JP6124023B2 - 成形用金型及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂成形品を形成するのに用いる成形用金型及びその製造方法に関する。
幅及び深さが1〜1000μmと非常に微細な流路を有する、Micro−TAS(Total Analysis System)、有機化合物や生体試料の分析等に用いられるマイクロチップや、数十nmオーダーの微細な段差構造を有する回折光学素子等は、樹脂を射出成形して形成された樹脂成形品で構成されることがあり、その成形には金型が使用されている。
このような樹脂成形品における微細な溝などの凹形状を射出成形にて成形する場合には、その金型において、溝に対応した微細な凸形状を平面上に形成しなくてはならないが、一般的に切削加工では加工量が膨大となり困難である。そこで、電鋳により微細な凸形状を転写形成する事が一般的に実施されている。又、その電鋳の材質としては、電気めっき性に優れるニッケル(Ni)が多く使用されている(特許文献1参照)。
ただし、ニッケルは熱伝導率が90W/m・Kと高い為、熱の伝導が速すぎて金型に接した樹脂温度を高温に保てず、形状転写が十分に得られる前に樹脂が冷やされてしまい、不十分な転写となる恐れがある。これに対し、ヒートサイクル成形を用いることで転写性は向上するが、成形サイクルが長くなり、製造工数の増大を招くという問題がある。
特開平06−158381号公報 国際公開第2008/053732号パンフレット
一方、特許文献2には、金型の内部にジルコニア等の断熱層を設け、金型に接した樹脂の温度を適温に保持する技術が開示されている。しかるに、ジルコニアなど断熱性に優れる材料を使用した場合、成形においては、保温性に優れるが故に、ゲート近傍などは高温になるが、その反対側が低温に保持される時間が長くなり、成形品内の温度分布が不均一になってしまい、製品の変形等を招く恐れがある。このような温度分布の不均一は、製品の変形等が生じなくなるまで冷却時間を延ばす事で解消できるが、それにより成形サイクルが長くなり、製造工数の増大を招く。
本発明の目的は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、成形サイクルの短縮と金型から樹脂への転写性の向上とを両立できる成形用金型及びその製造方法を提供することである。
上述の目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した成形用金型は、樹脂材料からなる微細構造を形成した部材を射出成形で成形するための成形用金型であって、
金型本体と、
前記金型本体上に形成された、熱伝導率が30W/m・以下の断熱層と、
前記断熱層上に形成された、熱伝導率が60W/m・以上の下面層と、
前記微細構造を成形するための転写部を備え、前記下面層上に形成された、熱伝導率が10W/m・以下の表面層と、を有し、
前記表面層の転写部は、転写型マスターからの転写加工によって形成されている。
また、本発明の一側面を反映した成形用金型の製造方法は、樹脂材料からなる微細構造を形成した部材を射出成形で成形するための成形用金型であって、金型本体と、前記金型本体上に形成された、熱伝導率が30W/m・以下の断熱層と、前記断熱層上に形成された、熱伝導率が60W/m・以上の下面層と、前記微細構造を成形するための転写部を備え、前記下面層上に形成された、熱伝導率が10W/m・以下の表面層とを有する成形用金型の製造方法において、
転写型マスターに微細構造素子形状を切削加工する第1工程と、
前記転写型マスター上に前記表面層を転写加工で形成する第2工程と、
前記表面層上に前記下面層を形成する第3工程と、を有する。
本発明によれば、成形サイクルタイムの短縮と金型から樹脂への転写性の向上とを両立できる。
