準として、電磁場の電磁界強度が閾値以下となり、次に、電磁場の電磁界強度が閾値以上となる変極点を捉え、これが2回分捉えられるまで、すなわち計時用のアンテナ部22上での電磁場の変極点が捉えられるまで、後続処理の実行を待機する。
なお、図6(a)〜(c)に示すように、ループアンテナ20上に生成される電磁場の電磁界強度にばらつきがあったとしても、検出回路53は、設定した閾値を基準とした電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、電磁場における2回目の変極点、すなわち計時用のアンテナ部22上での電磁場の変極点を計時ポイントとして適宜検出することができる。
2回目の変極点、すなわち計時用のアンテナ部22上での電磁場の変極点を検出すると、無線タグ50は、競技タイムを特定する(ステップS18)。つまり、制御部54は、計時用としてのアンテナ部22上における電磁場の変極点を検出したタイミングで、計時部55が計時する時刻を競技タイムとして特定する。そして、特定した競技タイムを記憶部56に記憶する。
無線タグ50は、競技タイムの計時を終えたため、閾値をクリアする(ステップS19)。つまり、制御部54は、記憶部56に記憶した閾値を削除する。
そして、無線タグ50は、競技タイム等を受信機30に向けて送信する(ステップS20)。つまり、制御部54は、特定した競技タイムと自己のタグIDを記憶部56から読み出し、通信回路57を通じて、受信機30に送信する。
無線タグ50は、競技タイム等を送信した後、計時処理を終えるが、この計時処理は、競技が終了するまで、順次繰り返し実行される。
このような計時処理により、各無線タグ50にて、異なるループアンテナ20毎に閾値が設定され、この閾値と検出した電磁界強度との関係に基づいて、計時ポイントが検出される。そのため、ループアンテナ20毎に、生成させる電磁場にばらつきがある場合でも、また、無線タグ50(LFアンテナ51や増幅回路等52)毎に、検出感度にばらつきがある場合でも、それぞれ計時ポイントが適宜検出される。そして、計時ポイントが検出されたタイミングで競技タイムが特定される。
この結果、発生させる電磁場やそれの検出感度にばらつきがある場合でも、競技者のタイムを適切に計時することができる。
(他の実施形態)
上記の実施の形態では、略矩形のアンテナ部21と略「8の字」形状のアンテナ部22とをそれぞれ個別にコイルで形成してループアンテナ20を構成した場合を一例として説明した。しかしながら、ループアンテナ20の構成は、これに限られず、適宜変更が可能である。
例えば、図7(a)に示すように、単一のコイルを用いて3つの略矩形のアンテナ部を競技者RNの走行方向に並設し、そのうちの一のアンテナ部21aを閾値設定用のアンテナとして用い、他の2つのアンテナ部21b、21cを計時用のアンテナとして用いるようにしてもよい。この場合には、単一の電源からコイルに電流が供給されるので、電磁場のレベル合わせの制御が容易となる。
また、図7(b)に示すように、単一のコイルを用いて略矩形のアンテナ部21aと略「8の字」形状のアンテナ部21b、21cとを形成してループアンテナ20を構成するようにしてもよい。この場合にも、単一の電源からコイルに電流が供給されるので、電磁場のレベル合わせの制御が容易となる。
また、これらの場合には、各アンテナ部21a、21b、21c上に生成される電磁場の電磁界強度の強度差に応じて各アンテナ部21a、21b、21cの幅寸法を適宜変えることにより、電磁場のレベルを容易に合わせることができる。例えば、アンテナ部21a、21cの幅寸法B1,B3を同一とし、アンテナ部21bの幅寸法B2をアンテナ部21a、21cの幅寸法B1,B3よりも大きく設定すれば、各アンテナ部21a、21b、21c上に生成される電磁場の電磁界強度を容易に同一レベルに設定できる。
上記の実施の形態では、ループアンテナ20が、図2等に示すような形状である場合を一例として説明した。しかしながら、ループアンテナ20の形状は、この形状に限られず、適宜変更が可能である。
例えば、図8(a)に示すような、略8の字形状のループアンテナ20であっても、図8(b)に示すような矩形形状のループアンテナ20であってもよい。
なお、図8(a)のループアンテナ20の場合では、図8(c)に示すような電磁界強度分布の電磁場が生成される。また、図8(b)のループアンテナ20の場合では、図8(d)に示すような電磁界強度分布の電磁場が生成される。
そのため、無線タグ50は、それぞれ最初に電磁界強度を一定時間Tだけ測定し、同様に閾値を設定する。そして、図8(c)の場合は、1回目の立ち上がり時点(変極点)を計時ポイントとして検出し、また、図8(d)の場合は、立ち下がり時点を計時ポイントとして検出する。
このように、ループアンテナ20の形状が図2等に示す形状と異なる場合でも、設定した閾値と電磁界強度との関係に基づいて、計時ポイントを検出できる。そして、計時ポイントが検出されたタイミングで同様に競技タイムが特定される。
このため、同様に、発生させる電磁場やそれの検出感度にばらつきがある場合でも、競技者のタイムを適切に計時することができる。
上記の実施の形態では、無線タグ50が電磁場20aを検出したときの電磁界強度を測定し、その測定値を100%としたときの50%の値(測定値の半分)を閾値として設定し、一つの閾値に基づいて計時ポイントを検出するようにしたが、これに限らず、閾値を複数設定し、複数の閾値に基づいて計時ポイントを検出するようにしてもよく、この場合には、ループアンテナ20が敷設される環境等によりループアンテナ20上に生成される電磁場が不安定な場合であっても競技者RNのタイムを精度良く的確に計時することができる。
例えば、図9に示されるように、無線タグ50が電磁場20aを検出したときの電磁界強度を測定し、その測定値を100%としたときの50%の値(測定値の半分)及び75%の値(測定値の3/4)を閾値として設定し、電磁場の電磁界強度が75%以下となり、次いで、電磁場20bの電磁界強度が50%以上となり、さらに電磁場20cの電磁界強度が75%以下となる計時用のアンテナ部22上での電磁場の変極点を捉え、この変極点を計時ポイントとして検出するようにすれば、ループアンテナ20上に生成される電磁場が不安定な場合であっても、競技者RNのタイムを精度良く的確に計時することができる。なお、図9中、一点鎖線にてハッチングで示した部分は、無線タグ50が計時用としてのアンテナ部22上を通過する高さ位置(検出位置)に応じて変動する検出波形の変動範囲を示している。
上記の実施の形態では、マラソン競技を一例として説明したが、計時対象の競技は、これに限られず任意である。
例えば、駅伝、競歩、身障者車椅子ロードレース、自転車ロードレース、トライアスロン、及び、ランニングやオリエンテーション等の山岳競技等にも適宜適用可能である。
以上説明したように、本発明によれば、発生させる電磁場やそれの検出感度にばらつきがある場合でも、競技者のタイムを適切に計時することができる。
本発明の実施の形態に係る競技用計時システムの構成の一例を示す模式図である。 (a)が走路上に配置されたループアンテナの一例を示す模式図であり、(b)が生成される電磁場と磁場検出コイルの向きを説明するための模式図であり、(c)が検出される電磁場の強度分布を説明するための模式図である。 (a)が閾値等の設定を説明するための模式図であり、(b)が変極点等を説明するための模式図である。 (a)が生成される電磁場の一例を示す模式図であり、(b)が検出回路にて生成される波形を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態に係るタイム計時処理を説明するためのフローチャートである。 (a)〜(c)共に、ばらつきのある電磁場において検出される変極点等を説明するための模式図である。 (a)、(b)共に、ループアンテナの他の構成例を図2(a)に対応して示した模式図である。 (a)〜(d)共に、他の形状のループアンテナにおいて検出される計時ポイント等を説明するための模式図である。 閾値を複数設定した場合における計時ポイント等を説明するための模式図である。
符号の説明
10 信号発生装置
20 ループアンテナ
30 受信機
40 処理装置
50 無線タグ

