JP4854493B2 - 射出成形用金型 - Google Patents

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Description

本発明は射出成形用の金型に関するものであり、特にアルミニウム合金を母材とした成形型からなる射出成形用金型に関するものである。
射出成形用の金型は鋼鉄製のものが一般的に使用されているが、金型の製造に困難性があり、また製作が長時間化し、さらにこれらに起因して製造コスト高になる等の問題点があり、しかも熱伝導率や重量等でも不満が大きい。以上の点を勘案して、金型の素材として鋼鉄以外にも様々なものが実用化されている。そのうち、アルミニウム製の金型は、加工性が良好で、型製造時間の短縮及びコストの低減が図られるだけでなく、熱伝導率が高いこと等の理由で、成形サイクルの短縮が図られ、さらに軽量であることから、成形機における金型の着脱,搬送及び組み立て等の点からも有利である。
従って、射出成形用の金型の素材としては、アルミニウム、特にアルミニウム合金が極めて有望である。しかしながら、アルミニウム金型は、鉄製金型と比較して、軟質の金属であり、耐摩耗性も劣っている。射出成形に用いられる合成樹脂は熱可塑性樹脂が一般的であるが、強度向上等の観点から、通常、樹脂に例えばガラス繊維からなる強化材が樹脂に混合して用いられる。ガラス繊維の混合率が低い場合はともかく、例えば40%以上というように、ガラス繊維が高い比率で混合されていると、溶融樹脂をスプル,ランナ及びゲートを経てキャビティ内に供給される際にそれらの内壁面に磨耗を生じさせることになる。このために、供給樹脂にアルミニウムの磨耗粉が混入する等といった不都合があり、またキャビティ内面の磨耗により、早期に転写精度が低下して成形品の面精度が低下し、金型としては短寿命なものである。従って、アルミニウム金型は、前述した種々の利点はあるにも拘らず、100個程度までの製品の成形を行う場合であればともかく、成形品を量産するための金型として用いることはできなかった。
以上のことから、アルミニウム金型の長寿命化を図るための試みが種々なされているが、その1つの方向として、アルミニウム素材として、硬質のもの、例えば超超ジュラルミン(A7075)からなるアルミニウム合金を用いる等によって、磨耗しにくいアルミニウム素材を用いて金型を構成したものが用いられている。しかしながら、たとえ超超ジュラルミンを用いたとしても、鋼鉄製の金型と比較すると、やはり耐久性の点で不満であり、成形される樹脂材の性質によっては、金型として必要な硬度が得られない場合もある。
一方、アルミニウム金型のキャビティを含む面を硬質化処理することにより、その寿命を長くするようにしたものも知られている。例えば、特許文献1に提案されているのは、アルミニウム合金材料からキャビティを形成する固定型及び可動型からなる金型を製造し、これら型素材の表面に直接、またはアルマイト処理を行った上で、この金型表面にアルゴンを主とするイオンビームを照射して硬化層となし、チタンやアルミニウムをターゲット材として、窒素雰囲気下でスパッタリングを行うことにより窒化物膜を形成し、さらにその上に無電解ニッケルメッキを行うようにしている。
特開平7−3470号公報
アルミニウム金型の表面を硬質化処理するにしても、必要な程度にまで硬度を上げようとすると、前述したような多重の硬質化処理が必要となり、処理が極めて複雑かつ面倒になるという問題点があり、加工性が良好で、型製造時間の短縮及びコストの低減という特性が損なわれてしまう。しかも、最終段に行われる無電解ニッケルメッキは、金型の表面全体にわたって行われるものである。このように、固定型部材と可動型部材との双方に対して、その接合面全体にアルミニウムより低い熱伝達率を有する部材であるニッケルメッキされると、固定型部材と可動型部材との間が熱的に遮断された状態になる。その結果、加熱及び冷却の効率が低下することになり、また固定型部材と可動型部材との間で温度差が生じ、キャビティ内に温度差が生じる可能性があり、これが原因となって成形精度が悪くなり、また離型不良が生じる等といった不都合を生じる。