成形用金型1の断面図である。 成形用金型1の製造方法を説明するための図面(断面図)である。 成形用金型10を組み込んだ成形装置の斜視図である。 (a)は、成形用金型の微細溝の拡大断面図であり、(b)は、微細溝の十字交差部を上面から見た拡大図である。 実施例1及び比較例1〜3の評価結果を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明にかかる実施形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲は以下の実施形態及び実施例に限定されるものではない。
まず、断面図である図1を参照しながら、本実施形態に係る成形用金型10の概略構成について説明する。成形用金型10は、樹脂材料からなる微細構造を形成した部材(樹脂成形品)を射出成形で成形するための金型であり、例えば1〜1000μmの幅の微細流路を形成したマイクロチップや光学素子等の樹脂成形品を転写形成するのに好適に用いられるものである。成形用金型10は、外観が略直方体状を呈しかつ鋼等の金属材料で構成された金型本体12(ベース金型)を有しており、金型本体12上には、表面層13と下面層14と、断熱層15とがこの順序で転写面側から形成されている。
表面層13は、微細流路の形状を実質的に形成するための層であり、後述の転写加工により形成されている。表面層13は、下面層14と断熱層15を介して金型本体2上に形成されており、下面層14上に0.03〜1.0mm(好ましくは0.1〜0.5mm)の範囲の厚みt1で形成されている。表面層13は、熱伝導率が10W/m・K以下の素材、例えばニッケル−リン、ニッケル−コバルト−リン合金メッキ,ニッケル−PTFEメッキ、ニッケルボロンメッキなどのニッケル複合合金メッキ等で構成されており、表面層13上(転写面側)には凸部13aが形成されている。
転写部としての凸部13aは樹脂成形品に形成される微細構造の凹部(溝)に対応するもので、幅W及び高さHが0.1〜1mmの範囲の微細形状を呈している。特に、凸部13aは幅W及び高さHが1〜1000μmの幅の微細流路状を呈していてもよく、この場合、当該成形用金型10から成形されるマイクロチップ等の樹脂成形品には、幅及び深さが1〜1000μmの微細流路を形成することができる。好ましくは、幅Wは100μm以下である。
下面層14は、表面層13の表面に射出された樹脂の熱が、転写面全面に迅速に行き渡るようにする機能を有している。下面層14は、表面層13と断熱層15との間に挟まれて、0.1〜2.0mmの範囲の厚みt2で設けられている。下面層14は、熱伝導率が表面層13より高くなっており、具体的には60W/m・K以上の素材、例えばNiメッキ、Cuメッキ、Crメッキ、Ni−Coメッキなどで構成されている。
断熱層15は、表面層13の表面に射出された樹脂の熱が、金型本体12の全体にゆきわたるのを防止する機能を有しており、樹脂の射出を受けた部位とその近傍とに熱を保持するようになっている。断熱層15は、セラミック系材料,チタン合金,ガラス等の材料(ここではジルコニア)で構成されており、熱伝導率が下面層14より低くなっており、具体的には30W/m・K以下(好ましくは10W/m・K以下)の熱伝導率を有している。断熱層15は、後述の溶射法により形成されており、厚みが0.1〜3.0mmとなっている。
続いて、図2を参照しながら、本実施形態にかかる成形用金型の製造方法について説明する。ここでは、転写型マスターであるマスターMを使用して成形用金型10を製造するものとする。実際の成形用金型10の製造では、始めに、マスターMの転写面に対しメッキ層を施し、次いで図2(a)に示すように、メッキ層の上面に工具Tにより切削加工を施し、樹脂成形品の微細流路等の凹部に相当する流路部Vを形成する(第1工程)。
なお、マスターMにおいては、メッキ層は必ずしも必須ではないが、特に材質の均質性の観点では当該メッキ層が形成されているのが好ましい。上記第1工程では、マスターM上に(メッキ層を形成せずに)、無電解Niメッキ加工を施してその後に切削加工を行ってもよく、この場合切削性、硬度の観点で更に好ましい。