Claims (4)

  1. 競技者に保持される計時機器と、走路上の所定範囲に電磁場を発生させる磁場発生機器と、を含む競技用計時システムであって、
    前記磁場発生機器には、
    走路上に配置された所定形状のアンテナと、
    前記アンテナに所定周波数の信号を供給する信号供給手段と、が設けられ、前記アンテナと前記信号供給手段とにより、前記アンテナ上に所定の電磁場を生成し、
    前記計時機器には、
    前記アンテナ上に生成された前記電磁場を検出する電磁場検出手段と、
    前記電磁場検出手段が前記電磁場を最初に検出した際に、検出される前記電磁場の電磁界強度を所定時間測定し、閾値を算定する閾値算定手段と、
    前記閾値算定手段により前記閾値が算定された後に、前記電磁場検出手段が検出した前記電磁場の電磁界強度と、前記閾値算定手段が算定した前記閾値との関係に基づいて、計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
    前記計時ポイント検出手段が前記計時ポイントを検出した時点の競技タイムを計時する計時手段と、が設けられている、
    ことを特徴とする競技用計時システム。
  2. 前記閾値算定手段には、測定した前記電磁界強度の最大値から求めた値を前記閾値として算定する手段が設けられ、
    前記計時ポイント検出手段には、算定した前記閾値を基準とした前記電磁場の電磁界強度の増減に基づいて、前記計時ポイントを検出する手段が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の競技用計時システム。
  3. 走路上に生成された電磁場を検出する電磁場検出手段と、
    前記電磁場検出手段が前記電磁場を最初に検出した際に、検出される前記電磁場の電磁界強度を所定時間測定し、閾値を算定する閾値算定手段と、
    前記閾値算定手段により前記閾値が算定された後に、前記電磁場検出手段が検出した前記電磁場の電磁界強度と、前記閾値算定手段が算定した前記閾値との関係に基づいて、計時ポイントを検出する計時ポイント検出手段と、
    前記計時ポイント検出手段が前記計時ポイントを検出した時点の競技タイムを計時する計時手段と、
    を備えることを特徴とする計時機器。
  4. 競技者に保持される計時機器がタイムを計時するタイム計時方法であって、
    走路上に生成された電磁場を検出する電磁場検出ステップと、
    前記電磁場検出ステップにて前記電磁場を最初に検出した際に、検出される前記電磁場の電磁界強度を所定時間測定し、閾値を算定する閾値算定ステップと、
    前記閾値算定ステップにて前記閾値が算定された後に、前記電磁場検出ステップにて検出した前記電磁場の電磁界強度と、前記閾値算定ステップにて算定した前記閾値との関係に基づいて、計時ポイントを検出する計時ポイント検出ステップと、
    前記計時ポイント検出ステップにて前記計時ポイントを検出した時点の競技タイムを計時する計時ステップと、
    を備えることを特徴とするタイム計時方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016170035A (ja) * 2015-03-12 2016-09-23 セイコーインスツル株式会社 電子機器、及び電子機器の制御プログラム
CN112017322A (zh) * 2020-10-16 2020-12-01 东华理工大学南昌校区 短跑自动计时器

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