JP5294618B2 - 射出成形用金型 - Google Patents

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Description

本発明は射出成形用の金型に関するものであり、特にアンダーカット部分を形成する部位を可動入れ子とした射出成形用金型に関するものである。
射出成形用の金型は、固定側型部材と可動側型部材とで本体部分を構成し、その間にキャビティが形成され、このキャビティに溶融樹脂を供給するために、キャビティに接続したゲート及びランナを設けることにより大略構成されるものである。そして、両型部材間を型締めした状態で、ランナからゲートを通ってキャビティ内に溶融樹脂を供給することにより射出成形が行われる。ここで、金型を構成する固定側型部材及び可動側型部材は、繰り返し使用されるものであり、その耐久性の観点から、射出成形用の金型は堅牢な部材である鋼鉄製のものが一般的に使用される。
ここで、キャビティ内に溶融樹脂を供給する際には、金型を加熱して溶融樹脂の流れを良好にする。また、キャビティ内に溶融樹脂が供給されて、成形品の形状が転写された後には、この成形品を速やかに冷却する。そして、成形品が所定の温度まで冷却された後には、可動側型部材を固定側型部材から離間させて型開きを行い、突き出し等により成形品を金型から取り出される。この固定側及び可動側の型部材を型締めした後、成形品を取り出すまでを1サイクルとして、順次この操作を繰り返すことによって、射出成形が行われる。成形品の生産効率を高めるには、前述したサイクルタイムを短縮する必要があり、このためには、成形品を迅速に冷却しなければならない。成形品を冷却するために、金型を冷却するが、この金型の冷却方式としては、例えば、特許文献1に示したものが従来から知られている。この特許文献1では、固定側型部材及び可動側型部材に冷却水を循環させる流路を形成しておき、キャビティ内に溶融樹脂を供給した後に、流路内に冷却水を流して金型を冷却することにより、キャビティ内の成形品を冷却する構成としたものが開示されている。
特開平7−314503号公報
キャビティが固定側及び可動側の型部材間にのみ形成されているのであれば、冷却流路によるキャビティの冷却効率の向上を図ることができる。しかしながら、成形品にアンダーカットの部分が存在する場合には、前述した固定側及び可動側の型部材とは独立のスライドコアを設けることになる。このスライドコアは入れ子式のものとなるから、冷却流路を形成するのが不可能ではないにしろ、極めて困難であり、製造コストも高くなる。
固定側及び可動側の型部材には冷却水を流す冷却流路を形成した冷却手段を設け、スライドコアに冷却手段を設けない構成とした場合、キャビティ内に溶融樹脂を充填した後において、冷却手段を有する型部材と冷却手段を有しないスライドコアとの間で冷却速度に差が生じ、成形品の部位によって温度にばらつきが生じることになる。その結果、冷却時間が最も遅い部位を基準として型開きを行うことになり、サイクルタイムの遅延による生産効率が低下するだけでなく、成形品の表面にひけやボイド等が生じることになり、品質が低下するという問題点がある。
ところで、鋼鉄製の金型としては一般に炭素鋼が用いられるが、この炭素鋼の熱伝導率は48.5W・m−1・K−1である。これより熱伝導率の高い部材を用いれば、成形品の冷却効率を高くすることができる。アルミニウムは240W・m−1・K−1の熱伝導率を有する素材であり、アルミニウム製の金型の熱伝導率は鋼鉄製の金型より熱伝導率が5〜6倍程度高い。従って、可動入れ子を構成するスライドコア等をアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成すれば、格別冷却手段を設けなくても冷却効率を高くすることができる。従って、射出成形用の金型におけるスライドコア等の可動入れ子をアルミニウム若しくはアルミニウム合金で構成することが考えられる。しかしながら、アルミニウム乃至その合金は、鉄乃至その合金と比較して、軟質の金属であり、耐摩耗性も劣っている。従って、キャビティを構成する転写面の一部としてアルミニウムが露出していると、早期に磨耗することになる。特に、成形される合成樹脂にガラス繊維等の強化材が多量に混合されている場合には、さらに磨耗や損傷が激しくなり、成形品の量産には対応できない。