その後、図2(b)に示すように、金型本体12との離型性を向上させるため、前処理としての導電処理や離型処理を施して、マスターMの上面に離型処理膜Pを形成する。その後に、図2(c)に示すように、離型処理皮膜(図示を省略)の上部に無電解Niメッキ加工等の他の転写加工を施してニッケル複合合金メッキ等で構成された肉厚の第1の加工体20を形成する。第1の加工体20の形成では、無電解メッキ加工ではなく、電鋳加工を施してもよい。
ここで電鋳加工とは、マスターMの表面に電気メッキ法によりニッケル−コバルト-リン合金等の金属を析出させた後、この金属をマスターMから剥離して製品とする技術であり、当該電鋳加工ではマスターMの形状を忠実かつ正確に転写することができる。
その後、図2(d)に示す通り、工具Tにより第1の加工体20を研削加工して、第1の加工体20の肉厚t1を0.03〜1.0mm程度まで薄くしながらその上面を平面にする。当該第1の加工体20は表面層13に相当するもので、当該第1の加工体20を形成する工程が第2工程に相当する。
その後、図2(e)に示す通り、第1の加工体20の上部であって下面層14を形成しようとする部位以外の部位に対しマスク部材(不図示)をマスキングし、そのマスク部材で囲まれた第1の加工体20の表面に、電気メッキ法によりNi等の金属を析出させ、第2の加工体(電鋳加工体)21を形成する。尚、通常のメッキ法により第2の加工体21を形成しても良い。
次いで、図2(f)に示す通り、工具Tにより第2の加工体21を研削加工して、第2の加工体21の肉厚t2を0.1〜2.0mm程度まで薄くしながらその上面を平面にする。当該第2の加工体21は下面層14に相当するものである。
その後、図2(g)に示すように、マスターMから、加工体20,21を一体で離型させる。その結果、第1の加工体20の下面には、マスターMの流路部Vに対応した凸部13aが形成される。
更に図2(h)に示すように、工具Tにより加工体20,21の外周を適寸に切断(整形)し、図2(i)に示すように、STAVAX(登録商標:ウッドホルムス会社)製(通常の炭素鋼製でも良い)の金型本体12に対して、0.1〜3.0mmの厚みの平板状のジルコニア(熱伝導率3W/m・)製の断熱層15を介在させながら、接着剤で第2の加工体21の上面を貼り付ける(第3,第4工程)。断熱層15を第2の加工体21に貼り付けた後、その上から金型本体12を更に貼り付けても良い。以上により、成形用金型10が完成する。
本実施形態の一変形例は、図2(f)までは工程が共通するが、それ以降が異なる。図示を省略するが、具体的には、第2の加工体21を形成した後に、断熱層15を形成しようとする部位以外の部位に対しマスク部材(不図示)をマスキングし、そのマスク部材で囲まれた第2の加工体21の表面に、セラミック系材料(ジルコニア)等を一定の厚みになるまで溶射して断熱層15を形成する。この時点で、断熱層15を接着しても良い。また、材料としてポリイミドを用いるならば、スピンコートにより形成したり、ポリイミドフィルムを直接接着することで形成できる。
なお、マスク部材のマスキングは必ずしも必須ではなく、マスク部材の当該マスキング範囲は、最終的な成形用金型10の外形に対して0.1〜2mmの範囲内で内側に配置されるのが好ましい。係る範囲はその後の電鋳加工体の形成(再電鋳加工,厚肉電鋳での抱え込み)を想定してのものであり、最終的な成形用金型10の外形に対して0.1mm内側にマスキングをするということは、側面の電鋳層厚みが0.1mmと同義となるが、これを下回ると破損の可能性があり、上限は断熱層15としての断熱効果を効果的に作用させるためのものである。
その後、マスク部材を除去するとともに、断熱層15の上面に導電膜(図示略)を形成して導電性を付与する。当該導電膜はNi−Pメッキ加工を施して形成したものであってもよいし、金属材料を溶射して形成したものであってもよい。