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、加工性に優れたアルミニウム金型を用い、必要な箇所に限定して硬質化することによって、円滑かつ効率的に成形を行うことができる射出成形用金型を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明は、固定型部材と可動型部材との間にキャビティを形成し、このキャビティに溶融樹脂を供給するために、前記キャビティに接続したゲートと、このゲートに接続したランナを設けた射出成形用金型であって、前記固定型部材及び可動型部材はアルミニウム合金から形成したものであり、これら固定型部材及び可動型部材は、それぞれ型板と、前記キャビティを形成したコアと、前記ゲート及び前記ランナを形成した流路構成部とから構成され、前記コアの前記キャビティを構成する転写壁面と、前記流路構成部のうち、前記ゲート及び前記ランナの成形時に溶融樹脂と接触する内面とは、鉄系メッキを施したメッキ面となし、前記型板と、前記コア及び前記流路構成部のうち成形時に溶融樹脂と接触しない壁面は、前記アルミニウム合金が無垢の状態で露出する非メッキ面とする構成としたことをその特徴とするものである。
射出成形用の金型においては、固定型部材と可動型部材とを接合させることにより、その間にキャビティが形成される。従って、キャビティ内面は固定側と可動側とに分かれることになる。これらのうち、キャビティ内面を構成するそれぞれの転写壁面には鉄系メッキを施し、キャビティの転写壁面以外の部位であって、型締め時に接合される面はメッキを施さない非メッキ面となし、型素材としてのアルミニウム合金が表面に現れた無垢な面とする。これは、固定型部材及び可動型部材に対して、キャビティとなる部位を形成した後、非メッキ面となる部位をマスクした状態で鉄系メッキを行うことにより、容易に達成することができる。ここで、鉄系メッキは鉄及び鉄合金、例えばFe−Cu系の合金等を含むものである。
成形時に溶融樹脂と接触する面として、最低限キャビティは鉄系メッキを施すとして、このキャビティに向けての溶融樹脂の供給路となるランナ及びゲートについても、硬度を高くし、耐摩耗性を良好とする必要があることから、これらの部位にも鉄系メッキを施す。ここで、耐摩耗性の観点からは、鉄系メッキを行った後の後処理として浸硫窒化処理を行うと、表面の硬度をさらに向上させることができる。また、表面を研磨することにより平滑化が図られて、樹脂の流通性を高めることができる。また、ランナに加えてスプルを有する構成とした場合、このスプル内面も鉄系メッキを施す。なお、スプルは固定型部材とは別部材で形成して、この固定型部材に装着するように構成したものもあり、この場合にはスプルブッシュを鋼鉄製のものとして、固定型部材に装着すれば良い。
ここで、固定型部材と可動型部材との間に形成されるキャビティは、固定型部材及び可動型部材に直接形成される場合もあるが、両方の型部材を型板とコアから構成される場合がある。型板にコアを装着する場合には、コアの壁面の一部がキャビティとなるために、このキャビティを構成する壁面のみに鉄系のメッキを施し、それ以外の壁面は非メッキ面となし、アルミニウム合金を無垢の状態で露出させる。また、樹脂の加熱及び冷却手段は型板に設けられるので、型板はアルミニウム合金製とする。また、型板を有する構成とした場合において、ゲート及びランナからなり、キャビティに向けて溶融樹脂を供給する樹脂供給路を設けた流路構成部を型板とは別部材で形成して、コアと共にこの流路構成部を型板に装着するように構成される。そして、樹脂供給路を構成する壁面をメッキ面となし、それ以外の壁面を非メッキ面とする。

樹脂の成形が終了した後、成形品を取り出すために、突き出しピンや突き出しスリーブが設けられる。このような突き出し部材は可動型部材に形成した挿通孔に挿通されて、この挿通孔に沿って摺動することになる。このために、挿通孔の内面も同様に鉄系メッキを施すのが望ましい。また、突き出し部材と共に復帰部材も設けられ、この復帰部材の挿通孔も可動型部材に装着されるが、この挿通孔も同様に鉄系メッキを施すことにより摺動性を良好とする。さらに、可動型部材は固定型部材に対して接離するものであり、このときに可動型部材を固定型部材に対して位置合わせがなされていなければならない。このために、可動型部材の動きをガイドするガイドピンが可動型部材に設けられ、ガイドピンが挿通されるガイド孔が固定型部材に形成される。従って、必要に応じてこのガイド孔も硬質鉄系メッキを施すことができる。