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、アンダーカット部分を有する成形品を形成する射出成形用金型において、耐久性や強度を低下させることなく、高い冷却効率を有するスライドコア等の入れ子を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明は、それぞれ冷却手段を備えた固定型部材と可動型部材との間に形成されるキャビティにおけるアンダーカット部分に可動入れ子を臨ませて設けた射出成形用金型であって、前記可動入れ子はアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成して、その転写面を構成する部位には鉄または鉄合金からなる鉄系メッキを施した硬質メッキ面となし、前記固定型部材との当接面はアルミニウムまたはアルミニウム合金を無垢な状態にした非メッキ面とし、前記固定型部材及び前記可動型部材には、前記可動入れ子を冷却するための冷却手段を設ける構成としたことをその特徴とするものである。
ここで、可動入れ子は、固定型部材及び可動型部材とは別個、独立の部材となし、型開きのときには、スライド動作または回転動作させるようになし、前述した固定及び可動の型部材とは独立の動きをするものである。可動入れ子に冷却手段を内蔵させるのではなく、熱伝導率の高い部材でこの可動入れ子を形成し、熱伝導により冷却させる。また、金型に溶融樹脂を供給する際には、この金型全体を所定の温度にまで加熱するが、可動入れ子には、加熱手段を持たせなくても、迅速に加熱することもができる。可動入れ子をアルミニウム(またはアルミニウム合金)により形成しているので、固定及び可動の型部材の加熱及び冷却に対する温度追従性が良好となり、消費エネルギの低減が図られる。
アルミニウムの熱伝導率は鉄の熱伝導率より5〜6倍程度高いことから、固定及び可動の型部材の少なくともいずれかに設けられる冷却水の循環流路の一部を可動入れ子に近接した位置に配置しておけば、可動入れ子は迅速に冷却される。可動入れ子において、少なくとも転写面を構成する部位は鉄系メッキを施した硬質メッキ面とする。また、型締め及び型開きを行う際に、固定型部材または可動型部材に対して摺動する部位、特に他の部材と圧接しながら摺動する部位も硬質メッキ面とすることができる。そして、硬質メッキ面以外は、アルミニウムが無垢の状態で露出する非メッキ面とし、非メッキ面は固定型部材または可動型部材と当接することになる。例えば、可動入れ子の表面のうち固定型部材と当接する部位は、可動型部材が移動しても、摺動するものではないので、非メッキ面とする方が望ましい。また、可動型部材と摺接する部位であっても、過大な負荷が作用しない部位も非メッキ面とすることができる。ここで、硬質メッキ面を構成する鉄系メッキは鉄または鉄合金、例えばFe−Cr系の鉄合金等を含むものである。
従って、これら固定型部材または可動型部材の少なくとも一方に冷却手段を装着しておくことによって、可動入れ子には格別冷却手段を設けなくても、成形品を冷却する際に、キャビティを形成する転写面全体が迅速かつ円滑に、しかもむらなく冷却(加熱も同様)することができる。しかも、可動入れ子のうち、少なくとも転写面を構成する部位は鉄系メッキを施しており、これにより転写面の部位の耐久性や強度が向上する。さらに、可動入れ子だけでなく、固定型部材及び可動型部材もアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成して、少なくともキャビティに臨む転写面の部位に鉄系メッキを施すように構成することもできる。
アンダーカット部分を有する成形品を形成するために、スライドコア等の可動入れ子を射出成形用金型の構成部の一部として用い、この可動入れ子を熱伝導率の高いアルミニウムで構成することによって、成形品の冷却時には迅速な冷却が可能になり、また転写面となる部位に鉄系メッキを施すことによって、耐久性や強度を低下させることがない。しかも、成形品全体がほぼ均等に冷却されることから、ひけやボイド等がない高品質の成形品を得ることができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。図1に射出成形用金型の縦断面図を示し、また図2には成形品の外観を示す。同図から明らかなように、金型1は、固定型部材2と可動型部材3とを備え、これら固定型部材2と可動型部材3とを接合させることにより、その間にキャビティ4が形成され、このキャビティ4は、成形品Mの形状を転写するためのものである。ここで、固定型部材2及び可動型部材3は、共に型板2a,3aにコア2b,3bを装着したものから構成されており、キャビティ4はコア2b,3b間に形成されている。なお、固定型部材2及び可動型部材3はコアと型板とを一体物で構成することもできる。