その後、断熱層15の上部に再度電鋳加工を施し、肉厚の第3の加工体を形成し、これらを一体とする(第3,第4の工程)。第3の加工体は金型本体12に相当するものである。その後、これらの外周を一体で適寸に切断する。但し、断熱層15と、別個に形成した金型本体12とを接着剤で貼り合わせても良い。以上により、成形用金型10が完成する。
図3は、本実施形態の成形用金型10を成形装置に組み付けた状態で示す斜視図である。図3において、成形用金型10は、角筒状の枠部材31に挿入されて下型30を形成している。成形用金型10は、ボルトなどで直接又は固定部材を介して枠部材31に固定されるか、もしくは真空吸着等により固定される。下型30に対向して、ブロック状の上型40が設けられている。下型30に対して上型40を型締めして、不図示のゲートを介して内部の空間内に溶融した樹脂を射出した後、固化させた上で、離型することで、凸部13aを転写成形した成形品を得ることができる。尚、枠部材31の上縁内周を内側に張り出させて、成形用金型10の表面層を抑えるようにしても良い。
以上の本実施形態では、表面層13の内部に下面層14と断熱層15が形成されているから、樹脂の射出成型時において成形用金型10の温度を大幅に変動させる必要がなく、また、温度分布も均一に近くなるので、その分だけ成形サイクルタイムの短縮を図ることができる。その一方で、凸部13aとその近傍との温度も高温に保持され、成形用金型10から樹脂への転写性の向上を図ることができる。
更に、凸部13aの形成に際しては、当該凸部13aが切削加工ではなくマスターMに対し転写加工が施されて形成されているから、1つのマスターMから複数の同一微細形状を形成する1つの成形用金型10を作製する場合に表面層13への微細形状の形成にあたって加工バラツキが生じるのを防止することができるし、1つのマスターMから同一形状を呈した複数の成形用金型10を作製する場合も、各成形用金型10同士で加工バラツキが生じるのを防止することができる。更に、マスターMは、何度でも再利用できる。以上から、成形サイクルタイムの短縮と金型から樹脂への転写性の向上とを両立しながらも、金型への微細形状の形成にあたって加工バラツキを防止することができる。
なお、微細流路を有するマイクロチップや微細構造を有するレンズ,プリズム等の光学素子においては、微細形状の転写性もさることながら、各部品間の形状バラツキを抑えることが必須となるため、本発明に係る成形用金型10及びその製造方法は非常に有効である。
以下、本発明者が行った検討結果について説明する。本発明者は、以下の仕様で実施例と、3つの比較例を製作し、形状転写性と成形サイクルタイムとを比較評価した。
[実施例1]
表面層(厚さ0.15mmのNi−P層、熱伝導率9W/m・)、下面層(厚さ0.15mmのNi層、熱伝導率87.6W/m・)、断熱層(厚さ1mmの焼結ジルコニア、熱伝導率3W/m・)、金型本体(厚み調整板、STAVAX製、熱伝導率20W/m・
[比較例1]
表面層(厚さ0.15mmのNi−P層、熱伝導率9W/m・)、下面層(厚さ0.15mmのNi層、熱伝導率87.6W/m・)、裏打ち材(STAVAX製、熱伝導率20W/m・
[比較例2]
電鋳層(厚さ0.3mmのNi層、熱伝導率87.6W/m・)、受け部((厚さ1mmの焼結ジルコニア、熱伝導率3W/m・)、ベース(STAVAX製、熱伝導率20W/m・
[比較例3]
電鋳層(厚さ0.3mmのNi層、熱伝導率87.6W/m・)、ベース(STAVAX製、熱伝導率20W/m・
表1に、供試した素材の熱伝導率を参考的に示す。
Figure 0006124023
形状転写性の評価は、図4に示すような試験成形品において、微細溝Gが十字に交差する位置の角部R部の半径(ダレ量)を顕微鏡にて観察することで行った。試験成形品は厚み2mm、30mm四方の板状の成形品であって、その片面に、図4(a)に示す断面の溝G(幅X:20μm、深さZ:20μm)を、図4(b)に示すように、十字に交差して設けた。その交差形状の角部R部の半径を比較することで、実施例と比較例とを評価した。尚、成形条件として、成形に用いた樹脂は、PC(三菱エンジニアプラスチック株式会社の製品名ユ−ピロンH4000)であり、樹脂温度は290℃、保圧条件は70MPa、金型温度は130℃とした。図5に評価結果を示す。