このように、固定型部材及び可動型部材は共に軽量で、熱伝導率が高く、しかも加工性が良好なアルミニウム合金で構成することにより、型製造時間の短縮及びコストの低減が図られる。そして、成形時における固定型部材及び可動型部材の加熱・冷却を迅速かつ効率的に、しかもキャビティ全体にわたって均一に行うことができる。従って、成形サイクルタイムが短縮されて、成形品の製造をより効率化することができる。さらに、キャビティ内面を含む溶融樹脂と接触する壁面は鉄または鉄合金による鉄系メッキが施されて硬質化されているので、成形用の樹脂としてガラス繊維等が多量に混合されているものを用いても、キャビティ内面の磨耗が抑制され、長期間にわたって転写面形状を高精度に維持することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。図1に射出成形用金型の縦断面図を示す。同図から明らかなように、成形用金型1は、固定型部材2と可動型部材3とを備え、これら固定型部材2と可動型部材3とを接合させることにより、その間にキャビティ4が形成される。ここで、固定型部材2及び可動型部材3は、共に型板2a,3aにコア2b,3bを装着したものから構成されており、キャビティ4はコア2b,3b間に形成されている。なお、固定型部材2及び可動型部材3はコアと型板とを一体物で構成することもできる。
固定型部材2は固定側取付板5に固定されており、可動型部材3は受け板6及びスペーサブロック7を介して可動側取付板8に連結されている。固定側取付板5にはロケートリング9が装着されており、このロケートリング9には射出シリンダ(図示せず)が接続されることになる。また、固定側取付板5におけるロケートリング8の内側にはスプルブッシュ10が装着されている。スプルブッシュ10は固定側取付板5を貫通して固定型部材2内にまで延在され、その内部には溶融樹脂の供給流路となるスプル11が形成されている。スプル11にはランナ12が連通しており、このランナ12とキャビティ4とはゲート13を介して連通している。ここで、スプル11とランナ12との接続部には、成形後にスプル11内に残存する樹脂を除去するためのスプルロックピン14が臨んでいる。
受け板6及びスペーサブロック7を介して可動側取付板8に連結した可動型部材3は、固定型部材2に対して近接・離間する方向に移動可能なものであり、この動作時に可動型部材3を固定型部材2に対して位置合わせするために、可動型部材3に設けたガイドピン15が固定型部材2に設けたガイドブッシュ16に摺動可能に連結されている。さらに、キャビティ4内で成形が完了した後には、このキャビティ4の下部に位置する突き出しピン17を上昇させて、キャビティ4内で成形された成形品を突き上げるようにして型離れすることになる。ここで、突き出しピン17は昇降板18に装着されており、型板3aからコア3bを貫通してキャビティ4に望むように形成した挿通孔19に挿通されている。そして、昇降板18を可動側取付板8に近接する方向に所定ストロークだけ移動させることによって、キャビティ4内の成形品が突き上げられることになる。昇降板18が成形品の突き上げのために上昇した後、可動側取付板8に当接する位置まで下降させるために、復帰用ばねを作用させたリターンピン20が設けられており、このリターンピン20は、可動型部材3における型板3aに設けた挿通孔21に摺動可能となっている。
射出成形用金型は以上のように構成されるものであって、成形用金型1には、さらにキャビティ4内の樹脂を加熱したり、冷却したりするための加熱手段及び冷却手段を備えている。ここで、加熱手段は、一般的に、ロッド式またはバンド式のヒータが用いられ、冷却手段は水冷または空冷のものから構成され、型板2a,3aに内蔵させるのが一般的である。なお、これら加熱手段及び冷却手段は従来から周知であるので、それらの図示及び説明は省略する。
成形用金型1を構成する可動側取付板8を固定側取付板5に近接する方向に駆動することにより固定型部材2と可動型部材3とを接合させて、所定の加圧力を作用させることにより型締めが行われる。この状態で、ロケートリング9に射出用シリンダを接続して、スプル11からランナ12及びゲート13を介してキャビティ4内に溶融樹脂を供給する。このキャビティ4内に十分行き渡るまでは樹脂を高温状態に保持するために、加熱手段により固定型部材2及び可動型部材3を加熱状態に保持する。
キャビティ4内全体に樹脂が行き渡ると、加熱手段による加熱を停止し、冷却手段による冷却を開始する。キャビティ4が所定の温度にまで低下すると、樹脂が固化・成形されることになる。そこで、可動型部材3を下降させて、固定型部材2から離間させることにより型離れを行わせ、次いで突き出しピン17を上昇させることにより成形品を取り出して、さらにリターンピン20の作用で突き出しピン17を下降させる。これを1サイクルとして、この操作を繰り返すことによって、順次樹脂の成形が行われる。