成形品Mは合成樹脂からなるものであり、図2に示したように、その周胴部に凹部Rが形成される。従って、前述した固定型部材2と可動型部材3とだけで金型1のキャビティ4を形成したのでは、成形品Mの凹部Rの部位の型抜きができない。つまり成形品Mには凹部Rというアンダーカット部を有するものである。このために、金型1には可動入れ子として後述するスライドコア5を備えている。
固定型部材2は固定側取付板6に固定されており、可動型部材3は受け板7及びスペーサブロック8を介して可動側取付板9に連結されている。固定側取付板6にはロケートリング10が装着されており、このロケートリング10には射出シリンダ(図示せず)が接続されることになる。また、固定側取付板6におけるロケートリング10の内側にはスプルブッシュ11が装着されている。スプルブッシュ11は固定側取付板6を貫通して固定型部材2内にまで延在されており、その内部には溶融樹脂を供給する樹脂供給流路12を構成するスプル12a,ランナ12b及びゲート12cを介してキャビティ4と連通している。
受け板7及びスペーサブロック8を介して可動側取付板9に連結した可動型部材3は、固定型部材2に対して近接・離間する方向に移動可能なものであり、この動作時に可動型部材3を固定型部材2に対して位置合わせするために、可動型部材3に設けたガイドピン13が固定型部材2に設けたガイドブッシュ14に摺動可能に連結されている。さらに、キャビティ4内で成形が完了した後には、このキャビティ4の下部に位置する突き出しピン15と、スプル12aの下部に位置する突き出しピン15aを上昇させて、キャビティ4内で成形された成形品Mを突き上げるようにして型離れすることになる。ここで、突き出しピン15は昇降板16に装着されており、型板3aからコア3bを貫通してキャビティ4に望むように形成した挿通孔17に挿通されている。そして、昇降板16を可動側取付板9に近接する方向に所定ストロークだけ移動させることによって、キャビティ4内の成形品Mが突き上げられることになる。昇降板16が成形品Mの突き上げのために上昇した後、可動側取付板9に当接する位置まで下降させるためのリターンピン18が設けられており、このリターンピン18は、可動型部材3における型板3aに設けた挿通孔19に摺動可能となっている。
固定型部材2と可動型部材3との間に設けられるスライドコア5は、図3及び図4に示したように、スライドブロック50にアンダーカット構成部51を一体に形成したものから構成される。スライドブロック50は、可動型部材3の型板3aに形成した収容部20内に配置されており、この型板3aの収容部20の底面に沿って摺動可能となっている。また、アンダーカット構成部51は、コア3aに形成した透孔21内に進退可能に挿入されて、型締め時には、このアンダーカット構成部51の先端部分がキャビティ4の転写面の一部、つまり成形品Mの凹部Rを形成する部位を構成することになる。このときには、スライドコア5はコア3bと固定型部材2の型板2aに設けたロッキングブロック22との間に挟持されるようにして固定される。
また、固定型部材2の型板2aにはアンギュラピン23が固定的に設けられており、このアンギュラピン23は型板2aから斜め下方に延在されている。そして、スライドコア5を構成するスライドブロック50には、アンギュラピン23の傾きと同じ角度で斜め方向に向けてピン挿通孔52が形成されており、このピン挿通孔52にはアンギュラピン23が挿通される。そして、図1の型締め状態から、成形品Mを取り出すために、図5に示したように、型開きを開始したときには、可動型部材3の下降動作に追従して、スライドコア5が可動型部材3の型板3の上面に沿って図5に矢印で示した方向に向けて摺動し、コア3aから離間する方向にスライド変位する。従って、ロッキングブロック22の内面及びスライドブロック50のアンダーカット構成部51とは反対側の面は、アンギュラピン23の傾きと一致する傾斜角を持たせている。なお、スライドコア5のスライド変位を円滑に行わせるために、スライドブロック50には左右に張り出すガイド部50aが形成されており、このガイド部50aは可動型部材3に形成した溝(図示せず)に係合することになる。
さらに、固定型部材2及び可動型部材3を構成する型板2a,3aには、複数の冷却水流路24が形成されており、樹脂をキャビティ4内に充填した後には、これら冷却水流路24に冷却水を流通させることによって、コア2b,3b及びスライドコア5を冷却するようにしている。従って、冷却水流路24は、コア2b,3bの外周面に近接した位置を通るように配設されている。なお、冷却手段は空冷式のものであっても良い。また、キャビティ4内の樹脂を加熱する加熱手段も備えている。加熱手段は、一般的に、ロッド式またはバンド式のヒータが用いられる。ただし、この加熱手段は図示を省略する。