図5に示す評価結果によれば、比較例1では、R部半径が10μm程度まで大きくなり、転写性が悪いことがわかった。但し、比較例1でもガラス転移点温度Tg以上に金型温度を上昇させれば転写性が向上するが、それにより成形サイクルタイムが120秒と長くなるため問題である。
次に、比較例2では、R部半径が20μm程度であり、更に転写性が悪いことがわかった。但し、比較例2でも、ガラス転移点温度Tg以上に金型温度を上昇させ且つヒートサイクル成形を用いることで転写性が向上するが、それにより成形サイクルタイムが5分と長くなり、設備コストも増大するため問題である。
次に、比較例3では、R部半径が25μm程度であり、更に転写性が悪いことがわかった。但し、比較例2でも、ガラス転移点温度Tg以上に金型温度を上昇させ且つヒートサイクル成形を用いることで転写性が向上するが、それにより成形サイクルタイムが20分と長くなり、設備コストも増大するため問題である。
これに対し、実施例1では、樹脂温度や金型温度を低くしてもR部半径が0.3μm以下と転写性に優れ、これにより成形サイクルタイムを60秒と短くすることができ、高精度な成形を行いながらも、コスト削減に貢献できることがわかった。
上述の実施形態における好ましい構成をまとめると、次のとおりである。
本実施形態よる成形用金型は、樹脂材料からなる微細構造を形成した部材を射出成形で成形するための成形用金型であって、金型本体と、前記金型本体上に形成された、熱伝導率が30W/m・以下の断熱層と、前記断熱層上に形成された、熱伝導率が60W/m・以上の下面層と、前記微細構造を成形するための転写部を備え、前記下面層上に形成された、熱伝導率が10W/m・以下の表面層と、を有し、前記表面層の転写部は、転写型マスターからの転写加工によって形成されている。
成形サイクルを短縮するには、一般的には金型を温度を下げることが考えられるが,金型温度を下げていると、金型内に充填された樹脂の冷却が早まり、成形品にフローマークやジェッティングなどの外観不良が発生してしまう恐れがあるため、金型温度を下げることには自ずと限界がある。
これに対し本実施形態によれば、成形される部材側から順に、前記表面層、前記下面層、前記断熱層、前記金型本体にように配置されているので、以下のような効果を得られる。まず、熱伝導率が10W/m・以下と保温性がある前記表面層を、成形される素材に接触する金型表面に配置する事で,金型温度をガラス転移点Tgから極端に上げずに表面の形状転写性を向上でき,且つ前記表面層の内側に熱伝導率が60W/m・以上の前記下面層を設けることで、熱の伝導性を高めることができ、例えばゲート側と反対側との温度分布の不均一性を解消し、これにより成形サイクルを短くできるのである。加えて、前記下面層の内側に熱伝導率が30W/m・以下の前記断熱層を配置することで、前記表面層の保温性を適度に確保出来るので,更に成形サイクルの短縮化を図れる。尚、ここで「上に形成する」とは、直接形成する場合の他、接着剤により貼り付ける場合も含む。
前記転写加工が電鋳加工であることが好ましい。これにより、切削加工では困難な微細な溝でも容易に形成できる。
前記表面層は、ニッケル-PTFE、ニッケル−コバルト−リン合金又はニッケル−ボロンで構成されていることが好ましい。但し、より好ましい前記表面層の素材としては、より高い断熱性を得られ硬度が増大して金型の耐久性を高めることができるという観点から、Ni−P複合メッキ材料であって、Pの配合が15重量%以下であるものを用いるのが良い。これらの素材は、熱伝導率が10W/m・以下のものが多く、前記表面層に適している。但し、以上の素材に限られるわけではない。前記表面層は、無電解メッキ、電気メッキなどの方法で製作される。