ここで、前述のようにして行われる樹脂を射出成形する際において、キャビティ4内を加熱・冷却が繰り返されることから、加熱及び冷却のサイクルタイムを短縮するために、成形用金型1の素材としては、熱伝導率が高いものを用いる必要がある。また、型締め及び型開きを軽い負荷で円滑に行うために、成形用金型1、特に可動型部材3や受け板6,スペーサブロック7等を軽量化しなければならない。しかも、キャビティ4や、溶融樹脂の流路となるランナ12,ゲート13等に対しては高い成形圧が作用することから、成形用金型1を構成する各部は機械的な強度も要求される。これらの点から、成形用金型1を構成する各部のうち、特に樹脂の通路を構成する固定型部材2及び可動型部材3はアルミニウム合金製のものとする。また、受け板6及びスペーサブロック7も、軽量化の観点からアルミニウム合金で構成する。ただし、固定側取付板5及び可動側取付板8は、強度を保持させるために、鋼鉄製とするのが望ましい。
固定型部材2及び可動型部材3に作用する成形圧に対する強度を持たせるために、アルミニウム合金としては、例えばAl−Mg系,Al−Zn−Mg系等が好適に用いられ、またAl−Cu―Mg系、つまりジュラルミンも用いることができる。
前述したアルミニウム合金は軟質の金属であり、鉄より低硬度のものである。ただし、硬度が低いことにより、その加工が容易であり、金型の製造時間が短く、しかも製造コストも低減されるという利点がある。ただし、転写面となる固定型部材2及び可動型部材3の表面や、溶融樹脂の流路を構成するランナ12及びゲート13の表面からなる壁面に無垢のままのアルミニウム合金が露出していると、溶融樹脂を供給したときに、特にガラス繊維等を混入した樹脂を供給すると、壁面が早期に磨耗する等、耐久性が不足する。
そこで、溶融樹脂が流れる経路となり、樹脂が接触する壁面、つまりランナ12,ゲート13及びキャビティ4の内壁面に鉄系メッキを施して、硬質化させている。なお、スプル11も溶融樹脂の流路となるが、このスプル11はスプルブッシュ10に形成されており、このスプルブッシュ10の素材は鋼材とする。ただし、スプルブッシュ10をアルミニウム合金で構成し、その内面に鉄系メッキを施すようにしても良い。
そして、固定型部材2及び可動型部材3において、鉄系メッキを行うのは、前述した樹脂の流路を構成する壁面に限定し、これ以外の部位はアルミニウム合金を無垢のままとする。つまり、キャビティ4,ゲート13及びランナ12を構成する内壁面のみをメッキ面とし、これら以外の外面は、型板2a,3aであれ、またコア2b,3bであれ、メッキを施さない非メッキ面としている。これによって、型締めしたときに、固定型部材2と可動型部材3との接合面が無垢のアルミニウム合金素材同士となる。このために、相互間に高い熱伝達を発揮し、キャビティ4の内部温度を迅速に、しかも全体にわたって均一化することができる。その結果、極めて高い転写精度を有する高品質の成形品を得ることができる。また、アルミニウム合金の表面の大半が外部に露出しているので、冷却時の放熱性が良好となり、冷却時間の短縮を図ることができる。
ここで、アルミニウムの熱伝導率は240W・m−1・K−1であるのに対して、鋼鉄製の金型として一般に用いられる炭素鋼の熱伝導率は48.5W・m−1・K−1である。即ち、アルミニウム製の金型の熱伝導率は鋼鉄製の金型より熱伝導率が5〜6倍程度高いことから、アルミニウム金型を用いる方が、加熱・冷却を迅速に行うことができ、かつ消費エネルギも少なくなる。また、比重は、アルミニウムが2.70であるのに対して鋼鉄は7.85程度となるので、成形用金型1の全体が軽量化され、その組み立てが容易になり、かつ型締め及び型開きが軽い負荷で円滑に行えることになる。
固定型部材2及び可動型部材3は部分的に鉄系メッキが施されている。鉄系メッキが施されるのは、コア2b,3bにおけるキャビティ4が形成されている部位であり、またランナ12及びゲート13を構成する流路部分である。そこで、キャビティ4を構成するコア2b,3bだけでなく、ランナ12及びゲート13からなる流路を構成する部位について、型板2a,3aとは別個に流路構成部2c,3cとして形成されている。即ち、固定型部材2及び可動型部材3は、それぞれ型板2a,3aと、コア2b,3bと、流路構成部2c,3cとの3部材で構成されている。