ここで、可動型部材3において、スライドコア5が装着されている収容部20の部位には、冷却水流路を設けることができない。そこで、スライドコア5の冷却を促進するために、このスライドコア5をアルミニウムで形成する。ここで、アルミニウムは、好ましくは純アルミニウムではなく、アルミニウム合金を用いる。アルミニウム合金としては、例えばAl−Mg系,Al−Zn−Mg系等が好適に用いられ、またAl−Cu―Mg系、つまりジュラルミンも用いることができる。
そして、図4に示したように、スライドコア5のうち、アンダーカット構成部51の外表面には鉄系メッキを施した硬質メッキ面53としている。また、スライドブロック50のうち、ロッキングブロック22と当接する面は、このロッキングブロック22からの押圧力を受けて摺動するので、必須ではないが、この面も硬質メッキ面54とすることが望ましい。さらに、スライドコア5のうち、アンギュラピン23が挿脱されるピン挿通孔52の内面及びアンダーカット構成部51が突出している端面部分も硬質メッキ面としても良い。そして、スライドコア5の全面を硬質メッキ面とすることもできるが、熱伝達の観点から、少なくともスライドブロック50のうちの固定型部材2の型板2aと当接する部位は非メッキ面とする。一方、スライドブロック50のうち、可動型部材3の型板3aへの当接面は型締め及び型開き時に摺動するので、硬質メッキ面とすることもできるが、あまり大きな摩擦力が作用しないので、非メッキ面とする。
射出成形用金型は以上のように構成されるものであって、成形用金型1を構成する可動側取付板9を固定側取付板6に近接する方向に駆動することにより固定型部材2と可動型部材3とを接合させると共に、スライドコア5をコア3bの外周面に当接させ、アンダーカット構成部51を、コア3bに設けた透孔21を貫通させて、キャビティ4内に進入させる。また、アンギュラピン22をスライドブロック50に設けたピン挿通孔52内に挿入させる。これによって、スライドコア5はロッキングブロック22とコア3bの外周面との間に挟持された状態で固定される。そして、固定型部材2と可動型部材3との間に所定の加圧力を作用させることにより型締めが行われる。
そこで、ロケートリング10に射出用シリンダを接続して、樹脂供給経路12を介してキャビティ4内に溶融樹脂を所定の圧力を作用させて供給する。このキャビティ4内に樹脂が十分行き渡り、その形状が転写されるまでは樹脂を高温状態に保持するために、加熱手段により金型1の全体、特に固定型部材2及び可動型部材3を加熱し、所定の温度状態に保持する。
ここで、固定型部材2及び可動型部材3はその全体が鋼鉄製のものであるのに対して、コア3bに形成した透孔21内にアルミニウム製のスライドコア5におけるアンダーカット構成部51が挿入されているので、これらの素材の相違から、熱膨張率に差が生じる。つまり、アルミニウムの方が鋼鉄より熱膨張率が大きいことから、アンダーカット構成部51の外形寸法を、それが挿入される透孔21に対して、金型1を加熱したときに、アンダーカット構成部51が透孔21にほぼ密嵌状態となるように設定する。従って、金型1を加熱していないときには、アンダーカット構成部51と透孔21との間に隙間が生じることになる。溶融樹脂がキャビティ4内に充填する際には、加圧状態にするが、この樹脂の供給時にはアンダーカット構成部51は加熱状態となって、前述した隙間が生じないことから、樹脂がアンダーカット構成部51と透孔21との間から流出するおそれはない。なお、冷却によって前述した隙間が拡大するが、これと共に樹脂の硬化が開始することから、多少の隙間が生じても、成形品Mに何等の影響も与えない。なお、透孔21に対するアンダーカット構成部51の寸法差は、可動型部材3の材質とスライドコア5の材質及び成形温度等を勘案して設定されることになる。
キャビティ4内全体に樹脂が行き渡ると、加熱手段による加熱を停止し、冷却手段による冷却を開始する。即ち、冷却水流路24内に冷却水を流通させることによって、冷却水流路24を設けた型板2a,3aを冷却する。ここで、冷却水流路24はコア2b,3bに近い位置に配置されているので、これらコア2b,3bが冷却されることになり、最終的にキャビティ4の内部に充填されている樹脂が冷却される。キャビティ4が所定の温度にまで低下すると、樹脂が固化・成形されることになる。そこで、可動型部材3を下降させて、固定型部材2から離間させることにより型離れを行わせ、次いで昇降板16を上昇させて、突き出しピン15を押し上げることにより成形品を取り出す。その後、この昇降板16に作用しているばねの作用で突き出しピン15及び15aを下降させて、図1の状態に復帰させる。これを1サイクルとして、この操作を繰り返すことによって、順次樹脂の成形が行われる。