前記表面層は、前記下面層上に0.03〜1.0mmの範囲の厚みで形成されていることが好ましい。前記表面層の厚みが0.03mmより厚ければ、保温性を維持でき、1.0mmより薄ければ、温度分布の不均一性を抑制し、また形成する時間が少なくて済む。但し、より好ましい前記表面層の厚みは、0.1〜0.5mmである。
前記下面層は、前記断熱層上に電鋳もしくはメッキにより形成されていることが好ましい。これにより、熱伝導率が60W/m・以上の下面層を容易に形成できる。
前記下面層はNiメッキ、Cuメッキ、Crメッキ又はNi−Coメッキにより形成されていることが好ましい。かかる素材は、熱伝導率が60W/m・以上の下面層を構成するのに好適である。
前記下面層は、前記断熱層上に0.1〜2.0mmの範囲の厚みで形成されていることが好ましい。前記下面層の厚みが0.1mmより厚ければ、十分な熱伝導性を確保でき、2.0mmより薄ければ、製作する時間が少なくて済む。但し、より好ましい前記下面層の厚みは、0.1〜0.5mmである。
前記断熱層の熱伝導率が10W/m・K以下であることが好ましい。前記断熱層の熱伝導率が10W/m・K以下であると、更に十分な保温性を確保できる。
前記断熱層はステンレス材料、セラミック系材料、チタン合金、サーメット、ガラス又は樹脂から構成されていることが好ましい。これらの素材は、熱伝導率が30W/m・以下のものが多く、前記表面層に適している。特に、セラミック系材料、チタン合金、ガラス等は、熱伝導率が10W/m・以下であるため好ましい。但し、以上の素材に限られるわけではない。また、表面層で使用したメッキ層を再度,積層する方法も挙げられる。
前記転写部は、0.1μm〜1mmのサイズの微細形状を有することが好ましい。これにより、Micro−TASや、有機化合物や生体試料の分析等に用いられるマイクロチップを製造できる。
前記表面層には、マイクロチップに形成される幅及び深さが1〜1000μmの幅の微細流路に対応する凸部が形成されていることが好ましい。これにより、有機化合物や生体試料の分析等に用いられるマイクロチップを製造できる。好ましくは、前記微細流路の幅は100μm以下である。尚、転写部は同様な寸法を有する微細な凹部であっても良い。
本実施形態による成形用金型の製造方法は、樹脂材料からなる微細構造を形成した部材を射出成形で成形するための成形用金型であって、金型本体と、前記金型本体上に形成された、熱伝導率が30W/m・以下の断熱層と、前記断熱層上に形成された、熱伝導率が60W/m・以上の下面層と、前記微細構造を成形するための転写部を備え、前記下面層上に形成された、熱伝導率が10W/m・以下の表面層とを有する成形用金型の製造方法において、転写型マスターに微細構造素子形状を切削加工する第1工程と、前記転写型マスター上に前記表面層を転写加工で形成する第2工程と、前記表面層上に前記下面層を形成する第3工程と、を有する。これにより、上述の効果を有する成形用金型を容易に製造できる。
前記転写型マスター上に、前記表面層、前記下面層及び前記断熱層を形成した後に、前記転写型マスターから前記表面層、前記下面層及び前記断熱層を離型し、更に前記断熱層に前記金型本体を接合する第4工程を有することが好ましい。これにより、前記断熱層と前記下面層との接合強度を高めることができる。
前記転写型マスター上に、前記表面層及び前記下面層を形成した後に、前記転写型マスターから前記表面層及び前記下面層を離型し、整形した上で、前記下面層に前記断熱層及び前記金型本体を接合する第4工程を有することが好ましい。これにより、より短時間で前記成形用金型を製作ができる。
本発明は、明細書に記載の実施形態、実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施形態や実施例や技術思想から本分野の当業者にとって明らかである。例えば、本発明により製造できる製品としては、プリズムシート、フレネルシート、マイクロレンズアレイ、細胞培養プレート、DNA分析プレートなどの微細形状を持ち、高度な転写性を要求される製品がある。