型板2a,3aは、その外面全体が非メッキ面であり、従って鉄系メッキは行わない。コア2b,3bは、そのキャビティ4を構成する壁面と、ゲート13を構成する壁面とがメッキ面とし、それ以外の表面はメッキを行わない非メッキ面とする。また、流路構成部2c,3cは、ランナ12及びゲート13が形成されている部位のみをメッキ面とし、これら以外の表面を非メッキ面とする。
コア2b,3b及び流路構成部2c,3cにおいて、前述した非メッキ面全体をマスキングしても良いが、図4及び図5に示したように、コア2b,3b及び流路構成部2c,3cにおいて、ドットを付した部位だけにマスキングを行い、側面や裏面については格別マスキングを行わない。従って、マスキングを行う箇所を極めて小さい面積となり、マスキング及びその剥離といった作業を容易に行うことができる。そして、これらコア2b,3bと、流路構成部2c,3cとは、図6に示した吊下用ワイヤ30aを連結したハンガ30に装着して電解メッキを行うことによって、部分メッキが行われる。ハンガ30にはコア2b,3b及び流路構成部2c,3cを装着する凹部31が形成されている。これらコア2b,3b及び流路構成部2c,3cは、部分メッキされる部位は全て同じ面を向いているので、ハンガ30においては、この面を表側にして、コア2b,3b及び流路構成部2c,3cを嵌合させて、このハンガ30の表面とコア2b,3b及び流路構成部2c,3cの表面とを同一平面とする。これによって、最小限のマスクにより必要な部位にのみ部分的な鉄系メッキを行うことができる。そして、メッキ面の硬度をさらに向上するために、マスキングを行ったままで浸硫窒化処理を行うのが望ましい。
ここで、転写面となるキャビティ4を構成する壁面は成形品の形状を決定するものであり、またランナ12及びゲート13は樹脂の流れの円滑性を左右するものである。前述したメッキ面におけるメッキ厚は数μm〜十数μm程度とするが、表面の平滑化のために、メッキを行った後に、表面を研磨することにより均質な表面形状とするのが望ましい。また、可動型部材3には、その型板3a及びコア3bに突き上げピン17の挿通孔19が形成されており、また型板3aにはリターンピン20の挿通孔21が設けられているが、これらの摺動性を良好にするために、挿通孔19及び21内面にも硬質化するためのメッキを施すようにする。
本発明の実施の一形態を示す射出成形用金型の縦断面図である。 図1の射出成形用金型の固定型部材の平面図である。 図1の射出成形用金型の可動型部材の平面図である。 コアの外観図である。 流路構成部の外観図である。 コア及び流路構成部にメッキを行うために用いられるハンガを、このハンガにコア及び流路構成部を装着した状態にして示す正面図である。
符号の説明
1 成形用金型 2 固定型部材
3 可動型部材 2a,3a 型板
2b,3b コア 2c,3c 流路構成部
4 キャビティ 10 スプルブッシュ
11 スプル 12 ランナ
13 ゲート 15 ガイドピン
16 突き上げピン 19 挿通孔
20 リターンピン 21 挿通孔
30 ハンガ

Claims (3)

  1. 固定型部材と可動型部材との間にキャビティを形成し、このキャビティに溶融樹脂を供給するために、前記キャビティに接続したゲートと、このゲートに接続したランナを設けた射出成形用金型において、
    前記固定型部材及び可動型部材はアルミニウム合金から形成したものであり、これら固定型部材及び可動型部材は、それぞれ型板と、前記キャビティを形成したコアと、前記ゲート及び前記ランナを形成した流路構成部とから構成され、
    前記コアの前記キャビティを構成する転写壁面と、前記流路構成部のうち、前記ゲート及び前記ランナの成形時に溶融樹脂と接触する内面とは、鉄系メッキを施したメッキ面となし、
    前記型板と、前記コア及び前記流路構成部のうち成形時に溶融樹脂と接触しない壁面は、前記アルミニウム合金が無垢の状態で露出する非メッキ面とする
    構成としたことを特徴とする射出成形用金型。
  2. 前記コア内に位置する成形品を離型させるために、成形品の突き上げ部材を挿通させる挿通孔及びこの突き上げ部材の復帰部材を挿通する挿通孔の内面に鉄系メッキを施す構成としたことを特徴とする請求項1記載の射出成形用金型。
  3. 前記メッキ面には、さらに浸硫窒化処理を行う構成としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の射出成形用金型。
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