ここで、前述のようにして行われる樹脂を射出成形する際において、キャビティ4内を加熱・冷却が繰り返されるが、冷却効率はサイクルタイムの短縮にとって重要である。キャビティ4内の樹脂を冷却するには、コア2b,3bを直接冷却することが望ましいが、本実施の形態においては、コア2b,3bは型板2a,3aに対して可動な入れ子式となっている。これは金型1に汎用性を持たせるためであり、従ってコア2b,3bに冷却水流路を形成するのは困難である。型板2a,3aに冷却水流路24を設けたのはこのためであって、冷却水流路24をコア2b,3bに近接した位置に設けることによって、冷却効率を高くするようにしている。
ただし、スライドコア5は、固定型部材2及び可動型部材3のコア2b,3bと同様、冷却水流路を設けることができないだけでなく、型締め及び型開き時にスライドするものであるから、このスライドコア5におけるアンダーカット構成部51に近接する位置に冷却水流路24を設けることはできない。従って、アンダーカット構成部51は冷却機能を発揮する冷却水路24から離れた位置となる。
しかしながら、スライドコア5は、金型1を構成する他の部位の素材である鋼材と比較すると、5〜6倍程度高い熱伝導率を有することから、アンダーカット構成部51が冷却水路24から離間していても、迅速に冷却されることになる。勿論、冷却水路24はできるだけアンダーカット構成部51にできるだけ近い位置に配置する。その結果、スライドコア5のアンダーカット構成部51とコア2b,3bとの間で冷却速度の差が小さくなって、冷却時間の短縮が図られる。また、キャビティ4全体にわたってほぼ均等な温度になるので、成形品Mの表面にひけやボイド等の発生を防止することができる。
ここで、図4に示したように、スライドコア5の表面には、アンダーカット構成部51と、その反対側の端面とをそれぞれ硬質メッキ面53,54となし、それら以外は非メッキ面とする。このためには、非メッキ面の部位をマスキングしてメッキ層を形成する。このメッキ層のメッキ厚は数μm〜十数μm程度とするが、表面の平滑化のために、メッキを行った後に、研磨することにより均一な表面形状とするのが望ましい。そして、硬質メッキ面には鉄系のメッキが形成される。鉄系のメッキは、一般に、電解メッキにより行われることになる。アンダーカット構成部51はエッジのある構造であることから、メッキ時にはエッジ部分に電流密度が高くなるが、メッキ槽内において、スライドコア5と陰極との間に適宜の遮蔽板を配設する等によって、全体にほぼ均等なメッキ厚とすることができる。
本発明の実施の一形態を示す射出成形用金型の縦断面図である。 図1の射出成形用金型により製造される成形品の外観図である。 図1の射出成形用金型のスライドコアの外観図である。 図3のスライドコアの断面図である。 型離れの途中の状態を示す図1と同様の縦断面図である。
符号の説明
1 成形用金型 2 固定型部材
3 可動型部材 2a,3a 型板
2b,3b コア 4 キャビティ
5 スライドコア 12 樹脂供給経路
13 ゲート 15 ガイドピン
20 収容部 21 透孔
22 ロッキングブロック 23 アンギュラピン
24 冷却水流路 50 スライドブロック
51 アンダーカット構成部 52 ピン挿通孔
53,54 硬質メッキ面 M 成形品
R 凹部

Claims (2)

  1. それぞれ冷却手段を備えた固定型部材と可動型部材との間に形成されるキャビティにおけるアンダーカット部分に可動入れ子を臨ませて設けた射出成形用金型において、
    前記可動入れ子はアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成して、その転写面を構成する部位には鉄または鉄合金からなる鉄系メッキを施した硬質メッキ面となし、前記固定型部材との当接面はアルミニウムまたはアルミニウム合金を無垢な状態にした非メッキ面とし、
    前記固定型部材及び前記可動型部材には、前記可動入れ子を冷却するための冷却手段を設ける
    構成としたことを特徴とする射出成形用金型。
  2. 前記可動入れ子は、離型時にはスライドまたは回転させることによって前記固定型部材及び前記可動型部材とは独立に移動する構成となし、前記可動入れ子の前記可動型部材との摺接面を硬質メッキ面とする構成としたことを特徴とする請求項1記載の射出成形用金型。
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