10 成形用金型
12 金型本体
13 表面層
13a 凸部
14 下面層
15 断熱層
20 第1の加工体
21 第2の加工体
30 下型
31 枠部材
40 上型
M マスター
P 離型処理膜
T 工具
V 流路部

Claims (14)

  1. 樹脂材料からなる微細構造を形成した部材を射出成形で成形するための成形用金型であって、
    金型本体と、
    前記金型本体上に形成された、熱伝導率が30W/m・以下の断熱層と、
    前記断熱層上に形成された、熱伝導率が60W/m・以上の下面層と、
    前記微細構造を成形するための転写部を備え、前記下面層上に形成された、熱伝導率が10W/m・以下の表面層と、を有し、
    前記表面層の転写部は、転写型マスターからの転写加工によって形成されている成形用金型。
  2. 前記転写加工が電鋳加工である請求項1に記載の成形用金型。
  3. 前記表面層は、ニッケル−リン、ニッケル-PTFE、ニッケル−コバルト−リン合金又はニッケル−ボロンで構成されている請求項1又は2に記載の成形用金型。
  4. 前記表面層は、前記下面層上に0.03〜1.0mmの範囲の厚みで形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の成形用金型。
  5. 前記下面層は、前記断熱層上に電鋳もしくはメッキにより形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の成形用金型。
  6. 前記下面層はNiメッキ、Cuメッキ、Crメッキ又はNi−Coメッキにより形成されている請求項5に記載の成形用金型。
  7. 前記下面層は、前記断熱層上に0.1〜2.0mmの範囲の厚みで形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の成形用金型。
  8. 前記断熱層の熱伝導率が10W/m・K以下である請求項1〜7のいずれかに記載の成形用金型。
  9. 前記断熱層はステンレス材料、セラミック系材料、チタン合金、サーメット、ガラス又は樹脂から構成されている請求項1〜8のいずれかに記載の成形用金型。
  10. 前記転写部は、0.1μm〜1mmのサイズの微細形状を有する請求項1〜9のいずれかに記載の成形用金型。
  11. 前記転写部は、マイクロチップに形成される幅及び深さが1〜1000μmの幅の微細流路に対応する凸部を含む請求項1〜10のいずれかに記載の成形用金型。
  12. 樹脂材料からなる微細構造を形成した部材を射出成形で成形するための成形用金型であって、金型本体と、前記金型本体上に形成された、熱伝導率が30W/m・以下の断熱層と、前記断熱層上に形成された、熱伝導率が60W/m・以上の下面層と、前記微細構造を成形するための転写部を備え、前記下面層上に形成された、熱伝導率が10W/m・以下の表面層と、を有する成形用金型の製造方法において、
    転写型マスターに微細構造素子形状を切削加工する第1工程と、
    前記転写型マスター上に前記表面層を転写加工で形成する第2工程と、
    前記表面層上に前記下面層を形成する第3工程と、を有する成形用金型の製造方法。
  13. 前記転写型マスター上に、前記表面層、前記下面層及び前記断熱層を形成した後に、前記転写型マスターから前記表面層、前記下面層及び前記断熱層を離型し、更に前記断熱層に前記金型本体を接合する第4工程を有する請求項12に記載の成形用金型の製造方法。
  14. 前記転写型マスター上に、前記表面層及び前記下面層を形成した後に、前記転写型マスターから前記表面層及び前記下面層を離型し、整形した上で、前記下面層に前記断熱層及び前記金型本体を接合する第4工程を有する請求項12に記載の成形用金型の製造方法。
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